(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030309
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】キーボード装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20240229BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F3/02 D
G06F3/02 510
H01H13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133094
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 聡
【テーマコード(参考)】
5B020
5G206
【Fターム(参考)】
5B020BB02
5B020DD02
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206AS27K
(57)【要約】
【課題】ユーザの使い勝手を向上させる。
【解決手段】キーボード装置は、移動可能にベース8に支持されるキー11と、キー11とベース8との間の距離を計測する測距センサ18と、キー11が操作されているか否かをその計測された距離に基づいて判定する判定部とを備え、測距センサ18は、キー11に光を投光する投光部27と、キー11で反射した反射光を受光する受光部28と、反射光に基づいてキー11とベース8との間の距離を算出する算出部とを有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能にベースに支持されるキーと、
前記キーと前記ベースとの間の距離を計測する測距センサと、
前記キーが操作されているか否かを前記距離に基づいて判定する判定部
とを備えるキーボード装置。
【請求項2】
前記測距センサは、
前記キーに光を投光する投光部と、
前記光が前記キーで反射した反射光を受光する受光部と、
前記反射光に基づいて前記距離を算出する算出部とを有する
請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記キーが移動する押下速さを計測する押下速さセンサをさらに備え、
前記判定部は、前記キーが操作されているか否かを前記押下速さにさらに基づいて判定する
請求項2に記載のキーボード装置。
【請求項4】
移動可能に前記ベースに支持される複数のキーと、
前記複数のキーの各々に対応する距離を計測する複数の測距センサと、
前記複数のキーの各々が移動する押下速さをそれぞれ計測する複数の押下速さセンサとをさらに備え、
前記複数のキーのうちの被計測キーに対応する距離は、前記ベースと前記被計測キーとの間の距離を示し、
前記判定部は、前記複数のキーの各々が操作されているか否かを前記複数のキーの各々の距離と押下速さとに基づいて判定する
請求項3に記載のキーボード装置。
【請求項5】
条件情報が記録される記憶部と、
外部装置から出力された設定変更情報に基づいて前記条件情報を更新する更新部とをさらに備え、
前記判定部は、前記複数のキーの各々が操作されているか否かを前記条件情報にさらに基づいて判定する
請求項4に記載のキーボード装置。
【請求項6】
前記条件情報は、前記複数のキーの各々を押下量閾値と押下速さ閾値とに対応付ける閾値テーブルを示し、
前記判定部は、
前記複数のキーの各々が押下される押下量を前記複数のキーの各々の距離に基づいて算出し、
前記複数のキーのうちの被計測キーが押下される対象押下量が前記被計測キーに対応する押下量閾値より小さいときに、または、前記被計測キーが移動する対象押下速さが前記被計測キーに対応する押下速さ閾値より小さいときに、前記被計測キーが操作されていないと判定し、
前記対象押下量が前記押下量閾値より大きいときで、かつ、前記対象押下速さが前記押下速さ閾値より大きいときに、前記被計測キーが操作されていると判定する
請求項5に記載のキーボード装置。
【請求項7】
前記更新部は、
前記複数のキーの各々に押下量データと押下速さデータとを対応付ける計測情報を前記外部装置に出力し、
前記複数のキーのうちの被計測キーに対応する押下量データは、前記被計測キーが押下された押下量を示し、
前記複数のキーのうちの前記被計測キーに対応する押下速さデータは、前記被計測キーが押下された押下速さを示す
請求項6に記載のキーボード装置。
【請求項8】
前記記憶部には、前記計測情報がさらに記録され、
前記更新部は、前記外部装置から計測情報要求信号が出力されたときに、前記計測情報を前記外部装置に出力する
請求項7に記載のキーボード装置。
【請求項9】
前記押下量閾値は、前記外部装置で前記押下量データが統計処理されることにより生成された第1統計結果に基づいて算出され、
前記押下速さ閾値は、前記外部装置で前記押下速さデータが統計処理されることにより生成された第2統計結果に基づいて算出される
請求項7に記載のキーボード装置。
【請求項10】
前記記憶部は、複数の条件情報をさらに記録し、
前記判定部は、前記複数の条件情報から選択された前記条件情報に基づいて、前記複数のキーの各々が操作されているか否かを判定する
請求項5から請求項9のいずれか一項に記載のキーボード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、キーボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによりキーが押下されたり離されたりする複数のキーを備え、複数のキーのうちのユーザに操作されたキーに対応する操作キー信号をパーソナルコンピュータに出力し、パーソナルコンピュータに情報を入力するキーボード装置が知られている。このようなキーボード装置は、キーストロークやキーオン認識位置が複数のキー毎に設定されることにより、ユーザの使い勝手を向上させることができる(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-312357号公報
