(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003032
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】決済端末用基体、および決済方法
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G07G1/00 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184789
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2022038799の分割
【原出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 素仁
(57)【要約】
【課題】破損を抑制した操作性の良い決済端末を提供する。
【解決手段】 決済端末は、基体と、この基体を支持する台座を備える。基体は、決済処理を行うための操作面と当該操作面に対向する背面と、操作面と背面を連接する側面とを有する。台座は、側面に対向する位置に溝部を有する。側面は、第1側面と第1側面に対向する第2側面とを有する。第1側面と第2側面は、それぞれに2つの支持部を有する。基体は、2つの支持部が溝部を摺動することによって、傾きを変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済処理を行う決済端末用基体であって、
前記決済処理にかかる画像、文字又は数字が表示される表示面と、
前記表示面に表示されている画像、文字又は数字の向きを、この表示面を第1の側から視る第1の向きと、この表示面を前記第1の側に対向する第2の側から視る第2の向きとの間で変化させる表示制御部と、
前記決済処理に用いる情報として、光学的読取コードが示す情報を読み取る読取部と、
を備えた決済端末用基体。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記読取部による前記光学的読取コードが示す情報の読み取りを行う場合に、前記決済端末用基体の利用者による所定の操作により、前記表示面に表示されている画像、文字又は数字の向きを、前記第1の向きから前記第2の向きに変化させる、
請求項1に記載の決済端末用基体。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記読取部による前記光学的読取コードが示す情報の読み取りが行える状態であるときに、前記決済端末用基体の利用者による所定の操作により、前記表示面に表示されている画像、文字又は数字の向きを、前記第1の向きから前記第2の向きに変化させる、
請求項1に記載の決済端末用基体。
【請求項4】
前記読取部は、前記光学的読取コードが示す情報の読み取りに用いる読取センサを、前記決済端末用基体の前記第2の側に設けている、
請求項1~3のいずれかに記載の決済端末用基体。
【請求項5】
前記読取部は、バーコードリーダである、
請求項1~4のいずれかに記載の決済端末用基体。
【請求項6】
前記決済端末用基体の傾きの変化を検出する検出センサを備え、
前記表示制御部は、前記検出センサにより検出された前記決済端末用基体の傾きの変化が所定の変化であった場合、前記表示面に表示されている画像、文字又は数字の向きを、前記第1の向きから前記第2の向きに変化させる、
請求項1~5のいずれかに記載の決済端末用基体。
【請求項7】
前記検出センサは、ジャイロセンサまたは加速度センサである、
請求項6に記載の決済端末用基体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の決済端末用基体で決済処理を行う決済方法であって、
前記表示制御部により、前記表示面に表示されている画像、文字又は数字の向きを前記第1の向きから前記第2の向きに変化させるステップと、
前記読取部により、前記光学的読取コードが示す情報の読み取りを行うステップと、
前記読取部が読み取った前記光学的読取コードが示す情報を用いて前記決済処理を行うステップと、を含む決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性の良い決済端末用基体を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す決済端末は、ディスプレイが基部に取り付けられている。このディスプレイは、ヒンジを回動支点として回動する。この動作によって、決済端末を使用する店員側、顧客側の両者が利用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、操作性の良い決済端末用基体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の決済端末は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0006】
