(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030289
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】モーター、及びロボット
(51)【国際特許分類】
H02K 21/24 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H02K21/24 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133063
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】沖田 太志
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621AA03
5H621BB10
5H621GA04
5H621PP02
5H621PP03
(57)【要約】
【課題】コアを有する電磁石と永久磁石との間の磁極間間隙が大きくなると、磁極間間隙での磁束の乱れが発生する。磁束の乱れが発生することにより、ローター回転時のエネルギー効率は低下する。
【解決手段】界磁を有し、回転軸を中心に回転する回転子と、前記界磁と対向する対向位置に配置されるコア、及び前記コアに巻き掛けられるコイルを有し、前記回転子を回転させる固定子と、前記コイルを固定支持する支持部材と、前記コアを移動させて、前記コアと前記界磁との間の磁極間隔を変動させる移動機構と、を備えるモーター。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界磁を有し、回転軸を中心に回転する回転子と、
前記界磁と対向する対向位置に配置されるコア、及び前記コアに巻き掛けられるコイルを有し、前記回転子を回転させる固定子と、
前記コイルを固定支持する支持部材と、
前記コアを移動させて、前記コアと前記界磁との間の磁極間隔を変動させる移動機構と、
を備えるモーター。
【請求項2】
前記界磁と前記固定子は、前記回転軸に沿って配置される、
請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
前記回転軸に沿って、前記界磁と対向する第2対向位置に配置される第2コア、及び前記第2コアに巻き掛けられる第2コイルを有する第2固定子と、
前記第2コイルを固定支持する第2支持部材と、
前記第2コアを移動させて、前記第2コアと前記界磁との間の第2磁極間隔を変動させる第2移動機構と、
を備える請求項2に記載のモーター。
【請求項4】
前記固定子は、前記界磁に対して前記回転軸と直交する軸に沿って配置される、
請求項1に記載のモーター。
【請求項5】
前記移動機構は、
前記回転子が第1回転速度で回転するとき、前記磁極間隔を第1距離とし、
前記回転子が前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転するとき、前記磁極間隔を前記第1距離よりも大きい第2距離とする、
請求項1に記載のモーター。
【請求項6】
界磁を含んで回転軸を中心に回転する回転子、前記界磁と対向する対向位置に配置されるコアと前記コアに巻き掛けられるコイルを有して前記回転子を回転させる固定子、前記コイルを固定支持する支持部材、及び前記コアを移動させて前記界磁と前記コアとの間の磁極間隔を変動させる移動機構を有するモーターと、
前記モーターによって駆動される駆動部材と、
を備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モーター、及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石と電磁石を有するモーターが知られている。特許文献1に記載されるモーターは、永久磁石が配列されたローターと、永久磁石に対して電磁石を対向配置したステーターと、で構成される。電磁石は、軟鉄で構成されるコアを有する。モーターは、ローターの遠心力とバネ機構によって、永久磁石と電磁石との間の磁極間間隙を拡張変位可能に構成される。ローターの回転数が増加すると、永久磁石はコアを有する電磁石に対して離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるモーターでは、コアを有する電磁石と永久磁石との間の磁極間間隙が大きくなると、磁極間間隙での磁束の乱れが発生する。磁束の乱れが発生することにより、ローター回転時のエネルギー効率は低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のモーターは、界磁を有し、回転軸を中心に回転する回転子と、前記界磁と対向する対向位置に配置されるコア、及び前記コアに巻き掛けられるコイルを有し、前記回転子を回転させる固定子と、前記コイルを固定支持する支持部材と、前記コアを移動させて、前記コアと前記界磁との間の磁極間隔を変動させる移動機構と、を備える。
【0006】
本開示のロボットは、界磁を含んで回転軸を中心に回転する回転子、前記界磁と対向する対向位置に配置されるコアと前記コアに巻き掛けられるコイルを有して前記回転子を回転させる固定子、前記コイルを固定支持する支持部材、及び前記コアを移動させて前記界磁と前記コアとの間の磁極間隔を変動させる移動機構を有するモーターと、前記モーターによって駆動される駆動部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】複数の電磁石と磁石とを周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【
図6】複数の電磁石と磁石の一部とを周方向に展開した断面の拡大構成を示す図。
【
図7】複数の電磁石と磁石とを周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【
図8】複数の電磁石と磁石の一部とを周方向に展開した断面の拡大構成を示す図。
【
図11】複数の電磁石、複数の対向電磁石、及び磁石を周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【
図12】複数の電磁石、複数の対向電磁石、及び磁石を周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【
図13】複数の電磁石、複数の対向電磁石、及び磁石を周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【
図14】複数の電磁石、複数の対向電磁石、及び磁石を周方向に展開した断面の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1実施形態
第1実施形態は、コア駆動機構50を備える永久磁石モーター100の一例を示す。
図1は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図1は、永久磁石モーター100の一例である第1アキシャルギャップモーター100aの概略構成を示している。永久磁石モーター100は、モーターの一例に対応する。
【0009】
図1を含む複数の図は、XYZ座標系を示している。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交している。X軸は、シャフト10の回転軸RAと直交する軸である。+X方向は、
図1の左から右に向かう方向である。-X方向は、
図1の右から左に向かう方向である。Y軸は、シャフト10の回転軸RA、及びX軸と直交する軸である。+Y方向は、
図1の手前から奥に向かう方向である。-Y方向は、
図1の奥から手前に向かう方向である。Z軸は、シャフト10の回転軸RAと平行な軸である。+Z方向は、
図1の下から上に向かう方向である。-Z方向は、
図1の上から下に向かう方向である。
【0010】
第1アキシャルギャップモーター100aは、シャフト10と、外装ケース20と、複数の電磁石30と、回転部材40と、コア駆動機構50と、複数のベアリング60と、を備える。第1アキシャルギャップモーター100aは、モーターの一例に対応する。
【0011】
シャフト10は、回転軸RAを中心に回転する。回転軸RAは、仮想軸である。シャフト10は、円柱体である。シャフト10は、中空の円筒体で構成されてもよい。シャフト10が、円筒体で構成される場合、円筒体の中空部に第1アキシャルギャップモーター100aへの配線が設けられてもよい。
【0012】
外装ケース20は、電磁石30、及び回転部材40を覆う部材である。外装ケース20は、第1ケース21と、第2ケース23と、第3ケース25と、補助ケース27と、を備える。
【0013】
第1ケース21は、第1アキシャルギャップモーター100aの+Z方向の位置に配置される。第1ケース21は、回転部材40の+Z方向の位置に配置され、回転部材40の+Z方向の面を覆う。第1ケース21は、複数のベアリング60のうち、第1ベアリング60aと接続する。第1ケース21は、第1ケース突起部21aを有する。
【0014】
第1ケース突起部21aは、第1ケース21の回転部材40と対向する面に設けられる。第1ケース突起部21aは、第1ケース21から-Z方向に延伸する構成である。第1ケース突起部21aは、電磁石30を構成する巻き線コイル31を固定支持する。巻き線コイル31は、後述される。第1ケース突起部21aは、シャフト10の回転軸RAを中心としたリング形状に構成されてもよい。第1ケース突起部21aは、複数の電磁石30が配置されるそれぞれの位置に設けられる複数の柱部材で構成されてもよい。第1ケース突起部21a、及び第1ケース突起部21aが設けられる第1ケース21は、支持部材の一例に対応する。
【0015】
第2ケース23は、第1アキシャルギャップモーター100aの周面を覆う。第2ケース23は、回転軸RAを中心とする円筒形の部材である。第2ケース23は、第1ケース21の外周部、及び第3ケース25の外周部と接続する。
