(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030315
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】キャビネット、および、蹴込み板
(51)【国際特許分類】
A47B 77/04 20060101AFI20240229BHJP
A47B 77/08 20060101ALI20240229BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20240229BHJP
A47K 1/00 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
A47B77/04 Z
A47B77/08 C
A47B97/00 L
A47K1/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133105
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 裕
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260EC03
3B260GC01
(57)【要約】
【課題】蹴込み板を容易に取り外すことができるキャビネットを提供すること。
【解決手段】第2キャビネット5は、床面10に対して間隔を置いて配置される506と、底板506と床面10との間の第3空間部S13の前側を塞ぐ第2蹴込み板55と、第2蹴込み板55を取り外し可能に固定する取付ネジ58と、取付ネジ58が差し込まれる固定金具58とを備える。第2蹴込み板55には、固定金具56の雌ネジ部562aと同軸に位置し取付ネジ58を通す通し穴55aと、前面55cにおける通し穴55aの周囲の有底の指掛け穴55bとが形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置床面に対して間隔を置いて配置される底板と、
前記底板と設置床面との間の隙間の前側を塞ぐ蹴込み板と、
前記蹴込み板を取り外し可能に固定する締結部材と、
前記締結部材が差し込まれる被締結部とを備えるキャビネットであって、
前記蹴込み板には、
前記被締結部と同軸に位置し前記締結部材を通す通し穴と、
前面における前記通し穴の周囲の有底の指掛け穴とが形成されているキャビネット。
【請求項2】
請求項1に記載のキャビネットであって、
前記底板により上方に食器洗い乾燥機を有し、
前記底板には、前記食器洗い乾燥機の給排水管を通す孔部または切り欠き部が形成されており、
前記底板と設置床面との間の隙間に、前記食器洗い乾燥機の給排水管と建築側の給排水管との接続部材が収納されているキャビネット。
【請求項3】
請求項1と請求項2とのいずれか1つに記載のキャビネットであって、
左右両側に側板を有し、
前記被締結部は、左右両側の前記側板に対して設置されているキャビネット。
【請求項4】
請求項3に記載のキャビネットであって、
前記側板の内側面側に取り付けられる固定金具を有しており、
前記被締結部は、当該固定金具に形成されているキャビネット。
【請求項5】
請求項4に記載のキャビネットであって、
前記固定金具は、
前記側板の内側面に固定される側板取り付け片と、
前記蹴込み板の裏面に沿って配置され前記被締結部が形成されている前面片とを有し、
前記前面片の前面と前記側板の前面とが同一面上に配置されているキャビネット。
【請求項6】
請求項5に記載のキャビネットであって、
前記前面片は、前記蹴込み板の裏面のうち前面に前記指掛け穴が形成されている範囲の全体を覆っているキャビネット。
【請求項7】
請求項1と請求項2とのいずれか1つに記載のキャビネットであって、
前記指掛け穴が、前記底板の下面と設置床面との間の隙間の上下方向の全寸のうち上側3分の1の範囲内にあるキャビネット。
【請求項8】
請求項1と請求項2とのいずれか1つに記載のキャビネットであって、
前記指掛け穴は、
深さが5mm以上、
残厚が2mm以上、
直径が16mm以上24mm以内、
の各条件をいずれも満たす大きさであるキャビネット。
【請求項9】
請求項1と請求項2とのいずれか1つに記載のキャビネットであって、
前記指掛け穴を塞いで前記締結部材を隠すキャップを有するキャビネット。
【請求項10】
請求項1と請求項2とのいずれか1つに記載のキャビネットであって、
