(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030281
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】改質フライアッシュを連続して製造可能な浮遊分離装置
(51)【国際特許分類】
B03D 1/24 20060101AFI20240229BHJP
B03D 1/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B03D1/24
B03D1/14 102
B03D1/14 118
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133053
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】506060258
【氏名又は名称】公立大学法人北九州市立大学
(71)【出願人】
【識別番号】597009046
【氏名又は名称】日本アイリッヒ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】高巣 幸二
(72)【発明者】
【氏名】陶山 裕樹
(57)【要約】
【課題】フライアッシュスラリーを連続して処理して、改質フライアッシュスラリーを効率よく、短時間で得るための浮遊分離装置を提供する。
【解決手段】浮遊分離装置は、未燃カーボンを含むフライアッシュと捕集剤とが分散したフライアッシュスラリーが連続して供給される処理槽40と、処理槽40の内壁と隙間を空けた状態で処理槽40内に配置され、処理槽40の内部空間をスラリー循環部と製品回収部とに分割するセパレータ15と、処理槽40内のフライアッシュスラリーを取り出して、該フライアッシュスラリーをスラリー循環部の中央部から上向きに噴出させることで、中央部の上昇流と、上昇流に対向して該上昇流の周囲に発生する下降流とからなるフライアッシュスラリーの循環流をスラリー循環部に形成する循環機構39と、上昇流に気泡を供給する気泡発生装置51と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未燃カーボンを含むフライアッシュと捕集剤とが分散したフライアッシュスラリーを連続して処理して、改質フライアッシュスラリーを製造する浮遊分離装置であって、
前記フライアッシュスラリーが連続して供給される処理槽と、
前記処理槽内壁と隙間を空けた状態で前記処理槽内に配置され、前記処理槽の内部空間をスラリー循環部と製品回収部とに分割するセパレータと、
前記処理槽内のフライアッシュスラリーを取り出して、該フライアッシュスラリーを前記スラリー循環部の中央部から上向きに噴出させることで、前記中央部の上昇流と、前記上昇流に対向して該上昇流の周囲に発生する下降流とからなるフライアッシュスラリーの循環流を前記スラリー循環部に形成する循環機構と、
前記上昇流に気泡を供給する気泡発生装置と、を備えた、浮遊分離装置。
【請求項2】
前記セパレータと前記処理槽内壁との間の隙間の水平方向の大きさは、改質フライアッシュの最大粒径の20倍以上で、かつ前記処理槽の内径の10%以下の範囲にある、請求項1に記載の浮遊分離装置。
【請求項3】
前記処理槽に前記フライアッシュスラリーを供給するための供給ラインを含む供給機構をさらに備え、
前記供給ラインのスラリー供給口は、前記上昇流内に位置する、請求項1に記載の浮遊分離装置。
【請求項4】
前記循環機構は、前記処理槽から前記フライアッシュスラリーを取り出し、該処理槽に戻すための循環ラインを備えており、
前記循環ラインの循環液入口は、前記処理槽の内壁面よりも内側に位置する、請求項1に記載の浮遊分離装置。
【請求項5】
前記製品回収部から改質フライアッシュスラリーを取り出す回収機構をさらに備え、
前記処理槽は、前記気泡が付着して、前記フライアッシュスラリーの液面に浮上した前記未燃カーボンの集合体であるフロスを排出させる排出機構を備えており、
前記回収機構によって改質フライアッシュスラリーを回収しつつ、前記供給機構によって、前記回収された改質フライアッシュスラリーの量、および前記排出されたフロスの量に応じたフライアッシュスラリーを処理槽に供給する、請求項3に記載の浮遊分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライアッシュの改質に好適な浮遊分離装置に関し、特に、未燃カーボンなどの不純物の含有量が所定量以下に低減された改質フライアッシュを連続して製造することが可能な浮遊分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備などで石炭またはバイオマス燃料を燃焼させると、大量のフライアッシュ(石炭灰またはバイオマス灰)が副生成物として生成される。近年、このフライアッシュを資源として有効活用することが検討されている。ところが、未燃カーボンなどの不純物を多く含むフライアッシュは、そのままでは、利用価値が小さい。例えば、フライアッシュは、コンクリートの混和材として有用性が認められつつあるが、フライアッシュをコンクリートの混和材として使用するには、該フライアッシュに含まれる未燃カーボンの量を所定量以下(例えば、3%以下)に低減させる必要がある。なお、本明細書では、未燃カーボンなどの不純物の含有量を所定量以下に低減させたフライアッシュを、「改質フライアッシュ」と称する。また、フライアッシュに含まれる不純物を「未燃カーボン」と総称することがある。
