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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030257
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】階段及び建築材
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/108 20060101AFI20240229BHJP
   E04F 11/025 20060101ALI20240229BHJP
   B27M 3/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04F11/108
E04F11/025
B27M3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132996
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福永 洋丈
【テーマコード(参考)】
2B250
2E301
【Fターム(参考)】
2B250AA09
2B250BA03
2B250CA11
2B250DA03
2B250EA02
2B250FA02
2B250FA15
2B250FA28
2B250GA03
2B250HA01
2E301CC54
2E301CC56
2E301CC58
2E301CD04
2E301CD42
2E301DD14
2E301DD23
2E301DD27
2E301DD33
2E301DD78
2E301DD93
2E301DD95
(57)【要約】
【課題】床材の木目調模様の態様に関わらず、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることが可能な階段及び建築材を提供する。
【解決手段】階段10は、踏板2と、蹴込板3と、側板1とを備える階段であって、踏板2は、木質基材の表面に設けられた第1表面材を有し、側板1及び蹴込板3は、第1表面材と異なる木質基材の表面に設けられた第2表面材と第3表面材をそれぞれ有し、踏板2の第1表面材は、木目調とは異なる模様である非木目調模様を有し、側板1の第2表面材と蹴込板3の第3表面材は、模様を有しない、又は、第1表面材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏板と、側板又はささら桁とを備える階段であって、
前記踏板は、木質基材の表面に設けられた第1表面材を有し、
前記側板又は前記ささら桁は、木質基材の表面に設けられ、前記第1表面材と異なる第2表面材を有し、
前記踏板の前記第1表面材は、木目調とは異なる模様である非木目調模様を有し、
前記側板又は前記ささら桁の前記第2表面材は、模様を有しない、又は、前記第1表面材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する階段。
【請求項2】
蹴込板を更に備え、
前記蹴込板は、木質基材の表面に設けられ、前記第1表面材と異なる第3表面材を有し、
前記蹴込板の前記第3表面材は、模様を有しない、又は、前記第1表面材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記側板又は前記ささら桁の前記第2表面材と前記蹴込板の前記第3表面材は、模様を有しない単一色であり、
前記第2表面材と前記第3表面材は、同色である請求項2に記載の階段。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の階段と、
木質基材の表面に設けられ、模様が木目調模様である第4表面材を有する床材、又は、木質材のみの床材と、
を備える建築材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段及び建築材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の室内に設置される階段として、木製のものが一般的に知られており、階段を構成する部材(例えば踏板、蹴込板、側板など)が1セットとして製品化されている場合がある。製品化された階段では、組立容易化のため、踏板の裏面に蹴込板が挿入される溝状の凹部が予め形成されたり、側板の内側面に踏板と蹴込板が挿入される溝状の凹部が予め形成されたりしている。踏板、蹴込板及び側板は、互いに接着剤やねじによって固定されることで、階段として組み立てられる。
【0003】
下記の特許文献1及び2には、踏板、蹴込板、側板などから構成される階段に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-182268号公報
【特許文献2】特開平11-34016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような製品化された階段の踏板、蹴込板及び側板には、化粧板が用いられている場合がある。化粧板は、基材の表面に対して表面化粧材が貼着された板材である。表面化粧材は、例えばオレフィン樹脂シート、又は、紙などであり、オレフィン樹脂シート等の表面において木目調模様が印刷されている。木目調模様は、樹木又は木質材(集成材等)の断面が有する模様であって、様々な樹木又は木質材の断面について再現されており、住宅等のインテリアデザインや利用者の好み等に応じて選択できるように、複数種類の木目調模様が用意されていることが一般的である。
