(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030312
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 5/02 20060101AFI20240229BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G07C5/02
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133100
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰司
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 英明
(72)【発明者】
【氏名】服部 正史
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB15
3E138MC17
3E138MD01
3E138MD05
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF05
5H181FF10
5H181LL20
5H181MB11
5H181MC15
5H181MC19
5H181MC22
(57)【要約】
【課題】データ転送量を削減すること。
【解決手段】実施形態に係るドライブレコーダは、車両に搭載される情報処理装置であって、コントローラを備える。上記コントローラは、上記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、上記車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データから上記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報処理装置であって、
前記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、
前記車両のドライバの発声を検知した場合に、前記データから前記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置へ送信するコントローラ、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記ドライバの発声を検知した場合に、前記データから前記ドライバが写る部分を切り出した前記軽量化データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記ドライバの発声を検知した場合に、前記データからドライバが写る部分の周辺データを圧縮する、または、間引いた前記軽量化データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記発声の検知時点を基準とする任意の時間分の前記軽量化データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記ドライバの顔の周辺部分を切り出した前記軽量化データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、静止画像である前記軽量化データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記サーバ装置が前記軽量化データに基づいて、記録された前記データである記録データを要すると判定した場合に前記サーバ装置から送信される記録データ要求に基づき、少なくとも動画像である前記映像データを含む前記記録データを前記サーバ装置へ送信する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記ドライバへの指向性を有する指向性マイクを用いて前記発声を検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記ドライバの音声データを予め登録した音声登録情報に基づいて前記発声を識別する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記映像データの画像認識結果に基づいて前記発声を検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
車両に搭載される車載装置と、サーバ装置と、を備え、
前記車載装置は、
前記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、
前記車両のドライバの発声を検知した場合に、前記データから前記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データを前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記軽量化データに基づいて、記録された前記データである記録データを要すると判定した場合に、少なくとも動画像である前記映像データを含む前記記録データを要求する記録データ要求を前記車載装置へ送信する、
情報処理システム。
【請求項12】
車両に搭載される情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記車両の車内の映像データを含むデータを記録することと、
前記車両のドライバの発声を検知した場合に、前記データから前記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置へ送信することと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される通信型ドライブレコーダが知られている。通信型ドライブレコーダは、撮影した映像を含むデータを、携帯電話回線網等のネットワークを介してサーバ装置へ転送する。
【0003】
