(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030379
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0832 20230101AFI20240229BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06Q10/08 304
B65G61/00 520
B65G61/00 542
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133231
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 篤
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】 荷物の配送において、温度調節が必要な荷物の品質をより確実に維持する。
【解決手段】温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する制御部を備え、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記制御部は、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出し、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更する、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する制御部を備え、
複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、
前記制御部は、
複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出し、
前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第3配送先は、複数の前記配送先のうち前記第1配送先からの所要時間が前記第2配送先よりも長い配送先である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両の外部温度、前記温度調節設備内の現在の温度、複数の前記配送先のうち所定配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の温度、前記配送計画における前記所定配送先から前記所定配送先の次の配送先までの所要時間、の少なくとも1つに基づいて、前記予測庫内温度を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の温度と、前記所定配送先から前記所定配送先の次の配送先までを前記車両により移動する間における前記温度調節設備内の温度変化量と、前記次の配送先において前記温度調節設備の扉を開閉した際の温度変化量と、の和に基づいて、前記予測庫内温度を算出する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3配送先の候補が複数ある場合に、複数の前記候補のうち配送される前記荷物の前記温度帯が前記車両の外部温度に最も近い候補以外から、前記第3配送先を選ぶ、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第3配送先の候補が複数ある場合に、複数の前記候補のうち、前記第1配送先の次の配送先を前記第2配送先から前記候補に変更した後の前記配送計画の完了予定時刻が最も早い候補を、前記第3配送先に選ぶ、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記車両に搭載され、前記温度調節設備内の温度を示す温度情報を前記情報処理装置に送信する車載器と、
を備える、情報処理システム。
【請求項8】
温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する情報処理方法であって、
複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、
前記情報処理方法は、
複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、
前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、
を備える、情報処理方法。
【請求項9】
温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定するためのコンピュータプログラムであって、
複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、
複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、
前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、荷物を配送する配送車の配送計画を動的に策定し直す技術が提案されている。例えば、特許文献1には、顧客などから急な配送依頼があった場合に、配送車の積載率等の情報に基づいて、新たな配送計画を策定し直すシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度調節が必要な荷物は、温度調節設備(以下、温調設備とも称する。)に搭載された状態で配送される。例えば、保冷が必要な荷物(冷凍食品等)は、保冷設備に搭載された状態で配送される。また、保温が必要な荷物(寒冷地にて配送される野菜等)は、保温設備に搭載された状態で配送される。
【0005】
近年、EC(Electronic Commerce)の発展に伴い、配送される荷物の数や、配送先の数が増加している。このため、所定の配送車両が荷物をある配送先に配送してから、次の配送先に配送するまでの配送間隔が狭まってきている。配送間隔が狭くなると、配送作業者がある配送先において温調設備の扉を開閉してから、次の配送先において扉を開閉するまでの間隔も狭くなり、外気がより頻繁に温調設備内に入ることで温調設備内の温度が変化しやすくなる。このため、配送間隔が狭くなるほど、荷物の品質が低下するおそれがある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本開示は、荷物の配送において、温度調節が必要な荷物の品質をより確実に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の情報処理装置は、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する制御部を備え、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記制御部は、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出し、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更する、情報処理装置である。
