(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030211
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】船体波力発電装置および発電船
(51)【国際特許分類】
F03B 13/14 20060101AFI20240229BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20240229BHJP
【FI】
F03B13/14
B63B35/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132886
(22)【出願日】2022-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】522335974
【氏名又は名称】宮田 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100105810
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 宏
(72)【発明者】
【氏名】宮田 浩伸
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB11
3H074CC16
(57)【要約】
【課題】小型な構成で、船体の走行により発電可能な船体波力発電装置等を提供すること。
【解決手段】推進力部2が発する推進力より海上を走行する船体1の船首Sがつくる波を受けて発電する発電部100を備えた船体波力発電装置である。船体波力発電装置は、発電部100(100a~100h)を備える。船体1の右舷には発電部100a~100dが設けられ、船体1の左舷には発電部100e~100hが設けられている。発電部100のブレード等の回転部材は、平面視の外観が四角形状のケース4の内部(内部形状は半円状)を通過する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進力により海上を走行する船体の船首がつくる波を受けて発電する発電部を備えた船体波力発電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記発電部は、
前記波により回転する回転部材の回転により発電することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記発電部は、前記回転部材の時計回り回転、または、反時計回り回転により発電し、
発電エネルギーを蓄電する蓄電部を更に備えたことを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記回転部材は、平面視で見て周方向に所定角度を空けた複数のブレードであり、
前記複数のブレードは、前記船体の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ケースからは、常時、少なくとも1つのブレードが突出し、
当該突出したブレードは、前記波を受けて回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記回転部材は、前記波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられた縦長の円柱状部材であり、
前記縦長の円柱状部材は、前記船体の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記ケースからは、常時、前記縦長の円柱状部材の少なくとも1つの切り込みが突出し、
当該突出した切り込みは、前記波を受けて回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記波を受ける凹面状の窪み部と、
当該窪み部と結合されN角錐形状(Nは3以上の整数)の固定部と、を含む軸回転生起部材を備え、
当該軸回転生起部材が、発電機に連結されたロータ軸を回転させて発電させることを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項9】
請求項3において、
前記蓄電部により蓄積された電気エネルギーを前記推進力とすることを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船体波力発電装置を備えた発電船。
【請求項11】
請求項10において、
前記発電船は、発電機能を有しない本体船により牽引され、
前記発電船により発電された電気エネルギーを前記本体船に送電することを特徴とする発電船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体の海上走行により発電を行う船体波力発電装置および発電船に関する。
【背景技術】
【0002】
発電には、例えば、水力発電、風力発電、太陽光発電度などがある。火力発電は、例えば、燃料の持つ化学エネルギーを燃焼により熱に変換する発電であり、風力発電は、風の運動エネルギーによる発電である。その他に波力発電等もある。これは、波の運動エネルギーによる発電である。例えば、波力発電を行う発電船として従来以下のものがあった。
【0003】