設置床面上における前記蹴込み板の背面に接する位置に固定された押し当て部材を有するキャビネット。
【請求項11】
設置床面に対して間隔を置いて配置される底板と、締結部材が差し込まれる被締結部とを備えるキャビネットに、締結部材が被締結部に差し込まれることによって取り外し可能に固定され、底板と設置床面との間の隙間の前側を塞ぐ蹴込み板であって、
キャビネットの被締結部と同軸に位置し締結部材を通す通し穴と、
前面における前記通し穴の周囲の有底の指掛け穴とが形成されている蹴込み板。
【請求項12】
請求項11に記載の蹴込み板であって、
前記指掛け穴は、
深さが5mm以上、
残厚が2mm以上、
直径が16mm以上24mm以内、
の各条件をいずれも満たす大きさである蹴込み板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、キャビネット、および、蹴込み板に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンの一部を構成するキャビネットは、床面と接する部分の正面側に蹴込み板を固定されている。蹴込み板は、システムキッチンの設置後、取り外す必要がある。床面の配管の点検等を行うためである。蹴込み板は、キャビネットにネジ止めされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭62-131002号(実開平01-035050号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビネットに着脱可能に取り付けられる蹴込み板は、上下左右に隙間を形成されている。この隙間は、小さく設けられている。蹴込み板をキャビネットに見栄え良く取り付けるためである。作業者は、この小さい隙間に工具を差し込むなどして蹴込み板をキャビネットから取り外していた。よって、蹴込み板の取り外しに手間がかかっていた。
【0005】
本開示技術の課題は、蹴込み板を容易に取り外すことができるキャビネット、および、蹴込み板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様におけるキャビネットは、設置床面に対して間隔を置いて配置される底板と、前記底板と設置床面との間の隙間の前側を塞ぐ蹴込み板と、前記蹴込み板を取り外し可能に固定する締結部材と、前記締結部材が差し込まれる被締結部とを備えるキャビネットであって、前記蹴込み板には、前記被締結部と同軸に位置し前記締結部材を通す通し穴と、前面における前記通し穴の周囲の有底の指掛け穴とが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】第2キャビネットの内部構造を示す平面図である。
【
図7】第2蹴込み板の取付構造を前側から見た図である。
【
図10】第2蹴込み板の取り外し手順を説明する図である。
【
図11】第2蹴込み板の取り外し手順を説明する図である。
【
図12】第2蹴込み板の取付構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図中に示す前後、左右、上下の矢印は、システムキッチン1の向きを示している。システムキッチン1に正対した状態の作業者から見て、手前側を前、奥側を後ろとする。また、左右、上下の向きは、システムキッチン1に正対した状態の作業者から見た向きである。
【0009】
システムキッチン1は、カウンター2の下側に第1キャビネット4と第2キャビネット5と第3キャビネット6とを左右方向に並べて配置し、一体化したものである。カウンター2は、1枚のパネルによって構成されている。カウンター2は、流し台7と調理加熱台8とを上面に備えている。流し台7は、第1キャビネット4の上部に配置されている。調理加熱台8は、第3キャビネット6の上部に配置されている。第2キャビネット5は、第1キャビネット4と第3キャビネット6との間に配置され、食器洗い乾燥機9を組み込まれている。第2キャビネット5は「キャビネット」の一例である。
【0010】
第1キャビネット4と第2キャビネット5と第3キャビネット6とは、前面の位置を揃えた状態で配置されている。第1キャビネット4、第2キャビネット5、および、第3キャビネット6は、それぞれ、床面10に接触する下端部分の前側に第1蹴込み板45、第2蹴込み板55、および、第3蹴込み板65を配置されている。床面10は「設置床面」の一例である。
【0011】