【0006】
また、住宅等の建築物の室内に設置される床材には、階段材(踏板、蹴込板及び側板)と同様の化粧板が用いられている場合がある。新築時には、床材の木目調模様と階段材の木目調模様が統一されるように、互いに同一色で同一模様を有する床材と階段材が選択されることが一般的である。
【0007】
床材と階段材において同一色、同一木目調模様を有するものが用意されていない場合、異なる色や異なる木目調模様を有するものが室内に設置されると、たとえ類似色で類似模様を有するものであっても、色や年輪等の模様のわずかな違いが明確になり、室内空間の統一化を図ることができない。
【0008】
また、床材の化粧板における表面化粧材において、単板(突板又は挽板)が用いられる場合や、床材として木質材そのままが用いられる場合がある。この場合、木目調模様が印刷されたオレフィン樹脂シートが貼着された階段材と組み合わせられると、両者の材質や模様の違いが顕著になってしまう。
【0009】
さらに、階段はそのままの状態で床材のみをリフォームする場合において、階段材の木目調模様と同一の床材を新たに入手できないことがある。この場合も、異なる木目調模様を有するものが室内に設置されると、わずかな違いが明確になり、室内空間の統一化を図ることができない。
【0010】
特に、床材が、階段の最下段の蹴込板又は側板の最下部と隣接する部分において、床材と階段材の両者の木目調模様の違いがはっきり表れることから、違和感が生じやすい。
【0011】
上述した理由によって、従来、階段材の木目調模様は、床材の木目調模様の種類と一致するように多数の種類を用意しておくことが望ましいとされている。しかし、階段は、床材が敷設される室内において必ず設置されるものではないため、床材ほど出荷されない。したがって、階段材の木目調模様の種類と床材の木目調模様の種類が完全に一致するように用意されている場合、木目調模様の種類によっては階段材の在庫回転率が低下する。そのため、床材の一部に対しては木目調模様が一致する階段材が製造されず、類似する木目調模様を有する階段材が組み合わされることがある。このように、床材に比べて階段材の選択肢が少ないため、室内空間のデザイン上の調和を図れない住宅等が生じる場合があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、床材の木目調模様の態様に関わらず、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることが可能な階段及び建築材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の階段及び建築材は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る階段は、踏板と、側板又はささら桁とを備える階段であって、前記踏板は、木質基材の表面に設けられた第1表面材を有し、前記側板又は前記ささら桁は、木質基材の表面に設けられ、前記第1表面材と異なる第2表面材を有し、前記踏板の前記第1表面材は、木目調とは異なる模様である非木目調模様を有し、前記側板又は前記ささら桁の前記第2表面材は、模様を有しない、又は、前記第1表面材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する。
【0014】
この構成によれば、踏板と、側板又はささら桁とを備えており、踏板における木質基材の表面には、第1表面材が設けられ、側板又はささら桁における木質基材の表面には、第1表面材と異なる第2表面材が設けられる。踏板の第1表面材は、木目調とは異なる模様の非木目調模様であり、かつ、側板又はささら桁の第2表面材は、模様がない、又は、木目調とは異なる模様の非木目調模様である。
【0015】
階段の踏板は、非木目調模様であることから、床材と階段材の両者において木目調模様を採用する場合と異なり、色や木目調模様を統一させるという調整が不要である。したがって、本発明に係る階段は、床材の木目調模様の態様に関わらず、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることができる。
【0016】
上記発明において、蹴込板を更に備え、前記蹴込板は、木質基材の表面に設けられ、前記第1表面材と異なる第3表面材を有し、前記蹴込板の前記第3表面材は、模様を有しない、又は、前記第1表面材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有してもよい。
【0017】
この構成によれば、蹴込板を更に備えており、蹴込板における木質基材の表面には、第1表面材と異なる第3表面材が設けられる。蹴込板の第3表面材は、模様がない、又は、木目調とは異なる模様の非木目調模様である。
【0018】
上記発明において、前記側板又は前記ささら桁の前記第2表面材と前記蹴込板の前記第3表面材は、模様を有しない単一色であり、前記第2表面材と前記第3表面材は、同色でもよい。
【0019】
この構成によれば、側板又はささら桁の第2表面材と蹴込板の第3表面材は、模様を有しない単一色であり、側板又はささら桁の第2表面材の色と蹴込板の第3表面材の色は、同じである。これにより、踏板の第1表面材の非木目調模様が、側板又はささら桁や蹴込板に比べて映え、踏板の模様を目立たせることができる。
