(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030322
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】リクライナインナカバー及びこれを備えた車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/60 20060101AFI20240229BHJP
B60N 2/235 20060101ALI20240229BHJP
A47C 1/024 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B60N2/60
B60N2/235
A47C1/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133123
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 勇希
(72)【発明者】
【氏名】北林 謙一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 千佳
【テーマコード(参考)】
3B087
3B099
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3B099AA05
3B099BA04
3B099CA17
3B099DA09
(57)【要約】
【課題】安全性及び意匠性を維持しつつ、短期かつ低コストで製造可能なリクライナインナカバーを提供する。
【解決手段】リクライナインナカバー10は、リクライナ40がシート幅方向外側から取り付けられたシートバックサイドフレーム24の下端部に対してシート幅方向内側から装着され、複数の表皮材を含んで構成されかつシートバックサイドフレームがリクライナ40を介して回動した時にシートバックサイドフレーム24の下端部と共に回動可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクライナがシート幅方向外側から取り付けられたシートバックサイドフレームの下端部に対してシート幅方向内側から装着され、複数の表皮材を含んで構成されかつ前記シートバックサイドフレームがリクライナを介して回動した時に前記シートバックサイドフレームの前記下端部と共に回動可能に構成されている、
リクライナインナカバー。
【請求項2】
前記シートバックサイドフレームにおける前記下端部のシート幅方向内側に配置される内側カバー部と前記シートバックサイドフレームにおける前記下端部のシート幅方向外側に配置される外側カバー部とを備えて筒状に形成され、
前記外側カバー部は、前記リクライナが挿通される開口部を備え、前記リクライナの周方向に沿って環状に配置される、
請求項1に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項3】
前記内側カバー部における前記外側カバー部側の面には、樹脂製のプレートが固定されている、
請求項2に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項4】
前記外側カバー部において、前記リクライナよりもシートバック上方側に配置される上端部は、一対の面ファスナによって着脱可能に構成されている、
請求項3に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項5】
前記一対の面ファスナは、互いに結合された状態において前記外側カバー部の前記上端部の幅方向中央部に配置されており、
前記外側カバー部における前記開口部の内周上縁は、互いに結合された前記一対の面ファスナに向かうにつれて縮径されたテーパ状に形成されている、
請求項4に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項6】
前記内側カバー部には、前記リクライナの軸部が挿通される挿通部が形成されている、
請求項5に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項7】
前記プレート及び前記表皮材には、それぞれ位置決めのノッチが形成されている、
請求項6に記載されたリクライナインナカバー。
【請求項8】
着座者の臀部及び大腿部を支持可能に構成されたシートクッションと、
前記リクライナが取り付けられたシートバックサイドフレームを含んで構成され、着座者の背部を支持可能に構成されたシートバックと、
前記リクライナを含んで構成され、前記シートバックサイドフレームを回動可能に前記シートクッションに連結するリクライニング機構と、
前記シートバックサイドフレームの前記下端部に対してシート幅方向内側から装着された請求項1~請求項7の何れか一項に記載のリクライナインナカバーと、
を有する車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライナインナカバー及びこれを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リクライナを介してシートクッションに対してシートバックを傾倒可能に構成したシートにおいて、樹脂製のリクライナカバーを設けてリクライナ周辺の露出を防ぎ、安全性及び意匠性を向上することがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1のリクライニングカバー構造では、リクライニング装置におけるシートバックヒンジ(シートバックサイドブラケット)側とシートクッションヒンジ(リクライナブラケット)側との連結部がシートクッション側部に設けられたアウターカバー(リクライナアウタカバー)によって覆われている。