(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030265
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】チタン製のタンク、および当該タンクを備えるタンクローリー
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20240229BHJP
B65D 90/02 20190101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D88/12 F
B65D90/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133006
(22)【出願日】2022-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】591261026
【氏名又は名称】トーホーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】古本 卓也
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA07
3E170AB01
3E170AB28
3E170BA06
3E170DA01
3E170RA01
3E170RA20
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】腐食性の高い移送対象物を移送することが可能であり、かつ、高い強度を有するタンク、および当該タンクを搭載したタンクローリーを提供すること。
【解決手段】タンクは、本体容器、および本体容器の内部空間を仕切る少なくとも一つの仕切り板を備える。本体容器と少なくとも一つの仕切り板は、いずれもチタン製である。少なくとも一つの仕切り板は、ボウル型のプレート、およびプレートの凹面に固定され、鉛直方向または鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する少なくとも一つの補強部材を有する。少なくとも一つの補強部材は、凹面に接し、鉛直方向または鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する第1のフランジ、および第1のフランジに接し、第1のフランジの長手方向に平行に延伸するウェブを有することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器、および
前記本体容器の内部空間を仕切る少なくとも一つの仕切り板を備え、
前記本体容器と前記少なくとも一つの仕切り板は、いずれもチタン製であり、
前記少なくとも一つの仕切り板は、
ボウル型のプレート、および
前記プレートの凹面に固定され、鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する少なくとも一つの補強部材を有する、タンク。
【請求項2】
前記少なくとも一つの補強部材は、
前記凹面に接し、前記鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する第1のフランジ、および
前記第1のフランジに接し、前記第1のフランジの長手方向に平行に延伸するウェブを有する、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記少なくとも一つの補強部材は、前記ウェブに接し、前記第1のフランジに対向する第2のフランジをさらに有し、
前記ウェブは前記第1のフランジと前記第2のフランジに挟まれ、
前記第2のフランジの主面は、前記ウェブの主面に対して垂直である、請求項2に記載のタンク。
【請求項4】
前記プレートの深さは、前記少なくとも一つの補強部材の高さ以上である、請求項1に記載のタンク。
【請求項5】
前記ウェブの高さは、前記凹面に沿って変化する、請求項2に記載のタンク。
【請求項6】
前記少なくとも一つの補強部材は、一定間隔で配置された複数の補強部材を含む、請求項1に記載のタンク。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の前記タンクが搭載されたタンクローリー。
【請求項8】
前記プレートの凸面が前進方向に向くように前記タンクが搭載される、請求項7に記載のタンクローリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、タンクローリーに搭載されるように構成されるチタン製のタンク、および当該タンクが搭載されたタンクローリーに関する。
【背景技術】
【0002】
タンクローリー(移動タンク貯蔵所)に搭載されるタンクには、移送されるガスや液体の種類に応じて様々な材料が用いられる。例えば、鉄、チタン、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属若しくは合金、または強化プラスチックなどがタンクに用いられる。消防法の規定により、タンクは仕切り板を用いて一定の容量(例えば4000リットル)以下の複数の空間(室)に仕切られる(例えば、特許文献1から3参照)。これにより、多量の移送対象物を移送できる、異なる液体やガスを同時に移送できるだけでなく、移送時に発生する遠心力や慣性力によって液体の移送対象物が移動してタンクローリーの重心位置が大きく変化することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-298443号公報
【特許文献2】特開2019-217931号公報
