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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030276
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】オゾン水生成器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/78 20230101AFI20240229BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20240229BHJP
   B01F 21/20 20220101ALI20240229BHJP
   A23L 3/358 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C02F1/78
C02F1/50 531R
C02F1/50 540A
C02F1/50 550C
C02F1/50 550D
B01F21/20
A23L3/358
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133038
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英治
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 晟大
(72)【発明者】
【氏名】早川 壮則
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
【テーマコード(参考)】
4B021
4D050
4G035
【Fターム(参考)】
4B021MK13
4B021MP02
4B021MP03
4D050AA01
4D050AB03
4D050AB06
4D050BB02
4D050BD03
4D050BD04
4D050BD08
4G035AA02
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、オゾンガスを効率的に水と混合する方法を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の酸素を含む原料ガスの流れに沿ってエキシマランプの放電容器を配置したオゾン発生部と、給気管の開口を給水管内の水の流れに沿って配置した気液混合部と、を備えたオゾン水生成装置であって、前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、酸素を含む原料ガスを前記オゾン発生部に取り込み、前記エキシマランプが放射した紫外線により生成されたオゾンガスを、前記給気管の開口から前記給水管を流れる水に混合して、オゾン水を生成することを特徴とするオゾン水生成装置によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む原料ガスの流れに沿ってエキシマランプの放電容器を配置したオゾン発生部と、
給気管の開口を給水管内の水の流れに沿って配置した気液混合部と、
を備えたオゾン水生成装置であって、
前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、酸素を含む原料ガスを前記オゾン発生部に取り込み、前記エキシマランプが放射した紫外線により生成されたオゾンガスを、前記給気管の開口から前記給水管を流れる水に混合して、オゾン水を生成することを特徴とするオゾン水生成装置。
【請求項2】
前記エキシマランプは、
内側管と外側管とを溶着して形成した放電容器と、
前記内側管の内側に配設された内側電極と、
前記外側管の外側に非接触で同軸状に配設された外側電極と、
を備え、
前記外側管と前記外側電極との間に形成された非放電領域に、前記放電容器の内部の放電領域から放射された紫外線が照射される、
請求項1に記載のオゾン水生成装置。
【請求項3】
前記外側電極は、前記給気管と気密状態で一体に接続された流路管の一部を構成し、
前記非放電領域で生成されたオゾンガスが、前記給気管に流入する、
請求項2に記載のオゾン水生成装置。
【請求項4】
前記気液混合部の給水管は、小径部と前記小径部の上流側に大径部と前記小径部の下流側に拡径部とを含み、
前記給気管の開口は、前記小径部または前記拡径部に配置され、
前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、前記給水管を流れる水にオゾンガスを前記給気管の開口から混合してオゾン水を生成する、
