IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業機械の安全装置 図1
  • 特開-作業機械の安全装置 図2
  • 特開-作業機械の安全装置 図3
  • 特開-作業機械の安全装置 図4
  • 特開-作業機械の安全装置 図5
  • 特開-作業機械の安全装置 図6
  • 特開-作業機械の安全装置 図7
  • 特開-作業機械の安全装置 図8
  • 特開-作業機械の安全装置 図9
  • 特開-作業機械の安全装置 図10
  • 特開-作業機械の安全装置 図11
  • 特開-作業機械の安全装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030384
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】作業機械の安全装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20240229BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240229BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240229BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 A
H04N7/18 J
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133238
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 裕樹
【テーマコード(参考)】
2D015
3D020
5C054
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB02
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
3D020BA20
3D020BB07
3D020BC13
3D020BD05
3D020BE03
5C054FC12
5C054FE28
5C054FF06
5C054FF07
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】処理負荷を低減しつつ、作業機械の周囲に位置する対象物を精度良く検出することが可能な作業機械の安全装置を提供する。
【解決手段】安全装置は、対象物検知器60と、コントローラ70と、を備える。対象物検知器60は、上部旋回体12の前方の検知範囲を有する前対象物検知器60Aと、上部旋回体12の後方の検知範囲を有する後対象物検知器60Bとを含み、前対象物検知器60Aの単位角度あたりの画素数は後対象物検知器60Bの前記画素数よりも大きく設定されている。また、前対象物検知器60Aに対応して上部旋回体12の前方に設定された第1監視領域A1と、後対象物検知器60Bに対応して上部旋回体12の後方に設定され上部旋回体12から見て前記第1監視領域よりも小さい奥行きを有する第2監視領域A2とが設定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部本体と旋回可能な上部本体と前記上部本体から前方に延びる作業部材とを有する作業機械の安全装置であって、
前記上部本体に装着され前記作業機械の周辺の対象物を検知可能な検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記上部本体の周囲に設定された監視領域への対象物の進入を判断する制御部と、を備え、
前記検知部は、前記上部本体の前方の検知範囲を有する前方検知部と、前記上部本体の側方または後方の検知範囲を有する後方検知部とを含み、前記前方検知部の単位角度あたりの画素数は前記後方検知部の前記画素数よりも大きく設定され、
前記監視領域は、前記前方検知部に対応して前記上部本体の前方に設定された第1監視領域と、前記後方検知部に対応して前記上部本体の側方または後方に設定され前記上部本体から見て前記第1監視領域よりも小さい奥行きを有する第2監視領域とを含む、作業機械の安全装置。
【請求項2】
前記上部本体の左右方向と直交する断面における前記後方検知部の画角が、前記断面における前記前方検知部の画角よりも大きく設定されている、請求項1に記載の作業機械の安全装置。
【請求項3】
前記前方検知部の画素数と前記後方検知部の画素数とが同じである、請求項2に記載の作業機械の安全装置。
【請求項4】
前記前方検知部の画角は鋭角であり、前記後方検知部の画角は鈍角である、請求項2に記載の作業機械の安全装置。
【請求項5】
前記断面における前記前方検知部の画角の中心線が前記前方検知部から下向きに延びるとともに、前記前方検知部の画角の上限角度が前記前方検知部から上向きに延びるように、前記前方検知部の画角および前記上部本体に対する前記前方検知部の取付角度が設定されている、請求項2に記載の作業機械の安全装置。
【請求項6】
平面視における前記前方検知部の画角が、平面視における前記後方検知部の画角よりも小さく設定されており、
平面視における前記前方検知部の画角および前記後方検知部の画角が部分的に重なるように設定されている、請求項1乃至5の何れか1項に記載の作業機械の安全装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前記前方検知部および前記後方検知部のうちの少なくとも一方の検知結果に基づいて、前記作業機械に対する前記対象物の前後方向の距離および左右方向の距離をそれぞれ算出し、前記前後方向および前記左右方向のうち前記作業機械の動きによって前記対象物と前記作業機械との距離が小さくなる方向を含む前記作業機械の動作を制限する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の作業機械の安全装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前記前方検知部の検知結果に基づいて前記作業機械に対する前記対象物の前後方向の距離である対象物距離を算出するとともに、前記上部本体と前記作業部材の先端部との前後方向の距離である先端距離を更に算出し、前記対象物距離が前記先端距離よりも小さい場合に、前記作業機械の動作を制限する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の作業機械の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベル等の作業機械において、当該作業機械の周辺に存在する検知対象物を検知して安全制御を行う装置が知られている。作業機械は、下部走行体と、下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、上部旋回体に上下方向に回動可能に支持されたアタッチメントと、を有する。
【0003】
