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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030351
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】クーラント装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240229BHJP
   B01D 29/64 20060101ALI20240229BHJP
   B01D 33/29 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B23Q11/00 S
B23Q11/00 U
B01D29/38 550C
B01D33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133188
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】522336100
【氏名又は名称】山▲崎▼ 實
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 實
【テーマコード(参考)】
3C011
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB29
3C011BB34
4D116AA01
4D116BB12
4D116BC62
4D116BC66
4D116BC70
4D116DD01
4D116KK01
4D116QA05C
4D116QA05D
4D116QA05F
4D116RR01
4D116RR21
4D116RR22
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】スクリーンの孔の目詰まりを防止し、ろ過面積を小さくすることができるクーラント装置を提供する。
【解決手段】クーラント装置10は、投入口32から排出口36までの間に、コンベアケース30を上下段に分割するように配設され、複数の孔38を有するスクリーン37と、スクレーパ57を、投入口32から排出口36までの間を循環移動させるコンベア駆動機構50と、を有する。コンベア駆動機構50は、一対の無端チェーン56と、一対の無端チェーン56間に架け渡されるスクレーパ57と、一対の前記無端チェーン56を回動させる駆動装置としてのモータ51と、を備え、スクレーパ57が、スクリーン37の上下面を掻き取り可能とされている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械からの異物を含むクーラントを、投入口からコンベアケース内に導入し、前記コンベアケース内を循環走行する複数のスクレーパにより異物を引き上げ、前記コンベアケース内の前記クーラントの液面より高い位置に設けられた排出口から排出する、クーラント装置であって、
前記投入口から前記排出口までの間に、前記コンベアケースを上下段に分割するように配設され、複数の孔を有するスクリーンと、
前記スクレーパを、前記投入口から前記排出口までの間を循環移動させるコンベア駆動機構と、
を有し、
前記コンベア駆動機構は、一対の無端チェーンと、一対の前記無端チェーン間に架け渡されるスクレーパと、一対の前記無端チェーンを回動させる駆動装置と、を備え、
前記スクレーパが、前記スクリーンの上下面を掻き取り可能とされていることを特徴とするクーラント装置。
【請求項2】
前記スクレーパは、外形形状が、送り方向前側に配される垂直面部と、前記垂直面部より送り方向後側に配される円弧面部と、を含む、半円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のクーラント装置。
【請求項3】
前記スクリーンの前記孔の径が、前記スクリーンの板厚より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載のクーラント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラントから金属等の異物を分離して、クーラントを再利用可能とするクーラント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクーラント装置として、特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、工作機械からの異物を含むクーラントをコンベアケースの投入口からコンベアケース内に導入し、当該コンベアケース内を循環走行する多数のスクレーパにより異物を引き上げ、コンベアケース内のクーラントの液面より高い位置に設けられた排出口から排出する構成とされていた。