決済端末は、基体と、この基体を支持する台座を備える。基体は、決済処理を行うための操作面と当該操作面に対向する背面と、操作面と背面を連接する側面とを有する。台座は、側面に対向する位置に溝部を有する。
【0007】
側面は、第1側面と第1側面に対向する第2側面とを有する。第1側面と第2側面は、支持部を有する。支持部には、2つの突起部を備える。基体は、2つの突起部が溝部を摺動することによって、傾きを変化させる。
【0008】
この構成では、基体に形成された支持部が台座の溝部を摺動(スライド)して移動することによって、基体の傾きを容易に変化させることができる。すなわち、この決済端末を利用する操作者(店員側、および顧客側)の利用状況に応じて、簡易な構造で基体の向きを変化させることができるため、操作者の利便性が向上する。
【0009】
また、例えば、この決済端末の溝部は、2つの突起部のそれぞれに対応する第1溝部と第2溝部を備えていてもよい。この第1溝部と第2溝部は、第1側面または第2側面を平面視してハの字型構造となるように配置されている。
【0010】
また、例えば、この決済端末の台座は、第1溝部に対応する第1切り欠き部と、第2溝部に対応する第2切り欠き部を備えていてもよい。この第1切り欠き部および第2切り欠き部は、操作面に垂直に形成されている。
【0011】
また、例えば、この決済端末の側面は、第1側面と第2側面とを連接する第3側面を有していてもよい。この第3側面には、光学的読取コードが示す情報を読み取る読取部を備える。
【0012】
また、例えば、この決済端末の基体の背面は、台座と対向する位置に充電部を備えていてもよい。
【0013】
また、例えば、この決済端末の2つの突起部は、操作面よりも背面に近い位置に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、操作性の良い決済端末用基体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は構成例1の決済端末のイメージ図である。
【
図2】
図2(A)は決済端末のイメージ図であり、
図2(B)は構成例1の決済端末の傾き構造を示すイメージ図である。
【
図3】
図3は構成例1の決済端末の傾き構造を示すイメージ図である。
【
図4】
図4は構成例1の店員側が操作を行う決済端末のイメージ図である。
【
図5】
図5は構成例1の顧客側が操作を行う決済端末のイメージ図である。
【
図6】
図6は変形例1の決済端末の傾き構造を示すイメージ図である。
【
図7】
図7は変形例2の決済端末の傾き構造を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、幾つかの図を参照して説明する。
【0017】
<1.適用例>
図1は決済端末10のイメージ図である。決済端末10は、基体110、台座115を備える。基体110は台座115に配置されており、基体110は台座115を摺動することによって傾きを変化させる。
【0018】
基体110は、略直方体形状である。基体110は、表面S1、背面R1を備える。さらに基体110の長手方向には、第1側面SD1、第2側面SD2を備える。基体110の短手方向には、第1側面SD1と第2側面SD2に連接する第3側面SD3、および第3側面SD3に対向する第4側面SD4を備える。また、第1側面SD1と第2側面SD2には、基体110を台座115に設置するための支持部102を備える。
【0019】
基体110は、表面S1に操作面101を備える。基体110の第3側面SD3は、1次元バーコード、または2次元バーコードを読み取るためのバーコードリーダ105を備える。すなわち、バーコードリーダ105を備える第3側面SD3が顧客側であり、第4側面SD4が店員側(店側)であると定義する。
【0020】
台座115は、基体110を支持する構造を有する。基体110は、例えば直方体と角柱を組み合わせた形状である。より具体的には、台座115の上面(基体110に対向する面)は、当該上面側に頂点T1を有するV字形状(逆のV字を形成する)である。
【0021】
次に、基体110が台座115に配置される構造について説明する。基体110の背面R1は台座115に接する。言い換えれば、基体110と支持部102とは、台座115の上面に接するように配置されている。
【0022】
基体110は、第1側面SD1および第2側面SD2に形成された支持部102にそれぞれ2つずつの突起部(
図1では不図示)を備える。一方、台座115は、支持部102に対向する面に溝部(
