(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030213
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132893
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】595039014
【氏名又は名称】株式会社サキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140800
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 丈世
(74)【代理人】
【識別番号】100156281
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 敬
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】松浦 達之
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA62
2G051AB14
2G051BA08
2G051BB02
2G051BB07
2G051BB11
2G051BC01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】撮像対象物上での照明光のデッドスポットを少なくし、計測精度を向上させることができる検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置10は、被検査体12を垂直方向から撮像する第1撮像部21と、第1撮像部21と被検査体12との間に配置され、第1撮像部21側と被検査体12側とにそれぞれ開口部233~236を持つ複数のドーム型形状の反射板230a~230cと、それぞれの反射板230a~230cを照明する複数の環状の光源23a~23cと、反射板230a~230cの外側にあって、被検査体12に対して撮像又は光の照射を行うことが可能な検査用機器(第2撮像部22、投射部24)と、を有し、検査用機器の光軸は、反射板230a~230cに設けられた貫通孔237,238を通るように配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物を垂直方向から撮像する主撮像部と、
前記主撮像部と前記撮像対象物との間に配置され、前記主撮像部側と前記撮像対象物側とにそれぞれ開口部を持つ複数のドーム型形状の反射板と、
それぞれの前記反射板を照明する複数の環状の光源と、
前記反射板の外側にあって、前記撮像対象物に対して撮像又は光の照射を行うことが可能な検査用機器と、を有し、
前記検査用機器の光軸は、前記反射板に設けられた貫通孔を通るように配置されている
検査装置。
【請求項2】
複数の前記反射板は、垂直方向に前記開口部を接して接続され、
前記主撮像部側の反射板の、前記撮像対象物側の開口部の半径と、前記撮像対象物側の反射板の、前記主撮像部側の開口部の半径と、が同寸である
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
複数の前記光源は、前記光源毎に、点灯タイミング及び発光色を制御可能である
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査用機器は、前記撮像対象物を斜め方向から撮像する傾斜撮像部、三次元計測用のパターン縞を投射可能な投射部、及び、特定波長の照明光を照射する特定波長照射部の少なくとも何れかを含む
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査用機器は、前記反射板において、互いに間隔を隔てて環状に配列される
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検査用機器は、前記主撮像部の撮像軸と前記検査用機器の光軸とのなす角度が、配置されている前記反射板が前記撮像対象物側に近いほど大きくなるように構成されている
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記反射板において、テーパー形状を有する
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記反射板において、互いに間隔を隔てて環状に配列されている
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項9】
複数の前記光源の少なくとも1つは、前記光源毎に複数の部分に分割されており、前記部分毎に点灯及び消灯を制御可能である
請求項1または2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等が実装された基板等の被検査体を撮像し、撮像された画像データを用いて被検査体の外観を検査する検査装置において、撮像対象物である被検査体を照明する方法として、この撮像対象物を垂直方向から覆うように配置されたドーム型形状の反射板を有する照明ユニットを用い、光源からの光を反射板で反射させて撮像対象物に照明光を照射する構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した構成の場合、撮像対象物を垂直方向から撮像する主撮像部に加えて、撮像対象物を斜め方向から撮像する傾斜撮像部や、撮像対象物にパターン縞を投射する投射部等の検査用機器を設けるために、照明ユニットの反射板に貫通孔を開けて光路を通す必要があるが、この貫通孔の径が大きくなると、撮像対象物に照明光が照射されない領域(この領域を「デッドスポット」と呼ぶ)が生じて、計測精度が悪化してしまうという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、撮像対象物上での照明光のデッドスポットを少なくし、計測精度を向上させることができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、撮像対象物を垂直方向から撮像する主撮像部と、前記主撮像部と前記撮像対象物との間に配置され、前記主撮像部側と前記撮像対象物側とにそれぞれ開口部を持つ複数のドーム型形状の反射板と、それぞれの前記反射板を照明する複数の環状の光源と、前記反射板の外側にあって、前記撮像対象物に対して撮像又は光の照射を行うことが可能な検査用機器と、を有し、前記検査用機器の光軸は、前記反射板に設けられた貫通孔を通るように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の検査装置によれば、撮像対象物上での照明光のデッドスポットを少なくし、計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】検査装置の構成を説明するための説明図である。
【
図2】照明部の構成を説明するための説明図であって、(a)は第1撮像部側から見た平面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図である。
【
図3】撮像ユニットにおける照明部と第1撮像部、第2撮像部及び投射部との配置を示す説明図である。
【
図4】検査用機器と貫通孔との関係を説明する説明図である。
【
図5】照明部の投射角度とその反射光の検出との関係を説明するための説明図であって、(a)は照明部の各光源の投射角度を示し、(b)は被検査体の検査面の状態の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、
図1を用いて本実施形態に係る検査装置10の構成について説明する。この検査装置10は、被検査体12を撮像して得られる被検査体画像データを使用して被検査体12を検査する検査装置である。被検査体12は例えば、多数の電子部品が実装されている電子回路基板である。検査装置10は、電子部品の実装状態の良否を被検査体画像データに基づいて特定する。この検査は通常、各部品に対し複数の検査項目について行われる。検査項目とはすなわち良否の特定を要する項目である。検査項目には例えば、部品そのものの欠品や位置ずれ、極性反転などの部品配置についての検査項目と、はんだ付け状態や部品のリードピンの浮きなどの部品と基板との接続部についての検査項目とが含まれる。
【0010】
検査装置10は、被検査体12を保持するための検査テーブル14と、被検査体12を照明し撮像する撮像ユニット20と、検査テーブル14に対し撮像ユニット20を移動させるXYステージ16と、撮像ユニット20及びXYステージ16の作動を制御するための制御ユニット30と、を含んで構成される。なお説明の便宜上、
図1に示すように、検査テーブル14の被検査体載置面をXY平面とし、その載置面に垂直な方向(すなわち撮像ユニット20による撮像方向(第1撮像部21の撮像軸(第1撮像部21の光学系の光軸方向)))をZ方向とする。
【0011】
撮像ユニット20は、XYステージ16の移動テーブル(図示せず)に取り付けられており、XYステージ16によりX方向及びY方向のそれぞれに移動可能である。XYステージ16は例えばいわゆるH型のXYステージである。よってXYステージ16は、Y方向に延びるY方向ガイドに沿って移動テーブルをY方向に移動させるY駆動部と、Y方向ガイドをその両端で支持しかつ移動テーブルとY方向ガイドとをX方向に移動可能に構成されている2本のX方向ガイド及び2個のX駆動部と、を備える。なおXYステージ16は、撮像ユニット20をZ方向に移動させるZ移動機構をさらに備えてもよいし、撮像ユニット20を回転させる回転機構をさらに備えてもよい。検査装置10は、検査テーブル14を移動可能とするXYステージをさらに備えてもよく、この場合、撮像ユニット20を移動させるXYステージ16は省略されてもよい。また、X駆動部及びY駆動部には、リニアモータやボールねじを用いることができる。
【0012】
撮像ユニット20は、撮像対象物である被検査体12を垂直方向から撮像する主撮像部である第1撮像部21と、被検査体12を斜め方向から撮像する傾斜撮像部である第2撮像部22と、被検査体12を照明する照明部23と、被検査体12に対して三次元計測用のパターン縞を投射する投射部24と、を含んで構成される。本実施形態に係る検査装置10においては、第1撮像部21、第2撮像部22、照明部23、及び投射部24は一体の撮像ユニット20として構成されており、この一体の撮像ユニット20において、第1撮像部21、第2撮像部22、照明部23、及び投射部24の相対位置は固定されているが、各部が相対移動可能に構成されていてもよい。また、第1撮像部21、第2撮像部22、照明部23、及び投射部24は別体とされ、別々に移動可能に構成されていてもよい。
【0013】
第1撮像部21は、撮像対象物の2次元画像データを生成する撮像素子と、その撮像素子に画像を結像させるための光学系(例えばレンズ)とを含む。第1撮像部21は例えばCMOSカメラやCCDカメラである。第1撮像部21の最大視野は、検査テーブル14の被検査体載置区域よりも小さくてもよい。この場合、第1撮像部21は、複数の部分画像に分割して被検査体12の全体を撮像する。制御ユニット30は、第1撮像部21が部分画像を撮像して部分画像データを出力するたびに次の撮像位置へと第1撮像部21が移動されるようXYステージ16を制御する。制御ユニット30は、部分画像データを合成して被検査体12の全体画像データを生成する。
