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特開2024-30219地中梁スリーブ用の管材接続具及び接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030219
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】地中梁スリーブ用の管材接続具及び接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/12 20060101AFI20240229BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240229BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16L41/12
F16L5/00 E
H02G9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132918
(22)【出願日】2022-08-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】593170241
【氏名又は名称】株式会社立基
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】石井 清孝
【テーマコード(参考)】
3H019
5G369
【Fターム(参考)】
3H019DA03
3H019DA09
5G369BA04
5G369DC04
5G369DC08
5G369EA01
(57)【要約】
【課題】異種間継手を使用することなく、地中梁の貫通孔に、波形管材を適切に接続固定することが可能な管材接続具等を実現する。
【解決手段】ロック体11とマウス体21とを備えた管材接続具10である。ロック体11は、波付管材5の外周面側と螺合する外筒部12と、外筒部12の先端側に形成された外フランジ部13と、波付管材5の外周面側の螺旋凹凸と螺合する第1係合部14と、外フランジ部13に取り付けられた第1パッキン部15とを備える。マウス体21は、波付管材5の内周面側と螺合する内筒部22と、内筒部22の先端側に形成された内フランジ部23と、波付管材の内周面側の螺旋凹凸と螺合する第2係合部24と、内フランジ部23に取り付けられた第2パッキン部25とを備える。管材接続具10では、第1パッキン部15の厚みと、第2パッキン部25の厚みは、いずれも25mm以上としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中梁に形成された貫通孔に、内周面および外周面に凹凸が螺旋状に形成された波付管材を、ロック体とマウス体とを用いて前記貫通孔の周囲の地中梁を挟み込むことにより接続固定する管材接続具であって、
前記ロック体は、前記波付管材の外周面側と螺合する外筒部と、前記外筒部の先端側に形成された外フランジ部と、前記外筒部の内側に形成され、前記波付管材の外周面側の螺旋凹凸と螺合する第1係合部と、前記外フランジ部に取り付けられた第1パッキン部とを備えており、
前記マウス体は、前記波付管材の内周面側と螺合する内筒部と、前記内筒部の先端側に形成された内フランジ部と、前記内筒部の外側に形成され、前記波付管材の内周面側の螺旋凹凸と螺合する第2係合部と、前記内フランジ部に取り付けられた第2パッキン部とを備えており、
前記第1パッキン部の厚みと、前記第2パッキン部の厚みは、いずれも25mm以上である、管材接続具。
【請求項2】
前記ロック体の外フランジ部と、前記マウス体の内フランジ部は、
前記波付管材の外径をX(mm)、地中梁工事において前記貫通孔を形成する際に用いられるパイプ材の外径をY(mm)とするとき、前記外フランジ部の半径Z(mm)と、前記内フランジ部の半径Z(mm)とが、いずれも下記式(1)を満たしている、請求項1に記載の管材接続具。
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
【請求項3】
前記マウス体の内フランジ部は、前記第2パッキン部が取り付けられる面とは反対側の面に、増し締め用の治具と係合させることが可能な係合部を備えている、請求項1又は2に記載の管材接続具。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の管材接続具と、前記波付管材の外周面に巻き付けて係止させることが可能な巻付係止材と、コーキング材とを用いて、地中梁に形成された貫通孔に、前記波付管材を接続固定した管材接続構造であって、
前記巻付係止材は、前記貫通孔の内部の所要の位置において、前記波付管材の外周面に巻き付けられた状態で取り付けられており、