図1では不図示)を備える。そして、基体110の突起部は、台座115の溝部に嵌合するように形成されている。
【0023】
なお、本願発明における第1側面SD1および第2側面SD2は、説明の便宜上、支持部102を含む。言い換えれば、第1側面SD1に取り付けられた支持部102を含めて第1側面SD1であるとし、第2側面SD2に取り付けられた支持部102を含めて第2側面SD2であるとする。
【0024】
台座115における溝部は第1上面S21、第2上面S22に1ヵ所ずつ形成されている。基体110の突起部は、第1上面S21と嵌合する位置、第2上面S22と嵌合する位置に1ヵ所ずつ形成されている。
【0025】
すなわち、利用者(例えば店員)が基体110を摺動させる。このことによって、基体110の突起部は溝部を摺動する。すなわち、第1上面S21、第2上面S22の連接する面は頂点T1を有することによって、基体110の傾きは変化する。
【0026】
この基体110が摺動する機能を用いて、基体110が有するバーコードリーダ105が2次元バーコードを読み取る際の傾きを変化させることができる。すなわち、バーコードリーダ105はバーコードを容易に読み取ることができる。すなわち、操作性の良い決済端末10を提供できる。
【0027】
さらに、基体110と台座115は、第1側面SD1と第2側面SD2のそれぞれ2カ所に形成された突起部を溝部に嵌合させることで固定されている。よって、従来構成の1ヵ所で支持されている構成と比較して、支持されている箇所を分散させることができるため破損が抑制される。
【0028】
<2.構成例>
次に、
図1、
図2(A)、
図2(B)、
図3、
図4、
図5を用いて、決済端末10のより詳細な構成について説明する。
図2(A)は決済端末10のイメージ図であり、
図2(B)は構成例1の決済端末10の傾き構造を示すイメージ図である。
図3は構成例1の決済端末10の傾き構造を示すイメージ図である。
図4は構成例1の店員側が操作を行う決済端末10のイメージ図である。
図5は構成例1の顧客側が操作を行う決済端末10のイメージ図である。
【0029】
(基体110の構造)
まず、
図1、
図2(A)を用いて基体110の構造について説明する。上述のとおり基体110は、略直方体形状である。基体110は、表面S1、表面S1に対向する背面R1を備える。さらに基体110の長手方向には、第1側面SD1、第2側面SD2を備える。基体110の短手方向には、第1側面SD1と第2側面SD2に連接する第3側面SD3、および第3側面SD3に対向する第4側面SD4を備える。また、第1側面SD1と第2側面SD2には、基体110を台座115に設置するための支持部102を備える。
【0030】
基体110は、表面S1に操作面101を備える。操作面101は、タッチパネル液晶ディスプレイであり、さらにNFC(Near Field Communication)カードリーダを備える。図示を省略しているが、磁気カードリーダを備える構造であってもよい。操作面101のタッチパネル液晶ディスプレイには、例えば操作方法を説明する画像やPINコードのような数字入力を行うためのテンキーが表示される構造である。
【0031】
基体110の第3側面SD3は、1次元バーコード、または2次元バーコードを読み取るためのバーコードリーダ105を備える。
【0032】
また、基体110は、ジャイロセンサまたは加速度センサを備えている。このことによって、基体110が傾きを変化させる。このことによって、操作面101に表示されている画像や文言の表示(向き)を変化させることができる。
【0033】
なお、基体110は非接触充電を行うための充電部を有しているとよい。例えば、基体110と台座115と近接する際に充電できる構造であるとよい。この構造を有することで、基体110を充電する際のケーブルを省略することができる。
【0034】
さらに、台座115は、内部に印刷機構(例えば、サーマルプリンタ)を備えているとよい。この構成を備えることによって、外部に印刷を行う際のデータ出力を行うためのケーブルを省略することができる。また、決済端末10の小型化を図れる。
【0035】
(台座115の構造)
次に、台座115の構造について説明する。台座115の上面(基体110に対向する面)は、当該上面側に頂点T1を有するV字形状である。具体的には、台座115の上面は、第1上面S21、第2上面S22を備える。第1上面S21、第2上面S22は連接しており、第1上面S21と第2上面S22の連接する部分が頂点T1である。
【0036】
(基体110と台座115の配置構造)
基体110が台座115に配置される構造について説明する。なお、基体110における第1側面SD1側と第2側面SD2側の構造は同じものであるため、以下に示す構成は第1側面SD1側を例に説明する。
【0037】