サーバ装置は、転送されたデータに含まれる車両の周囲映像に基づいてたとえばナビゲーション情報などを生成し、車両側にクラウドサービスとして提供する(たとえば、特許文献1参照)。この他、サーバ装置が、ドライブレコーダから転送されたデータに含まれる車内映像に基づいてドライバの顔の向きや視線などを検知する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術を用いた場合、映像を含むデータをサーバ装置へ常時転送する必要があり、データ転送量が膨大になる。すなわち、従来技術には、データ転送量を削減するうえで、さらなる改善の余地がある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、データ転送量を削減することができる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る情報処理装置は、車両に搭載される情報処理装置であって、コントローラを備える。前記コントローラは、前記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、前記車両のドライバの発声を検知した場合に、前記データから前記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置へ送信する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、データ転送量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るデータ転送方法の概要説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ転送システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るドライブレコーダの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るデータ転送システムが実行する処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、実施形態に係る情報処理装置が、車両に搭載されるドライブレコーダ10である場合を例に挙げて説明を行う。同様に、以下では、実施形態に係る情報処理システムが、ドライブレコーダ10を含むデータ転送システム1である場合を例に挙げて説明を行う。同様に、以下では、実施形態に係る情報処理方法が、ドライブレコーダ10の実行するデータ転送方法である場合を例に挙げて説明を行う。
【0012】
また、以下では、ドライブレコーダ10が有する取得部14a(
図3参照)によって取得される音声データや映像データを含む各種のセンサデータのことを適宜「データ」と言う。また、以下では、ドライブレコーダ10が有する記録部14d(
図3参照)によって記録され、ドライブレコーダ10が有する記憶部13(
図3参照)に記憶されたデータのことを適宜「記録データ」と言う。
【0013】
まず、実施形態に係るデータ転送方法の概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るデータ転送方法の概要説明図である。
【0014】
図1に示すように、データ転送システム1は、ドライブレコーダ10と、サーバ装置100とを有する。ドライブレコーダ10は、車両に搭載される通信型のデータ記録装置である。
【0015】
ドライブレコーダ10は、車両の起動中に、ドライブレコーダ10の有するカメラによって撮影した車両内外の映像データやマイクによって収音した音声データを含むデータを繰り返し上書きしながら記録データとして常時記録することができる。
【0016】
また、ドライブレコーダ10は、車両の起動中に、事故発生やヒヤリ・ハット等の特定のイベントを検知した場合に、検知時点の前後一定時間分のデータを上書き禁止の不揮発性記録であるイベント記録方式で記録することができる。
【0017】
また、ドライブレコーダ10は、このイベント記録方式での記録と同時に、データをサーバ装置100へ転送することができる。サーバ装置100は、たとえばクラウドサーバとして実現され、車両から転送されたデータに基づいて事故発生時等の車両の状況を解析する。
【0018】
ところで、サーバ装置100は、転送されたデータに含まれる車内映像に基づいて、たとえばドライバの顔の向きや視線を検知し、事故発生時等の車両の状況を車内映像からも詳細に解析することができる。
【0019】
ただし、サーバ装置100がこのような解析が行えるとは言え、前述のイベント検知時に転送されるデータでは、解析できる内容は転送された一定時間分に限られてしまう。また、そもそも前述のイベントが検知されなければ、ドライブレコーダ10からサーバ装置100へデータが転送されない。このため、サーバ装置100は、たとえば事故発生やヒヤリ・ハットまでには至らないがこれらの予兆となりうるドライバの挙動まで解析することはできない。
【0020】
つまり、理想的には、ドライブレコーダ10からはデータがサーバ装置100へ常時転送されることが好ましい。既存技術には、ドライブレコーダ10がデータをサーバ装置100へ常時転送するものがある。しかしながら、この既存技術を用いた場合、データ転送量が膨大になるという問題点がある。
【0021】
そこで、実施形態に係るデータ転送方法では、ドライブレコーダ10が、車両の車内の映像データを含むデータを記録し、車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データからドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置100へ送信することとした。
【0022】
具体的には、実施形態に係るデータ転送方法では、ドライブレコーダ10は、マイクによって収音した音声データを解析する。音声データからはたとえばドライバの怒りや驚きといった感情の変化や、運転動作からドライバの注意が逸れる可能性を推定することができる。
【0023】
