(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030350
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】焼成食品の製造方法および焼成食品の製造装置
(51)【国際特許分類】
A21D 8/06 20060101AFI20240229BHJP
A23L 5/30 20160101ALI20240229BHJP
A21B 2/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A21D8/06
A23L5/30
A21B2/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133187
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】502245118
【氏名又は名称】学校法人国士舘
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公俊
【テーマコード(参考)】
4B032
4B035
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DB06
4B032DB21
4B032DP45
4B032DP56
4B032DP80
4B035LC16
4B035LE05
4B035LP02
4B035LP43
4B035LP59
4B035LT01
(57)【要約】
【課題】食材表面の変色を抑制しつつ、食材内の水分が適切に蒸発した焼成食品を製造する。
【解決手段】焼成食品を製造する方法であって、容器G内に載置された焼成食品の食材Pに、当該容器Gの外側から赤外線を照射する工程を含み、前記容器Gは、前記赤外線を透過する透明なガラス材料で形成され、前記工程は、前記容器Gを冷却した状態で行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成食品を製造する方法であって、
容器内に載置された焼成食品の食材に、当該容器の外側から赤外線を照射する工程を含み、
前記容器は、前記赤外線を透過する透明なガラス材料で形成され、
前記工程は、前記容器を冷却した状態で行う
製造方法。
【請求項2】
前記冷却においては、前記食材の表面の温度がアミノ-カルボニル反応が活発になる温度を上回らないように前記容器を冷却する
請求項1の製造方法。
【請求項3】
前記冷却においては、前記容器を送風により冷却する
請求項1の製造方法。
【請求項4】
前記焼成食品は、パンであり、
前記食材は、生地である
請求項1の製造方法。
【請求項5】
前記工程において、前記赤外線の照射を制御することで、前記食材の内部の水分量を調整する
請求項1の製造方法。
【請求項6】
前記工程の後に、前記赤外線により前記焼成食品の表面に模様を刻印する工程を含む
請求項1の製造方法。
【請求項7】
焼成食品を製造する装置であって、
赤外線を透過する透明なガラス材料で形成された容器内に載置された焼成食品の食材に、当該容器の外側から赤外線を照射する赤外線ヒータと、
前記赤外線ヒータによる赤外線の照射に並行して、前記容器を冷却可能である冷却器と
を具備する製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成食品を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パンなどの焼成食品を製造する各種の技術が提案されている。ここで、食材に含まれるたんぱく質やアミノ酸と還元糖(例えばブドウ糖や果糖)とは、高温に加熱する過程において160℃付近でアミノ-カルボニル反応(メイラード反応)が活発になる。そして、アミノ-カルボニル反応により褐色物質(メラノイジン)が生成されることで、食材が褐色に変色する。
【0003】
通常のパンの製造方法(例えば特許文献1)においては、発酵させた生地を高温(180℃~250℃程度)で焼成することで、内部の炭酸ガス、アルコールおよび水の蒸発が促進され、内部空孔を形成しながら全体の体積を増してふんわりとした状態にする。一方で、生地の表面は、160℃以上の状態でアミノ-カルボニル反応が発生し、褐色に変色する。表面の褐色に変色した部分は、いわゆるクラスト部(食パンでいう耳)である。生地は、一般的なオーブンを想定すると、熱源(ヒータ)により加熱された空気の対流や、生地が載置される容器(例えば金属製容器)からの伝導により加熱される。
【0004】
クラスト部は、硬い食感や香ばしい香りがすることから、パンのおいしさに寄与する場合もある。一方で、食パンをサンドウィッチとして使用する場合には、クラスト部は、硬い食感と見た目の色づきが理由で、除去されることがある。そこで、クラスト部の除去が不要である表面が白いパン(クラスト部の形成が抑制されたパン)の製造が所望されている。
【0005】