【0016】
第3ケース25は、第1アキシャルギャップモーター100aの-Z方向の位置に配置される。第3ケース25は、回転部材40の-Z方向の位置に配置され、回転部材40の-Z方向の面を覆う。第3ケース25は、複数のベアリング60のうち、第2ベアリング60bと接続する。
【0017】
補助ケース27は、第1ケース21の+Z方向の面に設けられる。補助ケース27は、コア駆動機構50を支持する。補助ケース27は、コア駆動機構50が配置される位置に設けられる。複数のコア駆動機構50が第1ケース21に配置される場合、複数の補助ケース27が設けられる。補助ケース27は、シャフト10の回転軸RAを中心として周方向に延びる1つの補助ケース27で構成されてもよい。1つの補助ケース27は、複数のコア駆動機構50を支持する。
【0018】
電磁石30は、回転部材40を回転させる磁力を発生させる。第1ケース21には、回転軸RAを中心とした周方向に沿って、複数の電磁石30が配置される。電磁石30は、回転部材40と対向する位置に配置される。電磁石30は、巻き線コイル31と、コア部33と、を備える。電磁石30は、固定子の一例に対応する。
【0019】
巻き線コイル31は、導線を巻き掛けて構成される。巻き線コイル31は、コア部33に巻き掛けられる。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aに固定支持される。巻き線コイル31は、コア部33を移動可能に構成される。巻き線コイル31は、コイルの一例に対応する。
【0020】
コア部33は、磁束FLを通過させる。コア部33は、プレス加工した複数の電磁鋼板を積層した積層部材等で構成される。複数の電磁石30に設けられるコア部33は、1つのステーターコアで構成されてもよい。ステーターコアのティース部が、コア部33に対応する。コア部33は、コアの一例に対応する。
【0021】
回転部材40は、電磁石30が発生した磁力により回転する。回転部材40は、シャフト10と接続する。回転部材40は、回転軸RAを中心にシャフト10を回転させる。回転部材40は、回転支持部材41と、磁石45と、を備える。回転部材40は、回転子の一例に対応する。
【0022】
回転支持部材41は、シャフト10の周面と接続する。回転支持部材41は、回転軸RAを中心とするリング形状の部材である。回転支持部材41の+Z方向の面は、電磁石30、及び第1ケース21と対向する。回転支持部材41の-Z方向の面は、第3ケース25と対向する。
【0023】
回転支持部材41は、磁石45を載置する。磁石45は、回転支持部材41に支持される。
図1に示す磁石45は、回転支持部材41の+Z方向の面に載置される。磁石45は、回転支持部材41に埋め込まれて配置されてもよい。磁石45は、回転支持部材41の一部を構成してもよい。磁石45は、電磁石30と対向する位置に配置される。電磁石30を構成するコア部33は、磁石45と対向する対向位置に配置される。
【0024】
磁石45は、1つの磁石材料で構成されてもよいし、複数の磁石片で構成されてもよい。1つの磁石材料で構成される場合、磁石45は、周方向に沿って複数の磁極46に着磁される。複数の磁石片で構成される場合、複数の磁石片は、周方向に沿って配置される。複数の磁石片のそれぞれが、所定の磁極方向に着磁される。磁石45は、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石等で構成される。磁石45は、界磁の一例に対応する。
【0025】
磁石45と電磁石30とは、Z軸に沿って所定の間隙を有して配置される。巻き線コイル31に電流が流されたとき、磁石45と電磁石30との間の間隙に磁束FLが発生する。発生した磁束FLにより、回転部材40は、回転軸RAを中心に回転する。
【0026】
コア駆動機構50は、コア部33をZ軸に沿って移動させるアクチュエーターである。コア駆動機構50は、電動アクチュエーター、ピエゾアクチュエーター、ソレノイド式アクチュエーター等で構成される。コア駆動機構50は、補助ケース27に支持される。コア駆動機構50は、コア部33を支持する。コア駆動機構50は、機構駆動部51と、スライド移動部53と、を備える。コア駆動機構50は、移動機構の一例に対応する。
【0027】
機構駆動部51は、スライド移動部53を移動させる駆動力を発生させる。機構駆動部51は、駆動力によって、スライド移動部53を、+Z方向、もしくは-Z方向にスライド移動させる。機構駆動部51は、図示しない制御部によって制御される。
【0028】
スライド移動部53は、コア部33をZ軸に沿って移動させる。スライド移動部53の+Z方向の端部は、機構駆動部51と接続する。スライド移動部53の-Z方向の端部は、コア部33を支持する。コア部33がステーターコアで構成される場合、スライド移動部53は、ステーターコアを支持してもよい。スライド移動部53は、ステーターコアをZ軸に沿ってスライド移動させる。ステーターコアがスライド移動することによって、複数のコア部33は、スライド移動する。スライド移動部53は、ボールネジ等で構成される。
【0029】
コア駆動機構50は、巻き線コイル31に対してコア部33を相対移動させる。コア駆動機構50は、巻き線コイル31を移動させない。コア駆動機構50は、コア部33を巻き線コイル31と分離して移動させる。コア駆動機構50は、コア部33を移動させることによって、Z軸に沿ったコア・磁石間距離を変動させる。コア・磁石間距離は、コア部33の-Z方向の面と磁石45の+Z方向の面との間の距離である。コア・磁石間距離は、コアと界磁との間の磁極間隔の一例に対応する。
図1に示すコア駆動機構50は、コア部33をZ軸に沿って、+Z方向、もしくは-Z方向に移動させる。コア駆動機構50が+Z方向にコア部33を移動させると、コア・磁石間距離は、大きくなる。コア駆動機構50が-Z方向にコア部33を移動させると、コア・磁石間距離は、小さくなる。コア駆動機構50は、図示しない制御部の制御によって、駆動される。
図1に示すコア駆動機構50は、コア部33を-Z方向の下限位置に移動させた状態を示している。コア部33の-Z方向の端面は、巻き線コイル31の-Z方向の端面と一致、もしくは略一致する位置に位置する。コア駆動機構50は、コア部33の-Z方向の面を巻き線コイル31の-Z方向の端面よりも-Z方向の位置に移動させてもよい。コア駆動機構50は、コア部33と磁石45とを接触させない。
【0030】
ベアリング60は、シャフト10を回転可能に支持する。ベアリング60は、シャフト10と外装ケース20との間に配置される。
図1に示す第1アキシャルギャップモーター100aは、第1ベアリング60aと第2ベアリング60bとを備える。
【0031】
第1ベアリング60aは、シャフト10と第1ケース21との間に配置される。第1ベアリング60aは、回転支持部材41を介してシャフト10と接続する。第1ベアリング60aは、第1ケース21に対して、シャフト10を回転可能に支持する。
【0032】
第2ベアリング60bは、シャフト10と第3ケース25との間に配置される。第2ベアリング60bは、回転支持部材41を介してシャフト10と接続する。第2ベアリング60bは、第1ベアリング60aの-Z方向の位置に配置される。第2ベアリング60bは、第3ケース25に対して、シャフト10を回転可能に支持する。
【0033】
図2は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図2は、永久磁石モーター100の一例である第1アキシャルギャップモーター100aの概略構成を示している。
図2は、コア駆動機構50によって、コア部33が+Z方向に移動した状態を示している。
【0034】
コア駆動機構50は、コア部33を+Z方向の位置に移動させる。コア部33は、巻き線コイル31に対して、+Z方向に相対移動する。コア駆動機構50が、コア部33を+Z方向に移動させることによって、
図2に示すコア・磁石間距離は、
図1に示すコア・磁石間距離よりも大きくなる。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aによって固定支持される。巻き線コイル31と磁石45との間の距離は、変化しない。複数のコア駆動機構50が配置される場合、複数のコア駆動機構50のそれぞれは、コア部33を+Z方向の位置に移動させる。それぞれのコア駆動機構50が+Z方向にコア部33を移動させる距離は、同一、もしくは略同一である。コア部33の-Z方向の端面は、磁石45に対して、+Z方向に、平行、もしくは略平行に移動する。
【0035】
図3は、磁石45の概略構成を示している。
図3は、磁石45を+Z方向からみた概略図である。
図3に示す磁石45は、1つの磁石部材で構成される。磁石45は、内径、及び外径を有するリング形状に構成される。
【0036】
磁石45は、複数の磁極46に着磁される。磁石45は、周方向に沿って、第1磁極46a、第2磁極46b、第3磁極46c、第4磁極46d、第5磁極46e、及び第6磁極46fの6つの磁極46に着磁される。第1磁極46a、第3磁極46c、及び第5磁極46eの+Z方向の面は、一例として、S極に着磁される。第2磁極46b、第4磁極46d、及び第6磁極46fの+Z方向の面は、N極に着磁される。磁石45の+Z方向の面は、周方向に沿って、S極、N極、S極、N極、S極、N極に着磁される。磁石45の+Z方向の面は、電磁石30と対向する。
【0037】
図3に示す磁石45は、1つの磁石部材で構成されるが、これに限定されない。磁石45は、複数の磁石片で構成されてもよい。磁石45が、複数の磁石片で構成される場合、一例として、6つの磁石片が周方向に沿って、均等配置される。6つの磁石片の+Z方向の面は、S極、もしくはN極に着磁される。+Z方向の面がS極に着磁された磁石片と+Z方向の面がN極に着磁された磁石片は、周方向に沿って交互に配列される。
【0038】
