(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030272
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】潮汐発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/26 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
F03B13/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133024
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】521264752
【氏名又は名称】今泉 八郎
(72)【発明者】
【氏名】今泉 八郎
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA12
3H074BB10
3H074CC02
3H074CC11
(57)【要約】
【課題】これまでの日本では、エネルギー資源が無いため、輸入した化石燃料での火力発電が主流であった。そのため電気代が高く、地球温暖化で世界各国から温室効果ガスの削減を要請されていた。
【解決手段】港湾内で浅瀬の海底に、外海を仕切る箱型貯水槽を沈めて設置する。その貯水槽内に、同設備、同容量の貯水路ゲートと貯水槽を対面に設置して、二つの装備を交互に時間差作動させる。その貯水路ゲート内の水路口両端に、水路幅より広くて深い水槽に、水路遮断用フロートタンクを、中央の水槽に発電装置のフロートタンクを浮かべ、その3つのフロートタンクを水導管と連結ピンで連動させる。その水路には潮の満ち引きによって水流が発生すると、海面が高くなる方の狭い水路口をフロートタンクが水圧で遮断、外と内の海面差が大きくなる。その海面落差の水流を水導管で中央のフロートタンクに装備した発電装置の水導室に誘導させ、その水車軸と結合した上の立型発電機を、フルに回転させて発電させる水導管フロート式の潮汐発電装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
港湾内で浅瀬の海底に、潮汐海水を貯める箱型貯水槽を沈めて設置し、前記その貯水槽内に、貯めた海水の出し入れをする貯放水路ゲートを設置して、前記その貯水槽と外海の潮汐により発生する海面差の水流を利用して発電させる貯放水路ゲート内であって、互いに隣接して配置された第1~3の水槽と、前記第1~3の水槽のそれぞれの内部に配置された、底が無い第1~3のフロートタンクと、前記第1~3のフロートタンクに対して浮力用圧縮空気の注排気を行って、前記第1~3のフロートタンクを前記第1~3の水槽内で浮沈させる注排気手段と、前記第2のフロートタンク上に搭載された水力発電装置と、前記第1の水槽内の海水を前記水力発電装置に導く第1の水導管と、前記水力発電装置を通過した海水を前記第3の水槽に導く第2の水導管と、を備えるとともに、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部は前記第1の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部は前記第3の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第1の水槽と前記第2の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第1の連絡水路と、前記第2の水槽と前記第3の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第2の連絡水路と、を備え、更に、前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部を前記第1の水槽に対して昇降させる第1の接続部昇降手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部を前記第3の水槽に対して昇降させる第2の接続部昇降手段と、前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の連絡水路を開閉する第1の水路開閉手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の連絡水路を開閉する第2の水路開閉手段を備えて、潮汐による外海と貯水槽内の海面差の水流で発電ができる貯放水路ゲートの潮汐発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯放水路ゲートで貯放水する貯水槽の容量を倍にして、中央で仕切り、第1第2の貯水槽を造り、前記同設備の第2の貯放水路ゲートを対面に配置されるとともに、前記2台の貯放水路ゲートで交互に時間差貯放水して、前記どちらかの貯放水路ゲートが潮止まりで発電が停止しても、前記もう片方の貯放水路ゲートと貯水槽で発電が継続できる潮汐発電装置。