また、シートバックヒンジには、シートバックヒンジと共に回動するヒンジカバー(リクライナインナカバー)が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シートフレームの形状によって、必要となるリクライナインナカバーの形状は異なるため、樹脂製のリクライナインナカバーを種々のシートに合わせて製造するには時間及び費用の面で課題がある。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、安全性及び意匠性を維持しつつ、短期かつ低コストで製造可能なリクライナインナカバー及びこれを備えた車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、リクライナがシート幅方向外側から取り付けられたシートバックサイドフレームの下端部に対してシート幅方向内側から装着され、複数の表皮材を含んで構成されかつ前記シートバックサイドフレームがリクライナを介して回動した時に前記シートバックサイドフレームの前記下端部と共に回動可能に構成されている。
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、リクライナを介してシートバックサイドフレームの下端部が回動されると、シートバックサイドフレームに装着されたリクライナインナカバーがシートバックサイドフレームの下端部と共に回動される。よって、シートバックサイドフレームは、その傾倒角度に寄らず、常にリクライナインナカバーに覆われている。したがって、リクライナインナカバーを備えていない場合と比較して、例えばシートバックサイドフレームの溶接跡等の突起物が外部に露出することが防止されるため、シートの安全性及び意匠性を維持することができる。
【0009】
また、リクライナインナカバーは、複数の表皮材を含んで構成されている。よって、樹脂製のリクライナインナカバーと比較して、種々のシートに合わせて容易に製造することができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、前記シートバックサイドフレームにおける前記下端部のシート幅方向内側に配置される内側カバー部と前記シートバックサイドフレームにおける前記下端部のシート幅方向外側に配置される外側カバー部とを備えて筒状に形成され、前記外側カバー部は、前記リクライナが挿通される開口部を備え、前記リクライナの周方向に沿って環状に配置される。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、筒状に形成されたリクライナインナカバーがシートバックサイドフレームに装着されると、シートバックサイドフレームの下端部におけるシート幅方向内側は、リクライナインナカバーの内側カバー部によって覆われる。これと同時に、シートバックサイドフレームの下端部におけるシート幅方向外側には、リクライナインナカバーの外側カバー部が配置される。
【0012】
ここで、外側カバー部は、リクライナが挿通される開口部を備えている。リクライナインナカバーがシートバックサイドフレームに装着される際には、外側カバー部は、リクライナの周方向に沿って環状に配置される。よって、シートバックサイドフレームが回動すると、シートバックサイドフレームと共に、リクライナの周囲で環状の外側カバー部が回動される。これにより、リクライナの半径方向に外側カバー部がずれ動くことが抑制される。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、請求項2に記載の発明において、前記内側カバー部における前記外側カバー部側の面には、樹脂製のプレートが固定されている。
【0014】
請求項3に記載の本発明によれば、内側カバー部における外側カバー部側の面には、樹脂製のプレートが固定されている。このため、リクライナインナカバーの形状が安定する。よって、筒状に形成されたリクライナインナカバーがシートバックサイドフレームに対して回る等してずれ動いてしまうことを抑制することができる。
【0015】
また、リクライナインナカバーがシートバックサイドフレームに装着された状態において、リクライナインナカバーの内側カバー部とシートバックサイドフレームとの間に樹脂製のプレートが配置される。このため、樹脂製のプレートを設けない場合と比較して、シートバックサイドフレームとリクライナインナカバーとの摩擦抵抗を低減することができる。よって、リクライナインナカバーの引っ掛かり及び巻き込みを抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、請求項3に記載の発明において、前記外側カバー部において、前記リクライナよりもシートバック上方側に配置される上端部は、一対の面ファスナによって着脱可能に構成されている。
【0017】
請求項4に記載の本発明によれば、リクライナインナカバーがシートバックサイドフレームに装着されると、外側カバー部の上端部は、リクライナよりもシートバック上方側に配置される。ここで、外側カバー部の上端部は、一対の面ファスナによって着脱される。よって、リクライナインナカバーは、リクライナがシートバックサイドフレームに組み付けられた後でも、面ファスナが外された状態でシートバックサイドフレームに容易に被せられる。また、このようにシートバックサイドフレームに被せられた後に面ファスナが結合されることで、外側カバー部はリクライナの周方向に沿って環状に配置される。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、請求項4に記載の発明において、前記一対の面ファスナは、互いに結合された状態において前記外側カバー部の前記上端部の幅方向中央部に配置されており、前記外側カバー部における前記開口部の内周上縁は、互いに結合された前記一対の面ファスナに向かうにつれて縮径されたテーパ状に形成されている。
【0019】
