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  • 特開-ヘルメットマウント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030255
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ヘルメットマウント
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20240229BHJP
   A42B 1/245 20210101ALI20240229BHJP
   A42B 1/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A42B3/30
A42B1/245 E
A42B1/245 Z
A42B1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132989
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】517299401
【氏名又は名称】株式会社Borderless
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 赳生
(72)【発明者】
【氏名】大野 新
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA16
3B107DA17
3B107EA05
(57)【要約】
【課題】互いに光学的又は物理的な干渉が生じる可能性を軽減し、またヘルメットに対してカメラやヘッドアップディスプレイを着脱自在とした上で位置ずれが生じる可能性を抑えること。
【解決手段】ヘルメットマウント1は、ヘルメット4にカメラ2を据え置くためのカメラ台座11と、ヘルメット4にヘッドアップディスプレイ3を据え置くためのヘッドアップディスプレイ台座31と、カメラ台座をヘルメットの前方上部に着脱自在に取り付けるためのバンド部15,16と、ヘッドアップディスプレイ台座をヘルメットの前方の庇部に着脱自在に取り付けるためのクリップ部材32とを有する。カメラ台座とヘッドアップディスプレイ台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラとともにヘッドアップディスプレイをヘルメットに装着するためのヘルメットマウントであって、
前記ヘルメットに前記カメラを据え置くためのカメラ台座と、
前記ヘルメットに前記ヘッドアップディスプレイを据え置くためのヘッドアップディスプレイ台座と、
前記カメラ台座を前記ヘルメットの前方上部に着脱自在に取り付けるためのバンド部と、
前記ヘッドアップディスプレイ台座を前記ヘルメットの前方の庇部に着脱自在に取り付けるためのクリップ部材とを有し、
前記カメラ台座と前記ヘッドアップディスプレイ台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されているヘルメットマウント。
【請求項2】
前記ヘッドアップディスプレイ台座には、前記ヘッドアップディスプレイを取り付けるためのヘッドアップディスプレイ取付板が上下回転自在に支持される請求項1記載のヘルメットマウント。
【請求項3】
前記ヘッドアップディスプレイ台座には、多角柱部材が設けられ、
前記ヘッドアップディスプレイ取付板には、前記多角柱部材の外形に適合する内面形状を有し、前記多角柱部材に嵌め込まれる円筒体が設けられ、
前記円筒体には両端にわたってスリットが形成され、
前記円筒体は前記スリット及び前記円筒体の弾性により拡開し、前記ヘッドアップディスプレイ取付板は段階的に係止しながら上下に回転可能である請求項2記載のヘルメットマウント。
【請求項4】
前記ヘッドアップディスプレイ台座は、二股に分割されており、
前記ヘッドアップディスプレイ取付板は、前記ヘッドアップディスプレイ台座の二股の間隙に収まる請求項3記載のヘルメットマウント。
【請求項5】
前記多角柱部材は、前記ヘルメットの前記庇部の外側に配置される請求項3記載のヘルメットマウント。
【請求項6】
前記ヘッドアップディスプレイ取付板に前記ヘッドアップディスプレイからのケーブルを押さえ付ける押え板をさらに備える請求項2記載のヘルメットマウント。
【請求項7】
前記カメラ台座には突出部が設けられ、前記突出部にはカメラ取付板が上下回転自在に支持されており、前記カメラ取付板には前記カメラの角度の位置決めをするためのプランジャが内蔵されている請求項1記載のヘルメットマウント。
【請求項8】
カメラとともにヘッドアップディスプレイをヘルメットに装着するためのヘルメットマウントであって、
前記ヘルメットに前記カメラを据え置くためのカメラ台座と、
前記ヘルメットに前記ヘッドアップディスプレイを据え置くためのヘッドアップディスプレイ台座とを有し、