【0003】
従来は、短時間かつ低コストで改質フライアッシュを製造する装置がなかったために、多量に未燃カーボンを含むフライアッシュは、産業廃棄物して処理されていた。ところが、最近になって、比較的短時間かつ低コストで改質フライアッシュを得るための浮遊分離装置が開発された(特許文献1参照)。特許文献1に記載の浮遊分離装置は、下向きに縮小する底部を有し、フライアッシュと捕集剤とを含むフライアッシュスラリーを収容する処理槽と、該処理槽内の液面よりも低い位置からフライアッシュスラリーを取り出して、該フライアッシュスラリーを処理槽の底部に帰還させる循環手段と、フライアッシュスラリーに気泡を供給する気泡発生装置と、を備えている。下向きに縮小する処理槽の底部は、処理後の改質フライアッシュスラリーの取り出しを容易にすることを目的として設けられている。
【0004】
循環手段は、フライアッシュスラリーを処理槽の底部の内周面に沿って該処理槽に供給し、これにより、処理槽内にフライアッシュスラリーの旋回流(渦流)を形成させる。フライアッシュスラリーに含まれる捕集剤は、未燃カーボンに吸着されている。フライアッシュスラリーの旋回流が形成された処理槽に気泡を供給すると、該気泡が効率よく未燃カーボンに吸着した捕集剤に付着することができる。すると、捕集剤に付着した気泡の浮力で未燃カーボンがフライアッシュから引き剥がされ、改質フライアッシュスラリーが短時間かつ低コストで得られる。
【0005】
なお、本明細書では、浮遊分離装置の処理槽に導入されるフライアッシュを含むスラリーを「フライアッシュスラリー」と称し、浮遊分離装置で得られる改質フライアッシュを含むスラリーを「改質フライアッシュスラリー」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の浮遊分離装置では、処理槽にフライアッシュスラリーを投入する工程(第1工程)、処理槽内でフライアッシュスラリーと未燃カーボンを分離する工程(第2工程)、処理槽から改質フライアッシュスラリーを取り出す工程(第3工程)を順に施す必要があり、これら3つの工程を1つの処理槽で同時に実施することができない。すなわち、特許文献1に記載の浮遊分離装置は、処理槽にフライアッシュを連続して投入しつつ、処理槽から改質フライアッシュスラリーを連続して取り出す改質フライアッシュスラリーの連続的な製造処理を行うことができない。そのため、改質フライアッシュスラリーを得るための処理時間の短縮に関して未だ改良の余地がある。
【0008】
そこで、本発明は、フライアッシュスラリーを連続して処理して、改質フライアッシュスラリーを効率よく、短時間で得るための浮遊分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、未燃カーボンを含むフライアッシュと捕集剤とが分散したフライアッシュスラリーを連続して処理して、改質フライアッシュスラリーを製造する浮遊分離装置であって、前記フライアッシュスラリーが連続して供給される処理槽と、前記処理槽内壁と隙間を空けた状態で前記処理槽内に配置され、前記処理槽の内部空間をスラリー循環部と製品回収部とに分割するセパレータと、前記処理槽内のフライアッシュスラリーを取り出して、該フライアッシュスラリーを前記スラリー循環部の中央部から上向きに噴出させることで、前記中央部の上昇流と、前記上昇流に対向して該上昇流の周囲に発生する下降流とからなるフライアッシュスラリーの循環流を前記スラリー循環部に形成する循環機構と、前記上昇流に気泡を供給する気泡発生装置と、を備えた、浮遊分離装置が提供される。
【0010】
一態様では、前記セパレータと前記処理槽内壁との間の隙間の水平方向の大きさは、改質フライアッシュの最大粒径の20倍以上で、かつ前記処理槽の内径の10%以下の範囲にある。
一態様では、前記浮遊分離装置は、前記処理槽に前記フライアッシュスラリーを供給するための供給ラインを含む供給機構をさらに備え、前記供給ラインのスラリー供給口は、前記上昇流内に位置する。
一態様では、前記循環機構は、前記処理槽から前記フライアッシュスラリーを取り出し、該処理槽に戻すための循環ラインを備えており、前記循環ラインの循環液入口は、前記処理槽の内壁面よりも内側に位置する。
