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特開2024-30307吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法
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  • 特開-吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法 図1
  • 特開-吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法 図2
  • 特開-吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法 図3
  • 特開-吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法 図4
  • 特開-吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030307
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20240229BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04G23/02 D
E04B9/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133092
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 泰成
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 真大
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA07
2E176BB28
(57)【要約】
【課題】既存の吊り天井を解体せずに施工可能な吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法を提供する。
【解決手段】吊り天井の耐震補強構造200は、第1方向Xに延びる既存の複数の天井梁12と、複数の天井梁12に横架され第1方向Xと直交する方向且つ水平面に沿う第2方向Yに延びる複数の横架材13と、を有する天井構造体に支持された天井下地材を備える吊り天井の補強構造であって、複数の横架材13どうしを連結する水平補強体3と、横架材13と天井下地材16とを連結する鉛直補強体4と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる既存の複数の天井梁と、前記複数の天井梁に横架され前記第1方向と直交する方向且つ水平面に沿う第2方向に延びる複数の横架材と、を有する天井構造体に支持された天井下地材を備える吊り天井の耐震補強構造であって、
前記複数の横架材どうしを連結する水平補強体と、
前記横架材と前記天井下地材とを連結する鉛直補強体と、を備える吊り天井の耐震補強構造。
【請求項2】
前記水平補強体は、
隣り合う前記横架材を連結し、前記第1方向に延びる鉄骨製の部材である補強梁を有する請求項1に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項3】
前記水平補強体は、
前記第2方向に隣り合う前記補強梁どうしを連結し、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向且つ水平面に沿う方向に延び、鉄骨製の部材である第1水平ブレースを有する請求項2に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項4】
前記水平補強体は、
前記横架材と前記補強梁とを連結し、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向且つ水平面に沿う方向に延び、鉄骨製の部材である第2水平ブレースを有する請求項2に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項5】
前記鉛直補強体は、
前記横架材と前記天井下地材とを連結し、鉛直方向に延びる鉄骨製の部材である吊り材を有する請求項1に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項6】
前記鉛直補強体は、
隣り合う前記吊り材のうち一方の前記吊り材の上部と他方の前記吊り材の下部とを連結する鉄骨製の部材である鉛直ブレースを有する請求項5に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項7】
前記鉄骨製の部材は、連結される部材にドリルネジ接合によって接合されている請求項2または3に記載の吊り天井の耐震補強構造。
【請求項8】
請求項1に記載の吊り天井の耐震補強構造の施工方法であって、
前記天井下地材に開口を形成して、
前記開口から天井内に足場、前記水平補強体及び前記鉛直補強体を搬入して、
前記水平補強体で前記複数の横架材どうしを連結し、
