(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030244
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】容器の蓋嵌合システム及び容器の蓋嵌合方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240229BHJP
B65B 7/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B65B7/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132963
(22)【出願日】2022-08-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発明者が公開を発意し、株式会社ヒロテックを公開者としてYouTubeウェブサイトで「容器蓋閉めシステム(自動化設備)_HIROTEC」と題した動画を公開し、特願2022-132963の発明に係る蓋嵌合システムの実機の作動状況の動画を公開した。 ・ウェブサイトの掲載日 2021年12月10日。 ・ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=xIYpOEmve4Y
(71)【出願人】
【識別番号】000135999
【氏名又は名称】株式会社ヒロテック
(72)【発明者】
【氏名】江立博
(72)【発明者】
【氏名】冨永誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田一也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎智雄
(72)【発明者】
【氏名】松下翼
【テーマコード(参考)】
3C707
3E049
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS10
3C707DS05
3C707FS01
3C707FT11
3C707FU02
3C707KS03
3C707LV17
3C707NS02
3E049AA05
3E049AB02
3E049BA04
3E049CA02
3E049DA01
3E049EA01
3E049EB01
3E049EC02
(57)【要約】
【課題】
本発明は単純な構成すなわち安価な構成で、確実かつ高速の嵌合蓋の蓋嵌合を実現する蓋嵌合システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
ロボットアーム3に傾斜支持した吸着プレート10に吸着した嵌合蓋21の下端部を、コンベア2上を移動する容器の嵌合部の移動方向先端に係合させるようにして嵌合する第1蓋嵌合工程と、次いでロボットアーム3が吸着プレート10を更に下方に押し付けて嵌合蓋の全周を嵌合させる第2蓋嵌合工程により、確実に嵌合蓋の嵌合を行わせるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上を移動する容器の嵌合蓋を嵌合させる蓋嵌合システムであって、
複数の容器を連続して搬送するコンベアと、
アームの先端に吸着プレートを支持したロボットアームとを有し、
前記吸着プレートは、下方に嵌合蓋を吸着するためのバキューム開口を中央部に有し、
かつ前記吸着プレートは、前記コンベアの進行方向に対し、初期状態でロボットアームに傾斜支持され、かつ外力によって水平支持に移行できるよう揺動自在に支持され、
外嵌合蓋を容器に嵌合させる場合は、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向先端に、該容器移動方向に向かって下方に傾斜した前記吸着プレートに吸着された外嵌合蓋の下端を係合させ、
内嵌合蓋を容器に嵌合させる場合は、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向後端に、該容器移動方向に向かって上方に傾斜した前記吸着プレートに吸着された内嵌合蓋の下端を係合させ、
次いで前記ロボットアームが前記吸着プレートを更に下方に押し付けることにより、前記外嵌合蓋または前記内嵌合蓋の全周を前記容器嵌合部全周に嵌合させることを特徴とする、
蓋嵌合システム。
【請求項2】
コンベア上を移動する容器の嵌合蓋を嵌合させる蓋嵌合方法であって、
ロボットアームがコンベアに隣接して配置された蓋供給装置から、吸着プレートで下方に嵌合蓋を吸着して取り出す蓋取り出し工程と、