たとえば、前方車両が遅いことや自車両前方への割り込みなどに激昂して大声を出し、運転動作が荒くなるドライバは一定数存在する。また、たとえば、ドライバが同乗者との会話に気を取られて、運転動作からドライバの注意が逸れてしまうことも起こりうる。
【0024】
ドライブレコーダ10は、こうしたドライバの感情の変化や注意力散漫、および、これらに伴う危険運転の傾向を音声データの変化によって推定する。
【0025】
このような考え方に基づき、
図1に示すように、ドライブレコーダ10は、サーバ装置100へのデータ送信のトリガとなる音声データの変化を検知する(ステップS1)。ドライブレコーダ10は、たとえば単にドライバの音声データを検知した場合をトリガとして検知する。あるいは、ドライブレコーダ10は、たとえばドライバや同乗者の音声データの音量レベルが予め決められた閾値を超えた場合をトリガとして検知する。つまり、ドライブレコーダ10は、ドライバの発声を検知した場合をトリガとして検知する。
【0026】
そして、このトリガを検知すると、ドライブレコーダ10は、車内の映像データの一部である部分データを切り出す(ステップS2)。「部分データ」は、ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした「軽量化データ」の一例に相当する。そして、ドライブレコーダ10は、この切り出した部分データのみをサーバ装置100へ送信する(ステップS3)。
【0027】
このとき、車内の映像データは、車内全体が視認可能となる視野角の広い広角映像であることが好ましい。また、部分データは、この広角映像からドライバが写っている範囲のみを切り出した動画像または静止画像であることが好ましい。また、部分データは、ドライバの顔周辺の部分のデータであればより好ましい。切り出しの手法としてはデータから部分データを抜き出すことの他に、不要な周辺部分のデータをゼロにまたはデータ削減する加工をしても同様の効果が得られる。
【0028】
そして、サーバ装置100は、この部分データを受信して解析する(ステップS4)。解析の結果、より詳細な解析が必要であると判定されれば、サーバ装置100は、部分データではない任意の記録データをドライブレコーダ10へ要求する。任意の記録データは、たとえば前述のトリガの検知時点を基準とする任意の時間分の記録データである。また、より詳細な解析が必要である場合とは、たとえば静止画像である部分データに対し、少なくとも動画像である映像データを含む記録データを要する場合である。
【0029】
そして、ドライブレコーダ10は、この記録データ要求に応じた記録データをサーバ装置100へ転送する。サーバ装置100は、この転送された記録データに基づき、車両の状況をより詳細に解析することとなる。
【0030】
このように、実施形態に係るデータ転送方法では、ドライブレコーダ10が、車両の車内の映像データを含むデータを記録し、車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データからドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0031】
したがって、実施形態に係るデータ転送方法によれば、ドライバの発声を検知した場合にのみサーバ装置100へデータを転送するので、データ転送量を削減することができる。また、切り出すことによって軽量化した部分データをまずサーバ装置100へ転送するので、データ転送量を削減することができる。また、部分データの解析の結果、サーバ装置100は必要な場合にのみ任意の記録データをドライブレコーダ10に要求して送信させるので、データ転送量を削減することができる。
【0032】
以下、上述した実施形態に係るデータ転送方法を適用したデータ転送システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0033】
図2は、実施形態に係るデータ転送システム1の構成例を示す図である。データ転送システム1は、1以上のドライブレコーダ10と、サーバ装置100とを含む。
【0034】
各ドライブレコーダ10と、サーバ装置100とは、インターネットや携帯電話回線網、C-V2X(Cellular Vehicle to Everything)通信網等であるネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。
【0035】
ドライブレコーダ10は、上述したように、カメラによって撮影した車両内外の映像データやマイクによって収音した音声データを含むデータを繰り返し上書きしながら常時記録する。
【0036】
また、ドライブレコーダ10は、事故発生やヒヤリ・ハット等の特定のイベントを検知した場合に、検知時点の前後一定時間分のデータを上書き禁止の不揮発性記録であるイベント記録方式で記録する。
【0037】
また、ドライブレコーダ10は、イベント記録方式での記録と同時に、当該データをサーバ装置100へ転送する。
【0038】
また、ドライブレコーダ10は、サーバ装置100へのデータ送信のトリガとなる音声データの変化を検知した場合に、車内の映像データの一部である部分データを切り出してサーバ装置100へ送信する。
【0039】
また、ドライブレコーダ10は、送信した部分データに基づいてサーバ装置100から任意の記録データを要求する記録データ要求を受け付けた場合に、当該要求に応じた記録データをサーバ装置100へ転送する。
【0040】
サーバ装置100は、上述したように、たとえばクラウドサーバとして実現される。サーバ装置100は、たとえばデータ転送システム1を運営する事業者によって管理される。サーバ装置100は、ドライブレコーダ10から送信された部分データに基づいて各車両の状況を解析する。
【0041】
また、サーバ装置100は、部分データに基づいてより詳細な解析が必要であると判定した場合に、任意の記録データをドライブレコーダ10へ要求する。サーバ装置100は、当該要求に応じてドライブレコーダ10から転送された記録データに基づいて各車両の状況をより詳細に解析する。また、サーバ装置100は、解析した解析結果に基づく各種のクラウドサービスを提供する。