【特許文献3】特開2004-352262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、新規な構造を有するタンク、および当該タンクを搭載したタンクローリーを提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、腐食性の高い移送対象物を移送することが可能であり、かつ、高い強度を有するタンク、および当該タンクを搭載したタンクローリーを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る実施形態の一つは、本体容器、および本体容器の内部空間を仕切る少なくとも一つの仕切り板を備えるタンクである。本体容器と少なくとも一つの仕切り板は、いずれもチタン製である。少なくとも一つの仕切り板は、ボウル型のプレート、およびプレートの凹面に固定され、鉛直方向または鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する少なくとも一つの補強部材を有する。
【0006】
本発明に係る実施形態の一つは、上記タンクが搭載されたタンクローリーである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の一つに係るタンクローリーの模式的側面図。
【
図2】本発明の実施形態の一つに係るタンクの模式的上面図と側面図。
【
図3】本発明の実施形態の一つに係るタンクの模式的端面図。
【
図4】本発明の実施形態の一つに係るタンクに設けられる仕切り板の模式的側面図。
【
図5】本発明の実施形態の一つに係るタンクに設けられる仕切り板の模式的端面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。同一または類似する構成を有する複数の要素を個別に表す場合には符号にハイフンと自然数を用い、これら複数の要素を区別することなく、複数または個々の要素を表す場合には符号のみを用いる。また、一つの要素の部分を表す場合には、符号と小文字のアルファベットを用いる。
【0010】
1.タンクローリー
本発明の実施形態の一つに係るタンク100が搭載されたタンクローリー130の模式的側面図を
図1に示す。タンク100は、タンクローリー130の車両132の運転席の後方に備え付けられる荷台上に搭載される。車両132としては公知の車両を適用することができるので、説明は割愛する。以下、車両132が前進するときの方向(図中、白抜き矢印で示される方向)を前進方向と呼び、その逆方向を後退方向と呼ぶ。また、鉛直方向をz方向とし、タンク100の長手方向をx方向、x方向とz方向に垂直な方向をy方向とする。
【0011】
2.タンク
タンク100の模式的上面図と側面図をそれぞれ
図2(A)と
図2(B)に示す。タンク100は、移送対象物であるガスや液体が充填される本体容器102を備え、さらに付属装置として、タンク100の開閉のための複数のマンホール108、マンホール108を囲むように設けられる防護枠104、タンク100の反転を防止するための側面枠106などが本体容器102に取り付けられる。図示しないが、マンホール108には、移送対象物を注入するための注入口、移送対象物の量を計測するための検尺、本体容器102内の圧力を調整するための安全弁などが設けられる。また、移送対象物を排出するための機構(バルブ、バルブハンドルなど)も適宜本体容器102に取り付けられる。
【0012】
(1)本体容器
本体容器102は純チタン製である。すなわち、本体容器102は、CP(Commercially Pure)チタンとも呼ばれる高純度チタンを含み、その純度は99%以上である。純度の上限は100%である。例えば、日本工業規格JIS H4600で2種(TP340H)として規定される高純度チタンを本体容器102に用いることができる。チタンは耐腐食性に優れる。このため、ガソリンや軽油、天然ガスなどの可燃性移送対象物だけでなく、強酸性または強アルカリ性の腐食性液体やガスを移送することも可能である。例えば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液などの高アルカリ性を示す酸化剤水溶液の移送にも用いることができる。
【0013】
本体容器102を構成する胴板や鏡板の厚さは、例えば3mm以上10mm以下または4mm以上7mmである。鏡板の厚さは、胴板の厚さよりも大きくてもよい。
【0014】
(2)仕切り板
図2(A)または
図2(B)の点線で示されるように、本体容器102の内部には、本体容器102内の空間を仕切るための仕切り板110が設けられる。仕切り板110の数は任意であり、一つでもよく、複数の仕切り板110を設けてもよい。仕切り板110の数は、本体容器102の容量に応じて適宜設定すればよく、例えば1、2、または3である。
図2(A)の鎖線A-A´に沿った模式的端面図(
図3)に示すように、仕切り板110により、本体容器102の内部空間は複数の室122(
図3に示す例では、三つの室122-1、122-2、122-3)に分割される。仕切り板110は、各室122の容量が5kLから20kLとなるように配置することが好ましい。図示しないが、各室122には、液体の移送対象物の過剰な揺れを抑制するための防波板が設置されることがある。本体容器102と同様、仕切り板110は純チタン製であり、その組成は本体容器102の組成と同一でもよい。
【0015】
図3および仕切り板110を車両132の後方からx方向に沿って見た模式的側面図(
図4(A))に示すように、各仕切り板110は、ボウル型(椀型)形状を有するプレート112、および補強部材114を備える。プレート112は、車両132の進行方向側に凸面が位置し、進行方向とは逆の後退方向側に凹面が位置するように配置される。プレート112の形状、すなわち、x方向における投影面の形状は、本体容器102の形状に適合するように適宜設定される。したがって、プレート112のx方向における投影面の形状は円でもよく、