ここで、特許文献1の製造方法において、表面が白いパンを製造しようとすると、生地の表面の温度がアミノ-カルボニル反応が活発になる温度を下回った状態で焼成する必要がある。すなわち、生地の焼成温度をアミノ-カルボニル反応が活発になる温度(例えば160℃)以下に設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、焼成温度をアミノ-カルボニル反応が活発になる温度以下に設定すると、上述した対流や伝導による生地への入熱量が必然的に低下する。そうすると、生地内の水分の蒸発が不十分になり、パンがベタついてしまう。一方で、焼成温度を下げた状態で生地の焼成時間を長くすると、生地内の水分が抜けすぎてパンの表面が硬くなってしまう。
【0008】
以上の説明から理解される通り、クラスト部の形成を抑制しつつ、生地内の水分量を適切に蒸発させることは困難であった。なお、以上の問題は、パン以外の焼成食品を製造する場合においても同様に発生する。以上の事情を考慮して、本発明では、食材表面の変色を抑制しつつ、食材内の水分が適切に蒸発した焼成食品を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る製造方法は、焼成食品を製造する方法であって、容器内に載置された焼成食品の食材に、当該容器の外側から赤外線を照射する工程を含み、前記容器は、前記赤外線を透過する透明なガラス材料で形成され、前記工程は、前記容器を冷却した状態で行う。
【0010】
本発明に係る製造装置は、焼成食品を製造する装置であって、赤外線を透過する透明なガラス材料で形成された容器内に載置された焼成食品の食材に、当該容器の外側から赤外線を照射する赤外線ヒータと、前記赤外線ヒータによる赤外線の照射に並行して、前記容器を冷却可能である冷却器とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、赤外線による加熱に並行して、食材表面の熱が容器を介して放熱される。したがって、食材表面の温度を極端に上昇させずに(アミノ-カルボニル反応が発生する温度を上回らないように)、食材内部の温度を食材表面の温度以上に維持できる。すなわち、食材内の水分を適度に蒸発させる熱量を短時間で投入することが可能になる。ひいては、食材表面の変色を抑制しつつ、食材内の水分が適切に蒸発した焼成食品を製造することができる。本発明の製造装置においても、製造方法と同様の効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る製造方法を模式的に表す模式図である。
【
図2】市販のホームベーカリーを用いて製造したパンの写真である。
【
図3】本実施形態に係る製造方法により製造したパンの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の製造方法は、焼成食品の製造方法である。焼成食品は、典型的には、パン、クッキー、パイ、スポンジケーキおよびタルトなどである。なお、焼成食品は、焼き魚や焼き肉などであってもよい。焼成食品は、以上の例示には限定されず、加熱による焼成で製造される食品であれば任意である。
【0014】
ここで、焼成食品を製造するにあたって、食材を加熱する工程において、160℃付近でアミノ-カルボニル反応(メイラード反応)による褐色物質(メラノイジン)への変化が活発になる。そして、褐色物質の生成により、食材が褐色に変色する。なお、食材は、例えば、焼成食品がパン、クッキー、パイ、スポンジケーキおよびタルトである場合には生地であり、焼成食品が焼き魚や焼き肉である場合には魚や肉である。
【0015】
本実施形態の製造方法では、食材の表面におけるアミノ-カルボニル反応による変色を抑制する。以下の説明では、パンを焼成食品として製造する場合を例示する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る製造方法を模式的に表す模式図である。
図1に例示される通り、本実施形態に係る製造方法は、生地P(食材の例示)に赤外線を照射することで加熱(すなわち輻射加熱)する。具体的には、製造方法は、赤外線を照射する赤外線ヒータ10と、冷却器20とを用いる。
【0017】
赤外線ヒータ10は、赤外線(波長780nm以上10μm以下)を照射する照射器具である。例えば、発熱体にハロゲン電球を用いたハロゲンヒータや、発熱体に炭素化合物を用いたカーボンヒータ等が赤外線ヒータ10として利用される。
【0018】
食材を載置するための容器Gの形状は、生地Pを載置することが可能であれば任意である。
【0019】
具体的には、容器Gは、赤外線ヒータ10が照射する赤外線を透過する透明なガラス材料で形成される。すなわち、赤外線ヒータ10からの赤外線に対する吸収率が十分に低いガラス材料で容器Gが形成される。ここで、透明なガラス材料とは、例えば可視光線(波長範囲360~780nm)を70%以上透過し、好ましくは90%以上透過する材料である。
【0020】