【0042】
サーバ装置100は、たとえば解析結果に基づいて警報やガイダンス、ナビゲーション情報等を通知する運転支援サービスを各車両に対し提供する。また、サーバ装置100は、たとえば事故発生時の状況の解析結果を保険会社等へ提供する。また、サーバ装置100は、たとえばヒヤリ・ハットの統計結果に基づく教育資料等を運送事業者等へ提供する。
【0043】
次に、ドライブレコーダ10の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係るドライブレコーダ10の構成例を示すブロック図である。なお、
図3および後に示す
図4では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0044】
換言すれば、
図3および
図4に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0045】
また、
図3および
図4を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0046】
図3に示すように、実施形態に係るドライブレコーダ10は、センサ部11と、通信部12と、記憶部13と、コントローラ14とを有する。
【0047】
センサ部11は、ドライブレコーダ10に搭載される各種のセンサ群である。センサ部11は、たとえばマイク11aと、カメラ11bと、GPS(Global Positioning System)センサ11cと、Gセンサ11dとを含む。
【0048】
マイク11aは、車両内外の音声データを収音する。ドライバの感情の変化や運転動作への注意力散漫を推定するうえでは、ドライバの発声する音声が最も重要となるので、マイク11aはドライバ席への指向性を有する指向性マイクであることが好ましい。なお、マイク11aは、無指向性マイクであってもよい。
【0049】
カメラ11bは、1以上設けられる。カメラ11bは、フロントガラス付近やリアガラス付近、ダッシュボード付近等の車両の各所に取り付けられ、車両内外の予め決められた撮影領域を撮影可能に設けられる。本実施形態では、カメラ11bは少なくとも、ドライバの顔の向きや視線が検知可能となる車内映像を撮影可能に設けられる。上述したように、カメラ11bが撮影する車内の映像データは、車内全体が視認可能となる視野角の広い広角映像であることが好ましい。
【0050】
GPSセンサ11cは、車両のGPS位置を測位する。Gセンサ11dは、車両にかかる加速度を測定する。
【0051】
通信部12は、ネットワークアダプタ等によって実現される。通信部12は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、サーバ装置100との間で情報の送受信を行う。
【0052】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイスによって実現される。記憶部13は、
図3の例では、音声登録情報13aと、抽出情報13bと、記録データ情報13cとを記憶する。
【0053】
音声登録情報13aは、ドライバの音声データと、ドライバ周辺の音声データとを識別するために予めドライバの音声データが登録された情報である。
【0054】
抽出情報13bは、データから前述の部分データを切り出して抽出するための情報であり、部分データの位置やサイズ等が予め設定されている。
【0055】
記録データ情報13cは、マイク11aによって収音された音声データ、カメラ11bによって撮影された映像データ、および、GPSセンサ11cによって測位されたGPS位置等を含むデータ群が記録データとして格納される。各記録データは、後述する記録部14dによって記録される。
【0056】
コントローラ14は、いわゆるプロセッサに相当する。コントローラ14は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部13に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、コントローラ14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0057】
コントローラ14は、取得部14aと、検知部14bと、記録制御部14cと、記録部14dと、送受信部14eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0058】
取得部14aは、センサ部11から各種のデータを取得する。検知部14bは、取得部14aによって取得されたセンサデータに基づいて事故発生やヒヤリ・ハット等に該当する特定のイベントを検知する。
【0059】
また、検知部14bは、取得部14aによって取得されたデータおよび音声登録情報13aに基づいてドライバの音声データを検知し、当該音声データに基づいて前述のデータ送信のトリガとなる音声データの変化を検知する。また、検知部14bは、当該トリガを検知した場合に、当該トリガを検知したことを記録制御部14cへ通知する。
【0060】
記録制御部14cは、検知部14bによる前述のイベントの検知結果に応じて、記録部14dによって記録されるデータの記録方式を制御する。具体的には、記録制御部14cは、記録データのアクセス権を制御する。
【0061】
より具体的には、記録制御部14cは、検知部14bによって前述のイベントが検知されない場合、記録部14dにデータを繰り返し上書きしながら常時記録させる。一方、記録制御部14cは、検知部14bによって前述のイベントが検知された場合、記録部14dに上書き禁止のイベント記録方式でデータを記録させる。
【0062】
なお、記録制御部14cは、イベント検知時点の前後一定時間分のデータが記録された後は、イベント記録方式での記録を停止させた後、記録部14dに上書き可能な常時記録を再開させる。
【0063】
