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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030273
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/16 20220101AFI20240229BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240229BHJP
   F24H 15/30 20220101ALI20240229BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240229BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20240229BHJP
   F24H 15/168 20220101ALN20240229BHJP
【FI】
F24H15/16
F24H1/18 G
F24H15/30
F24H15/269
F24H15/429
F24H15/168
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133025
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 徳子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA02
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BA37
3L122BB03
3L122BB14
3L122BB15
3L122BC12
3L122EA42
3L122EA46
3L122FA02
3L122FA09
(57)【要約】
【課題】必要な沸き上げ時間を確保できないことによる湯切れを抑制する貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電システム3から得た自家発電電力または商用電力を利用して湯水を加熱することが可能な加熱手段と、加熱手段が貯湯タンク7内の湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置29と、過去の給湯使用量に基づいて1日に必要な目標沸上量を算出する目標沸上量算出手段31と、制御装置29と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置1において、制御装置29は、昼間帯に目標沸上量の全量を沸き上げる昼間の沸き上げ運転を行い、端末装置には、昼間の沸き上げ運転を、深夜帯に全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転に切り替え可能な切替手段34を設け、制御装置29は、切替手段34で昼間の沸き上げ運転を夜間の沸き上げ運転に切り替えられると、深夜帯に夜間の沸き上げ運転を実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムから得た自家発電電力または商用電力を利用して前記湯水を加熱することが可能な加熱手段と、
前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、
過去の給湯使用量に基づいて1日に必要な目標沸上量を算出する目標沸上量算出手段と、
前記制御装置と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記制御装置は、昼間帯に前記目標沸上量の全量を沸き上げる昼間の沸き上げ運転を行い、
前記端末装置には、前記昼間の沸き上げ運転を、深夜帯に前記全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転に切り替え可能な切替手段を設け、
前記制御装置は、前記切替手段で前記昼間の沸き上げ運転を前記夜間の沸き上げ運転に切り替えられると、前記深夜帯に前記夜間の沸き上げ運転を実施し、前記夜間の沸き上げ運転が終了すると、前記昼間の沸き上げ運転に戻すようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記深夜帯の終了時刻より所定時間前の所定時刻を1日の切り替え基準とし、
前記制御装置は、
前記昼間の沸き上げ運転の終了後から前記所定時刻までに前記切替手段が操作された場合、翌日の前記深夜帯に前記全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転を実行するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記深夜帯の終了時刻より所定時間前の所定時刻を1日の切り替え基準とし、
前記制御装置は、