具体的には、容器Gに使用されるガラス材料は、赤外線ヒータ10が照射する赤外線の波長に対して透過率が20%以上であり、好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。
【0021】
波長が0.8~3.0μmの範囲内にある赤外線を照射する赤外線ヒータ10(例えば0.9~3.0μmの赤外線を照射するハロゲンヒータ)を使用する場合には、例えば、当該赤外線を透過するソーダガラス、硼珪酸ガラス、石英およびサファイアの1種以上を主成分(全体の90質量%以上)とするガラス材料が好適に使用される。食材に十分に赤外線を照射する観点からは、これらの中でもサファイアが好ましく、費用的な面からは硼珪酸ガラスが好ましい。
【0022】
波長が2~6μmの範囲内にある赤外線を照射する赤外線ヒータ10(例えば3~5μmの赤外線を照射するカーボンヒータ)を使用する場合には、例えば、当該赤外線を透過するサファイア、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムおよび酸化マグネシウムの1種以上を主成分(全体の90質量%以上)とするガラス材料が好適に使用される。食材に十分に赤外線を照射する観点からは、これらの中でもフッ化カルシウムが好ましい。
【0023】
なお、容器Gに使用されるガラス材料は、以上の例示に限定されない。ヒータの赤外線を透過する透明であればガラス材料の種類は任意である。
【0024】
図1に例示される通り、本実施形態の製造方法は、容器G内に載置された焼成食品の生地P(食材の例示)に、当該容器Gの外側から赤外線を照射する工程(以下「焼成工程」という)を含む。赤外線ヒータ10から出射された赤外線は、容器Gを透過して生地Pに照射される。そして、赤外線は、生地Pに吸収されて熱に変化し、生地Pの温度を上昇させる。すなわち、生地Pが加熱される。生地Pが加熱されて内部の水分が蒸発することで、パン(「焼成食品」の例示)が製造される。なお、赤外線ヒータ10による加熱強度は、食材の種類に応じて異なるが、既存の一般的な焼成食品の製造方法と同様の加熱強度である。
【0025】
図1では、容器Gの外側における下方から赤外線を照射する構成を例示する。ただし、側壁部を含む容器Gを使用する場合には、容器Gの外側における側壁部側から赤外線を照射してもよい。すなわち、赤外線が容器Gを透過して食材に照射されれば、赤外線を照射する方向は任意である。透明なガラス材料で形成された容器Gは、容器としての機能に加えて、生地Pで発生した余分な熱を放散し、過熱による焦げ付きを抑える役割を担う。
【0026】
そして、本実施形態の焼成工程は、容器Gを冷却した状態で行う。
図1に例示される通り、容器Gの冷却は、冷却器20により行う。冷却器20は、容器Gを冷却可能な冷却機器である。
図1では、容器Gに対して送風可能な送風機を冷却器20として例示する。すなわち、空冷により容器Gを冷却する。ただし、冷却器20の種類は送風には限定されない。例えば、熱電冷却が可能なペルチェ素子を用いた冷却器や冷却水(クーラント液)を用いた冷却器を使用してもよい。ただし、赤外線の照射を阻害せずに、容器Gを冷却する観点からは、容器Gに直接的に接触せずに空冷可能な送風機を用いることが好ましい。
【0027】
容器Gは、生地表面の温度がアミノ-カルボニル反応の発生が活発になる温度(以下「発生温度」という)を上回らないように冷却される。すなわち、生地表面の温度が発生温度を下回った状態を維持しつつ、生地P全体を加熱する。発生温度は、例えば140~160℃程度である。
【0028】
例えば、生地Pの表面の温度を接触または非接触で検知する温度センサが冷却器20の制御に用いられる。温度センサが検出した温度と、所定の閾値との比較により、冷却器20が制御される。所定の閾値は、発生温度に応じて設定される。例えば、発生温度と同程度の値や発生温度よりも少し低い値などが閾値として設定される。温度センサが検出する生地表面の温度が閾値を上回った場合には、生地表面の温度が閾値を下回るように冷却器20による冷却(送風)を強くする。なお、生地表面の温度が下がりすぎた場合(閾値よりも大きく低下した場合)には、生地Pが適切に焼成できなくなるため、冷却器20による冷却を弱くしてもよい。ただし、表面温度を直接的に検出する以外の方法で冷却器20を制御してもよい。例えば、容器Gの温度と生地表面の温度とに相関がある場合には、容器Gの温度を検出することで、冷却器20を制御してもよい。
【0029】
冷却された容器Gと接触する生地P(特に生地表面)は、容器Gを介して放熱される。一方で、赤外線ヒータ10から出射された赤外線は、冷却された容器Gの影響を受けることなく、生地Pに照射される。すなわち、生地Pの焼成に必要な入熱量は、維持することができる。以上の通り、生地表面の温度が発生温度を下回った状態で、生地内部の温度を生地表面の温度以上に維持できる。その結果、生地表面におけるアミノ-カルボニル反応の発生を抑制しつつ、生地P内の水分を適切に蒸発させることができる。
【0030】
以上の説明から理解される通り、本実施形態に係る製造方法では、容器の冷却(ひいては生地表面の冷却)と、生地Pの加熱とが並行して行われる。