【特許文献2】特開2018-67134号公報
【特許文献3】特開2021-82332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなキーボード装置は、キーの押下量を計測するセンサの分解能が粗いときに、その押下されたキーが操作されたか否かが、ユーザが思った通りに判定されないことがあり、ユーザの使い勝手が悪くなるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、ユーザの使い勝手を向上させるキーボード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるキーボード装置は、移動可能にベースに支持されるキーと、前記キーと前記ベースとの間の距離を計測する測距センサと、前記キーが操作されているか否かを前記距離に基づいて判定する判定部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示のキーボード装置は、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例のキーボード装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、複数のキースイッチのうちの1つのキースイッチを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、メモリに記録される情報を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、複数の閾値テーブルのうちの1つの閾値テーブルを示す図である。
【
図8】
図8は、複数の計測情報のうちの1つの計測情報を示す図である。
【
図10】
図10は、手入力設定動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、タイピング設定動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかるキーボード装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
実施例のキーボード装置1は、
図1に示されているように、双方向に情報伝達可能にパーソナルコンピュータ2に接続されている。
図1は、実施例のキーボード装置1を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ2は、表示装置90を備えている。パーソナルコンピュータ2には、手入力設定ツール91とタイピング設定ツール92と自動設定ツール93とがインストールされている。キーボード装置1は、複数のキー3とメモリ5と通信部6と制御部7とを備えている。制御部7は、メモリ5と通信部6とを制御する。メモリ5には、制御部7により利用される情報が記録されている。通信部6は、制御部7に制御され、パーソナルコンピュータ2に信号を送信したり、パーソナルコンピュータ2から送信された信号を受信したりする。
【0011】
キーボード装置1は、
図2に示されているように、ベース8と、複数のキー3に対応する複数のキースイッチとをさらに備えている。
図2は、複数のキースイッチのうちの1つのキースイッチ12を示す分解斜視図である。複数のキースイッチのうちの1つのキー11に対応するキースイッチ12は、キー11とハウジング14とプランジャ15とラバードーム16とスプリング17と測距センサ18と押下速さセンサ19とを備えている。ハウジング14は、概ね箱形に形成されている。ハウジング14には、開口部21が形成されている。
図3は、キースイッチ12を示す断面図である。ハウジング14は、ベース8に固定されている。プランジャ15は、ハウジング14の開口部21を貫通し、プランジャ15の一端がハウジング14の外部に配置され、プランジャ15の他端がハウジング14の内部に配置されている。プランジャ15は、押下方向22に移動可能にハウジング14に支持されている。
【0012】
キー11には、キートップ23が形成されている。キー11は、プランジャ15のうちのハウジング14の外部に配置される部分の一端に固定されている。キー11は、プランジャ15が押下方向22に移動可能にハウジング14に支持されることにより、押下方向22に移動可能にベース8に支持されている。
【0013】
ラバードーム16は、概ね円錐状に形成され、ハウジング14の内部に配置されている。ラバードーム16の下端は、ベース8に接触し、ラバードーム16の上端は、プランジャ15に接触している。スプリング17は、円錐形巻きばねから形成され、ラバードーム16の内部に配置されている。スプリング17の下端は、ベース8に接触し、スプリング17の上端は、ラバードーム16を介してプランジャ15に接触している。スプリング17は、キー11が初期位置から押下方向22に移動するときに、弾性変形し、キー11が初期位置に向かって移動するように、プランジャ15に弾性力を与えている。
【0014】
測距センサ18は、キー11とベース8との間のキーベース間距離を計測する。測距センサ18は、投光部27と受光部28とを備えている。投光部27は、ベース8に固定されている。投光部27は、キー11に光を投光する。受光部28は、キー11で反射した反射光を受光するように、ベース8に固定されている。
【0015】
押下速さセンサ19は、ベース8に固定されている。押下速さセンサ19は、静電容量検出方式によりキー11の押下速さを測定する。キー11の押下速さは、キー11が押下方向22に移動する速さを示している。キー11の押下速さは、0から4までの整数で示され、キー11の押下速さの値が大きいほどキー11が押下方向に移動する速さが速いことを示す。