前記ロボットアームの動作で、傾斜支持された前記吸着プレートに吸着された外嵌合蓋または内嵌合蓋の下端を、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向の先端または後端に係合させる第1蓋嵌合工程と、
前記ロボットアームの動作で、前記吸着プレートを更に下方に押し付けることにより、前記外嵌合蓋または前記内嵌合蓋の全周を前記容器嵌合部全周に嵌合させる第2蓋嵌合工程と、
を有することを特徴とする、
蓋嵌合方法。
【請求項3】
前記ロボットアームは吸着プレート支持装置を把持し、該吸着プレート支持装置に複数の吸着プレートが配設されたことを特徴とする、
請求項1に記載の蓋嵌合システム。
【請求項4】
外嵌合蓋と内嵌合蓋へ対応の切り替えは、ロボットアームを180度反転させることにより行うことを特徴とする、
請求項1または請求項3に記載の蓋嵌合システム。
【請求項5】
前記吸着プレートは、吸着する嵌合蓋の蓋嵌合部に対応する部位に沿って突出長さが調整可能な加圧棒が複数配置できるよう構成されていることを特徴とする、
請求項1または請求項3に記載の蓋嵌合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に蓋を嵌合させる蓋嵌合システム及び容器の蓋嵌合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当・惣菜などの容器の蓋閉め作業は作業者の手作業に頼っており、熟練作業者でも容器1個当たり1秒を要し、単調な繰り返しの作業で人員確保に苦労している作業であるため、自動化が望まれる作業である。
【0003】
通常弁当・総菜などの容器への内容物の充填作業はコンベアを用いて行われるため、最終工程に近い蓋閉め作業もコンベア上で行われるのが一般的である。コンベア上を移動する容器に蓋部材をかぶせて取り付ける蓋部材取付装置が特許文献1に記載されている。
【0004】
図8に示すように、第1アーム20と当該アームに取り付けられた第1エンドエフェクタ40と、第2アーム30と、当該アームに取り付けられた第2エンドエフェクタ50とを蓋部材上において協調作動により揺動させることにより、容器に蓋部材を嵌合させる構成が示されている。
【0005】
しかし特許文献1提案の装置では第1アームと第2アームの2つのアームが必要でありその他の構成も比較的に複雑な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、単純な構成すなわち安価な構成で、嵌合蓋の確実な蓋嵌合を実現する蓋嵌合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、コンベア上を移動する容器の嵌合蓋を嵌合させる蓋嵌合システムであって、複数の容器を連続して搬送するコンベアと、アームの先端に吸着プレートを支持したロボットアームとを有し、前記吸着プレートは、下方に嵌合蓋を吸着するためのバキューム開口を中央部に有し、かつ前記吸着プレートは、前記コンベアの進行方向に対し、初期状態でロボットアームに傾斜支持され、かつ外力によって水平支持に移行できるよう揺動自在に支持され、外嵌合蓋を容器に嵌合させる場合は、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向先端に、該容器移動方向に向かって下方に傾斜した前記吸着プレートに吸着された外嵌合蓋の下端を係合させ、内嵌合蓋を容器に嵌合させる場合は、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向後端に、該容器移動方向に向かって上方に傾斜した前記吸着プレートに吸着された内嵌合蓋の下端を係合させ、次いで前記ロボットアームが前記吸着プレートを更に下方に押し付けることにより、前記外嵌合蓋または前記内嵌合蓋の全周を前記容器嵌合部全周に嵌合させることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、コンベア上を移動する容器に吸着プレートを傾斜させて嵌合蓋を係合させるので、容器嵌合部への係合が狭い範囲での係合となるので、係合圧力が大きくなり第1段階の嵌合が円滑に行われる。
【0010】
また嵌合蓋を傾斜させ待機させて容器に嵌合させる態様になるので、真上から水平に蓋を容器に嵌合させる場合に比べて蓋と容器の位置ズレに対する許容度が大きくなる。
【0011】
以下外嵌合蓋と内嵌合蓋に場合分けして説明するが、外嵌合蓋は容器の外周に形成された容器の嵌合部位に対し、蓋の内周に形成され嵌合部位を外側から嵌合させる形式の蓋を意味する。一方、内嵌合蓋は容器の内周に形成された容器の嵌合部位に対し、蓋の外周に形成された嵌合部位を内側から嵌合させる形式の蓋を意味する。