前記コーキング材は、前記巻付係止材と前記マウス体との間の空間を埋めるように充填されている、管材接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中梁に形成された貫通孔に波形管材を接続して固定する管材接続具と、この接続具を用いた管材接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中梁は、建物を支えるために独立基礎の間をつないで地中に作られる鉄筋コンクリート製の梁である。建設現場では、建物の基礎と基礎の間に鉄筋を入れてコンクリートで固める地中梁工事が行われている。
【0003】
地中梁工事では、柱の基礎同士の間に薄くコンクリートを敷き、地中梁の位置を記入した後、柱と柱の間を鉄筋でつなぎ、コンクリートを流し込むための木枠をボルトで固定して設置する。ここで、地中梁工事では、通信ケーブル、給電ケーブル等の各種ケーブルを挿通するための貫通孔(以下、スリーブともいう。)を、地中梁の長手方向と交差する方向に硬質ポリ塩化ビニル管(以下、塩ビパイプという。)やガス管などのパイプ材を仕込んでおくことで、コンクリートを流し込む前に確保しておく。そして、木枠やパイプ材の設置が完了すると、木枠の間にコンクリートを流し込み、コンクリートが固まった後に木枠を外して、図12に示すような、所要の位置に貫通孔2が形成された地中梁1が完成する。なお、3は地中梁工事で使用した鉄筋を示している。
【0004】
従来、地中梁1において、貫通孔2が設けられた部分に管材を接続して固定するときには、図13に示すような、防水鋳鉄管100が使用されている(例えば、非特許文献1を参照)。貫通孔2の内周面と防水鋳鉄管100の外周面との間は、シール材101と共にヤーン(麻紐)が併用して取り付けられている。また、内部に各種ケーブルを挿通して地中に埋めることが可能な管材としては、波付硬質合成樹脂管(以下、波付管材、又は、FEP管(Flexible Electric Pipe)ともいう。)が使用される場合がある。防水鋳鉄管100と波付管材5の接続には、異種間継手102が使用されている。
【0005】
一方で、従来、例えば地中に埋められるハンドホールにおいては、ハンドホールの貫通孔の周囲の壁に波付管材を接続して固定する管材接続具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の波付管材は、独立リング型のFEP管であり、それぞれが独立した複数のリング状の凸部が、内周面および外周面に規則的に形成されている。特許文献1では、管材接続具の一端部に形成されたフランジ部によって貫通孔の周囲の壁が挟み込まれる。そして、管材接続具の他端部に装着された接続体の受け口にFEP管が押し込まれる。このとき、接続体に設けられた係止爪がFEP管の外周面の凹凸に係止されて、接続体にFEP管が取り付けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「防水鋳鉄管(アジャスト型) 建物の配管貫通部に使用する防水鋳鉄管で、型枠内に埋め込み可能」,[online],株式会社土井製作所,[令和4年8月1日検索],インターネット<https://www.doi-web.com/product/p496/>
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-5335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、地中梁1において使用されている防水鋳鉄管100は、異種間継手102を使用して波付管材5との接続を行う構成であるため、異種間継手102による接続部分から漏水するリスクがある。加えて、貫通孔2と波付管材5の隙間部分の止水処理には熟練技術が必要とされ、人手による非常にアナログな施工方法が用いられていた。
【0009】
この点に関し、従来、ハンドホールにおいて利用されている管材接続具は、FEP管をそのままハンドホールの貫通孔に挿入することができ、異種間継手102を使用しないので、漏水のリスクを減らせる点で有利である。ところが、ハンドホールに使用されている従来の管材接続具を、地中梁に適用しようとすると、以下に説明するような課題に直面した。
【0010】
ハンドホールは、壁材の表面は工場で加工されているため、凹凸のない平滑な面が形成されている。これに対し、地中梁は、上述のとおり、建設現場において作業員が木枠の間にコンクリートを流し込むことで地中梁を形成しているため、梁の表面が平坦ではなく、凹凸が認められる場合がある。また、ラス型枠を用いた場合についても、ラス網の表面は凹凸がある網目状であるためコンクリートの打継ぎ面は粗い状態となる。そのため、地中梁の場合、梁の表面と管材接続具の間の密着性や防水性を確保することが難しい。
【0011】
また、ハンドホールでは、コアドリルを使用して、壁材に貫通孔を設けている。この場合、コアドリルに取り付けるコアビットのサイズを適宜選択できるので、貫通孔の内径はFEP管の外径にできるだけ近い最適なサイズとなる。これに対し、地中梁の場合は、上述のとおり、建設現場において作業員が木枠の間にコンクリートを流し込む前に塩ビパイプ等のパイプ材を仕込んでおくことでスリーブを設けている。地中梁の場合、建設現場で使用するパイプ材は種類が少ないために、スリーブの径がFEP管の径に対してアンバランスとなり、必要以上に大きな径となる傾向がある。そのため、地中梁の場合、管材接続具のフランジ部の径のサイズを最適化する基準が求められる。