第1蹴込み板45、第2蹴込み板55、および、第3蹴込み板65は、第1キャビネット4、第2キャビネット5、および、第3キャビネット6の前面より後方にずれた位置に配置され、蹴込み空間S1を形成している。蹴込み空間S1は、システムキッチン1の前面より後方に入り込むように設けられている。ユーザは、蹴込み空間S1に足先を入れることによって、自然な姿勢でシステムキッチン1の前に立って作業を行うことができる。
【0012】
第1蹴込み板45、第2蹴込み板55、および、第3蹴込み板65は、前面の位置を揃えて近接する状態で配置されている。第1蹴込み板45、第2蹴込み板55、および、第3蹴込み板65を見栄え良くシステムキッチン1に配置するためである。第2蹴込み板55は「蹴込み板」の一例である。
【0013】
図2に示すように、第2キャビネット5は、キャビネット本体50と、引き出し51と、食器洗い乾燥機9とを有する。キャビネット本体50の上面は、カウンター2によって覆われている。食器洗い乾燥機9は、キャビネット本体50の高さ方向の中央部に組み込まれている。食器洗い乾燥機9は、給水ホース94と排水ホース95とを接続されている。床面10の上には、給水管11と排水管12とを設置されている。第2キャビネット5は、給水管11と排水管12とを覆うように床面10に設置されている。給水ホース94は、給水管11に接続されている。排水ホース95は、排水管12に接続されている。
【0014】
図3に示すように、キャビネット本体50は、一対の側板501,502と、上側背板503と、下側背板504(
図2参照)と、仕切り板505(
図2参照)と、底板506と、桟507,509,511,512(
図2参照)とを備えている。
【0015】
図2および
図3に示すように、一対の側板501,502は、左右両側に対向配置され、上側背板503と下側背板504とに固定されている。桟507,511は、一対の側板501,502の前後上端部に左右方向に沿って架設されている。桟509,512は、一対の側板501,502の前後下端部に左右方向に沿って架設されている。仕切り板505と底板506は、一対の側板501,502の間に水平に配置されている。
【0016】
図2に示すように、キャビネット本体50の内部空間は、仕切り板505と底板506によって、第1空間部S11と第2空間部S12と第3空間部S13とに区画されている。第1空間部S11は、引き出し51を収容する。第2空間部S12は、食器洗い乾燥機9を収容する。食器洗い乾燥機9の給水ホース94および排水ホース95は、第2空間部S12の後方に収納されている。
【0017】
底板506は、床面10から上方に所定の間隔W1だけ離れた位置に配置され、床面10との間に第3空間部S13を形成している。第3空間部S13は、給水用接続部材111と排水用接続部材121とを収納している。給水用接続部材111は、給水管11の端部に設けられ、給水ホース94と接続される。排水用接続部材121は、排水管12の端部に設けられて排水ホース95と接続される。
【0018】
第3空間部S13は「隙間」の一例である。給水ホース94と排水ホース95は「食器洗い乾燥機の給排水管」の一例である。給水管11と排水管12は「建築側の給排水管」の一例である。給水用接続部材111と排水用接続部材121は「接続部材」の一例である。
【0019】
図4では、引き出し51と仕切り板505と食器洗い乾燥機9との記載を省略している。
図4では、給水管11、給水用接続部材111、排水管12、および、排水用接続部材121を仮想的に記載している。底板506は、切り欠き部506aを形成されている。給水ホース94と排水ホース95とは、切り欠き部506aを介して、第2空間部S12から第3空間部S13へ通されている。
【0020】
切り欠き部506aは、底板506の後端部から前方に長く切り欠いて設けられている。給水用接続部材111と排水用接続部材121とに対して給水ホース94と排水ホース95との位置を調整する作業が容易になるからである。切り欠き部506aは、給水用接続部材111の付近と、排水用接続部材121に対応する位置とを開口させている。給水用接続部材111と排水用接続部材121とに対して給水ホース94と排水ホース95とを接続する作業が容易になるからである。
【0021】
図3に示すように、第3空間部S13は、第2蹴込み板55を取り付ける前の状態では、前方に開口している。第2蹴込み板55は、固定金具56と取付ネジ58とを用いて一対の側板501,502に対して着脱可能に取り付けられている。一対の側板501,502の前面側に固定された第2蹴込み板55は、底板506と床面10との間の隙間である第3空間部S13を塞いでいる。取付ネジ58は「締結部材」の一例である。