【0016】
複数のキースイッチのうちのキースイッチ12と異なる他のキースイッチも、キースイッチ12と同様に、形成されている。すなわち、キーボード装置1は、複数のキー3の各々に対応する複数の測距センサと、複数のキー3の各々に対応する複数の押下速さセンサとを備えている。あるキーに対応する測距センサは、そのキーのキーベース間距離を計測する。あるキーに対応する押下速さセンサは、そのキーの押下速さを計測する。
【0017】
図4は、メモリ5に記録される情報を示すブロック図である。メモリ5には、条件情報テーブル71と計測情報テーブル81とが記録されている。
図5は、条件情報テーブル71を示す図である。条件情報テーブル71は、ユーザ情報72と閾値テーブル73とを対応付けている。複数のユーザ情報72の各々は、キーボード装置1を利用する複数のユーザのうちの一人のユーザを示す。または条件情報テーブル71は、ユーザ情報72が省略され、複数の閾値テーブル73のみを含んでいてもよい。
【0018】
図6は、複数の閾値テーブル73のうちの1つの閾値テーブル75を示す図である。閾値テーブル75は、複数のキー情報76と複数の押下量閾値77と複数の押下速さ閾値78とを含む。複数のキー情報76の各々は、複数のキー3のうちの1つのキーを示す。あるキー情報に対応する押下量閾値は、1から20までの整数で示され、そのキーが操作されたか否かを判定するときに、そのキー情報が示すキー11の押下量と比較される。あるキー情報に対応する押下速さ閾値は、0から4までの整数で示され、そのキーが操作されたか否かを判定するときに、そのキー情報が示すキー11の押下速さと比較される。複数の閾値テーブル73のうちの閾値テーブル75と異なる他の閾値テーブルも、閾値テーブル75と同様に、複数のキー情報76と複数の押下量閾値と複数の押下速さ閾値とを含む。
【0019】
図7は、計測情報テーブル81を示す図である。計測情報テーブル81は、ユーザ情報72と複数の計測情報83とを含む。複数の計測情報83のうちのあるユーザ情報に対応する1つの計測情報は、そのユーザ情報が示すユーザにキーボード装置1が利用されるときに、メモリ5に記録される情報を示す。または計測情報テーブル81は、ユーザ情報72が省略され、複数の計測情報83のみを含んでいてもよい。
【0020】
図8は、複数の計測情報83のうちの1つの計測情報85を示す図である。計測情報85は、複数の日時データ86と複数のキーデータ87と複数の押下量データ88と複数の押下速さデータ89とを対応付けている。複数のキー3のうちのいずれかのキーが押下されたとき、押下された日時、押下されたキーのキー情報、押下量、および押下速さが、日時データ86、キーデータ87、押下量データ88、および押下速さデータ89のそれぞれに格納される。複数の計測情報83のうちの計測情報85と異なる他の計測情報も、計測情報85と同様に、複数の日時データと複数のキーデータと複数の押下量データと複数の押下速さデータとを含む。
【0021】
図9は、制御部7を示すブロック図である。制御部7は、算出部31と判定部32と更新部33とを含む。
【0022】
算出部31は、LiDAR(light detection and ranging)を用いてキー11の押下量が計測されるように、測距センサ18を制御する。すなわち、算出部31は、キー11に光が投光されるように、投光部27を制御する。算出部31は、投光部27がキー11に光を投光した投光時刻と、キー11で反射した光を受光部28が受光した受光時刻との時間差に基づいてキー11のキーベース間距離を算出する。キー11のキーベース間距離は、キー11とベース8との間の距離を示す。算出部31は、その算出されたキーベース間距離の変化に基づいてキー11の押下量を算出する。押下量は、1から20の整数で示される。押下量は、キー11が押下されたときに、キー11が最もベース8に近づいた時の初期位置からの距離を示す。押下量は、大きいほどキー11が深く押下されたことを示す。すなわち、押下量が大きいほど、キー11とベース8との間のキーベース距離が小さくなったことを示す。
【0023】
算出部31は、さらに、複数のキースイッチの各々の測距センサを用いて複数のキー3の各々に対応するキーベース間距離を算出する。あるキーのキーベース間距離は、キー11のキーベース間距離と同様に算出される。算出部31は、さらに、各々のキーベース間距離に基づいて各々のキーに対応する各々の押下量を算出する。あるキーの押下量は、キー11の押下量と同様に算出される。
【0024】
判定部32は、メモリ5に記録されている複数の閾値テーブル73のうちの1つの閾値テーブル75を参照して、算出部31により算出された押下量と、押下速さセンサ19により計測された押下速さとに基づいて、複数のキー3の各々が操作されたか否かを判定する。判定部32は、さらに、複数のキー3のうちのキー11が操作されたと判定されたときに、キー11を示す操作キー信号がパーソナルコンピュータ2に送信されるように、通信部6を制御する。
【0025】
更新部33は、複数のキー3のいずれかが押下されるたびに計測情報テーブル81が更新されるように、メモリ5を制御する。更新部33は、さらに、更新後閾値テーブルがパーソナルコンピュータ2からキーボード装置1に送信されたときに、条件情報テーブル71の複数の閾値テーブル73のうちの1つの閾値テーブルが更新後閾値テーブルに更新されるように、メモリ5を制御する。
【0026】
[キーボード装置1の動作]
キーボード装置1は、通常入力モードと手入力設定モードとタイピング設定モードとから選択された1つのモードに切り替えられ、初期には通常入力モードに切り替えられている。
【0027】
[通常入力動作]