【0014】
なお、第1撮像部21は、2次元の撮像素子に代えて、1次元画像を生成する撮像素子を備えてもよい。この場合、第1撮像部21により被検査体12を走査することにより、被検査体12の全体画像を取得することができる。
【0015】
照明部23は、第1撮像部21及び第2撮像部22による撮像のための照明光を被検査体12の表面に投射するよう構成されている。照明部23は、第1撮像部21及び第2撮像部22の撮像素子により検出可能である波長域から選択された波長または波長域の光を発する1つまたは複数の光源を備える。照明光は可視光には限らず、紫外光やX線等を用いてもよい。光源が複数設けられている場合には、各光源は異なる波長の光(例えば、赤色、青色、及び緑色)を異なる投光角度で被検査体12の表面に投光するよう構成される。
【0016】
本実施形態に係る検査装置10において、照明部23は、側方照明源(本実施形態では、上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cからなる)と、この側方照明源23a~23cから出射した光を反射して被検査体12の検査面(すなわち撮像ユニット20に対する面(X-Y面))に対して斜め方向から照明光を投射する反射板230とを備えている(側方照明源23a~23c及び反射板230の詳細については後述する)。ここで、本実施形態に係る検査装置10においては、側方照明源23a、23b、23cはそれぞれ環状の光源(リング照明源)であり、第1撮像部21の光軸を囲み、反射板230により被検査体12の検査面に対し斜めに照明光を投射するように構成されている。なお、これらの側方照明源である上位光源23a,中位光源23b及び下位光源23cの各々は、複数の光源が円環状に配置されて構成されていてもよい。また、上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cは、それぞれ、反射板230を介して検査面に対して異なる角度で照明光を投射するように構成されている。
【0017】
また、側方照明源である上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cの各々は、1つのリング照明源で構成してもよいし、複数のリング照明源を含んでもよい。例えば、側方照明源のうち、上位光源23aは1つのリング照明ユニットとして構成され、中位光源23b及び下位光源23cが一体になった1つのリング照明ユニットとして構成することができる。また、側方照明源のうち、上位光源23a及び下位光源23cを赤色照明源とし、側方照明源のうち、中位光源23bを緑色照明源、青色照明源及び赤色照明源で構成してもよい。また、上位光源23a及び下位光源23cを緑色や青色の照明源で構成してもよい。
【0018】
このように、本実施形態の説明では、被検査体12に異なる角度から照明光を照射する3種類の光源(側方照明源23a~23c)を用いる場合について説明するが、光源の種類(数)は3つに限定されることはなく、2又は4以上の光源でもよい。例えば、側方照明源23a~23bに加えて、第1撮像部21の光軸に沿って被検査体12に照明光を照射する落射照明源を組み合わせてもよい。あるいは、側方照明源23a~23cのうちのいくつかだけでもよい。また、光源23a~23cのいずれか一つの光源でもよく、その場合、単色の光源によるモノクロの画像を取得するように構成してもよい。
【0019】
図1においては参考のため、側方照明源23a~23cのうち、上位光源23aから出射して反射板230で反射して被検査体12に投射され、さらに、被検査体12の検査面で反射して第1撮像部21に入射する光束を破線の矢印で示している。また、側方照明源のうち、中位光源23b、下位光源23c及び投射部24から出射した光と、第2撮像部22に入射する光も同様に破線の矢印で示している。ここで、被検査体12の表面は説明の便宜上、平面として図示しているが、実際には一般の被検査体のように、部位により傾斜や高さを有している。
【0020】
また、第2撮像部22は、被検査体12の検査面(基板面)に対して斜め方向から撮像するように構成されている。この第2撮像部22も、第1撮像部21と同様に、例えばCMOSカメラやCCDカメラである。なお、図示される実施例においては中位光源23bと下位光源23cとの間に第2撮像部22が設けられているが、第2撮像部22の配置はこれに限らず、例えば下位光源23cの外側に第2撮像部22が設けられてもよい。
【0021】
なお、第2撮像部22は、第1撮像部21の周囲に複数設けられていてもよい。複数の第2撮像部22は、それぞれ異なる方向から被検査体12を撮像するよう配置されている。このようにすれば、検査面における高さ差によって遮られ撮像されない領域を小さくすることができる。
【0022】
投射部24は、被検査体12の検査面にパターンを投射する。パターンが投射された被検査体12は、第1撮像部21により撮像される。なお、図示される実施例においては上位光源23aと中位光源23bとの間に投射部24が設けられているが、投射部24の配置はこれに限らず、例えば下位光源23cの外側に投射部24が設けられてもよい。
【0023】