【0022】
図3および
図5に示すように、一対の側板501,502は、下側の前側角部に切り欠き部501e,502eを設けられている。切り欠き部501e,502eは、矩形状に切り欠かれ、上端縁部501f,502fと縦端縁部501g,502gとを備えている。上端縁部501f,502fは、側板501,502の下端面501h,502hに対して平行に設けられている。縦端縁部501g,502gは、側板501,502の前端部501c,502cに対して平行に設けられている。
【0023】
固定金具56は、底板506より下側の位置で一対の側板501,502の内側面501a,502aに固定されている。固定金具56は、縦端縁部501g,502gの範囲内に配置されている。
【0024】
図6に示すように、固定金具56は、側板取り付け片561と、前面片562とを直角に配置したL字状に形成されている。側板取り付け片561には、貫通穴561aが複数個形成されている。前面片562には、雌ネジ部562aが形成されている。
【0025】
図5に示すように、固定金具56は、複数の貫通穴561aに通した金具用ネジ57を側板501の内側面501aにねじ込むことにより、傾かないように固定されている。固定金具56は、前面片562の前面562cと側板501の縦端縁部501gとを同一面上に配置した状態で固定されている。雌ネジ部562aは、取付ネジ58が差し込まれる部位である。雌ネジ部562aは、固定金具56を介して側板501に対して設置されている。雌ネジ部562aは、
図3に示すように、固定金具56を介して側板502に対しても設置されている。縦端縁部501g,502gは「側板の前面」の一例である。雌ネジ部562aは、「被締結部」の一例である。
【0026】
図7に示すように、固定金具56の幅寸法W33は、第2蹴込み板55に設けられた後述する指掛け穴55bの直径W23より大きい値に設定されている。
図5および
図7に示すように、固定金具56は、第2蹴込み板55の裏面55dに前面片562の前面562cを接触させている。前面片562の前面562cは、第2蹴込み板55の裏面55dのうち指掛け穴55bを形成された範囲全体に接触している。側板502に固定されている固定金具56も同様に第2蹴込み板55の裏面55dに接触している。
【0027】
図3および
図5に示すように、桟509は、固定金具56より下方に配置されている。桟509は、前端面509cを縦端縁部501g,502gと同一面上に配置するように、一対の側板501,502の間に固定されている。第2蹴込み板55は、固定金具56に設けられた前面片562の前面562cと桟509の前端面509cと一対の側板501,502の縦端縁部501g,502gとに裏面55dを接触させることによって後方への移動を規制されている。桟509は、「押し当て部材」の一例である。
【0028】
図8に示すように、第2蹴込み板55は、長方形状の板材によって構成されている。第2蹴込み板55は、図中上側の左右角部付近に通し穴55aを設けられている。通し穴55aは、一対の側板501,502に固定された固定金具56の雌ネジ部562aに対応する位置に設けられている。通し穴55aは、ねじ山を切られていてもよい。通し穴55aは、雌ネジ部562aに締結される取付ネジ58を通される。
【0029】
第2蹴込み板55は、通し穴55aと重なるように指掛け穴55bを設けられている。通し穴55aと指掛け穴55bを重ねて設けることで、第2蹴込み板55の前面55cに開口する穴の数が減り、第2蹴込み板55の見栄えが良くなる。
【0030】
指掛け穴55bは、第2蹴込み板55の上端面55jから下端面55hまでの上下方向の長さW25に対して、上側の3分の1の範囲内に設けることが好ましい。指を指掛け穴55bに掛けやすいからである。指を指掛け穴55bに入れて第2蹴込み板55を蹴込み空間S1側へ外しやすくすることができる。
【0031】
図9に示すように、通し穴55aは、第2蹴込み板55の厚み方向に貫通して形成されている。指掛け穴55bは、第2蹴込み板55の前面55cに対して、通し穴55aより大径の円柱形状に設けられ、底面55bxを備えている。指掛け穴55bは、通し穴55aと同軸に設けられている。指掛け穴55bの大きさは、下記の第1条件と第2条件と第3条件とのいずれも満たすように設定することが好ましい。