請求項3に記載のオゾン水生成装置。
【請求項5】
前記気液混合部は、
前記大径部の上流側に流入部を含み、前記拡径部の下流側に流出部を含み、
前記流入部及び前記流出部の内径は、前記大径部の内径以下であり、
前記流入部の内径と前記流出部の内径は等しい、
請求項4に記載のオゾン水生成装置。
【請求項6】
鉛直方向に沿って同軸状に配置した内側管及び外側管を含む気液分離部を備え、
前記内側管は、前記外側管の下部から外側管に挿入され、外側管の内部で上側開口を有し、
前記気液混合部で生成されたオゾン水を内側管の下方から流入させ、そして前記上側開口から外側管内に流出させ、水に溶解していない余剰オゾンガスを分離し、
前記余剰オゾンガスは、前記外側管の上側開口から流出させ、
余剰オゾンガスが分離されたオゾン水は、前記外側管の下側開口から流出する、
請求項5に記載のオゾン水生成装置。
【請求項7】
酸素を含む原料ガスは、装置外から除湿部を通って前記オゾン発生部に取り込まれ、
前記気液分離部で分離された余剰オゾンガスは、オゾン除去部を通って装置外へ排出され、
前記除湿部、前記オゾン発生部、前記気液混合部、前記気液分離部、及び前記オゾン除去部の気体の流れと、
前記気液混合部、及び前記気液分離部の液体の流れとは、それぞれ鉛直方向に沿って流れるように配置された、
請求項6に記載のオゾン水生成装置。
【請求項8】
前記エキシマランプに高周波高電圧を印加するランプ電源部と、
前記気液混合部に供給する水の流量を調整する流量調整部と、
前記ランプ電源部と前記流量調整部とを制御する制御部と、
前記ランプ電源部と前記制御部とに電力を供給する低圧電源部と、
装置内部空間を区画する隔壁とを有し、
前記隔壁の一方の側面の空間領域には、
前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管を配置し、
前記隔壁の他方の側面の空間領域には、
前記オゾン発生部を含む気体が流れる配管と、
前記制御部、前記低圧電源部を含む低電圧で動作する低電圧回路と、
前記ランプ電源を含む高周波高電圧を発生する高周波高電圧回路とを配置する
請求項1~6のいずれか一項に記載のオゾン水生成装置。
【請求項9】
装置背面側から前記流量調節部に水を供給する流入口と、
装置正面側から前記気液分離器で余剰オゾンガスが分離されたオゾン水が放出される流出口と、
前記オゾン発生部に流入する原料ガスを除湿する除湿部と、
前記気液分離部で分離されたオゾンガスを除去するオゾン除去部と、
を有し、
前記除湿部と前記オゾン除去部とは、前記隔壁の一方の側面の空間領域において、前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管よりも、装置正面側に配置した、
請求項8に記載のオゾン水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水は、サラダなどの食品をオゾン水で洗浄することによる殺菌、及び衣類の漂白などに用いられている。
オゾン水の生成方法としては、オゾンガスを生成し、得られたオゾンガスを水と混合する方法(特許文献1~4)、及び電気分解により生成する方法が知られている。オゾンガスの生成方法としては、放電方式と紫外線照射方式が知られている。しかし、放電方式はオゾンガス以外に窒素酸化物が生成され、そして窒素酸化物が空気中の水分と反応して硝酸が生成されるため、接触した金属を腐食させることが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3048023号公報
【特許文献2】特開平06-285344号公報
【特許文献3】国際公開第2000/009243号
【特許文献4】特開2000-334283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、紫外線照射方式により、オゾンガスを生成し、オゾンガスを水と混合してオゾン水を生成する方法を試みた。しかしながら、従来の方法では、効率的にオゾンガスを水と混合することは困難であった。
従って、本発明の目的は、オゾンガスを効率的に水と混合する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、紫外線照射方式により得られたオゾンガスを効率的に水と混合し、オゾン水を製造する方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、特定の構造を有する気液混合部を備えるオゾン水生成装置により、効率的にオゾン水を生成できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]酸素を含む原料ガスの流れに沿ってエキシマランプの放電容器を配置したオゾン発生部と、給気管の開口を給水管内の水の流れに沿って配置した気液混合部と、を備えたオゾン水生成装置であって、前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、酸素を含む原料ガスを前記オゾン発生部に取り込み、前記エキシマランプが放射した紫外線により生成されたオゾンガスを、前記給気管の開口から前記給水管を流れる水に混合して、オゾン水を生成することを特徴とするオゾン水生成装置、