ユーザは、キーボード装置1を用いてパーソナルコンピュータ2に情報を入力したいときに、まず、キーボード装置1を操作して、条件情報テーブル71から1つの条件情報を選択する。制御部7は、キーボード装置1が通常入力モードに切り替えられているときで、かつ、条件情報が選択されたときに、ユーザにより選択された条件情報に対応する閾値テーブル75を選択する。
【0028】
制御部7は、キーボード装置1が通常入力モードに切り替えられているときに、さらに、複数のキー3の各々の測距センサを用いて複数のキー3の各々のキーベース間距離を間欠的に計測し、複数のキー3の各々の押下速さセンサを用いて複数のキー3の各々の押下速さを間欠的に計測する。ユーザは、条件情報を選択した後に、所望の情報がパーソナルコンピュータ2に入力されるように、複数のキー3のいずれかのキーを押下する。
【0029】
制御部7は、ある測距センサにより計測されるキーベース間距離が変化したときに、その測距センサに対応するキーが押下されたと判定する。制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、さらに、その測距センサにより計測されるキーベース間距離の変化に基づいてそのキーの押下量を算出する。制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、さらに、メモリ5を制御し、選択されている条件情報に対応するユーザ情報に対応する計測情報85を更新後計測情報に更新する。更新後計測情報は、そのキーが押下された日時を示す日時データと、そのキーを示すキーデータと、そのキーの押下量を示す押下量データと、そのキーの押下速さを示す押下速さデータとを含む。制御部7は、さらに、メモリ5を制御し、複数のキーデータ87と複数の押下量データ88と複数の押下速さデータ89とのうち、予め定められた期間(たとえば、3か月)以上現在日時より前の日時を示す日時データに対応するデータを削除する。
【0030】
制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、さらに、選択されている閾値テーブル75を参照して、そのキーの押下量がそのキーを示すキー情報に対応する押下量閾値以上であるか否かを判定する。制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、さらに、そのキーの押下速さがそのキーを示すキー情報に対応する押下速さ閾値以上であるか否かを判定する。制御部7は、そのキーの押下量が押下量閾値より小さいときに、または、そのキーの押下速さが押下速さ閾値より小さいときに、そのキーが操作されていないと判定する。制御部7は、そのキーの押下量が押下量閾値以上であるときで、かつ、そのキーの押下速さが押下速さ閾値以上であるときに、そのキーが操作されたと判定する。制御部7は、あるキーが操作されたと判定されたときに、通信部6を制御し、そのキーを示す操作キー信号をパーソナルコンピュータ2に送信する。制御部7は、キーボード装置1が通常入力モードに切り替えられているときに、キーが操作されたと判定されるたびに、そのキーを示す操作キー信号をパーソナルコンピュータ2に送信する。
【0031】
キーボード装置1は、キー11の押下量とキー11の押下速さとの両方に基づいてキー11が操作されたか否かが判定されることにより、ユーザの使い勝手を向上させることができる。このとき、キーボード装置1は、キー11が奥まで押下された場合でも、キー11が非常にゆっくり押下されたときに、キー11が操作されていないと判定することができる。たとえば、キーボード装置1は、子供がいたずらでキー11を押下したり、ペットがキーボード装置1の上に乗ったりすることにより、キー11が操作されたと誤判定されることを防止することができる。キーボード装置1は、このような誤判定が防止されることにより、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0032】
[手入力設定動作]
ユーザは、ある閾値テーブル75を更新したいときに、パーソナルコンピュータ2を操作することにより、手入力設定ツール91を起動し、更新したい閾値テーブルを選択する。パーソナルコンピュータ2は、手入力設定ツール91が起動されると、選択された閾値テーブルに関する情報を含む手入力設定信号をキーボード装置1に送信し、手入力設定動作を実行する。
図10は、手入力設定動作を示すフローチャートである。
【0033】
キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2から手入力設定信号を受信すると、キーボード装置1を手入力設定モードに切り替える。制御部7は、キーボード装置1が手入力設定モードに切り替えられると、通信部6を制御し、条件情報テーブル71の複数の閾値テーブル73のうちの手入力設定信号が示す閾値テーブル75をパーソナルコンピュータ2に送信する。制御部7は、キーボード装置1が手入力設定モードに切り替えられているときに、複数のキー3の各々の測距センサを用いて複数のキー3の各々のキーベース間距離を間欠的にそれぞれ計測し、複数のキー3の各々の押下速さセンサを用いて複数のキー3の各々の押下速さを間欠的にそれぞれ計測する。
【0034】
パーソナルコンピュータ2は、閾値テーブル75をキーボード装置1から受信すると、閾値テーブル75を表示装置90に表示し、その表示された閾値テーブル75を更新するか否かをユーザに確認するメッセージを表示装置90に表示する(ステップS1)。ユーザは、表示された閾値テーブル75を更新したいときに、更新必要情報をパーソナルコンピュータ2に入力し、その表示された閾値テーブル75を更新しないときに、更新不要情報をパーソナルコンピュータ2に入力する。パーソナルコンピュータ2は、更新不要情報が入力されたときに(ステップS1、Yes)、更新不要情報をキーボード装置1に送信する。
【0035】