前記鉛直補強体で前記横架材と前記天井下地材とを連結する吊り天井の耐震補強構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるぶどう棚のような吊り天井が知られている(下記の特許文献1参照)。吊り天井では、地震時に作用する水平力によって横揺れしやすく、また建設当時の設計基準以上の地震が発生することを想定して、耐震補強をすることが望まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-101479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耐震補強工事を行う際に、既存の天井を解体すると大がかりな工事となり、工期が長期化してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、既存の吊り天井を解体せずに施工可能な吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る吊り天井の耐震補強構造は、第1方向に延びる既存の複数の天井梁と、前記複数の天井梁に横架され前記第1方向と直交する方向且つ水平面に沿う第2方向に延びる複数の横架材と、を有する天井構造体に支持された天井下地材を備える吊り天井の補強構造であって、前記複数の横架材どうしを連結する水平補強体と、前記横架材と前記天井下地材とを連結する鉛直補強体と、を備える。
【0007】
このように構成された天井の耐震補強構造では、既存の天井梁及び横架材を解体することなく利用して、水平補強体で複数の横架材どうしを連結し、鉛直補強体で横架材と天井下地材とを連結する。よって、既存の吊り天井を解体せずに耐震補強を施工することができる。
【0008】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構造では、前記水平補強体は、隣り合う前記横架材を連結し、前記第1方向に延びる鉄骨製の部材である補強梁を有していてもよい。
【0009】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の補強梁で、隣り合う横架材を連結して耐震補強する。よって、補強梁の長さは隣り合う横架材の間隔程度でよいため、天井下地材に小さな開口を開けて天井空間へ補強梁を搬入することができる。
【0010】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構造では、前記水平補強体は、前記第2方向に隣り合う前記補強梁どうしを連結し、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向且つ水平面に沿う方向に延び、鉄骨製の部材である第1水平ブレースを有していてもよい。
【0011】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の第1水平ブレースで、第2方向に隣り合う補強梁どうしを連結して耐震補強する。よって、第1水平ブレースの長さは第2方向に隣り合う補強梁の間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材に小さな開口を開けて天井空間へ第1水平ブレースを搬入することができる。
【0012】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構では、前記水平補強体は、前記横架材と前記補強梁とを連結し、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向且つ水平面に沿う方向に延び、鉄骨製の部材である第2水平ブレースを有していてもよい。
【0013】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の第2水平ブレースで、横架材と補強梁とを連結して耐震補強する。よって、第2水平ブレースの長さは横架材と補強梁との間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材に小さな開口を開けて天井空間へ第2水平ブレースを搬入することができる。
【0014】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構では、前記鉛直補強体は、前記横架材と前記天井下地材とを連結し、鉛直方向に延びる鉄骨製の部材である吊り材を有していてもよい。
【0015】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の吊り材で、横架材と天井下地材とを連結して耐震補強する。よって、吊り材の長さは横架材と天井下地材との間隔程度でよいため、天井下地材に小さな開口を開けて天井空間へ吊り材を搬入することができる。
【0016】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構では、前記鉛直補強体は、隣り合う前記吊り材のうち一方の前記吊り材の上部と他方の前記吊り材の下部とを連結する鉄骨製の部材である鉛直ブレースを有していてもよい。
【0017】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の鉛直ブレースで、隣り合う吊り材のうち一方の吊り材の上部と他方の吊り材の下部とを連結して耐震補強する。よって、鉛直ブレースの長さは隣り合う吊り材の間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材に小さな開口を開けて天井空間へ鉛直ブレースを搬入することができる。
【0018】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構では、前記鉄骨製の部材は、連結される部材にドリルネジ接合によって接合されていてもよい。
【0019】
このように構成された天井の耐震補強構造では、鉄骨製の部材は、連結される部材にドリルネジ接合によって接合されている。よって、溶接による火災の発生を防止することができるとともに、ボルト接合によるナットにボルトを締結させる手間を削減することができる。
【0020】
また、本発明に係る吊り天井の耐震補強構の施工方法は、上記に記載の吊り天井の補強構造の施工方法であって、前記天井下地材に開口を形成して、前記開口から天井内に足場、前記水平補強体及び前記鉛直補強体を搬入して、前記水平補強体で前記複数の横架材どうしを連結し、前記鉛直補強体で前記横架材と前記天井下地材とを連結する。