前記カメラ台座と前記ヘッドアップディスプレイ台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されているヘルメットマウント。
【請求項9】
前記ヘッドアップディスプレイ台座には、前記ヘッドアップディスプレイを取り付けるためのヘッドアップディスプレイ取付板が上下回転自在に支持され、
前記ヘッドアップディスプレイ台座は、二股に分割されており、
前記ヘッドアップディスプレイ取付板は、前記ヘッドアップディスプレイ台座の二股の間隙に収まる請求項8記載のヘルメットマウント。
【請求項10】
第1、第2の電子光学機器をヘルメットに装着するためのヘルメットマウントであって、
前記ヘルメットに前記第1の電子光学機器を据え置くための第1の台座と、
前記ヘルメットに前記第2の電子光学機器を据え置くための第2の台座と、
前記第1の台座を前記ヘルメットの前方上部に着脱自在に取り付けるためのバンド部と、
前記第2の台座を前記ヘルメットの前方の庇部に着脱自在に取り付けるためのクリップ部材とを有し、
前記第1の台座と前記第2の台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されているヘルメットマウント。
前記第1の台座と前記第2の台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されているヘルメットマウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)をカメラとともにヘルメットに装着するためのヘルメットマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築現場等で使用する作業用のヘルメットにカメラを装着し、現場の映像を記録し、また映像を遠隔の情報処理装置に送信し、管理者が遠隔から現場の状況を映像で確認し、現場の作業者に適宜指示する等の取り組みがなされている。
【0003】
作業に際しては、現場の作業者は工程表や仕様書等様々な資料を確認することがある。これら資料をヘッドアップディスプレイに映し、作業者が作業をしながら視認することができれば非常に効率的である。また管理者からの指示をテキスト形式でヘッドアップディスプレイに映すことも有益であると考えられる。ヘルメットにカメラを装着させることは一般化しつつあるので、カメラに加えて、ヘッドアップディスプレイをヘルメットに装着することが好ましい。
【0004】
現状では、ヘルメットにカメラマウントを装着し(特許文献1、特許文献2参照)、それと別体でヘッドアップディスプレイマウントをヘルメットに装着することになる。
【0005】
ヘルメットにカメラマウントとヘッドアップディスプレイマウントとの2台を別々に取り付ける場合、互いに光学的又は物理的な干渉が生じないように取り付け位置や角度を調整する必要がある。
【0006】
またヘルメットに対してカメラマウントとヘッドアップディスプレイマウントとの2台を着脱可能にした上で、位置ずれなく固定することは容易ではない。そのため現場作業中にカメラやヘッドアップディスプレイがヘルメットに対してずれたとき、その位置を修正することが必要となり、作業者の負担となることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-162830号公報
【特許文献2】特開2019-131927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
目的は、互いに光学的又は物理的な干渉が生じる可能性を軽減し、またヘルメットに対してカメラやヘッドアップディスプレイを着脱自在とした上で位置ずれが生じる可能性を抑えることのできるヘルメットマウントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係るカメラとともにヘッドアップディスプレイをヘルメットに装着するためのヘルメットマウントは、ヘルメットにカメラを据え置くためのカメラ台座と、ヘルメットにヘッドアップディスプレイを据え置くためのヘッドアップディスプレイ台座と、カメラ台座をヘルメットの前方上部に着脱自在に取り付けるためのバンド部と、ヘッドアップディスプレイ台座をヘルメットの前方の庇部に着脱自在に取り付けるためのクリップ部材とを有する。カメラ台座とヘッドアップディスプレイ台座とは側面視においてく字形又はL字形に一体化されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るヘルメットマウントをヘルメットに装着した状態で示す斜視図及び側面図である。
図2】本実施形態に係るヘルメットマウントをカメラ及びヘッドマウントディスプレイを取付けた状態で示す前方斜視図及び後方斜視図である。
図3】本実施形態に係るヘルメットマウントをカメラ及びヘッドマウントディスプレイを取付けた状態で示す側面図である。