【請求項3】
前記第2フロートタンク上の水力発電装置は、前記海水の流れを受けて回転する水車と、前記海水が流れる方向に応じて、前記水車の前記海水が衝突する部位を同回転に変更する反射板を備える、請求項1又は請求項2に記載の潮汐発電装置。
【請求項4】
前記潮汐発電装置全体の海底設置と構造において、貯水槽外壁板の底板は、海底の基礎アンカーに潜水作業無しで取付け、取外し出来るアームを備え、前記貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな多目的広場などを設け、前記平らな多目的広場には岸壁から車の出入りできるライトウエイ兼ハッチを備え、前記広場と、前記上甲板には本装置が稼働させられる全ての装置有する設備など、発電から送受電設備までを、一つに有する潮汐発電装置を請求項とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、港湾内で波静かな浅瀬の海底に、潮汐海水を貯める箱形貯水槽を沈めて設置する。その貯水槽内に、貯めた海水の出し入れをする第1貯放水路ゲート1Aの第1貯水槽2Bと、貯水槽隔壁1Eの対面には、同設備、同容量の第2貯放水路ゲート1Bの第2貯水槽2Cを設置する。その二つの貯放水路ゲート内それぞれに、第1~3の水槽と水槽間の水路に上が開放された縦長の水路を施工すると、その水路には潮汐の水流が発生する。
【0002】
その水路の出入口両側に、水路幅より大きくて深い水槽を設けて、その水槽に水路幅より大きい上部水路遮断用第1フロートタンク10Aと、その下中に1より小さな下部水路遮断用フロートタンク12Aを浮かべ、その12Aの下中に、12Aより小さな13Aと、13Aの中に重り14Aを収納して浮かべ、その1上には中央の水力発電装置を稼働させる水導管口10A3を設ける。その両端の水導管口と中央の水力発電装置を装備したフロートタンクの3台を水導管と1連結が左右2か所の連結ピン5で連結して浮かべる。
【0003】
海面が高くなる方の水路を水路幅より大きいタンクが海面差の水圧で上下の水路口を遮断、内海と外海の海面差が大きくなる。その海面差の水流を水導管3Aで中央のフロートタンク中部に装着した水力発電装置の水導室9Aに誘導すると、中の水車が回り、その水車軸と連結された上の立型発電機を、回転させて発電させる水導管フロート式の潮汐発電装置である。
【背景技術】
【0004】
これまでの潮汐発電に関する文献調査で近い文献の形態を書くと、
海岸線に沿い人工池・湖(これより「流水池」と称す)を設け、海と流水池との間を結ぶ流水管内部の水車で発電する。水流管には海水の流れを制御するためにゲートを設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この文献1から察するに、堰中の流水管内部の水車と発電機の取付け図が無く、ゲートの作動をどんな装置で行うのか説明不足で、本考案との比較ができないので、本発明で解決しようとする課題を説明する。
【0007】
この発明は、干満差の大小関係なく、外海と貯水槽内の海面差が発生した時から発電可能なので発電効率が良く、世界中の波静かな浅瀬の港湾内であれば何処でも、貯水槽内の水量で発電量が決まるので計算がし易い。動力源が全て自己製造で、大気中の空気をコンプレッサーで圧縮貯蔵された圧縮空気と電磁弁を作動させる電源だけの自動制御なので発電コストが安い。
【0008】
満潮干潮時には、水路を開放するので、自然環境に優しい。また、発電装置が水上に浮いているので、装備している発電機や制御用機器のメンテナンスがし易い。外板の強度が大きいので、上に発電所や変電所、送電設備などが造られる。
【0009】
これまで艤装岸壁としか使用されていなかった造船所の海岸縁に設置すると、高額の電気代支払いが無くなり、時間外の余った電気を売れば会社の収入源にもなる。また埠頭に停泊する船舶の電気として使用すると燃料の節約にもなる。それからコンテナ埠頭の敷地に装備のクレーンなどの動力源として使用できる。
【0010】
満潮から干潮、干潮から満潮に変化する時は、海面差がなくなるので、貯放水路ゲートの発電は一旦停止するが、対面に同設備第2の貯放水路ゲートと第2の貯水槽を造ることで、遅延稼働をさせて、一日中フルに発電された電気を供給することが出来る。
【0011】