【0021】
このように構成された天井の耐震補強構造の施工方法では、天井下地材に形成した小さな開口から、天井空間内に水平補強体及び鉛直補強体を搬入する。既存の天井梁及び横架材を解体することなく利用して、水平補強体で複数の横架材どうしを連結し、鉛直補強体で横架材と天井下地材とを連結する。よって、既存の吊り天井を解体せずに耐震補強を施工することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法によれば、既存の吊り天井を解体せずに施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】既存の吊り天井の構造を示す鉛直断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る吊り天井の耐震補強構造を示す鉛直断面図である。
図3図2のIII矢視図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る吊り天井の耐震補強構造の施工方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る吊り天井の耐震補強構造及び吊り天井の耐震補強構造の施工方法について、図面を用いて説明する。
【0025】
まず、本実施形態の吊り天井の耐震補強構造が適用される前の既存の吊り天井の構造について説明する。
図1は、既存の吊り天井の構造を示す鉛直断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る既存の吊り天井の構造100は、映画館1等の建物に設けられている。既存の吊り天井の構造100は、天井構造体11と、天井下地材16と、を有している。
【0026】
水平方向のうち図1の紙面左右方を方向X(第1方向)とし、水平方向のうち方向Xに直交する方向を方向Y(第2方向)とする。
【0027】
天井構造体11は、屋根構造体等の上方の構造体18と、ブレース等の支持材19で支持されている。天井構造体11は、複数の天井梁12と、複数の横架材13と、を有している。
【0028】
天井梁12は、方向Xに延びている。天井梁12は、方向Yに間隔を有して複数配置されている。天井梁12は、例えばH形鋼等の鉄骨材で形成されている。
【0029】
横架材13は、方向Yに延びている。横架材13は、方向Xに間隔を有して複数配置されている。横架材13は、例えばC形鋼等の鉄骨材で形成されている。横架材13は、天井梁12に接合されている。
【0030】
天井下地材16は、不図示の吊り材等の支持部材によって天井構造体11に吊り下げられている。天井下地材16の下面には、天井仕上げ材17が取り付けられている。
【0031】
次に、既存の吊り天井の構造100を耐震補強した本実施形態に係る吊り天井の耐震補強構造200について説明する。
図2は、吊り天井の耐震補強構造200を示す鉛直断面図である。
図2に示すように、吊り天井の耐震補強構造200は、既存の吊り天井の構造100をそのまま残して、天井下地材16の上方且つ構造体18の下側の天井空間Sに設置されている。耐震補強構造200は、水平補強体3と、鉛直補強体4と、を備えている。
【0032】
図3は、図2のIII矢視図である。
図3に示すように、水平補強体3は、複数の横架材13どうしを連結している。水平補強体3は、既存の吊り天井の構造100を水平面に沿って面的に補強している。
【0033】
水平補強体3は、複数の補強梁31と、複数の第1水平ブレース32と、複数の第2水平ブレース33と、を有している。
【0034】
補強梁31は、方向Xに隣り合う横架材13どうしを連結している。補強梁31は、方向Xに延びている。補強梁31の長さは、方向Xに隣り合う横架材13の間隔程度の短尺な部材である。補強梁31は、方向Yに間隔を有して複数配置されている。補強梁31は、例えばC形鋼等の鉄骨材で形成されている。
【0035】
補強梁31の長さ方向の端部は、横架材13の側面に対向するように配置されている。補強梁31は、例えば長さ方向の端部に設けられた接合プレート31aを介して、横架材13にドリルネジ接合によって接合されている。
【0036】
第1水平ブレース32は、方向Yに隣り合う補強梁31どうしを連結している。第1水平ブレース32は、水平面に沿う方向、且つ方向X及び方向Yに交差する方向に延びている。第1水平ブレース32の長さは、方向Yに隣り合う補強梁31の間隔よりも僅かに長い程度の短尺な部材である。第1水平ブレース32は、方向X及び方向Yに間隔を有して複数配置されている。第1水平ブレース32は、例えばC形鋼等の鉄骨材で形成されている。
【0037】
第1水平ブレース32の長さ方向の端部は、補強梁31の上側に配置されている。第1水平ブレース32の端部は、第1水平ブレース32にドリルネジ接合によって接合されている。
【0038】
第2水平ブレース33は、横架材13と補強梁31とを連結している。第2水平ブレース33は、水平面に沿う方向、且つ方向X及び方向Yに交差する方向に延びている。第2水平ブレース33の長さは、方向Yに隣り合う補強梁31の間隔及び方向Xに隣り合う横架材13の間隔よりも僅かに長い程度の短尺な部材である。第2水平ブレース33は、方向X及び方向Yに間隔を有して複数配置されている。第2水平ブレース33は、例えばC形鋼等の鉄骨材で形成されている。
【0039】
第2水平ブレース33の長さ方向の一端部は、補強梁31の上側に配置されている。第2水平ブレース33の一端部は、第1水平ブレース32にドリルネジ接合によって接合されている。
【0040】
第2水平ブレース33の長さ方向の他端部には、例えば接合プレート33aがドリルネジ接合によって接合されている。接合プレート33aは、ドリルネジ接合によって横架材13に接合されている。
【0041】