一態様では、前記製品回収部から改質フライアッシュスラリーを取り出す回収機構をさらに備え、前記処理槽は、前記気泡が付着して、前記フライアッシュスラリーの液面に浮上した前記未燃カーボンの集合体であるフロスを排出させる排出機構を備えており、前記回収機構によって改質フライアッシュスラリーを回収しつつ、前記供給機構によって、前記回収された改質フライアッシュスラリーの量、および前記排出されたフロスの量に応じたフライアッシュスラリーを処理槽に供給する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フライアッシュスラリーを連続して処理槽に投入しつつ、循環機構によって処理槽の中央部に、大量の気泡を含む上昇流を発生させることで、処理槽のスラリー循環部に上下方向に流れる循環流を発生させることができる。フライアッシュスラリーが上昇流に乗って上向きに流れている間に、フライアッシュは気泡と接触して、改質フライアッシュが製造され、改質フライアッシュはセパレータと処理槽との間の隙間を通って製品回収部に回収される。一方で、未燃カーボンが未だ付着しているフライアッシュは、再度、上昇流に合流し、改質フライアッシュに変化する。このように、未燃カーボンの付着量に応じたフライアッシュの比重差を利用して、改質フライアッシュスラリーを連続して製造し、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る浮遊分離装置を示す模式図である。
【
図2】
図2(a)は、旋回流発生装置の一例を模式的に示す側面図であり、
図2(b)は、
図2(a)に示す旋回流発生装置の上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すセパレータを模式的に示す断面図である
【
図4】
図4は、スラリー循環部内でのフライアッシュスラリーの第2循環流を説明するための模式図である。
【
図5】
図5(a)乃至
図5(d)は、フライアッシュスラリーから未燃カーボンが除去される様子をそれぞれ示す模式図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る浮遊分離装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る浮遊分離装置を示す模式図である。
図1に示す浮遊分離装置は、未燃カーボンを含むフライアッシュと捕集剤とが分散されたフライアッシュスラリーから未燃カーボンが除去された改質フライアッシュスラリーを連続して得るための装置である。浮遊分離装置に導入されるフライアッシュスラリーは、例えば、未燃カーボンを含むフライアッシュに水と捕集剤とを加えて、ミキサーで攪拌することより製造することができる。一実施形態では、フライアッシュスラリーに、一つ、または複数の液体添加剤をさらに加えてもよい。液体添加剤の例としては、気泡保護剤としてのパイン油があげられる。
【0014】
図1に示す浮遊分離装置は、フライアッシュスラリーを収容する処理槽40と、処理槽40の内壁と隙間を空けた状態で処理槽40内に配置されるセパレータ15と、を備える。セパレータ15は、例えば、図示しない支持部材によって処理槽40の内壁に固定されている。セパレータ15によって、処理槽40の内部空間は、該セパレータ15の上方のスラリー循環部と、セパレータ15の下方の製品回収部とに分割される。
【0015】
図1に示す処理槽40は、処理槽下部(底部)40a、処理槽中央部40b、処理槽上部40c、およびフロス回収枠部40dの四分割体よりなる組立構造体である。処理槽下部40aは、下向きに縮径する円錐部を有するホッパー形状を有する。処理槽中央部40bは、縦円筒槽壁部を有する円筒形状を有している。本実施形態では、セパレータ15は、処理槽中央部40bの下部に位置しており、円板形状を有している。処理槽上部40cは、上向きに縮径する円錐部を有する逆さホッパー形状である。フロス回収枠部40dは、処理槽上部40cの上面周囲を、後述するバブル付着未燃カーボンの集合体であるフロスを回収するためのフロス回収空間SFとして区画している。なお、処理槽40は、上記構成に限定されるものでなく、縦円筒槽壁部を有していればよい。セパレータ15の配置位置も任意であり、セパレータ15は、例えば、処理槽下部40aに配置されていてもよい。
【0016】
さらに、処理槽40は、処理槽上部40cの上端開口であるフロス溢流口41と、フロス回収枠部40dの側壁に形成されたフロス回収口47と、処理槽中央部40bの側壁に形成された水入口44と、を有する。
【0017】
バブル付着未燃カーボンの集合体であるフロスは、フロス溢流口41からフロス回収枠部40dによって区画されたフロス回収空間SFに溢流する。フロス溢流口41は、フロス回収空間SFの中央に位置している。フロス溢流口41を溢流したフロスは、フロス回収枠部40dの側壁に設けられたフロス回収口47を通って、フロス回収管52に流れ込み、フロス回収管52を介して図示しない容器に回収される。
【0018】