図3に示す複数の磁極46は、S極、N極を交互に配列しているが、これに限定されない。複数の磁極46は、一例として、ハルバッハ配列で着磁されてもよい。磁石45が、ハルバッハ配列で着磁されることにより、所定の方向の磁場強度を増加させることができる。また、磁石45が、ハルバッハ配列で着磁されることによって、コア駆動機構50によるコア部33の移動ストロークを短くすることができる。
【0039】
図4は、複数の電磁石30の概略構成を示している。
図4は、-Z方向から第1ケース21を見た図である。第1ケース21の-Z方向の面には、複数の電磁石30が配置される。複数の電磁石30は、第1ケース21に支持される。複数の電磁石30は、周方向に沿って、均等に配置される。
【0040】
第1ケース21の周方向に沿って、複数のコア部33が、配置される。
図4では、周方向に沿って、9つのコア部33が、配置される。9つのコア部33の周面には、それぞれ巻き線コイル31が巻き掛けられる。コア部33の-Z方向の面は、
図3に示す磁石45と対向する。コア部33の数は、磁石45の磁極46の数と異なる。巻き線コイル31に電流が印加されたとき、発生する磁束FLにより、第1アキシャルギャップモーター100aは、回転駆動する。
【0041】
図5は、複数の電磁石30と磁石45とを周方向に展開した断面の概略構成を示している。
図5は、
図1に示す複数の電磁石30と磁石45とを周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図5に示す複数のコア部33は、1つのステーターコアによって一体に構成されている。ステーターコアは、コア駆動機構50によって、Z軸に沿って移動可能である。
図5に示す第1アキシャルギャップモーター100aは、2極3スロットのシングルステーターモーターである。
【0042】
巻き線コイル31は、図示しない3相交流電源に接続される。1つのコア部33に巻き掛けられる巻き線コイル31には、3相交流のうち1相の信号が供給される。複数の巻き線コイル31は、それぞれU相の信号、V相の信号、W相の信号のいずれかが供給される。複数の電磁石30は、U相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wとして構成される。複数のスロットは、周方向に沿って、U相スロット34U、V相スロット34V、W相スロット34Wの順で配列される。
【0043】
磁石45は、複数の磁極46に着磁される。
図5は、各磁極46の磁化の向きを示している。磁化の向きは、磁極46ごとに反転する。磁石45は、複数の電磁石30と対向する。磁石45は、複数の電磁石30に対して、平行、もしくは略平行に配置される。
【0044】
コア部33と磁石45は、Z軸に沿って第1間隔D1離間して配置される。コア駆動機構50が、Z軸に沿って、コア部33を移動させることによって、コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が、第1間隔D1となる。コア・磁石間距離が第1間隔D1のときの第1アキシャルギャップモーター100aのトルク定数は、第1トルク定数となる。トルク定数は、永久磁石モーター100に流される電流と、永久磁石モーターが発生するトルクとの関係を示す。第1間隔D1は、第1距離の一例に対応する。
【0045】
図6は、複数の電磁石30と磁石45の一部とを周方向に展開した断面の拡大構成を示している。
図6は、
図5に示す複数の電磁石30と磁石45の一部を拡大して示している。
図6は、コア駆動機構50を示している。複数のコア部33は、1つのステーターコアによって、一体で構成される。コア駆動機構50は、ステーターコアをZ軸に沿って移動させることによって、コア部33をZ軸に沿って移動させる。
【0046】
図6は、電磁石30と磁石45との間で発生する磁束FLを模式的に示している。
図6に示す磁束FLは、N極の磁極46からN極の磁極46と対向するコア部33を通って、N極の磁極46と隣り合うS極の磁極46に入っている。
図6に示す磁束FLは、コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が第1間隔D1の場合の磁束を示している。
【0047】
図7は、複数の電磁石30と磁石45とを周方向に展開した断面の概略構成を示している。
図7は、
図2に示す複数の電磁石30と磁石45とを周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図7に示す複数のコア部33は、1つにステーターコアによって一体に構成されている。ステーターコアは、コア駆動機構50によって、Z軸に沿って移動可能である。
【0048】
図7は、コア駆動機構50によって、コア部33が+Z方向に移動したときの状態を示している。コア部33が+Z方向に移動することによって、コア・磁石間距離は、第2間隔D2となる。第2間隔D2は、第1間隔D1よりも大きい。第2間隔D2は、第2距離の一例に対応する。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aによって支持される。コア駆動機構50が、コア部33を+Z方向に移動させたとき、巻き線コイル31は、移動しない。コア部33は、巻き線コイル31に対して+Z方向に相対移動する。コア・磁石間距離が第2間隔D2のときの第1アキシャルギャップモーター100aのトルク定数は、第2トルク定数となる。第2トルク定数は、第1トルク定数よりも小さい。
【0049】
第1トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aの起動トルクは、第2トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aの起動トルクよりも高い。第1トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aの無負荷回転数は、第2トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aの無負荷回転数よりも低い。第1トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aは、第2トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aよりも発生トルクを高くすることができる。第2トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aは、第1トルク定数の第1アキシャルギャップモーター100aよりも高速で回転することができる。
【0050】
第1アキシャルギャップモーター100aが起動するとき、制御部は、コア駆動機構50によって、コア・磁石間距離を第1間隔D1とする。回転部材40の周速度が所定の周速度となったとき、制御部は、コア駆動機構50によって、コア・磁石間距離を第2間隔D2とする。回転部材40が所定の周速度よりも遅い第1周速度で回転するとき、コア・磁石間距離は、第1間隔D1に設定される。回転部材40が所定の周速度よりも速い第2周速度で回転するとき、コア・磁石間距離は、第2間隔D2に設定される。第1周速度は、第1回転速度の一例に対応する。第2周速度は、第2回転速度の一例に対応する。コア・磁石間距離を第1間隔D1から第2間隔D2に変更させたときの第1アキシャルギャップモーター100aの無負荷回転数は、コア・磁石間距離を第1間隔D1から変更させないときの無負荷回転数よりも大きくなる。第1アキシャルギャップモーター100aは、コア・磁石間距離を変更できないモーターよりも、起動トルクを変えることなく高速で回転することができる。
【0051】
コア駆動機構50は、所定の周速度を閾値としてコア・磁石間距離を変更したが、これに限定されない。コア駆動機構50は、適宜コア・磁石間距離を変更してもよい。コア駆動機構50は、コア・磁石間距離を回転部材40の周速度に対応して、連続的に変更してもよい。コア駆動機構50は、複数の閾値でコア・磁石間距離を変更してもよい。
【0052】
図8は、電磁石30と磁石45の一部を拡大した断面の拡大構成を示している。
図8は、
図7に示す複数の電磁石30と磁石45の一部を拡大して示している。
図8は、コア駆動機構50を示している。複数のコア部33は、1つのステーターコアによって、一体で構成される。コア駆動機構50は、ステーターコアをZ軸に沿って移動させることによって、コア部33をZ軸に沿って移動させる。コア・磁石間距離は、ステーターコアを+Z方向に移動させることによって、第2間隔D2となっている。
【0053】
図8は、電磁石30と磁石45との間で発生する磁束FLを模式的に示している。
図8に示す磁束FLは、N極の磁極46からN極の磁極46と対向するコア部33を通って、N極の磁極46と隣り合うS極の磁極46に入っている。
図8に示す磁束FLは、コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が第2間隔D2の場合の磁束を示している。
【0054】
図8に示す磁束FLは、コア部33の移動によって、
図6に示す磁束FLに比べ、+Z方向に延びている。
図8に示す磁束FLの向きは、
図6に示す磁束FLの向きと近似した状態になっている。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aによって固定支持されている。巻き線コイル31の位置が変わらず、コア部33が磁石45から離れることによって、磁束FLの乱れが抑えられている。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る永久磁石モーター100は、界磁としての磁石45を有し、回転軸RAを中心に回転する回転子としての回転部材40と、磁石45と対向する対向位置に配置されるコア部33、及びコア部33に巻き掛けられる巻き線コイル31を有し、回転部材40を回転させる固定子としての電磁石30と、巻き線コイル31を固定支持する支持部材としての第1ケース突起部21aと、コア部33を移動させて、コア部33と磁石45との間の磁極間距離であるコア・磁石間距離を変動させる移動機構としてのコア駆動機構50と、を備える。
