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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030388
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】止水装置及び止水装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133248
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 止水板と下方側不動面の間で水漏れが生じるのを防ぐ。
【解決手段】 水の流れ方向に交差するように止水板10を立設するようにした止水装置において、止水板10の上流側又は下流側に、止水板10の上部を下方側不動面Gに連結する連結具40を設けた。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れ方向に交差するように止水板を立設するようにした止水装置において、
前記止水板の上流側又は下流側に、前記止水板の上部を下方側不動面に連結する連結具を設けたことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ引っ張って前記止水板の下端を前記下方側不動面に圧接することを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
前記連結具は、前記止水板の上部と下方側不動面との間に斜めに設けられ、前記止水板の上部を斜め下方へ引っ張ることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項4】
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ引き寄せる引寄せ具を具備していることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項5】
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ付勢する付勢部材を具備していることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項6】
前記連結具は、その上端側に、前記止水板の上部側に着脱可能に接続される着脱部を有することを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項7】
前記止水板を横幅方向に複数連結するようにした止水装置であって、
前記着脱部は、横幅方向に隣接する二つの前記止水板に跨って嵌り合うことを特徴とする請求項6記載の止水装置。
【請求項8】
前記連結具は、一端側が、前記止水板の上部に対し横幅方向の回転軸を支点に回転可能に接続され、他端側が、下方側不動面に対し回転不能に接続されていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項9】
前記連結具と前記止水板の接続部分よりも下側で、前記止水板を前記下方側不動面に係止する係止具が設けられていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項10】
前記止水板を下方側不動面に立設する工程と、前記止水板の上部を前記連結具により下方側不動面に連結する工程とを含むことを特徴とする請求項1~9何れか1項記載の止水装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増水時に建物や地下道の開口部を略板状の止水体により閉鎖して水の侵入を阻む止水装置、及び止水装置の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態に備えて、予め建物や地下道などの開口部の近傍に止水板を格納しておき、増水が発生したときには、この止水板を前記開口部の両側の支柱に固定し、水の侵入を阻むようにした止水装置が従来知られている(特許文献1参照)。
この止水装置では、止水板における左右端部側の押圧機構が操作されることで、止水板の下端の横方向水密材を下方側不動面(例えば床面等)に圧接して、水密性を保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-14865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、下方側不動面である床面の不陸によっては止水性能が理想状態よりは低下する。特に、止水板の左右端部側は上記押圧機構により左右の枠部材に係合して下方へ押圧されるのに対し、止水板の中央側は、押圧機構等が無いため、下方側不動面との間で止水性能が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