特許文献1には、作業機械の周囲の対象物を検知するために、上部旋回体に複数の撮像装置が搭載された技術が開示されている。当該技術では、前記複数の撮像装置が、上部旋回体の前部、左部、右部および後部の各々に配置された複数の広角カメラおよび狭角カメラを含む。上部旋回体の周囲の各方向に向かって広角カメラに加えて狭角カメラを配置することによって、トラックの照明などのように輝度の高い光源の影響を受けて広角カメラの撮影画像にノイズが生じ、対象物の認知精度が低下することが抑止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-122376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、対象物を検知するために、上部旋回体に搭載された4つの広角カメラおよび4つの狭角カメラの撮影画像をコントローラが処理する必要があるため、その処理負荷が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、従来よりも処理負荷を低減しつつ、作業機械の周囲に位置する対象物を精度良く検出することが可能な作業機械の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるのは、下部本体と旋回可能な上部本体と前記上部本体から前方に延びる作業部材とを有する作業機械の安全装置である。前記安全装置は、前記上部本体に装着され前記作業機械の周辺の対象物を検知可能な検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記上部本体の周囲に設定された監視領域への対象物の進入を判断する制御部と、を備える。前記検知部は、前記上部本体の前方の検知範囲を有する前方検知部と、前記上部本体の側方または後方の検知範囲を有する後方検知部とを含み、前記前方検知部の単位角度あたりの画素数は前記後方検知部の前記画素数よりも大きく設定される。前記監視領域は、前記前方検知部に対応して前記上部本体の前方に設定された第1監視領域と、前記後方検知部に対応して前記上部本体の側方または後方に設定され前記上部本体から見て前記第1監視領域よりも小さい奥行きを有する第2監視領域とを含む。
【0008】
本構成によれば、前方検知部に対応する第1監視領域の奥行きが後方検知部に対応する第2監視領域よりも大きく設定され、更に前方検知部の単位角度あたりの画素数が後方検知部よりも大きく設定されているため、上部本体から前方に延びる作業部材の周辺に位置する対象物を精度良く検知することができる。また、後方検知部の単位角度あたりの画素数が前方検知部と同等に設定されている場合と比較して、制御部にかかる処理負荷を低減することができる。
【0009】
上記の構成において、前記上部本体の左右方向と直交する断面における前記後方検知部の画角が、前記断面における前記前方検知部の画角よりも大きく設定されているものでもよい。
【0010】
本構成によれば、後方検知部のいわゆる垂直画角を前方検知部よりも大きくすることで、死角となりやすい上部本体の後方領域における安全性を確保することができる。
【0011】
上記の構成において、前記前方検知部の画素数と前記後方検知部の画素数とが同じであるものでもよい。
【0012】
本構成によれば、前方検知部および後方検知部の画素数を同じとしながら、前方検知部の画角が相対的に小さく設定されるため、前方検知部の単位角度あたりの画素数がより大きくなり、作業部材の周辺における対象物の検知精度を高めることができる。
【0013】
上記の構成において、前記前方検知部の画角は鋭角であり、前記後方検知部の画角は鈍角であるものでもよい。
【0014】
本構成によれば、前方検知部による作業部材の周辺における対象物の検知精度を高めるとともに、死角となりやすい上部本体の後方領域における安全性を後方検知部によって維持することができる。
【0015】
上記の構成において、前記断面における前記前方検知部の画角の中心線が前記前方検知部から下向きに延びるとともに、前記前方検知部の画角の上限角度が前記前方検知部から上向きに延びるように、前記前方検知部の画角および前記上部本体に対する前記前方検知部の取付角度が設定されているものでもよい。
【0016】
本構成によれば、前方検知部の中心線を下向きに設定することで、対象物が人の場合にその足元を捕捉しやすくなり、人の検知精度を高めることができる。更に、前方検知部の上限角度が上向きに設定されることで、人の頭部をも安定して検知することができる。
【0017】
上記の構成において、平面視における前記前方検知部の画角が、平面視における前記後方検知部の画角よりも小さく設定されており、平面視における前記前方検知部の画角および前記後方検知部の画角が部分的に重なるように設定されているものでもよい。
【0018】
本構成によれば、前方検知部の平面視における画角が小さく設定されることによって、その単位角度あたりの画素数が大きくなるため、作業部材の周辺における対象物の検知精度を高めることができる。特に、上部本体が下部本体に対して旋回する場合であっても、前記旋回に伴って第1監視領域に進入する対象物を安定して検知することができる。また、前方検知部の画角と後方検知部の画角とが部分的に重なっているため、死角の発生を防ぎ、作業機械の周辺において対象物を安定して検知することができる。
【0019】
上記の構成において、前記制御部は、前記対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前記前方検知部および前記後方検知部のうちの少なくとも一方の検知結果に基づいて、前記作業機械に対する前記対象物の前後方向の距離および左右方向の距離をそれぞれ算出し、前記前後方向および前記左右方向のうち前記作業機械の動きによって前記対象物と前記作業機械との距離が小さくなる方向を含む前記作業機械の動作を制限するものでもよい。
【0020】
本構成によれば、作業機械の動作の方向に応じた、対象物と作業機械との距離成分に基づいて作業機械の前記動作を制限することで、作業機械と対象物との衝突を安定して防ぎ、安全性を確保することができる。
【0021】
上記の構成において、前記制御部は、前記対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前記前方検知部の検知結果に基づいて前記作業機械に対する前記対象物の前後方向の距離である対象物距離を算出するとともに、前記上部本体と前記作業部材の先端部との前後方向の距離である先端距離を更に算出し、前記対象物距離が前記先端距離よりも小さい場合に、前記作業機械の動作を制限するものでもよい。
【0022】
本構成によれば、対象物距離と先端距離との大小関係に基づいて作業機械の動作を制限することで、対象物と作業部材との衝突が懸念される場合に動作制限を確実に行うことが可能となる一方、過剰な動作制限が生じることを抑止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、処理負荷を低減しつつ、作業機械の周囲に位置する対象物を精度良く検出することが可能な作業機械の安全装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の例である油圧ショベルを示す側面図である。
図2】前記油圧ショベルの平面図である。
図3】前記油圧ショベルに搭載される油圧回路及びコントローラ等を示すブロック図である。
図4】前記コントローラの主要な機能を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る作業機械の例である油圧ショベルにおいて、カメラの垂直画角を示す側面図である。
図6】カメラの垂直画角を説明するための油圧ショベルの側面図である。
図7】カメラの垂直画角を説明するための油圧ショベルの側面図である。