【0012】
また、地中梁の場合、工事の工程上、先に外側を埋め戻すことも稀にある。そのため、地中梁の場合、管材接続具には、FEP管の外周面と螺合する部材側からの締め付けを行うだけではなく、FEP管の内周面と螺合する部材側からの増し締めを可能とする構成が求められる。
【0013】
また、ハンドホールでは、壁材が薄く貫通孔の長さは短いため、管材接続具を取り付け後、漏水した場合は、貫通孔の内部空間の全域にコーキング材をフル充填してコーキング材で埋め尽くすことが可能である。これに対し、地中梁では、ハンドホールよりも止水性を求められるケースが多く、要求に応じてコーキング材を注入するが、梁の幅が厚くスリーブの長さは長いため、スリーブの内部空間をコーキング材ですべて埋めることは経済的でない上、作業時間も長くかかる。そのため、地中梁の場合、コーキング材を効率的に短時間で埋め込むことができる管材接続構造が求められる。
【0014】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、地中梁において異種間継手を使用せず、止水処理に熟練技術を必要とせず、施工を短時間で行うことができて、上述した課題を解決することが可能な管材接続具および管材接続構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の管材接続具は、
地中梁に形成された貫通孔に、内周面および外周面に凹凸が螺旋状に形成された波付管材を、ロック体とマウス体とを用いて貫通孔の周囲の地中梁を挟み込むことにより接続固定するものである。
【0016】
本発明では、ロック体は、波付管材の外周面側と螺合する外筒部と、外筒部の先端側に形成された外フランジ部と、外筒部の内側に形成され、波付管材の外周面側の螺旋凹凸と螺合する第1係合部と、外フランジ部に取り付けられた第1パッキン部とを備えており、マウス体は、波付管材の内周面側と螺合する内筒部と、内筒部の先端側に形成された内フランジ部と、内筒部の外側に形成され、波付管材の内周面側の螺旋凹凸と螺合する第2係合部と、内フランジ部に取り付けられた第2パッキン部とを備えており、第1パッキン部の厚みと、第2パッキン部の厚みは、いずれも25mm以上としている。
【0017】
本発明では、ロック体の外フランジ部と、マウス体の内フランジ部は、
波付管材の外径をX(mm)、地中梁工事において貫通孔を形成する際に用いられるパイプ材の外径をY(mm)とするとき、外フランジ部の半径Z(mm)と、内フランジ部の半径Z(mm)とが、いずれも下記式(1)を満たしている構成を採用してもよい。
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
【0018】
本発明では、マウス体の内フランジ部は、第2パッキン部が取り付けられる面とは反対側の面に、増し締め用の治具と係合させることが可能な係合部を備えている構成を採用してもよい。
【0019】
本発明の管材接続構造は、
上述した何れかの構成の管材接続具と、波付管材の外周面に巻き付けて係止させることが可能な巻付係止材と、コーキング材とを用いて、地中梁に形成された貫通孔に、波付管材を接続固定した構成を採用してもよい。
【0020】
本発明では、巻付係止材は、貫通孔の内部の所要の位置において、波付管材の外周面に巻き付けられた状態で取り付けられており、コーキング材は、巻付係止材とマウス体との間の空間を埋めるように充填されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、ロック体は、波付管材の外周面側と螺合する外筒部と、外筒部の先端側に形成された外フランジ部と、外筒部の内側に形成され、波付管材の外周面側の螺旋凹凸と螺合する第1係合部と、外フランジ部の面のうち貫通孔の周囲の壁を挟み込む側の面に取り付けられた第1パッキン部とを備えている。一方、マウス体は、波付管材の内周面側と螺合する内筒部と、内筒部の先端側に形成された内フランジ部と、内筒部の外側に形成され、波付管材の内周面側の螺旋凹凸と螺合する第2係合部と、内フランジ部の面のうち貫通孔の周囲の壁を挟み込む側の面に取り付けられた第2パッキン部とを備えている。そして、第1パッキン部の厚みと、第2パッキン部の厚みは、いずれも25mm以上としている。
【0022】
従来、ハンドホールで使用されている管材接続具は、パッキンの厚みは15mm以下のものであった。本発明は、第1パッキン部の厚みと、第2パッキン部の厚みを、いずれも25mm以上としたので、第1パッキン部及び第2パッキン部のクッション性及び可撓性が高まる。そのため、地中梁の表面に凹凸が認められる場合であっても、凹凸に沿うように、隙間が生じないように第1パッキン部及び第2パッキン部が変形するので、梁の表面と管材接続具の間の密着性、防水性、水密性を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の管材接続具について、図1(a)はマウス体を正面方向から見た図、図1(b)はマウス体を側方から見た図、図1(c)はロック体を側方から見た図である。