また、記録制御部14cは、予め転送対象として指定されたイベントについては、このイベントに対応するデータを、サーバ装置100へ向けて送受信部14eに送信させる。
【0064】
また、記録制御部14cは、検知部14bによって前述のトリガが検知された場合に、当該トリガの検知時点を基準とする任意の時間分のデータから抽出情報13bに基づいて部分データを切り出し、サーバ装置100へ向けて送受信部14eに送信させる。
【0065】
また、記録制御部14cは、部分データに応じてサーバ装置100から送信された任意の記録データを要求する記録データ要求が送受信部14eによって受信された場合に、当該要求に応じた記録データをサーバ装置100へ向けて送受信部14eに送信させる。
【0066】
記録部14dは、記録制御部14cによって制御される記録方式で、データを記録データとして記録データ情報13cへ記録する。
【0067】
送受信部14eは、記録制御部14cによって切り出された部分データを、通信部12を介してサーバ装置100へ向け送信する。また、送受信部14eは、通信部12を介し、部分データに応じてサーバ装置100から送信された任意の記録データ要求を受信する。
【0068】
また、送受信部14eは、当該要求を受信した場合に、当該要求を記録制御部14cへ通知する。また、送受信部14eは、記録制御部14cの指示に基づいて、この指示に該当する記録データを記録データ情報13cから抽出し、通信部12を介してサーバ装置100へ向け送信する。
【0069】
次に、サーバ装置100の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示すブロック図である。
【0070】
図4に示すように、実施形態に係るサーバ装置100は、通信部101と、記憶部102と、コントローラ103とを有する。
【0071】
通信部101は、ネットワークアダプタ等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、各ドライブレコーダ10との間で情報の送受信を行う。
【0072】
記憶部102は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の記憶デバイスや、ハードディスク、光ディスク等のディスク装置によって実現される。記憶部102は、
図4の例では、収集情報DB(Database)102aと、解析モデル102bとを記憶する。
【0073】
収集情報DB102aは、各ドライブレコーダ10から収集されたデータが格納されるデータベースである。
【0074】
解析モデル102bは、後述する解析部103bが各種の解析処理を実行する際に読み込まれるモデルである。解析モデル102bは、解析部103bが部分データや記録データを解析するに際して、部分データや記録データが入力された場合に、これらを画像認識して各種の物体を検知可能に設けられる。解析モデル102bは、車内映像が入力された場合は、少なくともドライバ、当該ドライバの顔の向きおよび視線を検知可能に設けられる。
【0075】
この場合、解析モデル102bは、たとえば教師データとなる画像データを用いた機械学習を実行することによって予め学習される。機械学習のアルゴリズムとしては、上述したようにディープラーニング等、各種の公知のアルゴリズムを用いることができる。
【0076】
コントローラ103は、いわゆるプロセッサに相当する。コントローラ103は、CPUやMPU等によって、記憶部102に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、コントローラ103は、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0077】
コントローラ103は、収集部103aと、解析部103bと、検知部103cと、要求部103dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0078】
収集部103aは、通信部101を介し、各ドライブレコーダ10から送信される部分データを収集する。また、収集部103aは、通信部101を介し、前述のイベントに応じて各ドライブレコーダ10から送信される予め転送対象として指定された記録データを収集する。
【0079】
また、収集部103aは、通信部101を介し、後述する要求部103dが要求する任意の記録データ要求に応じて各ドライブレコーダ10から送信される記録データを収集する。また、収集部103aは、収集した各種のデータを収集情報DB102aへ格納する。
【0080】
解析部103bは、収集部103aによって収集された部分データを、解析モデル102bを用いて解析する。また、解析部103bは、部分データの解析結果を検知部103cへ通知する。
【0081】
また、解析部103bは、前述のイベントまたは記録データ要求に応じてドライブレコーダ10から送信され、収集部103aによって収集された記録データを、解析モデル102bを用いて解析する。
【0082】
検知部103cは、解析部103bによる部分データの解析結果に基づいて、より詳細な解析のためにさらに記録データを要するか否かを検知する。また、検知部103cは、検知結果を要求部103dへ通知する。
【0083】
要求部103dは、検知部103cによってさらに記録データを要することが検知された場合に、記録データ要求を生成し、当該要求をドライブレコーダ10へ向けて通信部101を介し送信する。要求部103dは、たとえば前述のトリガの検知時点を基準とする任意の時間分の記録データがドライブレコーダ10から送信されるように、記録データ要求を生成し送信する。
【0084】
次に、データ転送システム1が実行する処理手順について説明する。
図5は、実施形態に係るデータ転送システム1が実行する処理シーケンスを示す図である。
【0085】
まず、ドライブレコーダ10は、センサ部11から少なくとも音声データおよび映像データを取得する(ステップS101)。そして、ドライブレコーダ10は、取得した音声データを解析する(ステップS102)。