【0012】
外嵌合蓋の場合は、傾斜させた外嵌合蓋の先端内側がコンベア上を移動する容器先端から係合し、まず容器先端周辺の嵌合部への第1段階の嵌合が行われ、次いで更に吸着プレートが下方に押し付けられることにより容器後端周辺の第2段階の嵌合が行われる。この際吸着プレートに吸着された外嵌合蓋は、コンベア移動方向では静止しているが、コンベア上の容器は移動し続けようとするので、容器が外嵌合蓋先端に押し付けられて、弾性変形により外嵌合蓋の後端内側と容器後端外側に若干の隙間が発生する。この効果により第2段階の嵌合が非常に円滑に行われる。
【0013】
内嵌合蓋の場合は、まず傾斜させた内嵌合蓋の後端外側がコンベア上を移動する容器後端内側から係合し、容器後端周辺の嵌合部への第1段階の嵌合が行われ、次いで更に吸着プレートが下方に押し付けられることにより容器先端周辺の第2段階の嵌合が行われる。この際吸着プレートに吸着された内嵌合蓋は、コンベア移動方向では静止しているが、コンベア上の容器は移動し続けようとするので、容器後端が内嵌合蓋後端に押し付けられて、弾性変形により内嵌合蓋の先端外側と容器先端内側に若干の隙間が発生する。この効果により第2段階の嵌合が非常に円滑に行われる。
【0014】
以上のように嵌合蓋を傾斜させ待機させて容器に嵌合させる態様とすることにより容器に対する蓋の嵌合を円滑に行わせることが出来る。
【0015】
またこの構成によれば、1つのロボットアームに吸着プレートを装着すれば足りるので、単純な構成すなわち安価な構成で蓋嵌合システムを供給できる。
【0016】
請求項2に係る発明は、コンベア上を移動する容器の嵌合蓋を嵌合させる蓋嵌合方法であって、ロボットアームがコンベアに隣接して配置された蓋供給装置から、吸着プレートで下方に嵌合蓋を吸着して取り出す蓋取り出し工程と、前記ロボットアームの動作で、傾斜支持された前記吸着プレートに吸着された外嵌合蓋または内嵌合蓋の下端を、コンベア上を移動する容器の嵌合部の移動方向の先端または後端に係合させる第1蓋嵌合工程と、前記ロボットアームの動作で、前記吸着プレートを更に下方に押し付けることにより、前記外嵌合蓋または前記内嵌合蓋の全周を前記容器嵌合部全周に嵌合させる第2蓋嵌合工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の方法は、請求項1に記載の発明を方法の面から記述したものである。吸着プレートに吸着した嵌合蓋を傾斜支持して容器への嵌合動作を行わせることにより、一端の嵌合を行わせる第1蓋嵌合工程と、他端の嵌合を行わせる第2蓋嵌合工程に2段階に分けて嵌合を行わせることにより、円滑な嵌合を実現することができる。請求項2に記載の方法により、前述の請求項1に関する説明で記載した効果を得ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明は請求項1の構成に加えて、前記ロボットアームは吸着プレート支持装置を把持し、該吸着プレート支持装置に複数の吸着プレートが配設されたことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、吸着プレート支持装置を介して吸着プレートを支持することにより、1つのロボットアームで複数の吸着プレートを支持することができる。この構成によりロボットアームの一度の動作で複数の容器への嵌合蓋の嵌合作業を行うことができ、蓋閉め速度を2倍以上に向上させることができる。
【0020】
また構成を複雑にすることなく1つのロボットアームで高速の作業が可能となるので、安価なシステムが構成できる。
【0021】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項3に記載の構成に加え、外嵌合蓋と内嵌合蓋へ対応の切り替えは、ロボットアームを180度反転させることにより行うことを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の構成によれば、容器移動方向に向かって吸着プレートを下方に傾斜させた外嵌合蓋のへの対応と、容器移動方向に向かって吸着プレートを上方に傾斜させた外嵌合蓋のへの対応を、基本構成を変えることなく簡単な方法で切り替えることができ、作業速度を向上させることができる。また構造を複雑にすることなく異なったタイプの容器に対応できるので、安価なシステムを提供できる。