【0008】
本開示の情報処理方法は、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する情報処理方法であって、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記情報処理方法は、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、を備える、情報処理方法である。
【0009】
本開示のコンピュータプログラムは、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定するためのコンピュータプログラムであって、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、を実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、荷物の配送において、温度調節が必要な荷物の品質をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る配送計画の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る管理情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る第1テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る第2テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る車載器及びその周辺の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る車両情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、少なくとも以下のものが含まれる。
【0013】
(1)本開示の情報処理装置は、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する制御部を備え、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記制御部は、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温調設備内の予測温度である予測庫内温度を算出し、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更する、情報処理装置である。
【0014】
本開示の情報処理装置によれば、配送計画の配送順序を、境界条件を満たさない第2配送先から境界条件を満たす第3配送先へ変更することで、荷物の品質を維持しながら配送を行うことができる。このため、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0015】
(2)前記(1)の情報処理装置において、前記第3配送先は、複数の前記配送先のうち前記第1配送先からの所要時間が前記第2配送先よりも長い配送先であってもよい。
【0016】
このように、車両を遠回りさせるように配送計画を変更することで、温度調節設備における温度変化を抑制することができる。これにより、温度変化に伴う荷物の品質低下を抑制することができるため、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0017】
(3)前記(1)又は前記(2)の情報処理装置において、前記制御部は、前記車両の外部温度、前記温度調節設備内の現在の温度、複数の前記配送先のうち所定配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の温度、前記配送計画における前記所定配送先から前記所定配送先の次の配送先までの所要時間、の少なくとも1つに基づいて、前記予測庫内温度を算出してもよい。
【0018】
このように構成することで、制御部は予測庫内温度を算出することができる。
【0019】
(4)前記(3)の情報処理装置において、前記制御部は、前記所定配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の温度と、前記所定配送先から前記所定配送先の次の配送先までを前記車両により移動する間における前記温度調節設備内の温度変化量と、前記次の配送先において前記温度調節設備の扉を開閉した際の温度変化量と、の和に基づいて、前記予測庫内温度を算出してもよい。
【0020】
このように構成することで、制御部は予測庫内温度を算出することができる。
【0021】
(5)前記(1)から前記(4)のいずれかの情報処理装置において、前記制御部は、前記第3配送先の候補が複数ある場合に、複数の前記候補のうち配送される前記荷物の前記温度帯が前記車両の外部温度に最も近い候補以外から、前記第3配送先を選んでもよい。
【0022】
このように構成することで、品質が低下しにくい荷物の配送を後回しにし、品質が低下しやすい荷物から先に配送させることができるため、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0023】
(6)前記(1)から前記(4)のいずれかの情報処理装置において、前記制御部は、前記第3配送先の候補が複数ある場合に、複数の前記候補のうち、前記第1配送先の次の配送先を前記第2配送先から前記候補に変更した後の前記配送計画の完了予定時刻が最も早い候補を、前記第3配送先に選んでもよい。
【0024】
このように構成することで、荷物の品質をより確実に維持しつつ、荷物をより早く配送することができる。
【0025】
(7)本開示の情報処理システムは、前記(1)から前記(6)のいずれかの情報処理装置と、前記車両に搭載され、前記温度調節設備内の温度を示す温度情報を前記情報処理装置に送信する車載器と、を備える、情報処理システムである。
【0026】
(8)本開示の情報処理方法は、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定する情報処理方法であって、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記情報処理方法は、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、を備える、情報処理方法である。
【0027】
本開示の情報処理方法によれば、配送計画の配送順序を、境界条件を満たさない第2配送先から境界条件を満たす第3配送先へ変更することで、荷物の品質を維持しながら配送を行うことができる。このため、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0028】