図8】カメラの水平画角を説明するための油圧ショベルの平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る作業機械の監視領域と対象物との位置関係を示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る作業機械の監視領域と対象物との位置関係を示す平面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る作業機械の監視領域と対象物との位置関係を示す平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る作業機械の監視領域と対象物との位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る安全装置が搭載される作業機械の例である油圧ショベル1の側面図および平面図である。油圧ショベル1は、地面Gの上を走行可能な下部走行体10(下部本体)と、上下方向に延びる軸回りに旋回可能なように下部走行体10に搭載される上部旋回体12(上部本体)と、上部旋回体12から前方に延びるように上部旋回体12に搭載される作業装置14(作業部材)と、作業駆動装置と、を備える。
【0027】
下部走行体10は、右及び左にそれぞれ配置された一対の右クローラ11R及び左クローラ11Lを備える。右及び左クローラ11R,11Lのそれぞれは、下部走行体10が地面Gの上を走行するように動作する。
【0028】
上部旋回体12は、旋回フレーム16と、その上に搭載される複数の要素と、を含む。前記複数の要素は、エンジンを収容するエンジンルーム17と、運転室であるキャブ18と、上部旋回体12の後端部を構成するカウンタウェイト19と、を含む。
【0029】
作業装置14は、ブーム21、アーム22及びバケット24を含む。ブーム21は、起伏可能に旋回フレーム16の前端に支持される。アーム22はブーム21に対して上下方向に回動可能となるようにブーム21の先端部に連結される。バケット24は、掘削作業等を行うための先端アタッチメントであり、アーム22に対して上下方向に回動可能となるようにアーム22の先端部に取付けられる。なお、図2に示すように、作業装置14は、上部旋回体12の前後方向に延びる中心線CAを有し、上部旋回体12に起伏可能に支持されている。キャブ18は、上部旋回体12の前端部であって作業装置14の左側に配置されている。
【0030】
図3は、油圧ショベル1に搭載される油圧回路、複数の対象物検知器60(検知部)、警報器62、表示装置64、及びコントローラ70(制御部)を示す。コントローラ70は、例えばマイクロコンピュータからなり、前記油圧回路に含まれる各要素の作動を制御する。一方、コントローラ70は、複数の対象物検知器60、警報器62及び表示装置64及びに電気的に接続されてこれらとともに安全装置を構成する。
【0031】
前記油圧回路は、ポンプユニット30、複数の油圧アクチュエータ、複数の制御弁、操作装置、複数の操作弁及び複数のパイロット圧センサを含む。
【0032】
ポンプユニット30は、複数の油圧ポンプを含み、当該複数の油圧ポンプは、少なくとも一つのメインポンプとパイロットポンプとを含む。前記複数の油圧ポンプは、駆動源である図略のエンジンに接続され、当該エンジンが出力する動力により駆動されて作動油を吐出する。
【0033】
前記複数の油圧アクチュエータは、それぞれがポンプユニット30からの作動油の供給を受けて前記油圧ショベルの可動部位を動かすものであり、図1に示される複数の作業用油圧シリンダ、すなわち、ブームシリンダ26、アームシリンダ27及びバケットシリンダ28と、図3に示される旋回モータ32、右走行モータ33及び左走行モータ34と、を含む。
【0034】
ブームシリンダ26は、作動油の供給を受けることにより、上部旋回体12に対してブーム21を起伏させるように伸縮する。アームシリンダ27は、作動油の供給を受けることにより、ブーム21に対してアーム22を回動させるように伸縮する。バケットシリンダ28は、作動油の供給を受けることにより、アーム22に対してバケット24を回動させるように伸縮する。
【0035】
旋回モータ32は、一対の右旋回ポート及び左旋回ポートを含み、当該右旋回及び左旋回ポートのうちの一方に作動油が供給されることにより、当該ポートに対応した方向(右旋回方向または左旋回方向)に上部旋回体12を旋回させるように動作する。
【0036】
右走行モータ33は、一対の右前進ポート及び右後進ポートを含み、当該右前進及び右後進ポートの一方に作動油が供給されることにより、当該ポートに対応した方向(前進方向または後進方向)に右クローラ11Rを動かすように動作する。同様に、左走行モータ34は、一対の左前進ポート及び左後進ポートを含み、当該左前進及び左後進ポートの一方に作動油が供給されることにより、当該ポートに対応した方向(前進方向または後進方向)に左クローラ11Lを動かすように動作する。
【0037】
前記複数の制御弁は、前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれの動きの制御を可能とするように開閉動作をする弁であり、図3に示される旋回制御弁36、右走行制御弁37及び左走行制御弁38を含む。
【0038】
旋回制御弁36は、ポンプユニット30と旋回モータ32との間に介在し、ポンプユニット30から旋回モータ32に供給される作動油の方向及び流量(旋回流量)を変化させるように開閉動作する。旋回制御弁36は、右旋回パイロットポート及び左旋回パイロットポートを含むパイロット操作式の方向切換弁により構成され、前記右旋回パイロットポートにパイロット圧が入力されると旋回モータ32の前記右旋回ポートに前記パイロット圧の大きさに対応した流量(右旋回流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁し、逆に前記左旋回パイロットポートにパイロット圧が入力されると旋回モータ32の前記左旋回ポートに当該パイロット圧の大きさに対応した流量(左旋回流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁する。
【0039】
右走行制御弁37は、ポンプユニット30と右走行モータ33との間に介在し、ポンプユニット30から右走行モータ33に供給される作動油の方向及び流量(右走行流量)を変化させるように開閉動作する。右走行制御弁37は、右前進パイロットポート及び右後進パイロットポートを含むパイロット操作式の方向切換弁により構成され、前記右前進パイロットポートにパイロット圧が入力されると右走行モータ33の前記右前進ポートに前記パイロット圧の大きさに対応した流量(右前進流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁し、逆に前記右後進パイロットポートにパイロット圧が入力されると右走行モータ33の前記右後進ポートに前記パイロット圧の大きさに対応した流量(右後進流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁する。
【0040】
左走行制御弁38は、ポンプユニット30と左走行モータ34との間に介在し、ポンプユニット30から左走行モータ34に供給される作動油の方向及び流量(左走行流量)を変化させるように開閉動作する。左走行制御弁38は、左前進パイロットポート及び左後進パイロットポートを含むパイロット操作式の方向切換弁により構成され、前記左前進パイロットポートにパイロット圧が入力されると左走行モータ34の前記左前進ポートに前記パイロット圧の大きさに対応した流量(左前進流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁し、逆に前記左後進パイロットポートにパイロット圧が入力されると左走行モータ34の前記左後進ポートに前記パイロット圧の大きさに対応した流量(左後進流量)で作動油が供給されることを許容するように開弁する。