[2]前記エキシマランプは、前記内側管と前記外側管とを溶着して形成した放電容器と、前記内側管の内側に配設された内側電極と、前記外側管の外側に非接触で同軸状に配設された外側電極と、を備え、前記外側管と前記外側電極との間に形成された非放電領域に、前記放電容器の内部の放電領域から放射された紫外線が照射される、[1]に記載のオゾン水生成装置、
[3]前記外側電極は、前記給気管と気密状態で一体に接続された流路管の一部を構成し、前記非放電領域で生成されたオゾンガスが、前記給気管に流入する、[2]に記載のオゾン水生成装置、
[4]前記気液混合部の給水管は、小径部と前記小径部の上流側に大径部と前記小径部の下流側に拡径部とを含み、前記給気管の開口は、前記小径部または前記拡径部に配置され、前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、前記給水管を流れる水にオゾンガスを前記給気管の開口から混合してオゾン水を生成する、[3]に記載のオゾン水生成装置、
[5]前記気液混合部は、前記大径部の上流側に流入部を含み、前記拡径部の下流側に流出部を含み、前記流入部及び前記流出部の内径は、前記大径部の内径以下であり、
前記流入部の内径と前記流出部の内径は等しい、[4]に記載のオゾン水生成装置、
[6]鉛直方向に沿って同軸状に配置した内側管及び外側管を含む気液分離部を備え、前記内側管は、前記外側管の下部から外側管に挿入され、外側管の内部で上側開口を有し、前記気液混合部で生成されたオゾン水を内側管の下方から流入させ、そして前記上側開口から外側管内に流出させ、水に溶解していない余剰オゾンガスを分離し、前記余剰オゾンガスは、前記外側管の上側開口から流出させ、余剰オゾンガスが分離されたオゾン水は、前記外側管の下側開口から流出する、[5]に記載のオゾン水生成装置、
[7]酸素を含む原料ガスは、装置外から除湿部を通って前記オゾン発生部に取り込まれ、前記気液分離部で分離された余剰オゾンガスは、オゾン除去部を通って装置外へ排出され、前記除湿部、前記オゾン発生部、前記気液混合部、前記気液分離部、及び前記オゾン除去部の気体の流れと、前記気液混合部、及び前記気液分離部の液体の流れとは、それぞれ鉛直方向に沿って流れるように配置された、[6]に記載のオゾン水生成装置、
[8]前記エキシマランプに高周波高電圧を印加するランプ電源部と、前記気液混合部に供給する水の流量を調整する流量調整部と、前記ランプ電源部と前記流量調整部とを制御する制御部と、前記ランプ電源部と前記制御部とに電力を供給する低圧電源部と、装置内部空間を区画する隔壁とを有し、前記隔壁の一方の側面の空間領域には、前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管を配置し、前記隔壁の他方の側面の空間領域には、前記オゾン発生部を含む気体が流れる配管と、前記制御部、前記低圧電源部を含む低電圧で動作する低電圧回路と、前記ランプ電源を含む高周波高電圧を発生する高周波高電圧回路とを配置する[1]~[6]のいずれかに記載のオゾン水生成装置、及び
[9]装置背面側から前記流量調節部に水を供給する流入口と、装置正面側から前記気液分離器で余剰オゾンガスが分離されたオゾン水が放出される流出口と、前記オゾン発生部に流入する原料ガスを除湿する除湿部と、前記気液分離部で分離されたオゾンガスを除去するオゾン除去部と、を有し、前記除湿部と前記オゾン除去部とは、前記隔壁の一方の側面の空間領域において、前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管よりも、装置正面側に配置した、[8]に記載のオゾン水生成装置、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のオゾン生成装置によれば、多くのオゾンを含むオゾン水を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】オゾン水生成器のオゾン発生部の1つの実施態様を示した断面図である。
図2】オゾン水生成器の気液混合部の1つの実施態様を示した断面図である。