請求項5に記載の本発明によれば、外側カバー部における開口部は、リクライナに沿いつつ、その内周上縁が互いに結合された一対の面ファスナに向かう方向に配置されている。一対の面ファスナは、互いに結合された状態において外側カバー部の上端部の幅方向中央部に位置するように設けられている。よって、一対の面ファスナを結合させたときの面ファスナ結合部分からシートバックサイドフレームの両端までの距離が略均等になる。そのため、一対の面ファスナを結合させたときに外側カバー部に生じるテンションが、外側カバー部に略均一に作用する。
【0020】
請求項6に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、請求項5に記載の発明において、前記内側カバー部には、前記リクライナの軸部が挿通される挿通部が形成されている。
【0021】
請求項6に記載の本発明によれば、リクライナインナカバーの内側カバー部に形成された挿通部に、リクライナの軸部が挿通される。よって、リクライナインナカバーがリクライナの軸部と干渉することを防ぐことができる。
【0022】
請求項7に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、請求項5に記載の発明において、前記プレート及び前記表皮材には、それぞれ位置決めのノッチが形成されている。
【0023】
請求項7に記載の本発明によれば、プレートに形成されたノッチと表皮材に形成されたノッチにより、プレートを正しい位置で容易に表皮材に取り付けることができる。
【0024】
請求項8に記載の本発明に係る車両用シートは、着座者の臀部及び大腿部を支持可能に構成されたシートクッションと、前記リクライナが取り付けられたシートバックサイドフレームを含んで構成され、着座者の背部を支持可能に構成されたシートバックと、前記リクライナを含んで構成され、前記シートバックサイドフレームを回動可能に前記シートクッションに連結するリクライニング機構と、前記シートバックサイドフレームの前記下端部に対してシート幅方向内側から装着された請求項1~請求項7の何れか一項に記載のリクライナインナカバーと、を有する。
【0025】
請求項8に記載の本発明によれば、シートクッションによって着座者の臀部及び大腿部が支持される。また、シートバックによって着座者の背部が支持される。さらに、シートバックは、リクライナを含んで構成されたリクライニング機構を介してシートクッションに対して回動される。
【0026】
シートバックが回動されると、シートバックサイドフレームの下端部に装着されたリクライナインナカバーは、シートバックサイドフレームと共に回動される。よって、シートバックサイドフレームは、その位置に寄らず常にリクライナインナカバーに覆われている。したがって、リクライナインナカバーを備えていない場合と比較して、例えばシートバックサイドフレームの溶接跡等の突起物が外部に露出することが防止されるため、車両用シートの安全性及び意匠性を維持することができる。
【0027】
また、リクライナインナカバーは、複数の表皮材を含んで構成されている。よって、樹脂製のリクライナインナカバーと比較して、種々の車両用シートに合わせて容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、安全性及び意匠性を維持しつつ、短期かつ低コストで製造できるという優れた効果を有する。
【0029】
請求項2に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、シートバックサイドフレームから外れてしまうことを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0030】
請求項3に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、リクライナに対する引っ掛かり及び巻き込みを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0031】
請求項4に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、シートバックサイドフレームに容易に装着することができるという優れた効果を有する。
【0032】
請求項5に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、皺が寄ることを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0033】
請求項6に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、リクライナの軸部と干渉することを防ぐことができるという優れた効果を有する。
【0034】
請求項7に記載の本発明に係るリクライナインナカバーは、歩留まりを向上させることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項8に記載の本発明に係る車両用シートは、短期かつ低コストで製造することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本実施形態に係るリクライナインナカバーを備えた車両用シートの斜視図である。
【
図2】
図1に示される車両用シートのリクライナインナカバー周辺を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示されるリクライナアウタカバーが外された状態におけるリクライナインナカバー周辺をシート右側からみた側面図である。
【
図4】
図3に示されるリクライナインナカバーの面ファスナが外された状態を外側カバー部側から見た図である。
【
図5】
図4に示されるリクライナインナカバーの面ファスナが結合された状態を内側カバー部側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、
図1~
図7を用いて本発明の一実施形態に係るリクライナインナカバー10について説明する。なお、
図1~