図4】本実施形態に係るヘルメットマウントをカメラ及びヘッドマウントディスプレイを取り外した状態で示す前方斜視図、後方斜視図、側面図及び正面図である。
図5図4(d)のAA断面図である。
図6】本実施形態に係るヘルメットマウントにおけるヘッドマウントディスプレイ取付板の構造を示す分解図である。
図7】本実施形態に係るヘルメットマウントにおけるヘッドマウントディスプレイを上方に退避させた姿勢を示す側面図である。
図8】本実施形態に係るヘルメットマウントにおけるカメラケーブル及びヘッドマウントディスプレイケーブルの取り回しを示す前方斜視図及び後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るヘルメットマウントを説明する。
図1乃至図4に示すように、ヘルメットマウント1は、第1の電子光学機器として典型的にはカメラ2とともに、第2の電子光学機器として典型的にはヘッドアップディスプレイ(HUD)3をヘルメット4に着脱自在に装着するための装着具である。ヘッドアップディスプレイ3は、例えば、投影板(ハーフミラー)7と、ハーフミラー7に画像を投影するプロジェクタユニット6とを有する。
【0012】
ヘルメットマウント1は、カメラマウント部10と、ヘッドアップディスプレイマウント部30とを有する。カメラマウント部10は、ヘルメット4にカメラ2を据え置くためのカメラ台座11を有する。カメラ台座11はヘルメット4の上部前面に当接され、略垂直に配置される。
【0013】
カメラ台座11には、左右のバンドスリット12,13と、上部のバンドスリット14が開けられている。左右のバンドスリット12,13にバンド部15が通される。バンド部15はヘルメット4の側周面に取り巻かれ、ヘルメット4の後部に配置されるコントロールボックス49に締結される。上部のバンドスリット14にはバンド部16が通され、ヘルメット4の頂部面に沿わされ、コントロールボックス49に締結される。それによりカメラ台座11はヘルメット4の上部前面に着脱自在に装着される。コントロールボックス49には、カメラ2及びヘッドアップディスプレイ3の全体の制御機能、画像処理機能、スマートホン等の携帯型情報処理端末との近距離無線通信機能等が実装された各種基板が収容される。なお、図示しないが、カメラ2、ヘッドアップディスプレイ3及びコントロールボックス49に電量供給するためのバッテリを収容するバッテリボックスが、バンド部15に装着される。
【0014】
ヘッドアップディスプレイマウント部30は、ヘルメット4にヘッドアップディスプレイ3を据え置くためのヘッドアップディスプレイ台座31を有する。ヘッドアップディスプレイ台座31はヘルメット4の庇部5の上面に載置され、略水平に配置される。ヘッドアップディスプレイ台座31の先端部分にはクリップ部材32が取り付けられる。ヘッドアップディスプレイ台座31はクリップ部材32とともにクリップを構成する。ヘッドアップディスプレイ台座31とクリップ部材32とにより構成されるクリップは、ヘルメット4の前方の庇部5に前方から差し込まれ、庇部5を挟持する。それによりヘッドアップディスプレイ台座31はヘルメット4の庇部5に着脱自在に装着される。
【0015】
カメラ台座11とヘッドアップディスプレイ台座31とは、所定角度で連結され、側面視において、く字形又はL字形に一体化されている。カメラ台座11とヘッドアップディスプレイ台座31の屈曲個所はリブ部41,42により補強されている。
【0016】
ここで、ヘルメット4の庇部5に対してヘッドアップディスプレイ台座31が前方にずれた際には、ヘッドアップディスプレイ台座31のヘルメット4の庇部5に対する固定が不安定になり、位置ずれが生じ、また脱落の恐れも生じる。しかし、ヘッドアップディスプレイ台座31はカメラ台座11に対して一体化されており、カメラ台座11はヘルメット4に対してその前後方向に関してバンド部15により押さえられているので、ヘルメット4に対するヘッドアップディスプレイ台座31の前方への位置ずれは、押えられる。従ってヘルメット4の庇部5に対するヘッドアップディスプレイ台座31の位置は固定され、ヘッドアップディスプレイ台座31の位置ずれや脱落の可能性は十分押えられ得る。
【0017】
ヘルメット4に対するカメラ台座11の前後及び左右の位置ずれはバンド部15により押えられ、また下方への位置ずれはバンド部16により押えられている。しかし、ヘルメット4は断面形状が楕円である場合が多く、そのためカメラ台座11はそれ単独である場合、上方にずれやすい。ヘルメット4に対してカメラ台座11が上方にずれたとき、バンド部15,16にたるみが生じて、カメラ台座11が前後左右にずれ、また脱落する恐れがある。しかし、カメラ台座11はそれ単独でヘルメット4に装着されているのではなく、ヘッドアップディスプレイ台座31と一体化されており、ヘッドアップディスプレイ台座31はクリップにより庇部5に固定されており、特に上下方向の位置ずれは生じ難い。そのためヘルメット4に対するカメラ台座11の上方への位置ずれは、押えられる。従ってヘルメット4に対するカメラ台座11の位置は固定され、カメラ台座11の位置ずれやブレ、さらに脱落の可能性は十分押えられ得る。