日本は資源が貧しい島国ではあるが、この装置を全国の海辺に設置することで、これまで天候に左右される太陽光、風力発電や、危険で高価な原発と比較しても、安価で安全、安定性がある。また火力発電では、化石燃料の節約と同時に大気中の汚染物質CO2を削減して、地球温暖化の抑制に貢献出来きる。
【0012】
この装置が実用化されると、全自動無人化できるので、月々の電気代を格安にすることができる。また余った電気を他の地方に売れば、地元の収入源にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明に係る潮汐発電装置は、港湾内で浅瀬の海底に、潮汐海水を貯める箱型貯水槽を沈めて設置し、前記その貯水槽内に、貯めた海水の出し入れをする貯放水路ゲートを設置して、
【0014】
前記潮汐により発生する海面差の水流を利用して発電させる貯放水路ゲート内であって、互いに隣接して配置された第1~3の水槽と、前記第1~3の水槽のそれぞれの内部に配置された、底が無い第1~3のフロートタンクと、前記第1~3のフロートタンクに対して注排気を行って、前記第1~3のフロートタンクを前記第1~3の水槽内で浮沈させる注排気手段と、
【0015】
前記第2のフロートタンク上に搭載された水力発電装置と、前記第1の水槽内の海水を前記水力発電装置に導く第1の水導管と、前記前記水力発電装置を通過した海水を前記第3の水槽に導く第2の水導管と、を備えるとともに、
【0016】
前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部は前記第1の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部は前記第3の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、
【0017】
前記第1の水槽と前記第2の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第1の連絡水路と、前記第2の水槽と前記第3の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第2の連絡水路と、を備え、更に、
【0018】
前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部を前記第1の水槽に対して昇降させる第1の接続部昇降手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部を前記第3の水槽に対して昇降させる第2の接続部昇降手段と、
【0019】
前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の連絡水路を開閉する第1の水路開閉手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の連絡水路を開閉する第2の水路開閉手段とを備えて、外海と貯水槽内の海面差の水流で発電ができる貯放水路ゲートの潮汐発電装置を設けてあることを特徴とする。
【0020】
この貯放水路ゲートの水路には、発電装置などのトラブルが発生した時にその水路だけの給排口を遠隔と手動でも開閉できる装置を水路上の両端に設ける。また給排口は、大波とゴミの影響を少なくするために水路底に設ける。
【0021】
また貯放水路ゲート内の水路両端に浮かぶフロートタンク1と3は、浮いて上部の水路を開閉し、下中に下部の水路を開閉する遮断用タンク12,13と重りを収納し、エアーを排出して上の水導管口を沈めるなど、潮汐発電装置で重要なタンクである。
また、フロートタンクの下中に下部の水路を開閉する遮断用タンク12,13は、連結用下限ストッパーで一体化するがストッパーを外すと個別に各タンクの保守点検ができる。
【0022】
第2の本発明に係る潮汐発電装置は、第1貯放水路ゲートで貯放水する貯水槽の容量を倍にして、中央で仕切り、第1第2の貯水槽を造り、同設備の第2貯放水路ゲートを対面に配置されるとともに、前記2台の貯放水路ゲートで交互に時間差貯放水して、前記第1の貯放水路ゲートが潮止まりで発電が停止しても、前記第2の貯放水路ゲートと第2の貯水槽で発電が継続できることを特徴とする。
【0023】
また貯放水路ゲート1A,1Bの上面と貯水槽2B2C海面上は、平な暗渠にして作業スペースと車道スペースにする。
【0024】
第3の本発明に係る潮汐発電装置は、水力発電装置の水導室に海水の流れを受けて回転する水車と、前記海水が流れる方向に応じて、前記水車の前記海水が衝突する部位を同回転に変更する半射板で構成されることを特徴とする。
【0025】