(9)本開示のコンピュータプログラムは、温度調節設備に積載されている複数の荷物を車両により複数の配送先へそれぞれ配送するための配送順序を含む配送計画を決定するためのコンピュータプログラムであって、複数の前記荷物は、保冷又は保温するために許容される温度帯である許容温度帯が予め定められており、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の前記配送先のうち現在以降に前記荷物が配送される配送先において前記荷物を配送した際の前記温度調節設備内の予測温度である予測庫内温度を算出するステップと、前記配送計画に含まれる複数の前記配送先のうち第1配送先の次の配送先である第2配送先における前記予測庫内温度が前記許容温度帯に基づく境界条件を満たさないとき、前記配送計画における前記第1配送先の次の配送先を、複数の前記配送先のうち前記境界条件を満たす前記予測庫内温度となる第3配送先に変更するステップと、を実行させる、コンピュータプログラムである。
【0029】
本開示のコンピュータプログラムによれば、配送計画の配送順序を、境界条件を満たさない第2配送先から境界条件を満たす第3配送先へ変更することで、荷物の品質を維持しながら配送を行うことができる。このため、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態の具体例について、図面を参照して説明する。
【0031】
[1.情報処理システム]
[1.1 情報処理システムの全体構成]
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
情報処理システム1は、複数の配送先Hxへ荷物Axを配送する間隔(配送間隔)が短い等の事情により、車両V1に搭載されている温調設備30の温度が荷物Axを保冷又は保温するために許容される温度帯(以下、「許容温度帯R1」と称する。)から外れることが予測される場合に、荷物Axを配送するための配送計画D1を変更するシステムである。
【0032】
例えば、情報処理システム1は、車両V1をあえて遠回りさせるように配送順序に変更して、荷物Axの配送間隔を長くすることで、温調設備30の温度を許容温度帯R1の範囲内に留める。これにより、温度調節が必要な荷物Axの品質をより確実に維持することができる。
【0033】
以下の説明において、複数の配送先Hxは、特に区別する場合、配送先H1,H2,H3,H4とそれぞれ称する。
図1では4箇所の配送先Hxを例示しているが、配送先Hxの数は限定されない。また、複数の配送先Hxにそれぞれ配送する複数の荷物Axは、特に区別する場合、荷物A1,A2,A3,A4とそれぞれ称する。
【0034】
情報処理システム1は、例えば宅配業者において導入されるシステムである。情報処理システム1は、情報処理装置10と、車載器20と、を含む。情報処理装置10及び車載器20は、インターネット等の広域なネットワークN1を介して、互いに通信を行う。
【0035】
情報処理装置10は、例えば宅配業者の管理センターC1(配送拠点等)に設置されている。情報処理装置10は、例えばサーバーである。情報処理装置10の内部構成については、後述する。
【0036】
車載器20は、複数の荷物Axを配送する車両V1に搭載されている。車両V1は、例えば宅配業者が管理するトラック(貨物自動車)である。車両V1は、車載器20の他に、温調設備30を搭載している。
【0037】
温調設備30は、複数の荷物Axを許容温度帯R1に維持した状態で、複数の荷物Axを積載するための設備である。具体的には、温調設備30は、温度調節機能を有するコンテナである。
【0038】
例えば、配送する荷物Axに保冷が必要な場合(冷凍食品又は冷蔵食品等)、温調設備30は、保冷設備(冷凍庫又は冷蔵庫等)である。この場合、温調設備30は、その内部温度T1(庫内温度)を車両V1の外部温度T2(気温)よりも低い温度に調節する。また、配送する荷物Axに保温が必要な場合(寒冷地にて配送される野菜等)、温調設備30は、保温設備(保温庫等)である。この場合、温調設備30は、内部温度T1を外部温度T2よりも高い温度に調節する。
【0039】
情報処理システム1は、複数の車載器20を含んでもよい。複数の車載器20は、複数の車両V1にそれぞれ1台ずつ搭載される。この場合、情報処理装置10は、ネットワークN1を介して、複数の車載器20とそれぞれ通信を行う。すなわち、情報処理装置10は、複数の車載器20を統括的に管理してもよい。
【0040】
[1.2 情報処理装置の構成]
図2は、実施形態に係る情報処理装置10の構成例を示す図である。
情報処理装置10は、後述の予測庫内温度PT1を算出する処理と、算出した予測庫内温度PT1に基づいて配送計画D1を変更する処理と、変更後の配送計画D1を対象の車載器20に通知する処理と、を実行する。
【0041】
情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、読取部14と、を備える。これらの各部11~14は、それぞれバス配線により電気的に接続されている。
【0042】
制御部11は、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部11は、具体的には、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部11に含まれるプロセッサは、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。制御部11は、記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0043】
記憶部12は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。記憶部12は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム、配送計画D1、管理情報D2、車両情報D3及びその他の各種のパラメータを記憶している。
【0044】
通信部13は、ネットワークN1を介して、車載器20及びその他の装置(サーバ等)と通信を行う。通信部13は、例えばアンテナを有する通信インターフェースである。
【0045】
読取部14は、コンピュータが読取り可能な記録媒体15から情報を読み取る。記録媒体15は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部14は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体15にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体15を読取部14に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが記憶部12の不揮発性メモリに記憶される。
【0046】
[1.3 配送計画]
図3は、実施形態に係る配送計画D1の一例を示す図である。
配送計画D1は、温度調節設備30(以下、温調設備30と称する。)に積載されている複数の荷物Axを車両V1により複数の配送先Hxへそれぞれ配送するための配送順序を含む計画である。配送計画D1は、制御部11によって車載器20に通知される。そして、車載器20に接続されている後述の表示部27に配送計画D1に基づく表示(経路案内等)がなされることで、車両V1の運転者は配送計画D1に基づいて車両V1を運転し、複数の荷物Axを配送する。
【0047】