【0020】
本発明に係る建築材は、上述した階段と、木質基材の表面に設けられ、模様が木目調模様である第4表面材を有する床材、又は、木質材のみの床材とを備える。
【0021】
この構成によれば、階段と床材を備える建築材において、階段は、上述したとおり、踏板における木質基材の表面には、第1表面材が設けられ、側板又はささら桁における木質基材の表面には、第1表面材と異なる第2表面材が設けられる。踏板の第1表面材は、木目調とは異なる模様の非木目調模様であり、かつ、側板又はささら桁の第2表面材は、模様がない、又は、木目調とは異なる模様の非木目調模様である。また、床材の木質基材の表面には第4表面材が設けられ、床材の第4表面材は、木目調模様である。なお、床材は木質材のみでもよい。この場合、木質材の表面には木目が現れるような塗装が施される場合がある。
【0022】
床材と階段材の両者において木目調模様を採用する場合、色や木目調模様を統一させるという調整が必要である。これに対して、階段の踏板は、非木目調模様であることから、床材と階段材の両者において木目調模様を採用する場合と異なり、室内空間のデザイン上の調和を図りやすく、色や木目調模様を統一させるという調整が不要である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、床材の木目調模様の態様に関わらず、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る階段を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る階段の側板を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る階段の踏板を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る階段の蹴込板を示す上部拡大側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る階段の下面側を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施形態に係る階段及び建築材について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る階段10は、図1に示すように、例えば、側板1と、踏板2と、蹴込板3などを備える。階段10は、直線状の直階段でもよいし、途中で方向を変える廻り階段でもよい。以下、直階段の例について説明するが、廻り階段についても同様の構成及び施工方法を適用できる。
【0026】
階段10は、建築物の室内、例えば住宅、事務所、店舗などの室内に設置される。本実施形態に係る建築材は、建築物に設置される階段10と床材を備える。
【0027】
側板1は、図1図2及び図5に示すように、長尺状の板材であり、一端(下端)から他端(上端)に向かって斜め方向に傾斜した形状を有する。側板1は、図2及び図5に示すように、階段10として設置されたときの内側面において、踏板固定凹部4と、くさび収容凹部5と、蹴込板挿入凹部6が形成されている。
【0028】
側板1の踏板固定凹部4は、踏板2の側面部と略同形状を有する溝状の凹部であり、階段10として設置されたときの背面側において凹部が開口している。
【0029】
側板1のくさび収容凹部5は、踏板固定凹部4の下部に形成された溝状の凹部である。くさび収容凹部5と踏板固定凹部4は、互いに凹部同士が連続するように形成される。くさび収容凹部5の下端は、側板1の背面に向かうにつれて下方へ傾斜しており、くさび収容凹部5の溝の幅が広くなっている。くさび収容凹部5は、階段10として設置されたときの背面側において凹部が開口している。
【0030】
側板1の蹴込板挿入凹部6は、蹴込板3の側面部と略同形状を有する溝状の凹部であり、一端(上端)が同段の踏板固定凹部4の下面の前方部分と連続し、他端(下端)が下段の踏板固定凹部4の上面の後方部分と連続している。
【0031】
踏板2は、図1図3及び図5に示すように、板面が水平方向となるように設置される板材である。図3に示すように、階段10として設置されたとき、踏板2の上面の前方部分には、幅方向に対して平行に複数本の転倒防止条溝7が形成され、踏板2の下面の前方部分には、幅方向に対して平行に蹴込板固定溝8が形成されている。
【0032】
くさび9は、図5に示すように、側面視が略三角形形状であり、階段10として設置されたとき、側板1の前方から後方に向かうにつれて厚さが厚くなるように形成されている。くさび9は、例えば合成樹脂製である。
【0033】
蹴込板3は、図1図4及び図5に示すように、板面が垂直方向となるように設置される板材である。図4に示すように、階段10として設置されたとき、蹴込板3の一端(上端)側の端面には、幅方向に対して平行に接着剤塗布溝11が形成され、蹴込板3の背面側には、幅方向に対して平行にねじ打ち込み溝12が形成されている。
【0034】
側板1、踏板2及び蹴込板3は、化粧板であって、表面側から表面化粧材、木質基材が順番に積層されている。
【0035】
表面化粧材は、例えば、オレフィン樹脂シート等の合成樹脂シート又は紙などである。表面化粧材の表面に施される色や模様は、例えば、印刷によって付与される。
【0036】