前記所定時刻から前記昼間の沸き上げ運転の開始前までに前記切替手段が操作された場合、当日の前記昼間の沸き上げ運転を行わないようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記昼間の沸き上げ運転の開始から終了前までに前記切替手段が操作された場合、前記昼間の沸き上げ運転を中止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記切替手段が操作されると、強制的に沸き上げ運転を開始する強制沸き上げ運転を行うか否かを選択する選択肢を前記端末装置に表示し、前記強制沸き上げ運転を行うことを選択された場合、前記強制沸き上げ運転を行うことを特徴とする請求項3または4記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムによる電力を用いた沸上運転を行う貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、太陽光発電システムが発電した電力を用いて、昼間帯の時間に効率的な湯水の沸き上げを行うことが知られている。
【0003】
また、近年では太陽光発電システムと貯湯式給湯装置とを設置するユーザー向けとして昼間帯と深夜帯の電気料金を同一にする電気料金プランが知られており、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置では、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムが発電した電力で沸き上げ運転を行い、日の出ていない昼間帯でも深夜帯に沸き上げ運転するのと同等の電気料金で沸き上げ運転を行うので、日の出ている昼間帯に太陽光発電システムで発電した電力を用いて沸き上げる分、電気代を抑えることができる昼間運転貯湯式給湯装置が知られている。
【0004】
また、近年では昼間から夕方にかけての電力の需要過多により、商用電源からの商用電力の供給が間に合わず、電力が逼迫してしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-067381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、太陽光発電システムで電力を得ることができない天気の場合、商用電源からの商用電力を供給する必要があるが、電力が逼迫していると、昼間の沸き上げ運転に必要な電力を供給することができないので、昼間の沸き上げ運転が行えないことにより貯湯タンク内の湯が無くなり、湯切れしてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムから得た自家発電電力または商用電力を利用して前記湯水を加熱することが可能な加熱手段と、前記加熱手段が前記貯湯タンク内の前記湯水を加熱する沸き上げ運転の制御を行う制御装置と、過去の給湯使用量に基づいて1日に必要な目標沸上量を算出する目標沸上量算出手段と、前記制御装置と通信可能な端末装置とを備えた貯湯式給湯装置において、前記制御装置は、昼間帯に前記目標沸上量の全量を沸き上げる昼間の沸き上げ運転を行い、前記端末装置には、前記昼間の沸き上げ運転を、深夜帯に前記全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転に切り替え可能な切替手段を設け、前記制御装置は、前記切替手段で前記昼間の沸き上げ運転を前記夜間の沸き上げ運転に切り替えられると、前記深夜帯に前記夜間の沸き上げ運転を実施し、前記夜間の沸き上げ運転が終了すると、前記昼間の沸き上げ運転に戻すようにした。
【0008】
また、前記深夜帯の終了時刻より所定時間前の所定時刻を1日の切り替え基準とし、前記制御装置は、前記昼間の沸き上げ運転の終了後から前記所定時刻までに前記切替手段が操作された場合、翌日の前記深夜帯に前記全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転を実行するようにした。
【0009】
また、前記深夜帯の終了時刻より所定時間前の所定時刻を1日の切り替え基準とし、前記制御装置は、前記所定時刻から前記昼間の沸き上げ運転の開始前までに前記切替手段が操作された場合、当日の前記昼間の沸き上げ運転を行わないようにした。
【0010】
また、前記制御装置は、前記昼間の沸き上げ運転の開始から終了前までに前記切替手段が操作された場合、前記昼間の沸き上げ運転を中止するようにした。
【0011】
また、前記制御装置は、前記切替手段が操作されると、強制的に沸き上げ運転を開始する強制沸き上げ運転を行うか否かを選択する選択肢を前記端末装置に表示し、前記強制沸き上げ運転を行うことを選択された場合、前記強制沸き上げ運転を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る貯湯式給湯装置においては、切替手段の操作がされた場合、次の日の昼間帯に電力が逼迫する可能性を考慮し、次の日の昼間帯よりも前に夜間の沸き上げ運転を実施しておくことで、昼間帯に電力が逼迫することで起こる湯切れを防止し、使い勝手の良い貯湯式給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における貯湯式給湯装置を含む給湯システムのシステム構成図。
図2】本実施形態のリモコン。
図3】本実施形態の昼間の沸き上げ運転を示すフローチャート。
図4】本実施形態の昼間の沸き上げ運転を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る貯湯式給湯装置1の実施形態を添付図面の図1図2に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における貯湯式給湯装置1を含む給湯システム100のシステム構成図である。