水の流れ方向に交差するように止水板を立設するようにした止水装置において、前記止水板の上流側又は下流側に、前記止水板の上部を下方側不動面に連結する連結具を設けたことを特徴とする止水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水板と下方側不動面の間で水漏れが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水装置の一例を示す正面図である。
図2図1における(II)-(II)線に沿う縦断面図である。
図3】同止水装置の平面図である。
図4】係止具の一例を示す三面図である。
図5図1における(II)-(II)線に沿う縦断面において、止水板を支柱に装着している様子を示す図である。
図6】同縦断面において、連結具及び係止具を装着している様子を示す図である。
図7】本発明に係る止水装置の他例を示す要部縦断面である。
図8】本発明に係る止水装置の他例を示す要部縦断面である。
図9】本発明に係る止水装置の他例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、上流側とは、想定される水の流れの上流側を意味し、
図示例によれば、当該止水装置1の設置対象となる構築物の屋外側が上流側であり、同構築物の屋内側が下流側である。なお、他例としては、上流側を屋内側とし、下流側を屋外側とすることも可能である。
【0009】
<第一の実施形態>
止水装置1は、横幅方向に間隔を置いて立設される左右の支柱X,X間に、単数又は複数(図示例によれば左右二つ)の止水板10,10を設置して、左右の支柱X,X間を通過しようとする水の流れを止水板10,10によって阻むものである。
【0010】
この止水装置1は、二枚の止水板10,10と、これら止水板10,10を下方側不動面Gに係止する係止具30と、止水板10,10の上流側で止水板10,10の上部を下方側不動面Gに連結する連結具40とを具備する。
【0011】
支柱Xは、止水装置1の設置対象である構築物の開口部における左右両側の部分を構成している。前記開口部の具体例としては、自動ドアの扉体によって開閉される開口部や、地下道の出入口等が挙げられる。
各支柱Xは、硬質金属材料によって下方側不動面Gから上方へ延びる柱状に形成される。
各支柱Xの開口部側の面には、上側被係合部x1及び下側被係合部x2が設けられている(図2参照)。これら上側被係合部x1と下側被係合部x2には、後述する上側係合部15と下側係合部16によってそれぞれ係合される。
【0012】
上側被係合部x1と下側被係合部x2の各々は、硬質金属材料からなる円柱ピン状に構成される。
上側被係合部x1と下側被係合部x2は、それぞれ、支柱Xの上部側と下部側において、左右の支柱X,X間の内側(開口部中央側)へ突出する。
【0013】
止水板10は、支柱X,X間の開口部の左半部と右半部をそれぞれ覆うように、左右に隣接して設けられる。
二つの止水板10、10は、左右対称に構成され、水密に接している(図3参照)。
【0014】
各止水板10は、正面視略矩形状の止水板本体11と、止水板本体11の下流側面において、横幅方向の一端側から突出するとともに上下方向へわたって長尺状に連続する第一の縦方向水密材12と、同止水板本体11の他端側における側面から突出する上下方向へわたって長尺状に連続する第二の縦方向水密材13と、止水板本体11から下方へ突出するとともに横幅方向へわたって長尺状に連続する横方向水密材14と、止水板本体11の左端側又は右端側から対応する支柱Xへ向かって突出する上側係合部15及び下側係合部16とを一体的に具備する。
【0015】
止水板本体11は、金属等の硬質材料より所定の厚みを有する略矩形板状に形成される。
止水板本体11の下流側面は、支柱Xに対向する部分が、凹状に切欠されており(図3参照)、この凹状部分に、第一の縦方向水密材12、上側係合部15及び下側係合部16が設けられる。
【0016】
また、止水板本体11の上流面側には、係止具30の係脱部31aを係止するための被係止部11aが設けられる。この被係止部11aは、二つの止水板10,10の中央寄り位置する。
詳細に説明すれば、止水板本体11の上流側面には、上流側を開口した有底の穴(図示せず)が設けられ、この穴内に、上方へ立ち上がった板状の被係止部11a(図2参照)が設けられる。
なお、他例としては。被係止部11aを外部に露出するように配設してもよい。
【0017】
第一の縦方向水密材12と第二の縦方向水密材13は、それぞれ、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から上下方向へ連続する長尺状に形成される。
【0018】
第一の縦方向水密材12は、止水板本体11及び横方向水密材14を上下方向の全長にわたって跨るように設けられる。この第一の縦方向水密材12は、上下方向の全長にわたって支柱Xに圧接される。
【0019】
第二の縦方向水密材13は、止水板本体11及び横方向水密材14を上下方向の全長にわたって跨るように設けられる。この第二の縦方向水密材13は、隣接する止水板10の第二の縦方向水密材13に対し、上下方向の全長にわたって圧接される。
【0020】
横方向水密材14は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から長尺状に形成され、止水板本体11の下端面において、左右方向の略全長にわたって長尺状に連続している(図1参照)。