基体110は、背面R1が台座115に接するように配置される。すなわち、基体110と支持部102とは、台座115の上面(第1上面S21、第2上面S22)に接するように配置されている。さらに、台座115の上面には基体110と支持部102の一部を配置するための凹部を有する。この凹部を備えることで、基体110は台座115により安定して配置できる。
【0038】
なお、基体110に支持部102が備えられていることにより、基体110が故障した場合には基体110のみを交換することができ、支持部102が故障した場合には支持部102を交換することが可能となる。すなわち、故障箇所を細分化することが可能であり、メンテナンスを容易に行うことができる。しかしながら、支持部102は省略することも可能である。
【0039】
図2(B)を用いて、基体110と台座115のより詳細な構造、および基体110の動きを説明する。
図2(B)は、
図2(A)における傾き領域TSを拡大して示しており、第1側面SD1側から視た基体110の構造を示す。また、基体110の動作を概念的に示すため、傾き領域TSにおける構造を透過して示している。
【0040】
基体110は、第1側面SD1(第2側面SD2)に形成された支持部102にそれぞれ2つずつの突起部103A,103Bが形成されている。また、台座115の支持部102に対向する面には溝部106A,106Bが形成されている。そして、基体110の突起部103A,103Bは、台座115の溝部106A,106Bに嵌合するように形成されている。より具体的には、突起部103Aは溝部106Aに嵌合し、突起部103Bは溝部106Bに嵌合する。なお、溝部106Aが本発明の「第1溝部」に対応し、溝部106Bが本発明の「第2溝部」に対応する。
【0041】
さらに、溝部106Aは第1上面S21に略平行に所定の長さで形成されている。また、溝部106Bは第2上面S22に略平行に所定の長さで形成されている。上述したとおり、第1上面S21と第2上面S22の連接する部分が頂点T1である。すなわち、溝部106Aと溝部106Bは、カタカナの「ハ」の字形状となるように形成されている。
【0042】
(基体110の傾き構造)
基体110の傾きが変化する動きについて説明する。基体110は、第1姿勢(基体110Aの姿勢)から、第2姿勢(基体110Bの姿勢)を経て、第3姿勢(基体110Cの姿勢)へと傾きを変化させる。
【0043】
図3を用いて、
図2(B)のより詳細な構造について説明する。
図3は、基体110の第1姿勢、第2姿勢、第3姿勢を概念的に示している。また、第2姿勢においては、基体110Bを第3側面SD3側(第4側面SD4側)から見た図を合わせて示す。
【0044】
(基体110の第1姿勢)
基体110の第1姿勢は、突起部103Aは溝部106Aにおける地点PA1に位置する。突起部103Bは溝部106Bにおける地点PB1に位置する。この際、突起部103Aは溝部106Aの第4側面SD4側に位置する。また、突起部103Bは溝部106Bの第4側面SD4側に位置する。
【0045】
(基体110の第2姿勢)
基体110の第2姿勢は、突起部103Aは溝部106Aにおける地点PA2に位置する。突起部103Bは溝部106Bにおいて地点PB2に位置する。この際、突起部103Aは溝部106Aの第3側面SD3と第4側面SD4との略中心に位置する。また、突起部103Bは溝部106Bの第3側面SD3と第4側面SD4との略中心に位置する。
【0046】
基体110が第2姿勢(基体110B)の位置にある場合、第3側面SD3(第4側面SD4)から見た基体110は、台座115における頂点T1を含む平面に略平行となるように位置する。
【0047】
(基体110の第3姿勢)
基体110の第1姿勢は、突起部103Aは溝部106Aにおける地点PA3に位置する。突起部103Bは溝部106Bにおける地点PB3に位置する。この際、突起部103Aは溝部106Aの第3側面SD3側に位置する。また、突起部103Bは溝部106Bの第3側面SD3側に位置する。
【0048】
このように構成することで、基体110は第1姿勢から第2姿勢を経て、第3姿勢となるように傾きを変化させる。なお、上述したとおり、基体110は加速度センサ(またはジャイロセンサ)を備えている。このことによって、第1姿勢時には操作面101は店員側(第4側面SD4側)に表示され、第3姿勢時には操作面101は顧客側(第3側面SD3側)に表示される。すなわち、操作面101についても基体110の姿勢に応じて、操作面101の表示の向きが変化する。
【0049】
図4、
図5を用いて、より具体的な基体110の動きについて説明する。
図4は店員側(第4側面SD4側)が操作を行う決済端末10のイメージ図である。
図5は顧客側(第3側面SD3側)が操作を行う決済端末10のイメージ図である。なお、顧客はスマートフォン20を用いて、表示部201にバーコード202を表示させる。