【0041】
前記複数の制御弁は、その他、ブームシリンダ26、アームシリンダ27及びバケットシリンダ28のそれぞれについて設けられる図略のブーム制御弁、アーム制御弁及びバケット制御弁を含む。
【0042】
前記操作装置は、前記油圧ショベルを動かすための操作を受けてコントローラ70に操作信号を入力するものであり、前記複数の制御弁にそれぞれ対応する複数の操作器を含む。前記複数の操作器のそれぞれは、前記パイロットポンプに接続されるいわゆるリモコン弁により構成され、当該リモコン弁に与えられた操作に対応したパイロット圧が対応する制御弁に与えられることを許容するように開弁する。
【0043】
前記操作装置に与えられる操作は、安全制御の対象となる制御対象操作を含む。当該複数の制御対象操作は、この実施の形態では、下部走行体10に対して上部旋回体12を旋回させるための旋回操作、並びに、右及び左クローラ11R,11Lをそれぞれ動かすための右走行操作及び左走行操作であり、当該右走行操作及び左走行操作は下部走行体10に走行動作を行わせる走行操作に相当する。
【0044】
図3は、前記複数の操作器のうち前記制御対象操作がそれぞれ与えられる旋回操作器42、右走行操作器43及び左走行操作器44を示す。
【0045】
旋回操作器42は、旋回レバー及びこれに連結される旋回パイロット弁を含み、前記旋回パイロット弁は、旋回制御弁36の前記右旋回及び左旋回パイロットポートのうち前記旋回レバーに与えられる旋回操作の方向に対応したパイロットポートに当該旋回操作の大きさに対応した大きさのパイロット圧が供給されるように開弁する。右走行操作器43は、右走行レバー及びこれに連結される右走行パイロット弁を含み、前記右走行パイロット弁は、右走行制御弁37の前記右前進及び左前進パイロットポートのうち前記右走行レバーに与えられる右走行操作の方向に対応したパイロットポートに当該右走行操作の大きさに対応した大きさのパイロット圧が供給されるように開弁する。同様に、左走行操作器44は、左走行レバー及びこれに連結される左走行パイロット弁を含み、前記左走行パイロット弁は、左走行制御弁38の前記左前進及び左前進パイロットポートのうち前記左走行レバーに与えられる左走行操作の方向に対応したパイロットポートに当該左走行操作の大きさに対応した大きさのパイロット圧が供給されるように開弁する。
【0046】
前記複数の操作器は、旋回操作器42及び右走行及び左走行操作器43,44の他、ブーム21を動かすためのブーム操作を受けて前記ブーム制御弁へのパイロット圧の供給を許容するブーム操作器、アーム22を動かすためのアーム操作を受けて前記アーム制御弁へのパイロット圧の供給を許容するアーム操作器、及び、バケット24を動かすためのバケット操作を受けて前記バケット制御弁へのパイロット圧の供給を許容するバケット操作器を含む。前記ブーム操作、前記アーム操作及び前記バケット操作は、いずれも作業装置14を動かすための操作である。
【0047】
前記複数の操作弁は、旋回操作器42、右走行操作器43及び左走行操作器44と、これらの操作器に対応する旋回制御弁36、右走行制御弁37及び左走行制御弁38と、の間にそれぞれ介在し、コントローラ70による前記旋回パイロット圧及び前記右及び左走行パイロット圧の制限を可能にする。具体的に、前記複数の操作弁のそれぞれは電磁式の減圧弁により構成され、当該減圧弁は当該減圧弁に入力される制限指令に対応した度合いでパイロット圧の制限を行う。この実施の形態に係る前記減圧弁のそれぞれは電磁逆比例減圧弁であり、前記制限指令が大きいほど大きな度合いで前記パイロット圧を制限する。前記減圧弁は、電磁比例減圧弁であってもよい。
【0048】
具体的に、前記複数の操作弁は、図3に示される右旋回操作弁46R及び左旋回操作弁46L、右前進走行操作弁47F及び右後進走行操作弁47B、並びに左前進走行操作弁48F及び左後進走行操作弁48Bを含む。
【0049】
右旋回操作弁46Rは、旋回操作器42と旋回制御弁36の右旋回パイロットポートとの間に介在し、旋回操作器42から右旋回パイロットポートに入力される右旋回パイロット圧をコントローラ70から右旋回操作弁46Rに入力される右旋回制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。同様に、左旋回操作弁46Lは、旋回操作器42と旋回制御弁36の前記左旋回パイロットポートとの間に介在し、旋回操作器42から前記左旋回パイロットポートに入力される左旋回パイロット圧をコントローラ70から左旋回操作弁46Lに入力される左旋回制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。
【0050】
右前進走行操作弁47Fは、右走行操作器43と右走行制御弁37の前記右前進パイロットポートとの間に介在し、右走行操作器43から前記右前進パイロットポートに入力される右前進パイロット圧をコントローラ70から右前進走行操作弁47Fに入力される右前進走行制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。同様に、右後進走行操作弁47Rは、右走行操作器43と右走行制御弁37の前記右後進パイロットポートとの間に介在し、右走行操作器43から前記右後進パイロットポートに入力される右後進パイロット圧をコントローラ70から右後進走行操作弁47Rに入力される右後進走行制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。
【0051】
左前進走行操作弁48Fは、左走行操作器44と左走行制御弁38の前記左前進パイロットポートとの間に介在し、左走行操作器44から前記左前進パイロットポートに入力される左前進パイロット圧をコントローラ70から左前進走行操作弁48Fに入力される左前進走行制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。同様に、左後進走行操作弁48Rは、左走行操作器44と左走行制御弁38の前記左後進パイロットポートとの間に介在し、左走行操作器44から前記左後進パイロットポートに入力される左後進パイロット圧をコントローラ70から左後進走行操作弁48Rに入力される左後進走行制限指令に対応した度合いで制限するように動作する。
【0052】
前記複数のパイロット圧センサのそれぞれは、前記旋回操作、前記右走行操作及び前記左走行操作のそれぞれの大きさ(操作量)を検出する操作量検出器である。具体的に、当該複数のパイロット圧センサのそれぞれは圧力センサにより構成され、旋回制御弁36、右走行制御弁37及び左走行制御弁38のそれぞれに入力されるパイロット圧を検出して当該パイロット圧の大きさに対応した検出信号、つまり前記対象操作量に対応する検出信号、をコントローラ70に入力する。具体的に、前記複数のパイロット圧センサは、前記右旋回パイロット圧を検出する右旋回パイロット圧センサ52Rと、前記左旋回パイロット圧センサを検出する左旋回パイロット圧センサ52Lと、前記右前進パイロット圧を検出する右前進パイロット圧センサ53Fと、前記右後進パイロット圧を検出する右後進パイロット圧センサ53Bと、前記左前進パイロット圧を検出する左前進パイロット圧センサ54Fと、前記左後進パイロット圧を検出する左後進パイロット圧センサ54Bと、を含む。
【0053】
前記油圧回路において、旋回モータ32、旋回制御弁36及び右旋回及び左旋回操作弁46R,46Lは、ポンプユニット30とともに、上部旋回体12を旋回させるための旋回駆動回路を構成する。同様に、右走行モータ33、右走行制御弁37及び右前進及び右後進走行操作弁47F,47Bは、ポンプユニット30とともに、右クローラ11Rを動かすための右走行駆動回路を構成し、左走行モータ34、左走行制御弁38及び左前進及び左後進走行操作弁48F,48Bは、ポンプユニット30とともに、左クローラ11Lを動かすための左走行駆動回路を構成する。