この水導室内の半射板は、満潮、引き潮の時でも水車の回転を同じ方向に回し、水路幅が狭くなるので水流圧が大きくなって水車軸を高速回転させることが出来る。
また水導管は中央接続側の床部を、スライド式で傾斜と水流方向で自動開閉ができて、水車を回した大半の海水を水路に落とす。
【0026】
この水路両端に浮かぶフロートタンクと水路口間の密着シート内に、圧力センサーを片側に上部と下部2か所に取付けると、水流方向や、装置のトラブルを察知できて、水路の開閉と水導管口を沈めるタイミングの自動化ができる。
【0027】
第4の本発明に係る潮汐発電装置は、本体の海底設置と構造において、貯水槽外壁板の底板は、海底の基礎アンカーに潜水作業無しで取付け、取外し出来るアームを備え、前記貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな多目的広場などを設け、前記平らな多目的広場には岸壁から車の出入りできるライトウエイ兼ハッチを備え、前記広場と、前記上甲板には本装置が稼働させられる全ての装置有する設備など、発電から送受電設備までを、一つに有する潮汐発電装置を特徴とする。
【0028】
この潮汐発電装置本体は、常時、海上と海中に設置されているので、塩害防止ため、数年に1度はドックで整備する必要がある。よって、貯水槽外壁板の底板には、潜水作業無しで、海底の基礎アンカーに潮汐で取付け、取外しが出来る段違い円錐型のアームを備える。
【0029】
海底の基礎アンカー部は、段違い円錐アームの内側に収納される様に、洗濯バサミ式の鏃支柱をネジ式で海底の基礎に固定させる。その鏃の下部幅を小さくする海底離脱用パイプを、段違い円錐アーム中央上に装着し、それを車両甲板から上げ下げする。
【0030】
また外海側の貯放水路ゲート上には、岸壁から車両の交通ができるライトウエイ兼ハッチを設け、貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな作業場と車両走行用スペースの車両甲板にする。
【0031】
その車両甲板の天井には、発電装置のメンテナスのため、走行クレーンと照明を設け、その上の甲板には、発電装置の制御装置と発電、変電所を有する送電設備などを設置する。
【発明の効果】
【0032】
よってこの装置は、地球環境を考えた自然に優しい発電を、24時間地球上の全ての海辺の国々に、安く簡単な方法で永久的に供給する事が出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】外壁と貯放水路ゲートの1部拡大上面図と干潮時の側面図である
【
図2】(1)満ち潮(2)満ち潮途中(3)満潮(4)引き潮(5)干潮時の側面図である。
【
図6】1A満ち潮時の横側面図である。(外海側水路より10Aを見る)
【
図8】1A水導管内の水流方向とスライド床の動作図である。
【
図9】1A水導室の水車軸と半射板の上断面図である。
【
図10】水路内の潮流方向と開閉蓋の説明図である。
【
図11】水面センサーの動作を説明する説明図である。
【
図12】潮汐発電装置本体を海底に設置、離脱図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本発明の形態を述べると、
図1の上図は、車両甲板を上から見た図で、貯水槽外壁板1C内に、外海の海水を貯水槽内に出し入れする外壁板側に設置された貯放水路ゲート1Aと1B、その各ゲートに3セットの潮汐発電装置を収納した図で、1台の装置がトラブル発生しても、水路出入口の開閉を電動4A,手動4Bでもできて、水路の内の状態を上から点検、装置の出し入れができる水路上蓋6Cと、貯水槽暗渠2b、2cの中央に、貯水槽仕切り板1Eを設置した図である。
【0035】
中図は、1Aの水路内に3個のフロートタンクを浮かべ、そのタンクを3A3Bの水導管で連結している拡大上面図で、下図は干潮の潮止まりで1Aの水路は開放され、1Bの2Cと2Aの海面差で発電している状態の側面図である。
【0036】
この図では1Aに3台、1Bに3台の合計6台の発電装置が配置されているが、必要電力量や海域海底の状態に応じて1A,1B各1台から貯水型外壁板が広ければ何台でも設置できる。
【0037】
図2は、潮の満ち引きは1日に約4回(満ち潮2回+引き潮2回)行われるので、干潮時から満ち潮の時の形態と、満潮時から引き潮の時の形態を(1)~(5)図で説明する。
【0038】
図2-(1)の左側は、潮が満って来て貯放水路ゲート1Aの発電装置が稼働している状態図で、2Aと2B間の1A貯放水路ゲートの10Aフロートタンクと下部の12、13Aの浮力エアーを排出して沈めて水路を遮断、海面差の海水を3Aの水導管で10Bの発電装置に誘導して発電させ、3Bの水導管で2Bに放水している図である。
【0039】