図3】オゾン水生成器の気液混合部の1つの実施態様を示した断面図である。
図4】オゾン水生成器のブロック図(接続図)である。
図5】オゾン水生成器の内部構造の模式図である。
図6】オゾン水生成器の前面領域の配置図(A)、中央領域の配置図(B)、及び背面領域の配置図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のオゾン水生成器は、酸素を含む原料ガスの流れに沿ってエキシマランプの放電容器を配置したオゾン発生部と、給気管の開口を給水管内の水の流れに沿って配置した気液混合部と、を備える。本発明のオゾン水生成器は、前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、酸素を含む原料ガスを前記オゾン発生部に取り込み、前記エキシマランプが放射した紫外線により生成されたオゾンガスを、前記給気管の開口から前記給水管を流れる水に混合して、オゾン水を生成する。
【0009】
《オゾン発生部》
オゾン発生部は、エキシマランプを含み、前記エキシマランプが放射した紫外線によりオゾンガスを生成する。前記エキシマランプは、原料ガスに紫外線を照射し、オゾンを発生できる限りにおいて、特に限定されるものではない。好ましいエキシマランプは、内側管及び外側管を有するが、内側管を有しないエキシマランプを用いることもできる。
前記エキシマランプは、好ましくは前記内側管と前記外側管とを溶着して形成した放電容器と、前記内側管の内側に配設された内側電極と、前記外側管の外側に非接触で同軸状に配設された外側電極とを備える。オゾン発生部においては、好ましくは前記外側管と前記外側電極との間に形成された非放電領域に、前記放電容器の内部の放電領域から放射された紫外線が照射される。
【0010】
図1にオゾン発生部の1つの実施態様の断面図を示し、図1に基づいてオゾン発生部1を説明するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
放電容器2は、好ましくは内側管3及び外側管4が溶着して形成される。好ましくは前記内側管3及び外側管4の長軸を、オゾン発生部の原料ガスの流れ5にそって配置する。内側管及び外側管は、内側管を内側とし、そして外側管を外側として同軸状に配置され、内側管と外側管との間に放電領域6が形成される。
【0011】
導電材料からなる筒状の内側電極7は、好ましくは前記内側管3の内側に、同軸状に配置される。導電材料からなる筒状の外側電極8は、限定されるものではないが、好ましくは外側管と非接触状態で、外側管の外側に同軸状に設置される。外側管4と外側電極8とを非接触状態で設置することによって、外側管と外側電極との間に非放電領域9を形成することができる。前記非放電領域9に原料ガスを存在させ、放電領域6で発生した紫外線によりオゾンガスを生成することができる。外側電極は、外側管に接触して設置することも可能であるが、外側管と非接触状態とし、非放電領域9を形成することによって、紫外線が遮られず、オゾンガスを効率的に生成することができる。
オゾン発生部において、好ましくは前記外側電極8が、給気管10と気密状態で一体に接続された流路管11の一部を構成し、前記非放電領域9で生成されたオゾンガスが、前記給気管10に流入する。すなわち、原料ガスは、オゾン発生部の原料ガスの流入口12から流入し、流路管11の非放電領域9において、原料ガスに紫外線照射されることによりオゾンが生成され、精製されたオゾンガスは、オゾン発生部の流出口13から給気管10に供給される。
【0012】
前記原料ガスの流れ5は、後述の気液混合部における給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、酸素を含む原料ガスをオゾン発生部に取り込むことによって発生させることができる。すなわち、限定されるものではないが、ファン又はポンプなどによって原料ガスの流れを形成しなくてもよい。本発明においては、ファン又はポンプによって、原料ガスの流れを形成することもできるが、好ましくは気液混合部における給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、原料ガスの流れを発生させる。
また、外側電極を外側管と非接触状態とし、非放電領域9を形成することによって、エキシマランプの外側電極が原料ガスの流れ5を妨げずオゾン発生部の圧力損失を小さくすることができる。従って、ファン又はポンプなどによる原料ガスの流れを形成しなくても、後述の気液混合部の給水管の流れによる吸引作用によって、原料ガスの流れ5を発生させることができる。
【0013】