図3に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印RH、矢印OUTは、それぞれリクライナインナカバー10をシートバックサイドブラケット24に装着した車両用シート12のシート前方側、シート上方側、シート幅方向右側、シート幅方向外側を示している。また、
図4~
図8に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、それぞれシートバック上方側、シートバック前方側、シート幅方向外側を示している。
【0038】
まず、
図1~
図3を用いて車両用シート12の構成について説明した後、
図2及び
図3を用いてリクライナインナカバー10の概要について説明する。その後、
図4~
図8を用いてリクライナインナカバー10について詳述する。
【0039】
〔車両用シート12の全体構成〕
図1には、車両用シート12の斜視図が示されている。車両用シート12は、着座者の臀部及び大腿部を支持可能に構成されたシートクッション14と、着座者の背部を支持可能に構成されたシートバック16と、着座者の頭部を支持可能に構成されたヘッドレスト18と、を備えている。
【0040】
さらに、車両用シート12は、シート右側にリクライニング機構20を備えている。シートバック16の下端部は、リクライニング機構20を介してシートクッション14の後端部に回動可能に取り付けられている。
【0041】
図2に示されるように、シートバック16は、骨格を構成するシートバックフレーム28を備えている。シートバックフレーム28は、シートバック下方側が開放された略U字状に形成されたメインフレーム30と、メインフレーム30の下端部をシート幅方向に連結するロアパイプ32と、後述するシートバックサイドブラケット24と、を備えている。
【0042】
メインフレーム30は、上端部においてシート幅方向に延設されたアッパパイプ(図示省略)と、アッパパイプのシート幅方向両端部から下向きに延設された左右一対のサイドパイプ34とを含んで構成されている。サイドパイプ34の下端部34Aは、プレス加工によりシート幅方向に板状に潰されている。ロアパイプ32は、左右一対のサイドパイプ34の下端部34Aにおけるシート幅方向内側の面に溶接されている。
【0043】
(シートバックサイドブラケット24)
サイドパイプ34の下端部34Aのシート幅方向外側には、後述するリクライニング機構20に接続されたシートバックサイドブラケット24が設けられている。シートバックサイドブラケット24は、サイドパイプ34の長手方向に沿って配設されている。なお、サイドパイプ34と、シートバックサイドブラケット24とが、本発明におけるシートバックサイドフレームに相当する。
【0044】
シートバックサイドブラケット24において、シートバック上方側(長手方向の一端側)に形成された上端部24A及びシートバック上下方向(長手方向)の中央部24Bには、それぞれ板厚方向に貫通された貫通孔(図示省略)が形成されている。シートバックサイドブラケット24は、各貫通孔に挿通されたボルト36及びナット38によって、サイドパイプ34の下端部34Aに締結されている。なお、シートバックサイドブラケット24のサイドパイプ34への固定方法及び固定箇所は、上記に限定されるものではない。
【0045】
シートバックサイドブラケット24は、シート幅方向から見て、シートバック上方側(長手方向の一端側)に形成された上端部24Aからシートバック下方側(長手方向の他端側)に形成された下端部24C(
図3参照)に向かうにつれて幅が拡径されたテーパ状に形成されている。具体的には、シートバックサイドブラケット24の上端部24Aは、シート幅方向から見て、サイドパイプ34の下端部34Aよりも僅かに幅広に形成されている。これに対して、シートバックサイドブラケット24の下端部24C(
図3参照)は、シート幅方向から見て、後述するリクライニング装置26のリクライナ40(
図3参照)よりも幅広に形成されている。
【0046】
〔リクライニング機構20の全体構成)
リクライニング機構20は、リクライニング装置26と、リクライニング装置26によってシートバックサイドブラケット24に連結されているリクライナブラケット22と、を備えている。
【0047】
(リクライナブラケット22)
リクライナブラケット22は、上部においてリクライニング装置26に接続され、下部において図示しないスライド機構のレールブラケットに接続されている。
【0048】
図示しないスライド機構は、フロアに固定されたロアレールと、ロアレールに対して摺動可能に係合されたアッパレールと、アッパレールに固定されたレールブラケットと、を含んで構成されている。シートクッション14(
図1参照)の骨格を構成するシートクッションフレーム(図示省略)は、レールブラケットに固定されている。車両用シート12は、このスライド機構によって前後方向にスライド可能に構成されている。
【0049】
リクライナブラケット22の下部には、それぞれ厚さ方向に貫通する前後一対の貫通孔22Aが形成されている。リクライナブラケット22は、前後一対の貫通孔22Aにそれぞれ挿通されたボルト(図示省略)によって、図示しないスライド機構のレールブラケットに固定されている。なお、車両用シート12は、スライド機構を備えていなくてもよい。例えば、リクライナブラケット22が直接図示しないシートクッションフレームに固定されていてもよい。また、車両用シート12は、リクライナブラケット22を備えていなくてもよい。例えば、リクライニング装置26が直接図示しないシートクッションフレームに取り付けられていてもよい。
【0050】
(リクライニング装置26)
リクライニング装置26は、シートバックサイドブラケット24の下端部24C(
図3参照)と、リクライナブラケット22の上部とをシート幅方向に連結している。
【0051】
リクライニング装置26は、シートバックサイドブラケット24のシート幅方向外側から取り付けられ、シートバック16をシート前方側へ付勢しかつシートバック16を所定の角度でロック可能に構成されたリクライナ40と、リクライナ40によるロック状態を解除可能に構成された解除レバー42と、を備えている。