検査装置10は、投射部24からパターンが投射された状態で撮像された被検査体12のパターン画像データに基づいて被検査体12の検査面の高さマップを作成する。制御ユニット30は、投射パターンに対するパターン画像の局所的な不一致を検出し、その局所的な不一致に基づいてその部位の高さを求める。つまり、投射パターン(投射部24から被検査体12に投射されるパターン)に対する撮像パターン(被検査体12に投射され第1撮像部21で撮像されたパターン)の変化が、検査面上の高さ変化に対応する。
【0024】
ここで、投射パターンは、明線と暗線とが交互に周期的に繰り返される1次元の縞パターンであることが好ましい。投射部24は、被検査体12の検査面に対し斜め方向から縞パターンを投影するよう配置されている。被検査体12の検査面における高さの非連続は、縞パターン画像においてパターンのずれとして表れる。よって、パターンのずれ量から高さ差を求めることができる。本実施形態に係る検査装置10においては、サインカーブに従って明るさが変化する縞パターンを用いるPMP(Phase Measurement Profilometry)法により制御ユニット30は高さマップを作成する。PMP法においては縞パターンのずれ量がサインカーブの位相差に相当する。
【0025】
投射部24は、パターン形成装置と、パターン形成装置を照明するための光源と、パターンを被検査体12の検査面に投影するための光学系と、を含んで構成される。パターン形成装置は例えば、液晶ディスプレイ等のように所望のパターンを動的に生成しうる可変パターニング装置であってもよいし、ガラスプレート等の基板上にパターンが固定的に形成されている固定パターニング装置であってもよい。パターン形成装置が固定パターニング装置である場合には、固定パターニング装置を移動させる移動機構を設けるか、あるいはパターン投影用の光学系に調整機構を設けることにより、パターンの投影位置を可変とすることが好ましい。また、投射部24は、異なるパターンをもつ複数の固定パターニング装置を切替可能に構成されていてもよい。
【0026】
投射部24は、第1撮像部21の周囲に複数設けられていてもよい。複数の投射部24は、それぞれ異なる投射方向から被検査体12にパターンを投影するよう配置されている。このようにすれば、検査面における高さ差によって影となりパターンが投影されない領域を小さくすることができる。
【0027】
図1に示す制御ユニット30は、本装置全体を統括的に制御するもので、ハードウエアとしては、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現され、ソフトウエアとしてはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
図1には、制御ユニット30の構成の一例が示されている。制御ユニット30は、検査制御部31と記憶部であるメモリ35とを含んで構成される。検査制御部31は、高さ測定部32と検査データ処理部33と検査部34とを含んで構成される。また、検査装置10は、ユーザまたは他の装置からの入力を受け付けるための入力部36と、検査に関連する情報を出力するための出力部37とを備えており、入力部36及び出力部37はそれぞれ制御ユニット30に接続されている。入力部36は例えば、ユーザからの入力を受け付けるためのマウスやキーボード等の入力手段や、他の装置との通信をするための通信手段を含む。出力部37は、ディスプレイやプリンタ等の公知の出力手段を含む。
【0029】
検査制御部31は、入力部36からの入力及びメモリ35に記憶されている検査関連情報に基づいて、検査のための各種制御処理を実行するよう構成されている。検査関連情報には、被検査体12の2次元画像データ、被検査体12の高さマップ、及び基板検査データ(検査データ)が含まれる。検査に先立って、検査データ処理部33は、すべての検査項目に合格することが保証されている被検査体12の2次元画像データ及び高さマップを使用して基板検査データを作成する。検査部34は、作成済みの基板検査データと、検査されるべき被検査体12の2次元画像データ及び高さマップとに基づいて検査を実行する。
【0030】
基板検査データは基板の品種ごとに作成される検査データである。基板検査データはいわば、その基板に実装された部品ごとの検査データの集合体である。各部品の検査データは、その部品に必要な検査項目、各検査項目についての画像上の検査区域である検査ウインドウ、及び各検査項目について良否特定の基準となる検査基準を含む。検査ウインドウは各検査項目について1つまたは複数設定される。例えば部品のはんだ付けの良否を特定する検査項目においては通常、その部品のはんだ付け領域の数と同数の検査ウインドウがはんだ付け領域の配置に対応する配置で設定される。また、被検査体画像データに所定の画像処理をした画像データを使用する検査項目については、その画像処理の内容も検査データに含まれる。
【0031】
検査データ処理部33は、基板検査データ作成処理として、その基板に合わせて検査データの各項目を設定する。例えば検査データ処理部33は、その基板の部品レイアウトに適合するように各検査ウインドウの位置及び大きさを各検査項目について自動的に設定する。検査データ処理部33は、検査データのうち一部の項目についてユーザの入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、検査データ処理部33は、ユーザによる検査基準のチューニングを受け入れるようにしてもよい。検査基準は高さ情報を用いて設定されてもよい。
【0032】
