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特開2024-30300タイヤトレッド用ゴム組成物およびタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030300
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】タイヤトレッド用ゴム組成物およびタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20240229BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240229BHJP
   C08L 61/18 20060101ALI20240229BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240229BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/013
C08L61/18
C08K3/04
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133081
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】五月女 春香
(72)【発明者】
【氏名】岡松 隆裕
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA03
3D131BA12
3D131BB09
3D131BC12
3D131BC15
3D131BC33
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002CC122
4J002DA036
4J002DE146
4J002DJ016
4J002FD016
4J002FD140
4J002FD150
4J002FD340
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】一般に、タイヤに求められる性能は多岐にわたっているが、その中で、優れた耐摩耗性が要求されている。この要求は、サーキット走行向けの競技用タイヤにも存在する。従来技術において、競技用タイヤのグリップ性能を向上させるために、樹脂やオイルを大量配合する手法や、高ガラス転移温度を有するポリマー、小粒径のカーボンブラックまたは熱可塑性樹脂を配合する技術が知られているが、現在当業界で要求されるレベルの耐摩耗性を得るには至っていない。
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物によって上記課題を解決した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ロジン変性キシレン樹脂の軟化点が75~135℃であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ロジン変性キシレン樹脂の酸価が10~80mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
前記補強用充填剤がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が70m/g以上であり、かつ前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記ロジン変性キシレン樹脂を10質量部以上100質量部以下配合していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記補強用充填剤がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が100m/g以上であり、かつ前記ジエン系ゴム100質量部に対し、
前記ロジン変性キシレン樹脂を10質量部以上100質量部以下配合していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものであり、詳しくは、耐摩耗性に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、タイヤに求められる性能は多岐にわたっているが、その中で、優れた耐摩耗性が要求されている。
この要求は、サーキット走行向けの競技用タイヤにも存在する。従来技術において、競技用タイヤのグリップ性能を向上させるために、樹脂やオイルを大量配合する手法や、高ガラス転移温度を有するポリマー、小粒径のカーボンブラックまたは熱可塑性樹脂を配合する技術が知られているが(例えば特許文献1参照)、現在当業界で要求されるレベルの耐摩耗性を得るには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-184505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、耐摩耗性に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジエン系ゴムに対し、補強用充填剤およびロジン変性キシレン樹脂を特定量で配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち本発明は、ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなることを特徴としているので、耐摩耗性に優れるタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤを提供することができる。
【0008】
本発明に使用されるロジン変性キシレン樹脂は、フィラーを多量配合することによる破断強度の低下を抑制し、耐摩耗性の向上に寄与するという作用効果を発揮するものと推察される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、とくに制限されないが、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
【0011】
なお、耐摩耗性をさらに向上させるという観点から、本発明においては、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)50~100質量部およびブタジエンゴム(BR)0~50質量部を含むのが好ましい。SBRの配合量は、例えば競技用途である場合、好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは100質量部であることができる。
【0012】