初期の配送計画D1における配送順序は、例えば、巡回セールスマン問題(TSP:Travelling Salesman Problem)に対応するための公知のアルゴリズム(局所探索法等)によって、全ての配送先Hxになるべく短い時間で配送できるように設定される。初期の配送計画D1における配送順序の最適化は、情報処理装置10の制御部11により実行されてもよいし、その他の情報処理装置において実行されてもよい。その他の情報処理装置において実行される場合、最適化された配送計画D1がネットワークN1を介して情報処理装置10に提供される。
【0048】
図3は、配送完了までの時間が短くなるように作成した初期の配送計画D1を例示している。
図3の配送計画D1において、車両V1は、はじめに配送先H1において午前10時に荷物A1を配送し、次に配送先H2において午前10時10分に荷物A2を配送する。その後、配送先H3において午前10時20分に荷物A3を配送し、配送先H4において午前10時30分に荷物A4を配送し、最後に車両V1は午前10時40分に管理センターC1に戻る予定となっている。この場合、配送計画D1の完了予定時刻は管理センターC1に戻る「午前10時40分」である。
【0049】
言い換えると、初期の配送計画D1における配送順序は、選択されたアルゴリズムにおいて、完了予定時刻がなるべく早くなるように最適化された配送順序となっている。このように最適化されている場合、ある配送先H1から次の配送先H2に配送するまでの配送間隔(
図3では午前10時から午前10時10分までの10分)はより短くなる。
【0050】
ここで、近年、EC等の発展に伴い、車両V1が配送を行う配送先自体が増加している。このため、ある配送先H1から次の配送先H2までの距離もより短くなることで、配送間隔は益々短くなる傾向がある。配送間隔が短いと、配送作業者(車両V1の搭乗者)が配送先H1において温調設備30の扉を開閉してから、次の配送先H2において温調設備30の扉を開閉するまでの間隔も短くなり、外気がより頻繁に温調設備30内に入ることで内部温度T1が変化しやすくなる。このため、配送間隔が短くなるほど、荷物Axの品質が低下するおそれが高くなる。例えば、荷物Axが冷凍食品の場合、配送先Hxに到達するよりも前に荷物Axが解凍するおそれがある。
【0051】
しかしながら、従来の配送計画D1は、配送の効率化(いかに早く配送するか)に重点を置いて最適化されていたため、荷物Axの品質維持という観点では最適化されていなかった。このため、従来の配送計画D1では、荷物Axの品質が低下するおそれがあった。
【0052】
そこで、制御部11は、後述の管理情報D2及び車両情報D3に基づいて、現在の配送計画D1に荷物Axの品質低下のおそれがあるか否かを判定する。そして、制御部11は、品質低下のおそれがある場合に、配送計画D1における配送順序を変更することで、少なくとも一時的に配送間隔を長くする。
【0053】
[1.4 管理情報]
図4は、実施形態に係る管理情報D2の一例を示す図である。
管理情報D2は、積荷情報と、配送先情報と、予想気温情報と、渋滞情報と、第1テーブルTB1と、第2テーブルTB2と、を含む。例えば1個の配送計画D1ごとに1まとまりの管理情報D2が用意される。
【0054】
積荷情報は、配送計画D1により配送される複数の荷物Axの識別番号q及び許容温度帯R1を示す温度情報rを含む。積荷情報は、例えばA1(q,r)、A2(q,r)、A3(q,r)、A4(q,r)というように、複数の荷物Axごとに識別番号q及び温度情報rを示す情報である。
【0055】
識別番号qは、荷物Axを識別するための番号である。識別番号qは、例えば、荷物Axの伝票番号であり、荷物Axごとに個別に割り振られる。
【0056】
温度情報rは、例えば、許容温度帯R1を数値によって示す情報である。許容温度帯R1が「-10℃以上-2℃未満」である場合、温度情報rは例えば「-10,-2」と表される。許容温度帯R1及び温度情報rは、保冷が必要な荷物Axの場合、「-2℃未満」等、許容される上限の温度のみによって示されてもよい。同様に、保温が必要な荷物Axの場合、許容温度帯R1及び温度情報rは、「-2℃以上」等、許容される下限の温度のみによって示されてもよい。
【0057】
また、温度情報rは、許容温度帯R1に対応する設備等級によって示されてもよい。設備等級は、保冷又は保温を行うための温度帯の区分である。保冷用の温度帯を示す場合、設備等級は、例えば以下の区分により示される。
【0058】
<設備等級>
C3級: -2℃以上 +10℃未満
C2級:-10℃以上 -2℃未満
C1級:-20℃以上 -10℃未満
F1級:-30℃以上 -20℃未満
F2級:-40℃以上 -30℃未満
F3級:-50℃以上 -40℃未満
F4級:-50℃未満
【0059】
例えば、許容温度帯R1が「-10℃以上-2℃未満」である場合、温度情報rは上記の設備等級に基づいて「C2」と表されてもよい。なお、温度情報rは、設備等級以外の区分によって許容温度帯R1を示す情報であってもよい。
【0060】
配送先情報は、配送先Hxの位置を示す情報である。例えば、配送先情報は、例えばH1(x,y)、H2(x,y)、H3(x,y)、H4(x,y)というように、配送先Hxごとに緯度及び経度を用いて座標(x,y)により示される。
【0061】
積荷情報及び配送先情報は、例えば、情報処理装置10とは異なるサーバ(図示省略)からネットワークN1を介して情報処理装置10に提供される。例えば、宅配業者が管理する他のサーバからネットワークN1を介して提供されてもよい。なお、積荷情報及び配送先情報は、情報処理装置10に接続される入力部(図示省略)によって情報処理装置10に入力されてもよい。
【0062】
予想気温情報は、配送先Hxを含む地域の予想気温を示す情報である。予想気温情報は、例えば気象庁等の気象情報を発表している機関のデータベースからネットワークN1を介して情報処理装置10に提供される。
【0063】
渋滞情報は、配送先Hxを含む地域の交通渋滞の状態を示す情報である。渋滞情報は、現在の交通渋滞の状態を示す情報であってもよいし、将来に予測される交通渋滞の状態を示す情報であってもよい。また、渋滞情報は、交通事故及び通行止め等の交通事象に関する情報を含んでもよい。渋滞情報は、例えば交通管理センター等の交通情報を発表している機関のデータベースからネットワークN1を介して情報処理装置10に提供される。
【0064】
第1テーブルTB1及び第2テーブルTB2は、後述の予測庫内温度PT1を算出するためのパラメータである。第1テーブルTB1及び第2テーブルTB2は、例えば試験により取得され、情報処理装置10とは異なるサーバ(図示省略)からネットワークN1を介して情報処理装置10に提供される。なお、第1テーブルTB1及び第2テーブルTB2は、記録媒体15から読取部14により読み取られることで、情報処理装置10に提供されてもよい。
【0065】
[1.4.1 第1テーブル]
図5は、実施形態に係る第1テーブルTB1の一例を示す図である。
第1テーブルTB1は、現在の気温(外部温度T2)と、扉を閉めた状態の温調設備30の内部温度T1の時間あたりの温度変化率との関係を示すテーブルである。