特許文献1に開示された「発電船」は、船体に設けられた錨装置と、船体の吃水線よりも上の外側に設けられ太陽光によって発電する太陽光発電設備と、船体の吃水線よりも上の外側に設けられ風力によって発電する風力発電設備とを備える。さらに、この「発電船」は、船体の吃水線を挟んで設けられ波の上下動によって発電する波力発電設備と、船体の吃水線Lより下位に設けられ潮の流れによって発電する潮流発電設備とを備えていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、既存の波力発電装置は、主として「振動水柱型」、「可動物体型」、「越波型」、「ジャイロ型」等が提案されていた。「振動水柱型」は、波のエネルギーを利用して空気を動かし、この空気でタービンを回転させて発電を行うものであり、発電装置中に形成された「空気室」と称される箇所に海水を流れ込込ませる。次に、海水の上下運動により空気が押し出され、押し出された空気が「風」になり、タービンを回転させ発電させるものである。また、「可動物体型」は、タービンを使用せずに波のエネルギーを振り子の運動エネルギーに変換し、油圧モータを回転させて発電を行うものである。振り子の受圧板が海に触れており、波に揺られた受圧板により振り子の運動エネルギーが発生し、その運動エネルギーが油圧モータを回転させることで発電が行われる。
【0005】
さらに、「越波型」は貯留池の水面と海水の高低差を利用してタービンを回転させて発電させるものである。このためには、貯留池をつくり、防波堤によって海と貯留池を隔て、防波堤を越えてきた波が貯留池に留まり、海水面と貯留池の水面に差が生成され、その高低差を無くそうとする海水の移動により生じるエネルギーにより、タービンを回転させ発電させるものである。「ジャイロ型」は、波の上下動をジャイロにより回転運動に変換して発電するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された発電船によれば、潮流発電設備、波力発電設備の他に、太陽光発電設備、風力発電設備なども搭載され、コスト高になっていた。可能であれば、船体の海上走行に応じた発電で必要なエネルギーを賄うことができる船体が望まれていた。また、従来の「発電船」の「波力発電設備」は船体の「吃水線」を挟んで設けられ波の上下動によって発電するものであり、「潮流発電設備」は船体の「吃水線」より下位に設けられ潮の流れによって発電するものであった。
【0008】
したがって、従来の「波力発電設備」や「潮流発電設備」は、船体が水上にある際に船体が沈む深さである「吃水線」を挟んで設けられ波の上下動や、「吃水線」より下位に設けられ潮の流れにより発電するに過ぎず、発電効果に乏しいものであった。
【0009】
また、発電により船体の海上走行(自走)に影響を与えないことも重要なことであり、簡易な構成で高効率の発電効果を得ることが可能な波力発電機能が望まれていた。
【0010】
さらに、一般的に波力発電を行うためには、海洋、港湾内等の大きな波が生じる場所に波力発電装置を設置する必要があるため、台風、荒波等の自然災害により波力発電装置が破壊される可能性もあり、自然災害に耐えうるものが望まれていた。また、波力発電は海洋上で発電した電力を陸地に送電する必要があるため、海洋上から陸上への電力送電網の構築に多大なコストを要する。そして、波力発電は海上や港湾内等に設置され、陸地側に電力を送る送電線を設けなければならない。そのため、当該港湾を使用する地元漁師との間で漁業権侵害争議が生じる場合があり、行政側から波力発電事業許可が認可されない場合もあり得た。
【0011】
本発明は、上述したような従来の課題を鑑みてなされたものであり、簡素構成で、船体の海上走行により発電可能な船体波力発電装置および発電船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すために、本発明の一態様は、推進力により海上を走行する船体(1)の船首(S)がつくる波を受けて発電する発電部(100)を備えた船体波力発電装置である。
本発明の他の態様は、推進力により海上を走行する船体(1)と、
前記海上を走行する船体(1)の船首(S)がつくる波を受けて発電する発電部(100)と、を備えた船体波力発電装置を有する発電船(1)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡素構成で、船体の走行により発電可能な船体波力発電装置および発電船を提供すことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の船体の平面視の模式的説明図である。
【
図2】本発明の実施形態の発電部の回転部材、ケースの構成図(平面図、正面図)である。
【
図3】本発明の実施形態の発電部の回転部材、ケースの構成図(側面図)である。
【
図4】本発明の実施形態の発電の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の他の実施形態(本体船、発電船)の模式的説明図である。
【
図6】本発明の実施形態の発電部の回転部材の例である。
【