図2】実施形態のロック体の外筒部及び外フランジ部について、図2(a)は側方から見た図、図2(b)は正面方向から見た図、図2(c)は先端側斜め上方から見た斜視図、図2(d)は縦断面図である。
図3】実施形態のマウス体の内筒部及び内フランジ部について、図3(a)は側方から見た図、図3(b)は正面方向から見た図、図3(c)は先端側斜め上方から見た斜視図、図3(d)は縦断面図である。
図4図4は、波付管材の外周面にロック体を螺合して取り付け後、地中梁の貫通孔に波付管材の先端部を挿入し、波形管材の内周面にマウス体を螺合して取り付けた状態を側方から見た図である。
図5図5は、マウス体の止水部の効果を説明する図である。
図6図6は、図4の状態からロック体の外筒部の締め付けを完了した状態における縦断面図である。
図7図7は、本実施形態の管材接続具において採用した外フランジ部及び内フランジ部のサイズを決める方法について説明する図である。
図8図8(a)~図8(d)は、実施形態の第1変形例に係る管材接続構造について、波形管材の周囲に巻付係止材を巻き付け、貫通孔の内部に取り付ける手順を説明する図である。
図9】実施形態の第1変形例に係る管材接続構造について、図9(a)はマウス体側からコーキング材を注入する様子を示す図、図9(b)は巻付係止材とマウス体の間にコーキング材が充填された状態を側方から見た図である。
図10】実施形態の管材接続構造について、図10(a)はロック体の締め付けを開始する前で、圧潰パッキン部が潰れていない状態を側方から見た図、図10(b)はロック体の締め付けを完了し、圧潰パッキン部が潰れて視認できなくなった状態を側方から見た図である。
図11図11は、その他の変形例に係る管材接続構造を斜め上方から見た斜視図である。
図12図12は、スリーブが形成された地中梁を、斜め上方から見た斜視図である。
図13図13は、防水鋳鉄管と異種間継手を使用した従来の管材接続構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0025】
[概要]
本実施形態の管材接続具10は、地中梁1に形成された貫通孔2に、内周面および外周面に凹凸が螺旋状に形成された波形管材5を、ロック体11とマウス体21とを使用して接続固定するものである。本実施形態では、波形管材5にはFEP管を用いている。貫通孔2は、一般にスリーブと呼ばれている。ロック体11は、筒状の外筒部12を備え、外筒部12が波形管材5の外周に螺合される。地中梁工事の現場で作業者がロック体11を回転すると、ロック体11は波形管材5の軸方向に移動する。マウス体21は、筒状の内筒部22を備え、内筒部22を波形管材5の管内に先端側から挿入する。これにより、マウス体21は、波形管材5の内周に螺合され、波形管材5の管内からの抜け出しが規制される。マウス体21を波形管材5の先端に取り付けた後、ロック体11をマウス体21の方向に締め付けると、ロック体11の外フランジ部13とマウス体21の内フランジ部23とによって貫通孔2の周囲の壁が挟み込まれた状態となり、波形管材5が貫通孔2に接続固定される。以下、図1図6図10を参照して、地中梁1及び波形管材5について説明すると共に、管材接続具10を構成するロック体11、マウス体21の構成について説明する。
【0026】
[地中梁について]
地中梁1は、地中梁工事によって形成された鉄筋コンクリート製の梁である。図4において、紙面左側が建物の中、紙面右側が屋外となる。地中梁1の外側の波付管材5は、土が盛られて地中に埋められた状態となる。地中梁1の幅は例えば50cm乃至2mであるが、建物によっては2mを超える場合もある。地中梁1には、直線状の貫通孔2が設けられている。貫通孔2は、地中梁工事において木枠の間にコンクリートを流し込む前に、塩ビパイプ等のパイプ材を仕込んでおくことにより形成されたものである。
【0027】
[波形管材について]
本実施形態では、波付管材5としては、適度に撓むことが可能なFEP管を使用している。波付管材5の外径は、貫通孔2の内径より小さい。波付管材5の外周面および内周面の各々には、規則的な螺旋状の凹凸が形成されている。具体的に、図4及び図6に示すように、波付管材5の外周面には外周螺旋凹凸6aが、波付管材5の内周面には内周螺旋凹凸6bが、それぞれ螺旋状に形成されている。
【0028】
波付管材5の材質は、適度な可撓性を有する軟質または硬質の樹脂であり、例えばポリエチレン、ポリカーボネート、ABS、ポリプロピレン等の種々の材質を採用できる。波付管材5の内部には、種々のケーブル類が挿通される。例えば、光信号又は電気信号が流れる通信ケーブルや、電力が送電される給電用ケーブルなどである。
【0029】
[ロック体の構成]