【0023】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項3に記載の構成に加え、前記吸着プレートは、吸着する嵌合蓋の蓋嵌合部に対応する部位に沿って突出長さが調整可能な加圧棒が複数配置できるよう構成されていることを特徴とする。
【0024】
蓋の剛性が低く、平面状の吸着プレートで加圧すると嵌合蓋の頂部が変形して確実に勘合作業が行えない場合でも、請求項5に記載の構成によれば、確実に勘合作業を行うことができる。
【0025】
すなわち嵌合蓋の嵌合部に対応する部位に沿って、吸着プレートに適切な長さの加圧棒を配置することにより、嵌合蓋全体の変形の影響を受けることなく嵌合蓋の嵌合部を直接加圧することができるので、確実に勘合作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により単純な構成すなわち安価な構成で、確実かつ高速の嵌合蓋の蓋嵌合を実現する蓋嵌合システムを提供することができる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る蓋嵌合システムと関連する装置全体の斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る吸着プレート支持装置の斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る吸着プレート支持装置の平面図である。
【
図4】吸着プレートに外力が加わって水平支持になった状態の吸着プレート支持装置の側面図である。
【
図5】吸着プレートが傾斜支持され蓋を吸着した状態の吸着プレート支持装置の側面図である。
【
図6】本発明に係る蓋嵌合システムの蓋嵌合の作動形態を表した図である。(a)‐1、(a)‐2、及び(a)‐3は外嵌合蓋の作動形態、(b)‐1、(b)‐2及び(b)‐3は内嵌合蓋の作動形態を表す。
【
図7】実施形態2の加圧棒を用いた蓋嵌合の作動形態を表す。
【
図8】特開2020-93331公報の蓋部材取付装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0030】
(蓋嵌合に関わるシステム全体の構成)
まず本発明の蓋嵌合システム全体の構成について
図1を用いて説明する。
図1に示すように蓋嵌合に関わるシステムは、ロボットアームを含むいくつかの装置の協同作業により、内容物を詰めた容器に嵌合蓋を嵌合させるシステムである。作業しやすい高さに配置された全長約4mの長さのコンベアが右方向から左方向に流れており、最終的には蓋嵌合を終えた容器が次工程に流れていく。
【0031】
先ず
図1右側上流のコンベアから内容物(本実施形態では弁当、惣菜など)を詰めた容器が搬送されてくると、容器がコンベア上を搬送されながら、容器のコンベア幅方向の位置及び容器の方向が略同一となるよう、容器整列装置30により調整される。
【0032】
次に通常のコンベアに挟まれて間隔調整コンベア31が配置されている。前のコンベアを移動する容器の間隔に応じ、この間隔調整コンベア31の速度を調整することで、容器の間隔を略同一に調整する。
【0033】
これら容器整列装置30と間隔調整コンベア31の作動により、
図2に示すように吸着プレートを2つ配置した吸着プレート支持装置が、2つの容器に同時に嵌合蓋を2つ嵌合できるよう、容器の配置が調整される。
【0034】
次に
図1に示すように蓋嵌合に関わる装置がコンベアの両側に配置されている。エンドイフェクタとして吸着プレート支持装置4を装着したロボットアーム3が一方に配置され、コンベアを挟んでその向かい側に蓋供給装置5が配置されている。
【0035】
またロボットアーム3近傍のコンベア脇には光電センサー(図示しない)が設けられており、容器の通過を検知して制御装置に信号を出し、適切なタイミングでロボットアーム3を動作させて吸着プレート支持装置4を容器に係合させられるような構成となっている。
【0036】
(蓋嵌合システムの構成)
蓋嵌合作業の中心を担うのは、吸着プレート支持装置4とロボットアーム3である。実施形態1に係る蓋嵌合システムの構成を以下説明する。
【0037】
ロボットアームには垂直多関節ロボットや水平多関節ロボットなどの様々なロボットを使用可能である。また各種信号を受けて後述する必要な動作を行うことができればロボットでなくても装置レベルのものでも代用可能である。
【0038】
ロボットアーム3の先端には吸着プレート支持装置4が装着されている。吸着プレート支持装置4は
図2に示すように、左右の骨格が2本のメインフレーム15で形成され、中央部のセンターブラケット16とネジ等で固定されている。これらは軽量化のため一般的なアルミ材等で製作されている。