水入口44は、給水源(図示せず)に給水管55を介して連結される。給水源は、例えば、浮遊分離装置が設置される工場の水道管であり、給水管55は、水道管に設けられた蛇口に連結される。一実施形態では、水入口44から処理槽40に供給される水は、改質フライアッシュスラリーを脱水した際に得られる水であってもよい。水入口44は、フロスをフロス溢流口41から溢流させるための水を処理槽40に供給するために設けられる。この水入口44は、フロス溢流口41よりも低い位置に配置されていればよい。一実施形態では、水入口44および給水管55を省略してもよい。
【0019】
浮遊分離装置は、さらに、処理槽40内でセパレータ15よりも上方のスラリー循環部にフライアッシュスラリーの循環流を形成させる循環機構39を備える。本実施形態では、循環機構39は、処理槽中央部40bからセパレータ15まで延びる循環ライン49と、該循環ライン49に配置された循環ポンプ50とから構成される。循環液入口43が形成される循環ライン49の先端は、処理槽中央部40bの側壁を貫通して、処理槽40のスラリー循環部内まで延びている。言い換えれば、循環ライン49の循環液入口43は、スラリー循環部内に開口する。本実施形態では、循環ライン49の循環液出口42は、セパレータ15の下面中央部に形成された循環液吐出口15aに後述する気泡発生装置51と旋回流発生装置45とを介して連結される。循環液吐出口15aは、セパレータ15の上面から下面まで延びる貫通孔である。
【0020】
処理槽40にフライアッシュスラリーを貯留した後で、循環ポンプ50を起動すると、処理槽40に収容されたフライアッシュスラリーが循環液入口43から循環ライン49に吸い込まれる。循環ライン49を流れるフライアッシュスラリーは、循環ライン49の循環液出口42が連結されるセパレータ15を介して処理槽40のスラリー循環部に導入される。循環機構39の動作により、セパレータ15の循環液吐出口15aからフライアッシュスラリーが上向き(本実施形態では、鉛直方向上向き)に噴出され、スラリー循環部の中央部にフライアッシュスラリーの上昇流が形成される。
【0021】
循環機構39がフライアッシュスラリーの上昇流を処理槽40のスラリー循環部の中央に形成できる限り、循環ライン49の循環液出口42の配置位置も任意である。例えば、循環液出口42は、セパレータ15よりも上方に配置されていてもよい。
【0022】
浮遊分離装置は、さらに、循環機構39によって形成されたフライアッシュスラリーの上昇流に気泡を供給する気泡発生装置51を備える。気泡発生装置51は、フライアッシュスラリーの上昇流に大量のバブルを注入するための装置であり、例えば、マイクロバブル発生器(図示せず)を含んでいる。
図1に示す気泡発生装置51は、気泡がフライアッシュスラリーの上昇流に乗って未燃カーボンと十分に接触するように、旋回流発生装置45と一体化されている。なお、浮遊分離装置で、旋回流発生装置45を省略してもよい。
【0023】
図2(a)は、旋回流発生装置の一例を模式的に示す側面図であり、
図2(b)は、
図2(a)に示す旋回流発生装置の上面図である。
図2(a)に示す旋回流発生装置45は、円筒形状を有する本体45aと、本体45aの上端に接続される円錐コーン部45bと、を備える。上記した循環ライン49は、本体45aの側壁に接続される。円錐コーン部45bは、上向きに縮径するコーン形状を有している。
【0024】
循環ライン49は、旋回流発生装置45の本体45aの接続点において、該本体45aの内周面の接線方向に延びている。この構成により、円筒形状を有する本体45aにフライアッシュスラリーの旋回流を形成することができる。本体45a内に形成されたフライアッシュスラリーの旋回流は、円錐コーン部45bを通過してセパレータ15に導入される。
【0025】
循環ライン49を流れてきたフライアッシュスラリーは、旋回流発生装置45で形成された旋回流の形態でセパレータ15から処理槽40のスラリー循環部に導入される。これにより、スラリー循環部に上向きに導入されるフライアッシュスラリーの上昇流に旋回速度成分を加えることができる。言い換えれば、循環機構39によって処理槽40に導入されるフライアッシュスラリーは、スラリー循環部の中央を旋回しながら上昇する。
【0026】
なお、旋回流発生装置45の形状および構成は、所望の角速度を有するフライアッシュスラリーの旋回流を処理槽40に導入可能である限り任意である。例えば、上記円錐コーン部45bを省略してもよい。あるいは、旋回流発生装置45を省略してもよい。この場合、セパレータ15から吐出されたフライアッシュスラリーの上昇流は、意図的に加えられた旋回速度成分を有さない。
【0027】
気泡発生装置51が旋回流発生装置45と一体化されている場合、気泡発生装置51は、該気泡発生装置51を流れるフライアッシュスラリーを利用して空気を吸い込むことが可能な自吸機構を備えているのが好ましい。気泡発生装置51は、自吸した空気を、旋回流発生装置45によって生じた旋回流の剪断力を利用して微細化することができる。このような構成により、旋回流発生装置45から処理槽40のスラリー循環部に導入されるフライアッシュスラリーの上昇流に予め気泡を供給しておくことができ、さらに、浮遊分離装置のコンパクト化を達成することができる。一実施形態では、気泡発生装置51を循環ライン49に配置してもよい(