ロック体11は、図1(c)に示すように、外筒部12、外フランジ部13、第1パッキン部15、圧潰パッキン部16、フィン部17を備える。外筒部12、外フランジ部13、フィン部17は、例えば樹脂等の硬質の材質によって形成され、具体的には、例えば硬質のポリエチレン、ポリカーボネート、ABS、ポリプロピレン等、ほとんど撓まない硬質の材料によって形成されている。外筒部12は、図2(b)に示すように、中央部に開孔12aを備えている。外筒部12は、波形管材5の外径よりも僅かに内径が大きい円筒状の部材である。
【0030】
本出願人は、大・中・小の3タイプのロック体を製作した。具体的には、FEP100用、80用、50用の3タイプである。図1(c)において、符号aで示す外フランジ部13の外径は、例えば170mm、190mm、230mm、符号bで示す外筒部12の内径は、例えば69mm、106mm、133.5mm、符号cで示す外フランジ部13の厚みは、例えば4mm、5mm、5mm、符号dで示す外筒部12の長さは、例えば100mm、100mm、110mmである。また、符号eで示す第1パッキン部15の厚みは、例えば25mm、25mm、30mmである。
【0031】
外フランジ部13は、外筒部12の先端部(図2(d)の左端)の全周から外側に向けて円板状に延出した部材である。外フランジ部13の先端面には、接着剤などによって環状の第1パッキン部15が接合されている。
【0032】
第1パッキン部15は、クッション性及び可撓性を有する部材で、例えばウレタン製などで、内部の気泡が独立気泡である。本実施形態では、下記物性のウレタンフォームを使用している。第1パッキン部15は、水の浸透を防止する機能を備えている。具体的に、第1パッキン部15は、外フランジ部13、圧潰パッキン部16と共に、貫通孔2の周囲の地中梁1の表面を密封し、地中梁1との間の水の浸透を防止する。
〈第1パッキン部15の物性〉
密 度 85±15 kg/m3
圧縮硬さ(25%) 19.6±10 N
圧縮硬さ(50%) 39.2±10 N
引張強度 196以下 kPa
伸 び 250以下 %
引裂強度 7.8以下 N/cm
圧縮残留歪(50%圧縮) 5以上
たわみ率 80 %
通気性 2.0 cc/cm2/sec
【0033】
圧潰パッキン部16は、圧力を加えると容易に潰れる部材である。圧潰パッキン部16の厚みは5mmであるが、ロック体11を締め付けて外フランジ部13と地中梁1の貫通孔2の周囲の壁との間に挟まれて押し潰されたときには、その厚みは例えば1~2mm以下となる。本実施形態では、下記物性の軟質ウレタンフォームを使用している。第1パッキン部15と圧潰パッキン部16の物性は異なる。圧潰パッキン部16の気泡は互いに繋がっている連続気泡である。また、本実施形態の圧潰パッキン部16は、作業現場で視認しやすい色彩を有している。視認しやすい色彩とは例えば黄色であるが、赤色、青色、緑色など、どのような色彩でもよい。
〈圧潰パッキン部16の物性〉
密 度 31±5 kg/m3
セル数 35±10 個/25mm
引張強度 98以上 kPa (1.0以上 kg/cm2
伸 び 100以上 %
引裂強度 4.90以上 N/cm (0.5以上 kg/cm)
【0034】
外筒部12を波付管材5の外周に螺合させるために、外筒部12の内面には第1係合部14が設けられている(図6を参照)。図2(b)に示すように、本実施形態では、外筒部12の内周面において互いに対向する位置に、一対の第1係合部14が中心に向けて突出している。そのため、波付管材5に対するロック体11の螺合が安定して行われる。
【0035】
ロック体11の周囲には、長手方向に延びるフィン部17が一定の間隔を空けて複数形成されている。それぞれのフィン部17の先端は、外フランジ部12に繋がっている。これにより、フィン部17は、ロック体11の強度を高めている。また、フィン部17は、作業者がロック体11を回転させる際に、滑り止めとしても機能も発揮する。
【0036】
[マウス体の構成]
マウス体21は、図1(b)に示すように、内筒部22、内フランジ部23、第2パッキン部24を備える。内筒部22、内フランジ部23は、例えば樹脂などの硬質または僅かに可撓性を有する材質によって形成され、具体的には、例えばポリエチレン、ポリカーボネート、ABS、ポリプロピレンなどの硬質または僅かに可撓性を有する材料によって形成されている。内筒部22は、図3(b)に示すように、中央部に開孔22aを備えている。内筒部22は、波形管材5の内径よりも僅かに外径が小さい円筒状の部材である。内筒部22は、図4に示すように、波付管材5の管内に先端側から挿入され、波形管材5の先端部の内周面に螺合される。
【0037】
本出願人は、大・中・小の3タイプのマウス体を製作した。図1(a)及び図1(b)において、符号Aで示す内フランジ部23の外径は、例えば170mm、190mm、230mm、符号Bで示す内筒部22の内径は、例えば41mm、70mm、89mm、符号Cで示す内フランジ部23の厚みは、例えば4mm、4mm、4.5mm、符号Dで示す内筒部22の長さは、例えば70mm、95mm、114mmである。また、符号Eで示す第2パッキン部24の厚みは、例えば25mm、25mm、30mmである。
【0038】
内フランジ部23は、内筒部22の先端部(図3(d)の左端)の全周から外側に向けて円板状に延出した部材である。内フランジ部23の先端面と反対側の面には、接着剤などによって環状の第2パッキン部25が接合されている。