検査制御部31は、基板検査データ作成の前処理として被検査体12の撮像処理を実行する。この被検査体12はすべての検査項目に合格しているものが用いられる。撮像処理は上記のように、照明部23により被検査体12を照明しつつ撮像ユニット20と検査テーブル14との相対移動を制御し、第1撮像部21及び第2撮像部22により、被検査体12の部分画像を順次撮像して部分画像データを取得することにより行われる。被検査体12の全体がカバーされるように複数の部分画像データが撮像される。検査制御部31は、これら複数の部分画像データを合成し、被検査体12の検査面全体を含む基板全面画像データを生成する。検査制御部31は、メモリ35に基板全面画像データを記憶する。
【0033】
また、検査制御部31は、高さマップ作成のための前処理として、投射部24により被検査体12にパターンを投射しつつ撮像ユニット20と検査テーブル14との相対移動を制御し、第1撮像部21により、被検査体12のパターン画像を分割して順次撮像してパターンが投射されたときの分割画像データを取得する。投射されるパターンは好ましくは、PMP法に基づきサインカーブに従って明るさが変化する縞パターンである。検査制御部31は、撮像により得られた分割画像データを合成し、被検査体12の検査面全体の画像データであるパターン画像データを生成する。検査制御部31は、メモリ35にパターン画像データを記憶する。なお、全体ではなく検査面の一部についてパターン画像データを生成するようにしてもよい。
【0034】
高さ測定部32は、パターン画像データの撮像パターンに基づいて被検査体12の検査面全体の高さマップを作成する。高さ測定部32はまず、パターン画像データと基準パターン画像データとの局所的な位相差を画像全体について求めることにより、被検査体12の検査面の位相差マップを求める。基準パターン画像データとは、投射部24により投射されたパターン画像(つまり投射部24に内蔵されているパターン形成装置が生成した画像データ)である。高さ測定部32は、高さ測定の基準となる基準面と位相差マップとに基づいて被検査体12の高さマップを作成する。基準面は例えば、検査される電子回路基板の基板表面である。基準面は必ずしも平面ではなくてもよく、基板の反り等の変形が反映された曲面であってもよい。基準面は、ユーザの入力等により予め指定されてもよいし、例えば後述の基板表面高さ測定方法により個々の基板ごとに求めてもよい。
【0035】
高さ測定部32は、具体的には、撮像パターン画像データの各画素と、当該画素に対応する基準パターン画像データの画素とで縞パターンの位相差を求める。高さ測定部32は、位相差を高さに換算する。高さへの換算は、当該画素近傍における局所的な縞幅を用いて行われる。撮像パターン画像データ上の縞幅が場所により異なるのを補間するためである。検査面上での位置により投射部24からの距離が異なるために、基準パターンの縞幅が一定であっても、検査面のパターン投影領域の一端から他端へと線形に縞幅が変化してしまうからである。高さ測定部32は、換算された高さと基準面とに基づいて基準面からの高さを求め、被検査体12の高さマップを作成する。
【0036】
検査制御部31は、被検査体12の高さマップが有する高さ情報を被検査体12の2次元画像の各画素に対応づけることにより、高さ分布を有する被検査体画像データを作成してもよい。また、検査制御部31は、高さ分布付き被検査体画像データに基づいて被検査体12の3次元モデリング表示を行うようにしてもよい。また、検査制御部31は、2次元の被検査体画像データに高さ分布を重ね合わせて出力部37に表示してもよい。例えば、被検査体画像データを高さ分布により色分け表示するようにしてもよい。なお、本実施形態に係る検査装置10において、投射部24及びこの投射部24による被検査体12の高さ測定処理は実装しなくてもよい。
【0037】
それでは、本実施形態に係る検査装置10において、第1撮像部21及び第2撮像部22により被検査体12の画像データを取得するときの、撮像ユニット20の照明部23による、被検査体12の照明方法について説明する。
【0038】
図2及び
図3に示すように、撮像ユニット20の照明部23は、上述した側方照明源(上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23c)と、第1撮像部21と被検査体12との間に配置されたドーム型形状の反射板230とを有している。この反射板230は、第1撮像部21側と被検査体12側にそれぞれ開口部233,236が形成されている。
【0039】
さらに詳細に説明すると、反射板230は、第1撮像部21側から順に、各々がドーム型形状の上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cの3つの部分に分割されて構成されており、互いに開口部234,235を接して接続されている。なお、以降の説明では反射板230を構成する上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cを分割部とも呼ぶこととする。
【0040】
上位反射板230aは、第1撮像部21側に開口部233が形成されており、また、被検査体12側の端部に内側に延びる環状の突出部231aが形成されており、この突出部231aの内周が開口部234となっている。上位反射板230aの内周面232aは、光を反射する反射面となっており、突出部231aの第1撮像部21側に上位光源23aが配置されている。そのため、上位光源23aから放射された光は上位反射板230aの内周面232aを照明し、さらにこの内周面232aで反射され、開口部234を通って被検査体12に照射される。
【0041】