パーソナルコンピュータ2は、更新必要情報が入力されたときに(ステップS1、No)、閾値テーブル75の複数の押下量閾値77と複数の押下速さ閾値78とのうちの変更したい閾値に対応するキー情報が示すキーの押下をユーザに促すメッセージを表示装置90に表示する(ステップS2)。ユーザは、複数のキー3のうちの設定変更したい閾値に対応するキー情報が示すキー11を、通常操作するように押下する。
【0036】
制御部7は、ある測距センサが計測するキーベース間距離が変化したときに、複数のキー3のうちのその測距センサに対応するキーが押下されたと判定する。制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、さらに、そのキーの測距センサが計測するキーベース間距離の変化に基づいてそのキーの押下量を算出し、そのキーの押下速さセンサにより押下速さを計測する。制御部7は、通信部6を制御し、そのキーと、算出されたそのキーの押下量と、計測されたそのキーの押下速さとを示す手入力設定情報信号をパーソナルコンピュータ2に送信する。
【0037】
パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から送信された手入力設定情報信号を受信すると、手入力設定情報信号が示すそのキーの押下量に基づいて更新後押下量閾値を算出する(ステップS3)。更新後押下量閾値は、そのキーの押下量から所定量(例えば1)を減算した値に設定されてもよい。パーソナルコンピュータ2は、さらに、手入力設定情報信号が示すそのキーの押下速さに基づいて更新後押下速さ閾値を算出する(ステップS4)。更新後押下速さ閾値は、そのキーの押下速さに設定されてもよい。
【0038】
パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から取得した閾値テーブル75と、更新後押下量閾値と、更新後押下速さ閾値とに基づいて更新後閾値テーブルを作成する。パーソナルコンピュータ2は、更新後閾値テーブルが作成された後に、更新後閾値テーブルを表示装置90に表示し、その表示された更新後閾値テーブルが適切であるか否かをユーザに確認するメッセージを表示装置90にさらに表示する(ステップS5)。ユーザは、更新後閾値テーブルが適切であるときに、適切情報をパーソナルコンピュータ2に入力し、更新後閾値テーブルが適切ではないときに、不適切情報をパーソナルコンピュータ2に入力する。
【0039】
パーソナルコンピュータ2は、不適切情報が入力されたときに(ステップS5、No)、更新後閾値テーブルを破棄し、ステップS1からS4まで処理を繰り返し実行する。パーソナルコンピュータ2は、適切情報が入力されたときに(ステップS5、Yes)、作成した更新後閾値テーブルを設定変更情報としてキーボード装置1に送信する(ステップS6)。キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2から更新後閾値テーブルを受信すると、メモリ5を制御し、条件情報テーブル71の複数の閾値テーブル73のうちの対応する閾値テーブルを更新後閾値テーブルに置換する。制御部7は、閾値テーブルが更新後閾値テーブルに置換された後に、または、更新不要情報を受信したときに(ステップS1、Yes)、キーボード装置1を通常入力モードに切り替える。
【0040】
[タイピング設定動作]
ユーザは、キーボード装置1をタイピングすることにより、閾値テーブル75を更新したいときに、パーソナルコンピュータ2を操作することにより、タイピング設定ツール92を起動し、更新したい閾値テーブルを選択する。パーソナルコンピュータ2は、タイピング設定ツール92が起動されると、選択された閾値テーブルに関する情報を含むタイピング設定信号をキーボード装置1に送信し、タイピング設定動作を実行する。
図11は、タイピング設定動作を示すフローチャートである。
【0041】
キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2からタイピング設定信号を受信すると、キーボード装置1をタイピング設定モードに切り替える。制御部7は、キーボード装置1がタイピング設定モードに切り替えられると、複数のキー3の各々の測距センサを用いて複数のキー3の各々のキーベース間距離を間欠的に計測し、複数のキー3の各々の押下速さセンサを用いて複数のキー3の各々の押下速さを間欠的に計測する。
【0042】
パーソナルコンピュータ2は、文字列と、キーボード装置1を用いてその文字列を入力することを促すメッセージとを表示装置90に表示する(ステップS11)。文字列は、キーボード装置1を用いてその文字列がパーソナルコンピュータ2に入力されるときに、複数のキー3の各々が複数回押下されるように、作成されている。ユーザは、メッセージが表示された後に、文字列がパーソナルコンピュータ2に入力されるように、複数のキー3を押下する。
【0043】
制御部7は、ある測距センサが計測するキーベース間距離が変化したときに、その測距センサに対応するキーが押下されたと判定する。制御部7は、あるキーが押下されたと判定されたときに、その測距センサが計測するキーベース間距離の変化に基づいてそのキーの押下量を算出する。制御部7は、複数のキー3のいずれかのキーが押下されたと判定されるたびに、通信部6を制御し、そのキーと、そのキーの押下量と、そのキーの押下速さとを示すタイピング入力信号をパーソナルコンピュータ2に送信する。
【0044】
パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から送信された複数のタイピング入力信号に基づいて、複数のキー3の各々に対応する複数の押下量データと複数の押下速さデータとを記録する。パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から送信された複数のタイピング入力信号に基づいて、文字列の全部が入力されたか否かを判定する。
【0045】