【0039】
第2パッキン部25は、クッション性及び可撓性を有する部材で、例えばウレタン製などで、内部の気泡が独立気泡である。本実施形態では、上記した第1パッキン部15と同じ物性のウレタンフォームを使用している。第2パッキン部25は、水の浸透を防止する機能を備えている。具体的に、第2パッキン部25は、内フランジ部23と共に、貫通孔2の周囲の地中梁1の表面を密封し、地中梁1との間の水の浸透を防止する。
【0040】
内筒部22を波付管材5の内周面に螺合させるために、内筒部22の外周面には第2係合部24が設けられている(図6を参照)。図3(a)に示すように、本実施形態では、内筒部22の内周面に連続した螺旋状の第2係合部24が突設されている。マウス体21は、波付管材5の先端側(ロック体11の締め付け方向と反対側)から入れられ、波付管材5の内側に螺合していく。
【0041】
第2パッキン部25と内フランジ部23との間には、可撓性を有する止水材29が充填されている。第2パッキン部25の形状は環状であり、より具体的には円環状である。第2パッキン部25は、可撓性を有し、内フランジ部23と地中梁1の間の水の浸透を防止する。止水材29は、第2パッキン部25の内側に充填されている。止水材29は、可塑性を有しており変形しやすいので、第2パッキン部25の内側に容易に充填される。
【0042】
止水材29は粘着性を有しており、凹凸に沿うように充填されるので、隙間を生じさせない。図5に示すように、地中に雨水などの水が浸透してきて、波付管材5、ロック体11の外側から水が浸入しようとしても、止水材29は、水wと接触しても硬化も軟化もせず、粘性・流動性が変化しない。従って、長期間にわったって、防水性・止水性が低下せず、波形管材5内のケーブル類を水から守り故障を防ぐことができる。
【0043】
[本実施形態の管材接続構造]
図4図6図10を参照しながら、本実施形態の管材接続具10を用いた管材接続構造について説明する。マウス体21は、内筒体22の外周面に形成された第2係合部24が、波付管材5の内周螺旋凹凸6bと螺合しながら回転していくことができる。マウス体21は、図4に示すように、左方から波付管材5の先端部の内側に挿入される。波付管材5の内周面にマウス体21が螺合されることで、マウス体21の内フランジ部23の内側に設けた第2パッキン部25が、貫通孔2の周囲の地中梁1に押し付けられて、当接した状態となる。
【0044】
ロック体11は、外筒部12の内周面に形成された第1係合部14が、波付管材5の外周螺旋凹凸6aと螺合しながら回転していくことができる。波付管材5の外周面にロック体11が螺合されることで、貫通孔5の周囲の壁面に対し、ロック体11が押し付けられる。マウス体21を取り付けた状態で、ロック体11を更に締め付けると、マウス体21とロック体11の距離が更に縮まり、ロック体11の外フランジ部12に接合された第1パッキン部15及び圧潰パッキン部16と、マウス体21の内フランジ部23に接合された第2パッキン部25とで、貫通孔2の周囲の地中梁1が挟まれた状態となる。
【0045】
ここで、作業現場では、ロック体11側からどの程度まで締め付けを行えば締付完了と判断してよいのかが分かりにくいという課題がある。この課題に対応するため、本実施形態の管材接続具10では、図10(a)に示すように、第1パッキン部15と地中梁1との間に、黄色の色彩を施した厚みが5mmの圧潰パッキン部16を接着して取り付けるようにした。
【0046】
圧潰パッキン部16は、ロック体11の螺合を進めて適切な締め付けを行ったときに、圧潰パッキン部16の厚みが1~2mm以下にまで圧縮されるように、その材質や厚みを決めている。また、圧潰パッキン部16の厚みは1~2mm以下にまで圧縮されることに加え、圧潰パッキン部16の周縁部が、締め付け圧によって外径が僅かに拡大した第1パッキング部15の周縁部によって覆われた状態となる。そのため、作業者からは、締め付けを完了する前には存在していた圧潰パッキン部16の側面の黄色のラインが、徐々に幅が細くなって、最終的には黄色のラインが消失したように見える。
【0047】
これにより、作業者は、圧潰パッキン部16の黄色のラインが消失したことをロック体11の締付完了の目印とすることができるので、ロック体11の締め付けを適切に行えるようになる。図10(b)は、圧潰パッキン部16の黄色のラインが見えなくなった状態を示しており、ロック体11の締め付けの程度が良好であることを示している。なお、ロック体11の第1パッキン部15及びマウス体21の第2パッキン部25の厚みは、締め込みを完了したときには5mm程度にまで圧縮される。そして、この状態では、第1パッキン部15及び圧潰パッキン部16が貫通孔2の周囲の地中梁1に強く密着されて、止水性・防水性がより強固にされる。
【0048】
一方、マウス体21側では、第2パッキン部25が、貫通孔2の周囲の地中梁1の表面を密封し、地中梁1との間の水の浸透を防止すると共に、止水材29が環状の第2パッキン部25の中心部分に充填されているので、止水性・防水性がより強固にされる。