図1の点線参照)。この場合でも、セパレータ15から処理槽40のスラリー循環部に導入されるフライアッシュスラリーの上昇流に予め気泡を供給しておくことができる。
【0028】
図3は、
図1に示すセパレータを模式的に示す断面図である。
図3に示すセパレータ15は、下に凸となる漏斗状部として構成された上面15bを有している。上述した循環液吐出口15aは、セパレータ15の中央部に形成された上面15bの最下端部(すなわち、円錐の頂部)に形成されている。上面15bの漏斗状部のテーパー角θは、0~60°の範囲で任意に設定可能である。なお、水平に配置されたセパレータ15の上面15bの漏斗状部のテーパー角θが0°の場合は、上面15bは、水平方向に延びる。言い換えれば、この場合、上面15bは、漏斗状部を有さない、水平方向に延びる平面である。
【0029】
但し、セパレータ15の上面15bにフライアッシュの堆積を防止することを目的として、セパレータ15の上面15bは、テーパー角が0°よりも大きいテーパー面であるのが好ましく、テーパー角が5°以上であるテーパー面であるのがより好ましい。テーパー角が0°よりも大きければ、セパレータ15の上面15bは漏斗状部として機能し、テーパー角が5°以上であれば、より有効に機能し、フライアッシュの堆積を効果的に防止できる。
【0030】
さらに、
図1に示す浮遊分離装置は、フライアッシュスラリーを処理槽40に連続して供給する供給ライン60と、処理槽底部40aに形成された改質フライアッシュ排出器65と、を有する。スラリー供給口60aが形成される供給ライン60の先端は、処理槽中央部40bの側壁を貫通して、処理槽40のスラリー循環部内まで延びている。本実施形態では、供給ライン60の先端は、上昇流が形成される処理槽40の中央部に位置している。言い換えれば、供給ライン60のスラリー供給口60aは、上昇流内に開口しており、未処理のフライアッシュスラリーを上昇流に直接供給することができる。
【0031】
浮遊分離装置で、フライアッシュスラリーの改質処理を開始するとき、すなわち、処理槽40にフライアッシュスラリーを連続して供給するときは、供給ライン60に配置された供給バルブ(図示せず)を開く。この動作によって、フライアッシュスラリーが供給ライン60を介して処理槽40に連続して供給される。本実施形態では、供給ライン60および供給バルブによって、処理槽40にフライアッシュスラリーを供給するための供給機構が構成される。
【0032】
図1に示す改質フライアッシュスラリー排出器65は、処理槽底部40aの最下端部に連結された排出バルブである。改質フライアッシュスラリー排出器65には、改質フライアッシュスラリー排出管66が連結されている。改質フライアッシュスラリーを回収するときは、改質フライアッシュスラリー排出管66に連結された改質フライアッシュスラリー排出器65を開く。この動作によって、改質フライアッシュスラリーが自然流下で改質フライアッシュスラリー排出管66に流れ込むので、改質フライアッシュスラリーを改質フライアッシュスラリー排出管66を介して図示しない回収容器に回収することができる。本実施形態では、改質フライアッシュスラリー排出器65は改質フライアッシュスラリーの回収弁として機能する。改質フライアッシュスラリー排出管66は、改質フライアッシュスラリーの回収ラインとして機能する。本実施形態では、改質フライアッシュスラリー排出管66および改質フライアッシュスラリー排出器65によって、処理槽40から改質フライアッシュスラリーを取り出す回収機構が構成される。
【0033】
このように構成された浮遊分離装置では、循環機構39の循環ライン49に配置された循環ポンプ50を駆動することで、処理槽40、循環液入口43、循環ライン49、循環液出口42、セパレータ15、および処理槽40をこの順に流れるフライアッシュスラリーの循環流(第1循環流)が形成される。この際、フライアッシュスラリーをセパレータ15を介してスラリー循環部の中央部から上向きに噴出させることで、スラリー循環部の中央部にフライアッシュスラリーの上昇流が発生する。この上昇流によって、スラリー循環部内を上下方向に流れるフライアッシュスラリーの循環流(第2循環流)も発生する。
【0034】
図4は、スラリー循環部内でのフライアッシュスラリーの第2循環流を説明するための模式図である。
図4に示すように、フライアッシュスラリーの上昇流F1は、処理槽40に貯留されたフライアッシュスラリーの液面に到達し、その後、処理槽40の内壁に向かって放射状に流れる(