図7】本発明の他の実施形態の発電の構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の他の実施形態の受波回転部材の回転の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施の形態に記載される構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施の形態に記載される構成によって限定されることはない。なお、海上を走行する船体1の船首がつくる波は例えば「船首波」である。
【0016】
<船体1>
図1は船体1の平面視の模式的説明図である。船体1は、その後部に搭載された推進力部2が発生する推進力により海上を自在に走行する。推進力部2は、例えば後述する本実施形態で生成された発電エネルギーを利用する。符号「D」は「甲板(デッキ)」を示している。また、符号「S」は「船首」を示している。したがって、
図1に示す船体1は、
図1の右側から左側に走行するものである。
【0017】
船体1には、発電部100a~100hが搭載されている。船体1の軸心を「P」とすると、軸心「P」に対して(船首「S」側を見て)左右方向に4個ずつの発電部(「100a~100d」、「100e~100h」)が搭載されている。船体1の安定した海上走行にあっては、左右のバランスや発電エネルギーの安定的生成などを考慮して、軸心「P」の左右方向に同数個の発電部を搭載することが好ましい。
【0018】
しかしながら、軸心「P」に対して発電部100の数は必ずしも左右同数でなくても良い。つまり、船体1の右舷または左舷の一方側に発電部100を搭載しても良いし、船体1の右舷と左舷とで発電部100の数を異なるようにしても良い。また、発電部100を設ける間隔、船体1上の位置等も適宜設定し得る。
【0019】
なお、
図1において、発電部100の平面視は四角形状に記載しているが、これは発電部100を次述する外観が縦長直方体状のケース4に収容した状態を模式的に示したものである。但し、ケース4の内部においては、ブレード等の回転部材が回転する部分は平面視で円の一部である円弧状となっている。
図2(a)の一例ではケース4の内部は略半円状である。
【0020】
<回転部材3、ケース4>
図2は、本発明の実施形態の発電部100を構成するブレード3a、3b、3c(回転部材)と、ケース4の「平面図」と「正面図」ある。「平面図」は、船体1の平面視を示す図であり、「正面図」は、軸心Pの長さ方向に直交する方向から見た図である。また、
図3は、本発明の実施形態の発電部100を構成するブレード3(回転部材)と、ケース4の「側面図」である。「側面図」は、軸心P方向に沿って、船首Sから船尾側を見た図である。
図3に示す一例においては、ケース4から1つのブレード3aのみが突出した状態を示している。なお、
図1においては、ケース4は、船体1の右舷および左舷に設けられているが、船体1の右舷または左舷のいずれかに設けられていても良い。
【0021】
図2(a)に示すように、船体1が海上走行することにより、船首Sがつくる波により回転可能なブレード3a、3b、3cのそれぞれは、周方向で「120度」の間隔を空けて配置されている。ブレード3a、3b、3cのそれぞれの上端の中心部は一つに接続されていて、この接続された部分は接続部30となっている。接続部30は、不図示の回転連結機構により、後述する回転軸連結部40(
図4参照)に連結されている。より具体的には、ブレード3a、3b、3cの回転により回転される接続部30の回転を回転軸連結部40に伝えるように、不図示で公知の回転連結機構により、接続部30と回転軸連結部40とが連結されている。
【0022】
この公知の回転連結機構は一例として、接続部30に接続される「回転軸」と、当該回転軸に接続される「軸回転-シャフト回転変換部」と、当該変換部により接続される「回転シャフト」等で構成される。なお、
図2、
図3には描かれていないが、ブレード3a、3b、3cのそれぞれの下端の中心部も一つに接続されている。なお、実際には、
図2(b)に示すように、縦方向に長いブレード3a、3b、3cのそれぞれは一体に形成されていて、接続部30は必ずしも特に設けた部位としなくて良いが、ブレード3a、3b、3cの回転を回転軸連結部40に伝えるための説明に必要な部位として図示している。
【0023】
そして、ブレード3a、3b、3cは、ブレード3の少なくとも1個を覆うケース4の内部を通って回転する。この時、ケース4からは、常時、少なくとも1つのブレード3が突出し、当該突出したブレード3は走行する船体の船首Sがつくる波を受けて回転する。つまり、少なくとも1つのブレード3が、ケース4から突出して、海上を走行する船体1の船首Sがつくる波を受け易くするように構成されている。
【0024】
そのため、本実施形態では、
図2(a)に示すように、ケース4の平面視での縦幅を短くして、1つ乃至2つのブレード3が、ケース4から常時突出するようにしている。この様に、ケース4からは、常時、少なくとも1つのブレード3が突出し、当該突出したブレード3は、走行する船体の船首Sがつくる波を受けて回転し易くしている。これにより安定して高効率の発電が可能となる。なお、
図3と同様に、
図2(a)の一例では、ブレード3aが突出した場合を示している。また、
図2(a)に示すように、ケース4の平面視の外形は四角形状であるが、ブレード3a、3b、3cが回転する部分であるケース4の内部は、円の一部である「円弧状」になっている。一例として、
図2(a)では平面視で略半円状となっている。
【0025】
また、