このような構成によれば、巻き線コイル31が固定支持された状態でコア部33が移動することによって、コア部33の移動による磁束FLの乱れは生じ難くなる。コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が変動することによって、トルク定数は変化する。磁束FLの乱れによるエネルギー効率が低下することを低減して、トルク定数を変化させることができる。
【0056】
電磁石30と磁石45は、回転軸RAに沿って配置されることが好ましい。
永久磁石モーター100の設計者は、永久磁石モーター100の回転軸RAに沿った長さを短くすることが可能となる。
【0057】
コア駆動機構50は、回転部材40が第1回転速度で回転するとき、コア・磁石間距離を第1間隔D1とし、回転部材40が第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転するとき、コア・磁石間距離を第1間隔D1よりも大きい第2間隔D2とすることが好ましい。
第1アキシャルギャップモーター100aは、コア・磁石間距離を変更できないモーターよりも、起動トルクを変えることなく高速で回転することができる。
【0058】
第2実施形態
第2実施形態は、コア駆動機構50を備える永久磁石モーター100の一例を示す。
図9は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図9は、永久磁石モーター100の一例である第2アキシャルギャップモーター100bの概略構成を示している。第2アキシャルギャップモーター100bは、モーターの一例に対応する。
【0059】
第2アキシャルギャップモーター100bは、シャフト10と、外装ケース20と、複数の電磁石30と、複数の対向電磁石35と、回転部材40と、コア駆動機構50と、対向コア駆動機構55と、複数のベアリング60と、を備える。シャフト10の構成は、
図1に示す第1アキシャルギャップモーター100aのシャフト10の構成と同じである。複数の電磁石30の構成は、第1アキシャルギャップモーター100aの複数の電磁石30の構成と同じである。コア駆動機構50の構成は、第1アキシャルギャップモーター100aのコア駆動機構50の構成と同じである。複数のベアリング60の構成は、第1アキシャルギャップモーター100aの構成と同じである。
【0060】
外装ケース20は、第1ケース21と、第2ケース23と、第3ケース25と、補助ケース27と、対向補助ケース28と、を備える。第1ケース21、第2ケース23、及び補助ケース27の構成は、それぞれ第1アキシャルギャップモーター100aの第1ケース21、第2ケース23、及び補助ケース27の構成と同じである。
【0061】
第3ケース25は、第3ケース突起部25aを有する。第3ケース突起部25aは、第3ケース25の回転部材40と対向する面に設けられる。第3ケース突起部25aは、第3ケース25から+Z方向に延伸する構成である。第3ケース突起部25aは、対向電磁石35を構成する対向巻き線コイル36を固定支持する。対向巻き線コイル36は、後述される。第3ケース突起部25aは、シャフト10の回転軸RAを中心としたリング形状に構成されてもよい。第3ケース突起部25aは、複数の対向電磁石35が配置されるそれぞれの位置に設けられる複数の柱部材で構成されてもよい。第3ケース突起部25a、及び第3ケース突起部25aが設けられる第3ケース25は、第2支持部材の一例に対応する。
【0062】
対向補助ケース28は、第3ケース25の-Z方向の面に設けられる。対向補助ケース28は、Z軸に沿って補助ケース27と対向する位置に配置される。対向補助ケース28は、対向コア駆動機構55を支持する。対向補助ケース28は、対向コア駆動機構55が配置される位置に設けられる。複数の対向コア駆動機構55が第3ケース25に配置される場合、複数の対向補助ケース28が設けられる。対向補助ケース28は、シャフト10の回転軸RAを中心として周方向に延びる1つの対向補助ケース28で構成されてもよい。1つの対向補助ケース28は、複数の対向コア駆動機構55を支持する。
【0063】
対向電磁石35は、回転部材40を回転させる磁力を発生させる。第3ケース25には、回転軸RAを中心とした周方向に沿って、複数の対向電磁石35が配置される。対向電磁石35は、回転部材40と対向する位置に配置される。対向電磁石35は、回転部材40を介して、電磁石30と対向する位置に配置される。対向電磁石35は、対向巻き線コイル36と、対向コア部38と、を備える。対向電磁石35は、第2固定子の一例に対応する。
【0064】
対向巻き線コイル36は、導線を巻き掛けて構成される。対向巻き線コイル36は、対向コア部38に巻き掛けられる。対向巻き線コイル36は、Z軸に沿って、巻き線コイル31と対向する位置に配置される。対向巻き線コイル36は、回転部材40を介して、巻き線コイル31と対向する。対向巻き線コイル36は、第3ケース突起部25aに固定支持される。対向巻き線コイル36は、対向コア部38を移動可能に構成される。対向巻き線コイル36は、第2コイルの一例に対応する。
【0065】
対向コア部38は、磁束FLを通過させる。対向コア部38は、Z軸に沿って、コア部33と対向する位置に配置される。対向コア部38は、回転部材40を介して、コア部33と対向する。対向コア部38は、プレス加工した複数の電磁鋼板を積層した積層部材等で構成される。複数の対向電磁石35に設けられる対向コア部38は、1つの対向ステーターコアで構成されてもよい。対向ステーターコアのティース部が、対向コア部38に対応する。対向コア部38は、第2コアの一例に対応する。
【0066】
回転部材40は、回転支持部材41、及び磁石45を備える。回転部材40の構成は、磁石45の構成以外、
図1に示す回転部材40の構成と同じである。回転部材40は、電磁石30と対向電磁石35との間で磁石45を支持する。
【0067】
磁石45は、電磁石30、及び対向電磁石35と対向する位置に配置される。磁石45は、回転支持部材41に埋め込まれて構成されてもよい。磁石45の+Z方向の面は、電磁石30と対向する。電磁石30を構成するコア部33は、磁石45の+Z方向の面と対向する対向位置に配置される。磁石45の-Z方向の面は、対向電磁石35と対向する。対向電磁石35を構成する対向コア部38は、磁石45の-Z方向の面と対向する第2対向位置に配置される。
【0068】
磁石45と電磁石30とは、Z軸に沿って所定の間隙を有して配置される。巻き線コイル31に電流が流されたとき、磁石45と電磁石30との間の間隙に磁束FLが発生する。磁石45と対向電磁石35とは、Z軸に沿って所定の間隙を有して配置される。対向巻き線コイル36に電流が流されたとき、磁石45と対向電磁石35との間の間隙に第2磁束が発生する。発生した磁束FLと第2磁束とにより、回転支持部材41は、回転軸RAを中心に回転する。
【0069】
対向コア駆動機構55は、対向コア部38をZ軸に沿って移動させるアクチュエーターである。対向コア駆動機構55は、電動アクチュエーター、ピエゾアクチュエーター、ソレノイド式アクチュエーター等で構成される。対向コア駆動機構55の構成は、コア駆動機構50の構成と同じであることが好ましい。対向コア駆動機構55は、対向補助ケース28に支持される。対向コア駆動機構55は、対向コア部38を支持する。対向コア駆動機構55は、第2機構駆動部57と、第2スライド移動部59と、を備える。対向コア駆動機構55は、第2移動機構の一例に対応する。
【0070】
第2機構駆動部57は、第2スライド移動部59を移動させる駆動力を発生させる。第2機構駆動部57は、駆動力によって、第2スライド移動部59を、+Z方向、もしくは-Z方向にスライド移動させる。第2機構駆動部57は、制御部によって制御される。
【0071】
第2スライド移動部59は、対向コア部38をZ軸に沿って移動させる。第2スライド移動部59の-Z方向の端部は、第2機構駆動部57と接続する。第2スライド移動部59の+Z方向の端部は、対向コア部38を支持する。対向コア部38が対向ステーターコアで構成される場合、第2スライド移動部59は、対向ステーターコアを支持してもよい。第2スライド移動部59は、対向ステーターコアをZ軸に沿ってスライド移動させる。対向ステーターコアがスライド移動することによって、複数の対向コア部38は、スライド移動する。第2スライド移動部59は、ボールネジ等で構成される。
【0072】
対向コア駆動機構55は、対向巻き線コイル36に対して対向コア部38を相対移動させる。対向コア駆動機構55は、対向巻き線コイル36を移動させない。対向コア駆動機構55は、対向コア部38を対向巻き線コイル36と分離して移動させる。対向コア駆動機構55は、対向コア部38を移動させることによって、Z軸に沿った第2コア・磁石間距離を変動させる。第2コア・磁石間距離は、対向コア部38の+Z方向の面と磁石45の-Z方向の面との間の距離である。第2コア・磁石間距離は、第2磁極間隔の一例に対応する。
図9に示す対向コア駆動機構55は、対向コア部38をZ軸に沿って、+Z方向、もしくは-Z方向に移動させる。対向コア駆動機構55が-Z方向に対向コア部38を移動させると、第2コア・磁石間距離は、大きくなる。対向コア駆動機構55が+Z方向に対向コア部38を移動させると、第2コア・磁石間距離は、小さくなる。対向コア駆動機構55は、制御部の制御によって、駆動される。
図9に示す対向コア駆動機構55は、対向コア部38を+Z方向の上限位置に移動させた状態を示している。対向コア部38の+Z方向の端面は、対向巻き線コイル36の+Z方向の端面と一致、もしくは略一致する位置に位置する。対向コア駆動機構55は、対向コア部38の+Z方向の面を対向巻き線コイル36の+Z方向の端面よりも+Z方向の位置に移動させてもよい。対向コア駆動機構55は、対向コア部38と磁石45とを接触させない。
【0073】