【0039】
センターブラケット16の中央部には、ロボットアーム3と連結するための連結部が設けられている。またセンターブラケット16をはさんで両側に、2つの吸着プレート10が2つのメインフレーム15に揺動自在に支持されている。すなわちメインフレーム15に固定された2つの回転軸12に、2つの吸着プレート10がそれぞれ2つの軸受け部26を介して揺動自在に支持されている。
図3に示すように吸着プレート10は、中心から偏芯した部位に配置した軸受け部26を介して回転軸12に支持されており、この構成によって吸着プレート10は初期状態で傾斜するよう構成されている。
【0040】
また吸着プレート10にはストッパー18が設けられており、メインフレーム15側に設けられたストッパーブラケット17と係合して、吸着プレート10の揺動範囲を一定範囲に制限するよう構成されている。また2つの吸着プレート10の回転軸12は同方向に偏芯しており、
図5に示すように初期状態で互いに同方向に、ストッパー18の効果で最大で15度程度傾斜するよう構成されている。
【0041】
本実施形態ではストッパー18はボルトで構成され、ナットで突出長さが調整できるようになっている。これにより吸着プレート10の揺動角度が調整できるように構成されている。
【0042】
吸着プレート10の中心部には蓋を吸着するためのバキューム開口20が配置されている。吸着作動を行わせるときは、このバキューム開口20から負圧を作動させて蓋を吸着する。吸着プレート10に固定された配管ブラケット14がバキューム配管13を支持し、電磁弁(図示しない)を経由してバキューム供給源(図示しない)へとつながっている。
【0043】
コンベアをはさんでロボットアーム3の向かい側に蓋供給装置5が配置されている。吸着プレート支持装置4における2つ吸着プレート10の間隔と同一の間隔で蓋が配置されるよう構成されている。また蓋は20個から30個程度ストック可能に構成され、積み上げた蓋が崩れないようなサポートや、蓋の使用に応じて蓋の高さが変化しないよう床面高さを調整する装置などが配設されている。
【0044】
(蓋嵌合システムの作動)
先ずロボットアーム3が制御装置(図示しない)の指示に従って、吸着プレート支持装置4を、2つの吸着プレート10の位置が蓋供給装置5に積まれた2つの蓋の位置に合うように当接させる。次いで制御装置の指示によってバキューム配管13の電磁弁を開き、バキューム開口20から負圧を作動させて蓋を吸着する。蓋を吸着すると即座にロボットアーム3は吸着プレート支持装置4をコンベア2上の所定の位置に移動し待機する。待機時吸着プレート支持装置4は、コンベア移動方向に2つの嵌合蓋を吸着した状態で略水平を維持している。但し前述のように回転軸12が吸着プレート10を偏芯支持している効果で、2つの吸着プレート10は同じ方向に約15度傾斜支持されている。
【0045】
蓋整列装置30と間隔調整コンベア31作動の作動により、蓋嵌合システム前のコンベアに搬送されてきた容器22は、コンベア幅方向の位置と容器の間隔が、吸着された2つの嵌合蓋21の間隔とコンベア幅方向の位置に予め調節されている。よって嵌合蓋21は、コンベア移動方向の位置さえ調整できれば、容器22に嵌合可能な状態になっている。
【0046】
蓋嵌合システム近傍のコンベア脇に設置された光電センサーが、容器のコンベア移動方向の位置を検知している。この光電センサーの信号を基準に、吸着プレート支持装置4の容器への当接作動の制御装置による指示を行わせる。準備作業として光電センサーの信号と当接作動のタイミング調整を行うことにより、確実な蓋嵌合作業を行うことができるタイミングを設定できる。
【0047】
先ず
図6(a)を用いて外嵌合蓋についての嵌合動作について説明する。制御装置による当接作動の指示を行われると、
図6(a)‐1に示すような状態となる。容器が通過する寸前のタイミングで吸着プレート支持装置4が下降し、傾斜した外嵌合蓋の嵌合部先端がコンベア上を移動する容器嵌合部先端と係合する。この際コンベアは動作し続けているので、
図6(a)‐2に示すように、移動し続けようとする容器嵌合部と静止した外嵌合蓋の嵌合部が押し付けられるように嵌合する。これが第1蓋嵌合工程である。
【0048】
次いで
図6(a)‐3に示すように、ロボットアーム3が制御装置の指示に従い、更に吸着プレート支持装置4を押し下げる。この作動により後端部の嵌合部を含む嵌合蓋全周の嵌合部が、容器の嵌合部と嵌合して嵌合作業が終了する。これが第2蓋嵌合工程である。
【0049】
次に