【0016】
給湯システム100は、分電盤2と、太陽光発電システム3と、貯湯式給湯装置1(以下単に「給湯装置1」という。)と、を有する。
【0017】
分電盤2は、太陽光発電システム3および給湯装置1と共に、住宅などの建造物(以下単に「住宅」という。)に設置されている。分電盤2は、商用電源2aおよび太陽光発電システム3に接続されている。分電盤2は、商用電源2aから供給される商用電力および太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を、住宅で使用される給湯装置1や、給湯装置1以外のエアコンなどの宅内の電気負荷機器(以後の説明および図1においては単に「エアコン等6」と示す。)に供給する。
【0018】
太陽光発電システム3は、太陽光発電パネル4と、インバータ5と、を有する。太陽光発電パネル4は、住宅の屋根などに設置される。インバータ5は、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換する。
【0019】
給湯装置1は、貯湯タンク7と、ヒートポンプユニット16と、循環回路24と、リモコン30と、制御装置29と、を有する。
【0020】
貯湯タンク7は、風呂や台所などの給湯端末に供給される湯水を貯湯する。貯湯タンク7は、給水管8と、出湯管9と、給水バイパス管10と、給湯管12と、貯湯温度センサ15と、を有する。
【0021】
給水管8は、貯湯タンク7の底部で貯湯タンク7に接続され、貯湯タンク7に給水する。出湯管9は、貯湯タンク7の頂部で貯湯タンク7に接続され、貯湯タンク7から出湯する。給水バイパス管10は、給水管8から分岐した配管であり、混合弁11を介して出湯管9と接続される。混合弁11は、出湯管9からの湯と給水バイパス管10からの水を、リモコン30によって設定された給湯設定温度になるように混合する。
【0022】
給湯管12は、混合弁11を介して供給される湯水を給湯端末に給湯する。給湯管12は、給湯流量センサ13と、給湯温度センサ14と、を有する。給湯流量センサ13は、給湯流量を検出し、対応する検出信号を制御装置29に出力する。給湯温度センサ14は、給湯温度を検出し、対応する検出信号を出力する。
【0023】
貯湯温度センサ15は、貯湯タンク7内の湯水の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29に出力する。貯湯温度センサ15は、貯湯タンク7の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ15のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。制御装置29は、検出信号を出力する貯湯温度センサ15の個数に基づき(ここでは、TH1~TH7の7つ設けている。)、貯湯タンク7内において湯水が十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出する。
【0024】
ヒートポンプユニット16は、自家発電電力および商用電力で作動し、湯水との熱交換を行い湯水を沸上げる加熱手段である。ヒートポンプユニット16は、圧縮機17と、水冷媒熱交換器18と、膨張弁19と、空気熱交換器20と、冷媒管23と、送風機21と、を有する。
【0025】
圧縮機17は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する。水冷媒熱交換器18は、高温の高圧の冷媒と貯湯タンク7からの水との熱交換を行う。膨張弁19は、水冷媒熱交換器18で熱交換された冷媒を減圧膨張させる。空気熱交換器20は、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる。冷媒管23は、圧縮機17、水冷媒熱交換器18、膨張弁19、および空気熱交換器20に冷媒を循環させる。送風機21は、空気熱交換器20へ外気を送風する。
【0026】
また、ヒートポンプユニット16は、吐出温度センサ22と、外気温度センサ28と、を有する。吐出温度センサ22は、圧縮機17から吐出される冷媒の温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。外気温度センサ28は、外気温度を検出し、対応する検出信号を制御装置29へ出力する。
【0027】
循環回路24は、貯湯タンク7と水冷媒熱交換器18との間で貯湯タンク7内の湯水を循環させる。循環回路24は、加熱往き管25aと、加熱戻り管25bと、加熱循環ポンプ26と、沸上げ温度センサ27と、を有する。
【0028】
加熱往き管25aは、貯湯タンク7の下部と水冷媒熱交換器18の水側入口とを接続する。加熱戻り管25bは、水冷媒熱交換器18の水側出口と貯湯タンク7の上部とを接続する。加熱循環ポンプ26は、加熱往き管25a上に配置され、湯水を循環させる。沸上げ温度センサ27は、加熱戻り管25b上に配置され、検出信号を制御装置29へ出力する。
【0029】
端末装置であるリモコン30は、給湯端末に供給される湯水の設定温度などの給湯装置1に関するユーザーからの指示を受け付ける。
【0030】