図4は、図3のIV-IV線断面図である。
図4に示すように、鉛直補強体4は、横架材13と天井下地材16とを連結している。鉛直補強体4は、既存の吊り天井の構造100を鉛直面に沿って面的に補強している。
【0042】
鉛直補強体4は、吊り材41と、鉛直ブレース42と、を有している。
【0043】
吊り材41は、横架材13と天井下地材16とを連結している。吊り材41は、鉛直方向に延びている。吊り材41の長さは、横架材13と天井下地材16との間隔よりも僅かに長い程度の短尺な部材である。吊り材41は、方向X及び方向Yに間隔を有して複数配置されている。吊り材41は、例えば角形鋼管等の鉄骨材で形成されている。
【0044】
吊り材41の上端部は、横架材13にドリルネジ接合によって接合されている。吊り材41の下端部は、天井下地材16にドリルネジ接合によって接合されている。
【0045】
鉛直ブレース42は、X方向及び方向Yに隣り合う吊り材41どうしを連結している。鉛直ブレース42は、一方の吊り材41の上部と他方の吊り材41の下部とを連結している。鉛直ブレース42は、例えばC形鋼等の鉄骨材で形成されている。吊り材41の端部は、吊り材41にドリルネジ接合によって接合されている。
【0046】
次に、上記の吊り天井の耐震補強構造200の施工方法について説明する。
図5は、吊り天井の耐震補強構造200の施工方法を説明する図である。
図5に示すように、映画館1の座席s1には、養生シートs2等をかけて養生しておく。天井下地材16及び天井仕上げ材17の一部に小さな開口21を開ける。開口21の大きさは、後述する補強梁31、第1水平ブレース32、第2水平ブレース33、吊り材41及び鉛直ブレース42等の短尺な部材を天井空間S内に搬入可能な大きさであればよい。
【0047】
開口21に到達するように足場22を設置する。開口21から、天井空間S内に設置する足場23を搬入する。足場23を構成する部材の大きさは、開口21から搬入可能な大きさである。天井空間S内の天井梁12及び横架材13を利用して、足場23を設置する。
【0048】
開口21から、補強梁31、第1水平ブレース32、第2水平ブレース33、吊り材41及び鉛直ブレース42等の部材を天井空間Sに搬入する。
【0049】
吊り材41で、横架材13と天井下地材16とを連結する。鉛直ブレース42で、隣り合う吊り材41どうしを連結する。補強梁31で、隣り合う横架材13どうしを連結する。第1水平ブレース32で、隣り合う補強梁31どうしを連結する。第2水平ブレース33で、横架材13と補強梁31とを連結する。
【0050】
天井空間S内の工事が完了すると、足場23を解体して開口21から搬出し、開口21を塞ぐ工事をした後に、足場22を解体する。
【0051】
このように構成された吊り天井の耐震補強構造200及び吊り天井の耐震補強構造200の施工方法では、既存の天井梁12及び横架材13を解体することなく利用して、水平補強体3で複数の横架材13どうしを連結し、鉛直補強体4で横架材13と天井下地材16とを連結する。よって、既存の吊り天井を解体せずに耐震補強を施工することができる。
【0052】
また、鉄骨製の補強梁31で、隣り合う横架材13を連結して耐震補強する。よって、補強梁31の長さは隣り合う横架材13の間隔程度でよいため、天井下地材16に小さな開口21を開けて天井空間Sへ補強梁31を搬入することができる。
【0053】
また、鉄骨製の第1水平ブレース32で、方向Yに隣り合う補強梁31どうしを連結して耐震補強する。よって、第1水平ブレース32の長さは方向Yに隣り合う補強梁31の間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材16に小さな開口21を開けて天井空間Sへ第1水平ブレース32を搬入することができる。
【0054】
また、鉄骨製の第2水平ブレース33で、横架材13と補強梁31とを連結して耐震補強する。よって、第2水平ブレース33の長さは横架材13との間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材16に小さな開口21を開けて天井空間Sへ第2水平ブレース33を搬入することができる。
【0055】
また、鉄骨製の吊り材41で、横架材13と天井下地材16とを連結して耐震補強する。よって、吊り材41の長さは横架材13と天井下地材16との間隔程度でよいため、天井下地材16に小さな開口21を開けて天井空間Sへ吊り材41を搬入することができる。
【0056】
また、鉄骨製の鉛直ブレース42で、隣り合う吊り材41のうち一方の吊り材41の上部と他方の吊り材41の下部とを連結して耐震補強する。よって、鉛直ブレース42の長さは隣り合う吊り材41の間隔よりもわずかに長い程度でよいため、天井下地材16に小さな開口21を開けて天井空間Sへ鉛直ブレース42を搬入することができる。
【0057】
また、鉄骨製の部材は、連結される部材にドリルネジ接合によって接合されている。よって、溶接による火災の発生を防止することができるとともに、ボルト接合によるナットにボルトを締結させる手間を削減することができる。
【0058】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)滑動」がある。本実施形態に係る吊り天井の耐震補強構造200は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0060】
3 水平補強体
4 鉛直補強体
11 天井構造体
12 天井梁
13 横架材
16 天井下地材
21 開口
31 補強梁
32 第1水平ブレース
33 第2水平ブレース
41 吊り材
42 鉛直ブレース
100 既存の吊り天井の構造
200 吊り天井の耐震補強構造
X 第1方向
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5