図2-(1)の右側は、1Aと遅延作動をさせた1Bが2Aと2Cの海面差がなくなるまで放水発電させている図で、1Bの発電が停止する前までには1Aが正常に給水発電を稼働しているので、給電が停止しない。
【0040】
図2-(2)は、満ち潮途中図で、1Aと1Bゲートで共に給水発電をして、貯水槽2B、2Cに外海2Aの海水を給水している図である。
【0041】
図2-(3)は、満潮の潮止まり図で、右側の1Bゲートの水路は開放して、遅延作動していた左側の1Aゲートで、2A2Bの海面差がなくなるまで給水発電を行う。
【0042】
図2-(4)は、引き潮途中図で、貯放水路ゲート1Aと1B共に貯水槽2B2Cの海水を外海2Aに放水発電をしている図である。
【0043】
図2-(5)は、干潮図で、左側の1Aゲートの水路は開放され、右側の1Bゲートで遅延作動させた2Cの潮位が、満ち潮になって外海2Aと同位になるまで放水発電を行う。
【0044】
図2は、1回分の海水の満ち引きを5図に分けて説明したもので、あとはその繰り返しで、永久的に発電装置が故障しない限り、稼働し続けることになる。
【0045】
満ち潮時の形態から詳しく説明する。
図3は干潮時、外海の海面差がない時間、貯放水路ゲート1Aのフロートタンク10A,Cは、下の水路開閉用タンクにエアーを注入してブロック内の水路6A,Bを開放する。潮が満ちて来ると、外海2Aから中海2Bに、水路には潮の流れが生じる。その時、外海側の水路口密着シート内に設置された上部圧力センサー17Aに、外海側のフロートタンクが接触する。
【0046】
水路内の水流が大きくなると、接触圧力が大きくなり設定圧力で12A、13A開閉用タンクのエアーを排出する電磁弁を作動させてタンクを沈めると、水路6Aが遮断される。その時の上面図が
図4である。
【0047】
図5は、水路を遮断すると、外海2Aの海面が中海2Bより高くなり、圧力センサー17A,Bの圧力値も大きくなってある設定値で、フロートタンク10A2中部の浮力エアーを電磁弁で排出して、水導管口10A3を海面下に沈める。
【0048】
図6は、
図5を外海側水路から10Aを見た横側面図で、水導管口10A3を10A2の浮力エアーを排出して海面下に沈め、圧力センサー17A,Bが水路縁に位置し、水密点検窓18と圧縮空気ホースの配管、各フロートタンク上下限ストッパーと連結金具20を図示した。
【0049】
水導管口に入った海水は、激流となって水導管3Aを下りスライド床3A1を押し下げ開放口を遮断(
図8-a)、中央の水導室内(
図9)の半射板9B1で半面水車羽に送られ、水車軸に直結された立型発電機を潮止まり前まで稼働させる。
【0050】
水導室を通過した水流は、水導管3Bに流れ込んで3Bのスライド床3B1を押し下げ開口させ、海水を水路に流す。(
図8-b)その間8Aの発電された電気は発電所に送電される。
【0051】
密着シートに取付けた圧力センサー17A,Bで維持させながら満ち潮に対応、満潮時間が近くなっても内外海面差が大きい時は、下の水路開閉用タンクにエアーを注入して水路を解放、水量調節を発電所から遠隔操作で行う。
【0052】
外海と貯水槽の海面差が小さくなると、圧力センサーが作動してフロートタンク10A2と12A、13A水路遮断用タンクにも浮力エアーを注入して水導管口を水中から浮かせ水路も開放する。
【0053】
干潮、満潮の潮止まりの時は、貯放水路ゲート1A1Bのどちらかが遅延作動をして発電するので、発電所に発電供給が中断することがない。
【0054】
これから引き潮時の形態を詳しく説明する。
貯放水路ゲート1Aでは、引き潮になって、貯水槽2Bの海水が外海2Aへ水路内を流れる様になる。
【0055】
今度は、上部水路遮断用フロートタンク10C1が、内海側水路口6Bの密着シート内の圧力センサー17Cに接触して、ある設定値で下部水路遮断用フロートタンク12C、13Cの電磁弁を作動させ、水路遮断用タンク内のエアーを排出、沈めて内海側水路6Bをタンク重みと水圧で遮断させる。
【0056】
外海の海面が、貯水槽海面より下がると、圧力センサー17C,Dが電磁弁を作動、10C2の浮力エアーを排出して水導管口10C3を沈める。満ち潮のときは、排水口だった水導管口が、今度は給水口になる。
【0057】
図7は、貯水槽2Bの海水を10Bの水導室9A(
図9)に送ると、設置した発電機の水車軸羽が、満ち潮時と同回転する様に室内の水流を半射板9B2で反対側半分に当てて、満ち潮同様、潮止まり前まで稼働させることが出来る。
【0058】
図10は、貯放水路ゲート1A水路内のフロートタンク3台を陸揚げして、水路給排水口4Eを開き、潮の流れと干満差CDを図示した図で、発電装置の点検などでタンクを陸揚げしたときは、他の装置との影響を無くすため、両側の水路給排口を遠隔電動4Aか、上から手動4Bで水路開閉軸ネジ4Dを回し蓋4Cで水路口を閉める。