図5のテーブルでは、例えば、気温が32℃から35℃であり、温調設備30の内部温度T1が設定温度よりも高い場合に、内部温度T1が1分ごとに0.5℃低くなることを示している。また、気温が30℃から31℃であり、温調設備30の内部温度T1が設定温度よりも高い場合に、内部温度T1が1分ごとに1.0℃低くなることを示している。
【0066】
例えば、気温が35℃であり、温調設備30の現在の内部温度T1が10℃、温調設備30の設定温度が-10℃である場合、
図5の第1テーブルTB1に基づくと、8分後の内部温度T1は6℃(∵10-0.5×8)となることが予測される。
【0067】
[1.4.2 第2テーブル]
図6は、実施形態に係る第2テーブルTB2の一例を示す図である。
第2テーブルTB2は、現在の温調設備30の内部温度T1及び気温と、温調設備30の扉を1回開閉した際の温度変化量との関係を示すテーブルである。
図6のテーブルの1行目では、温調設備30の内部温度T1が-18℃であり、気温が35℃である場合に、内部温度T1が10℃上昇することを示している。また、
図6のテーブルの2行目では、温調設備30の内部温度T1が-18℃であり、気温が30℃である場合に、内部温度T1が8℃上昇することを示している。
【0068】
例えば、温調設備30の現在の内部温度T1が-18℃であり、気温が35℃である場合、
図6の第2テーブルTB2に基づくと、温調設備30の扉を1回開閉した際に、内部温度T1は-18℃から10℃上昇して-8℃になることが予測される。
【0069】
[1.5 車載器の構成]
図7は、実施形態に係る車載器20及びその周辺の構成例を示す図である。車両V1には、車載器20と、温調設備30と、ディスプレイ等の表示部27と、ボタン等の入力部28とが搭載されている。
【0070】
車載器20は、センサセット21等により取得される車両情報D3を情報処理装置10に送信する。車載器20は、センサセット21と、車載制御部22と、車載記憶部23と、車載通信部24と、読取部25と、を備える。
【0071】
車載器20には、表示部27及び入力部28が接続されている。表示部27及び入力部28は、例えばスマートフォン等の携帯端末に設けられていてもよい。この場合、当該携帯端末を車載器20に接続することで、表示部27及び入力部28が車載器20に接続される。
【0072】
センサセット21は、GPS(Global Positioning Satellite)からの信号を受信するGPSセンサ211と、温調設備30の内部温度T1を検出する内部温度センサ212と、車両V1の外部温度T2を検出する外部温度センサ213と、温調設備30の扉の開閉を検出する開閉センサ214と、を含む。
【0073】
開閉センサ214は、例えば温調設備30の内部に設置されている照度センサであり、扉が開かれた際に温調設備30の内部が外光によって明るくなり、扉が閉じられた際に温調設備30の内部が暗くなることに基づいて、扉の開閉を検出する。なお、開閉センサ214は温調設備30の扉の開閉を検出するセンサであれば特に限定されない。開閉センサ214は、温調設備30の扉に設けられた変位センサであってもよい。この場合、扉の変位に基づいて扉の開閉を検出する。
【0074】
車載制御部22は、制御部11と同様に、例えばプロセッサ等の回路構成を含む。車載制御部22は、車載記憶部23に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0075】
車載記憶部23は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。車載記憶部23は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。また、車載記憶部23は、センサセット21から取得される情報を車両情報D3として記憶する。
【0076】
車載通信部24は、ネットワークN1を介して、情報処理装置10と通信を行う。車載通信部24は、例えばアンテナを有する通信インターフェースである。
【0077】
読取部25は、コンピュータが読取り可能な記録媒体26から情報を読み取る。記録媒体26は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部25は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体26にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体26を読取部25に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが車載記憶部23の不揮発性メモリに記憶される。
【0078】
[1.6 車両情報]
図8は、車載器20において取得される車両情報D3の一例を示す図である。車両情報D3は、位置情報と、内部温度情報と、外部温度情報と、開閉情報と、を含む。
【0079】
位置情報は、車両V1の現在位置を示す情報である。位置情報は、GPSセンサ211が受信するGPS信号に基づいて取得される。位置情報は、例えば車両の位置を緯度及び経度を用いて座標SP1(x,y)として示される。
【0080】
内部温度情報は、温調設備30の内部温度T1を示す情報である。内部温度情報は、内部温度センサ212の検出温度に基づいて取得される。例えば、温調設備30に複数の内部温度センサ212が設置されている場合、複数の内部温度センサ212により検出される温度の平均値を温調設備30の内部温度T1として取得してもよい。
【0081】
外部温度情報は、車両V1の外部温度T2(すなわち、気温)を示す情報である。外部温度情報は、外部温度センサ213の検出温度に基づいて取得される。
【0082】
開閉情報は、温調設備30の扉の開閉状態(開状態又は閉状態)を示す情報である。開閉情報は、開閉センサ214の検出値に基づいて取得される。
【0083】
車載器20は、例えば、車載通信部24により車両情報D3を1分間隔等、定期的に情報処理装置10に送信する。なお、車載器20は、情報処理装置10の要求に応じて、不定期に車両情報D3を情報処理装置10に送信してもよい。
【0084】
[1.7 情報処理方法]
図9は、実施形態に係る情報処理装置10が実行する情報処理方法を示すフローチャートである。以下に説明する情報処理方法は、制御部11が、記憶部12からコンピュータプログラムを読み出して、各種の処理を実行することで、実現される。
【0085】
はじめに、制御部11は、各種の情報を取得する(ステップS1)。例えば、制御部11は、ネットワークN1を介して、他の装置から初期の配送計画D1と管理情報D2とを取得する。なお、配送計画D1は、管理情報D2等に基づいて制御部11が自ら算出してもよい。この場合、制御部11は、例えば配送先情報及び渋滞情報に基づいて、配送計画に含まれる配送時刻等を予測する。
【0086】
また、制御部11は、ネットワークN1を介して、車載器20から車両情報D3を取得する。制御部11は、取得した配送計画D1、管理情報D2及び車両情報D3を記憶部12に格納する。以上により、ステップS1が終了する。
【0087】
次に、制御部11は、配送計画D1、管理情報D2及び車両情報D3に基づいて、予測庫内温度PT1を算出する(ステップS2)。ここで、予測庫内温度PT1は、複数の配送先Hxのうち現在以降に荷物Axが配送される配送先において、荷物Axを配送した際の温調設備30の内部温度T1の予測値である。