【0050】
例えば、顧客が商品を購入し(購入金額が確定した後)、顧客が2次元バーコード決済を行うために2次元バーコードを提示する例を用いて決済を行う。より具体的には、基体110のバーコードリーダ105はこのバーコード202を読み取ることで購入した商品の決済を行う例を用いて説明する。
【0051】
図4は、顧客が提示するバーコードをバーコードリーダ105が読み取ることが可能な位置にある場合の例である。
図5は顧客が提示するバーコードをバーコードリーダ105が読み取る場合において、
図4の状態ではバーコードリーダ105がバーコードを読み取り難い例である。すなわち、基体110の姿勢(傾き)を変える必要がある場合の例である。
【0052】
図4は、
図2(B)、
図3における第1姿勢(基体110A)の状態である。店員は、顧客が商品の購入金額を支払うための処理を行う。顧客は、スマートフォン20を用いて表示部201にバーコード202を表示させる。顧客は、バーコードリーダ105がバーコード202を読み取ることが可能な位置にスマートフォン20を配置する。バーコードリーダ105は、バーコード202を読み取る。このことによって、顧客は購入した商品の決済を完了する。
【0053】
図5は、
図2(B)、
図3における第3姿勢(基体110C)の状態である。店員は、顧客が商品の購入金額を支払うための処理を行う。顧客は、スマートフォン20を用いて表示部201にバーコード202を表示させる。この際、バーコードリーダ105は、バーコード202を読み取り難い状態である。
【0054】
店員は、第1状態(基体110A)から、第2状態(基体110B)を経て、第3状態(基体110C)となるように基体110を摺動させる。このことによって、バーコードリーダ105は、バーコード202を読み取る。このことによって、顧客は購入した商品の決済を完了する。
【0055】
このような構成を有することで、基体110を摺動させることで、基体110の姿勢(傾き)を容易に変化させることができる。すなわち、基体110のバーコードリーダ105は、決済端末10の利用状況に応じて、2次元バーコードを容易に読み取ることができる。
【0056】
さらに、基体110と台座115は、第1側面SD1と第2側面SD2のそれぞれ2カ所に形成された突起部を溝部に嵌合させることで固定されている。すなわち、従来構成の1ヵ所で支持されている構成と比較して、支持されている箇所が分散されるため破損が抑制される。
【0057】
<3.変形例1>
次に、変形例1に係る決済端末について、図を参照して説明する。
図6は変形例1の決済端末10Aのイメージ図である。
【0058】
図6に示すように、変形例1に係る決済端末10Aは、構成例1に係る決済端末10に対して、溝部が1つのみ形成されている点で異なる。決済端末10Aの他の構成は、決済端末10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0059】
基体110の第1側面SD1に対向する台座115の面には、溝部106Cが形成されている。より具体的には、溝部106Cは、台座115に沿った形状、言い換えれば、構成例1における溝部106Aと溝部106Bとを繋ぐように形成されている。なお、溝部106Cは、構成例1における溝部106Aと溝部106Bによって形成されるハの字形状を含む形状であれば、溝部106Aと溝部106Bを繋ぐ部分の形状は、限定されない。
【0060】
また、基体110が店員側(第4側面SD4側)にある時は、突起部103Bが溝部106Cの第4側面SD4側に固定される。同様に、基体110が顧客側(第3側面SD3側)にある時は、突起部103Bが溝部106Cの第3側面SD3側に固定される。
【0061】
このような構成であっても、基体110を摺動させることで、基体110の姿勢(傾き)を容易に変化させることができる。また、第1側面SD1に溝部106Cを1カ所形成することで、突起部103A,103Bが摺動することによって、基体110を摺動させることができる。すなわち、基体110のバーコードリーダ105は、決済端末10の利用状況に応じて、2次元バーコードを容易に読み取ることができる。
【0062】
さらに、基体110と台座115は、第1側面SD1と第2側面SD2のそれぞれ2カ所に形成された突起部を溝部に嵌合させることで固定されている。すなわち、従来構成の1ヵ所で支持されている構成と比較して、支持されている箇所が分散されるため破損が抑制される。
【0063】
<4.変形例2>
次に、変形例2に係る決済端末について、図を参照して説明する。
図7は変形例2の決済端末10Bのイメージ図である。
【0064】