また、本発明で使用されるSBRは、スチレン量が30質量%以上であるものが好ましい。このようなスチレン量を満たすことにより、耐摩耗性を高めることができる。さらに好ましい該スチレン量は、33~50質量%である。
【0013】
また本発明で使用されるジエン系ゴムは、平均ガラス転移温度(平均Tg)が-60℃以上であることが好ましく、競技用途である場合は、-20℃以上であるのがさらに好ましい。
なお、本明細書で言う平均Tgは、各成分のガラス転移温度に、各成分の重量分率を乗じた積の合計、すなわち加重平均に基づき算出される値である。なお計算時には各成分の重量分率の合計を1.0とする。またガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
【0014】
(補強用充填剤)
本発明で使用する補強用充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等が挙げられる。中でも、カーボンブラックおよびシリカが好ましい。
【0015】
(カーボンブラック)
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(NSA)が例えば70m/g以上であることが好ましい。また、競技用途である場合、耐摩耗性がさらに向上するという観点から、窒素吸着比表面積(NSA)は100m/gであることが好ましく、100~500m/gであることがさらに好ましく、150~500m/gであることがとくに好ましい。
なお、窒素吸着比表面積(NSA)はJIS K 6217-2に準拠して求めた値である。
【0016】
(シリカ)
本発明で使用するシリカは、窒素吸着比表面積NSAが100~400m/gであることが好ましく、また、競技用途である場合、耐摩耗性がさらに向上するという観点から、窒素吸着比表面積(NSA)は、130~400m/gであるのが好ましい。
【0017】
(ロジン変性キシレン樹脂)
本発明で使用されるロジン変性キシレン樹脂は、キシレン樹脂をロジンで変性したものであり、公知である。
本発明で使用されるロジン変性キシレン樹脂は、耐摩耗性をさらに向上させるという観点から、軟化点が75~135℃であることが好ましく、75~100℃がさらに好ましい。
また、本発明で使用されるロジン変性キシレン樹脂は、耐摩耗性をさらに向上させるという観点から、酸価が10~80mgKOH/gであることが好ましく、10~50mgKOH/gであることがさらに好ましく、10~30mgKOH/gであることがとくに好ましい。酸価は、JIS K 0700:1992に記載の方法により測定することができる。
また、本発明で使用されるロジン変性キシレン樹脂は、耐摩耗性をさらに向上させるという観点から、重量平均分子量(Mw)が1000~2000であるのが好ましい。
なお、ロジン変性キシレン樹脂は、市販されているものを使用することができ、例えばリグナイト株式会社製商品名リグノールR-70(軟化点=75~85℃、酸価13~15、Mw=1500)、リグノールR-140(軟化点=128~135℃、酸価75、Mw=1600)等が挙げられる。
【0018】
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記補強用充填剤を20質量部以上、および前記ロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなることを特徴とする。
前記補強用充填剤の配合量が20質量部未満または前記ロジン変性キシレン樹脂の配合量が5質量部未満では、耐摩耗性を向上させることができない。
【0019】
本発明のゴム組成物において、前記補強用充填剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、50~200質量部であることが好ましく、競技用途である場合、70~200質量部であることがさらに好ましい。
前記ロジン変性キシレン樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5~80質量部であることが好ましく、競技用途である場合、30~70質量部であることがさらに好ましい。
【0020】
(粘着付与樹脂)
本発明のゴム組成物は、競技用途においてその効果をさらに向上させるため、粘着付与樹脂を併用することができる。なお、下記の粘着付与樹脂は、前記ロジン変性キシレン樹脂を除くものとする。
本発明に使用される粘着付与樹脂は特に制限されないが、その具体例としては、フェノール系樹脂(例えば、フェノール樹脂、フェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂)、クマロン系樹脂(例えば、クマロン樹脂、クマロン・インデン樹脂、クマロン・インデン・スチレン樹脂)、テルペン系樹脂(例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(芳香族変性テルペン樹脂等)、テルペンフェノール樹脂)、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂(例えば、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体)、水添テルペン樹脂)、石油樹脂(例えば、ジシクロペンタジン樹脂等のC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂)、キシレン系樹脂(例えば、キシレン樹脂、キシレン・アセチレン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂)、α-ピネン樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の効果等がより優れる理由から、C9系石油樹脂、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂およびジシクロペンタジエン樹脂から選択された1種以上であることが好ましい。
【0021】
前記粘着付与樹脂の軟化点は、本発明の効果がより優れる理由から、60~180℃であることが好ましい。
なお、本明細書で言う軟化点は、JIS K 6220-1に準拠して測定したものとする。
【0022】
前記粘着付与樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、15質量部以上であることが好ましく、25~70質量部であることがさらに好ましく、30~60質量部であることがとくに好ましい。
【0023】
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;クレー、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤;樹脂;硬化剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、耐摩耗性に優れることから、タイヤのトレッド、とくにキャップトレッド、好ましくは競技用タイヤのトレッド、とくにキャップトレッドに好適に用いられ得る。また本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。