【0088】
具体的には、制御部11は、以下の1)から4)に示す情報のうち少なくとも1つに基づいて、予測庫内温度PT1を算出する。
【0089】
1)車両V1の外部温度T2
2)温調設備30の現在の内部温度T1
3)複数の配送先Hxのうち所定配送先(例えば配送先H1)において荷物Axを配送した際の温調設備30の内部温度T1
4)配送計画D1における所定配送先(例えば配送先H1)から所定配送先の次の配送先(例えば配送先H2)までの所要時間TM1
【0090】
例えば、現在、車両V1が管理センターC1を出発した直後である場合に、現在以降に荷物Axが配送される配送先H2における予測庫内温度PT1を算出する場合を考える。外部温度T2は35℃であり、温調設備30の設定温度は-18℃、温調設備30の現在の内部温度T1は設定温度と同じ-18℃であるとする。この場合、車両V1は
図3に示す初期の配送計画D1に基づいて、管理センターC1から配送先H1へ向かう。
【0091】
配送先H1において温調設備30の扉が開かれるまでは、温調設備30の内部温度T1は-18℃に維持されると考えられる。はじめに、配送先H1において温調設備30の扉が開かれると、35℃の外気が温調設備30内に入ることで、内部温度T1が上昇すると予測される。
【0092】
そこで、制御部11は、管理情報D2に含まれる第2テーブルTB2(
図6)に基づいて、配送先H1における予測庫内温度PT1を算出する。内部温度T1が-18℃、外部温度T2が35℃であるため、内部温度T1は10℃上昇すると予測され、制御部11は配送先H1における予測庫内温度PT1を「-8℃」と算出する。なお、外部温度T2に代えて、予想気温情報に基づいて、配送先H1に到着する時刻における予想気温を用いてもよい。
【0093】
次に、制御部11は、配送先H2における予測庫内温度PT1を算出する。制御部11は、例えば、配送先H1(所定配送先)において荷物A1を配送した際の温調設備30内の温度(配送先H1における予測庫内温度PT1)と、配送先H1から次の配送先H2までを車両V1により移動する間における温調設備30内の温度変化量α1と、次の配送先H2において温調設備30の扉を開いた際の温度変化量α2と、の和に基づいて、配送先H2における予測庫内温度PT1を算出する。
【0094】
制御部11は、配送計画D1と、管理情報D2に含まれる第1テーブルTB1とに基づいて、温度変化量α1を算出する。例えば、初期の配送計画D1において、配送先H1から次の配送先H2までの所要時間TM1は、10分である(
図3)。外部温度T2は35℃であるため、所要時間TM1(10分)の間の温度変化量α1は、第1テーブルTB1に基づいて「-5℃」(∵-0.5×10)と算出される。
【0095】
すなわち、車両V1が配送先H2に到着し、かつ温調設備30の扉を開く直前の内部温度T1は、配送先H1における予測庫内温度PT1(-8℃)から5℃低下して、-13℃になると予測される。
【0096】
続いて、制御部11は、管理情報D2に含まれる第2テーブルTB2に基づいて、温度変化量α2を算出する。例えば、上記のとおり、車両V1が配送先H2に到着し、かつ温調設備30の扉を開く直前の内部温度T1は、-13℃と予測される。そして、外部温度T2が35℃であるため、第2テーブルTB2に基づいて、温度変化量α2は「8℃」と算出される。
【0097】
すなわち、配送先H2における温調設備30の扉の開閉により内部温度T1は8℃上昇すると予測される。配送先H2において温調設備30の扉を開く直前の内部温度T1は-13℃と予測されているため、制御部11は、配送先H2における予測庫内温度PT1を-13℃に8℃を加算して「-5℃」と算出する。
【0098】
言い換えると、制御部11は、所定の配送先H1における予測庫内温度PT1(-8℃)と、温度変化量α1(-5℃)と、温度変化量α2(8℃)との和を、所定の配送先H1の次の配送先H2における予測庫内温度PT1(-5℃)として算出する。
【0099】
ステップS2において、制御部11は、現在以降に荷物Axが配送される配送先Hxのうち、次の配送先における予測庫内温度PT1のみを算出する。例えば、現在、車両V1が管理センターC1を出発した直後である場合、制御部11は配送先H1における予測庫内温度PT1のみを算出する。
【0100】
なお、ステップS2において、制御部11は、現在以降に荷物Axが配送される配送先Hxのうち、1番目からn番目までの配送先における予測庫内温度PT1のみを算出してもよい。例えば、現在、車両V1が管理センターC1を出発した直後である場合、制御部11は配送先H1(現在地から1番目の配送先)と配送先H2(現在地から2番目の配送先)とのそれぞれにおける予測庫内温度PT1を算出してもよい。
【0101】
また、ステップS2において、制御部11は、現在以降に荷物Axが配送される全ての配送先Hxにおける予測庫内温度PT1をそれぞれ算出してもよい。例えば、現在、車両V1が管理センターC1を出発した直後である場合、制御部11は配送先H1,H2,H3,H4のそれぞれにおける予測庫内温度PT1を算出してもよい。
【0102】
制御部11は、算出した予測庫内温度PT1を記憶部12に格納する。以上により、ステップS2が終了する。
【0103】
次に、制御部11は、現在以降に荷物Axが配送される配送先Hxにおける予測庫内温度PT1が境界条件を満たすか否かを判定する(ステップS3)。境界条件は、荷物Axの品質を維持するための条件であり、許容温度帯R1に基づく条件である。具体的には、境界条件は「予測庫内温度PT1が、現在以降に配送される全ての荷物Axの許容温度帯R1の範囲内に含まれていること」である。
【0104】
例えば、荷物A1の許容温度帯R1が-18℃以下、荷物A2の許容温度帯R1が-5℃以下、荷物A3の許容温度帯R1が-8℃以下、荷物A4の許容温度帯R1が0℃以下である場合を考える。この場合、車両V1が管理センターC1を出発した直後において、全ての荷物Axの許容温度帯R1は荷物A1の許容温度帯R1に律されることで「-18℃以下」となる。
【0105】
一方、車両V1が配送先H1において荷物A1を配送した後、残りの荷物A2,A3,A4の全ての品質を維持するための許容温度帯R1は、荷物A3の許容温度帯R1に律されることで「-8℃以下」となる。このように、許容温度帯R1が温度の上限値によって設定されている場合、複数の荷物Axの許容温度帯R1は、最も低い上限値に律される。
【0106】
例えば、車両V1が管理センターC1を出発した直後において、制御部11がステップS3を実行する場合を考える。この場合、制御部11は、算出した1又は複数の予測庫内温度PT1が、それぞれ境界条件を満たすか否か、配送計画D1における配送順序の早い配送先Hxから順に判定する。
【0107】
はじめに、制御部11は、配送先H1における予測庫内温度PT1が、配送先H1において荷物A1を配送した後の許容温度帯R1(荷物A2,A3,A4の許容温度帯R1)の範囲内に含まれるか否かを判定する。上記の例では、配送先H1における予測庫内温度PT1は-8℃であり、荷物A2,A3,A4の許容温度帯R1は-8℃以下であるため、境界条件を満たす。
【0108】