【0054】
前記複数の対象物検知器60は、前記油圧ショベルの特定部位にそれぞれ配置され、前記油圧ショベルの周囲に存在する検知対象物を検知するとともに、当該特定部位から前記検知対象物までの距離を含む位置情報を取得することを可能にする検知信号を生成してコントローラ70に入力する。前記複数の対象物検知器60のそれぞれは、この実施形態では単眼カメラ、ステレオカメラといった撮像装置(カメラ)により構成され、前記検知対象物を含む撮影画像を生成する。なお、他の実施形態において、各対象物検知器60は、超音波センサ、赤外線レーザー、ミリ波レーダなどのセンサでもよい。
【0055】
具体的に、この実施形態に係る前記複数の対象物検知器60(検知部)は、油圧ショベル1の周辺の対象物を検知可能なように上部旋回体12に搭載され、図2に示される前対象物検知器60A(前方検知部)、右対象物検知器60R(後方検知部)、左対象物検知器60L(後方検知部)及び後対象物検知器60B(後方検知部)を含む。前対象物検知器60Aは、上部旋回体12の前方に位置する対象物を検知することが可能なように、上部旋回体12の右前端部に配置されている。右対象物検知器60Rは、少なくとも上部旋回体12の右側方に位置する検知対象物を検知することが可能となるように当該上部旋回体12の右側部に配置され、左対象物検知器60Lは、少なくとも上部旋回体12の左側方に位置する検知対象物を検知することが可能となるように当該上部旋回体12の左側部に配置され、後対象物検知器60Bは、少なくとも上部旋回体12の後方に位置する検知対象物を検知することが可能となるように当該上部旋回体12の後端部に配置される。対象物検知器60について換言すると、前対象物検知器60Aは、上部旋回体12の前方の検知範囲を有する。後対象物検知器60B、左対象物検知器60Lおよび右対象物検知器60Rは、上部旋回体12の側方または後方の検知範囲を有する。
【0056】
警報器62は、コントローラ70から警報指令が入力されたときに警報を発出する。警報器62は、音による警報を行うもの、例えばブザー、でもよいし、光による警報を行うもの、例えば警報ランプでもよい。
【0057】
表示装置64は、検知対象物を含む周辺画像を表示することが可能な画面を有するとともに、当該画面をオペレータが視認することが可能となるようにキャブ18内に配置される。表示装置64は、コントローラ70から入力される表示指令信号に対応した画像の表示を行う。
【0058】
コントローラ70は、対象物検知器60A,60R,60L,60Bのそれぞれから入力される画像信号に基づいて油圧ショベル1の周辺における検知対象物の存否を特定し、検知対象物が予め設定された監視領域に進入した場合に所定の安全制御を実行する。
【0059】
前記安全制御は、速度制限制御と、警報制御と、表示制御と、を含む。前記速度制限制御は、前記検知距離に応じて油圧ショベル1の動作のうち予め設定された制限対象動作の速度を制限(減速)する制御であり、当該速度を0にする制御、すなわち前記制限対象動作を強制停止する停止制御、を含んでもよい。前記制限対象動作は、本実施形態では、少なくとも下部走行体10に対する上部旋回体12の旋回動作を含み、状況によって右クローラ11R及び左クローラ11Lによる走行動作も含まれる。前記制限対象動作は、あるいは、作業装置14の動作、例えばブーム21の起伏動作及びアーム22の回動動作を含んでもよい。前記警報制御は、前記検知対象物の検知に基づいて警報器62に前記警報を発出させる制御である。前記表示制御は、前記検知対象物の検知に基づいて表示装置64に警告画像を表示させる制御である。警告画像は、例えば、対象物検知器60A,60R,60L,60Bのそれぞれによる撮影画像であって検知対象物を含む周辺画像である。
【0060】
コントローラ70は、対象物検知器60の検知結果に基づいて上部旋回体12の周囲に設定された後記の監視領域に対する検知対象物の進入を判断し、当該判断結果に応じて各種の安全制御を実行する。コントローラ70は、安全制御を実行するために図4に示されるような複数の機能を備え、当該複数の機能は、位置情報生成部72、安全制御判定部74、旋回制限指令部76、走行制限指令部78、警報指令部82及び表示指令部84を含む。これらの機能は、例えば、コントローラ70に含まれるCPUが当該コントローラ70に含まれるメモリに予め格納されたプログラムを実行することにより、実現される。
【0061】
位置情報生成部72は、対象物検知器60A,60R,60L,60Bのそれぞれから入力される画像信号を周期的に(具体的には予め設定されたサンプリング周期が経過するごとに)取り込み、当該画像信号を処理することにより、当該対象物検知器60A,60R,60L,60Bの撮影範囲内における検知対象物の存否の判別、及び、検知対象物が存在する場合の当該検知対象物の前記基準位置(この実施形態では対象物検知器60A,60R,60L,60Bのそれぞれが配置されている位置)からの距離、すなわち前記検知距離、に相当する距離値を特定し、前記検知対象物の位置及び前記距離値を含む位置情報を生成する。すなわち、位置情報生成部72は、対象物検知器60A,60R,60L,60Bとともに、位置情報を周期的に取得する位置情報取得部を構成する。検知対象物は、少なくとも人(作業員)を含むことが好ましく、人以外の物を含んでもよい。
【0062】
安全制御判定部74は、位置情報生成部72により生成される位置情報に基づき、安全制御の実行の要否及び当該安全制御の内容を特定する。具体的に、この実施形態に係る安全制御判定部74は、安全制御が必要であると判定した場合に、速度の制限をすべき動作を特定するとともに、検知距離に対応した制限対象動作の速度の制限の度合いを決定する。速度の制限には強制停止も含まれる。
【0063】
旋回制限指令部76は、旋回制限指令信号を生成する。前記旋回制限指令信号は、安全制御判定部74により判定される安全制御のうち旋回制限制御を実行するための信号であり、具体的には、右旋回動作または左旋回動作の速度を制限する制御が特定された場合に当該速度(旋回速度)の制限について決定された前記制限度合いで前記速度を制限する(強制停止も含む)ための信号である。旋回制限指令部76は、右旋回操作弁46R及び左旋回操作弁46Lのうち前記制限対象動作に対応する操作弁(右旋回動作が制限される場合には右旋回操作弁46R)に前記旋回制限指令信号を入力する。
【0064】
走行制限指令部78は、走行制限指令信号を生成する。前記走行制限指令信号は、安全制御判定部74により判定される安全制御のうち走行制限制御を実行するための信号であり、具体的には、前進走行動作または後進走行動作の速度を制限する制御が特定された場合に当該速度(走行速度)の制限について決定された前記制限度合いで前記速度を制限する(強制停止も含む。)ための信号である。走行制限指令部78は、右前進走行操作弁47F、右後進走行操作弁47B、左前進走行操作弁48F及び左後進走行操作弁48Bのうち制限すべき前記制限対象動作に対応する操作弁(後進走行動作が制限される場合には右後進走行操作弁47B及び左前進走行操作弁48B)に前記旋回制限指令信号を入力する。
【0065】
警報指令部82は、安全制御判定部74により安全制御が必要と判定された場合に警報指令信号を生成し、当該警報指令信号を警報器62に入力することにより当該警報器62に警報を発出させる。
【0066】