【0021】
第一の縦方向水密材12、第二の縦方向水密材13、及び横方向水密材14をそれぞれ止水板本体11に接合する手段は、接着材(両面テープや接着剤等を含む)による接着や、図示しないブラケットを介在した嵌合等とすればよい。
【0022】
係止具30は、一端側が止水板本体11に係止されるとともに他端側が下方側不動面Gに接する係止片31と、この係止片31を着脱可能に下方側不動面Gに止着する着脱部材32とを備える。
【0023】
係止片31は、一端側に平面視略フォーク状に分かれた二つの係脱部31a,31aを有するとともに、他端側に下方側不動面Gに重なり合って固定される平板上の固定部31bを有する。
【0024】
二つの係脱部31a,31aは、左右の止水板10,10に対応するように配設される。各係脱部31aは、止水板本体11内の被係止部11aに係脱するように略フック状に形成される。
【0025】
固定部31bは、下方側不動面Gに重なり合う平板状に形成され、着脱部材32を上下に挿通するための貫通孔31b1を有する。
【0026】
着脱部材32は、先端側に雄ネジ部を有するボルトの後端側に、手で回転操作可能な摘まみ部を固定したものである。
この着脱部材32の雄ネジ部は、係止片31の固定部31bを貫通し、不動面Gに設けられた雌ネジ孔g1に螺合し締め付けられる。
【0027】
連結具40は。止水板10の上部と下方側不動面Gとの間に斜めに設けられ(図2参照)、止水板10の上部を斜め下方へ引っ張って,止水板10の下端の横方向水密材14を下方側不動面Gに圧接する。
【0028】
詳細に説明すれば、この連結具40は、止水板10の上部を斜め下方へ引っ張るように操作される引寄せ具41と、この引寄せ具41の上端側に枢支されるとともに止水板10の上部側に着脱可能に接続される着脱部42と、引寄せ具41の下端側を支持するとともに下方側不動面Gに対し着脱可能に止着される止着部43とを備える。
【0029】
引寄せ具41は、長手方向の中央側に位置する略筒状の回転操作部41aと、この回転操作部41aの一端側に螺合された正ネジ状の上側螺合部材41bと、同回転操作部41aの他端側に螺合された逆ネジ状の下側螺合部材41cとを備える。この引寄せ具41によれば、回転操作部41aが一方向へ回転されることで、上側螺合部材41bと下側螺合部材41cの間隔が狭まり、同回転操作部41aが逆方向へ回転されることで、上側螺合部材41bと下側螺合部材41cの間隔が拡がる。この引寄せ具41には、周知構造のターンバックルを用いることが可能である。
【0030】
上側螺合部材41bの上端側には、ブラケット41b1が一体的に固定される。また、下側螺合部材41cの下端側には、ブラケット41c1が一体的に固定される。
【0031】
着脱部42は、横幅方向に隣接する二つの止水板10,10に跨って嵌り合う嵌合部42aと、上側螺合部材41bの上端側に固定されたブラケット41b1を回動可能に枢支する枢支部42bとを一体的に具備する。
【0032】
嵌合部42aは、逆凹状の縦断面を横幅方向へ連続した溝形鋼状を呈し、硬質金属材料から形成される。
【0033】
枢支部42bは、嵌合部42aから上流側へ突出するとともに、その突端側に、上側螺合部材41bの上端側を、回転軸42cを介して回転自在に枢支している。すなわち、上側螺合部材41bは、横幅方向の回転軸42cを支点に回動するように、枢支部42bに支持される。
【0034】
止着部43は、下側螺合部材41cの下端側に固定されたブラケット41c1を枢支するとともに、下方側不動面Gに固定された支持部材43aと、この支持部材43aを下方側不動面Gに対し着脱可能に接続する着脱部材43bとから構成される。
【0035】
支持部材43aは、下方側不動面Gに重なり合う略板状の基部43a1と、この基部43a1から上方へ突出する枢支部43a2とを一体に有する。枢支部43a2は、横方向の回転軸43cを介して下側螺合部材41c下端側のブラケット41c1を回転可能に枢支している。
【0036】
着脱部材43bは、上記着脱部材32と同様に、先端側に雄ネジ部を有するボルトの後端側に、手で回転操作可能な摘まみ部を固定したものである。
この着脱部材43bの雄ネジ部は、支持部材43aの基部43a1を下方へ貫通し、不動面Gに設けられた雌ネジ孔g2に螺合し締め付けられる。
【0037】
次に、上記構成の止水装置1を設置する手順について説明する。
先ず、左右の止水板10,10をそれぞれ左右の支柱X,Xに掛止するとともに下方側不動面G上に立設する。
【0038】
詳細に説明すれば、一方の止水板10について。第一の縦方向水密材12を支柱Xに圧接するとともに横方向水密材14を下方側不動面Gに圧接させて、上側係合部15と下側係合部16を、それぞれ、支柱Xの上側被係合部x1と下側被係合部x2に掛合する(図5参照)。
【0039】
次に、他方の止水板10について、第一の縦方向水密材12を支柱Xに圧接するとともに横方向水密材14を下方側不動面Gに圧接させ、第二の縦方向水密材13を一方の止水板10の第二の縦方向水密材13に圧接させて、上側係合部15と下側係合部16を、それぞれ、支柱Xの上側被係合部x1と下側被係合部x2に掛合する。