【0032】
第1条件は、第2蹴込み板55の前面55cから指掛け穴55bの底面55bxまでの深さW21を、5mm以上に設定することである。指掛け穴55bに指先を掛けて第2蹴込み板55を引っ張る場合に、指掛け穴55bの内壁に指先を密着させて滑りにくくすることができる。
【0033】
第2条件は、指掛け穴55bを形成されて残った部分の板厚である残厚W22を2mm以上に設定することである。残厚W22は、指掛け穴55bの底面55bxから第2蹴込み板55の裏面55dまでの距離と言い換えることができる。残厚W22を2mm未満にすると、ユーザの足先が第2蹴込み板55に当たるなどして第2蹴込み板55に外力が作用した場合に、指掛け穴55bを形成された部分が破損する可能性が高いからである。
【0034】
第3条件は、指掛け穴55bの直径W23を16mm以上24mm以内とする条件である。直径W23が16mm未満である場合、大人の手の指先が指掛け穴55bに入らない可能性があるからである。直径W23が24mmを超えると、指掛け穴55bが指先を掛けるのに対して大きくなり過ぎて、第2蹴込み板55の見栄えが悪くなるからである。
【0035】
図3および
図5に示すように、第2蹴込み板55は、通し穴55aに通された取付ネジ58を固定金具56の雌ネジ部562aに締結することによって、一対の側板501,502の内側面501a,502aに取り付けられている。第2蹴込み板55は、可撓性のある樹脂製のキャップ59を指掛け穴55bに対して脱落しないように装着される。キャップ59は、指掛け穴55bを塞いで取付ネジ58を隠し、一対の側板501,502に取り付けられた第2蹴込み板55の見栄えを向上させる。
【0036】
図5に示すように、第2蹴込み板55は、下端面55hを床面10に接触あるいはごく近接させる位置に配置されている。第2蹴込み板55は、前面55cの下端部に円弧部55kを設けられている。この構成によって、第2蹴込み板55を床面10と接触する部分を支点として前側に倒れやすくすることができる。
【0037】
図5に示すように、一対の側板501,502に固定された第2蹴込み板55は、上端面55jに沿って隙間を形成されている。この隙間は、第2蹴込み板55の上端面55jと、一対の側板501,502に設けられた上端縁部501f,502fとの間に形成されている。例えば
図7の第3蹴込み板65に示すように、蹴込み板の上側に形成される隙間の間隔W4は、見栄えを考慮して、1mm以下に設定されるのが一般的である。本実施形態の第2キャビネット5は、第2蹴込み板55の上側の隙間CRの間隔W3を1.5mm以上2.5mm以内に設定されている。この構成によって、第2蹴込み板55を下端面55hを支点として前側にスムーズに倒れやすくすることができる。
【0038】
続いて、システムキッチン1において食器洗い乾燥機9の給排水管の接続、および、メンテナンスを行う場合の手順について説明する。
【0039】
最初に第2蹴込み板55が取り外される。作業者は、キャップ59を第2蹴込み板55の指掛け穴55bから取り外し、取付ネジ58を露出させる。作業者は、工具を用いて取付ネジ58を取り外す。
図10に示すように、作業者は、手200の指先を左右両側の指掛け穴55bに掛け、第2蹴込み板55を前側に引っ張る。
図11に示すように、第2蹴込み板55は、円弧部55kを支点として蹴込み空間S1内で前方に向かって倒れる。第2蹴込み板55は、一対の側板501,502から取り外される。
【0040】
図1及び
図7に示すように、第2蹴込み板55は、見栄え良くシステムキッチン1に配置するために、上下左右の隙間CRが小さくされている。第2蹴込み板55は、左右両側の指掛け穴55bに指先を1本ずつ入れて、蹴込み空間S1側に倒すことによって、一対の側板501,502から取り外される。第2蹴込み板55は、上下左右に形成される隙間CRが小さくても、一対の側板501,502から簡単に取り外すことができる。
【0041】
第2蹴込み板55は、上端面55jから、上下方向の全長W25の3分の1の範囲内に指掛け穴55bを形成されている。そのため、第2蹴込み板55は、指掛け穴55bに指先を掛けて引っ張られた場合に、蹴込み空間S1側へ倒れやすく、一対の側板501,502から外しやすい。
【0042】