【0018】
さらに、カメラ台座11とヘッドアップディスプレイ台座31とが上下に分化され且つ一体化されているので、後述するヘッドアップディスプレイ3を退避させた場合を除いて、互いに光学的又は物理的な干渉が生じる恐れも少ない。
【0019】
図5に示すように、カメラ台座11には、突出部17が前方に向かって突設される。突出部17にはその先端に円柱部材20がカメラ台座11に平行に設けられる。この円柱部材20には、カメラ2を着脱自在に取り付けるためのカメラ取付板18の突起部19が上下回転自在に嵌め込まれる。円柱部材20の周面にはその中心線と平行に複数の溝21が形成されている。突起部19には、先端が先鋭化された矩形の板片22が嵌め込まれる。板片22の後端は切れ込み23が形成され、それにより素材固有の弾性による板バネ24が構成される。板バネ24により板片22の先端は円柱部材20の周面に常時押し付けられる。板片22の先端は円柱部材20の溝21に嵌り込み、カメラ取付板18の角度を固定することができる。カメラ取付板18を強制的に上下回転することにより、板バネ24に抗って板片22は後方に移動し、その先端が当該溝21から脱落し、他の溝21に押し込まれ、その角度で固定される。作業者は、カメラ2を任意に上下回転させて、所望の角度で固定し、正面だけでなく、例えば手元を撮影し、また上方を撮影することができる。
【0020】
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ台座31は、所定の距離を隔てて二股に分割されており、それぞれの下側にクリップ部材32が取り付けられている。ヘッドアップディスプレイ台座31は、クリップ部材32とともに二股クリップを構成する。二股クリップで円弧形の庇部5を挟持するので、ヘッドアップディスプレイ台座31は構造上安定する。
【0021】
ヘッドアップディスプレイ台座31の先端は二股に分かれ、それぞれには貫通孔40が設けられる。この二股の間隙には、ヘッドアップディスプレイ3を取り付けるためのヘッドアップディスプレイ取付板33の円筒体34がワッシャ37を介して嵌め込まれる。ヘッドアップディスプレイ取付板33の下面には、ヘッドアップディスプレイ3を接続するための接続部43が設けられる。
【0022】
貫通孔40及び円筒体34の内孔には、六角柱部材36が共通して挿入される。六角柱部材36はその両側からワッシャ38を介してネジ39が螺着され、ヘッドアップディスプレイ台座31に対して固定される。六角柱部材36は、六角柱形に限定されることはなく、八角柱形など他の多角柱形であってもよい。円筒体34は、六角柱部材36の外形に適合する内面形状(六角形状)を有する。円筒体34の両端と、ヘッドアップディスプレイ台座31の二股の貫通孔40の内縁との間には、両者の損傷を防止するためにワッシャ37が嵌め込まれる。
【0023】
円筒体34にはその両端にわたって円筒中心線と平行にスリット44が形成されている。円筒体34はその弾性及びスリット44により拡開することができる。この拡開により、円筒体34は六角柱部材36の段差を乗り越えて、ここでは60度ピッチで段階的に回転する。作業者は、少し強い力でヘッドアップディスプレイ取付板33を上下に押すことにより、ヘッドアップディスプレイ取付板33を回転させることにより、ヘッドアップディスプレイ3を庇部5の下側に配置した使用姿勢と、ヘッドアップディスプレイ3を庇部5の上側に配置した退避姿勢(図7参照)とを切り替え、換言するとヘッドアップディスプレイ3を上方に跳ね上げることにより使用姿勢から退避姿勢に切り替え、またヘッドアップディスプレイ3を下方に引き下ろすことにより退避姿勢から使用姿勢に戻すことができる。この操作は回転という簡単な操作で完了する。また外部から力を加えない限り、円筒体34が六角柱部材36の段差を乗り越えることはなく、ヘッドアップディスプレイ3を所望の角度で確実に固定され得る。
【0024】
作業者は、ヘッドアップディスプレイ3を庇部5の下方に配置して、建築現場等で様々な作業と並行しながら、視線を少し上方に向けることによりヘッドアップディスプレイ3に表示された工程表や仕様書等様々な資料を確認することができる。またヘッドアップディスプレイ3を庇部5の上方に退避させることにより視界が広がるので、大きな紙面資料を一瞥しながら、建築作業をスムーズに進めることができる。
【0025】
上述のようにヘッドアップディスプレイ取付板33は、ヘッドアップディスプレイ台座31の二股の間隙に収まるので、使用姿勢においては、ヘッドアップディスプレイ3をできるだけ上方、つまり庇部5の直下に配置させることができるので、作業者はヘッドアップディスプレイ3の干渉を受けることなく、広範な視界を確保することができる。
【0026】