図6(b)を用いて内嵌合蓋についての嵌合動作について説明する。外嵌合蓋と同様、制御装置による当接作動の指示を行われると、容器が通過する寸前のタイミングで吸着プレート支持装置4が下降し、
図6(b)‐1に示すような状態となる。すなわち傾斜した内嵌合蓋の嵌合部後端がコンベア上を移動する容器嵌合部後端と係合する。この際コンベアは動作し続けているので、
図6(b)‐2に示すように、移動し続けようとする容器嵌合部と静止した内嵌合蓋の嵌合部が押し付けられるように嵌合する。これが第1蓋嵌合工程である。
【0050】
次いで
図6(b)‐3に示すように、ロボットアーム3が制御装置の指示に従い、更に吸着プレート支持装置4を押し下げる。この作動により先端部の嵌合部を含む嵌合蓋全周の嵌合部が容器の嵌合部と嵌合して嵌合作業が終了する。これが第2蓋嵌合工程である。
【0051】
吸着プレート支持装置4に吸着プレート10が2つ備わっている効果で、吸着プレート支持装置4の1回の作動により、2つの嵌合蓋が同時に容器に嵌合される。これにより通常蓋閉め作業に要求される作業スピードである、1個当たり2秒の蓋閉めスピードが実現できる。
【0052】
また
図6に示すように外嵌合蓋と内嵌合蓋では、容器へ当接させる際の吸着プレートの傾斜が逆になる。これに対し複数の仕様の異なった吸着プレートを準備する必要はなく、ロボットアームの機能により、単純に吸着プレートを180度回転させることにより外嵌合蓋及び内嵌合蓋に対応可能である。このシステムが、多様なタイプの容器に簡単に対応することのできる汎用性の高いシステムであることが、これにより証明される。
【0053】
第1蓋嵌合工程と第2蓋嵌合工程嵌合の2段階で嵌合作業を行う効果を以下に示す。
【0054】
まず第1蓋嵌合工程では、嵌合蓋を傾斜させ待機させて容器に嵌合させる態様になるので、真上から水平に蓋を容器に嵌合させる態様に比べて蓋と容器の位置ズレに対する許容度が大きくなる。
【0055】
またコンベア上を移動する容器に吸着プレートを傾斜させて嵌合蓋を係合させるので、容器がコンベアの移動圧力を受け続け、かつ容器嵌合部への係合が狭い範囲で行われるので、嵌合圧力が大きくなって第1蓋嵌合工程が円滑に行われる。
【0056】
次に第2蓋嵌合工程における効果を説明する。第1蓋嵌合工程が終了した時点で、吸着プレートに吸着された嵌合蓋は静止しているが、コンベア上の容器は移動し続けようとしている。よって第1蓋嵌合工程で既に嵌合を終えた部位では、容器と嵌合蓋の間には圧力が生じ、他端の嵌合を終えていない部位では容器と嵌合蓋は、弾性変形により嵌合がルーズになっている。この効果により第2蓋嵌合工程の嵌合が円滑に行われる。
【0057】
嵌合作業が終了すると、制御装置の指示によってバキューム配管13の電磁弁を閉じ、負圧の供給を停止して吸着プレート10は嵌合蓋の吸着を解除する。
その後制御装置の指示によってロボットアーム3は、吸着プレート支持装置4を蓋供給装置5に再び当接させ、以上説明してきた動作を繰り返す。
【0058】
(実施形態2の構成)
実施形態2の構成を以下説明する。
嵌合蓋の剛性が低い場合、吸着プレート10で嵌合蓋の頂部の面を加圧しても嵌合蓋が変形して嵌合部分を確実に加圧できない場合がある。そのような剛性の低い嵌合蓋の嵌合作業を行う場合
図7に示すような構成の吸着プレート10を用いる。
【0059】
図3に示すように、吸着プレート10には加圧棒25を装着するための加圧棒固定スリット19が放射状に設けられている。嵌合蓋の嵌合部分の形状に沿って適切な長さで加圧棒を装着する。放射状の加圧棒固定スリット19は多様な形状の嵌合蓋へ対応できるよう構成されている。加圧棒固定スリット19を使って実際に加圧棒25を装着した吸着プレート10が
図7に示されている。
【0060】
吸着プレート10が嵌合蓋の頂面を加圧するしないに関わらず、加圧棒25が直接嵌合蓋の嵌合部分を加圧できる構成になっている。よって実施形態2の構成を用いることによって嵌合蓋の剛性が低い場合であっても、蓋嵌合作業を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 蓋嵌合システム
2 コンベア
3 ロボットアーム
4 吸着プレート支持装置
5 蓋供給装置
10 吸着プレート
11 ロボットアーム取り付け部
12 回転軸
13 バキューム配管
14 配管ブラケット
15 メインフレーム
16 センターブラケット
17 ストッパーブラケット
18 ストッパー
19 加圧棒固定スリット
20 バキューム開口
21 嵌合蓋
22 容器
25 加圧棒
26 軸受け部
30 容器整列装置
31 間隔調整コンベア