図7に示すように、第2蹴込み板55の上側の隙間CRの間隔W3が、第3蹴込み板65の上側の隙間の間隔W4と比べて広くされている。そのため、第2蹴込み板55は、上端面55jを側板501,502の上端縁部501f,502fに接触させずにスムーズに蹴込み空間S1側へ回転するように倒れる。よって、作業者は、第2キャビネット5から第2蹴込み板55を前方に傾けて容易に取り外すことができる。
【0043】
第2キャビネット5は、上側の隙間CRの間隔W3を第3キャビネット6の第3蹴込み板65の上側の隙間の間隔W4より若干広げたことにより、第2蹴込み板55の上端面55jが第3蹴込み板65の上端面65jの位置より下側にずれている。第2蹴込み板55と第3蹴込み板65は、蹴込み空間S1の奥側に配置されている。そのため、第2蹴込み板55の上端面55jと第3蹴込み板65の上端面65jとの僅かなズレは、ユーザの目につきにくく、システムキッチン1の美観に影響を及ぼさない。
【0044】
作業者は、第2蹴込み板55を取り外した後、第3空間部S13に前方から手200を入れて、給水ホース94と給水用接続部材111との接続、および、排水ホース95と排水用接続部材121との接続を行うことができる。作業者は、第2蹴込み板55を取り外した状態で、配管のメンテナンスを行うこともできる。
【0045】
固定金具56は、第3空間部S13の左右方向の中央でなく左右両端に配置されているので、作業者が第3空間部S13に手200を入れる際に邪魔にならない。
【0046】
図5に示すように、第2蹴込み板55の指掛け穴55bは、底板506の下面506cと床面10との間の間隔W1の上寄り3分の1の範囲内にある。これに伴い、通し穴55aも、底板506の下面506cと床面10との間の間隔W1の上寄り3分の1の範囲内に設けられる。固定金具56は、雌ネジ部562aを通し穴55aと同軸に設置するように、底板506の下面506c付近に固定される。固定金具56は、第2蹴込み板55を取り外した状態で、底板506の下面506c付近で側板501,502の内側面501a,502aから第3空間部S13内に突出する。そのため、作業者が底板506と床面10との間の隙間である第3空間部S13に前方から手200を入れて配管等を行う場合に、固定金具56が作業者の手200に当たりにくい。
【0047】
配管の接続およびメンテナンスが終了すると、作業者は、固定金具56の前面片562と桟509の前端面509cとに第2蹴込み板55の裏面55dを接触させる。作業者は、指掛け穴55bに露出する通し穴55aに取付ネジ58を通し、固定金具56に締結する。作業者は、第2蹴込み板55を一対の側板501,502に固定する。作業者は、その後、キャップ59を指掛け穴55bに押し込んで装着する。第2蹴込み板55は、キャップ59によって取付ネジ58を隠され、前面55cの見栄えがよくなる。これにより、配管の接続およびメンテナンスの作業が終了する。
【0048】
第2キャビネット5は、一対の側板501,502の内側面501a,502aに固定した固定金具56の雌ネジ部562aに対して取付ネジ58を締結している。そのため、第2蹴込み板55を繰り返し着脱しても、部品を交換することなく取付ネジ58の締結力が維持される。仮に、固定金具56の雌ネジ部562aが破損しても、固定金具56を簡単に交換できる。
【0049】
第2蹴込み板55は、指掛け穴55bによって板厚を薄くされた部分を取付ネジ58によって固定されている。第2蹴込み板55は、ユーザが足先を入り込ませる蹴込み空間S1の奥側に配置されている。そのため、ユーザの足先が第2蹴込み板55の前面55cに当たることがある。
【0050】
図5および
図7に示すように、本実施形態の第2キャビネット5では、固定金具56の取付ネジ58を締結される前面片562が一対の側板501,502の縦端縁部501g,502gと同一面上に配置されている。前面片562は、第2蹴込み板55の指掛け穴55bを形成された部分の裏面55dに接している。第2蹴込み板55の指掛け穴55bを形成された部分は、前面片562によって補強されている。よって、第2蹴込み板55は、前面55cにユーザの足先が当たっても破損しにくい。
【0051】
図7に示すように、第2キャビネット5は、前面片562を第2蹴込み板55の裏面55dに接触させている。前面片562は、指掛け穴55bを形成された範囲の全体を覆う範囲で、裏面55dに接触している。第2蹴込み板55に前方からユーザの足先が当たった場合、指掛け穴55bによって板厚を薄くされた部分は、前面片562によって全範囲を支持される。よって、第2蹴込み板55は、指掛け穴55bを前面55cに形成されても、破損しにくい。