図4(B)に示すように2:1楕円(半楕円)などの楕円でもよい。プレート112の外周が本体容器102の内壁に溶接によって固定され、これにより、各室が分離される。
【0016】
プレート112の厚さは、本体容器102の大きさを考慮して適宜設定すればよく、例えば2mm以上10mm以下、または3mm以上6mm以下の範囲から選択することができる。プレート112の三次元形状を決定する凹面または凸面の曲率半径も本体容器102の大きさを考慮して適宜設定され、例えば800mm以上2000mm以下または1000mm以上1800mm以下の範囲から選択すればよい。プレート112の三次元形状は、半球などに例示される、平面によって切断された球体の一部(球冠)や楕円球の一部でもよい。プレート112のx方向における投影面の形状は、本体容器102のyz平面の端面の形状に対応するため、その直径または最大径は、例えば700mm以上1800mm以下または850mm以上1800mm以下の範囲から選択すればよい。なお、通常、前記直径または最大径は、車両132の車幅以下のサイズとされうる。
【0017】
補強部材114は、鉛直方向であるz方向、またはz方向から±15°以内の角度で延伸する純チタン製の部材であり、溶接によってプレート112に固定される。
図3に示すように、補強部材114は、固定されるプレート112に対して後退方向側に設けられる。換言すると、補強部材114は、プレート112の凹面側に配置される。補強部材114の数に制約はなく、一つまたは複数でもよい。例えば、3以上6以下の補強部材114を設けてもよい。
図4の鎖線B-B´に沿った模式的端面図(
図5(A))に示すように、各補強部材114は、第1のフランジ116、ウェブ118、および第2のフランジ120を備える。
【0018】
第1のフランジ116は、補強部材114をプレート112の凹面112aに溶接によって固定するための面を提供する。したがって、第1のフランジ116はプレート112の凹面112aと接し、長手方向がz方向またはz方向から±15°以内の角度で凹面112aに沿って延伸する。このため、
図3に示すように、第1のフランジ116は、凹面112aに沿って湾曲する。第1のフランジ116の厚さも2mm以上10mm以下、または3mm以上6mm以下の範囲から選択すればよい。
【0019】
ウェブ118も第1のフランジ116に溶接で固定され、その長手方向が第1のフランジ116の長手方向と平行になるように延伸する。ウェブ118は、最大面積を有する面(主面)の法線がy方向と平行またはy方向から±15°以内の角度となるように第1のフランジ116に固定される。このため、x方向において、ウェブ118は第1のフランジ116と重なる。ウェブ118の厚さも2mm以上10mm以下、または3mm以上6mm以下の範囲から選択すればよい。
【0020】
第2のフランジ120は、ウェブ118に対して第1のフランジ116の反対側に配置され、溶接によってウェブ118に固定される。したがって、x方向において、第2のフランジ120は第1のフランジ116と対向し、ウェブ118が第1のフランジ116と第2のフランジ120に挟まれる。第2のフランジ120もz方向、またはz方向から±15°以内の角度で延伸する純チタン製の板状部材であり、その主面の法線がx方向となるように配置される。第1のフランジ116と異なり、第2のフランジ120の主面は湾曲せず、平面または実質的に平面である。したがって、ウェブ118の幅(x方向における長さ)は、凹面112aに沿って変化する。すなわち、ウェブ118の幅は、z方向における位置によって変化する。各ウェブ118の最大幅は、プレート112に対する位置にも依存するが、例えば6cm以上23cm以下である。第2のフランジ120の厚さも2mm以上10mm以下、または3mm以上6mm以下の範囲から選択すればよい。
【0021】
仕切り板110が一つの補強部材114を有する場合には、補強部材114は、x方向においてプレート112の中心若しくは重心、またはx方向におけるプレート112の投影面の中心若しくは重心と重なるように配置される。この配置を採用することで、最も長い補強部材114をプレート112に設けることができるので、高い剛性を仕切り板110に付与することができる。この時、補強部材114のxy平面における端面形状は、H字形状またはI字形状等となる。
図5(A)に示すように、各仕切り板110に複数の補強部材114を設ける場合には、y方向において一定間隔で補強部材114を配置することが好ましい。また、補強部材114の数が奇数の場合には、中央に配置される補強部材114がx方向においてプレート112の中心または重心と重なるように補強部材114を配置することが好ましい。
【0022】
補強部材114の高さH、すなわち、x方向における長さは、第1のフランジ116がプレート112と接し、かつ、ウェブ118とx方向で重なる点と、この点からx方向に位置する第2のフランジ120の端部との間の距離として定義される。一方、プレート112の深さDは、プレート112の中心からプレート112のエッジ112cまでのx方向における長さとして定義される(
図5(A)参照。)。
図5(A)に示すように、補強部材114の高さHは、プレート112の深さDと同一でもよく、あるいは、プレート112の深さDよりも小さくてもよい(
図5(B))。図示しないが、補強部材114の高さHは、プレート112の深さDより大きくてもよい。また、第1のフランジ116の幅(y方向における長さ)は、第2のフランジ120の幅と同一でもよく、あるいは第2のフランジ120の幅よりも大きくても小さくてもよい。第1のフランジ116と第2のフランジ120の幅は、例えば5cm以上10cm以下の範囲から選択すればよい。第1のフランジ116と第2のフランジ120の幅を上記範囲に設定することで、仕切り板110は高い剛性を備えることができる。