図4(c)に示すように、上述の六角柱部材36、換言すると、ヘッドアップディスプレイ取付板33の回転中心軸は、庇部5の外側に配置される。より好ましくは、六角柱部材36は、庇部5の外側であって、側面視において、ヘッドアップディスプレイ台座31とクリップ部材32との間の中心線C上に配置されている。ヘッドアップディスプレイ台座31とクリップ部材32とで庇部5を挟持させたとき、庇部5の延長線上に六角柱部材36、つまりヘッドアップディスプレイ取付板33の回転中心軸が位置することになる。ヘッドアップディスプレイ取付板33は庇部5の直前位置で上下回転自在に片持ちで支持される。それによりヘッドアップディスプレイ3をヘルメット4の庇部5に安定して保持させることができる。
【0027】
ここで、六角柱部材36(回転中心軸)を庇部5の外側でなく、庇部5の縁よりも内側であって、庇部5の上側又は下側に配置する場合と比較すると、その場合には、ヘッドアップディスプレイ3を庇部5の上方に跳ね上げて退避させ、また作業者がヘッドアップディスプレイ3を視認するために庇部5の下方に配置するための上下回転構造が複雑になり、さらに六角柱部材36を庇部5の上方に配置した場合には六角柱部材36やヘッドアップディスプレイ取付板33がカメラ2の視野を干渉する。本実施形態のように庇部5の延長線上に六角柱部材36(回転中心)を配置することにより、上下回転構造を簡素な構造で実現でき、さらに六角柱部材36やヘッドアップディスプレイ取付板33がカメラ2の視野を干渉する事態を抑えることができる。
【0028】
また、六角柱部材36(回転中心)を庇部5の外側であって、側面視において、ヘッドアップディスプレイ台座31とクリップ部材32との間の中心線Cよりも上側に配置してもよく、その場合には、ヘッドアップディスプレイ3からのケーブル46が六角柱部材36の下側を通り、ヘッドアップディスプレイ3の上下回転に伴ってケーブル46を引っ張る力を抑制することができる。また六角柱部材36(回転中心)を庇部5の外側であって、側面視において、中心線Cよりも下側に配置しもよく、その場合には、ヘッドアップディスプレイ3の上下回転に伴うケーブル46の動きを抑えることができる。
【0029】
図4(c)、図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ取付板33にはその略中央に開口45が開けられている。
【0030】
図8に示すように、ケーブル46は、ヘッドアップディスプレイ3から上方に引き出され、ヘッドアップディスプレイ取付板33の先端縁に当接され、その位置で軸方向及び直交方向に関して動かないようにケーブル押え板35により押さえ付け、固定される。なお、ケーブル押え板35はネジ50によりでヘッドアップディスプレイ取付板33の先端に対して固定される。
【0031】
ケーブル46は、ヘッドアップディスプレイ取付板33の先端縁に沿って曲折され、ヘッドアップディスプレイ取付板33の開口45を上から下に向かって挿通される。さらにケーブル46は、ヘッドアップディスプレイ取付板33の円筒体34の外周に沿って曲折され、ヘッドアップディスプレイ取付板33の上方を通り、突出部17の開口48を通される。そのままケーブル46は、ヘルメット4の頂部面に沿ってヘルメット4の後部をまで引き回され、コントロールボックス49に接続される。
【0032】
このようにケーブル46は、ヘッドアップディスプレイ取付板33の先端縁にケーブル押え板35により押さえられ、固定されるので、使用中や跳ね上げ時等にケーブル46がヘッドアップディスプレイ3のケーブル端子(図示しない)から脱落することを抑制することができ、またケーブル端子にかかる負荷を軽減することができる。また、ケーブル46は、円筒体34の外周を大きく曲折されるので、ヘッドアップディスプレイ3の上下回転に伴うケーブル46の屈曲の繰り返しによる破損及び断線を抑制することができる。
【0033】
上述したようにコントロールボックス49はヘルメット4の後部に配置され、カメラ台座11と縦横のバンド部15,16により接続される。コントロールボックス49はバッテリを装備しており、比較的重量物である。ヘルメット4の前側にはカメラ2及びヘッドアップディスプレイ3がカメラマウント部10及びヘッドアップディスプレイマウント部30とともに配置されている。このような配置により前後の重量比を比較的均衡させることができ、ヘルメット4を被着する作業者の荷重負担を比較的軽減することができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
1…ヘルメットマウント、2…カメラ、3…ヘッドアップディスプレイ(HUD)、4…ヘルメット、5…庇部、10…カメラマウント部、11…カメラ台座、12,13、14…バンドスリット、15,16…バンド部、30…ヘッドアップディスプレイマウント部、31…ヘッドアップディスプレイ台座、32…クリップ部材、41,42…リブ部、49…コントロールボックス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8