図7に示すように、変形例2に係る決済端末10Bは、構成例1に係る決済端末10に対して、切り欠き部107A,107Bを備える点で異なる。決済端末10Bの他の構成は、決済端末10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0065】
基体110の第1側面SD1に対向する台座115の面には、溝部106A,106Bが形成されている。さらに、基体110の第1側面SD1には、溝部106A,106Bに重なるように形成された切り欠き部107A,107Bを備える。切り欠き部107Aが本発明の「第1切り欠き部」に対応し、切り欠き部107Bが本発明の「第2切り欠き部」に対応する。
【0066】
切り欠き部107Aは、溝部106Aに重なるように形成されている。切り欠き部107Aは、第2姿勢時(基体110Bの状態)において、表面S1および背面R1に直交する形状となるように形成されている。また、切り欠き部107Aの背面R1側の面は、溝部106Aの背面R1側の面に当接している。
【0067】
また、切り欠き部107Bは、溝部106Bに重なるように形成されている。切り欠き部107Bは、第2姿勢時(基体110Bの状態)において、表面S1および背面R1に直交する形状となるように形成されている。また、切り欠き部107Bの背面R1側の面は、溝部106Bの背面R1側の面に当接している。
【0068】
突起部103A,103Bが溝部106A,106Bを摺動する際、地点PA1,PA3,PB1,PB3においては、基体110の姿勢は安定する。しかしながら、地点PA2,PB2(第2姿勢)の時は、姿勢が安定しない。すなわち、切り欠き部107A,107Bを備えることによって、基体110が第2姿勢である場合(基体110Bの状態)に、基体110の台座115に対する姿勢を安定させることができる。
【0069】
このような構成であっても、基体110を摺動させることで、基体110の姿勢を容易に変化させることができる。すなわち、基体110のバーコードリーダ105は、決済端末10の利用状況に応じて、2次元バーコードを容易に読み取ることができる。さらに、基体110が第2姿勢である場合(基体110Bの状態)においても基体110の台座115に対する姿勢を安定させることができる。
【0070】
なお、切り欠き部107A,107Bは、第2姿勢において突起部103A,103Bの姿勢を安定させる構造であれば形状は限定されない。例えば、溝部106A,106Bに小さな突起を備える構造や、溝部106A,106Bに摩擦を起こす形状であってもよい。
【0071】
さらに、基体110と台座115は、第1側面SD1と第2側面SD2のそれぞれ2カ所に形成された突起部を溝部に嵌合させることで固定されている。すなわち、従来構成の1ヵ所で支持されている構成と比較して、支持されている箇所が分散されるため破損が抑制される。
【0072】
なお、この発明は、上記例において、溝部として第1溝部と第2溝部を定義している。しかしながら、溝部は2カ所に限らず、複数形成されていてもよい。言い換えれば、2カ所以上の溝部を形成されているとよく、この溝部に対応する指示部、切り欠き部を備えているとよい。
【0073】
なお、この発明は、上記例に対してそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、上記例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0074】
さらに、この発明に係る構成と上述した構成との対応関係は以下の付記のように記載できる。
<付記>
決済端末(10)は、基体(110)と、この基体(110)を支持する台座(115)を備える。基体(110)は、決済処理を行うための操作面(101)と当該操作面(101)に対向する背面(R1)と、操作面(101)と背面(R1)を連接する側面(SD1,SD2)とを有する。台座(115)は、側面(SD1,SD2)に対向する位置に溝部(106A,106B)を有する。側面は、第1側面(SD1)と第1側面(SD1)に対向する第2側面(SD2)とを有する。第1側面(SD1)と第2側面(SD2)は、それぞれに2つの支持部(102)を有する。基体(110)は、2つの支持部(102)が溝部を摺動することによって、傾きを変化させる。
【符号の説明】
【0075】
PA1,PA2,PA3,PB1,PB2,PB3…地点
R1…背面
S1…表面
S21…第1上面
S22…第2上面
SD1…第1側面
SD2…第2側面
SD3…第3側面
SD4…第4側面
T1…頂点
TS…傾き領域
10,10A,10B…決済端末
20…スマートフォン
101…操作面
102…支持部
103A,103B…突起部
105…バーコードリーダ
106A,106B,106C…溝部
107A,107B…切り欠き部
110,110A,110B,110C…基体
115…台座
201…表示部
202…バーコード