【0086】
そして、ドライブレコーダ10は、解析の結果、サーバ装置100へのデータ送信のトリガとなる音声データの変化を検知したか否かを判定する(ステップS103)。
【0087】
ここで、トリガを検知した場合(ステップS103,Yes)、ドライブレコーダ10は、部分データを抽出し(ステップS104)、サーバ装置100へ向けて送信する(ステップS105)。一方、トリガを検知しない場合(ステップS103,No)、ドライブレコーダ10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0088】
サーバ装置100は、ドライブレコーダ10から受信した部分データを解析する(ステップS106)。そして、サーバ装置100は、解析の結果、より詳細な解析のためにさらに記録データを要することを検知したか否かを判定する(ステップS107)。
【0089】
ここで、記録データを要する場合(ステップS107,Yes)、サーバ装置100は、ドライブレコーダ10へ記録データ要求を送信する(ステップS108)。一方、記録データが不要な場合(ステップS107,No)、サーバ装置100は、ステップS106からの処理を繰り返す。
【0090】
ドライブレコーダ10は、サーバ装置100からステップS108の記録データ要求を受信すると、当該要求に応じて送信対象となる記録データを抽出する(ステップS109)。そして、ドライブレコーダ10は、抽出した記録データをサーバ装置100へ向けて送信する(ステップS110)。
【0091】
サーバ装置100は、ステップS110の記録データを受信すると、当該記録データを解析する(ステップS111)。そして、サーバ装置100は、当該記録データの解析結果に応じた各種のクラウドサービスを提供することとなる。
【0092】
なお、これまでは、マイク11aによって収音された音声データに基づいてドライバの発声を検知することとしたが、音声データによらずドライバの発声を検知するようにしてもよい。たとえば、コントローラ14は、図示略の画像認識モデルなどを用いた映像データの画像認識結果に基づいてドライバの発声を検知してもよい。画像認識結果に基づいては、たとえばドライバの口の開き具合や、開いた口の形状等によってドライバが発声していることを推定することができる。
【0093】
また、これまでは、「軽量化データ」の一例として、データからドライバが写る部分を切り出した「部分データ」を挙げてきたが、データ軽量化を目的として、ドライバが写る部分の周辺データを圧縮する、または、間引く等の加工を行うことも可能である。データからドライバが写る部分以外のデータ量をゼロにする思想が切り出しと考えれば、周辺のデータ量をゼロではなく減らす思想としてドライバが写る部分の周辺データを圧縮または間引きを行うことも可能である。
【0094】
上述してきたように、実施形態に係るドライブレコーダ10は、車両に搭載される情報処理装置であって、コントローラ14を備える。コントローラ14は、上記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、上記車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データから上記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0095】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、ドライバの発声を検知した場合にのみサーバ装置100へデータを転送するので、データ転送量を削減することができる。また、軽量化データをまずサーバ装置100へ転送するので、データ転送量を削減することができる。
【0096】
また、コントローラ14は、上記ドライバの発声を検知した場合に、上記データから上記ドライバが写る部分を切り出した上記軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0097】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、ドライバが写る部分のみを切り出した軽量化データにより、データ転送量を削減することができる。
【0098】
また、コントローラ14は、上記ドライバの発声を検知した場合に、上記データからドライバが写る部分の周辺データを圧縮する、または、間引いた上記軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0099】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、ドライバが写る部分の周辺データを圧縮する、または、間引いた軽量化データにより、データ転送量を削減することができる。
【0100】
また、コントローラ14は、上記発声の検知時点を基準とする任意の時間分の上記軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0101】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、発声の検知時点を基準とする限られた時間分のみの軽量化データを送信するので、データ転送量を削減することができる。
【0102】
また、コントローラ14は、上記ドライバの顔の周辺部分を切り出した上記軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0103】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、サーバ装置100が、軽量化データのみによって、少なくともドライバの顔の向きや視線を含む車両の状況を解析することが可能となる。
【0104】
また、コントローラ14は、静止画像である上記軽量化データをサーバ装置100へ送信する。