次に、制御部11は、配送先H2における予測庫内温度PT1が、配送先H2において荷物A2を配送した後の許容温度帯R1(荷物A3,A4の許容温度帯R1)の範囲内に含まれるか否かを判定する。上記の例では、配送先H2における予測庫内温度PT1は-5℃であり、荷物A3,A4の許容温度帯R1は-8℃以下であるため、境界条件を満たさない。
【0109】
この場合、配送先H2において荷物A2を配送した後、荷物A3の温度が-8℃よりも高くなることで、荷物A3の品質が低下するおそれがある。このように、配送先Hxにおける予測庫内温度PT1が境界条件を満たさない場合(ステップS3のNO)、制御部11は後述のステップS4の処理に進む。
【0110】
なお、いずれの配送先Hxにおいても予測庫内温度PT1が境界条件を満たす場合(ステップS3のYES)、制御部11は
図9に示す一連の情報処理方法を終了する。この場合、制御部11は配送計画D1を変更しない。
【0111】
また、荷物Axの温度が一時的に許容温度帯R1を外れたとしても、荷物Axの品質が直ちに低下するわけではない。例えば、温調設備30の扉を開いた際に外気が温調設備30内に入り、一時的に内部温度T1が許容温度帯R1を外れるほど上昇しても、その後、温調設備30の扉が閉じられ、温調設備30内が冷却されて内部温度T1がすぐに許容温度帯R1の範囲内に戻れば、荷物Axの品質はほとんど変化しない場合がある。
【0112】
このため、境界条件は、「予測庫内温度PT1が、現在以降に配送される全ての荷物Axの許容温度帯R1の範囲外となる時間が所定時間継続していないこと」であってもよい。所定時間は、荷物Axに応じて決定されてもよいし、固定値でもよい。所定時間は、例えば10分である。
【0113】
この場合、ステップS3において、制御部11は、配送先Hxにおける予測庫内温度PT1が許容温度帯R1の範囲外となる場合に、その時間から所定時間経過後に予測される温度(予測温度PT2)をさらに算出する。例えば、配送先H2における予測庫内温度PT1が-5℃となる場合、そこからさらに所定時間(10分)経過後の内部温度T1を第1テーブルTB1に基づいて算出する。この場合、制御部11は、予測温度PT2を「-10℃」(∵-5-0.5×10)と算出する。
【0114】
そして、制御部11は、所定時間経過後の予測温度PT2が許容温度帯R1の範囲外であれば、境界条件を満たさないと判定して、ステップS4の処理に進む。一方で、所定時間経過後の予測庫内温度PT1が許容温度帯R1の範囲内であれば、境界条件を満たすと判定して、一連の情報処理方法を終了する。上記の例の場合、予測温度PT2(-10℃)は許容温度帯R1の範囲内(-8℃以下)であるため、境界条件を満たす。
【0115】
ステップS4において、制御部11は、配送計画D1における配送順序を変更して、予測庫内温度PT1を算出する。具体的には、制御部11は、配送計画D1の配送順序のうち境界条件を満たさない配送先H2(第2配送先)を、他の配送先に変更する。例えば、制御部11は、配送先H2を配送先H3に変更する。すなわち、初期において配送先H1、H2、H3、H4となる配送順序を、配送先H1、H3、H2、H4に変更する。
【0116】
図10は、変更後の配送計画D1の一例を示す図である。
図10に示すように、配送先H2と配送先H3の配送順序を入れ替えたことで、配送先H1(配送時刻が午前10時)から配送先H3(配送時刻が午前10時20分)までの所要時間TM1が20分となっている。この所要時間TM1は、
図3に示す配送先H1から配送先H2までの所要時間TM1(10分)よりも長い。すなわち、配送先H3は配送先H1からの所要時間が配送先H2よりも長い配送先である。
【0117】
そして、制御部11は、変更後の配送計画D1に基づいて、配送先H2と配送順序が入れ替えられた配送先H3における予測庫内温度PT1を算出する。算出の具体的な方法は、ステップS2と同じである。すなわち、制御部11は、配送先H1における予測庫内温度PT1と、温度変化量α1と、温度変化量α2との和に基づいて、配送先H1の次の配送先H3における予測庫内温度PT1を算出する。
【0118】
ここで、配送先H1から配送先H3までの所要時間TM1が20分であるため、所要時間TM1(20分)の間の温度変化量α1は、第1テーブルTB1に基づいて「-10℃」と算出される。配送先H1における予測庫内温度PT1(-8℃)と、温度変化量α1(-10℃)との和は-18℃となるため、配送先H3において扉を開いた際の温度変化量α2は、第2テーブルTB2に基づいて、「10℃」と予測される。このため、制御部11は、配送先H3における予測庫内温度PT1を「-8℃」(すなわち、-18℃から10℃上昇した温度)と算出する。
【0119】
制御部11は、算出した予測庫内温度PT1を記憶部12に格納する。以上により、ステップS4が終了する。
【0120】
次に、制御部11は、ステップS4において算出した予測庫内温度PT1が境界条件を満たすか否か判定する(ステップS5)。判定の具体的な方法は、ステップS3と同じである。すなわち、制御部11は、配送先H3における予測庫内温度PT1が、配送先H3において荷物A3を配送した後の許容温度帯R1(荷物A2,A4の許容温度帯R1)の範囲内に含まれるか否かを判定する。上記の例では、配送先H3における予測庫内温度PT1は-8℃であり、荷物A2,A4の許容温度帯R1は-5℃以下であるため、境界条件を満たす。
【0121】
このように境界条件を満たす場合(ステップS5のYES)、制御部11は後述のステップS6に進む。なお、仮に配送先H3における予測庫内温度PT1が境界条件を満たさない場合(ステップS5のNO)、荷物A2又は荷物A4の品質が低下するおそれがある。この場合、制御部11はステップS4を再度実行し、配送計画D1における配送順序をさらに変更して、その予測庫内温度PT1を再算出する。その後、制御部11は再度ステップS5を実行する。
【0122】
このように、制御部11は、ステップS4及びステップS5の処理により、境界条件を満たさない配送先H2(第2配送先)を、境界条件を満たす予測庫内温度PT1となる配送先H3(第3配送先)に変更する。すなわち、制御部11は、配送計画D1における配送先H1(第1配送先)の次の配送先を配送先H2から配送先H3に変更する。
【0123】
なお、上記の配送計画D1の変更は一例であり、例えば制御部11は、配送計画D1における配送先H1の次の配送先を配送先H2から配送先H4に変更してもよい。
【0124】
上記のとおり、境界条件を満たす予測庫内温度PT1となる配送先H3(第3配送先)は、複数の配送先Hxのうち配送先H1からの所要時間TM1が配送先H2(第2配送先)よりも長い配送先である。すなわち、制御部11は、車両V1が配送先H1から配送先H3へ遠回りするように配送計画D1を変更する。その結果、
図10に例示するように、車両V1が管理センターC1に戻る予定の時刻(完了予定時刻)は、初期の配送計画D1(
図3)よりも遅くなっている。
【0125】
すなわち、ステップS4及びステップS5の処理により、見た目上の配送効率は低下している。しかしながら、これらの処理によって、あえて車両V1を遠回りさせるように管理することで、温調設備30における温度変化を抑制することができる。これにより、荷物Axの品質をより確実に維持することができるため、顧客からのクレームや賠償のリスクを低減することができる。この結果、宅配業者の信用を向上させることができる。