図2(b)を参照して説明すると、ブレード3a、3b、3cはそれぞれの回転において、上方が開口した縦長の略直方体のケース4の内部を通過する。つまり、ブレード3a、3b、3cのそれぞれも縦長(ケース4の縦方向長さと略同長)な形状となっている。このように、ブレード3a、3b、3cは、平面視で見て周方向に所定角度(例えば120度)を空けた複数(例えば3個)の回転部材であり、回転途中において、上方が開口した縦長の略直方体のケース4の内部を通過する。
【0026】
このように、ケース4を設けて波の影響を一旦受け終えたブレード3をケース4の内部を通過するようにしたため、船体1の海上走行において、船体1の側方である「右舷」や「左舷」の流体の流れに与える影響が小さくなる。よって、船体1の側面における流体の流れに乱れが起こり難くなっているため、船体1の海上走行に影響を与えない。
【0027】
なお、船体1の海上走行中には、船体1の船首Sがつくる波の高さ、波の周期などが完全に同じであることは殆ど無く、気温、風力、湿度等の気象情報も変化する。このため、ブレード3a、3b、3cの回転方向は、
図2(a)において「時計回り回転」も、「反時計回り回転」もする。後述する発電機50(
図4参照)は、回転しさえすれば発電動作が行われるため、いずれの方向に回転しても発電には影響を与えない。
【0028】
<他の回転部材の一例>
なお、
図2、
図3は回転部材の一例としてブレード3を利用したものを例に取って説明した。だが、本発明に適用可能な回転部材は、ブレード3a、3b、3cには限られない。要するに、船体1の海上走行によって船首Sがつくる波に応じて回転する部材であればいかなる物でも良い。例えば、縦長の円柱状部材において、船首Sがつくる波を受けて回転し易くするための「切り込み」を、当該円柱状部材の縦方向上部から縦方向下部まで形成した回転部材を採用することもできる。なお、この縦長の円柱状部材の縦方向の長さは適宜に設定し得る。したがって、船体1の高さ程度に長い円柱状部材でも良い一方、例えば1(m)程度以内の長さの短い円柱状部材であっても良い。
【0029】
この場合、回転部材は走行する船体の船首がつくる波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられ縦長の円柱状部材であり、当該縦長の円柱状部材は、縦長のケース4の内部を通って回転する。そして円柱状部材(の少なくとも一部)を覆うケース4からは、常時、当該縦長の円柱状部材の少なくとも1つの切り込みが突出し、当該突出し切り込みは走行する船体1の船首Sがつくる波を受けて回転し易くなる。その結果、高効率の発電効果を実現できる。なお、この場合もケース4の形状、大きさは適切に設定し得る。
【0030】
また、
図2、
図3で示したケース4の形状、構造も一例に過ぎず、ケース4は
図2(a)に示すように平面視で四角形状でなくても良い。例えば、
図2(a)に示すケース4の図中下側を直線状とせずに曲線状にしたり、他の形状にしたりして、船首Sでつくられた波等の影響を受け易くし、回転部材を一層軽やかに回転させる構成とすることも可能である。要するに、船首Sでつくられた波を取り込んで回転部材を当該波等により回転させるのであれば、ケース4の形状、大きさ等は適切に設定し得る。よって、
図2(a)に示すような形状である必要はない。また、ケース4の縦方向の長さも船体1の高さに応じて適切に設定することができる。
【0031】
但し、ケース4の外部の形状は適切に設定し得るが、ケース4の内部において、回転部材(ブレード3等)が回転する部分は、回転部材が回転する必要があることから、ケース4の内部は円の一部である「円弧状」になっている。先述したが、一例として、
図2(a)ではケース4の内部形状は、平面視で略半円状となっている。ケース4の内部の立体的形状は、例えば縦長の半円筒状等である。
【0032】
<発電部100>
図4は発電部100の主たる構成を示すブロック図である。先述したように、接続部30の回転は不図示の回転連結機構により、回転軸連結部40に伝達される。このため回転部材(ブレード3等)が回転すると、回転軸連結部40が回転する。すると、この回転軸連結部40の回転により、発電機50が回転駆動され発電動作が行われる。具体的には、例えば、回転軸連結部40から出される回転シャフトの回転が発電機50の回転軸に連結されていて、回転軸連結部40の回転に応じて発電機50の回転軸が回転する
【0033】
発電機50で発電された電気エネルギーは蓄電部60に蓄積される。なお、発電機50と蓄電部60との間には、図示はしていないがAC-DC等の変換器が設けられている。この蓄電部60は、例えば、船体1の甲板Dに固定しても良いし、推進力部2の近傍に設置しても良い。蓄電部60により蓄電された電気エネルギーを利用して船体1が海上走行するエネルギーを賄うことができ船体1は自走できることになる。また、脱炭素化、SDGS等の時代要請にも適合した発電を行えることにもなる。なお、発電機50の前段側に回転部材(ブレード3等)の回転をギア機構により増速する「増速機構」を設けたり、回転部材の回転ピッチ(回転速度)を可変とする「可変ピッチ機構」を設けたりしても良い。
【0034】