図4のF2参照)。処理槽40の内壁に向かったフライアッシュスラリーの流れは、その勢いに応じて処理槽40のスラリー循環部を下方に流れる下降流F3に転じる。すなわち、この上昇流によって、スラリー循環部内で処理槽中央部の上昇流F1の周囲に下降流F3が発生する。下降流F3は、セパレータ15の上面に衝突した後、セパレータ15の中央部に向かって流れ、上昇流F1に合流する。このように、循環機構39が処理槽40のスラリー循環部にフライアッシュスラリーの上昇流を形成することで、スラリー循環部を上下方向に流れるフライアッシュスラリーの第2循環流Fcが形成される。
【0035】
ここで、フライアッシュスラリーの上昇流F1には、気泡発生装置51によって発生された大量の気泡が含まれている。気泡は、上昇流F1内のフライアッシュスラリーに含まれる未燃カーボンに捕集剤を介して付着し、気泡が付着した未燃カーボンは、処理槽40の上部に堆積する。このように生成された未燃カーボンはフロスとしてフロス溢流口41から溢れ出す。フロス溢流口41から溢れ出したフロスは、フロス回収口47を通って容器(図示しない)に回収される。浮遊分離装置は、捕集剤とフライアッシュとの表面濡れ性の差を利用して、未燃カーボンに付着する捕集剤にバブルを付着させ、さらに捕集剤を介してバブルが付着した未燃カーボンを浮選処理する。
【0036】
図5(a)乃至
図5(d)は、フライアッシュスラリーから未燃カーボンが除去される様子をそれぞれ示す模式図である。
図5(a)は、フライアッシュFAに未燃カーボンUCが付着している様子を示す模式図である。
図5(a)に示すように、未燃カーボンUCは、フライアッシュFAの表面に付着している。
【0037】
図5(b)は、フライアッシュスラリー内のフライアッシュFAを示す模式図である。未燃カーボンUCは親油性を有しており、フライアッシュFAは親水性を有している。そのため、フライアッシュと捕集剤(例えば、灯油)とが水に均一に分散されたフライアッシュスラリーを生成すると、
図5(b)に示すように、未燃カーボンUCに捕集剤Kが付着する。
【0038】
図5(c)は、捕集剤KにバブルBが付着した様子を示す模式図である。フライアッシュスラリーを導入した浮遊分離装置を稼働すると、気泡発生装置51によって注入された気泡が未燃カーボンUCに付着した捕集剤Kに付着する。捕集剤Kに付着したバブルBには、浮力が働くので、このバブルBの浮力によって、未燃カーボンUCが捕集剤KとともにフライアッシュFAから引きはがされる。
【0039】
図5(d)は、バブル付着未燃カーボンFがフライアッシュFAから引きはがされた様子を示す模式図である。フライアッシュFAから引きはがされた、バブルBが付着した捕集剤Kと未燃カーボンUCは、バブル付着未燃カーボンFを構成する。
図5(d)に示すバブル付着未燃カーボンFの集合体が上記フロスであり、このフロスがフロス溢流口41から排出される。
【0040】
大量の気泡を含む上昇流F1内のフライアッシュスラリー内には、未燃カーボンが完全に除去された改質フライアッシュと、未燃カーボンが一部除去された(および未燃カーボンが除去できなかった)フライアッシュとが存在する。未燃カーボンは水よりも比重が軽いため、未燃カーボンが付着しているフライアッシュスラリー内のフライアッシュには浮力が生じる。したがって、フライアッシュスラリー内において、未燃カーボンが完全に除去されたフライアッシュは、未燃カーボンが一部付着しているフライアッシュよりも重い。そのため、第2循環流Fcにおけるフライアッシュスラリー液面近傍の流れF2において、未燃カーボンが完全に除去されたフライアッシュは、処理槽40の内壁近傍まで流れていく。一方で、未燃カーボンが一部付着しているフライアッシュは、処理槽40の壁面まで到達できずに下降流F3に乗ってセパレータ15まで流れていく。
【0041】
セパレータ15まで流れていった未燃カーボンが一部付着しているフライアッシュは、再度、大量の気泡を含む上昇流F1に合流し、その結果、未燃カーボンが完全に除去された改質フライアッシュとなる。セパレータ15の上面15bの漏斗状部は、未燃カーボンが一部付着しているフライアッシュが再び上昇流F1に合流するのを助けることができるとともに、フライアッシュの堆積を防止する。
【0042】
一方で、未燃カーボンが完全に除去され、処理槽40の壁面近傍まで流された改質フライアッシュは、セパレータ15と処理槽40の内壁との間に形成された隙間を通って、製品回収部に流れ込む。製品回収部に流れ込んだ改質フライアッシュを含む改質フライアッシュスラリーは、改質フライアッシュスラリー排出器65を操作することで、改質フライアッシュスラリー排出管66を介して図示しない回収容器に回収することができる。
【0043】
本実施形態によれば、循環機構39によって処理槽40の中央部に、大量の気泡を含む上昇流F1を発生させることで、処理槽40のスラリー循環部に上下方向に流れる第2循環流Fcを発生させることができる。フライアッシュスラリーが上昇流F1に乗って上向きに流れている間に、フライアッシュは気泡と接触して、改質フライアッシュが製造され、改質フライアッシュはセパレータ15と処理槽40との間の隙間を通って製品回収部に回収される。一方で、未燃カーボンが未だ付着しているフライアッシュは、再度、上昇流F1に合流し、改質フライアッシュに変化する。このように、未燃カーボンの付着量に応じたフライアッシュの比重差を利用して、改質フライアッシュスラリーを効率よく製造し、回収することができる。
