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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030238
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/00 20060101AFI20240229BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   C21D 1/74 20060101ALI20240229BHJP
   C21D 1/10 20060101ALI20240229BHJP
   C21D 1/667 20060101ALI20240229BHJP
   C21D 1/42 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C21D9/00 H
C21D1/00 123Z
C21D1/00 112D
C21D1/74 X
C21D1/10 C
C21D1/667
C21D1/42 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132953
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 祥
(72)【発明者】
【氏名】杉山 豊
【テーマコード(参考)】
4K034
4K042
【Fターム(参考)】
4K034AA19
4K034BA03
4K034CA05
4K034DA06
4K034DB02
4K034DB03
4K034DB04
4K034DB08
4K034EA04
4K034FA04
4K034FA05
4K034FB03
4K034FB09
4K034GA18
4K042AA04
4K042AA14
4K042AA19
4K042AA25
4K042BA13
4K042DA01
4K042DB01
4K042DC04
4K042DD02
4K042DD04
4K042DE02
4K042DF01
4K042EA01
(57)【要約】
【課題】加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスの使用量を削減することができる加熱処理装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る加熱処理装置1は、棒状ワークWを設置した状態で棒状ワークWの軸線W1に沿って搬送し、棒状ワークWを加熱処理する加熱処理装置1であって、ガス供給部10と、加熱部20と、冷却液供給部30と、を備え、第1搬送空間S1、第2搬送空間S2及び第3搬送空間S3は、ガス供給部10の搬送方向Cの上流側F1に入口部C1、冷却液供給部30の搬送方向Cの下流側F2に出口部C2を有する連続搬送空間Sで構成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状ワークを設置した状態で前記棒状ワークの軸線に沿って搬送し、前記棒状ワークを加熱処理する加熱処理装置であって、
前記棒状ワークの搬送方向上流側に設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第1搬送空間を有し、かつ、前記第1搬送空間内で前記棒状ワークの外周面に周方向から非酸化性ガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部の搬送方向下流側に連続して設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第2搬送空間を有し、かつ、前記第2搬送空間内で前記棒状ワークの外周面を周方向から加熱する加熱部と、
前記加熱部の搬送方向下流側に連続して設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第3搬送空間を有し、かつ、前記第3搬送空間内で前記棒状ワークの外周面に周方向から冷却液を供給する冷却液供給部と、を備え、
前記第1搬送空間、前記第2搬送空間及び前記第3搬送空間は、前記ガス供給部の搬送方向上流側に入口部、前記冷却液供給部の搬送方向下流側に出口部を有する連続搬送空間で構成されている加熱処理装置。
【請求項2】
前記冷却液供給部は、前記棒状ワークの外周面に周方向から冷却液を連続して供給する請求項1に記載の加熱処理装置。
【請求項3】
前記ガス供給部における前記第1搬送空間内での前記棒状ワークの外周面への周方向からの非酸化性ガスの供給は、前記第1搬送空間の上流側に設けられた入口部より下流側の前記第1搬送空間の内部から行う請求項1又は2に記載の加熱処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細長ワークに対して無酸化加熱処理を効率的に施すこと、冷却液が加熱機構による加熱を行う加熱空間に侵入するのを効率的に防止することを目的として、細長ワークを水平方向に沿って横置きに配置した状態で前記細長ワークの長手軸線に沿って搬送し、かつ前記細長ワークに無酸化加熱処理を施すように構成される横型加熱処理装置であって、前記細長ワークの外周面の周囲に配置され、かつ前記細長ワークを加熱可能に構成される加熱機構と、前記細長ワークに冷却液を噴射するように構成される噴射口を有し、前記細長ワークの外周面の周囲に配置され、かつ前記加熱機構に対して前記細長ワークの