【実施例0025】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0026】
実施例1~2および比較例1~3
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0027】
耐摩耗性:岩本製作所株式会社製のランボーン摩耗試験機を用い、荷重15N、スリップ率25%、時間10分、室温の条件にて測定し摩耗減量を求めた。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
【0028】
結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
*1:SBR(旭化成株式会社製 TUFDENE E581(スチレン含有量=36質量%、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部。表1または2では油展量を差し引いた実際のSBR量を示した)
*2:BR(日本ゼオン株式会社製Nipol BR1220)
*3:カーボンブラック(キャボットジャパン社製 ショウブラックN339、NSA=91m/g)
*4:シリカ(Rhodia Silica Korea社製ZEOSIL 1165MP、窒素吸着比表面積(NSA)=160 m/g)
*5:シランカップリング剤(Evonik社製Si69)
*6:ロジン変性キシレン樹脂1(リグナイト株式会社製リグノールR-70、軟化点=75~85℃、酸価13~15、Mw=1500)
*7:ロジン変性キシレン樹脂2(リグナイト株式会社製リグノールR-140、軟化点=128~135℃、酸価75、Mw=1600)
*8:インデン樹脂(三井化学株式会社製FMR0150、軟化点=150℃、酸価0.1以下)
*9:ロジンエステル樹脂(ハリマ化成社製ハリタックAQ90-A、軟化点=100~110℃、酸価100~110)
*10:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*11:老化防止剤(ランクセス社製6PPD)
*12:加硫促進剤1(三新化学工業株式会社製サンセラーD-G)
*13:加硫促進剤2(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ-G)
*14:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
【0031】
表1の結果から、実施例1~2のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなるものであるので、比較例1のゴム組成物に比べ、耐摩耗性に優れる結果となった。
比較例2は、ロジン変性キシレン樹脂を使用せず、その代わりにインデン樹脂を使用した例であるので、実施例程に耐摩耗性を向上させることができなかった。
比較例3は、ロジン変性キシレン樹脂を使用せず、その代わりにロジンエステル樹脂を使用した例であるので、実施例程に耐摩耗性を向上させることができなかった。
【0032】
実施例3~6および比較例4~6
サンプルの調製
表2に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で150℃で30分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0033】
耐摩耗性:上記と同様の方法により、耐摩耗性を評価した。結果は、比較例4の値を100として指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
【0034】
結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
*1~*14:上記と同様。
*15:カーボンブラック(ColumbianChemicals社製CD2019、NSA=340m/g)
*16:粘着付与樹脂(荒川化学工業株式会社製タマノル803L、テルペンフェノール樹脂、酸価=50mgKOH/g、水酸基価=15mgKOH/g)
【0037】
表2の結果から、実施例3~6のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなるものであるので、比較例4のゴム組成物に比べ、耐摩耗性に優れる結果となった。
比較例5は、ロジン変性キシレン樹脂を使用せず、その代わりにインデン樹脂を使用した例であるので、実施例程に耐摩耗性を向上させることができなかった。
比較例6は、ロジン変性キシレン樹脂を使用せず、その代わりにロジンエステル樹脂を使用した例であるので、実施例程に耐摩耗性を向上させることができなかった。
【0038】
本開示は、以下の発明を包含する。
発明[1]:ジエン系ゴム100質量部に対し、補強用充填剤を20質量部以上、およびロジン変性キシレン樹脂を5質量部以上配合してなることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
発明[2]:前記ロジン変性キシレン樹脂の軟化点が75~135℃であることを特徴とする発明1に記載のゴム組成物。
発明[3]:前記ロジン変性キシレン樹脂の酸価が10~80mgKOH/gであることを特徴とする発明1または2に記載のゴム組成物。
発明[4]:前記補強用充填剤がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が70m/g以上であり、かつ前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記ロジン変性キシレン樹脂を10質量部以上100質量部以下配合していることを特徴とする発明1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
発明[5]:前記補強用充填剤がカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が100m/g以上であり、かつ前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記ロジン変性キシレン樹脂を10質量部以上100質量部以下配合していることを特徴とする発明1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
発明[6]:発明1~5のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。