【0059】
図11は、浮力用圧縮空気ホースをフロートタンクに接続して、電磁弁の給入で浮かせ、排出で沈めるが、タンク内の水位が異常に上昇してホース内に水が入らない様に、タンク内の給排口に取付ける水面センサー図である。(a)は正常状態、(b)は異常で海面が水面フロート16Cを押し上げ玉フロート16Bでエアー給排口16Aの穴を塞いでいる動作図である。
【0060】
図12は、発電装置本体を潮汐で海底に脱着できる作動図で、ドックで整備された本体の水路開閉蓋を全て閉めて、満潮の時浮かべて設置場所真上に移動、岸壁にロープで固定する。次に水路蓋を開けて貯水槽に海水を入れると、本体が沈み海底の基礎アンカー鏃先が、本体底板に装備している段違い円錐アーム内のセンター穴に滑り込んで、中に入ると鏃の下部幅が広がって抜けなくなり、本体を海底に設置出来る。(A)
【0061】
今度は本体を海底から離脱させるには、干潮時に貯水槽内の海面が外海と同じにして、水路蓋を全て閉めると満ち潮時に本体には浮力が生じる。その時、円錐アーム内鏃上のパイプを車両甲板から鏃の中程まで下して鏃の下部幅を狭めると、潮が満ってきて、円錐アームとパイプが上昇するので、基礎アンカーから外れる。(B)
【0062】
図13は、潮汐発電装置本体の海中設置図である。この図では、これまで解説した潮汐発電装置の配置と全体の全容を図示したものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
一般社団法人グリーンピースジャパン(2012年11月発行)の調べによると、業種ごとの生産額に占める電気代の割合が一番高い企業は、圧縮ガス液化ガス製造業、二位は製氷業になっているが、海岸縁の工業地帯に、この発電装置を設置して電気を供給してやると、生産性向上で、企業が潤うと思う。
【0064】
また現在日本の造船業界では、高い電気代の支払いで利益が少なく、造船価格が安い他国に隻数で負けてきた。そこでこの装置を近くの艤装岸壁内に設置して電気代の支払いをなくして、この装置を製造することで日本の造船業界の未来が開けてゆくと思う。
【0065】
日本周辺の無人島は、6,432島有るそうですが、この装置を浅瀬の海底に設置すると、いろんな企業が島を独占開発できると思います。また有人島では、416島で本土から海底ケーブルや海上空線で高い電気料金の支払い、台風上陸が多い日本での風力発電トラブル、原油価格の変動で左右されるディゼル式内燃力発電などを考慮しても、この本装置が解決してくれると思う。
【0066】
この装置の最大の特徴は、全国の造船所で製造出来て、設置場所まで浮かべて搬送できる点で、定期検査でドックに入渠しても、同容量の装置を近くに設置することで、安定した電気をフルに供給できる。
【符号の説明】
【0067】
1A 第1貯放水路ゲート
1B 第2貯放水路ゲート
1C 貯水槽外壁板
1D 貯水槽底板
1E 貯水槽中央仕切板
1F 段違い円錐型アーム
1Fa 海底離脱用パイプ
2A 外海
2B 1A貯水槽
2b 1A貯水槽暗渠
2C 1B貯水槽
2c 1B貯水槽暗渠
3A 1A 第1水導管
3A1 水導管スライド床
3a 1B第1水導管
3B 1A第2水導管
3b 1B第2水導管
4A 水路口開閉電動モーター
4B 水路口開閉手動ハンドル
4C 水路口開閉蓋
4D 水路口開閉軸ネジ
4E 水路給排口
5 水導管連結ピン
6A 外海側水路
6B 内海側水路
6C 水路上蓋
7A フロートタンクスペース
8A 1A発電機
8B 1B発電機
9A 1A水導室
9A1 水車軸
9B 半射板
9C 軸バネ
9D 発電機軸キー
10A 1A第1フロートタンク
10A1 タンク内エアー区画
10A2 水路開閉タンク収納部
10A3 水導管口
10B 1A第2フロートタンク
10C 1A第3フロートタンク
10a 1B第1フロートタンク
10b 1B第2フロートタンク
10c 1B第3フロートタンク
11 密着シート
12A 水路開閉タンク
13A 水路開閉タンク(大潮用)
14A 重り
15A エアーホースターミナル
15A1 10A2 給排ホース
15A2 12A給排ホース
15A3 13A給排ホース
16 水面センサー
16A エアー吸排口
16B 玉フロート
16C 水面フロート
17A 上部圧力センサー
17B 下部圧力センサー
18 水密点検窓
19 アイボルト
20 上下限ストッパー
21 洗濯バサミ型アンカー鏃
22 ライトウエイ兼ハッチ
23 タラップ
24 制御、送受電区画
25 送受電設備
26 岸壁通路
27 海底基礎ブロック
A,B 潮流方向
C 満潮潮位
D 干潮潮位