搬送方向の下流側に離れている第1及び第2冷却機構とを備え、前記第1冷却機構が、前記搬送方向にて前記加熱機構及び前記第2冷却機構間に位置し、前記第1冷却機構の噴射口から噴射される冷却液の噴射方向が、前記長手軸線に対して直交すると共にこの噴射口を通る第1仮想平面を基準として前記第2冷却機構寄りに傾斜しており、前記加熱機構及び前記第1冷却機構間に隙間が形成され、前記第1及び第2冷却機構間に隙間が形成されている、横型加熱処理装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-176285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の横型加熱処理装置は、無酸化加熱処理を施すために使用する不活性ガスの使用量を削減するには限界があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスの使用量を削減することができる加熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る加熱処理装置は、棒状ワークを設置した状態で前記棒状ワークの軸線に沿って搬送し、前記棒状ワークを加熱処理する加熱処理装置であって、前記棒状ワークの搬送方向上流側に設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第1搬送空間を有し、かつ、前記第1搬送空間内で前記棒状ワークの外周面に周方向から非酸化性ガスを供給するガス供給部と、前記ガス供給部の搬送方向下流側に連続して設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第2搬送空間を有し、かつ、前記第2搬送空間内で前記棒状ワークの外周面を周方向から加熱する加熱部と、前記加熱部の搬送方向下流側に連続して設けられ、内部に前記棒状ワークが搬送される第3搬送空間を有し、かつ、前記第3搬送空間内で前記棒状ワークの外周面に周方向から冷却液を供給する冷却液供給部と、を備え、前記第1搬送空間、前記第2搬送空間及び前記第3搬送空間は、前記ガス供給部の搬送方向上流側に入口部、前記冷却液供給部の搬送方向下流側に出口部を有する連続搬送空間で構成されていることを特徴とする。
【0006】
前記冷却液供給部は、前記棒状ワークの外周面に周方向から冷却液を連続して供給することが好ましい。
【0007】
前記ガス供給部における前記第1搬送空間内での前記棒状ワークの外周面への周方向からの非酸化性ガスの供給は、前記第1搬送空間の上流側に設けられた入口部より下流側の前記第1搬送空間の内部から行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスの使用量を削減することができる加熱処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る加熱処理装置1を、棒状ワークWの軸線W1に沿って切断した断面概念図である。
図2図2は、本実施形態に係る加熱処理装置1のガス供給部10を棒状ワークWの搬送方向Cの上流側F1から下流側F2に向けて見た時の概念上面図である。
図3図3は、図2をA-A線で切断した時の円盤状箱型10Hの内部近傍を拡大した断面概念図である。
図4図4は、本実施形態に係る加熱処理装置1の冷却液供給部30を棒状ワークWの搬送方向Cの下流側F2から上流側F1に向けて見た時の概念下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る加熱処理装置1を、棒状ワークWの軸線W1に沿って切断した断面概念図である。なお、図1では、棒状ワークWの搬送方向を実線矢印Cにより示し、棒状ワークWの搬送方向Cの上流側を点線矢印F1、棒状ワークWの搬送方向Cの下流側を点線矢印F2でそれぞれ示す。
【0011】
本実施形態に係る加熱処理装置1は、図1に示すように、棒状ワークWを設置した状態で前記棒状ワークWの軸線W1に沿って搬送し、前記棒状ワークWを加熱処理する加熱処理装置であって、ガス供給部10、加熱部20、冷却液供給部30を備える。
【0012】
ガス供給部10は、棒状ワークWの搬送方向Cの上流側F1に設けられ、内部に棒状ワークWが搬送される第1搬送空間S1を有し、かつ、第1搬送空間S1内で棒状ワークWの外周面W2に周方向から非酸化性ガスGを供給する。
棒状ワークWは、ボールねじ、直動レール、シャフト等の棒状の形状を有する鋼材が適用される。
非酸化性ガスGは、例えば、不活性ガス(アルコンガス等)や窒素ガスが用いられる。
【0013】
加熱部20は、ガス供給部10の搬送方向Cの下流側F2に連続して設けられ、内部に棒状ワークWが搬送される第2搬送空間S2を有し、かつ、第2搬送空間S2内で棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する。
【0014】
冷却液供給部30は、加熱部20の搬送方向Cの下流側F2に連続して設けられ、内部に棒状ワークWが搬送される第3搬送空間S3を有し、かつ、第3搬送空間S3内で棒状ワークWの外周面W2に周方向から冷却液Lを供給する。
冷却液Lは、ポリマー系の冷却液や水が用いられる。なお、後述する棒状ワークWの外周面W2に周方向から冷却液Lを連続して供給する場合は、当該冷却液Lを循環使用することが好ましい。
【0015】