表示指令部84は、安全制御判定部74により安全制御が必要と判定された場合に表示指令信号を生成し、当該表示指令信号を表示装置64に入力することにより、警告画像を表示装置64に表示させる。
【0067】
図2を参照して、本実施形態では、上部旋回体12を基準としてその周囲に複数の監視領域が設定される。具体的に、前記監視領域は、第1停止領域A1(第1監視領域)と、第2停止領域A2(第2監視領域)と、第1減速領域B1(第1監視領域)と、第2減速領域B2(第2監視領域)と、第3減速領域B3(第2監視領域)とを含む。なお、図2に示す監視領域は、上部旋回体12が旋回動作を行う際に設定されるものである。
【0068】
第1停止領域A1は、上部旋回体12の右側で作業装置14に沿って延びるように設定されている。本実施形態では、第1停止領域A1は平面視で前後方向に長く延びる台形形状からなる。第1停止領域A1は、第1外側縁A1Rと、第1内側縁A1Lとを含む。第1外側縁A1Rは、第1停止領域A1の外側(右側)側部を画定するものであって、上部旋回体12の前後方向に延びている。同様に、第1内側縁A1Lは、第1停止領域A1の内側(左側)側部を画定するものであって、上部旋回体12の前後方向に延びている。検知対象物が第1停止領域A1に進入したことが、前対象物検知器60Aによって検知されると、コントローラ70は少なくとも作業装置14の駆動、上部旋回体12の右旋回動作、下部走行体10の前進動作を強制的に停止させる。第1停止領域A1が作業装置14の先端部(バケット24)に左右に隣接する領域を含むように、第1停止領域A1の前後方向の長さが設定されている(作業装置14の最大リーチ範囲に対応)。
【0069】
第2停止領域A2は、図2に示すように、上部旋回体12の左右両側および後方に形成されており、平面視でU字形状を有している。第2停止領域A2は、上部旋回体12の後方の後方停止領域A21と、上部旋回体12の左方の左側停止領域A22と、上部旋回体12の右方の右側停止領域A23とを含む。検知対象物が第2停止領域A2に進入したことが、後対象物検知器60B、右対象物検知器60Rおよび左対象物検知器60Lによって検知されると、コントローラ70は少なくとも上部旋回体12の左右旋回動作、下部走行体10の後進動作を強制的に停止させる。
【0070】
第1減速領域B1は、平面視で第1停止領域A1から見て作業装置14の反対側に配置され、第1外側縁A1Rを境界として第1停止領域A1に接するように配置される。第1減速領域B1は、平面視で前後方向に長く延びる台形形状からなる。第1減速領域B1は、第2外側縁B1Rと、第2内側縁B1Lとを含む。第2外側縁B1Rは、第1減速領域B1の外側(右側)側部を画定するものであって、上部旋回体12の前後方向に延びている。同様に、第2内側縁B1Lは、第1減速領域B1の内側(左側)側部を画定するものであって、上部旋回体12の前後方向に延びている。検知対象物が第1減速領域B1に進入したことが、前対象物検知器60Aによって検知されると、コントローラ70は、少なくとも上部旋回体12の右旋回動作を減速させる。第1減速領域B1が作業装置14の先端部(バケット24)に左右に隣接する領域を含むように、第1減速領域B1の前後方向の長さが設定されている。なお、作業装置14の姿勢が変化した場合、コントローラ70は、作業装置14の先端部の位置に応じて、前述の第1停止領域A1および上記の第1減速領域B1の長さを変化させてもよい。
【0071】
第2減速領域B2および第3減速領域B3は、図2に示すように、左側停止領域A22および右側停止領域A23の左右外側に配置される。検知対象物が第2減速領域B2または第3減速領域B3に進入したことが、左対象物検知器60Lまたは右対象物検知器60Rによって検知されると、コントローラ70は、少なくとも上部旋回体12の左右旋回動作を減速させる。
【0072】
図5は、本実施形態に係る油圧ショベル1において、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60B(カメラ)の画角を示す側面図である。図5では、各カメラの画角FAが2本の実線で図示されている。また、当該画角FAの中心軸CLが一点鎖線で図示されている。また、地上に図示されている数字は、各カメラからの前後方向(水平方向)における距離を表している。本実施形態では、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60Bのいずれの中心軸CLも各検知器から下向きに設定されている。また、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60Bのカメラの画素数は同じである。
【0073】
表1は、前対象物検知器60A(前方検知部)および後対象物検知器60B(後方検知部)の所定角度当たりの画素数を示す。
【0074】
【表1】
図2に示すように、第1停止領域A1の奥行き(上部旋回体12から離れる方向における幅)が第2停止領域A2の奥行きよりも大きい場合に、例えば上記2つのカメラの解像度(画素数)が同一の1080Px(1920×1080=約200万画素)であると、後対象物検知器60Bの画角を広く、前対象物検知器60Aの画角を狭くすることで、単位角度(1度)当たりの各検知器の画素数は、表1のようになる。すなわち、前対象物検知器60Aの単位角度あたりの画素数は、後対象物検知器60Bの前記画素数よりも大きく設定されている。また、一例として、前対象物検知器60Aの垂直画角(上部旋回体12の左右方向と直交する断面における画角)は70度(鋭角)であり、後対象物検知器60Bの垂直画角は120度(鈍角)である。すなわち、後対象物検知器60Bの垂直画角が、前対象物検知器60Aの垂直画角よりも大きく設定されている。
【0075】
表2は、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60Bの各距離間における画素数を示す。一例として、前対象物検知器60Aの距離5mから6mまでの角度差αは6度である。
【表2】
表2では、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60Bの、図5に示す各距離間での画素数を示しており、1度当たりの画素数が大きいほど遠距離での画素差が大きくなるため、より人の検知性能が高くなり、結果として測距精度も向上する。そして、図2に示すように、上部旋回体12の側方または後方では、監視領域の奥行きを狭くし、上部旋回体12の前方では監視領域の左右幅を狭くすることで、対象物(人)を検知するための監視領域が小さくなるように最適化している。この結果、コントローラ70の処理負荷を低減し、処理速度の低下を防ぐことで、油圧ショベル1の制御を迅速に行うことで安全性を確保することができる。なお、表2における角度差は、図5に示すように各カメラ(焦点位置)と当該カメラから1m間隔の位置とを結ぶ直線同士の角度差を意味し、1度当たりの画素数と前記角度差との積によって、1m区間ごとの画素数を算出することができる。
【0076】
図6図7は、前対象物検知器60Aのカメラの垂直画角を説明するための油圧ショベル1の側面図である。本実施形態では、図6に示すように、上部旋回体12の左右方向と直交する断面における前対象物検知器60Aの画角の中心軸CL(中心線、光軸)が、前対象物検知器60Aから下向きに延びるとともに、前対象物検知器60Aの画角の上限角度が前対象物検知器60Aから上向きに延びるように、前対象物検知器60Aの画角および上部旋回体12に対する前対象物検知器60Aの取付角度が設定されている。
【0077】