【0044】
セパレータ15と処理槽40の内壁との間の隙間の水平方向の大きさは、改質フライアッシュの最大粒径の20倍以上で、かつ処理槽40の内径の10%以下の範囲にあるのが好ましい。隙間が小さすぎると、製造された改質フライアッシュを効率よく製品回収部に回収することができないおそれがある。一方で、隙間が大きすぎると、製品回収部に未燃カーボンが未だ付着しているフライアッシュが流れ込む可能性が高まる。
【0045】
供給ライン60のスラリー供給口60aの配置位置は、処理槽40のスラリー循環部内で有る限り任意である。しかしながら、
図1に示すように、供給ライン60のスラリー供給口60aは、上昇流内に開口しているのが好ましい。この場合、大量の気泡が含まれる上昇流F1に、未処理のフライアッシュスラリーを直接供給できるので、改質フライアッシュスラリーの製造効率が向上する。
【0046】
循環ライン49の循環液入口43の配置位置は、処理槽40からフライアッシュスラリーを循環ライン49に供給できる限り任意である。例えば、循環液入口43を、処理槽40の内壁に設けてもよい。しかしながら、
図1に示すように、循環ライン49の循環液入口43を、処理槽40の内壁面よりも内側に配置させるのが好ましい。この場合、未燃カーボンが一部しか除去されていないフライアッシュスラリーが循環ライン49に流れ込むので、大量の気泡が存在する上昇流F1が主として未燃カーボンが一部しか除去されていないフライアッシュスラリーで構成される。その結果、改質フライアッシュスラリーの製造効率が向上する。一実施形態では、循環ライン49の循環液入口43を、処理槽40内で供給ライン60のスラリー供給口60aと同一の高さに配置してもよい(
図1参照)。
【0047】
図6は、他の実施形態に係る浮遊分離装置を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0048】
図6に示す浮遊分離装置では、循環ライン49の循環液入口43を製品回収部に配置している。この場合、上昇流F1は、主として改質フライアッシュスラリーによって構成される。本実施形態でも、循環ポンプ50を駆動すると、処理槽40、循環液入口43、循環ライン49、循環液出口42、セパレータ15、および処理槽40をこの順に流れるフライアッシュスラリーの循環流(第1循環流)が形成される。より具体的には、第1循環流は、処理槽40の製品回収部、循環液入口43、循環ライン49、循環液出口42、セパレータ15、処理槽40のスラリー循環部、および処理槽40の製品回収部をこの順に流れる。このように、第1循環流のフライアッシュスラリーは、処理槽40のスラリー循環部から抜き出してもよいし(
図1参照)、処理槽40の製品回収部から抜き出してもよい(
図4参照)。
【0049】
次に、浮遊分離装置の運転方法の一例を説明する。
最初に、フライアッシュスラリーを供給ライン60を介して処理槽40に供給する。このとき、処理槽40におけるフライアッシュスラリーの液面レベルが循環液入口43よりも高くなる(例えば、数cm高くなる)ように、フライアッシュスラリーを処理槽40に貯留する。処理槽40に貯留されたフライアッシュスラリーの液面レベルが循環液入口43よりも低いときは、水入口44から水を供給して液面レベルを循環液入口43よりも高くしてもよい。処理槽上部40cの内部空間は、バブル付着未燃カーボンF(
図5(d)参照)が浮上堆積するための空間となる。
【0050】
処理槽40にフライアッシュスラリーを貯留した後で、フライアッシュスラリーを供給ライン60を介して処理槽40に連続して供給するとともに、循環ポンプ50を稼動する。上述したように、循環ポンプ50を駆動すると、処理槽40、循環液入口43、循環ライン49、循環液出口42、セパレータ15、および処理槽40をこの順に流れるフライアッシュスラリーの第1循環流が形成される。さらに、セパレータ15から吐出するフィライアッシュスラリーの上昇流によって、スラリー循環部内を上下方向に流れるフライアッシュスラリーの第2循環流も形成される。
【0051】
循環ポンプ50は、フライアッシュスラリーの循環量を変更可能であるように構成されるのが好ましい。この循環量は、特に限定は無いが、例えば、1分間で処理槽40内のフライアッシュスラリーの0.5~15倍の容量のフライアッシュスラリーが循環する量である。
【0052】
循環ポンプ50の稼動と同期して、気泡発生装置51を稼働させる。気泡発生装置51は、例えば、気泡径最頻値が10μm~200μmであるマイクロバブルを大量にフライアッシュスラリーの上昇流F1に連続して注入する。マイクロバブルは、内圧が高くフライアッシュスラリー中に長く滞留することができ、フライアッシュスラリー中に分散するバブル数、合計表面積、捕集剤との接触割合が通常のバブルに比べてはるかに大きい。このため、上昇流F1に乗ったマイクロバブルは、容易に未燃カーボンに付着した捕集剤に付着する。バブル付着未燃カーボンF(