また、本実施形態に係る加熱処理装置1は、第1搬送空間S1、第2搬送空間S2及び第3搬送空間S3は、ガス供給部10の搬送方向Cの上流側F1に入口部C1、冷却液供給部30の搬送方向Cの下流側F2に出口部C2を有する連続搬送空間Sで構成されている。
【0016】
このように、本実施形態では、棒状ワークWの外周面W2に周方向から非酸化性ガスGを供給するガス供給部10と、前記棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する加熱部20及び前記棒状ワークWの外周面W2に周方向から冷却液Lを供給する冷却液供給部30をそれぞれ個別に設け、かつ、それぞれの内部の第1搬送空間S1、第2搬送空間S2及び第3搬送空間S3は、ガス供給部10の搬送方向Cの上流側F1に入口部C1、冷却液供給部30の搬送方向Cの下流側F2に出口部C2を有する連続搬送空間Sで構成されている。
そのため、特許文献1のような加熱部10の空間にガスを供給するよりも短時間で効率的に棒状ワークWの外周面W2近傍を無酸化加熱処理に近づけることができる。
【0017】
具体的には、非酸化性ガスGは、ガス供給部10において、棒状ワークWの外周面W2に周方向から供給されるため、第1搬送空間S1内で、当該外周面W2に衝突する。その後、衝突した非酸化性ガスGは、第1搬送空間S1の入口部C1方向か、連続搬送空間Sとなった第3搬送空間S3の出口部C2方向に流れる。その出口部C2方向に流れた非酸化性ガスGは、同じく連続搬送空間Sとなった加熱部20内部の第2搬送空間S2内も棒状ワークWの外周面W2に沿って流れることになる。従って、第2搬送空間S2内での棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する際に、当該棒状ワークWの外周面W2近傍を短時間で効率的に無酸化加熱処理に近づけることができる。
【0018】
従って、棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスGの使用量を削減することができる。また、無酸化加熱処理に近づけた加熱処理を行うことができるため、当該加熱処理された棒状ワークWの外周面W2の酸化スケール発生を抑止することができる。
【0019】
次に、ガス供給部10、加熱部20及び冷却液供給部30の具体的な構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る加熱処理装置1のガス供給部10を棒状ワークWの搬送方向Cの上流側F1から下流側F2に向けて見た時の概念上面図である。
ガス供給部10は、具体的には、図2に示すように、内部(中心点O(棒状ワークWの軸線W1)を含む内部領域)に棒状ワークWが搬送される第1搬送空間S1となる貫通部10Sが厚さ方向(図1では上下方向D1、図2では紙面方向D1)に形成された円盤状箱型10H(以下、単に「円盤状箱型10H」という。)で構成されている。
【0020】
円盤状箱型10Hの外側の外面10HO(図1では上下方向D1に垂直する水平方向D2の外面10HO)に設けられたガス導入口12と、ガス導入口12に連結され、ガス導入口12から円盤状箱型10Hの内部空間Vに非酸化性ガスGを供給するガス供給機構14(図1及び図2ではガス供給配管14のみ図示(ガス供給装置等は不図示))と、ガス導入口12から供給された非酸化性ガスGを内部空間Vから棒状ワークWの外周面W2に周方向から供給する円盤状箱型10Hの内側(内部)の内面10HUに設けられた複数の噴射口15を備える。
【0021】
図3は、図2をA-A線で切断した時の円盤状箱型10Hの内部近傍を拡大した断面概念図である。
より具体的には、ガス供給部10は、図1から図3に示すように、円盤状箱型10Hの内側(内部)の内面10HUに、棒状ワークWの外周面W2に周方向(好ましくは周方向全体)から非酸化性ガスGを供給する複数の噴射口15を有している。複数の噴射口15は、搬送方向Cと平行な方向(上下方向D1)に並んだ噴射口群H1を構成すると共に、噴射口群H1が上下方向D1に垂直する水平方向D2(棒状ワークWの外周面W2の周方向)に複数列(好ましくは周方向全体に)平行して並んで設けられている。
これにより、ガス供給部10は、第1搬送空間S1内で棒状ワークWの外周面W2に周方向(好ましくは周方向全体)から非酸化性ガスGを供給することができる。
【0022】
加熱部20は、具体的には、図1に示すように、ガス供給部10の搬送方向Cの下流側F2に連続して設けられ、内部に棒状ワークWが搬送される第2搬送空間S2を有する加熱コイル部20aで構成されている。
加熱コイル部20aは、棒状ワークWを高周波誘導加熱可能に構成されている。
加熱コイル部20aは、内部に棒状ワークWが搬送される第2搬送空間S2を有し、かつ、第2搬送空間S2内で棒状ワークWの外周面W2を周方向(好ましくは周方向全体)から加熱する図示しないコイル本体と、当該コイル本体に電気的に接続された図示しない電源部とを有する。
コイル本体に電源部から電流を流すとコイル本体が第2搬送空間S2を通過する棒状ワークWの外周面W2を周方向(好ましくは周方向全体)から誘導加熱することができる。
【0023】
図4は、本実施形態に係る加熱処理装置1の冷却液供給部30を棒状ワークWの搬送方向Cの下流側F2から上流側F1に向けて見た時の概念下面図である。
冷却液供給部30は、具体的には、図4に示すように、内部(中心点O(棒状ワークWの軸線W1)を含む内部領域)に棒状ワークWが搬送される第3搬送空間S3となる貫通部10Tが厚さ方向(図1では上下方向D1、図4では紙面方向D1)に形成された円盤状箱型10I(以下、単に「円盤状箱型10I」という。)の冷却ジャケット30aで構成されている。