以上説明してきたように本実施形態によれば、推進力により海上を走行する船体1の船首Sがつくる波を受けて発電する発電部100を備えた簡素な構成で高効率の発電効果を有する船体波力発電装置を実現できる。また、他の態様によれば、推進力により海上を走行する船体1と、海上を走行する船体1の船首Sがつくる波を受けて発電する発電部100と、を備えた発電船を実現できる。
【0035】
<受波回転部材(軸回転生起部材);
図6、
図7>
図6は、船体1がつくる波を直接、受ける受波回転部材600の「正面図」、「側面図」、「背面図」である。「正面図」は船首S側から見た図であり。「側面図」は船体1の右舷から見た図であり、「背面図」は船尾側から見た図である。
【0036】
本実施形態においては、受波回転部材600(軸回転生起部材)が波を直接アクティブに受けて、発電機に連結されるロータ軸を回転させて発電する点に特徴がある。つまり、上述してきたようにブレード等の回転部材自身が回転するのとは異なり、受波回転部材600は、ロータ軸の回転を起こさせる軸回転生起機能を有する回転部材である。なお、以下に説明するロータ軸は主として受波回転部材600の回転軸であり、不図示の動力伝達軸により発電機の回転軸と連結されている。
【0037】
受波回転部材600は、その正面側に船体1がつくる波を直接受けて回転するための凹面状の窪み部Kを有する。また、窪み部Kは、その縦断面形状が曲面的である凹面鏡のように形成されている。このため、波を効率的に受けることができる。窪み部Kが波を受けると、受波回転部材600の中心方向に固定された回転軸であるロータ軸610が回転される。なお、受波回転部材600とロータ軸610とは強固に固定されている。なお、ロータ軸610は、
図6に示すように、受波回転部材600の中心を通る必要はない。このことは後に
図8を参照して説明する。
【0038】
また、受波回転部材600は、窪み部Kと、窪み部Kの背部側(背面側)に結合され、N角錐(Nは3以上の整数:頂点「R」)の部材で成る固定部とを備えている。回転の円滑さを考慮すると、N角錐の底面のN角形を「正N角形」としてN角形の各辺の長さを等しくするのが好ましい。
図6(c)に示すものは、一例として「6角錐(正6角錐)」形状の固定部を示している。頂点Rから見ると、ダイアモンドカットしたような形状(「ダイアモンドカット部」とも記す)となっている。なお、「正6角錐」は一例であり、一般には正N角錐(Nは3以上の整数)でも良い。
【0039】
図8は、1つの受波回転部材600の回転を模式的に示した説明図である。例えば図中上側からの波を受波回転部材600が受けて、
図8中の中心部の平面視円で図示するロータ軸を回転させることになる。この例では、ロータ軸は平面視で反時計回りに回転することになる。なお、
図8に示す受波回転部材600とロータ軸との位置関係は一例であり、
図8に示す位置関係に限られない。例えば、受波回転部材600を縦方向に複数個設けた場合、それらを1つのロータ軸で連結するように構成しても良いし、受波回転部材600毎にロータ軸を設けた構成としても良い。
【0040】
また、受波回転部材600とロータ軸とを固定する場合には、両者を直接溶接等で固定しても良いし、あるいは、水平方向に互いに所定距離を離して固定することもできる。この場合、例えばパイプ状部材、棒状部材等で受波回転部材600の固定部とロータ軸とを固定すれば良い。要するに、受波回転部材600が波を受けると、ロータ軸を回転される固定態様であれば、受波回転部材600の固定部(あるいは窪み部Kの裏側)とロータ軸との固定はいかなるものでも良い。固定方法もネジ止め、溶接等あらゆる方法が挙げられる。
【0041】
このように、波を窪み部Kで直接、アクティブに受けてロータ軸610を回転させるとともに、固定部(ダイアモンドカット部)が構造的に頑丈である。
図6に示す受波回転部材600の窪み部Kの外側には羽根が付き、内側は窪んでいる。この窪み部Kで波を直接受ける一方、その後方(背面側)には固定部(ダイアモンドカット部)が形成されている。その結果、窪み部Kが波を受けてロータ軸610が回転し易くなって発電効果が向上するとともに、固定部は構造上強固である。
【0042】
なお、
図6に示す例においては、窪み部K側にも、正6角錐形状の固定部(ダイアモンドカット部)がロータ軸610に対して左右対称となった部分が繋がっている。つまり、
図6に示す例の場合、受波回転部材600は、ロータ軸610を中心として、正6角錐(ダイアモンドカット部)が左右対称に設けられ、かつ、互いの底面が重ねられたものにおいて、
図6左側の正6角錐(ダイアモンドカット部)の一部に、窪み部Kが形成されたものと見做すことができる構成となっている。上述した「受波回転部材600の窪み部Kの外側には「羽根が付き」」と記載したのはこのことから分かる。
【0043】
<「筐体(ナセル)」の例>
図7は、
図6に示した受波回転部材600を一例として3個縦方向に設けた船体波力発電装置の構成例である。なお、受波回転部材600は1個以上であれば何個設けても良い。なお、船体波力発電装置の最上部と最下部には固定部(基礎部等)が設置され、船体波力発電装置を上下で支持する構成となっており、この固定部は、船体1と船体波力発電装置とを固定する機能も有している。
【0044】
A1、A2、A3で示す受波回転部材600が、波力「W」を受けると、A1、A2、A3を縦方向に固定しているロータ軸710(