【0052】
リクライナ40は、図示しないロック機構と、ロック機構の中心部に挿通された軸部44と、シートバックサイドブラケット24を前方側へ付勢する渦巻きばね46(
図3参照)と、を含んで構成されている。図示しないロック機構は、シート幅方向においてリクライナブラケット22とシートバックサイドブラケット24との間に設けられている。
【0053】
軸部44は、シート幅方向に延設され、リクライナブラケット22の上部と、図示しないロック機構の中心部と、シートバックサイドブラケット24の下端部24C(
図3参照)とにそれぞれ挿通されている。車両用シート12は、シートバックサイドブラケット24がリクライナ40の軸部44を回動中心として回動されることで、シートバック16のシートクッション14(
図1参照)に対する傾倒角度が調整される構成とされている。
【0054】
詳細な説明は省略するが、図示しないロック機構は、一例として、ラチェット、カム、ロックスプリング、ロック部等を備えており、円盤状に構成されている。リクライナ40は、カムの軸心部に挿通された軸部44が、解除レバー42の操作によって、ロックスプリングの付勢力に反する方向に回動操作されることにより、ロック部がラチェットとの噛合状態から外されてロック状態が解除される構成とされている。つまり、リクライナ40は、軸部44が回転することにより、ロック状態とアンロック状態が切り替わるように構成されている。
【0055】
図3に示されるように、リクライナ40の渦巻きばね46は、リクライナブラケット22のシート幅方向外側に設けられている。渦巻きばね46における半径方向内側の一端部46Aは、リクライナブラケット22に固定された略L字板状のシートクッション側掛止部48に掛け止められている。一方、渦巻きばね46における半径方向外側の他端部46Bは、シートバックサイドブラケット24に固定された略L字板状のシートバック側掛止部52に掛けられている。これにより、シートバックサイドブラケット24はシート前方側へ付勢されている。
【0056】
(リクライナアウタカバー60)
ここで、
図2に示されるように、リクライナ40及びリクライナブラケット22のシート幅方向外側には、樹脂製のリクライナアウタカバー60が装着されている。換言すると、リクライナアウタカバー60は、リクライナ40及びリクライナブラケット22をシート幅方向外側から覆い隠す構成とされている。リクライナアウタカバー60は、一例として、リクライナアウタカバー60及びリクライナブラケット22にそれぞれ形成された貫通孔(図示省略)にピン50が挿通されることで、リクライナブラケット22に固定されている。また、リクライナアウタカバー60には、シート前後方向に貫通するスリット(図示省略)が形成されている。スリットには、解除レバー42のシャフト(図示省略)が挿通されている。これにより、スリット内で解除レバー42のシャフトが揺動する構成とされている。
【0057】
(リクライナインナカバー10)
一方、シートバックサイドブラケット24の下端部24C(
図3参照)には、リクライナインナカバー10が下側かつシート幅方向内側から装着されている。リクライナインナカバー10は、有底の略筒状に形成されており、シートバックサイドブラケット24のシート幅方向内側に配置される内側カバー部102と、シートバックサイドブラケット24のシート幅方向外側に配置される外側カバー部104と、を備えている。
【0058】
内側カバー部102は、シートバックサイドブラケット24の下端部24C(
図3参照)とサイドパイプ34の下端部34Aとの間を通って配置されている。一方、外側カバー部104は、シートバックサイドブラケット24の下端部24Cとリクライナアウタカバー60が装着されたリクライナブラケット22との間において、リクライナ40(
図3参照)におけるロック機構(図示省略)の周方向に沿って環状に配置されている。これにより、リクライナインナカバー10は、シートバックサイドブラケット24と共に回動可能に構成されている。
【0059】
内側カバー部102には、厚さ方向(シート幅方向)に貫通された略円形の挿通部102Aが形成されている。挿通部102Aには、リクライナ40の軸部44が挿通されている。
【0060】
図3に示されるように、リクライナインナカバー10の外側カバー部104は、リクライナ40のロック機構(図示省略)が挿通される開口部105を備えている。
【0061】
リクライナインナカバー10の外側カバー部104において、上端部104Aは、リクライナ40よりもシートバック上方側、具体的には、シートバック側掛止部52に掛け止められた渦巻きばね46の他端部46Bよりも上方側に配置されている。外側カバー部104の上端部104Aは、一対の面ファスナ106によって着脱可能に構成されている。一対の面ファスナ106は、互いに結合された状態において外側カバー部104の上端部104Aの幅方向中央部に配置されている。
【0062】
以下、
図4~
図8を用いて、リクライナインナカバー10の構成について詳述する。なお、
図4~
図8に示されるリクライナインナカバー10の上下及び前後の方向は、シートバック上下方向の上下及びシートバック前後方向の前後とそれぞれ一致するものとして説明する。
【0063】
図4に示されるように、リクライナインナカバー10は、複数の表皮材としての第1カーペット材108、第2カーペット材110及び第3カーペット材112を含んで構成されている。第1カーペット材108、第2カーペット材110及び第3カーペット材112は、それぞれ例えばポリエステル繊維で構成されているが、これに限らず、他の合成繊維、天然繊維、合成皮革、天然皮革等で構成されていてもよい。
【0064】