放電容器2は、それぞれ石英ガラスなどの誘電材料からなる有底筒状の内側管3と外側管4とを溶着することによって形成することができる。
前記放電容器2に対して、内側管3の内部に配設した内側電極7と、外側管4と非接触状態で配設した外側電極8と、内側電極7と電気的に接続された引出線(図示せず)と給電線(図示せず)と、外側電極8と電気的に接続された外側給電線(図示せず)とを設けて、交流高電圧電源に電気的に接続して、エキシマランプに電力が供給される。
【0014】
放電が生じると、所定スペクトルのエキシマ光が放射される。例えば、放電用ガスがXeガスでは172nm、Arガスでは126nm、Krガスでは146nm、ArBrガスでは165nm、ArFガスでは193nm、KrClガスでは222nm、KrBrガスでは207nmの波長を含む紫外線が放射される。
【0015】
《気液混合部》
気液混合部では、オゾン発生部で生成されたオゾンガスと水とを混合する。前記気液混合部は、吸気管及び給水管を含む。前記気液混合部の給水管は、限定されるものではないが、例えば小径部と前記小径部の上流側に大径部と前記小径部の下流側に拡径部とを含み、前記給気管の開口は、前記小径部または前記拡径部に配置され、前記給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、前記給水管を流れる水にオゾンガスを前記給気管の開口から混合してオゾン水を生成する。前記気液混合部は、限定されるものではないが、例えば前記大径部の上流側に流入部を含み、前記拡径部の下流側に流出部を含み、前記流入部及び前記流出部の内径は、前記大径部の内径以下であり、前記流入部の内径と前記流出部の内径は等しい。
【0016】
図2に気液混合部の1つの実施態様の断面図を示し、図2に基づいて気液混合部21を説明するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
気液混合部21は、吸気管22及び給水管23を含む。気液混合部21の給気管22は、前記オゾン発生部で生成したオゾンガスを気液混合部に供給する。給水管23は、上流に水が流入する流入部24を備え、下流にオゾン水を流出する流出部25を備える。前記給水管23は、上流から大径部26、縮径部27、小径部28、及び拡径部29を備える。
前記給気管23は、前記給水管23の水の流れ30に沿って設置され、端部に開口31を有する。オゾンガスは、吸気管の中を流れ、開口31から給水管の水中に放出される。従って、水の流れ30と、オゾンガスの流れ32とは、オゾンガスと水とが混合される給水管23の開口31において並行である。給気管は、図2の実施態様においては、上部から給水管に平行に(同軸状に)挿入されている。しかしながら、給気管の開口31からのオゾンガスの流れ32が、給水管の水の流れ30と平行になる限りにおいて、吸気管は気液混合部の任意の方向、例えば側方から給水管に挿入されてもよい。例えば、吸気管が側方から給水管に挿入される場合、吸気管は給水管中で下方向に屈曲し、吸気管の開口31を下方向に開放させることができる。それによって、オゾンガスの流れ32と水の流れ30とを平行にすることができる。すなわち、吸気管の開口部分において、給水管と給気管とは、好ましくは同軸状に存在する。また、給気管及び給水管の形状は好ましくは略円柱であるが、例えば、四角柱、五角柱、六角柱、八角柱などでも本発明の効果を得ることができる。
【0017】
前記のとおり、本発明においては、給水管の水の流れによる吸引作用を利用して、オゾン発生部において酸素を含む原料ガスを前記オゾン発生部に取り込む。そして、前記エキシマランプが放射した紫外線により生成されたオゾンガスを、前記給気管の開口から前記給水管を流れる水に混合して、オゾン水を生成する。
【0018】
前記給水管の大径部の内径は、特に限定されるものではないが、13~26mmであり、好ましくは13~15mmであり、より好ましくは14mmである。大径部の長さも特に限定されないが、例えば16~50mmである。
前記給水管の小径部の内径は、特に限定されるものではないが、3~6mmであり、好ましくは3~4mmであり、より好ましくは3mmである。小径部の長さも、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば1~15mmであり、好ましくは1~4mmであり、より好ましくは1mmである。
【0019】