【0040】
次に、左右の止水板10,10の下端側を、係止具30によって下方側不動面Gに固定する。
詳細に説明すれば、係止具30における係止片31の係脱部31a,31aがそれぞれ、左右の止水板10,10の被係止部11a,11aに掛止され、固定部31bが着脱部材32によって下方側不動面Gに止着される。
【0041】
次に、左右の止水板10,10の上部を、連結具40によって下方側不動面Gに連結する。
詳細に説明すれば、連結具40上端側の嵌合部42aが、左右の止水板10,10に対し左右に跨るようにして上方から被せられ嵌め合わせられる。
そして、支持部材43aが着脱部材43bによって下方側不動面Gに止着される。
【0042】
次に、連結具40の回転操作部41aを回転操作することで、連結具40を緊締する。この操作により、両止水板10,10の上端側が上流側斜め下方へ引っ張られる。そして、これに伴って、各止水板10の下端の横方向水密材14が、下方側不動面Gに対しより強く圧接される。
【0043】
よって、上記構成の止水装置1よれば、両止水板10,10の中央側を下方へ十分に押圧することができ、仮に下方側不動面Gに若干の凹凸がある場合等でも、横方向水密材14を下方側不動面Gに対し密接させて、止水板10と下方側不動面Gの間で水漏れが生じるのを防ぐことができる。
【0044】
<第二の実施形態>
以下に示す実施形態は、上記止水装置1について一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明を省略する。
【0045】
図7に示す止水装置2は、上記止水装置1において、支持部材43aを支持部材43a’に置換し、固定ピン43dを加えることで、連結具40の引寄せ具41の下端側を、下方側不動面Gに対し回転不能に接続したものである。
【0046】
支持部材43a’は、下方側不動面Gに重なり合う略板状の基部43a1と、この支持部材43aから上方へ突出する枢支部43a2’と一体に有する。
【0047】
枢支部43a2’は、横方向の回転軸43cにより下側螺合部材41cの下端側のブラケット41c1に枢支されるとともに、その枢支部分から径方向に離れた位置に固定ピン43dを挿入している。固定ピン43dは、枢支部43a2’及び支持部材43a’に貫通し嵌り合っている。
【0048】
よって、図7に示す止水装置2によれば、支持部材43a’に対し引寄せ具41を回転不能に保持することができ、これによって、止水板10にがたつきを生じるのを防ぐことができる。
【0049】
<第三の実施形態>
図8に示す止水装置3は、上記止水装置1において、引寄せ具41を付勢部材44に置換したものである。
付勢部材44は、引張コイルバネであり、その一端側を着脱部42に止着するとともに他端側を支持部材43aに止着することで、止水板10の上部を下方へ付勢する。
【0050】
止水装置3によれば、より簡素な構造によって、両止水板10,10の中央側を下方へ押圧し、横方向水密材14を下方側不動面Gに対し密接させることができ、ひいては、止水板10と下方側不動面Gの間で水漏れが生じるのを防ぐことができる。
【0051】
<第四の実施形態>
図9に示す止水装置4は、上記止水装置1において、複数の止水板10を単数の止水板10’に置換したものである。
止水板10’は、支柱X,X間の開口部を左右に跨る単一の止水板本体11’と、この止水板本体11’の下流側面の両側にそれぞれ設けられた第一の縦方向水密材12、上側係合部15、及び下側係合部16、止水板本体11’下端から下方へ突出するとともに横幅方向の全長にわたる横方向水密材(図示せず)等から構成される。
【0052】
止水装置4によれば、単一の止水板10の中央側部分を下方へ押圧し、止水板10’下端の横方向水密材(図示せず)を下方側不動面Gに対し密接させることができ、ひいては、止水板10’と下方側不動面Gの間で水漏れが生じるのを防ぐことができる。
【0053】
<その他の変形例>
上記実施形態によれば、連結具40を止水板10の上流側に設けたが、他例としては、同構造の連結具を止水板10の下流側に設けり、同構造の連結具を止水板10の上流側と下流側の両方に設けたり等することも可能である。
【0054】
上記実施形態によれば、止水板10の上部を上流側斜め下方へ引っ張ったが、図示例以外の他例としては、止水板10の上部を略真下に引っ張るようにすることも可能である。この他例では、止水板10の上部に上流側へ突出するアームを設け、このアームの先端側を、図示しない連結具により下方側不動面Gに連結して、下方へ引っ張るようにすればよい。
【0055】
また、上記実施形態によれば、連結具40を引寄せ具41又は付勢部材44により構成したが、この連結具40は、止水板10の上部を下方側不動面Gに連結する構成であればよく、他例としては、紐やワイヤー、帯状部材(例えば、可撓性のベルト等)、棒状部材等を用いた構成とすることも可能である。
【0056】