内側カバー部102は、第1カーペット材108と、第1カーペット材108における外側カバー部104側の面に縫製された樹脂製のプレート114と、を含んで構成されている。プレート114は、一例として、ポリプロピレンで構成されている。内側カバー部102は、略矩形状の上部と、下側に膨出された略半円状の下部とを合わせた形状とされている。プレート114は、厚さ方向から見て第1カーペット材108よりも僅かに小さく形成されている。第1カーペット材108とプレート114とは、プレート114の縁部に沿って縫製されている。以下、第1カーペット材108とプレート114との縫製部を「第1縫製部116」と称す。なお、内側カバー部102の形状は、上記に限定されるものではなく、シートバックサイドブラケット24(
図2参照)及びリクライナ40(
図3参照)の形状に合わせて様々な形状を採用し得る。
【0065】
ここで、リクライナ40の軸部44(
図2参照)を挿通する挿通部102Aは、第1カーペット材108の挿通孔108A(
図6参照)とプレート114の挿通孔114Aとを含んで構成されている。
【0066】
また、第1カーペット材108の上端における幅方向の中央部には上側Vノッチ108Bが形成されている。さらに、第1カーペット材108の外縁部118の下端における幅方向の中央部には、下側Vノッチ108C(
図5参照)が形成されている。さらにまた、プレート114の上端における幅方向の中央部には上側Vノッチ114Bが形成され、下端における幅方向の中央部には下側Vノッチ114Cが形成されている。
【0067】
プレート114が第1カーペット材108に縫製される際には、第1カーペット材108の挿通孔108A(
図5参照)とプレート114の挿通孔114Aとの位置が合わせられ、第1カーペット材108の上側Vノッチ108Bとプレート114の上側Vノッチ114Bとの位置が合わせられ、第1カーペット材108の下側Vノッチ108C(
図5参照)とプレート114の下側Vノッチ114Cとの位置が合わせられて位置決めされる。
図8に示されるように、第1縫製部116は、プレート114の下側Vノッチ114Cよりも内側を通って縫製されている。
【0068】
また、
図4に示されるように、外側カバー部104は、帯状に形成された第2カーペット材110と、略矩形状に形成された第3カーペット材112と、を含んで構成されている。
【0069】
第2カーペット材110の外縁部120は、第1カーペット材108の外縁部118に沿って、略U字状に縫製されている。以下、第1カーペット材108と第2カーペット材110との縫製部を、「第2縫製部122」と称す。第2縫製部122は、プレート114の縁よりも外側を通って縫製されている。
【0070】
第1カーペット材108の外縁部118にはさらに、前端部における上下方向の中央部に前側Vノッチ118Aが形成され、後端部における上下方向の中央部に後側Vノッチ118Bが形成されている。一方、第2カーペット材110の外縁部120には、前端部における上下方向の中央部に前側Vノッチ120Aが形成され、後端部における上下方向の中央部に後側Vノッチ120Bが形成されている。また、第2カーペット材110の外縁部120において、下端の幅方向中央部には、下側Vノッチ120Cが形成されている。第1カーペット材108と第2カーペット材110とが縫製される際には、第1カーペット材108の前側Vノッチ118Aと第2カーペット材110の前側Vノッチ120Aとが合わせられ、第1カーペット材108の後側Vノッチ118Bと第2カーペット材110の後側Vノッチ120Bとが合わせられ、さらに第1カーペット材108の下側Vノッチ108Cと第2カーペット材110の下側Vノッチ120Cとが合わせられて縫製される。
【0071】
帯状の第2カーペット材110における後側の一端部110Aの内縁部124には、第3カーペット材112が縫製されている。以下、第2カーペット材110と第3カーペット材112との縫製部を、「第3縫製部126」と称す。
図6~
図8に示されるように、第2縫製部122及び第3縫製部126は、一対の面ファスナ106が結合された状態で、何れも縫い代がリクライナインナカバー10の外側から見えないように縫製されている。なお、リクライナインナカバー10は、第3縫製部126を備えずに、第2カーペット材110と第3カーペット材112とが一枚のカーペット材で構成されていてもよい。
【0072】
図4に示されるように、帯状の第2カーペット材110における前側の他端部110Bの裏面(内側カバー部102側の面)には、雌側面ファスナ106Aが縫製されている。一方、第3カーペット材112の表面(内側カバー部102と反対側の面)には、雄側面ファスナ106Bが縫製されている。一対の面ファスナ106は、雌側面ファスナ106Aと雄側面ファスナ106Bとで構成されている。なお、一対の面ファスナ106の雌雄は反対につけられていてもよい。また、一対の面ファスナ106は、第2カーペット材110の表面と、第3カーペット材112の裏面に設けられていてもよい。
【0073】
図7に示されるように、リクライナインナカバー10の上端部10Aは、内側カバー部102の上端部102Bと、外側カバー部104の上端部104Aと、を含んで構成されている。外側カバー部104の上端部104Aは、第2カーペット材110の一端部110A及び他端部110Bと、第3カーペット材112と、一対の面ファスナ106と、を備えている。
【0074】
リクライナインナカバー10は、一対の面ファスナ106が互いに結合されることで、上端部10Aが環状になる構成とされている。これにより、リクライナインナカバー10は、
図3に示されるように、開口部105においてリクライナ40のロック機構(図示省略)及びシートバック側掛止部52との干渉を避けつつ、筒状にシートバックサイドブラケット24の下端部24Cを包む構成とされている。
【0075】
図5に示されるように、外側カバー部104の開口部105は、一対の面ファスナ106(
図4参照)が互いに結合された状態で、台形と半円とが合わさった形状とされている。