縮径部は、給水管の大径部と小径部とをつなぐ領域であり、給水管の内径が次第に縮小する領域である。縮径部の内径の縮小の程度は、例えば断面図の角度で示すことができる。断面の角度としては、大径部の内面に対する角度で表すことができる。大径部の内面に対する角度は、限定されるものではないが、下限は5度以上であり、ある態様では10度以上であり、ある態様では20度以上であり、ある態様では30度以上であり、ある態様では40度以上である。上限も特に限定されないが、例えば60度以下であり、ある態様では55度以下であり、ある態様では50度以下である。前記上限と下限とは適宜組み合わせることができる。例えば、図2においては45度である。
縮径部の長さも、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば16~100mmであり、好ましくは30~60mmであり、より好ましくは50mmである。例えば、前記角度が小さければ長さは長くなるが、前記角度が大きくなると長さは短くなる。
【0020】
拡径部は、給水管の小径部と、流出部とをつなぐ領域であり、給水管の内径が次第に拡大する領域域である。限定されるものではないが、給水管は直接流出部に結合せずに、給水管の大径部に結合し、そして流出部に結合してもよい。拡径部の内径の拡大の程度は、例えば断面図の角度で示すことができる。断面の角度としては、流出部の内面に対する角度で表すことができる。流出部の内面に対する角度は、限定されるものではないが、下限は5度以上であり、ある態様では10度以上であり、ある態様では20度以上であり、ある態様では30度以上であり、ある態様では40度以上である。上限も特に限定されないが、例えば60度以下であり、ある態様では55度以下であり、ある態様では50度以下である。前記上限と下限とは適宜組み合わせることができる。例えば、図2においては45度である。拡径部の長さも、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば16~100mmであり、好ましくは30~60mmであり、より好ましくは50mmである。例えば、前記角度が小さければ長さは長くなるが、前記角度が大きくなると長さは短くなる。
【0021】
前記給水管の大径部(又は流出部)の内径に対する、小径部の内径の比率は、特に限定されるものではないが、例えば12%~25%であり、好ましくは20%~25%であり、より好ましくは22%である。前記比率であることによって、水とオゾンガスとが効率的に混合されると考えられる。
【0022】
給気管の内径は、特に限定されるものではないが、0.8~2mmであり、好ましくは1.0~1.5mmであり、より好ましくは1.2~1.5mmである。
給気管の開口の位置は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、前記給水管の縮径部と小径部との結合部(小径部の開始部)を含み、その下流に位置することが好ましい。給気管の開口の最も下流の位置は、特に限定されないが、縮径部と小径部との結合部から、20mm以内であり、好ましくは15mm以内であり、好ましくは10mm以内である。前記範囲であることにより、水にオゾンが効率的に溶解し、高い溶存オゾン濃度のオゾン水を得ることができる。
【0023】
給気管の内径に対する、小径部の内径の比率は、特に限定されるものでないが、例えば26%~67%であり、好ましくは33%~50%であり、より好ましくは45%である。前記範囲であることにより、水にオゾンが効率的に溶解し、高い溶存オゾン濃度のオゾン水を得ることができる。
【0024】
前記大径部の上流側の流入部24は、給水管23に水を供給する部位である。流入部24の内径は限定されるものではないが、好ましくは大径部の内径以下である。流入部の内径は、特に限定されるものではないが、13~26mmであり、好ましくは13~15mmであり、より好ましくは13mmである。
給水管23の下流側の流出部25は、得られたオゾン水を、後述の気液分離部に送水する部位である。流出部25の内径は限定されるものではないが、好ましくは大径部の内径以下である。流出部の内径は、特に限定されるものではないが、13~26mmであり、好ましくは13~15mmであり、より好ましくは13mmである。流入部の内径と前記流出部の内径は限定されるものではないが、好ましくは等しい。
【0025】
前記給水管の水の流速は、特に限定されるものではないが、好ましくは5.64m/min~19.5m/minであり、より好ましくは19.5m/minである。前記給水管の水流量は、特に限定されるものではないが、好ましくは3L/minである。
【0026】