パーソナルコンピュータ2は、文字列の全部が入力されたと判定されたときに、複数のキー3の各々に対応する複数の押下量データに基づいて、複数のキー3の各々に対応する更新後押下量閾値を算出する(ステップS12)。あるキーに対応する更新後押下量閾値は、そのキーに対応する複数の押下量の平均から所定値(例えば1)を減算した値に設定されてもよい。パーソナルコンピュータ2は、さらに、複数の押下速さデータに基づいて、複数のキー3の各々に対応する更新後押下速さ閾値を算出する(ステップS13)。あるキーに対応する更新後押下速さ閾値は、そのキーに対応する複数の押下速さの平均値に設定されてもよい。
【0046】
パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から取得した閾値テーブル75と、複数の更新後押下量閾値と、複数の更新後押下速さ閾値とに基づいて更新後閾値テーブルを作成する。
【0047】
パーソナルコンピュータ2は、更新後閾値テーブルが作成された後に、更新後閾値テーブルを表示装置90に表示し、その表示された更新後閾値テーブルが適切であるか否かをユーザに確認するメッセージを表示装置90に表示する(ステップS14)。ユーザは、更新後閾値テーブルが適切であるときに、適切情報をパーソナルコンピュータ2に入力し、更新後閾値テーブルが適切ではないときに、不適切情報をパーソナルコンピュータ2に入力する。
【0048】
パーソナルコンピュータ2は、不適切情報が入力されたときに(ステップS14、No)、作成した更新後閾値テーブルを破棄し、ステップS11からS14まで処理を繰り返し実行する。パーソナルコンピュータ2は、適切情報が入力されたときに(ステップS14、Yes)、作成した更新後閾値テーブルを設定変更情報としてキーボード装置1に送信する(ステップS15)。キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2から更新後閾値テーブルを受信すると、メモリ5を制御し、条件情報テーブル71の複数の閾値テーブル73のうちの対応する閾値テーブルを更新後閾値テーブルに置換する。制御部7は、閾値テーブルが更新後閾値テーブルに置換された後に、キーボード装置1を通常入力モードに切り替える。
【0049】
[自動設定動作]
ユーザは、キーボード装置1のメモリ5に記録されている計測情報テーブル81を用いて、閾値テーブル75を更新したいときに、パーソナルコンピュータ2を操作することにより、自動設定ツール93を起動し、更新したい閾値テーブルを選択する。パーソナルコンピュータ2は、自動設定ツール93が起動されると、計測情報要求信号をキーボード装置1に送信する。キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2から計測情報要求信号を受信すると、通信部6を制御し、計測情報テーブル81の複数の計測情報83のうちの対応する計測情報85をパーソナルコンピュータ2に送信する。
【0050】
パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から送信された計測情報85に基づいて更新後閾値テーブルを作成する。更新後閾値テーブルは、複数のキー情報76の各々に更新後押下量閾値と更新後押下速さ閾値とを対応付けている。あるキー情報に対応する更新後押下量閾値は、キーボード装置1から取得した計測情報85のうちのそのキー情報に対応する複数の押下量の平均から所定値(例えば1)を減算した値に設定されてもよい。あるキー情報に対応する更新後押下速さ閾値は、キーボード装置1から取得した計測情報85のうちのそのキー情報に対応する押下速さデータが示す複数の押下速さの平均値に設定されてもよい。
【0051】
パーソナルコンピュータ2は、更新後閾値テーブルを作成した後に、作成した更新後閾値テーブルをキーボード装置1に送信する。キーボード装置1の制御部7は、通信部6がパーソナルコンピュータ2から更新後閾値テーブルを受信すると、メモリ5を制御し、条件情報テーブル71の複数の閾値テーブル73のうちの対応する閾値テーブルを更新後閾値テーブルに置換する。
【0052】
[実施例のキーボード装置1の効果]
実施例のキーボード装置1は、移動可能にベース8に支持されるキー11と、キー11とベース8との間のキーベース間距離を計測する測距センサ18と、キー11が操作されているか否かを、その計測されたキーベース間距離に基づいて判定する判定部32とを備えている。実施例のキーボード装置1は、キー11が押下されたとき、その押下量がキー11に設定されている押下量閾値より大きいときにキー11が操作されたと判定し、押下量閾値より小さいときにキー11が操作されていないと判定することができる。この結果、実施例のキーボード装置1は、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0053】
また、実施例のキーボード装置1の測距センサ18は、キー11に光を投光する投光部27と、キー11で反射した反射光を受光する受光部28と、算出部31とを備えている。算出部31は、キー11とベース8との間のキーベース間距離をその反射光に基づいて算出する。たとえば、測距センサ18は、LiDARを用いて、キー11とベース8との間のキーベース間距離を計測する。このような測距センサ18は、静電容量を用いてキーベース間距離を計測する他の測距センサと比較して、分解能が大きく、キーベース間距離を高精度に計測することができる。このため、実施例のキーボード装置1は、他の測距センサが設けられたキーボード装置に比較して、キーが操作されているか否かを判定する閾値を、細かく多段階に設定することができ、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0054】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1の投光部27は、キー11に光を投光するが、キー11に固定される部材(たとえば、プランジャ15)に光を投光してもよい。