図5(d)参照)は、処理槽40におけるフライアッシュスラリーの液面に到達する。フライアッシュスラリーの液面に到達したバブル付着未燃カーボンFは、遅れて液面に到達する後続のバブル付着未燃カーボンFにより押し上げられる。このようにしてバブル付着未燃カーボンの集合体であるフロスは、処理槽上部40cのフロス溢流口41から溢流する。
【0053】
フロス溢流口41から、フロス回収枠部40dによって区画されたフロス回収空間SFに溢れ出たフロスは、フロス回収枠部40dの側壁に設けられたフロス回収口47、およびフロス回収口47に接続されたフロス回収管52を介して図示しない容器に回収される。一方で、セパレータ15と処理槽40の内壁との間を通過した改質フライアッシュスラリーは、製品回収部に貯留される。改質フライアッシュスラリーは、改質フライアッシュスラリー排出器65を操作することで、改質フライアッシュスラリー排出管66を介して図示しない回収容器に回収することができる。
【0054】
なお、処理槽40から取り出された改質フライアッシュスラリー、および排出されたフロスの合計量に対応する量のフライアッシュスラリーを供給ライン60を介して処理槽40に連続して供給することにより、改質フライアッシュスラリーを連続して製造することができる。本実施形態の浮遊分離装置を用いることで、非常に短い処理時間で未燃カーボン含有量が低い(例えば、2%以下)改質フライアッシュスラリーを得ることができる。本実施形態では、処理槽40にフライアッシュスラリーを投入する工程(第1工程)、処理槽40内でフライアッシュスラリーと未燃カーボンを分離する工程(第2工程)、処理槽40から改質フライアッシュスラリーを取り出す工程(第3工程)を1つの処理槽40で同時に実施することができる。すなわち、本実施形態に係る浮遊分離装置によれば、改質フライアッシュスラリーを連続して製造することができる。
【0055】
なお、浮遊分離装置による改質フライアッシュスラリーの連続処理を停止させた後、すなわち、処理槽40へのフライアッシュスラリーの供給を停止させた後で、処理槽40に最後に残るフロスについては、水入口44から処理槽40に水を供給することにより、液面レベルを上げて、フロス溢流口41を溢流させればよい。
【0056】
浮遊分離装置で得られた改質フライアッシュスラリーは、他の装置で脱水され、濃縮される。これらの処理により改質フライアッシュが得られる。一実施形態では、脱水・濃縮処理の前に、またはその後で改質フライアッシュを分級処理してもよい。
【0057】
このようにして得られた改質フライアッシュを、少なくとも水およびセメントと混練処理することで様々な製品を製造することができる。例えば、改質フライアッシュを骨材少なくとも一部として、該骨材に少なくとも水およびセメントを混練することでセメント組成物を製造することができる。さらに、改質フライアッシュを骨材少なくとも一部として、該骨材に少なくとも水、セメント、および砂を混練することでフライアッシュモルタルを製造してもよい。さらに、改質フライアッシュを骨材少なくとも一部として、該骨材に少なくとも水、セメント、砂、および砂利を混練することでフライアッシュコンクリートを製造してもよい。
【0058】
これら改質フライアッシュを利用した製品の使用は、環境負荷の観点から好適である。例えば、フライアッシュコンクリートは、改質フライアッシュを使用することで、CO2を多量に排出するキルンにより製造されるセメントの使用量を低減できるため結果的に環境負荷を低減できる。そのため、全国の生コン工場(約3900工場)が上記浮遊分離装置を設備し、上記製造方法でフライアッシュコンクリートを製造することで、これまで使用されていたセメントの使用量が減じられれば、環境負荷を小さくする上で非常に有用である。また、フライアッシュコンクリートは、通常のコンクリートの製造におけるセメントの使用量と同等でありながら、フライアッシュを含んでいることに起因して高強度になる。フライアッシュコンクリートが、通常のコンクリートに比べてセメントの使用量が約2倍である高強度コンクリートに替えて使用され、高強度コンクリートの使用量が減じれば、セメントの使用量を削減できるので、環境負荷を小さくする上で非常に有用である。
【0059】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0060】
15 セパレータ
39 循環機構
40 処理槽
41 フロス溢流口
42 循環液出口
43 循環液入口
44 水入口
45 旋回流発生装置
47 フロス回収口
49 循環ライン
50 循環ポンプ
51 気泡発生装置
52 フロス回収管
55 給水管
60 供給ライン
65 改質フライアッシュ排出器
66 改質フライアッシュスラリー排出管