本発明においては、気液混合部が前記の構成を有することにより、オゾンガスが水に流入したときの衝撃によるオゾン分解が抑制される。また、オゾン水は、急激に水圧が変化した場合、オゾンガスが脱気されると考えらえる。しかしながらが、気液混合部が前記の構成を有することにより、オゾンガスの脱気が抑制されると考えられ、従ってオゾン水を効率よく生成できる。特に、給気管の開口が、小径部または小径部よりも下流側の拡径部に配置されることによって、オゾン分解、及びオゾンガスの脱気が抑制されると考えられる。例えば、水の流れに対して、略垂直にオゾンガスを流入させると、衝撃によりオゾン分解及びオゾンガスの脱気が生じ、オゾン水の生成の効率が低下すると考えられる。
【0027】
《気液分離部》
気液分離部は、水に溶解していない余剰オゾンガスと、オゾン水とを分離する部位である。気液分離部は、オゾン水及び余剰のオゾンガスが供給される内側管及び余剰オゾンガスとオゾン水とを分離して、それぞれを流出させる外側管を含む。
気液分離部においては、鉛直方向に沿って同軸状に配置した内側管及び外側管を含み、前記内側管は、前記外側管の下部から外側管に挿入され、外側管の内部で上側開口を有する。そして、前記気液混合部で生成されたオゾン水を内側管の下方から流入させ、そして前記上側開口から外側管内に流出させ、水に溶解していない余剰オゾンガスを分離する。また、前記余剰オゾンガスは、前記外側管の上側開口から流出させ、余剰オゾンガスが分離されたオゾン水は、前記外側管の下側開口から流出させる。
【0028】
図3に気液混合部の1つの実施態様の断面図を示し、図3に基づいて気液分離部41を説明するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
外側管42の下部から内側管43が挿入され、内側管43の上端部に開口44を有する。前記気液混合部の流出部25から流れ出たオゾン水には、余剰オゾンガスが含まれているが、余剰オゾンガスを含むオゾン水が内側管の下部から流入し、オゾン水の流れ45に従って、内側管中を上昇し、開口44から外側管42に流入する。外側管内に流入したオゾン水は、外側管42の下方に流れ、外側管42の下方開口46から流出させる。一方、余剰オゾンガスは、外側管42の上方に移動し、オゾンガスの流れ48に従って上方開口47から排出される。また、オゾン水の流入が多すぎる場合は、フロートスイッチ49が作動し、内側管からのオゾン水の流入を停止する。なお、前記余剰オゾンガスには、限定されるものではないが、気液混合部において、水に溶解しなかったオゾンガス、及び水に溶解したが脱気されたオゾンガスが含まれる。
【0029】
前記外側管の内径は、特に限定されるものではないが、例えば25~77mmであり、好ましくは25~51mmであり、より好ましくは31~40mmである。また、外側管の長さも特に限定されるものではないが、例えは、200~300mmであり、好ましくは200mmである。前記内側管の内径は、特に限定されるものではないが、例えば18~60mmであり、好ましくは18~32mmであり、より好ましくは18~22mmである。また、内側管の長さも特に限定されるものではないが、例えは、42~110mmであり、好ましくは42~60mmである。
前記外側管の長さに対する内側管の長さの比率は、特に限定されるものではないが、例えば20%~50%であり、好ましくは20%~30%であり、より好ましくは20%である。前記外側管の内径に対する内側管の内径の比率は、特に限定されるものではないが、例えば33%~53%であり、好ましくは33%~40%であり、より好ましくは33%である。
本発明においては、前記の外側管と内側管との長さ比率、及び前記の外側管と内側管の長さの比率を有することによって、高い溶存オゾン濃度を示すオゾン水が得られ、そして余剰オゾンガスの量が少ないという優れた結果を示す。すなわち、オゾン水と余剰オゾンガスの分離性能が高い。
【0030】
前記気液分離部の内容積は、特に限定されるものではないが、例えば、100~710cmであり、好ましくは150~410cmであり、より好ましくは250cmである。
前記内容積であることによって、従来の機器と比較して、得られるオゾン水の溶存オゾン濃度の上昇速度が速いという顕著な効果を示す。この効果は、気液分離部の内容積が比較的小さいことによる効果であると推定される。
【0031】
本発明のオゾン水生成装置における原料ガス、オゾンガス、オゾン水、及び余剰オゾンガスの流れを、図4を用いて説明する。
酸素を含む原料ガスは、装置外から除湿部を通って前記オゾン発生部に取り込まれる。前記除湿部は、原料ガスを除湿できる限りにおいて、特に限定されないが、例えばシリカゲルによって水分を除湿することができる。