上記実施形態によれば、止水板10の上端側を下方側不動面G側へ引っ張る手段としては、引寄せ具41又は付勢部材44を用いたが、この手段の他例としては、引寄せ具41と付勢部材44の両方を用いた態様や、図示例以外の引張装置を用いた態様、これらを適宜に組み合わせた態様等とすることが可能である。
【0057】
上記実施形態によれば、特に好ましい態様として、上記連結具が止水板10の上部を下方へ引っ張るように構成したが、他例としては、止水板10の上部と下方側不動面Gとを引張作用を有しない棒状の連結具(図示せず)により連結した態様とすることも可能である。
【0058】
上記実施形態によれば、着脱部42は、止水板10の上部に対し凹状に嵌り合うようにしたが、他例としては、止水板10の上部に凹部を設け、この凹部に対し、上側螺合部材41bの上端側に設けた凸状の着脱部(図示せず)を嵌め合わせるようにしてもよい。
さらに、他例としては、例えば、上側螺合部材41bの上端側に設けたフック状部材を止水板10の上部に掛止する態様や、上側螺合部材41bの上端側に設けた磁石を止水板10の上部に磁気吸着させる態様等とすることも可能である。
【0059】
図7に示す止水装置2によれば、引寄せ具41の下端側を支持部材43a’に対し回転不能に接続したが、他例としては、引寄せ具41の上端側を止水板10の上部に対し回転不能に接続した態様や、引寄せ具41の上端側と下端側をそれぞれ止水板10の上部と下方側不動面Gに対し回転不能に接続した態様等とすることも可能である、
【0060】
上記実施態様によれば、特に好ましい一例として、係止具30は止水板10の下端側部分を下方側不動面Gに係止する構成にしたが、この係止具30は、少なくとも連結具40と止水板10の接続部分よりも下側で止水板10を下方側不動面Gに係止する構成にすることが可能である。
【0061】
上記実施態様において、左右の止水板10,10間の水密構造や、止水板10と支柱Xの間の水密構造、止水板10と下方側不動面Gの間の水密構造等は、それぞれ、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0062】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
水の流れ方向に交差するように止水板を立設するようにした止水装置において、前記止水板の上流側又は下流側に、前記止水板の上部を下方側不動面に連結する連結具を設けたことを特徴とする止水装置(図1図9参照)。
(2)
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ引っ張って前記止水板の下端を前記下方側不動面に圧接することを特徴とする(1)に記載の止水装置(図2参照)。
(3)
前記連結具は、前記止水板の上部と下方側不動面との間に斜めに設けられ、前記止水板の上部を斜め下方へ引っ張ることを特徴とする(1)に記載の止水装置(図2参照)。
(4)
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ引き寄せる引寄せ具を具備していることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の止水装置(図2参照)。
(5)
前記連結具は、前記止水板の上部を下方へ付勢する付勢部材を具備していることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の止水装置(図9参照)。
(6)
前記連結具は、その上端側に、前記止水板の上部側に着脱可能に接続される着脱部を有することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の止水装置(図6参照)。
(7)
前記止水板を横幅方向に複数連結するようにした止水装置であって、前記着脱部は、横幅方向に隣接する二つの前記止水板に跨って嵌り合うことを特徴とする(6)に記載の止水装置(図7参照)。
(8)
前記連結具は、一端側が、前記止水板の上部に対し横幅方向の回転軸を支点に回転可能に接続され、他端側が、下方側不動面に対し回転不能に接続されていることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の止水装置(図8参照)。
(9)
前記連結具と前記止水板の接続部分よりも下側で、前記止水板を前記下方側不動面に係止する係止具が設けられていることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の止水装置(図2参照)。
(10)
前記止水板を下方側不動面に立設する工程と、前記止水板の上部を前記連結具により下方側不動面に連結する工程とを含むことを特徴とする(1)~(9)のいずれかに記載の止水装置の設置方法(図5及び図6参照)。
【符号の説明】
【0064】
1,2,3,4:止水装置
10,10’:止水板
11,11’:止水板本体
12:第一の縦方向水密材
13:第二の縦方向水密材
14:横方向水密材
30:係止具
31:係止片
32:着脱部材
40:連結具
41:引寄せ具
42:着脱部
43:止着部
44:付勢部材
G:下方側不動面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9