中位反射板230bは、第1撮像部21側に開口部234が形成されており、また、被検査体12側の端部に内側に延びる環状の突出部231bが形成されており、この突出部231bの内周が開口部235となっている。中位反射板230bの内周面232bは、光を反射する反射面となっている。上位反射板230aの突出部231aの被検査体12側の面も中位反射板230bの内周面232bの一部であり、反射面となっている。そして、中位反射板230bの突出部231bの第1撮像部21側に中位光源23bが配置されている。そのため、中位光源23bから放射された光は中位反射板230bの内周面232bを照明し、さらにこの内周面232bで反射され、開口部235を通って被検査体12に照射される。
【0042】
下位反射板230cは、第1撮像部21側に開口部235が形成されており、また、被検査体12側の端部に内側に延びる環状の突出部231cが形成されており、この突出部231cの内周が開口部236となっている。下位反射板230cの内周面232cは、光を反射する反射面となっている。中位反射板230bの突出部231bの被検査体12側の面も下位反射板230cの内周面232cの一部であり、反射面となっている。そして、下位反射板230cの突出部231cの第1撮像部21側に下位光源23cが配置されている。そのため、下位光源23cから放射された光は下位反射板230cの内周面232cを照明し、さらにこの内周面232cで反射され、開口部236を通って被検査体12に照射される。
【0043】
なお、
図3は、照明部23における側方照明源23a~23cと反射板230との関係、及び照明部23と第1撮像部21、第2撮像部22及び投射部24との関係を説明するための図である。したがって、実際の製品では、例えば、上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cと、側方照明源23a~23cの各々が搭載された光源ユニットとを別体として用意し、これらを組み立てることで照明部23を製造してもよい。
【0044】
このように、本実施形態に係る検査装置10における撮像ユニット20の照明部23においては、上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cは、垂直方向に開口部234、235を接して接続されている。すなわち、上位反射板230aの被検査体12側の開口部と中位反射板230bの第1撮像部21側の開口部は開口部234であるため、その半径は同寸である。また、中位反射板230bの被検査体12側の開口部と下位反射板230cの第1撮像部21側の開口部は開口部235であるため、その半径は同寸である。
【0045】
上位反射板230aには、開口部233を囲むように、互いに間隔を隔てて環状に配列された貫通孔237が形成されている。そして、この上位反射板230aの外側には、検査用機器である投射部24が、その光軸が貫通孔237のそれぞれを通るように環状に配列されている。なお、ここでは、X方向及びY方向に、開口部233を挟んで対向するように配列された、すなわち、90°の間隔を隔てて配列された4個の貫通孔237が形成され、それぞれの貫通孔237に対して4個の投射部24が配列されている場合について示しているが、貫通孔237及び投射部24の組は4個に限定されることはなく、例えば、互いに120°の間隔を隔てて配列された3組の貫通孔237及び投射部24で構成してもよいし、5組以上の貫通孔237及び投射部24で構成してもよい。
【0046】
中位反射板230bには、上位反射板230aを囲むように、互いに間隔を隔てて環状に配列された貫通孔238が形成されている。そして、この中位反射板230bの外側には、検査用機器である第2撮像部22が、その光軸が貫通孔238を通るように環状に配列されている。なお、ここでは、X方向及びY方向に、上位反射板230aを挟んで対向するように配列された、すなわち、90°の間隔を隔てて配列された4個の貫通孔238が形成され、それぞれの貫通孔238に対して4個の第2撮像部22が配列されている場合について示しているが、貫通孔238及び第2撮像部22の組は4個に限定されることはなく、例えば、互いに120°の間隔を隔てて配列された3組の貫通個238及び第2撮像部22で構成してもよいし、5組以上の貫通孔238及び第2撮像部22で構成してもよい。
【0047】
なお、下位反射板230cに貫通孔を設けてもよく、その貫通孔を光軸が通るように検査用機器を配列してもよい。ここで、検査用機器としては、上述した傾斜撮像部である第2撮像部22や、投射部24に加えて、特定波長の照明光を被検査体12に照射する特定波長照射部を配置することができる。
【0048】
以上のように、反射板230に貫通孔237,238を設けて、これらの貫通孔237,238を光軸が通るように検査用機器を配置することにより、
図3に示すように、主撮像部である第1撮像部21の撮像軸に対して異なる角度で被検査体12にパターン縞や特定波長の照明光を照射し、あるいは、被検査体12を撮像することができる。また、検査用機器は、主撮像部である第1撮像部21の撮像軸と検査用機器の光軸とのなす角度が、配置されている反射板230が撮像対象物側に近いほど(上位反射板230a、中位反射板230b、下位反射板230cの順で)大きくなるように構成することができる。なお、検査用機器として、傾斜撮像部である第2撮像部22と投射部24とを反射板230に配置するときは、投射部24を第2撮像部22よりも主撮像部である第1撮像部21側に配置することが望ましい。投射部24の投射角度を主撮像部である第1撮像部21の光軸に近づけることで、被検査体12上の影になる部分を少なくすることができる。特に、チップ部品のように、隣接するピッチの距離が短いときに有効である。
【0049】