オゾン発生部で発生したオゾンガスは、気液混合部に供給される。一方、水は流量調整部から、気液混合部へ供給される。気液混合部において、水とオゾンガスが混合され、前記の通りオゾン水が生成される。生成されたオゾン水は、気液分離部へ移送される。気液分離部で、前記のようにオゾン水と余剰オゾンガスに分離され、オゾン水は装置外に供給される。一方、余剰オゾンガスは、オゾン除去部を通って装置外へ排出される。前記オゾン除去部は、オゾンガスを除去できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば活性炭によってオゾンを除去することができる。
限定されるものではないが、前記除湿部、前記オゾン発生部、前記気液混合部、前記気液分離部、及び前記オゾン除去部の気体の流れと、前記気液混合部、及び前記気液分離部の液体の流れとは、それぞれ鉛直方向に沿って流れるように配置されることが好ましい。
【0032】
本発明のオゾン水生成装置における配管、電源部、制御部等について図5を用いて説明する。
本発明のオゾン水生成装置は限定されるものではないが、正面領域、中央領域、及び背面領域に分けることができる。例えば背面領域には、前記エキシマランプに高周波高電圧を印加するランプ電源部と、前記ランプ電源部と流量調整部とを制御する制御部と、前記ランプ電源部と前記制御部とに電力を供給する低圧電源部と、オゾン発生部とを設置することができる。また、中央領域には、前記気液混合部に供給する水の流量を調整する流量調整部と、気液混合部と、気液分離部とを設置することができる。更に、正面領域には、オゾン除去部、除湿部を設置することができる。
オゾン水生成装置においては、装置内部空間を区画する隔壁を有してもよく、前記隔壁の一方の側面の空間領域には、前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管を配置することができ、前記隔壁の他方の側面の空間領域には、前記オゾン発生部を含む気体が流れる配管と、前記制御部、前記低圧電源部を含む低電圧で動作する低電圧回路と、前記ランプ電源を含む高周波高電圧を発生する高周波高電圧回路とを配置することができる。
【0033】
更に、本発明のオゾン水生成装置は、装置背面側から前記流量調節部に水を供給する流入口と、装置正面側から前記気液分離器で余剰オゾンガスが分離されたオゾン水が放出される流出口と、前記オゾン発生部に流入する原料ガスを除湿する除湿部と、前記気液分離部で分離されたオゾンガスを除去するオゾン除去部と、を有することが可能である。
また、前記除湿部と前記オゾン除去部とは、前記隔壁の一方の側面の空間領域において、前記流量調整部、前記気液混合部、前記気液分離部を含む液体が流れる配管よりも、装置正面側に配置することができる。
【0034】
図6(A)に示すように、正面領域においては、外気(原料ガス)が除湿部に取り込まれ、取り込まれた外気(原料ガス)が、オゾン発生部に供給される。また、気液分離部からの余剰オゾンガスが、オゾン除去部に移送され、廃オゾンとして排出される。更に、正面領域においては、操作部を有し、気液分離部からのオゾン水を排出する流出口を有する。
図6(B)に示すように、中央領域においては、オゾン発生部から供給されたオゾンガスと流量調節部から供給された水が気液混合部で混合される。得られたオゾン水は、気液分離部で、オゾン水と、余剰オゾンガスに分けられる。
図6(C)に示すように、背面領域においては、オゾン発生部が設置され、ランプ電源部からオゾン発生部に、高周波高電圧回路(ランプ電源部)から高周波高電圧が供給される。また、ランプ電源部及び低電圧部は、制御部によって制御されている。更に、背面領域には水の流入口があり、流入調節部に水を供給している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のオゾン水生成装置は、サラダなどの食品を洗浄する殺菌に用いるオゾン水の製造、又は衣類の漂白に用いるオゾン水の製造に使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・オゾン発生部;
2・・・放電容器;
3・・・内側管;
4・・・外側管;
5・・・原料ガスの流れ;
6・・・放電領域;
7・・・内側電極;
8・・・外側電極;
9・・・非放電領域;
10・・・給気管;
11・・・流路管;
12・・・流入口;
13・・・流出口;
21・・・気液混合部;
22・・・吸気管;
23・・・給水管;
24・・・流入部;
25・・・流出部;
26・・・大径部;
27・・・縮径部;
28・・・小径部;
29・・・拡径部;
30・・・水の流れ;
31・・・給水管の開口;
32・・・オゾンガスの流れ;
41・・・気液分離部;
42・・・外側管;
43・・・内側管;
44・・・開口;
45・・・オゾン水の流れ;
46・・・下方開口;
47・・・上方開口;
48・・・オゾンガスの流れ;
49・・・フロートスイッチ;
図1
図2
図3
図4
図5
図6