木質基材は、MDF(中密度繊維板)などの木質繊維板、合板、単板積層材(LVL)、無垢材、集成材、又は、これらの複合板等である。木質基材で採用される複合板には、例えば、表面側からMDF、合板又はLVL、MDFが順番に積層された板材や、表面側からMDF、集成材、MDFが順番に積層された板材などがある。
【0037】
踏板2の表面化粧材(第1表面材)は、表面において木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する。木目調模様とは、樹木又は木質材(集成材等)の断面が有する模様であって、様々な樹木又は木質材の断面において現れる質感や形状を模したものである。非木目調模様とは、例えば、石目調模様、金属調模様、レザー(皮革)調模様、モルタル調模様、布地調(例えばデニム調)模様、樹木表面の樹皮調模様、幾何学模様、又は、絵、図若しくは写真等の画像などである。非木目調模様とは、樹木又は木質材の断面において現れる質感や形状以外の模様であり、樹木又は木質材の断面以外の材料の質感や表面に現れる形状を模したものである。石目調模様の場合、例えば、大理石調模様、石灰岩調模様などがある。
【0038】
踏板2の表面化粧材は、踏板2の木質基材の上面、前面、及び、下面のうち前面側から蹴込板固定溝8までの範囲に貼られている。
【0039】
側板1の表面化粧材(第2表面材)及び蹴込板3の表面化粧材(第3表面材)は、表面において模様を有しない、又は、表面において踏板2の表面化粧材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する。側板1の表面化粧材は、側板1の木質基材の内側面及び上端面に貼られている。蹴込板3の表面化粧材は、蹴込板3の木質基材の前面に貼られている。
【0040】
側板1及び蹴込板3の表面化粧材の一例は、模様を有しない単一色であり、さらに、蹴込板3の表面化粧材と側板1の表面化粧材は、同色でもよい。この場合、側板1及び蹴込板3の表面化粧材は、例えば、白色無模様、黒色無模様である。
【0041】
また、側板1及び蹴込板3の表面化粧材は、上述した模様を有しない単一色の例に限定されず、踏板2の模様よりもコントラストが弱く目立たない模様でもよいし、複数色でもよい。
【0042】
蹴込板3の表面化粧材と側板1の表面化粧材が同色で同模様であることにより、踏板2の表面化粧材の非木目調模様が、蹴込板3や側板1に比べて映え、踏板2の模様を目立たせることができる。
【0043】
階段10の踏板2の色及び模様が、蹴込板3の色及び模様と異なる。これにより、階段10を上る際、人が踏板2と蹴込板3との境目を認識しやすくなるため、踏板2と蹴込板3の両者が同色かつ同模様である場合に比べて、上り動作中の踏み外しを防止できる。
【0044】
次に、図2から図5を参照して、本実施形態に係る階段10の施工方法について説明する。
まず、側板1の外側面、すなわち、階段10として設置されたときの外側の板面が、図2に示すように、住宅等の建築物の柱20又は間柱などに当接される。そして、側板1は、側板1の内側面側から外側方向にねじ込まれるねじ13によって、柱20又は間柱などに固定される。
【0045】
次に、側板1の踏板固定凹部4(図2参照)に接着剤が塗布され、側板1の背面側から踏板固定凹部4に踏板2が挿入される。その後、図5に示すように、くさび9がくさび収容凹部5に打ち込まれ、さらに、くさび9の内側面側から外側方向にねじ込まれるねじによって、くさび9が側板1に固定される。このとき、踏板2と側板1との間に隙間ができないように踏板2が固定されることが望ましい。
【0046】
そして、踏板2の下面から斜め上方かつ外側方向にねじがねじ込まれて、踏板2がねじによって側板1に固定される。
【0047】
最後に、蹴込板3の接着剤塗布溝11(図4参照)に接着剤が塗布されて、側板1に形成された蹴込板挿入凹部6の下端側から、踏板2に形成された蹴込板固定溝8(図3参照)に向かって蹴込板3が挿入される。蹴込板3の上部では、蹴込板3のねじ打ち込み溝12から同段の踏板2に向かって斜め上方にねじがねじ込まれる。蹴込板3の両側部では、蹴込板3の背面から側板1に向かって斜め方向にねじがねじ込まれる。蹴込板3の下部では、蹴込板3の背面から下段の踏板2の背面側の端面に向かって水平方向にねじがねじ込まれる。これにより、蹴込板3が側板1、同段の踏板2、及び、下段の踏板2に固定される。
【0048】
上述した施工方法で下段から上段に向けて、各段が順番に施工される。
【0049】
以下、建築物の室内において、階段10と共に設置される床材について説明する。
床材は、長方形状の長尺状部材であり、化粧板でもよいし、木質材そのままでもよい。化粧板の場合、表面側から表面化粧材、木質基材が順番に積層されている。
【0050】
床材の表面化粧材(第4表面材)は、例えば、オレフィン樹脂シート、紙、又は、単板などである。表面化粧材がオレフィン樹脂シート又は紙の場合、表面において木目調模様が印刷されている。表面化粧材が単板の場合、表面において木質材そのままの断面が現れており、表面に木目が透けて見える程度の塗装が適宜行われている。単板とは、例えば、厚さが0.2mm~0.5mmであるシート状の突板、又は、厚さが約2mmであるシート状の挽板である。
【0051】
木質基材は、MDF(中密度繊維板)などの木質繊維板、合板、単板積層材(LVL)、無垢材、集成材、又は、これらの複合板等である。木質基材で採用される複合板には、例えば、表面側からMDF、合板が順番に積層された板材などがある。床材の裏面側には、適宜クッション材が設置されてもよい。