図10は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図10は、永久磁石モーター100の一例である第2アキシャルギャップモーター100bの概略構成を示している。
図10は、コア駆動機構50によって、コア部33が+Z方向に移動した状態を示している。
図10は、対向コア駆動機構55によって、対向コア部38が-Z方向に移動した状態を示している。
【0074】
コア駆動機構50は、コア部33を+Z方向の位置に移動させる。コア部33は、巻き線コイル31に対して、+Z方向に相対移動する。コア駆動機構50が、コア部33を+Z方向に移動させることによって、
図10に示すコア・磁石間距離は、
図9に示すコア・磁石間距離よりも大きくなる。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aによって固定支持される。巻き線コイル31と磁石45との間の距離は、変化しない。複数のコア駆動機構50が配置される場合、複数のコア駆動機構50のそれぞれは、コア部33を+Z方向の位置に移動させる。それぞれのコア駆動機構50が+Z方向にコア部33を移動させる距離は、同一、もしくは略同一である。コア部33の-Z方向の端面は、磁石45に対して、+Z方向に、平行、もしくは略平行に移動する。
【0075】
対向コア駆動機構55は、対向コア部38を-Z方向の位置に移動させる。対向コア部38は、対向巻き線コイル36に対して、-Z方向に相対移動する。対向コア駆動機構55が、対向コア部38を-Z方向に移動させることによって、
図10に示す第2コア・磁石間距離は、
図9に示す第2コア・磁石間距離よりも大きくなる。対向巻き線コイル36は、第3ケース突起部25aによって固定支持される。対向巻き線コイル36と磁石45との間の距離は、変化しない。複数の対向コア駆動機構55が配置される場合、複数の対向コア駆動機構55のそれぞれは、対向コア部38を-Z方向の位置に移動させる。それぞれの対向コア駆動機構55が-Z方向に対向コア部38を移動させる距離は、同一、もしくは略同一である。対向コア部38の+Z方向の面は、磁石45に対して、-Z方向に、平行、もしくは略平行に移動する。
【0076】
図11は、複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した断面の概略構成を示している。
図11は、
図9に示す複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、磁石45を周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図11に示す複数のコア部33は、1つのステーターコアによって一体に構成されている。ステーターコアは、コア駆動機構50によって、Z軸に沿って移動可能である。
図11に示す複数の対向コア部38は、1つの対向ステーターコアによって一体に構成されている。対向ステーターコアは、対向コア駆動機構55によって、Z軸に沿って移動可能である。
図11に示す構成を有する第2アキシャルギャップモーター100bは、2極3スロットのダブルステーターモーターである。
【0077】
巻き線コイル31は、図示しない3相交流電源に接続される。1つのコア部33に巻き掛けられる巻き線コイル31には、3相交流のうち1相の信号が供給される。複数の巻き線コイル31のそれぞれにU相の信号、V相の信号、W相の信号のいずれかが供給される。複数の電磁石30は、U相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wとして構成される。複数のスロットは、周方向に沿って、U相スロット34U、V相スロット34V、W相スロット34Wの順に配列される。
【0078】
対向巻き線コイル36は、図示しない3相交流電源に接続される。1つの対向コア部38に巻き掛けられる対向巻き線コイル36には、3相交流のうち1相の信号が供給される。複数の対向巻き線コイル36のそれぞれにU相の信号、V相の信号、W相の信号のいずれかが供給される。複数の対向電磁石35は、第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、及び第2W相スロット39Wとして構成される。複数のスロットは、周方向に沿って、第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、第2W相スロット39Wの順に配列される。第2U相スロット39Uは、U相スロット34Uと対向する位置に配置される。第2V相スロット39Vは、V相スロット34Vと対向する位置に配置される。第2W相スロット39Wは、W相スロット34Wと対向する位置に配置される。
【0079】
U相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wには、+記号が付与されている。第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、第2W相スロット39Wには、-記号が付与されている。+記号、もしくは-記号を付与することによって、U相スロット34Uと第2U相スロット39Uとに流れる電流が互いに逆極性であることを示している。また、V相スロット34Vと第2V相スロット39Vとに流れる電流が互いに逆極性であることを示している。また、W相スロット34Wと第2W相スロット39Wとに流れる電流が互いに逆極性であることを示している。
【0080】
磁石45は、複数の磁極46に着磁される。
図11は、各磁極46の磁化の向きを示している。磁化の向きは、磁極46ごとに反転する。磁石45は、複数の電磁石30、及び複数の対向電磁石35と対向する。磁石45は、複数の電磁石30、及び複数の対向電磁石35に対して、平行、もしくは略平行に配置される。
【0081】
コア部33と磁石45は、Z軸に沿って第3間隔D3離間して配置される。コア駆動機構50が、Z軸に沿って、コア部33を移動させることによって、コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が、第3間隔D3となる。
【0082】
対向コア部38と磁石45は、Z軸に沿って第4間隔D4離間して配置される。対向コア駆動機構55が、Z軸に沿って、対向コア部38を移動させることによって、対向コア部38と磁石45との間の第2コア・磁石間距離が、第4間隔D4となる。コア・磁石間距離と第2コア・磁石間距離は、個別に制御される。第3間隔D3と第4間隔D4は、異なっていてもよいし、同じでもよい。第3間隔D3と第4間隔D4は、同じであることが好ましい。
【0083】
コア・磁石間距離が第3間隔D3で、第2コア・磁石間距離が第4間隔D4であるときの第2アキシャルギャップモーター100bのトルク定数は、第3トルク定数となる。第2アキシャルギャップモーター100bのトルク定数は、コア・磁石間距離、及び第2コア・磁石間距離によって変動する。
【0084】
図12は、複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した断面の概略構成を示している。
図12は、
図10に示す複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図12に示す複数のコア部33は、1つにステーターコアによって一体に構成されている。ステーターコアは、コア駆動機構50によって、Z軸に沿って移動可能である。
図12に示す複数の対向コア部38は、1つの対向ステーターコアによって一体に構成されている。対向ステーターコアは、対向コア駆動機構55によって、Z軸に沿って移動可能である。
【0085】
図12は、コア駆動機構50によって、コア部33が+Z方向に移動したときの状態を示している。コア部33が+Z方向に移動することによって、コア・磁石間距離は、第5間隔D5となる。第5間隔D5は、第3間隔D3よりも大きい。巻き線コイル31は、第1ケース突起部21aによって支持される。コア駆動機構50が、コア部33を+Z方向に移動させたとき、巻き線コイル31は、移動しない。コア部33は、巻き線コイル31に対して+Z方向に相対移動する。
【0086】
図12は、対向コア駆動機構55によって、対向コア部38が-Z方向に移動したときの状態を示している。対向コア部38が-Z方向に移動することによって、第2コア・磁石間距離は、第6間隔D6となる。第6間隔D6は、第4間隔D4よりも大きい。対向巻き線コイル36は、第3ケース突起部25aによって支持される。対向コア駆動機構55が、対向コア部38を-Z方向に移動させたとき、対向巻き線コイル36は、移動しない。対向コア部38は、対向巻き線コイル36に対して-Z方向に相対移動する。コア・磁石間距離と第2コア・磁石間距離は、個別に制御される。第5間隔D5と第6間隔D6は、異なっていてもよいし、同じでもよい。第5間隔D5と第6間隔D6は、同じであることが好ましい。
【0087】
コア・磁石間距離が第5間隔Dで、第2コア・磁石間距離が第6間隔D6であるときの第2アキシャルギャップモーター100bのトルク定数は、第4トルク定数となる。第4トルク定数は、第3トルク定数よりも小さい。
【0088】
第3トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの起動トルクは、第4トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの起動トルクよりも高い。第3トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの無負荷回転数は、第4トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの無負荷回転数よりも低い。第3トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bは、第4トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bよりも発生トルクを高くすることができる。第4トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bは、第3トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bよりも高速で回転することができる。