【0024】
円盤状箱型10Iの外側の外面10IO(図1では上下方向D1に垂直する水平方向D2の外面10IO)に設けられた図示しない冷却液導入口と、冷却液導入口に連結され、冷却液導入口から円盤状箱型10Iの図示しない内部空間に冷却液を供給する図示しない冷却液供給機構と、冷却液導入口から供給された冷却液を当該内部空間から棒状ワークWの外周面W2に周方向から供給する円盤状箱型10IOの内側(内部)の内面10IUに設けられた複数の噴射口30aaを備える。
【0025】
より具体的には、冷却液供給部30は、図4に示すように、円盤状箱型10Iの内側(内部)の内面10IUに、例えば出口部C2から搬送方向Cの下流側F2に遠ざかる方向に角度を設けて、棒状ワークWの外周面W2に周方向(好ましくは周方向全体)から冷却液Lを供給する複数の噴射口30aaを有している。
これにより、冷却液供給部30は、第3搬送空間S3内で棒状ワークWの外周面W2に周方向(好ましくは周方向全体)から冷却液Lを供給することができる。
【0026】
前記冷却液供給部30は、前記棒状ワークWの外周面W2に周方向(好ましくは周方向全体)から冷却液Lを連続して供給することが好ましい。
このようにすることで、第3搬送空間S3の前記周方向に連続して供給される冷却液Lによって、連続搬送空間Sの出口部C2に蓋をしているような構成とすることができる。
従って、第1搬送空間S1に供給した非酸化性ガスGを連続搬送空間S内に閉じ込めやすくなるため、第2搬送空間S2内での棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する際に、当該棒状ワークWの外周面W2近傍をより無酸化加熱処理に近づけることができる。
以上から、棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスGの使用量をより削減することができる。
【0027】
前記ガス供給部10における前記第1搬送空間S1内での前記棒状ワークWの外周面W2への周方向(好ましくは周方向全体)からの非酸化性ガスGの供給は、図1及び図2に示すように、第1搬送空間S1の上流側F1に設けられた入口部C1より下流側F2の前記第1搬送空間S1の内部から行うことが好ましい。
具体的には、ガス供給部10における複数の噴射口15を、図1及び図2に示すように、第1搬送空間S1の上流側F1に設けられた入口部C1より下流側F2の前記第1搬送空間S1の内部に設けて、前記複数の噴射口15から非酸化性ガスGを供給することが好ましい。
【0028】
これにより、第1搬送空間S1内に供給することで、衝突した非酸化性ガスGは、連続搬送空間Sとなった第3搬送空間S3の出口部C2方向に流れる量が増加するため、加熱部20での、当該棒状ワークWの外周面W2近傍をより無酸化加熱処理に近づけることができる。
従って、棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスGの使用量をより削減することができる。
【0029】
前記第1搬送空間S1、前記第2搬送空間S2及び前記第3搬送空間S3、すなわち連続搬送空間Sは、図1及び図2に示すように、前記ガス供給部10の搬送方向Cの上流側F1に入口部C1、前記冷却液供給部30の搬送方向Cの下流側F2に出口部C2のみを有する準閉鎖空間で構成されていることが更に好ましい。
すなわち、ガス供給部10は搬送方向Cの下流側F2に隙間なく加熱部20と連結しており、加熱部20は搬送方向Cの下流側F2に隙間なく冷却液供給部30と連結しており、当該連続搬送空間Sは、図1及び図2に示すように、前記ガス供給部10の搬送方向Cの上流側F1に入口部C1、前記冷却液供給部30の搬送方向Cの下流側F2に出口部C2のみを有する準閉鎖空間で構成されていることが更に好ましい。
【0030】
これにより、ガス供給部10と加熱部20との間、加熱部20と冷却液供給部30との間から第1搬送空間S1内に供給した非酸化性ガスGが漏れ出すのを抑制することができる。
従って、加熱部20での当該棒状ワークWの外周面W2近傍をより無酸化加熱処理に近づけることができる。
以上から、棒状ワークWの外周面W2を周方向から加熱する加熱処理を施すために使用する非酸化性ガスGの使用量をより削減することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る加熱処理装置1は、高周波誘導加熱における焼入処理に使用する高周波焼入装置に好適に使用することができる。
すなわち、本実施形態に係る加熱処理装置1は、加熱部20では棒状ワークWの外周面W2に対して高周波誘導加熱処理を行い、冷却液供給部30では加熱処理された棒状ワークWの外周面W2に対して冷却液Lを供給して急冷処理を行う高周波焼入装置に好適に使用することができる。
【0032】
本発明に係る加熱処理装置は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る加熱処理装置は、上述した作用効果により限定されるものではない。
すなわち、本発明に係る加熱処理装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 加熱処理装置
10 ガス供給部
20 加熱部
30 冷却液供給部
W 棒状ワーク

図1
図2
図3
図4