図6では符号610)を回転させる。ロータ軸710は、不図示の動力伝達軸を介して発電機720の回転軸に接続されている。そして、発電機720の回転軸は、ロータ軸710の回転により回転されて発電が行われる。発電機720によって発電された電気エネルギーは、変換器730によって変換され、蓄電部740に蓄電される。
【0045】
なお、変換器730は、例えばAC-DC変換(インバータ、コンバータ等)を行ったり他の電気変換等を行ったりして発電された電気エネルギーを蓄電部740に蓄電する。蓄電部740により蓄積された電気エネルギーは船体1の推進力として利用することができる。なお、
図7に示すA1~A3より上に位置するものは、受波回転部材600の上方に配置され、例えば円柱縦長カプセル状の筐体(「ナセル」と称する)に収容されている。上述してきたロータ軸と、ナセル側の回転軸(ナセルロータ軸)とを連結する連結機構(「ハブ」と称する)も設けられている。
【0046】
また、
図7における装置において、ギア機構を利用して回転速度を増速する「増速機」、回転速度を止める「ブレーキ装置」、「動力電動軸」等を設けて一層装置の操作性を良くしても良い。例えば、増速機は、軸回転を発電に必要な回転まで回転増速するものである。また、ブレーキ装置を設けることにより、非常時の発電を停止させ点検等を行うことができる。その他の所要の物をナセルに収容する構成とすることもできる。
【0047】
以上説明したように、
図6に示した直接波を受ける受波回転部材600を採用した場合にあっても、船体1が海上走行時に波を立てることにより、受波回転部材600がロータ軸(610,710)を回転させて発電させることができる。本発明の船体波力発電装置は、船体が海上走行を行う限り発電することができることになる。また、蓄電部740を備えることにより、発電した電気エネルギーを蓄電することができる。その結果、船体1の動力をEV化することができ、再生エネルギーを利用して船体1の海上走行が可能になる。
【0048】
また、
図6乃至
図8を参照して説明してきた実施形態の発電装置は、船体1の例えば右舷および/または左舷に少なくとも1箇所以上に設けることができる。また、前述したように
図6に示す受波回転部材600は縦方向に1個以上設けることができるし、互いに近接して複数個水平方向等に設けることもできる。設け方の態様はこれらに限られない。なお、受波回転部材600毎にロータ軸を設けた場合、複数のロータ軸と、ナセル側のロータ軸とを連結する不図示の連結機構で連結することができ、双方の軸の連結態様は様々な構成例が挙げられる。
【0049】
<その他:「筏」の牽引>
図1に示すように船体1の右舷、左舷に発電部100を設け、更に船体1の船尾にロープ等で連結して、
図2で説明したケース4を船体1が牽引する構成とすることもできる。この場合、例えば複数のケース4同士を固定した構成とし、その上に複数のケース4が海上に浮かぶように「筏状」のものを当該複数のケース4上に設ける構成とすることができる。船体1の右舷、左舷に設けた発電部100に加えて、これらによっても船体波力発電を行うことができる。
【0050】
(他の実施形態)
図5は本発明の他の実施形態の模式的説明図である。この実施形態は、本体船70と、発電船150とを有する。本体船70は、特に本発明の発電部を備えない普通の船である。一方、発電船150は、本発明の発電部90と、蓄電部80を備えた船体である。
図5では4つの発電部90を備えるように図示しているが、発電部90は1個以上であれば何個備えた構成としても良い。また、発電部90の配置態様もいずれのものでも良い。
【0051】
発電船150は、(1)発電部90により「発電機能」、(2)発電部90により得られた電気エネルギーを蓄電部80に蓄電する「蓄電機能」(3)蓄電部80により蓄積されている電気エネルギーを本体船70に送電する「送電機能」などを有する。発電船150は、本体船70に牽引されるか、または、自身が発電した電気エネルギーを利用して海上を自走することができる。発電船150は必要に応じて本体船70に送電し、本体船70は、送電されてきた電気エネルギーを推進力とし5海上走行が可能である。
【0052】
本実施形態によれば、特に発電機能を有さない普通船である本体船70と、発電船150とを一緒に海上走行されることができる。特に本発明を適用しない本体船70も海上走行させることができる効果が得られる。なお、発電部90は、
図1とは異なり、発電船150の右舷や左舷に設けられていない。しかしながら、発電船150の下部構造において、船首Sでつくられた波を各発電部90に導く不図示の水路等が形成されている。したがって、船首Sで作られた波を回転部材(ブレード3等)が受けて回転して発電部90で発電が可能に構成されている。また、以上説明してきた各実施形態によれば、「本発明が解決すべき課題」で挙げた少なくとも、自然災害による破壊、コスト高、事業許可等の問題が総て解決される。
【0053】
<付記>
<構成1>
推進力により海上を走行する船体1の船首Sがつくる波(船首波等)を受けて発電する発電部を備えた船体波力発電装置である。
この構成によれば、簡素構成で船体1の海上走行により発電可能な発電部(船体波力発電装置)を実現できる。その結果、船体1の動力を発電で賄え、当該発電を利用して船体1は自走できるなどの効果を奏する。
<他の態様:構成1>
推進力により海上を走行する船体1と、
前記海上を走行する船体の船首Sがつくる波を受けて発電する発電部100と、を備えた船体波力発電装置を有する発電船(1)である。