【0089】
図11、及び
図12に示す複数のスロットは、周方向に沿って、U相スロット34U、V相スロット34V、W相スロット34Wの順で配列される。
図11、及び
図12に示す複数のスロットは、周方向に沿って、第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、第2W相スロット39Wの順に配列される。各スロットの配列順は、
図11、及び
図12の構成に限定されない。
【0090】
図13、及び
図14は、
図11、及び
図12と各スロットの配列順が異なる構成例を示している。
図13、及び
図14は、複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した断面の概略構成を示している。
【0091】
図13は、
図9に示す複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図13は、コア部33、及び対向コア部38を磁石45に近づけた状態を示している。コア部33は、コア・磁石間距離が第7間隔D7となる位置に位置する。対向コア部38は、第2コア・磁石間距離が第8間隔D8となる位置に位置する。第7間隔D7は、第3間隔D3と同じでもよいし、異なってもよい。第8間隔D8は、第4間隔D4と同じでもよいし、異なってもよい。第7間隔D7は、第8間隔D8と異なってもよいが、同じであることが好ましい。コア・磁石間距離が第7間隔D7で、第2コア・磁石間距離が第8間隔D8であるときの第2アキシャルギャップモーター100bのトルク定数は、第5トルク定数となる。
【0092】
巻き線コイル31は、3相交流電源に接続される。複数の電磁石30は、U相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wとして構成される。複数のスロットは、周方向に沿って、U相スロット34U、U相スロット34U、V相スロット34V、V相スロット34V、W相スロット34W、W相スロット34Wの順で配列される。
【0093】
対向巻き線コイル36は、3相交流電源に接続される。複数の対向電磁石35は、第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、及び第2W相スロット39Wとして構成される。複数のスロットは、周方向に沿って、第2U相スロット39U、第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、第2V相スロット39V、第2W相スロット39W、第2W相スロット39Wの順で配列される。第2U相スロット39Uは、U相スロット34Uと対向する位置に配置される。第2V相スロット39Vは、V相スロット34Vと対向する位置に配置される。第2W相スロット39Wは、W相スロット34Wと対向する位置に配置される。複数のスロットが
図13に示す配列で構成される第2アキシャルギャップモーター100bは、4極3スロットのダブルステータ―モーターとなる。
【0094】
複数のスロットが、
図13に示す配列に構成されることによって、
図11に示す配列で構成されるときよりも、エネルギー効率が向上する。複数のスロットが
図13に示す配列で構成される第2アキシャルギャップモーター100bは、複数のスロットが
図11に示す配列で構成される第2アキシャルギャップモーター100bよりもモーター効率が高くなる。
【0095】
図14は、
図10に示す複数の電磁石30、複数の対向電磁石35、及び磁石45を周方向に展開した仮想的な状態を示している。
図14は、コア部33、及び対向コア部38を磁石45から離間した状態を示している。コア部33は、コア・磁石間距離が第9間隔D9となる位置に位置する。対向コア部38は、第2コア・磁石間距離が第10間隔D10となる位置に位置する。第9間隔D9は、第5間隔D5と同じでもよいし、異なってもよい。第10間隔D10は、第6間隔D6と同じでもよいし、異なってもよい。第9間隔D9は、第10間隔D10と異なってもよいが、同じであることが好ましい。第9間隔D9は、第7間隔D7よりも大きい。第10間隔D10は、第8間隔D8よりも大きい。コア・磁石間距離が第9間隔D9で、第2コア・磁石間距離が第10間隔D10であるときの第2アキシャルギャップモーター100bのトルク定数は、第6トルク定数となる。
【0096】
図14に示すU相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wの配列は、
図13に示すU相スロット34U、V相スロット34V、及びW相スロット34Wの配列と同じである。
図14に示す第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、及び第2W相スロット39Wの配列は、
図13に示す第2U相スロット39U、第2V相スロット39V、第2W相スロット39Wの配列と同じである。
【0097】
第5トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの起動トルクは、第6トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの起動トルクよりも高い。第5トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの無負荷回転数は、第6トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bの無負荷回転数よりも低い。第5トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bは、第6トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bよりも発生トルクを高くすることができる。第6トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bは、第5トルク定数の第2アキシャルギャップモーター100bよりも高速で回転することができる。
【0098】
複数のスロットが、
図14に示す配列に構成されることによって、
図12に示す配列で構成されるときよりも、異音の発生が減少する。複数のスロットが
図14に示す配列で構成される第2アキシャルギャップモーター100bは、複数のスロットが
図12に示す配列で構成される第2アキシャルギャップモーター100bよりもモーター回転時の静音性が向上する。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る第2アキシャルギャップモーター100bは、回転軸RAに沿って、磁石45と対向する第2対向位置に配置される対向コア部38、及び対向コア部38に巻き掛けられる対向巻き線コイル36を有する対向電磁石35と、対向巻き線コイル36を固定支持する第3ケース突起部25aと、対向コア部38を移動させ、対向コア部38と磁石45との間の第2コア・磁石間距離を変動させる対向コア駆動機構55と、を備える。
このような構成によれば、第2アキシャルギャップモーター100bにおいても、第1実施形態と同様の効果が得られ、高トルク化、及び高効率化が実現可能となる。
【0100】
第3実施形態
第3実施形態は、コア駆動機構50を備える永久磁石モーター100の一例を示す。
図15は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図15は、永久磁石モーター100の一例であるラジアルギャップモーター100cの概略構成を示している。ラジアルギャップモーター100cは、モーターの一例に対応する。
【0101】
ラジアルギャップモーター100cは、シャフト10と、外装ケース20と、複数の電磁石30と、回転部材40と、コア駆動機構50と、複数のベアリング60と、を備える。ラジアルギャップモーター100cは、電磁石30を磁石45に対して回転軸RAと直交する方向に配置する。
【0102】
ラジアルギャップモーター100cのシャフト10は、回転軸RAを中心に回転する。シャフト10は、円柱体である。シャフト10は、中空の円筒体で構成されてもよい。シャフト10は、周面に回転部材40を支持する。
【0103】
ラジアルギャップモーター100cの外装ケース20は、電磁石30、及び回転部材40を覆う部材である。外装ケース20は、第1ケース21と、第2ケース23と、第3ケース25と、支持ケース29と、を備える。
【0104】
ラジアルギャップモーター100cの第1ケース21は、ラジアルギャップモーター100cの+Z方向の位置に配置される。第1ケース21は、複数のベアリング60のうちの第1ベアリング60aと接続する。
【0105】
ラジアルギャップモーター100cの第2ケース23は、ラジアルギャップモーター100cの周面を覆う。第2ケース23は、回転軸RAを中心とする円筒形の部材である。第2ケース23は、第1ケース21の外周部、及び第3ケース25の外周部と接続する。
【0106】
ラジアルギャップモーター100cの第3ケース25は、ラジアルギャップモーター100cの-Z方向の位置に配置される。第3ケース25は、複数のベアリング60のうちの第2ベアリング60bと接続する。
【0107】
支持ケース29は、第1ケース21、及び第3ケース25に支持される。支持ケース29は、コア駆動機構50を支持する。支持ケース29は、コア駆動機構50が配置される位置に設けられる。支持ケース29は、支持ケース突起部29aを有する。
【0108】