【0052】
第2蹴込み板55は、床面10上に配置される桟509によっても、裏面55dを支持されている。桟509が第2蹴込み板55の前面55cにユーザの足先が当たった場合の荷重を受ける。これにより、第2蹴込み板55は、取付ネジ58を取り付けられた部分にかかる負荷を軽減される。よって、第2蹴込み板55は、破損しにくい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の第2キャビネット5は、底板506と床面10との間に形成された第3空間部S13を塞ぐように、固定金具56と取付ネジ58とを用いて第2蹴込み板55を着脱可能に取り付けられている。第2蹴込み板55の上下左右に形成される隙間が小さい場合でも、作業者は、第2蹴込み板55の前面55cに形成された指掛け穴55bに指を掛けて第2蹴込み板55を前側に引っ張ることによって、第2蹴込み板55を前方に倒して第2キャビネット5から外すことができる。よって、本実施形態の第2キャビネット5によれば、第2蹴込み板55を容易に取り外すことができる。
【0054】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。第2キャビネット5は、仕切り板505を省略し、引き出し51を収容しなくてもよい。
【0055】
固定金具56を省略し、第2蹴込み板55を一対の側板501,502の前端部501c,502cに取付ネジ58で直接固定する構造であってもよい。その場合に、一対の側板501,502の前端部501c,502cは、取付ネジ58を締結されるナットが埋設されていてもよい。この場合、第3空間部S13内に出っ張りがなく、作業空間を広く確保できる。
【0056】
第2キャビネット5は、第3空間部S13に給排水管の接続部材を収納していなくてもよい。
【0057】
指掛け穴55bは、円柱形状に形成されなくてもよい。例えば、指掛け穴55bは、第2蹴込み板55の前面55cから見た形状が、楕円形状、多角形形状、および、U字形状の何れかであってもよい。指掛け穴55bは通し穴55aと同軸に設けられていなくてもよい。
【0058】
底板506の固定位置は、食器洗い乾燥機9のサイズに応じて変えてもよい。この場合、底板506の下面506cと第2蹴込み板55の上端面55jとの間の間隔W1が変化する。第2キャビネット5は、
図12に示すように、その変化に応じてサイズの異なる桟508を一対の側板501,502の間に固定するとよい。第2蹴込み板55を共用できるからである。固定金具56の固定位置を変更する手間がかからないからである。
【0059】
底板506は、切り欠き部506aの代わりに孔部を設け、当該孔部に給水ホース94および排水ホース95を通すようにしてもよい。例えば、底板506は、給水ホース94と排水ホース95について別々に切り欠き部あるいは孔部を設けられてもよい。
【0060】
固定金具56は、底板506の下面506cに固定してもよい。この場合、固定金具56は、一対の側板501,502の近くに設置するとよい。作業者が第3空間部S13に手を入れる際に邪魔になりにくいからである。
【0061】
固定金具56は、前面片562の前面562cを側板501,502の縦端縁部501g,502gと同一面上に配置されていなくてもよい。
【0062】
固定金具56の前面片562は、第2蹴込み板55の裏面55dのうち、指掛け穴55bが形成されている範囲の全体を覆っていなくてもよい。
【0063】
指掛け穴55bは、底板506の下面506cと床面10との間の第3空間部S13の上下方向の間隔W1のうち、上側3分の1の範囲内になくてもよい。指掛け穴55bは、第2蹴込み板55の上下方向の上側3分の1の範囲内になくてもよい。
【0064】
キャップ59が指掛け穴55bに装着されていなくてもよい。例えば、第2蹴込み板55の前面55cに化粧板を重ねて配置し、指掛け穴55bを化粧板で隠すことができる場合には、キャップ59を省略してもよい。
【0065】
桟509は、省略してもよい。桟509は、一対の側板501,502の縦端縁部501g,502gより後方に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
5……第2キャビネット、10……床面、506……底板、55……第2蹴込み板、S13……配管空間、58……取付ネジ、562a……雌ネジ部、55a……通し穴、55b……指掛け穴