【0052】
床材が、表面化粧材を有さず、木質材のみから構成される場合、表面側には木目が透けて見える程度の塗装が適宜行われている。
【0053】
以下、本実施形態に係る階段10及び建築材が奏する作用効果について説明する。
階段10の踏板2は、石目調模様などの非木目調模様であることから、床材と階段材(側板、踏板、蹴込板)の両者において木目調模様を採用する場合と異なり、床材と階段材の踏板2の色や模様を統一させるという調整が不要である。したがって、本実施形態に係る階段10は、床材の木目調模様の態様に関わらず、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることができる。
【0054】
具体的に説明すると、階段10の踏板2は、木目調模様ではなく、石目調模様などの非木目調模様である。したがって、建築物(住宅、事務所、店舗など)の施主等が新築又はリフォーム時において木目調模様を有する床材を設置する場合、階段10の模様に影響されずに、床材の木目調模様を自由に選択できる。従来、新築時には、床材の木目調模様と階段材の木目調模様が統一されるように、互いに同一色で同一模様を有する床材と階段材が選択されることが一般的であった。また、従来、床材のみのリフォーム時には、階段材の木目調模様と同一の床材を入手できるかどうかが確認されることが一般的であった。これに対して、本実施形態によれば、踏板2の非木目調模様と床材の木目調模様が明らかに異なることから、階段材と床材の両方で木目調模様とされる場合と異なり、色や年輪等の模様のわずかな違いが明確になるということがなく、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることができる。
【0055】
また、床材の化粧板における表面化粧材において、単板(突板又は挽板)が用いられる場合や、床材として木質材そのままが用いられる場合においても同様に、階段10の踏板2の非木目調模様と床材の木目調模様が明らかに異なることから、室内空間のデザイン上の調和を容易に図ることができる。
【0056】
床材と階段10の最下段の踏板2との間において、模様がない側板1又は蹴込板3が介在する場合、模様同士が連続しない。したがって、床材の模様と踏板2の模様が異なっていたとしても室内空間の美観において違和感が生じにくい。
【0057】
従来、階段材の木目調模様は、床材の木目調模様の種類と一致するように多数の種類を用意しておくことが望ましいとされているが、在庫回転率を考慮して、床材の一部に対しては木目調模様が一致する階段材が製造されず、類似する木目調模様を有する階段材が組み合わされる場合があった。これに対して、本実施形態によれば、階段10の踏板2は、石目調模様などの非木目調模様であることから、床材と階段材の両者において木目調模様を採用する場合と異なり、色や模様を統一させるという調整が不要である。
【0058】
すなわち、本実施形態によれば、床材に比べて階段材の木目調模様の選択肢が少ない場合であっても、色や模様を統一させるという調整が不要な、石目調模様などの非木目調模様の踏板2を有する階段10を選択することができる。そのような選択がされた場合でも、異なる木目調模様同士が組み合わせられる場合に比べて、室内空間のデザイン上の調和が損なわれることがない。したがって、製造者や販売者は、階段材の模様の種類と床材の木目調模様の種類が厳密に一致するように、階段材の種類を用意したり管理したりする必要がない。また、階段材の在庫は、出荷される床材の種類に影響を受けにくくなり、階段材の種類として木目調模様のみが用意されている場合と異なり、在庫回転率の低い階段材の種類を減らすことができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、側板1の内側面に踏板固定凹部4が形成されて、側板1の内側面に踏板2が支持される形式の側桁階段の例について説明したが、本発明が適用される階段はこの例に限定されない。例えば、踏板がささら桁の上端面に設置されて、ささら桁が踏板の下面を支持する形式のささら桁階段でもよい。ささら桁に固定金具が設置されることによって、固定金具を介して踏板が水平に設置されてもよいし、ささら桁の上面が階段状に切り欠かれて、水平に切り欠かれたささら桁の上面に踏板が水平に設置されてもよい。
【0060】
この場合、ささら桁は、化粧板であって、ささら桁の表面化粧材(第2表面材)は、表面において模様を有しない、又は、表面において踏板の表面化粧材の模様とは異なり木目調とは異なる模様である非木目調模様を有する。ささら桁の表面化粧材は、例えば、ささら桁の木質基材の内側面、上端面、外側面及び下端面に貼られている。
また、側桁階段及びささら桁階段のいずれの場合も、蹴込板が設置される階段でもよいし、蹴込板が設置されずに、主に側板又はささら桁と踏板とによって構成される階段でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 :側板
2 :踏板
3 :蹴込板
4 :踏板固定凹部
5 :くさび収容凹部
6 :蹴込板挿入凹部
7 :転倒防止条溝
8 :蹴込板固定溝
9 :くさび
10 :階段
11 :接着剤塗布溝
12 :ねじ打ち込み溝
13 :ねじ
20 :柱
図1
図2
図3
図4
図5