支持ケース突起部29aは、支持ケース29の回転部材40と対向する面に設けられる。支持ケース突起部29aは、支持ケース29からシャフト10に向けて延伸する構成である。支持ケース突起部29aは、電磁石30を構成する巻き線コイル31を固定支持する。支持ケース突起部29aは、支持部材の一例に対応する。
【0109】
ラジアルギャップモーター100cの電磁石30は、シャフト10の周面と対向する位置に配置される。複数の電磁石30は、シャフト10の周方向に沿って配置される。電磁石30は、シャフト10に支持される回転部材40と対向する位置に配置される。電磁石30は、巻き線コイル31と、コア部33と、を備える。電磁石30は、固定子の一例に対応する。
【0110】
ラジアルギャップモーター100cの巻き線コイル31は、導線を巻き掛けて構成される。巻き線コイル31は、コア部33に巻き掛けられる。巻き線コイル31は、支持ケース突起部29aに固定支持される。巻き線コイル31は、コア部33を移動可能に構成される。巻き線コイル31は、コイルの一例に対応する。
【0111】
ラジアルギャップモーター100cのコア部33は、回転部材40と対向する位置に配置される。コア部33は、巻き線コイル31に対して、相対移動可能に支持される。コア部33は、コアの一例に対応する。
【0112】
ラジアルギャップモーター100cの回転部材40は、シャフト10の周面に沿って配置される。回転部材40は、円筒形状に構成される。回転部材40は、シャフト10に埋め込まれて構成されてもよい。回転部材40は、シャフト10を回転軸RAを中心に回転させる。回転部材40は、磁石45を備える。回転部材40は、磁石45で構成されてもよい。
【0113】
ラジアルギャップモーター100cの磁石45は、シャフト10の周面に配置される。磁石45は、電磁石30と対向する位置に配置される。電磁石30を構成するコア部33は、磁石45と対向する対向位置に配置される。磁石45は、1つの磁石部材で構成されてもよい。磁石45が、1つの磁石部材で構成される場合、磁石45は、回転部材40として機能する。磁石45は、複数の磁石片で構成されてもよい。複数の磁石片は、シャフト10の周方向に沿って配置される。磁石45は、シャフト10の周方向に沿って、複数の磁極46に着磁される。
【0114】
磁石45と電磁石30とは、回転軸RAと直交する軸に沿って所定の間隙を有して配置される。巻き線コイル31に電流が流されたとき、磁石45と電磁石30との間の間隙に磁束FLが発生する。発生した磁束FLにより、回転部材40は、回転軸RAを中心に回転する。
【0115】
ラジアルギャップモーター100cのコア駆動機構50は、コア部33を回転軸RAと直交する軸に沿って移動させるアクチュエーターである。コア駆動機構50は、支持ケース29に支持される。コア駆動機構50は、コア部33を支持する。コア駆動機構50は、機構駆動部51と、スライド移動部53と、を備える。コア駆動機構50は、移動機構の一例に対応する。
【0116】
ラジアルギャップモーター100cの機構駆動部51は、スライド移動部53を移動させる駆動力を発生させる。機構駆動部51は、発生した駆動力によって、スライド移動部53を、回転軸RAに直交する軸に沿ってスライド移動させる。機構駆動部51は、制御部によって制御される。
【0117】
ラジアルギャップモーター100cのスライド移動部53は、コア部33を回転軸RAと直交する軸に沿って移動させる。スライド移動部53の一方の端部は、機構駆動部51と接続する。スライド移動部53の他方の端部は、コア部33を支持する。
【0118】
ラジアルギャップモーター100cのコア駆動機構50は、巻き線コイル31に対してコア部33を相対移動させる。コア駆動機構50は、巻き線コイル31を移動させない。コア駆動機構50は、コア部33を巻き線コイル31と分離して移動させる。コア駆動機構50は、コア部33を移動させることによって、回転軸RAと直交する軸に沿ったコア・磁石間距離を変動させる。コア・磁石間距離は、コア部33の磁石45と対向する面と磁石45の外周面との間の距離である。コア・磁石間距離は、磁極間隔の一例に対応する。
図15に示すコア駆動機構50は、コア部33を回転軸RAと直交する軸に沿って、シャフト10に近づく方向、もしくはシャフト10から離れる方向に移動させる。コア駆動機構50がシャフト10から離れる方向にコア部33を移動させたとき、コア・磁石間距離は、大きくなる。コア駆動機構50がシャフト10に近づく方向にコア部33を移動させたとき、コア・磁石間距離は、小さくなる。コア駆動機構50は、制御部の制御によって、駆動される。
図15に示すコア駆動機構50は、コア部33をシャフト10に近づけた位置に移動させた状態を示している。
【0119】
ラジアルギャップモーター100cのベアリング60は、シャフト10を回転可能に支持する。第1ベアリング60aは、シャフト10と第1ケース21との間に配置される。第2ベアリング60bは、シャフト10と第3ケース25との間に配置される。
【0120】
図15に示すラジアルギャップモーター100cでは、コア部33は、シャフト10に近づけた位置に位置する。
図15に示すラジアルギャップモーター100cのトルク定数は、第7トルク定数となる。
【0121】
図16は、永久磁石モーター100の概略構成を示している。
図16は、永久磁石モーター100の一例であるラジアルギャップモーター100cの概略構成を示している。
図16は、コア駆動機構50によって、コア部33がシャフト10から離れた方向に移動した状態を示している。
【0122】
コア駆動機構50は、コア部33を回転軸RAと直交する軸に沿って、シャフト10から離れる位置に移動させる。コア部33は、巻き線コイル31に対して、回転軸RAと直交する軸に沿って相対移動する。コア駆動機構50が、コア部33をシャフト10から離れる方向に移動させることによって、
図16に示すコア・磁石間距離は、
図15に示すコア・磁石間距離よりも大きくなる。巻き線コイル31は、支持ケース突起部29aによって固定支持される。巻き線コイル31と磁石45との間の距離は、変化しない。
【0123】
図16に示すラジアルギャップモーター100cでは、コア部33は、シャフト10から離れた位置に位置する。
図16に示すラジアルギャップモーター100cのトルク定数は、第8トルク定数となる。第8トルク定数は、第7トルク定数よりも小さい。
【0124】
第7トルク定数のラジアルギャップモーター100cの起動トルクは、第8トルク定数のラジアルギャップモーター100cの起動トルクよりも高い。第7トルク定数のラジアルギャップモーター100cの無負荷回転数は、第8トルク定数のラジアルギャップモーター100cの無負荷回転数よりも低い。第7トルク定数のラジアルギャップモーター100cは、第8トルク定数のラジアルギャップモーター100cよりも発生トルクを高くすることができる。第8トルク定数のラジアルギャップモーター100cは、第7トルク定数のラジアルギャップモーター100cよりも高速で回転することができる。
【0125】
コア駆動機構50を備えるラジアルギャップモーター100cは、電磁石30を、磁石45に対して回転軸RAと直交する軸に沿って配置する。
コア部33と磁石45との間のコア・磁石間距離が変動することによって、トルク定数は変化する。磁束FLの乱れによるエネルギー効率が低下することを低減して、トルク定数を変化させることができる。コア駆動機構50を備える永久磁石モーター100が、ラジアルギャップ型で構成されることによって、永久磁石モーター100の振動、及び騒音が低減される。
【0126】
第4実施形態
第4実施形態は、永久磁石モーター100を備えるロボット1000の構成を示している。第4実施形態では、コア駆動機構50を備える永久磁石モーター100として、第1アキシャルギャップモーター100aを備えるロボット1000を示す。ロボット1000に備えられる永久磁石モーター100は、第1アキシャルギャップモーター100aに限定されない。第2アキシャルギャップモーター100b、もしくはラジアルギャップモーター100cが、ロボット1000に備えられてもよい。
【0127】
図17は、ロボット1000の概略構成を示している。
図17は、ロボット1000の斜視図を示している。
図17に示すロボット1000は、各種ワークの搬送、組立、検査等の各作業で用いられる。
【0128】
ロボット1000は、基台1001と、ロボットアーム1100と、第1駆動部1501と、第2駆動部1502と、第3駆動部1503と、第4駆動部1504と、第5駆動部1505と、第6駆動部1506と、を有する。
【0129】
基台1001は、水平な床2000に載置される。基台1001は、床2000ではなく、壁、天井、架台等に載置されてもよい。
【0130】
ロボットアーム1100は、複数のアームを含む。
図17に示すロボットアーム1100は、複数のアームとして、第1アーム1010、第2アーム1020、第3アーム1030、第4アーム1040、第5アーム1050、及び第6アーム1060を備える。第6アーム1060の先端には、図示しないエンドエフェクターが着脱可能に取り付ける。エンドエフェクターは、ワークの把持等を行うことができる。
【0131】
エンドエフェクターは、特に限定されないが、ワークを把持するハンド、ワークを吸着する吸着ヘッド等が挙げられる。ワークは、特に限定されない。ワークは、電子部品、電子機器等である。
【0132】
ロボット1000は、基台1001とロボットアーム1100が有する複数のアームとを、基台1001、第1アーム1010、第2アーム1020、第3アーム1030、第4アーム1040、第5アーム1050、第6アーム1060の順に連結した単腕の6軸垂直多関節ロボットである。
【0133】
第1アーム1010、第2アーム1020、第3アーム1030、第4アーム1040、第5アーム1050、及び第6アーム1060の長さは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。ロボットアーム1100が有するアームの数は、5本以下、又は、7本以上であってもよい。ロボット1000は、スカラロボットであってもよく、2つ以上のロボットアーム1100を備える双腕ロボットであってもよい。