図3に示されるように、開口部105の内周上縁105Aは、互いに結合された一対の面ファスナ106に向かうにつれて縮径されたテーパ状に形成されている。この開口部105の形状によって、外側カバー部104は、リクライナ40との干渉を避けつつ、リクライナ40の上方側で一対の面ファスナ106が結合される構成とされている。なお、外側カバー部104における開口部105の形状は上記に限定されるものではなく、リクライニング装置26の形状に合わせて種々の形状を採用し得る。
【0076】
(本実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0077】
図2に示されるように、本実施形態に係るリクライナインナカバー10及び車両用シート12によれば、リクライナ40を介してシートバックサイドブラケット24が回動されると、シートバックサイドブラケット24に装着されたリクライナインナカバー10がシートバックサイドブラケット24と共に回動される。よって、シートバックサイドブラケット24は、その傾倒角度に寄らず、常にリクライナインナカバー10に覆われている。したがって、リクライナインナカバー10を備えていない場合と比較して、例えばシートバックサイドブラケット24の溶接跡等の突起物が外部に露出することが防止されるため、車両用シート12の安全性及び意匠性を維持することができる。
【0078】
また、
図4に示されるように、リクライナインナカバー10は、何れもポリエステル繊維で構成された第1カーペット材108、第2カーペット材110及び第3カーペット材112を含んで構成されている。よって、一般的な樹脂製のリクライナインナカバーと比較して、種々の車両用シートに合わせて容易に製造することができる。
【0079】
さらに、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、
図2に示されるように、筒状に形成されたリクライナインナカバー10がシートバックサイドブラケット24に装着されると、シートバックサイドブラケット24のシート幅方向内側は、リクライナインナカバー10の内側カバー部102によって覆われる。これと同時に、シートバックサイドブラケット24のシート幅方向外側には、リクライナインナカバー10の外側カバー部104が配置される。
【0080】
ここで、外側カバー部104は、
図3に示されるように、リクライナ40のロック機構(図示省略)が挿通される開口部105を備えている。リクライナインナカバー10がシートバックサイドブラケット24に装着される際には、外側カバー部104は、リクライナ40のロック機構(図示省略)の周方向に沿って環状に配置される。よって、シートバックサイドブラケット24が回動すると、シートバックサイドブラケット24と共に、リクライナ40の周囲で環状の外側カバー部104が回動される。これにより、リクライナ40の半径方向に外側カバー部104がずれ動くことが抑制される。
【0081】
さらにまた、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、
図4に示されるように、内側カバー部102における外側カバー部104側の面には、樹脂製のプレート114が固定されている。このため、リクライナインナカバー10の形状が安定する。よって、
図3に示されるように筒状に形成されたリクライナインナカバー10が、シートバックサイドブラケット24に対して回る等してずれ動いてしまうことを抑制することができる。
【0082】
また、
図2に示されるようにリクライナインナカバー10がシートバックサイドブラケット24に装着された状態において、リクライナインナカバー10の内側カバー部102とシートバックサイドブラケット24との間に樹脂製のプレート114(
図4参照)が配置される。このため、樹脂製のプレート114を設けない場合と比較して、シートバックサイドブラケット24とリクライナインナカバー10との摩擦抵抗を低減することができる。よって、リクライナインナカバー10の引っ掛かり及び巻き込みを抑制することができる。
【0083】
さらに、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、
図3に示されるように、リクライナインナカバー10がシートバックサイドブラケット24に装着されると、外側カバー部104の上端部104Aは、リクライナ40よりもシートバック上方側に配置される。ここで、外側カバー部104の上端部104Aは、一対の面ファスナ106によって着脱される。よって、リクライナインナカバー10は、リクライナ40がシートバックサイドブラケット24に組み付けられた後でも、一対の面ファスナ106が外された状態でシートバックサイドブラケット24の下側から被せられ、その後一対の面ファスナ106がリクライナ40の上方側で結合されることで、容易に装着される。これにより、外側カバー部104はリクライナ40の周方向に沿って環状に配置される。
【0084】
さらにまた、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、外側カバー部104における開口部105は、リクライナ40に沿いつつ、その内周上縁105Aが互いに結合された一対の面ファスナ106に向かう方向に配置されている。一対の面ファスナ106は、互いに結合された状態において外側カバー部104の上端部104Aの幅方向中央部に位置するように設けられている。よって、一対の面ファスナ106を結合させたときの面ファスナ106の結合部分からシートバックサイドブラケット24の両端までの距離が略均等になる。そのため、一対の面ファスナ106を結合させたときに外側カバー部104に生じるテンションが、外側カバー部104に略均一に作用する。なお、「均一」には、完全な均一が含まれる他、本発明の効果が得られる範囲で、完全な均一ではないが同等のものも含まれる。
【0085】
また、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、