【0105】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、より軽量化した部分データを送信することによって、データ転送量を削減することができる。
【0106】
また、コントローラ14は、サーバ装置100が上記軽量化データに基づいて、記録された前記データである記録データを要すると判定した場合にサーバ装置100から送信される記録データ要求に基づき、少なくとも動画像である上記映像データを含む上記記録データをサーバ装置100へ送信する。
【0107】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、サーバ装置100が必要と判定した場合にのみ動画像を含む記録データをサーバ装置100へ送信するので、データ転送量を削減することができる。
【0108】
また、コントローラ14は、上記ドライバへの指向性を有する指向性マイクを用いて上記発声を検知する。
【0109】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、ドライバの感情の変化や注意力散漫を推定するうえでは最も重要なドライバの発声を品質良く収音し、検知することができる。
【0110】
また、コントローラ14は、上記ドライバの音声データを予め登録した音声登録情報に基づいて上記発声を識別する。
【0111】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、ドライバの感情の変化や注意力散漫を推定するうえでは最も重要なドライバの発声する音声を簡便に特定することができる。
【0112】
また、コントローラ14は、上記映像データの画像認識結果に基づいて上記発声を検知する。
【0113】
したがって、実施形態に係るドライブレコーダ10によれば、マイク11aを用いることなく画像認識結果のみに基づいてドライバの発声を検知することが可能となる。
【0114】
また、実施形態に係るデータ転送システム1(「情報処理システム」の一例に相当)は、車両に搭載されるドライブレコーダ10と、サーバ装置100と、を備える。ドライブレコーダ10は、上記車両の車内の映像データを含むデータを記録し、上記車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データから上記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置100へ送信する。サーバ装置100は、上記軽量化データに基づいて、記録された上記データである記録データを要すると判定した場合に、少なくとも動画像である上記映像データを含む上記記録データを要求する記録データ要求をドライブレコーダ10へ送信する。
【0115】
したがって、実施形態に係るデータ転送システム1によれば、ドライバの発声を検知した場合にのみサーバ装置100へデータを転送するので、データ転送量を削減することができる。また、軽量化データをまずサーバ装置100へ転送するので、データ転送量を削減することができる。また、軽量化データの解析の結果、サーバ装置100は必要な場合にのみ任意の記録データをドライブレコーダ10に要求して送信させるので、データ転送量を削減することができる。
【0116】
また、実施形態に係るデータ転送方法は、車両に搭載されるドライブレコーダ10が実行する情報処理方法であって、上記車両の車内の映像データを含むデータを記録することと、上記車両のドライバの発声を検知した場合に、上記データから上記ドライバが写る部分以外のデータ量を少なくした軽量化データをサーバ装置100へ送信することと、を含む。
【0117】
したがって、実施形態に係るデータ転送方法によれば、ドライバの発声を検知した場合にのみサーバ装置100へデータを転送するので、データ転送量を削減することができる。また、軽量化データをまずサーバ装置100へ転送するので、データ転送量を削減することができる。
【0118】
なお、上述した実施形態では、予め転送対象として指定されたイベントについては当該イベントの検知時に記録データをサーバ装置100へ転送することとしたが、予めの転送対象を決めることなく、一律に音声データの変化に基づいて軽量化データおよび軽量化データに応じた記録データのサーバ装置100への転送が行われるようにしてもよい。
【0119】
また、上述した実施形態では、部分データを切り出すに際して、抽出情報13bに設定された決められた位置およびサイズの部分データを切り出す例を挙げたが、部分データは動的に位置およびサイズが変わるように切り出されてもよい。ドライバの位置は、ドライバ席のシートの傾きやドライバの着座姿勢の違い等によって異なることが多いためである。この場合、たとえば前述の画像認識モデルなどを用いた映像データの画像認識結果に基づいて、動的にドライバの写る領域を切り出すようにしてもよい。
【0120】
また、上述した実施形態では、ドライブレコーダ10が、車載装置の一例である場合を例に挙げたが、ドライブレコーダ10以外の1以上の車載装置が、ドライブレコーダ10と同等の機能を実現するようにしてもよい。
【0121】
たとえば、車両にドライブレコーダ10が搭載されていない場合に、車両に搭載された車載カメラ、車載マイク、および、通信型のナビゲーション装置等を組み合わせることによって、ドライブレコーダ10と同等の機能を実現するようにしてもよい。
【0122】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 データ転送システム
10 ドライブレコーダ
11 センサ部
11a マイク
11b カメラ
11c GPSセンサ
11d Gセンサ
12 通信部
13 記憶部
13a 音声登録情報
13b 抽出情報
13c 記録データ情報
14 コントローラ
14a 取得部
14b 検知部
14c 記録制御部
14d 記録部
14e 送受信部
100 サーバ装置
101 通信部
102 記憶部
102a 収集情報DB
102b 解析モデル
103 コントローラ
103a 収集部
103b 解析部
103c 検知部
103d 要求部