【0126】
ここで、境界条件を満たす予測庫内温度PT1となる配送先Hx(第3配送先)の候補が複数ある場合がある。本例の場合、配送先H3,H4が第3配送先の候補となる。この場合、制御部11は、複数の候補のうち、配送先H1(第1配送先)の次の配送先を配送先H2(第2配送先)から当該候補に変更した後の配送計画D1の完了予定時刻が最も早い候補を、第3配送先に選ぶ。本例の場合には、第3配送先を配送先H4とするよりも、配送先H3とした方が完了予定時刻が早い。このため、制御部11は複数の候補(配送先H3,H4)のうち配送先H3を第3配送先に選ぶ。
【0127】
これにより、荷物Axの品質を確実に維持しつつ、より早く荷物Axを配送することができる。
【0128】
ステップS6において、制御部11は、変更後の配送計画D1に基づいて、配送計画D1を更新する。例えば、最後に実行したステップS4において変更した配送計画D1を、実際に適用する配送計画D1として記憶部12に格納する。
【0129】
最後に、制御部11は、ステップS6において更新した配送計画D1を、車載器20に通知する(ステップS7)。具体的には、制御部11は、更新後の配送計画D1を通信部13によりネットワークN1を介して車載器20に送信させる。以上により、一連の情報処理方法が終了する。
【0130】
車載器20では、車載通信部24によって配送計画D1が受信された後、配送計画D1が車載記憶部23に記憶される。そして、車載制御部22は、配送計画D1に基づいて、表示部27に経路案内を表示することで、車両V1の搭乗者に対して荷物Axを配送するための経路を通知する。
【0131】
以上により、車両V1の搭乗者に特別に意識させることなく、配送計画D1を内部温度T1等の情報に基づいて自動的に、かつリアルタイムで変更することができる。
【0132】
なお、車載制御部22は、更新後の配送計画D1を受信した場合に、表示部27に車両V1の搭乗者に対して配送計画D1の更新の要否を問う表示をさせてもよい。この場合、車載制御部22は、車両V1の搭乗者から入力部28による「更新必要」又は「更新不要」の入力操作を受け付け、「更新必要」の入力操作を受け付けた場合に限り、配送計画D1を最終的に更新してもよい。
【0133】
[2.変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述した形態以外にも種々の変更を行うことが可能である。以下、本開示の実施形態に係る変形例について説明する。以下の変形例において、実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0134】
[2.1 温度条件の厳しい荷物を先に配送する]
図11は、変更後の配送計画の一例を示す図である。上記の実施形態では、品質を維持するための配送計画D1の変更候補が複数通りある場合に、完了予定時刻が最も早くなる配送計画D1に変更する。
【0135】
これに対し、荷物Axの品質の維持により重きを置いて、配送計画D1を変更してもよい。例えば、制御部11は、境界条件を満たす予測庫内温度PT1となる配送先Hx(第3配送先)の候補が複数ある場合に、複数の当該候補のうち、配送される荷物Axの許容温度帯R1が車両V1の外部温度T2に最も近い候補以外から、第3配送先を選んでもよい。
【0136】
配送先H3,H4が第3配送先の候補となる場合を考える。前提として、配送先H2に配送される荷物A2の許容温度帯R1が「0℃以下」であり、配送先H3に配送される荷物A3の許容温度帯R1が「-5℃以下」であり、配送先H4に配送される荷物A4の許容温度帯R1が「-8℃以下」であり、外部温度T2が30℃である場合を考える。
【0137】
この場合、複数の当該候補(配送先H3,H4)のうち配送される荷物Axの許容温度帯R1が外部温度T2に最も近い候補は、「配送先H3」となる。このため、制御部11は、配送先H3以外から第3配送先を選ぶ。すなわち、複数の荷物Axのうち荷物A3は、最も品質が低下しにくい(解けにくいか、解けても品質への影響が少ない)ため、配送を後回しにし、品質が低下しやすい荷物A4から配送させる。
【0138】
図11は、上記の場合に、解けにくい荷物A2,A3を後回しにし、解けやすい荷物A4を先に配送するように変更した配送計画D1を例示している。
図11の配送計画D1において完了予定時刻(管理センターC1に戻る時刻)は午前11時であり、
図10の配送計画D1の完了予定時刻よりもさらに遅くなっている。
【0139】
しかしながら、
図11の配送計画D1によれば、品質が低下しやすい荷物A4から先に配送させることができるため、例えば複数の荷物Axの配送途中で急に気温が高くなることで、解けやすい荷物A4の品質が低下するという不測の事態をより確実に予防することができる。これにより、荷物Axの品質をより確実に維持することができる。
【0140】
[2.2 予測庫内温度の変形例]
上記の実施形態では、制御部11は、第1テーブルTB1及び第2テーブルTB2に基づいて、予測庫内温度PT1を算出する。しかしながら、制御部11は、テーブルの数値ではなく、公知の温度シミュレーション(熱伝導シミュレーション等)を用いて予測庫内温度PT1を算出してもよい。
【0141】
[2.3 荷物を保温する場合]
上記の実施形態では、主に複数の荷物Axを保冷する場合を例に挙げて説明する。しかしながら、複数の荷物Axを保温する場合も、制御部11は同様の情報処理方法を実行すればよい。この場合、基本的に、外部温度T2(気温)は、内部温度T1よりも低いことを前提とする。例えば、寒冷地配送であり、温調設備30は、外部温度T2が-10℃以下の環境のもと、内部温度T1を10℃に設定する。そして、凍結すると品質が低下する葉物野菜等の荷物Axの凍結を防止している状態で、複数の荷物Ax配送する。
【0142】
[2.4 完了予定時刻の変形例]
上記の実施形態では、車両V1が管理センターC1に戻る予定の時刻を完了予定時刻としている。しかしながら、制御部11は、車両V1が全ての荷物Axを配送し終える時刻を完了予定時刻として各種の処理を実行してもよい。例えば、
図3の配送計画D1において、配送先H4に荷物A4を配送する配送時刻(午前10時30分)を完了予定時刻としてもよい。
【0143】
《補記》
なお、上述の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 読取部
15 記録媒体
20 車載器
21 センサセット
211 GPSセンサ
212 内部温度センサ
213 外部温度センサ
214 開閉センサ
22 車載制御部
23 車載記憶部
24 車載通信部
25 読取部
26 記録媒体
27 表示部
28 入力部
30 温調設備(温度調節設備)
V1 車両
D1 配送計画
D2 管理情報
D3 車両情報
R1 許容温度帯
Hx,H1,H2,H3,H4 配送先
Ax,A1,A2,A3,A4 荷物
N1 ネットワーク
C1 管理センター
T1 内部温度
T2 外部温度
TB1 第1テーブル
TB2 第2テーブル
PT1 予測庫内温度
α1 温度変化量
α2 温度変化量
TM1 所要時間