図2に示されるように、リクライナインナカバー10の内側カバー部102に形成された挿通部102Aに、リクライナ40の軸部44が挿通される。よって、リクライナインナカバー10がリクライナ40の軸部44と干渉することを防ぐことができる。
【0086】
また、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、
図4に示されるように、プレート114の上側Vノッチ114Bを第1カーペット材108の上側Vノッチ108Bの位置に合わせ、プレート114の下側Vノッチ114Cを第1カーペット材108の下側Vノッチ108C(
図5参照)の位置に合わせることにより、プレート114を正しい位置で容易に第1カーペット材108に取り付けることができる。
【0087】
さらに、本実施形態に係るリクライナインナカバー10によれば、第2カーペット材110の前側Vノッチ120Aを第1カーペット材108の前側Vノッチ118Aの位置に合わせ、第2カーペット材110の後側Vノッチ120Bを第1カーペット材108の後側Vノッチ118Bの位置に合わせ、第2カーペット材110の下側Vノッチ120Cを第1カーペット材108の下側Vノッチ108Cの位置に合わせることで、第2カーペット材110を正しい位置で容易に第1カーペット材108に取り付けることができる。なお、リクライナインナカバー10は、第2カーペット材110の位置決めのための前側Vノッチ118A、前側Vノッチ120A、後側Vノッチ118B、後側Vノッチ120B、下側Vノッチ108C及び下側Vノッチ120Cを備えていなくてもよい。
【0088】
〔上記実施形態の補足説明〕
上記実施形態では、
図1に示されるように、車両用シート12は、シート右側にリクライニング機構20を備えているものとして説明したが、これに限らず、シート左側にリクライニング機構を備えていてもよい。また、車両用シートは、シート幅方向両側にリクライニング装置を備えていてもよい。この場合、リクライナインナカバーの挿通部には、左右のリクライニング装置を連結するリクライニングロッドが挿通される。上記実施形態では、リクライナインナカバー10の挿通部102Aは円形状であるものとして説明したがこれに限らない。例えば、上記のように車両用シートがシート幅方向両側にリクライニング装置を備えている場合、リクライニングロッドが挿通される挿通部は、スリット状に形成されていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、リクライナインナカバー10は、シートバックサイドブラケット24の下端部24Cに装着されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、車両用シートは、シートバックサイドブラケットを備えておらず、リクライニング装置がシートバックの骨格を構成するシートバックフレームのサイドフレームの下端部に直接取り付けられていてもよく、この場合、リクライナインナカバーは、サイドフレームの下端部に装着される。
【0090】
さらに、上記実施形態では、
図4に示されるように、内側カバー部102における外側カバー部104側の面にプレート114が固定されているものとして説明したが、これに限らず、例えばリクライナインナカバーは、プレートを備えていなくてもよい。
【0091】
さらにまた、上記実施形態では、
図3に示されるように、外側カバー部104の上端部104Aは、一対の面ファスナ106によって、着脱可能に構成されているものとして説明したが、上端部は、着脱可能に構成されていなくてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、一対の面ファスナ106は、互いに結合された状態において外側カバー部104の上端部104Aの幅方向中央部に配置されており、外側カバー部104における開口部105の内周上縁105Aは、互いに結合された一対の面ファスナ106に向かうにつれて縮径されたテーパ状に形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、外側カバー部における開口部の内周上縁は、前後一対の辺が平行に形成されていてもよい。
【0093】
さらに、上記実施形態では、
図2に示されるように、内側カバー部102には、リクライナ40の軸部44が挿通される挿通部102Aが形成されているものとして説明したが、これに限らず、内側カバー部は、挿通部を備えていなくてもよい。
【0094】
さらにまた、上記実施形態では、
図5に示されるように、第1カーペット材108には上側Vノッチ108B及び下側Vノッチ108Cが形成され、プレート114には上側Vノッチ114B及び下側Vノッチ114Cが形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、ノッチはU字状に形成されていてもよい。また、第1カーペット材及びプレートは、位置決めのノッチを備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 リクライナインナカバー
12 車両用シート
14 シートクッション
16 シートバック
20 リクライニング機構
24 シートバックサイドブラケット(シートバックサイドフレーム)
24C シートバックサイドフレームの下端部
34 サイドパイプ(シートバックサイドフレーム)
40 リクライナ
44 軸部
102 内側カバー部
102A 挿通部
104 外側カバー部
104A 外側カバー部の上端部
105 開口部
105A 開口部の内周上縁
106 一対の面ファスナ
108 第1カーペット材(表皮材)
108B 第1カーペット材の上側Vノッチ(ノッチ)
108C 第1カーペット材の下側Vノッチ(ノッチ)
110 第2カーペット材(表皮材)
112 第3カーペット材(表皮材)
114 プレート
114B プレートの上側Vノッチ(ノッチ)
114C プレートの下側Vノッチ(ノッチ)