制御装置29は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、制御装置29の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。制御装置29は、各種プログラムに従って給湯装置1全体の作動を制御する。制御装置29は、リモコン30と接続され、リモコン30と双方向に通信する。
【0031】
制御装置29は、下記で説明する算出手段と湯水の使用量の履歴に基づいて学習した情報から、貯湯タンク7内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転の制御を行っている。
【0032】
また、沸き上げ運転の時間帯について説明する。まず、1日は、例えば7時から17時までの朝昼帯(以下単に昼間帯とする。)、17時から23時を夜間帯、23時から7時までを深夜帯とし、昼間の沸き上げ運転の時間帯は、太陽光を利用した発電を考慮して、9時から17時までとしている(季節によって変動可)。また、夜間の沸き上げ運転の時間帯は、電気の使用が少ない時間帯である23時から7時までとしている。
【0033】
また、次の日への切り替えは、深夜帯の終了時刻より所定時間前(4時間前)の所定時刻(ここでは、3時)を1日の切り替え基準としている。
【0034】
制御装置29が設けている目標沸上量算出手段31と、使用量実績学習部32と、沸上時刻変更手段33とについて詳しく説明する。
【0035】
目標沸上量算出手段31は、使用量実績学習部32で学習した給湯の使用実績から翌日に必要な貯湯量に基づき、前記昼間帯の開始時刻(この例では7:00)から終了時刻(この例では17:00)までに沸き上げるべき全量である目標沸上量を算出する。制御装置29は、この昼間帯内に沸き上げ運転を実行するのに必要な時間を計算し、可能な限り遅い時間に沸き上げ運転を完了させるように制御している。
【0036】
使用量実績学習部32は、給湯流量センサ13からの検出信号(給湯湯量を表す)と、給湯温度センサ14の検出信号(給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力され、入力された給湯湯量を、給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば43[℃])の使用量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎のユーザーによる1日分の湯水の使用量を学習する。1日分とは、深夜帯の終了時刻(ここでは7時)より所定時間前(4時間)の所定時刻(3時)から次の深夜帯の終了時刻(ここでは7時)より所定時間前(4時間)の所定時刻(3時)までの使用量に基づいている。
【0037】
この所定時刻が3時であるのは、3時から深夜帯終了時刻の7時までの4時間で貯湯タンク7内の湯水の全量を沸き上げることが可能であるためであり、貯湯タンク7のサイズや季節によって適宜変更して良い。
【0038】
沸上時刻変更手段33は、後述するリモコン30に設けられた切替手段34がどのタイミングで操作されたかに応じて、沸き上げ運転の時間を変更する。
【0039】
次に電力の逼迫について説明すると、電力の供給よりも電力の需要が多くなると、電力が足りなくなり、一時的に電力が制限されたり、一部地域によっては計画的に停電することが予想される。翌日に電力の逼迫する旨は、テレビやネットで事前に(ここでは、電力が逼迫される予想を前日の昼間帯以降に報知される。)報知されるため、ユーザーは翌日の電力の逼迫に備えることが可能である。特に昼間の沸き上げ運転時に電力の逼迫が起きて、電力が制限されると、予定していた沸き上げ運転が行えない可能性がある。
【0040】
切替手段34はリモコン30に設けられており、スイッチやレバー、もしくはメニュー操作にてモード設定できるもので、逼迫モードへの移行をユーザーが任意に設定することができる。この切替手段34は、昼間の沸き上げ運転を、深夜帯に全量を沸き上げる夜間の沸き上げ運転に切り替え可能であり、昼間の電力が逼迫してしまうことで、昼間の沸き上げ運転が実施できず、貯湯タンク7内の湯が無くなって湯切れしてしまわないように夜間に沸き上げ運転を実行するように切り替えることができる。
【0041】
また、昼間の電力が逼迫することが予想される場合、運転中の昼間の沸き上げ運転を停止、もしくは、今日の昼間の沸き上げ運転を中止することで、商用電力の使用を抑制し、電力が逼迫しないように抑えることができる。
【0042】
次に本実施形態の沸き上げ運転と切替手段34について図3図4のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
昼間の沸き上げ運転の終了後以降(S1がYes)、切替手段34が操作されたかを確認し(S2)、操作されていない場合は(S2がYes)、次の日への切り替えタイミングである所定時刻(ここでは、3時)へ到達したかを確認する(S3)。
【0043】
所定時刻が経過すると(S3がYes)、目標沸上量算出手段31は、使用量実績学習部32で学習した湯の使用量履歴に基づいて必要な目標沸上量を算出し(S4)、制御装置29は、昼間の沸き上げ運転を開始してから終了するまでに必要な沸き上げ運転時間を算出し(S5)、昼間の沸き上げ運転の終了時刻(ここでは17時)から算出した必要な沸き上げ運転時間遡り、昼間の沸き上げ運転の開始時刻を算出する(S6)。
【0044】
制御装置29は、所定時刻以降に切替手段34が操作されたかを確認し(S7)、切替手段34が操作されていない場合(S7がYes)、算出した昼間の沸き上げ運転の開始時刻に到達したかを確認する(S8)。