【0023】
なお、上述した例では、補強部材114はウェブ118とウェブ118を挟む第1のフランジ116と第2のフランジ120を備えるが、
図5(C)に示すように、第2のフランジ120を設けず、プレート112に固定される第1のフランジ116、および第1のフランジ116に固定されるウェブ118で各補強部材114を構成してもよい。この場合、x方向においてプレート112の中心または重心と重なる補強部材114のxy平面における端面形状は、T字形状となる。第2のフランジ120を設けない場合、第2のフランジ120を有する仕切り板110と比較して剛性は低下するものの、第2のフランジ120とウェブ118を溶接で固定する必要がなくなるため、タンク100の製造が容易となる。チタンの溶接は、高温のチタンと酸素との反応を防ぐために不活性ガス雰囲気下で行う必要があるため、溶接部材の低減はタンク100の製造コストの大幅な削減に寄与する。
【0024】
従来、腐食性の高い移送対象物の移送のためには、内面をフッ素含有樹脂でコーティングした鉄製、アルミニウム製、若しくはステンレス製のタンク、またはポリ塩化ビニル樹脂などで内面をコーティングした強化プラスチック製のタンクが用いられてきた。しかしながら、これらのタンクは耐用年数が短く、特に鉄製やステンレス製のタンクは重量が大きいという欠点を有する。また、内面をコーティングする樹脂に起因して移送対象物が汚染されることがある。一方、本発明の実施形態の一つであるタンク100では、本体容器102だけでなく、仕切り板110を構成するプレート112や補強部材114も純チタン製である。このため、耐腐食性が高く、かつ、軽量のタンクを提供することができるだけでなく、移送対象物の汚染も防止することができる。
【0025】
鉄やステンレス鋼と比較して純チタンは剛性が低い。このため、従来の仕切り板の構造を純チタン製のタンクに適用した場合、移送中に液体の移送対象物が移動して仕切り板に圧力が加わると、仕切り板が耐圧性の高いボウル型であっても、仕切り板の変形や、仕切り板と本体容器との溶接部が破損することがある。実際、仕切り板として補強部材114が設けられていない純チタン製のボウル型プレート112を使用した場合は、タンクローリーの発進および停止を繰り返した結果ボウル型プレート112の凹凸が逆転してしまい、仕切り板と本体容器102との溶接部が破損した事例が存在した。しかしながら、本発明の実施形態の一つであるタンク100には、ボウル型のプレート112だけでなく、プレート112に固定される一つまたは複数の補強部材114で構成される仕切り板110が一つまたは複数配置される。このため、純チタン製であっても仕切り板110に十分な剛性が与えられ、プレート112の変形、およびこれに起因する本体容器102との溶接部の破損を効果的に防止することができる。その結果、タンク100はステンレス鋼などよりも強度が低いチタンで構成されるものの、移送対象物を貯蔵・移送するための高い強度を備え、移送対象物の移動による破損を防止することができる。
【0026】
また、補強部材114は、鉛直方向であるz方向に平行または実質的に平行に設けられる。このため、本体容器102内に注入された移送対象物の量が変化しても、移送対象物は常に補強部材114と接する。したがって、移送対象物の量に依存することなく、仕切り板110は移送対象物から受ける圧力に対して高い剛性を示すことができる。
【0027】
移送対象物の急速な移動は主にタンクローリー130の減速(制動)時に生じ、移送対象物の移動に起因する大きな圧力は、移送対象物に対して前進方向に位置する仕切り板110により強く働く。このため、大きな圧力を受ける面が補強部材114が設けられる凹面112aとなるように仕切り板110を配置することで、プレート112の全体に圧力を分散して仕切り板110の破損などを防止できる。換言すると、
図3から理解されるように、隣接する室122の間には、単一の仕切り板110を配置すればよく、一対の仕切り板110を凸面112bが向き合うように設ける必要は無い。このため、各室122の前進方向側の内壁は前進方向側の鏡板102aまたはプレート112の凹面112aであり、後退方向側の内壁は後退方向側の鏡板102aまたはプレート112の凸面112bとなる。このような仕切り板110の配置によって、各室122に大きな容量を確保することができ、本体容器102の小型化が可能となる。
【0028】
本発明の実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0029】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0030】
100:タンク、102:本体容器、102a:鏡板、104:防護枠、106:側面枠、108:マンホール、110:仕切り板、112:プレート、112a:凹面、112b:凸面、112c:エッジ、114:補強部材、116:第1のフランジ、118:ウェブ、120:第2のフランジ、122:室、122-1:室、122-2:室、122-3:室、130:タンクローリー、132:車両
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器、および
前記本体容器の内部空間を仕切る少なくとも一つの仕切り板を備え、
前記本体容器と前記少なくとも一つの仕切り板は、いずれもチタン製であり、
前記少なくとも一つの仕切り板は、
ボウル型のプレート、および