そして、コンベアケースを上下段に分割するように投入口から排出口までの間に設けられた多数の孔を有するスクリーンと、スクレーパがスクリーン上を掻き取りながら投入口から排出口までの間を移動させるコンベア駆動機構と、を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-173021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のクーラント装置では、スクレーパでスクリーンの上面しか掻き取らないので、スクリーンの孔が目詰まりしやすく、また、ろ過面積を大きくする必要があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、スクリーンの孔の目詰まりを防止し、ろ過面積を小さくすることができるクーラント装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、工作機械からの異物を含むクーラントを、投入口からコンベアケース内に導入し、前記コンベアケース内を循環走行する複数のスクレーパにより異物を引き上げ、前記コンベアケース内の前記クーラントの液面より高い位置に設けられた排出口から排出する、クーラント装置であって、
前記投入口から前記排出口までの間に、前記コンベアケースを上下段に分割するように配設され、複数の孔を有するスクリーンと、
前記スクレーパを、前記投入口から前記排出口までの間を循環移動させるコンベア駆動機構と、
を有し、
前記コンベア駆動機構は、一対の無端チェーンと、一対の前記無端チェーン間に架け渡されるスクレーパと、一対の前記無端チェーンを回動させる駆動装置と、を備え、
前記スクレーパが、前記スクリーンの上下面を掻き取り可能とされている。
【0007】
これによれば、スクレーパが、スクリーンの上下面を掻き取ることで、スクリーンの孔の目詰まりを防止し、ろ過面積を小さくすることができる。
【0008】
また、前記スクレーパは、外形形状が、送り方向前側に配される垂直面部と、前記垂直面部より送り方向後側に配される円弧面部と、を含む、半円柱状に形成されている。
【0009】
これによれば、スクレーパを薄板状ではなく、垂直面部と円弧面部とで構成される角部が厚みを有する、半円柱状の外形形状とすることで、切り屑等で構成される異物を引っ掛かりにくくして、異物がリターンすることにより発生する不具合を防止することができる。また、コンベアケースが屈曲する構成としても、円弧面部により、コンベアケースと干渉することを防止できる。
【0010】
また、前記スクリーンの前記孔の径が、前記スクリーンの板厚より大きく形成されている。
【0011】
これによれば、孔径とほぼ同じ大きさの異物が孔に挟まったとき、異物がスクリーンからはみ出るため、スクレーパにより、スクリーンの上下面のいずれでも掻き落とすことができるので、目詰まりが発生し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のクーラント装置の一部破断斜視図である。
図2】同実施形態の平面図である。
図3】同実施形態の(A)は図2のIII-III線矢視断面図、(B)は図3(A)のIIIB-IIIB線矢視断面図である。
図4】スクレーパとスクリーンの部分拡大説明図である。
図5】同実施形態の後部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によるクーラント装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、各図面の矢印は、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0014】
クーラント装置10は、概略的には、図1~5に示すように、チップコンベア20と、クーラントタンク90と、を備え、工作機械からの異物を含むクーラントを、投入口32からコンベアケース30内に導入し、コンベアケース30内を循環走行する複数のスクレーパ57により異物を引き上げ、コンベアケース30内のクーラントの液面より高い位置に設けられた排出口36から排出するものである。なお、図1、2では、スクリーン37、無端チェーン56、スクレーパ57等の内部構造物は、省略している。また、図3では、掻き落とし機構70を省略している。
【0015】
チップコンベア20は、コンベアケース30と、コンベア駆動機構50と、掻き落とし機構70と、を備えている。
【0016】
コンベアケース30は、金属製で、前後方向に延びる水平部31と、水平部31より後上方にのびる傾斜部35と、を有して箱状に形成されている。
【0017】
水平部31の前側上部には、工作機械から排出された、異物を含むクーラントが流入可能な投入口32が設けられている。
【0018】
水平部31の側面の後寄り下部には、左右方向において貫通する貫通孔として形成された流出口33が配設されている。流出口33は、ろ過されたクーラントをクーラントタンク90内に送り可能とするものである。
【0019】
傾斜部35の後端部には、下側に開口する排出口36が設けられている。