この構成によれば、簡素構成で船体1の海上走行により発電可能な発電装置を備えた発電船を実現できる。その結果、船体1の動力を発電で賄え、当該発電を利用して自走できる発電船を提供できる効果を奏する。
【0054】
<構成2>
前記発電部100は、
前記(走行する船体1の船首Sがつくる)波により回転する回転部材3a、3b、3cの回転により発電することを特徴とする。この構成によれば、回転部材の回転により発電を行える。この構成によれば、回転部材の回転により発電可能となるので特に構成が簡易になるという効果を奏する。
<構成3>
前記発電部100は、前記回転部材の時計回り回転、または、反時計回り回転により発電し、発電エネルギーを蓄電する蓄電部60を更に備えたことを特徴とする。この構成によれば様々な天候状況においても安定的な発電を行える効果を奏する。
<構成4>
前記回転部材3a、3b、3cは、平面視で見て周方向に所定角度(120度)を空けた複数のブレードで3あり、
前記複数のブレード3は、前記船体1の右舷および/または左舷に設けられたケース4の内部を通って回転することを特徴とする。
この構成によれば、船体1の海上走行において、船体1の側方である「右舷」や「左舷」の流体の流れに与える影響を小さくできる。この結果、船体1の側面における流体の流れに乱れが起こり難くなるという効果を奏する。
【0055】
<構成5>
前記ケース4からは、常時、少なくとも1つのブレード3が突出し、
当該突出したブレード3は、前記波を受けて回転することを特徴とする。
この構成によれば、常時、少なくとも1つのブレード3が、船首Sがつくる波を受けるので高効率の発電効果を得ることができるという効果を奏する。
<構成6>
前記回転部材は、前記(走行する船体1の船首Sがつくる)波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられた縦長の円柱状部材であり、
前記縦長の円柱状部材は、前記船体1の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転することを特徴とする。
この構成によっても、船体1の海上走行において、船体1の側方である「右舷」や「左舷」の流体の流れに与える影響を小さくできる。この結果、船体1の側面における流体の流れに乱れが起こり難くなるという効果を奏する。
<構成7>
前記ケース4からは、常時、前記縦長の円柱状部材の少なくとも1つの切り込みが突出し、
当該突出した切り込みは、前記波を受けて回転することを特徴とする。
この構成によっても、常時、少なくとも1つの切り込みが、船首Sがつくる波を受けるので高効率の発電効果を得ることができるという効果を奏する。
【0056】
<構成8>
前記波を受ける凹面状の窪み部と、
当該窪み部と結合されN角錐形状(Nは3以上の整数)の固定部と、を含む軸回転生起部材を備え、
当該軸回転生起部材が、発電機に連結されたロータ軸を回転させて発電させることを特徴とする。
この構成によれば、船体1が作る波を窪み部Kが直接を受けて、回転生起部材がロータ軸610、710を回転させることにより、高効率での発電効果を得ることができる。しかも固定部であるN角錐形状の部材は構造上頑丈であり、自然災害等で破壊され難い。
【0057】
<構成9>
前記蓄電部により蓄積された電気エネルギーを前記推進力とすることを特徴とする。
この構成によれば、船体1は発電により海上を自走することが可能になるという効果が得られる。
<構成10>
構成1乃至構成3のいずれか一項に記載の船体波力発電装置を備えた発電船150。
この構成によれば、本発明による発電により得られる電気エネルギーで海上自走する船体である発電船を実現できる効果を奏する。
【0058】
<構成11>
前記発電船150は、発電機能を有しない本体船70により牽引され、
前記発電船150により発電された電気エネルギーを前記本体船70に送電することを特徴とする発電船150。
この構成によれば、発電機能を有しない普通の船体である本体船70を、発電船150で発電した電気エネルギーを利用して走行させることができ、発電船150自体も自走が可能になるという効果を奏する。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、本実施形態では
図1に示すように船体1に本発明を適用した例を説明したが、船体1の大きさ(小舟から大型タンカーまで)、重量等には影響されない。適宜、発電部100の数を増減したり、発電部100やケース4の平面視、正面視における大きさを変更したりすることができる。
【0060】
なお、先に、接続部30と回転軸連結部40を公知の回転連結機構で連結する構成について述べたが、接続部30と発電機50の回転軸とを直接固定して、当該公知の回転連結機構や回転軸連結部40を不要とした構成としても良い。この構成の場合には、発電機50をケース4上面等に固定する固定部材等が必要になる。要するに、接続部30の回転により、発電機50の回転軸を回転させる構成であればいかなる態様の構成でも良い。
【0061】
また、本発明によれば、様々なものにも適用できる。例えば