【0049】
[本実施形態の特徴的な構成と効果]
従来、ハンドホールで使用されている管材接続具は、パッキンの厚みは15mm以下のものであった。これに対し、本実施形態の管材接続具10では、上述のとおり、第1パッキン部15の厚みと、第2パッキン部25の厚みを、いずれも25mm以上とした。これにより、本実施形態では、第1パッキン部15及び第2パッキン部25のクッション性及び可撓性が十分に高いものとなる。そのため、地中梁の表面に凹凸が認められる場合であっても、凹凸に沿うように、隙間ができないように第1パッキン部15及び第2パッキン部25が変形し、地中梁1の表面と管材接続具10との間の密着性、防水性、水密性を確保できる。
【0050】
地中梁1では、建設現場で地中梁工事を行う際に、作業員が仕込む塩ビパイプ等のパイプ材の径によって、地中梁1に形成される貫通孔2の径が決められている。本出願人の調査によれば、作業現場で地中梁工事において頻繁に使用されるパイプ材(小・中・大)としては、例えば、図7に示すような3種類のものがあった。具体的に、塩ビパイプでは、外径が100mm、125mmの2種類のものが使用されており、ガス管では156mmのものが使用されていた。これにより、地中梁1の貫通孔2の内径は、100mm、125mm、156mmが一般的であった。また、波付管材5の外径は、66mm、103mm、130mmが一般的であった。
【0051】
本出願人は、検討を重ね、外フランジ部13及び内フランジ部23の径は、貫通孔2の中で波付管材5が最大振れた場合でも、貫通孔2の全体を塞ぐことが可能な最小の径に対して25%の余裕を持たせた径とすることが好ましいと判断した。なお、貫通孔2の中で波付管材5が最大振れた場合とは、言い換えれば、貫通孔2の中心に対する波付管材5の中心の偏りが最大になった場合である(図7の上段(a)を参照)。
【0052】
つまり、ロック体11の外フランジ部13と、マウス体21の内フランジ部23は、波付管材5の外径をX(mm)、地中梁工事において貫通孔2を形成する際に用いられるパイプ材の外径をY(mm)とするとき、外フランジ部13の半径Z(mm)と、内フランジ部23の半径Z(mm)は、いずれも下記式(1)を満たすようにすることが好ましい。
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
≧ 1.25×(X/2+(Y-X))・・・(1)
【0053】
図7の例で言えば、X/2の値は、33mm、51.5mm、65mmとなり、Y-Xの値は、34mm、22mm、26mmとなる。よって、X/2+(Y-X)の値は、67mm、73.5mm、91mmとなる。これらの値を1.25倍した値は、83.75mm、91.875mm、113.75mmとなるから、例えば、外フランジ部13の半径Z及び内フランジ部23の半径Zは、85mm、95mm、115mmとすればよい。直径に換算すると、170mm、190mm、230mmとなり、小・中・大の3タイプの外フランジ部13及び内フランジ部23の径を決定した。
【0054】
外フランジ部13及び内フランジ部23の径は小さすぎると、貫通孔2の全体を塞ぐことができずに止水性を確保できない可能性が増大する。一方で、外フランジ部13及び内フランジ部23の径が大きすぎると、地中梁1と外フランジ部13及び内フランジ部23の間に隙間が生じる可能性が高くなる。本実施形態の管材接続具10では、上記式(1)により最適なサイズが決定されるので、止水性が適切に確保され、隙間が生じるおそれもない。
【0055】
管材接続具10は、基本的には、波付管材5の外周面に取り付けたロック体11側を締め付けることにより、ロック体11とマウス体21との間の距離が短くなって、貫通孔2の周囲の地中梁1が挟まれることで、波付管材5の接続固定が完了する。しかし、地中梁1の作業現場では、ロック体11の締め付けが完了した後でも、マウス体21の側から増し締めを行いたいという要望がある。
【0056】
そこで、本実施形態の管材接続具10では、マウス体21側からの増し締めを可能とするために、図1(a)および図3(b)に示すように、マウス体21の内フランジ部23は、第2パッキン部25が取り付けられる面とは反対側の面に、増し締め用の治具と係合させることが可能な係合部26を備えている。
【0057】
係合部26は、図3(c)に示すように、内フランジ部23の直径上の両端に切り欠き部を設けることによって構成することができる。係合部26の2つの切り欠き部に、作業者がそれぞれドライバーの先端を係合させ、各ドライバーを時計方向に回転することで、マウス体21側からの増し締めが行える。なお、ドライバーは増し締め用治具に相当するものである。
【0058】
また、切り欠き部によって形成された係合部26の周囲は、厚みを増した隆起部27となっている。係合部26の周囲は、隆起部27によって、内フランジ部23の他の部分の厚みよりも厚みを増しているため、作業者はドライバーの先端を係合させやすくなると共に、係合部26が破損するおそれも低減できる。
【0059】