【0020】
チップコンベア20内には、図3~5に示すように、投入口32から排出口36までの間に、コンベアケース30を上下段に分割するようにスクリーン37が配設されている。
【0021】
スクリーン37は、鋼板で形成され、後述する従動軸54を取り囲むように配され、後述する駆動軸52の近傍まで配されている。スクリーン37は、コンベアケース30の側壁内面において固定されている。スクリーン37の水平部31の前後方向の中央部から後述する従動軸54の後側までの領域に、上下方向において貫通する複数の孔38が配設されている。
【0022】
本実施形態では、図4に参照するように、スクリーン37に形成された孔38の径rが、スクリーン37の板厚tより大きく形成されている。
【0023】
コンベア駆動機構50は、駆動装置としてのモータ51と、駆動軸52と、従動軸54と、一対の無端チェーン56と、スクレーパ57と、を備えている。
【0024】
モータ51は、傾斜部35の左側の側壁外側に配設され、図示しない回転軸が駆動軸52の左端部と連結されている。
【0025】
駆動軸52は、左端部が、傾斜部35の左側の側壁に、図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられ、右端部が、傾斜部35の右側の側壁に、図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。
【0026】
駆動軸52には、一対の後スプロケット53が、左右方向において平行となるように取り付けられている。
【0027】
従動軸54は、左端部が、傾斜部35の左側の側壁に、図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられ、右端部が、傾斜部35の右側の側壁に、図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。
【0028】
従動軸54には、一対の前スプロケット55が、左右方向において平行となるように取り付けられている。
【0029】
無端チェーン56は、後スプロケット53と、前スプロケット55と、を架け渡すように配されている。一対の無端チェーン56は、左右方向において平行となるように取り付けられている。
【0030】
スクレーパ57は、送り方向前側に配される矩形状の垂直面部58と、垂直面部58より送り方向後側に配され、断面円弧状の円弧面部59と、左右の端部を覆う半円板状の側面部60と、を有して、内部が中空とされ、外形形状が、半円柱状に形成されている。
【0031】
スクレーパ57は、一対の無端チェーン56間に架け渡されるように取り付けられている。
【0032】
詳説すれば、無端チェーン56を構成するプレート56aから延設される、板状のアタッチメント56bと、スクレーパ57の側面部60を対向させて配し、二か所でボルトナット締めして取り付けられている。
【0033】
スクレーパ57は、スクリーン37の上下面を掻き取り可能とされている。
【0034】
以上のことより、コンベア駆動機構50は、スクレーパ57を、投入口32から排出口36までの間を循環移動させることとなる。
【0035】
駆動軸52は、図示しない既存の張力調整機構により、移動可能とされている。
駆動軸52の外側には、円筒状のカバー部材61が配設されカバー部材61から前斜め下方に向かって矩形平板状のスライド板62が延設されている。
【0036】
スライド板62は、スクリーン37と、長尺な矩形柱状に形成され、傾斜部35の左右側の側壁に取り付けられたガイド部材63と、に挟まれて、駆動軸52の移動に伴ってスライド可能とされている。
【0037】
掻き落とし機構70は、内書き落とし部71と、外掻き落とし部72と、を有している。
【0038】
内掻き落とし部71は、弾性変形可能な矩形平板状で構成され、カバー部材61から後斜め下方に延設されている。内掻き落とし部71は、スクレーパ57が回転するときに、内側となる部分の異物を掻き落とし可能とされている。
【0039】
外掻き落とし部72は、当接部73と、錘部74と、を有して、左右方向からみて、くの字状に屈曲した形状とされている。
【0040】
当接部73は、矩形平板状に形成され、錘部74は、矩形平板状に形成され下端部に錘が取り付けられている。
【0041】
当接部73と錘部74との境界部分に左右方向に延びる軸部75が配設され、軸部75において、傾斜部35の左右の側面部に対して、左右方向を軸として回動可能に軸支されている。
【0042】
当接部73は、スクレーパ57に当接すると、図5における、反時計周りに回転し、錘部74もそれにともない反時計回りに回転する。当接部73とスクレーパ57が当接しなくなると、錘部74の重さにより、元の位置に戻る。
【0043】
外掻き落とし部72は、スクレーパ57が回転するときに、外側となる部分の異物を掻き落とし可能とされている。
【0044】