また、照明部23に設けられた光源(上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23c)は、制御ユニット30により、光源毎に、点灯タイミング及び発色光を制御可能であることが望ましい。
【0050】
また、照明部23に設けられた光源(上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23c)は、環状の光源(リング照明源)であるが、複数の部分に分割して構成することが可能であり(例えば、4分割)、この構成の場合、制御ユニット30により、部分毎に点灯及び消灯を制御可能である(分割点灯が可能である)ことが望ましい。この構成によると、光源(上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23c)の各々において、全ての部分を点灯することにより、被検査体12に対して0°~360°の全ての方位からの照明が可能となり、一部の部分を点灯する(残りの部分を消灯する)ことにより、特定の方位から被検査体12を照明することができる。この場合、上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cの全てを分割点灯可能に構成してもよいし、いずれか1つの光源またはいずれか2つの光源を分割点灯可能に構成してもよい。
【0051】
このように、本実施形態に係る検査装置10は、ドーム型形状の反射板230により光源23a~23cからの照明光を反射させて被検査体12に照射することにより、従来のように光源からの光を直接被検査体12に照射する構成に比べて、斜め方向に取り付けた検査用機器(第2撮像部22や投射部24)を撮像対象物である被検査体12に近づけることができるため、カメラの分解能や縞微細化による高さ再現性を向上させることができ、結果として検査精度を向上させることができる。
【0052】
また、ドーム型形状の反射板230を用いることにより、光源23a~23cからの照明光を拡散させる拡散板を用いる必要がないので、光量のロスを少なくすることができる。
【0053】
また、
図3において、二点鎖線は、第1撮像部21、第2撮像部22及び投射部24の光軸(撮像軸)を示している。また、破線は、上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cの各々から出射し、上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cの各々で反射して被検査体12に照射される照明光の光束を示している。
図3から明らかなように、上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cの内周面232a~232cは、突出部231a、231bの被検査体12側の面も反射面となっているため、上位反射板230aから被検査体12に照射される照明光の光束LFaと中位反射板230bから被検査体12に照射される照明光の光束LFbとは切れ目がほとんどなく、また、中位反射板230bから被検査体12に照射される照明光の光束LFbと下位反射板230cから被検査体12に照射される照明光の光束LFcとは切れ目がほとんどない。そのため、被検査体12上では照明光が照射されない領域(上述した「デッドスポット」)をなくすことができ、この状態で撮像された被検査体12の画像データによる計測精度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る検査装置10の照明部23は、上述したように光源23a~23cから出射した照明光を直接被検査体12に照射するのではなく、反射板230で反射させて被検査体12に照射している。光源23a~23cからの照明光を直接被検査体12に照射した状態でこの被検査体12を撮像すると、撮像された画像データの輝度にばらつきが大きくなるが、一旦反射板230で反射させて照射することにより、画像データにおける輝度のばらつきを抑えることができ、この画像データによる計測精度を向上させることができる。
【0055】
また、上述したように、第1撮像部21や、第2撮像部22、投射部24等の検査用機器は、反射板230に形成された開口部233、貫通孔237,238をその光軸が通るように配置されている。反射板230は、薄型の構造とすることができるので、このような開口部233、貫通孔237,238を小さくすることが可能であり、その結果として、反射板230の内周面における反射面を広くすることができ、被検査体12上で照明光が照射されない領域(デッドスポット)を小さくすることができる。
【0056】
なお、検査用機器の視野又は照野は、検査用機器から離れるほど広がるため、視野又は照野に沿って貫通孔237,238の内周面を、反射板230において、テーパー形状を有するように構成することが望ましい。例えば、
図4(a)に示すように、検査用機器22,24の光軸に沿って、貫通孔237,238の内周面が光軸と略並行となるようなテーパー形状にしてもよいし、
図4(b)に示すように、検査用機器22,24側から被検体12側に向かって広がるようなテーパー形状にしてもよい。貫通孔237,238をこのようなテーパー形状とすることにより、貫通孔237,238を小さくすることが可能であり、被検査体12上で照明光が照射されない領域(デッドスポット)を小さくすることができる。
【0057】
また、以上の説明では、照明部23の光源を上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cで構成し、それぞれの光源を反射板230の分割部である上位反射板230a、中位反射板230b及び下位反射板230cのそれぞれに配置した場合について説明したが、光源及び反射板の分割部は3組に限定されることがなく、2又は4以上の組で構成してもよい。