【0045】
S6で決定した沸き上げ運転開始時刻に到達した場合(S8がYes)、制御装置29は、予測される1日の使用量分の昼間の沸き上げ運転を実施する(S9)。ここで、昼間沸き上げ運転中に日が出ていて、太陽光発電システム3による発電がある場合、太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を用いて、昼間の沸き上げ運転を行う。また、日が出ておらず、太陽光発電システム3による発電がない場合、商用電源2aからの電力で昼間の沸き上げ運転を行う。
【0046】
その後、貯湯タンク7内の湯が、必要とする湯水の使用量分の湯量に到達したら(S10がYes)、制御装置29は昼間の沸き上げ運転を終了する(S11)。
【0047】
また、S2で切替手段34で切り替えを行っていた場合(S2がNo)、沸上時刻変更手段33は、昼間の沸き上げ運転から夜間の沸き上げ運転に切り替える(S12)。
【0048】
目標沸上量算出手段31は、使用量実績学習部32で学習した湯の使用量履歴に基づいて必要な目標沸上量を算出し(S13)、制御装置29は、夜間の沸き上げ運転を開始してから終了するまでに必要な沸き上げ運転時間を算出し(S14)、夜間の沸き上げ運転の終了時刻(ここでは7時)から算出した必要な沸き上げ運転時間遡り、夜間の沸き上げ運転の開始時刻を算出する(S15)。
【0049】
S15で決定した沸き上げ運転開始時刻に到達した場合(S16がYes)、制御装置29は、予測される1日の使用量分の昼間の沸き上げ運転を実施する(S17)。
【0050】
その後、貯湯タンク7内の湯が、必要とする湯水の使用量分の湯量に到達したら(S18がYes)、制御装置29は昼間の沸き上げ運転を終了する(S19)。その後、沸上時刻変更手段33は、夜間の沸き上げ運転を昼間の沸き上げ運転に切り替え、制御装置29は、切替手段34をOFFに戻す(S20)。
【0051】
このように、昼間の沸き上げ運転の終了後から所定時刻の間に切替手段34の操作がされた場合、次の日の昼間帯に電力が逼迫する可能性を考慮し、次の日の昼間帯よりも前に夜間の沸き上げ運転を実施しておくことで、昼間帯に電力が逼迫することで起こる湯切れを防止し、使い勝手の良い貯湯式給湯装置1を提供することができる。
【0052】
また、S7で切替手段34をONに切り替えられた場合、夜間の沸き上げ運転が間に合わないため、沸上時刻変更手段33は、リモコン30に今から沸き上げ運転を強制的に行う強制沸き上げ運転を実施するか否かを選択する表示を行い、ユーザーが強制沸き上げ運転の実施を選択したとき(S21がYes)、制御装置29は、強制沸き上げ運転を実施する(S22)。
【0053】
強制沸き上げ運転は所定の終了条件を満たすと(S23がYes)、沸き上げ運転を停止する(S24)。この所定の終了条件とは、例えば、沸き上げ運転を実施してから必要とする湯水の使用量分の湯量を沸き上げる全量沸き上げ、また、電力が逼迫する可能性がある時間まで沸き上げ運転を行う終了時間沸き上げ、また、ユーザーが沸き上げ運転の運転時間を設定する設定時間沸き上げ等がある。
【0054】
このように、所定時刻から昼間の沸き上げ運転までの間に切替手段34の操作がされた場合、深夜帯での沸き上げ運転で事前に沸き上げ運転を行うことはできないため、電力の逼迫が起こる前に強制沸き上げ運転を行うことで、早急に貯湯タンク7内に湯を沸き上げることができるので、湯水を所望したときに貯湯タンク7が湯切れしてしまうのを防止することができ、使い勝手の良い貯湯式給湯装置1を提供することができる。
【0055】
また、ユーザーが強制沸き上げ運転を行わないと選択したとき(S21がNo)、昼間の沸き上げ運転を中止する(S24)。
【0056】
このように、ユーザーが今日の沸き上げ運転を実施しなくても問題ないと判断した場合、無駄に沸き上げ運転を行ってしまうことで電力の逼迫を発生する可能性を高めなくて良く、電力の逼迫の抑制に寄与することができる。
【0057】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
【0058】
例えば、S7の切替手段34の操作がS9で沸き上げ運転が開始された後に行われた場合、運転中の沸き上げ運転を中止しても良く、ユーザーが今日の沸き上げ運転を実施しなくても問題ないと判断した場合、無駄な沸き上げ運転を中止して、電力の逼迫の抑制に寄与することができる。
【0059】
また、全量沸き上げ運転に必要な時間を4時間としているが、貯湯タンク7の容量やヒートポンプユニット16の沸き上げ能力によって必要な時間を適宜変更しても良い。
【0060】
また、過去の給湯使用量に基づいて1日に必要な目標沸上量を1度の沸き上げ運転で沸き上げるように記載しているが、1日の湯の使用量が最大貯湯量を上回る場合や、貯湯タンク7内の湯が予め設定された最低貯湯量以下になれば沸き上げ運転を自動または任意のタイミングで複数回行っても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
3 太陽光発電システム
7 貯湯タンク
16 ヒートポンプユニット
24 循環回路
29 制御装置
30 リモコン
31 目標沸上量算出手段
32 使用量実績学習部
33 沸上時刻変更手段
34 切替手段
図1
図2
図3
図4