[実施形態の第1変形例]
次に、図8図9を参照して、本実施形態の第1変形例に係る管材接続構造について説明する。地中梁1では、梁の幅が厚く貫通孔2の長さは長いため、貫通孔2の内部空間をコーキング材ですべて埋めることは経済的でない上、作業時間も長くかかる。そのため、地中梁1の場合、コーキング材を効率的に短時間で埋め込むことができる管材接続構造が求められる。
【0060】
本変形例の管材接続構造は、上述した管材接続具10と、波付管材5の外周面に巻き付けて係止させることが可能な所要の長さを有する巻付係止材41と、コーキング材43とを用いて、地中梁1に形成された貫通孔2に、波付管材5を接続固定するものである。本変形例では、巻付係止材としては軟質のウレタンフォーム材を用いている。
【0061】
本変形例では、図8(a)に示すように、波付管材5の先端部付近の外周面にロック体11を螺合すると共に、図8(b)に示すように、波付管材5の先端からマウス体21を螺合して取り付ける。ここまでの工程は、上述の実施形態と変わるところはないが、本変形例では、次の工程で、図8(c)に示すように、マウス体21の近傍の位置で巻付係止材41を波形管材5の外周面に巻き付けて係止する。ここで、巻付係止材41を波付管材5の所要の位置に係止して固定させる方法は、単に巻き付けるだけでもよいし、必要であれば結び付けてもよい。
【0062】
本変形例では、ロック体11側からの締め付け工程が完了したときには、図8(d)に示すように、巻付係止材41は、貫通孔2の内部の所要の位置において、波付管材5の外周面に巻き付けられた状態で固定されている。そのため、巻付係止材41が、貫通孔2の内部で壁(土手)の役割を果たすことができる。そして、次の工程では、図9(a)に示すように、作業者が注入具42を用いて、コーキング材43をマウス体21の側から注入する。
【0063】
なお、マウス体21の内フランジ部23には、図3(b)に示すように、小円からなる注入口予定部28が開孔22aの外側の周囲に2箇所表示されている。作業者は、注入口予定部28を目途にドリルを用いて注入口をあらかじめ開口しておく。図9(a)は、注入口がすでに開口している状態を示している。
【0064】
以上の工程を実施することで、コーキング材43を、巻付係止材41とマウス体21との間の空間のみを埋めるように充填することができる。これにより、本変形例の管材接続構造では、コーキング材43を効率的に短時間で埋め込むことができる。
【0065】
[実施形態の第2変形例]
図11を参照して、本実施形態の第2変形例に係る管材接続構造について説明する。本変形例は、図11に示すように、地中梁1aと地中梁1bが隣接しており、2つの地中梁1a,1bの距離が比較的短い場合に利用される管材接続構造である。本変形例では、ロック体11同士で、地中梁1の貫通孔2の周囲の壁を挟み込むようにする。この場合、作業現場では、ロック体11を波形管材5の外周に螺合する作業時間が増大することが課題となる場合がある。そのため、本変形例では、ロック体11を2つ割りにすることが可能な分割構造としている。これにより、波形管材5の先端から螺合し始めなくても、波形管材5の途中の適切な位置にロック体11を取り付け、取り付け位置から螺合を開始することができて、作業時間の短縮を図ることができる。
【0066】
[その他の変形例]
上述の実施形態において、外フランジ部13と内フランジ部23は、外筒部12及び内筒部22に対して一体形成されている必要はなく、着脱自在の構成でもよい。例えば、外フランジ部13と内フランジ部23は、外筒部12及び内筒部22に螺合されている構成でもよい。
【0067】
上述の実施形態において、ロック体11の外筒部12の内周面に、螺旋状に連続している第1係合部14が形成されていてもよい。また、外筒部12の内周面に、3個以上の第1係合部14が形成されていてもよい。
【0068】
上述の実施形態において、外フランジ部13及び内フランジ部23は、一部切り欠きされた形状でもよいし、楕円、多角形状など、どのような形状でもよい。また、外筒部11及び内筒部22に対して直角方向ではなく、斜めに延出された形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、地中梁に形成された貫通孔に波形管材を接続固定する管材接続具などに利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 地中梁
2 貫通孔(スリーブ)
3 鉄筋
5 波付管材(FEP管)
6a 外周螺旋凹凸
6b 内周螺旋凹凸
10 管材接続具
11 ロック体
12 外筒部
13 外フランジ部
14 第1係合部
15 第1パッキン部
16 圧潰パッキン部
17 フィン部
21 マウス体
22 内筒部
23 内フランジ部
24 第2係合部
25 第2パッキン部
26 切り欠き部(係合部)
27 隆起部
28 注入予定部
29 止水材
41 巻付係止材
42 注入具
43 コーキング材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13