【0058】
最後に、照明部23を用いて撮像した画像データの処理方法について説明する。上述したように、本実施形態に係る検査装置10において、照明部23を構成する光源(上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23c)は、
図5(a)に示すように、第1撮像部21の光軸(撮像軸)Lに対して斜めであって、被検査体12の基準面(被検査体12の検査面であって、検査装置10の設置面に対して略平行な面)に対して、異なる投射角度になるように配置されている。具体的には、上位光源23a、中位光源23b及び下位光源23cの順序で、投射角度が水平方向に近づくように投射される。
【0059】
照明部23の各光源23a~23cの各々から出射し、反射板230の分割部230a~230cの各々で反射されて被検査体12に投射され、この被検査体12で反射した光のうち、被検査体12で反射して直接第1撮像部21に入射する光以外の強度は、測定対象物の状態によって変化するが、例えば、反射率が100%に近い構成の場合、理想的には0になる、すなわち、被検査体12の検査面の基準面に対する角度(傾斜状態)と、照明部23の各光源23a~23cから出射した光のうち、この検査面で反射した光が第1撮像部21に直接入射する光源による反射光の強度は大きくなり、それ以外の光源による反射光の強度は0になる。例えば、被検査体12の検査面に、
図5(b)に示す断面のはんだが形成されていた場合、そのはんだの表面の基準面に対する角度に応じて、第1撮像部21の撮像素子により検出される、照明部23の各光源23a~23cによる照明光の反射光の強度が変化する。
【0060】
したがって、
図5(a)の場合、第1撮像部21で検出される光の強度は、基準面に近い傾斜の面は、上位光源23aからの光が強くなり、傾斜面の基準面からの傾きが大きくなるに従って、中位光源23b、下位光源23cの順で検出される光の強度が変化する。そのため、第1撮像部21で撮像された画像データにおいて、どの光源からの光の強度が強いかを判断することにより、被検査体12上においてその光が反射した場所の傾斜面の角度を推定することができる。
【0061】
以上のような照明部23(光源23a~23cと反射板230の分割部230a~230c)による照明により第1撮像部21で撮像された画像データから推定される被検査体12の傾斜面の角度(例えば、はんだ面の角度)は、照明の中心角度と照明範囲とにより決定することができる。但し、第1撮像部21の視野(FOV)内の位置による照明角度の変化や第1撮像部21の設定値等も考慮する必要がある。
【0062】
なお、照明部23の各光源23a~23cと、被検査体12の傾斜面の角度との関係は一例であり、この構成に限定されることはない。例えば、光源を4以上とする(光源と反射板の分割部の組を4以上とする)と、光源毎の照明範囲が狭くなり、光源が増えるほど、撮像された画像データから被検査体12の傾斜面の角度(例えば、はんだ面の角度)を推定するときの分解能が大きくなる。また、被検査体12が金属球のような反射率が高い検査対象の場合、0°~90°の範囲で測定することができない。
【0063】
以上より、照明部23の各光源23a~23cの各々を点灯して第1撮像部21で撮像して得られた画像データの各々の画素の強度は、上述した傾斜面の角度と一致しているときに大きくなり、一致していないときは0に近い値になる。また、第1撮像部21の光軸と異なる角度でその光軸が配置された第2撮像部22で撮像された画像データも同様であり、第1撮像部21で撮像された画像データから推定できる傾斜面の角度の範囲とは異なる角度の範囲を推定することができる。そのため、本実施形態に係る検査装置10では、照明部23の各光源23a~23cのそれぞれからの光を反射板230(分割部230a~230c)で反射させて被検査体12に対して投射して第1撮像部21及び第2撮像部22で撮像して得られた画像データから、画素毎に、その強度に基づいて被検査体12の傾斜面の角度(例えば、はんだの角度)を推定するように構成されている。
【0064】
また、光源23a~23cは、順次点灯して第1撮像部21及び第2撮像部22で被検査体12の画像を撮像してもよいし、第1撮像部21及び第2撮像部22を、カラー画像データを取得できるカメラで構成して、光源23a~23cを異なる色で同時に点灯して、被検査体12の画像を一度で撮像してもよい。この場合、1枚のカラー画像データから、R(赤色)成分の画像データ、G(緑色)成分の画像データ及びB(青色)成分の画像データを取得することより、それぞれの光源23a~23cに対応する画像データを取得することができる。
【0065】
また、このような第1撮像部21及び第2撮像部22で撮像された画像データにより被検査体12の傾斜面の角度を推定する検査対象は、上述したはんだ面に限定されることはなく、ICリード先端の形状やチップ電極の形状にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 検査装置
12 被検査体(撮像対象物)
20 撮像ユニット(撮像部)
21 第1撮像部(主撮像部)
22 第2撮像部(検査用機器、傾斜撮像部)
23 照明部
23a~23c 光源
24 投射部(検査用機器)
30 制御ユニット
230 反射板
230a~230c 分割部
233,234,235,236 開口部
237,238 貫通孔