【0134】
第1駆動部1501は、第1アーム1010に配置される。第1駆動部1501は、基台1001に対して、第1アーム1010を回動させる。第1駆動部1501は、第1モーター1501mと、図示しない減速機と、を有する。第1モーター1501mは、第1アーム1010を回動させる推力を発生する。
【0135】
第2駆動部1502は、第2アーム1020に配置される。第2駆動部1502は、第1アーム1010に対して、第2アーム1020を回動させる。第2駆動部1502は、第2モーター1502mと、図示しない減速機と、を有する。第2モーター1502mは、第2アーム1020を回動させる推力を発生する。
【0136】
第3駆動部1503は、第2アーム1020に配置される。第3駆動部1503は、第2アーム1020に対して、第3アーム1030を回動させる。第3駆動部1503は、第3モーター1503mと、図示しない減速機と、を有する。第3モーター1503mは、第3アーム1030を回動させる推力を発生する。
【0137】
第4駆動部1504は、第3アーム1030に配置される。第4駆動部1504は、第3アーム1030に対して、第4アーム1040を回動させる。第4駆動部1504は、第4モーター1504mと、図示しない減速機と、を有する。第4モーター1504mは、第4アーム1040を回動させる推力を発生する。
【0138】
第5駆動部1505は、第4アーム1040に配置される。第5駆動部1505は、第4アーム1040に対して、第5アーム1050を回動させる。第5駆動部1505は、第5モーター1505mと、図示しない減速機と、を有する。第5モーター1505mは、第5アーム1050を回動させる推力を発生する。
【0139】
第6駆動部1506は、第4アーム1040に配置される。第6駆動部1506は、第5アーム1050に対して、第6アーム1060を回動させる。第6駆動部1506は、第6モーター1506mと、図示しない減速機と、を有する。第6モーター1506mは、第6アーム1060を回動させる推力を発生する。
【0140】
図18は、ロボット1000を模式的に示している。
図18は、
図17に示すロボット1000を模式的に示している。
図18は、第1関節1011と、第2関節1021と、第3関節1031と、第4関節1041と、第5関節1051と、第6関節1061と、を示している。
【0141】
基台1001と第1アーム1010とは、第1関節1011を介して連結される。第1アーム1010は、基台1001に対し、鉛直軸と平行な第1回動軸O1を回動中心として回動可能に構成される。鉛直軸は、床2000に垂直な軸である。第1アーム1010は、第1駆動部1501の駆動により第1回動軸O1を中心に回動する。
【0142】
第1アーム1010と第2アーム1020とは、第2関節1021を介して連結される。第2アーム1020は、第1アーム1010に対し、床2000と平行な第2回動軸O2を回動中心として回動可能に構成される。第2アーム1020は、第2駆動部1502の駆動により第2回動軸O2を中心に回動する。
【0143】
第2アーム1020と第3アーム1030とは、第3関節1031を介して連結される。第3アーム1030は、第2アーム1020に対し、床2000と平行な第3回動軸O3を回動中心として回動可能に構成される。第3アーム1030は、第3駆動部1503の駆動により第3回動軸O3を中心に回動する。
【0144】
第3アーム1030と第4アーム1040とは、第4関節1041を介して連結される。第4アーム1040は、第3アーム1030に対し、第3アーム1030の中心軸と平行な第4回動軸O4を回動中心として回動可能に構成される。第4アーム1040は、第4駆動部1504の駆動により第4回動軸O4を中心に回動する。
【0145】
第4アーム1040と第5アーム1050とは、第5関節1051を介して連結される。第5アーム1050は、第4アーム1040に対し、第4アーム1040の中心軸と直交する第5回動軸O5を回動中心として回動可能に構成される。第5アーム1050は、第5駆動部1505の駆動により第5回動軸O5を中心に回動する。
【0146】
第5アーム1050と第6アーム1060とは、第6関節1061を介して連結されている。第6アーム1060は、第5アーム1050に対し、第5アーム1050の先端部の中心軸と平行な第6回動軸O6を回動中心として回動可能に構成される。第6アーム1060は、第6駆動部1506の駆動により第6回動軸O6を中心に回動する。
【0147】
第1モーター1501m、第2モーター1502m、第3モーター1503m、第4モーター1504m、第5モーター1505m、及び第6モーター1506mのうちの少なくとも1つに、第1アキシャルギャップモーター100aが用いられる。ロボット1000は、第1アキシャルギャップモーター100aを備える。第1アキシャルギャップモーター100aが用いられることにより、エネルギー効率の高いロボット1000が提供される。
【0148】
第1アキシャルギャップモーター100aが、一例として第1モーター1501mに用いられると、第1アキシャルギャップモーター100aは、第1アーム1010を回動させる推力を発生する。第1アーム1010は、第1アキシャルギャップモーター100aによって駆動される。第1アーム1010は、駆動部材の一例に対応する。第1アキシャルギャップモーター100aが、第2モーター1502mに用いられると、第1アキシャルギャップモーター100aは、第2アーム1020を回動させる推力を発生する。第1アーム1010、及び第2アーム1020を含む複数のアームのそれぞれは、駆動部材の一例に対応する。
【0149】
第1アキシャルギャップモーター100aは、エンドエフェクターを駆動させる駆動機構に用いられてもよい。エンドエフェクターに回転機構が用いられるとき、第1アキシャルギャップモーター100aは、低速回転時には高トルクで回転部材40を回転させることができる。第1アキシャルギャップモーター100aは、高速回転時の回転数を増加させることができる。エンドエフェクターは、第1アキシャルギャップモーター100aによって、駆動される。エンドエフェクターは、駆動部材の一例に対応する。
【0150】
ロボット1000は、磁石45を含んで回転軸RAを中心に回転する回転部材40、磁石45と対向する対向位置に配置されるコア部33とコア部33に巻き掛けられる巻き線コイル31を有して回転部材40を回転させる電磁石30、巻き線コイル31を固定支持する第1ケース突起部21a、コア部33を移動させて磁石45とコア部33との間のコア・磁石間距離を変動させるコア駆動機構50を有する第1アキシャルギャップモーター100aと、第1アキシャルギャップモーター100aによって駆動されるアームと、を備える。
第1アキシャルギャップモーター100aが用いられることにより、エネルギー効率の高いロボット1000が提供される。
【0151】
第4実施形態では、第1アキシャルギャップモーター100aは、ロボット1000に備えられたが、これに限定されない。第1アキシャルギャップモーター100a等は、電気自動車、ハイブリット電気自動車、AGV(Automatic Guides Vehicle)、AMR(Autonomous Mobile Robot)、鉄道、リニアモーターカー、パーソナルモビリティー、移動型ロボット、電動ファークリフト、高層ビル用エレベーター等の垂直搬送装置等に用いられてもよい。第1アキシャルギャップモーター100aは、風力発電、もしくは水力発電で用いられる発電機として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0152】
10…シャフト、20…外装ケース、21…第1ケース、21a…第1ケース突起部、23…第2ケース、25…第3ケース、25a…第3ケース突起部、27…補助ケース、28…対向補助ケース、29…支持ケース、29a…支持ケース突起部、30…電磁石、31…巻き線コイル、33…コア部、34U…U相スロット、34V…V相スロット、34W…W相スロット、35…対向電磁石、36…対向巻き線コイル、38…対向コア部、39U…第2U相スロット、39V…第2V相スロット、39W…第2W相スロット、40…回転部材、41…回転支持部材、45…磁石、46…磁極、46a…第1磁極、46b…第2磁極、46c…第3磁極、46d…第4磁極、46e…第5磁極、46f…第6磁極、50…コア駆動機構、51…機構駆動部、53…スライド移動部、55…対向コア駆動機構、57…第2機構駆動部、59…第2スライド移動部、60…ベアリング、60a…第1ベアリング、60b…第2ベアリング、100…永久磁石モーター、100a…第1アキシャルギャップモーター、100b…第2アキシャルギャップモーター、100c…ラジアルギャップモーター、1000…ロボット、1001…基台、1100…ロボットアーム、1010…第1アーム、1011…第1関節、1020…第2アーム、1021…第2関節、1030…第3アーム、1031…第3関節、1040…第4アーム、1041…第4関節、1050…第5アーム、1051…第5関節、1060…第6アーム、1061…第6関節、1501…第1駆動部、1501m…第1モーター、1502…第2駆動部、1502m…第2モーター、1503…第3駆動部、1503m…第3モーター、1504…第4駆動部、1504m…第4モーター、1505…第5駆動部、1505m…第5モーター、1506…第6駆動部、1506m…第6モーター、2000…床、D1…第1間隔、D2…第2間隔、D3…第3間隔、D4…第4間隔、D5…第5間隔、D6…第6間隔、D7…第7間隔、D8…第8間隔、D9…第9間隔、D10…第10間隔、FL…磁束、O1…第1回動軸、O2…第2回動軸、O3…第3回動軸、O4…第4回動軸、O5…第5回動軸、O6…第6回動軸、RA…回転軸。