図6に示す受波回転部材600を使用した発電装置を「川」に架けられたインフラとしての「橋」の基礎部等に設け、「川」の水の流れを窪み部Kにあてて、ロータ軸を回転させて発電させることもできる。また、以上説明してきた各実施形態でサポートされている本発明を有する装置、システムおよび方法等にも本発明の範囲が及びことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1 船体
2 推進力部
3、3a、3b、3c ブレード
4 ケース
30 接続部
40 回転軸連結部
50 発電機
60 蓄電部
70 本体船
80 蓄電部
90 発電部
100 発電部
150 発電船
600 受波回転部材
720 発電機
730 変換器
740 蓄電部
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進力により海上を走行する船体の船首がつくる波を受けて発電する発電部を備え、
前記発電部は、前記波により回転する回転部材の回転により発電し、
前記回転部材は、前記波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられた縦長の円柱状部材であり、
前記縦長の円柱状部材は、前記船体の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケースからは、常時、前記縦長の円柱状部材の少なくとも1つの切り込みが突出し、
当該突出した切り込みは、前記波を受けて回転することを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項3】
推進力により海上を走行する船体の船首がつくる波を受けて発電する発電部を備えた船体波力発電装置であって、
前記発電部は、
前記波を受ける凹面状の窪み部と、
当該窪み部と結合されN角錐形状(Nは3以上の整数)の固定部と、を含む軸回転生起部材を備え、
当該軸回転生起部材が、発電機に連結されたロータ軸を回転させて発電させることを特徴とする船体波力発電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船体波力発電装置を備えた発電船。
【請求項5】
請求項4において、
前記発電船は、発電機能を有しない本体船により牽引され、
前記発電船により発電された電気エネルギーを前記本体船に送電することを特徴とする発電船。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明は、上述したような従来の課題を鑑みてなされたものであり、簡素な構成で、船体の海上走行により発電可能な船体波力発電装置および発電船を提供することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、推進力により海上を走行する船体(1)の船首(S)がつくる波を受けて発電する発電部(100)を備え、前記発電部は、前記波により回転する回転部材の回転により発電し、前記回転部材は、前記波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられた縦長の円柱状部材であり、前記縦長の円柱状部材は、前記船体の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転する船体波力発電装置である。
本発明の他の態様は、推進力により海上を走行する船体(1)と、
前記海上を走行する船体(1)の船首(S)がつくる波を受けて発電する発電部(100)と、を備え、前記発電部(100)は、前記波により回転する回転部材の回転により発電し、前記回転部材は、前記波を受けて回転させるための複数の縦方向の切り込みが設けられた縦長の円柱状部材であり、前記縦長の円柱状部材は、前記船体の右舷および/または左舷に設けられたケースの内部を通って回転する発電船(1)である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明によれば、簡素な構成で、船体の走行により発電可能な船体波力発電装置および発電船を提供すことができるという効果が得られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
<受波回転部材(軸回転生起部材);
図6、
図7>
図6は、船体1がつくる波を直接、受ける受波回転部材600の「正面図」、「側面図」、「背面図」である。「正面図」は船首S側から見た図であり
、「側面図」は船体1の右舷から見た図であり、「背面図」は船尾側から見た図である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
<付記>
<構成1>
推進力により海上を走行する船体1の船首Sがつくる波(船首波等)を受けて発電する発電部を備えた船体波力発電装置である。
この構成によれば、簡素な構成で船体1の海上走行により発電可能な発電部(船体波力発電装置)を実現できる。その結果、船体1の動力を発電で賄え、当該発電を利用して船体1は自走できるなどの効果を奏する。
<他の態様:構成1>
推進力により海上を走行する船体1と、
前記海上を走行する船体の船首Sがつくる波を受けて発電する発電部100と、を備えた船体波力発電装置を有する発電船(1)である。
この構成によれば、簡素な構成で船体1の海上走行により発電可能な発電装置を備えた発電船を実現できる。その結果、船体1の動力を発電で賄え、当該発電を利用して自走できる発電船を提供できる効果を奏する。