このように、前対象物検知器60Aの中心軸CLが水平線よりも下向きに設定されることで油圧ショベル1に近接する人Hの足元位置が前対象物検知器60Aの撮影画像内に映り込みやすくなる。なお、図6では、上部旋回体12に近い位置に配置される人Hと下部走行体10とが重なっている状態で示しているが、このような場合も上部旋回体12が旋回した際に作業装置14と人Hとが衝突する可能性がある。したがって、図6に示すように、前対象物検知器60Aの中心軸CLが下向きに設定されていることで、画角FA内に近接する人H(図6の後側の人H)を捉えることができる。
【0078】
なお、図7に示すように、前対象物検知器60Aの画角FAの上限角度(上端)は水平線よりも下向きでもよいが、この場合、遠方の人Hの頭が映り込まなくなり、人の検知率が低下する可能性がある。このため、図6に示すように、画角FAの上限角度は水平線よりも上向きに設定されることがより望ましい。
【0079】
また、前対象物検知器60Aに代表される対象物検知器60には、前述のように単眼カメラが用いられてもよいが、この場合、各検知器から人までの距離は、足元の位置や予め設定された体のサイズから算出される。この場合も、図6に示すように、前対象物検知器60Aの画角が好適に設定されることで、人Hの全身が画角FA内に映り込む確率を高めることが望ましい。
【0080】
図8は、対象物検知器60のカメラの水平画角を説明するための油圧ショベル1の側面図である。本実施形態では、図8に矢印で示すように、平面視における前対象物検知器60Aの画角が、平面視における後対象物検知器60B、左対象物検知器60Lおよび右対象物検知器60Rの各画角よりも小さく設定されている。また、平面視における前対象物検知器60Aの画角および右対象物検知器60R(後方検知部)の画角が部分的に重なるように設定されている。
【0081】
上部旋回体12の前方の領域では、人が自ら上部旋回体12に(例えば上部旋回体12の旋回中心軸に向かって)接近する場合に加え、上部旋回体12の旋回時に相対的に作業装置14に接近する場合も考慮する必要がある。この場合、人は上部旋回体12の旋回中心軸に向かってではなく、上部旋回体12の左右方向に沿って作業装置14に接近する。
【0082】
前者のように上部旋回体12に接近する人の検知精度(測距精度)を高くするには、図5に示すような断面における前対象物検知器60Aの単位角度あたりの画素数を増やすことが望ましい一方、後者のように上部旋回体12の旋回時における作業装置14への接近を精度良く検知するためには、平面視における前対象物検知器60Aの単位角度当たりの画素数を増やすことが望ましい。
【0083】
図9乃至図12は、本実施形態に係る油圧ショベル1の監視領域と対象物との位置関係を示す平面図である。本実施形態では、コントローラ70は、対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前対象物検知器60A、後対象物検知器60B、左対象物検知器60Lおよび右対象物検知器60Rのうちの少なくとも一つの検知結果に基づいて、油圧ショベル1に対する対象物の前後方向の距離および左右方向の距離をそれぞれ算出する。当該方向は、上部旋回体12を基準とする。そして、コントローラ70は、前記前後方向および前記左右方向のうち油圧ショベル1の動きによって対象物と油圧ショベル1との距離が小さくなる方向を含む油圧ショベル1の動作を制限する。
【0084】
具体的に、図9に示すように、作業装置14の右側に人Hが位置する場合において、仮に油圧ショベル1の下部走行体10が前進すると、人Hと油圧ショベル1との前後方向における距離が小さくなる。このため、コントローラ70は、下部走行体10の前進動作を制限することで、人Hと油圧ショベル1との接触、衝突を防止することができる。なお、図9では、第1停止領域A1の先端部に第1減速領域B1が設定される場合を図示しているが、図2に示す各領域の位置関係でも同様である。
【0085】
一方、図10に示すように、作業装置14の右側であって、第1停止領域A1および第1減速領域B1よりも更に右側に人Hが位置する場合を想定する。この状態で仮に下部走行体10が前進したとしても、油圧ショベル1と人Hとは接触しない。しかしながら、図10の状態から上部旋回体12が右回りに旋回すると、人Hが第1減速領域B1および第1停止領域A1に順に進入し、やがて作業装置14と人Hとの接触が懸念される。このため、コントローラ70は、上部旋回体12の右旋回動作を制限することで、人Hと油圧ショベル1との接触、衝突を防止する。以上のように、コントローラ70は、油圧ショベル1が下部走行体10の走行操作によって対象物に接近する場合は前後方向の距離を基に、油圧ショベル1が上部旋回体12の旋回操作によって対象物に接近する場合は左右方向の距離を基に、それぞれ油圧ショベル1の動作を制限することで油圧ショベル1と対象物との衝突を防ぎ、安全性を確保することができる。すなわち、コントローラ70は、油圧ショベル1の動作の方向に応じた、対象物と油圧ショベル1との距離成分に基づいて油圧ショベル1の前記動作を制限し、油圧ショベル1と対象物との衝突を安定して防ぐことができる。
【0086】
更に、本実施形態では、コントローラ70は、対象物が前記監視領域に進入したと判断すると、前対象物検知器60Aの検知結果に基づいて油圧ショベル1に対する対象物の前後方向の距離である対象物距離を算出するとともに、上部旋回体12と作業装置14の先端部との前後方向の距離である先端距離を更に算出する。そして、コントローラ70は、前記対象物距離が前記先端距離よりも小さい場合に、油圧ショベル1の動作を制限する。具体的に、図11に示すように、上部旋回体12と人Hとの前後方向の距離(対象物距離)が、上部旋回体12とバケット24との前後方向の距離(先端距離)よりも大きい場合、上部旋回体12が右旋回動作を行っても、作業装置14と人Hとは接触しない。したがって、この場合、コントローラ70は、上部旋回体12の右旋回動作を制限しない。
【0087】
一方、図12に示すように、上部旋回体12と人Hとの前後方向の距離(対象物距離)が、上部旋回体12とバケット24との前後方向の距離(先端距離)よりも小さい場合、上部旋回体12が右旋回動作を行うと、作業装置14と人Hとの接触が懸念される。したがって、この場合、コントローラ70は、上部旋回体12の右旋回動作を制限すればよい。図11図12に示すような制御を行うことによって、対象物距離と先端距離との大小関係に基づいて、油圧ショベル1(作業装置14)と人Hとの接触が懸念される場合に限って油圧ショベル1の動作を制限することができるため、不必要かつ過剰な動作制限を防ぎ油圧ショベル1の操作性が悪化することを防ぐことができる。
【0088】
以上のように、本実施形態では、前対象物検知器60Aに対応する第1停止領域A1または第2減速領域B2(いずれも第1監視領域)の奥行き(図2では前後方向の長さ)が、後対象物検知器60Bに対応する第2停止領域A2の後方停止領域A21(第2監視領域)の奥行き(図2の前後方向の長さ)よりも大きく設定されている。更に前対象物検知器60Aの単位角度あたりの画素数が後対象物検知器60Bの単位角度当たりの画素数よりも大きく設定されている。このため、上部旋回体12から前方に延びる作業装置14の周辺に位置する対象物を精度良く検知することができる。また、後対象物検知器60Bの単位角度あたりの画素数が前対象物検知器60Aと同等に設定されている場合と比較して、コントローラ70にかかる処理負荷を低減することができる。
【0089】