このとき、受光部28は、その部材で反射した反射光を受光し、算出部31は、投光時刻と受光時刻との時間差に基づいてキー11のキーベース間距離を算出する。さらに、既述の実施例のキーボード装置1の測距センサ18は、投光時刻と受光時刻との時間差に基づいてキー11のキーベース間距離を算出するが、投光部27から投光された光と、受光部28で受光された反射光との位相差に基づいてキーベース間距離を算出してもよい。さらに、既述の実施例のキーボード装置1の測距センサ18は、光(電磁波)を用いてキー11のキーベース間距離を計測しているが、他の手法を用いてキーベース間距離を20段階以上の分解能で計測する他の測距センサに置換されてもよい。その測距センサとしては、たとえば、超音波を用いて、キー11のキーベース間距離を計測する超音波センサが例示される。このような測距センサが設けられたキーボード装置も、既述の実施例のキーボード装置1と同様に、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0055】
また、実施例のキーボード装置1は、キー11が移動する押下速さを計測する押下速さセンサ19をさらに備えている。判定部32は、キー11が操作されているか否かを、その計測された押下速さにさらに基づいて判定する。たとえば、実施例のキーボード装置1は、キー11の押下速さが押下速さ閾値より小さいときに、キー11の押下量がキー11の押下量閾値より大きい場合でも、キー11が操作されていないと判定することができる。このため、実施例のキーボード装置1は、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0056】
また、実施例のキーボード装置1は、複数のキー3と複数の測距センサと複数の押下速さセンサとを備えている。複数のキー3の各々は、キー11と同様に、移動可能にベース8に支持されている。複数の測距センサの各々は、複数のキー3の各々に対応するキーベース間距離を計測する。ある被計測キーに対応するキーベース間距離は、ベース8とその被計測キーとの間の距離を示す。複数の押下速さセンサの各々は、複数のキー3の各々が移動する押下速さを計測する。ある被計測キーに対応する押下速さは、その被計測キーが押下される速さを示す。判定部32は、複数のキー3の各々が操作されているか否かを各々のキーベース間距離と各々の押下速さとに基づいて判定する。実施例のキーボード装置1は、複数のキー3のうちの第1キーが操作されているか否かを判定する第1条件と、複数のキー3のうちの第1のキーと異なる第2キーが操作されているか否かを判定する第2条件とが異なるように、設定することができる。このため、実施例のキーボード装置1は、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0057】
また、実施例のキーボード装置1の閾値テーブル75は、複数のキー3の各々の押下量閾値77と押下速さ閾値78とに対応付けている。判定部32は、複数のキー3の各々の押下量をキーベース間距離に基づいて算出する。判定部32は、ある被計測キーが押下される対象押下量がその被計測キーに対応する押下量閾値より小さいときに、または、その被計測キーが移動する対象押下速さがその被計測キーに対応する押下速さ閾値より小さいときに、その被計測キーが操作されていないと判定する。判定部32は、対象押下量が押下量閾値より大きいときで、かつ、対象押下速さが押下速さ閾値より大きいときに、その被計測キーが操作されていると判定する。実施例のキーボード装置1は、キー11が非常にゆっくり押下されたときに、押下量が押下量閾値より大きい場合でも、キー11が操作されていないと判定されるように、設定することができる。実施例のキーボード装置1は、さらに、キー11が押下速度閾値より速く押下された場合でも、押下量が押下量閾値より小さいときに、キー11が操作されていないと判定されるように、設定することができる。このため、実施例のキーボード装置1は、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0058】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1は、押下量閾値と押下速さ閾値とに基づいてキー11が操作されているか否かを判定しているが、他の条件に基づいてキー11が操作されているか否かを判定してもよい。たとえば、判定部32は、キー11の押下量に基づいて算出された範囲にキー11の押下速さが含まれるか否かに基づいてキー11が操作されているか否かを判定してもよい。キーボード装置は、このようにキー11が操作されているか否かが判定された場合でも、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0059】
また、実施例のキーボード装置1は、閾値テーブル75が記録されるメモリ5と、パーソナルコンピュータ2から出力された更新後閾値テーブルに基づいて閾値テーブル75を更新する更新部33とを備えている。判定部32は、複数のキー3の各々が操作されているか否かを閾値テーブル75に基づいて判定する。実施例のキーボード装置1は、複数のキー3の各々が操作されているか否かを判定する条件を更新することができ、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0060】