前記プレートの凹面に固定され、鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する少なくとも一つの補強部材を有する、タンク。
【請求項2】
前記少なくとも一つの補強部材は、
前記凹面に接し、前記鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する第1のフランジ、および
前記第1のフランジに接し、前記第1のフランジの長手方向に平行に延伸するウェブを有する、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記少なくとも一つの補強部材は、前記ウェブに接し、前記第1のフランジに対向する第2のフランジをさらに有し、
前記ウェブは前記第1のフランジと前記第2のフランジに挟まれ、
前記第2のフランジの主面は、前記ウェブの主面に対して垂直である、請求項2に記載のタンク。
【請求項4】
前記プレートの深さは、前記少なくとも一つの補強部材の高さ以上である、請求項1に記載のタンク。
【請求項5】
前記ウェブの高さは、前記凹面に沿って変化する、請求項2に記載のタンク。
【請求項6】
前記少なくとも一つの補強部材は、一定間隔で配置された複数の補強部材を含む、請求項1に記載のタンク。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の前記タンクが搭載されたタンクローリー。
【請求項8】
前記プレートの凸面が前進方向に向くように前記タンクが搭載される、請求項7に記載のタンクローリー。
【請求項9】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を移送するためのタンクである、請求項1に記載のタンク。
【請求項10】
前記少なくとも一つの補強部材の延伸方向に垂直であり、かつ、前記プレートの中心と重なる平面における前記少なくとも一つの補強部材の端面の形状は、T字形状であり、
前記少なくとも一つの補強部材は、
前記凹面に接し、前記凹面に沿って延伸する第1のフランジ、および
前記第1のフランジに接し、前記第1のフランジに沿って延伸するウェブを有する、請求項1に記載のタンク。
【請求項11】
前記プレートは、厚さが2mm以上10mm以下であり、前記本体容器の内面に溶接される、請求項1に記載のタンク。
【請求項12】
前記少なくとも一つの仕切り板は、5kLから20kLの容量を有する複数の室に前記本体容器を分割する、請求項1に記載のタンク。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器、および
前記本体容器の内部空間を仕切る少なくとも一つの仕切り板を備え、
前記本体容器と前記少なくとも一つの仕切り板は、いずれもチタン製であり、
前記少なくとも一つの仕切り板は、
ボウル型のプレート、および
前記プレートの凹面に固定され、鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する少なくとも一つの補強部材を有し、
前記少なくとも一つの補強部材は、
前記凹面に接し、前記鉛直方向または前記鉛直方向から±15°以内の角度に延伸する第1のフランジ、および
前記第1のフランジに接し、前記第1のフランジの長手方向に平行に延伸するウェブを有する、タンクローリー用タンク。
【請求項2】
前記少なくとも一つの補強部材は、前記ウェブに接し、前記第1のフランジに対向する第2のフランジをさらに有し、
前記ウェブは前記第1のフランジと前記第2のフランジに挟まれ、
前記第2のフランジの主面は、前記ウェブの主面に対して垂直である、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項3】
前記プレートの深さは、前記少なくとも一つの補強部材の高さ以上である、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項4】
前記ウェブの高さは、前記凹面に沿って変化する、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項5】
前記少なくとも一つの補強部材は、一定間隔で配置された複数の補強部材を含む、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の前記タンクローリー用タンクが搭載されたタンクローリー。
【請求項7】
前記プレートの凸面が前進方向に向くように前記タンクローリー用タンクが搭載される、請求項6に記載のタンクローリー。
【請求項8】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を移送するためのタンクである、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項9】
前記少なくとも一つの補強部材の延伸方向に垂直であり、かつ、前記プレートの中心と重なる平面における前記少なくとも一つの補強部材の端面の形状は、T字形状であり、
前記少なくとも一つの補強部材は、
前記凹面に接し、前記凹面に沿って延伸する第1のフランジ、および
前記第1のフランジに接し、前記第1のフランジに沿って延伸するウェブを有する、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項10】
前記プレートは、厚さが2mm以上10mm以下であり、前記本体容器の内面に溶接される、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。
【請求項11】
前記少なくとも一つの仕切り板は、5kLから20kLの容量を有する複数の室に前記本体容器を分割する、請求項1に記載のタンクローリー用タンク。