クーラントタンク90は、既存のクーラントタンクが用いられ、流出口33から押し出されてくるクーラントが流入可能とされている。クーラントタンク90内には、図示しない高精度なろ過装置が配設され、さらに、クーラントの処理が可能とされている。
【0045】
クーラントタンク90には、ポンプ91が配設され、ポンプ91から工作機械にクーラントを送り、クーラントが再利用可能とされている。
【0046】
クーラント装置10の動作について説明する。工作機械から送られてくる異物を含むクーラントを、投入口32からコンベアケース30内に導入する。モータ51の駆動により、無端チェーン56、56が回転し、それにともない、スクレーパ57も、垂直面部58を送り方向前側にして循環移動する。
【0047】
このとき、スクリーン37の孔38の径より小さい異物は、孔38を通過して沈降する。
【0048】
スクリーン37の孔38の径より大きい異物は、スクリーン37の孔38を通過できずスクリーン37上に乗った状態となり、スクレーパ57で排出口36まで送られる。
【0049】
スクリーン37の孔38の径とほぼ同じ大きさの異物は、スクリーン37に形成された孔38の径rが、スクリーン37の板厚tより大きく形成されているので、図4に示すように、孔38からはみ出る。孔38からはみ出た異物は、スクリーン37の上面側、下面側のいずれであっても、スクレーパ57で掻き落とすことができる。
【0050】
流出口33から、ろ過されたクーラントがクーラントタンク90内に送られる。
【0051】
また、スクレーパ57を、垂直面部58と円弧面部59とで構成される角部が厚みを有する、半円柱状の外形形状とすることで、切り屑等で構成される異物が引っ掛かりにくい。
【0052】
仮に、スクレーパ57に異物が引っ掛かったとしても、内掻き落とし部71、外掻き落とし部72により、掻き落とされる。
【0053】
さらに、コンベアケース30の水平部31と傾斜部35との境界の屈曲する部分において、円弧面部59により、コンベアケース30内面と干渉することを防止できる。
【0054】
上記構成のクーラント装置10では、工作機械からの異物を含むクーラントを、投入口32からコンベアケース30内に導入し、コンベアケース30内を循環走行する複数のスクレーパ57により異物を引き上げ、コンベアケース30内のクーラントの液面より高い位置に設けられた排出口36から排出する、クーラント装置であって、
投入口32から排出口36までの間に、コンベアケース30を上下段に分割するように配設され、複数の孔38を有するスクリーン37と、
スクレーパ57を、投入口32から排出口36までの間を循環移動させるコンベア駆動機構50と、
を有し、
コンベア駆動機構50は、一対の無端チェーン56、56と、一対の無端チェーン56、56間に架け渡されるスクレーパ57と、一対の前記無端チェーン56、56を回動させる駆動装置としてのモータ51と、を備え、
スクレーパ57が、スクリーン37の上下面を掻き取り可能とされている。
【0055】
これによれば、スクレーパ57が、スクリーン37の上下面を掻き取ることで、スクリーン37の孔38の目詰まりを防止し、ろ過面積を小さくすることができる。
【0056】
また、スクレーパ57は、外形形状が、送り方向前側に配される垂直面部58と、垂直面部58より送り方向後側に配される円弧面部59と、を含む、半円柱状に形成されている。
【0057】
これによれば、スクレーパ57を薄板状ではなく、垂直面部58と円弧面部59とで構成される角部が厚みを有する、半円柱状の外形形状とすることで、切り屑等で構成される異物を引っ掛かりにくくして、異物がリターンすることにより発生する不具合を防止することができる。また、コンベアケース30が屈曲する構成としても、円弧面部59により、コンベアケース30と干渉することを防止できる。
【0058】
また、スクリーン37の孔38の径rが、スクリーン37の板厚tより大きく形成されている。
【0059】
これによれば、孔径とほぼ同じ大きさの異物が孔38に挟まったとき、異物がスクリーン37からはみ出るため、スクレーパ57により、スクリーン37の上下面のいずれでも掻き落とすことができるので、目詰まりが発生し難くなる。
【0060】
本発明のクーラント装置は当該構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0061】
例えば、スクレーパ57の無端チェーン56への取り付けは、既存の取付構造を用いることができる。
【0062】
また、異物の排出を考慮するならば、外掻き落とし部72の錘部74は、コンベアケース30の傾斜部35の外側に配することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 クーラント装置
30 コンベアケース
32 投入口
36 排出口
37 スクリーン
38 孔
50 コンベア駆動機構
56 無端チェーン
57 スクレーパ
58 垂直面部
59 円弧面部
r 径
t 板厚
図1
図2
図3
図4
図5