また、実施例のキーボード装置1のメモリ5には、複数のキー3の各々に押下量データ88と押下速さデータ89とを対応付ける計測情報85がさらに記録されている。更新部33は、パーソナルコンピュータ2から計測情報要求信号が出力された後に、計測情報85をパーソナルコンピュータ2に出力する。ある被計測キーに対応する押下量データは、その被計測キーが押下された押下量を示している。その被計測キーに対応する押下速さデータは、その被計測キーが押下された押下速さを示している。パーソナルコンピュータ2は、計測情報85に基づいて更新後閾値テーブルを適切に作成することができる。実施例のキーボード装置1は、計測情報85に基づいて適切に作成された更新後閾値テーブルに基づいて閾値テーブル75を更新することができ、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0061】
また、実施例のキーボード装置1は、更新後閾値テーブルが示す更新後押下量閾値は、押下量データが示す複数の押下量の平均に基づいて算出される。更新後押下速さ閾値は、押下速さデータが示す複数の押下速さの平均に基づいて算出される。更新後閾値テーブルは、複数の押下量の平均と複数の押下速さの平均とに基づいて適切に作成することができる。実施例のキーボード装置1は、計測情報85に基づいて適切に作成された更新後閾値テーブルに基づいて閾値テーブル75を更新することができ、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0062】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1で用いられる更新後閾値テーブルは、複数の押下量の平均と複数の押下速さの平均とに基づいて作成されるが、複数の押下量の他の統計結果と複数の押下速さの他の統計結果とに基づいて作成されてもよい。その統計結果としては、最小値や分散値が例示される。このような統計結果が用いられる場合でも、キーボード装置は、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0063】
また、実施例のキーボード装置1のメモリ5には、複数の閾値テーブル73が記録されている。判定部32は、複数の閾値テーブル73からユーザの操作により選択された閾値テーブル75に基づいて、複数のキー3の各々が操作されているか否かを判定する。実施例のキーボード装置1は、ユーザ毎に異なる条件で複数のキー3の各々が操作されているか否かを判定することができ、ユーザの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0064】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1のメモリ5には、複数のユーザ情報72に対応する複数の閾値テーブル73が記録されているが、1つの閾値テーブル75のみが記録されていてもよい。この場合でも、キーボード装置1は、既述の動作と同様に、キー11が操作されているか否かを適切に判定することができ、ユーザの使い勝手を向上させることができる。このとき、メモリ5には、複数のユーザ情報72に対応する複数の計測情報83が記録される必要がなく、1つの計測情報85のみが記録されていてもよい。または、ユーザ情報72が省略され、複数の計測情報83のみが記録されていてもよい。このときでも、パーソナルコンピュータ2は、計測情報85に基づいてメモリ5に記録されている1つの閾値テーブル75を適切に更新することができる。
【0065】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1のメモリ5には、計測情報テーブル81が記録されているが、計測情報テーブル81が記録されなくてもよい。キーボード装置1は、計測情報テーブル81が記録されていないときでも、手入力設定動作またはタイピング設定動作が実行されることにより、メモリ5に記録されている複数の閾値テーブル73を適切に更新することができる。
【0066】
ところで、既述のパーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から受信した情報(手入力設定情報信号、タイピング入力信号、計測情報85)に基づいて更新後閾値テーブルを作成しているが、このような情報を用いないで更新後閾値テーブルを作成してもよい。たとえば、パーソナルコンピュータ2は、キーボード装置1から閾値テーブル75を取得し、閾値テーブル75を表示装置90に表示する。ユーザは、閾値テーブル75を参照し、パーソナルコンピュータ2を操作してあるキーに対応する更新後押下量閾値と更新後押下速さ閾値とをパーソナルコンピュータ2に入力する。パーソナルコンピュータ2は、閾値テーブル75のうちのそのキーに対応する押下量閾値と押下速さ閾値とを、その入力された更新後押下量閾値と更新後押下速さ閾値とに置き換えて更新後閾値テーブルを作成する。このとき、パーソナルコンピュータ2は、ユーザに更新後押下量閾値と更新後押下速さ閾値とを直接入力させてもよいし、更新後押下量閾値と更新後押下速さ閾値とが取りうる複数の値を示す選択肢から選択させてもよい。パーソナルコンピュータ2は、その作成された更新後閾値テーブルをキーボード装置1に送信し、メモリ50記録された閾値テーブル75を更新する。キーボード装置1は、このような場合でも、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0067】
ところで、既述の実施例のキーボード装置1は、キー11の押下量とキー11の押下量速さとに基づいてキー11が操作されているか否かを判定しているが、キー11の押下量速さに無関係にキー11の押下量のみに基づいて判定してもよい。この場合でも、キーボード装置は、キー11が操作されているか否かを適切に判定することができ、ユーザの使い勝手を向上させることができる。この場合、キーボード装置は、複数の押下速さセンサを省略することができ、既述の実施例のキーボード装置1に比較して、製造コストを低減することができる。
【0068】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。