【0031】
ここで、金属製容器に載置した生地をオーブン等の加熱機器で焼成することでパンを製造する一般的なパンの製造方法(以下「比較例」という)において、生地表面をアミノ-カルボニル反応が起こらない温度に維持した状態で焼成しようとすると、生地の焼成温度(生地への入熱量)を下げざるを得ない。すなわち、焼成温度をアミノ-カルボニル反応の発生温度以下に設定する必要がある。しかし、焼成温度を発生温度以下に設定すると、炉内の空気の対流や金属製容器からの伝導による生地への入熱量が低下する。そうすると、生地内の水分の蒸発が不十分になり、パンがベタつてしまう。一方で、焼成時間を下げた状態で生地の焼成時間を長くすると、生地内の水分が抜けすぎてパンの表面が硬くなってしまう。以上の説明から理解される通り、クラスト部の形成を抑制しつつ、生地内の水分量を適切に蒸発させることは困難であった。
【0032】
それに対して、本実施形態に係る製造方法によれば、生地の熱が冷却された容器を介して放熱され、赤外線は当該容器の影響をうけることなく生地に照射される。したがって、赤外線の照射による生地への入熱量を低下させることなく、生地表面の温度を極端に上昇させずに(発生温度を上回らないように)、生地内部の温度を生地表面の温度以上に維持できる。すなわち、生地内の水分を適度に蒸発させる熱量を短時間で投入することが可能になる。その結果、生地表面の変色を抑制しつつ、生地内の水分が適切に蒸発したパンを製造することができる。ひいては、食感が良好である、表面が白いパンを製造することができる。
【0033】
また、比較例において金属製容器を冷却器により冷却しようとすると、金属製容器からの入熱量が大きく減少することになり、生地が十分に加熱できない可能性がある。それに対して、本実施形態に係る製造方法では、容器からの伝熱を利用した加熱を採用していないため、容器の冷却により生地への入熱量の低下が発生することもない。
【0034】
なお、本実施形態では、パンを焼成食品として例示したが、上述したパン以外の焼成食品においても同様の効果が実現できる。
【0035】
本発明は、焼成食品を製造する製造装置であって、容器内に載置された焼成食品の食材に、当該容器の外側から赤外線を照射する赤外線ヒータと、赤外線ヒータによる赤外線の照射に並行して、容器を冷却可能である冷却器とを具備する製造装置としても観念できる。
【0036】
図2は、市販されているホームベーカリー(アイリスオーヤマ社製:IBM-020)の写真と、当該ホームベーカリーにより製造したパンの写真である。
図2から把握される通り、アミノ-カルボニル反応が発生して、表面が褐色に変色したパンが製造された。
【0037】
図3は、本実施形態に係る製造方法で使用した製造装置と、当該製造装置で製造したパンの写真である。
図3では、冷却器として送風機を使用して、赤外線ヒータとして2個のハロゲンヒータ(DATOU BOSS製:DT-002)を使用した。パンの生地は、
図2の場合と同じものを使用した。
図3から把握される通り、アミノ-カルボニル反応が抑制され、表面の変色が抑制されたパンが製造されたことが確認できた。
図3で製造したパンは、水分量が適切であり、べたつきもなくさっくりとした良好な食感であった。
【0038】
<変形例>
以上に例示した形態は多様に変形され得る。前述の形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0039】
(1)
図1では、平板状の容器Gを例示したが、例えば底部と側壁部とを含む容器Gや生地Pの上部を覆う蓋部を含む容器Gであってもよい。容器Gの形状に関わらず、容器Gの外側から当該容器Gを透過させて赤外線を生地Pに照射する。したがって、底部と側壁部とを含む容器Gの場合には、当該底部側および当該側壁部側から赤外線を照射してもよいし、蓋部を含む容器Gの場合には、蓋部側(上方)から赤外線を照射してもよい。
【0040】
(2)焼成工程において、赤外線の照射を制御することで、生地Pの内部の水分量を調整する構成も採用される。例えば、赤外線による加熱時間と生地内部からの蒸発水分量との関係とを事前に把握しておき、生地において所望する水分量に応じて、赤外線による加熱時間(照射時間)とを設定する。また、例えば水分センサで生地内の水分量を随時検出して、所望する水分量になるように、赤外線の照射を制御してもよい。以上の構成によれば、所望する水分量に調整したパンを製造できるという利点がある。
【0041】
(3)焼成工程の後に、赤外線の照射により、パンの表面に模様(例えば図柄や文字)を刻印する加工工程を含んでもよい。例えば、所望する模様に対応する形状の貫通孔が開いた型(赤外線を透過しない材料で形成された型)で、パンの表面または容器Gの表面を覆って赤外線を照射する。以上の構成によれば、パンを製造するための熱源を、模様を刻印するための熱源にも併用できるという利点がある。
【符号の説明】
【0042】
10:赤外線ヒータ
20:冷却器
P :生地
G :容器