特に、上部旋回体12から前方に突出する作業装置14は、上部旋回体12の旋回時に、その周速度が上部旋回体12よりも大きくなる。このため、作業装置14の周辺に位置する対象物と作業装置14との衝突を防止するためには、特に高い精度で対象物を検知する必要がある。本実施形態では、図2に示すように、作業装置14に沿って前後に長く設けられた第1停止領域A1および第1減速領域B1に対する対象物の進入を精度良く検知するために、前対象物検知器60Aの検知精度も作業装置14の先端部に至るまで高く確保する必要がある。このため、前対象物検知器60Aの単位角度当たりの画素数が後対象物検知器60Bよりも大きく設定されている。一方、後対象物検知器60Bに代表される後方検知部の単位角度当たりの画素数を前対象物検知器60Aと同等に設定すると、コントローラ70の処理負荷が増大するため、後方検知部の画素数を相対的に小さく設定している。上部旋回体12の側方および後方では、前方と比較して作業装置14のように長く突出する部材がないため、図2に示すように監視領域の奥行きも小さく設定することができる。この点を利用して、後方検知部の画素数を相対的に小さくすることが可能になる。
【0090】
また、本実施形態では、後対象物検知器60Bのいわゆる垂直画角を前対象物検知器60Aよりも大きくすることで、死角となりやすい上部旋回体12の後方領域における安全性を確保することができる。特に、図5に示すように、上部旋回体12の後端部直下はキャブ18内のオペレータが視認しにくい。したがって、同図5に示すように、後対象物検知器60Bの垂直画角が大きく設定され、上記のように視認しにくい領域を検知範囲に含めることで、上部旋回体12の後方における安全性も高く維持される。
【0091】
また、本実施形態では、前対象物検知器60Aおよび後対象物検知器60Bの各々の画素数を同じとしながら、前対象物検知器60Aの垂直画角が相対的に小さく設定されているため、前対象物検知器60Aの単位角度あたりの画素数がより大きくなり、作業装置14の周辺における対象物の検知精度を一層高めることができる。
【0092】
更に、前述のように、前対象物検知器60Aの垂直画角は鋭角であり、後対象物検知器60Bの垂直画角は鈍角であるため、前対象物検知器60Aによる作業装置14の周辺における対象物の検知精度を高めるとともに、死角となりやすい上部旋回体12の後方領域における安全性を後対象物検知器60Bによって安定して維持することができる。
【0093】
また、本実施形態では、図5に示すように、前対象物検知器60Aの中心軸CLを下向きに設定することで、対象物が人の場合にその足元を捕捉しやすくなり、人の検知精度を高めることができる。更に、前対象物検知器60Aの上限角度が上向きに設定されることで、人の頭部をも安定して検知することができる。
【0094】
また、本実施形態では、図8に示すように、前対象物検知器60Aの平面視における画角(水平画角)が相対的に小さく設定されることによって、その単位角度あたりの画素数が大きくなるため、作業装置14の周辺における対象物の検知精度を更に高めることができる。特に、上部旋回体12が下部走行体10に対して旋回する場合であっても、前記旋回に伴って第1停止領域A1および第1減速領域B1に進入する対象物を安定して検知することができる。また、前対象物検知器60Aの水平画角と右対象物検知器60Rの垂直画角とが部分的に重なっているため、更なる死角の発生を防ぎ、油圧ショベル1の周辺において対象物を安定して検知することができる。
【0095】
本発明は、上記で説明した各実施形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を包含する。
【0096】
対象検知物を検知するための位置情報は、作業機械について設定された基準位置に対する検知対象物の相対位置についての情報であればよく、当該基準位置から当該検知対象物の距離についての情報のみを含むものであってもよいし、それ以外の情報を含んでもよい。例えば、下部走行体10に対する上部旋回体12の旋回角度を検出する旋回角度センサが備えられて当該旋回角度センサにより検出される旋回角度に基づいて検知対象物の位置座標が特定されてもよい。
【0097】
また、前記基準位置は、必ずしも対象物検知器の配設位置でなくてもよく(つまり前記距離は対象物検知器から検知対象物までの距離でなくてもよく)、作業機械の他の部位、あるいは作業機械の周囲に設定された位置であってもよい。例えば、対象物検知器により生成される検知信号に基づいて作業機械のうち検知対象物に最も近い部位が特定されて当該部位の位置が前記基準位置に設定されてもよい。つまり、前記距離として常に最短距離が算定されるように、前記基準位置が設定されてもよい。
【0098】
また、本発明に係る対象物検知器は撮像装置を含むものに限られない。例えば、検知対象物に特別な限定がない場合(つまり検知対象物の特定が不要である場合)、対象物検知器は赤外線深度センサやミリ波レーダといった距離検出器であってもよい。あるいは、単眼カメラではなく三次元情報を生成することが可能な撮像装置、例えばステレオカメラであってもよい。
【0099】
本発明において速度制限制御が実行される場合、当該速度制限制御の実行のための具体的な手段は限定されない。例えば、旋回操作器42や走行操作器43,44が電気レバー装置、つまりオペレータにより入力された操作に対応する電気信号を生成してコントローラ入力する装置、であり、当該コントローラが当該電気信号に基づいてパイロット油圧源と制御弁(例えば旋回制御弁36及び走行制御弁37,38)との間にそれぞれ介在する電磁弁を操作するように構成されている作業機械では、当該電磁弁に入力される指令を変化させることにより前記速度制限(つまり前記操作に対応する速度よりも実際の速度を抑えること)が行われてもよい。
【0100】
上記の実施形態では、第1停止領域A1において油圧ショベル1の動作を強制的に停止させる態様にて説明したが、第1停止領域A1に対象物が確認された場合に、前記警報などを発するものでもよい。また、各減速領域B1~B3は設定されなくてもよい。
【0101】
また、上記の実施形態では、前方検知部としての前対象物検知器60Aと、後方検知部としての後対象物検知器60Bの関係に基づいて説明したが、後方検知部として右対象物検知器60Rまたは左対象物検知器60Lと前対象物検知器60Aとの関係においても、同様である。なお、対象物検知器60は、後対象物検知器60B、左対象物検知器60L、右対象物検知器60Rのうちの少なくとも一つを有するものでもよく、特に、左対象物検知器60Lおよび右対象物検知器60Rを有さないものでもよい。
【0102】
また、上記の実施形態では、上部旋回体12が旋回動作を行う際に、図2に示すような監視領域が上部旋回体12を基準としてその周囲に設定される態様にて説明した。本発明は、これに限定されるものではない。図2における、第2停止領域A2の後方停止領域A21の後側に、円弧状の減速領域が更に設定されてもよい。当該減速領域の左右両端部は、第2減速領域B2、第3減速領域B3にそれぞれ接続されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 油圧ショベル(作業機械)
10 下部走行体(下部本体)
12 上部旋回体(上部本体)
14 作業装置
60 対象物検知器
60A 前対象物検知器(検知部、前方検知部)
60B 後対象物検知器(検知部、後方検知部)
60R 右対象物検知器(検知部、後方検知部)
60L 左対象物検知器(検知部、後方検知部)
70 コントローラ(制御部)
A1 第1停止領域(第1監視領域)
A2 第2停止領域(第2監視領域)
CL 中心軸
FA 画角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12