(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030389
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240229BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240229BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133249
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】岩田 奈々
(72)【発明者】
【氏名】菊池 有記
(72)【発明者】
【氏名】大根田 弘
(72)【発明者】
【氏名】島田 有希乃
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EC03
2E036EC05
2E036GA02
2E139AA08
2E139AC19
2E139AC20
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 開口部の幅が異なる場合にも容易に対応する。
【解決手段】 横幅方向の中央寄りに位置する第一止水板10と、この第一止水板10の一方の面に対し、その左右両側でそれぞれ接する二つの第二止水板20,20とを具備し、これら第一止水板10及び第二止水板20,20によって開口部を水密に閉鎖する止水装置であって、二つの第二止水板20,20のうち、少なくとも一方の第二止水板20は、第一止水板10に対し、横幅方向へ移動可能にするための重なり代Wを確保して、水密に接している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横幅方向の中央寄りに位置する第一止水板と、この第一止水板の一方の面に対し、その左右両側でそれぞれ接する二つの第二止水板とを具備し、これら第一止水板及び第二止水板によって開口部を水密に閉鎖する止水装置であって、
前記二つの第二止水板のうち、少なくとも一方の第二止水板は、前記第一止水板に対し、横幅方向へ移動可能にするための重なり代を確保して、水密に接していることを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記第一止水板と前記第二止水板とは、縦方向水密材を介して上下方向へわたって水密に接していることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
前記第一止水板は、下方側の不動面に対し、着脱部材により着脱可能に止着されていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項4】
前記第二止水板は、前記第一止水板に対し、想定される水の流れ方向の上流側から接していることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項5】
前記第一止水板と前記第二止水板のうち、少なくとも一方の止水板は、一方の面を平坦状に形成した平板部と、横幅方向へわたって前記一方の面の上端側又は下端側から突出する突片部とを有し、前記一方の面を対向させて重ね合わせ可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項6】
隣接する二つの前記第二止水板の両側には、横幅方向に間隔を置いて二つの支柱が立設され、
前記支柱の上部側と下部側には、それぞれ、左右の支柱間の内側へ突出するように上側被係合部と下側被係合部が設けられ、前記第二止水板の上部側と下部側には、それぞれ、前記上側被係合部と前記下側被係合部に係合する上側係合部と下側係合部が設けられていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の止水装置。
【請求項7】
前記第一止水板と前記第二止水板に嵌り合って、これら第一止水板及び第二止水板が厚さ方向へ離隔するのを阻む嵌合固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項8】
前記嵌合固定部材は、二つの前記第二止水板を横幅方向に跨るように連続していることを特徴とする請求項7記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増水時に建物や地下道の開口部を略板状の止水体により閉鎖して水の侵入を阻む止水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態に備えて、予め建物や地下道などの開口部の近傍に止水板を格納しておき、増水が発生したときには、この止水板を前記開口部を構成する両側の支柱に固定し、水の侵入を阻むようにしたものが従来知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記開口部の横幅寸法は、前記開口部に連通する通路の用途等に応じて異なる。このため、一つの建物や地下道等について、複数種類の横幅寸法の開口部が存在する場合がある。
そこで、上記従来の止水装置は、開口部の横幅寸法に合わせて止水板をオーダーするようにしていた。このため、納期がかかることや、オーダー後の寸法変更が困難なこと、横幅寸法が大きくなると全体重量も大きくなり搬送性が低下すること等、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
横幅方向の中央寄りに位置する第一止水板と、この第一止水板の一方の面に対し、その左右両側でそれぞれ接する二つの第二止水板とを具備し、これら第一止水板及び第二止水板によって開口部を水密に閉鎖する止水装置であって、前記二つの第二止水板のうち、少なくとも一方の第二止水板は、前記第一止水板に対し、横幅方向へ移動可能にするための重なり代を確保して、水密に接していることを特徴とする止水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開口部の幅が異なる場合にも容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る止水装置の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図1における(IV)-(IV)線に沿う縦断面図である。
【
図5】同縦断面において、第一止水板を設置している様子を示す図である。
【
図6】同断面において、第二止水板と嵌合固定部材を設置している様子を示す図である。
【
図7】第一止水板を重ね合わせる様子を(a)~(b)に順次に示す図である。
【
図8】異なる大きさの第一止水板を重ね合わせる様子を(a)~(b)に順次に示す図である。
【
図9】第一止水板と第二止水板を重ね合わせる様子を(a)~(b)に順次に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、上流側とは、想定される水の流れの上流側を意味し、
図示例によれば、当該止水装置1の設置対象となる構築物の屋外側が上流側であり、同構築物の屋内側が下流側である。なお、他例としては、上流側を屋内側とし、下流側を屋外側とすることも可能である。
【0009】
止水装置1は、横幅方向に間隔を置いて立設された二つの支柱X,Xの間の開口部を、第一止水板10及び第二止水板20,20によって水密に閉鎖するものである。
この当該止水装置1は、開口部内の横幅方向の中央寄りに位置する第一止水板10と、この第一止水板10の一方(図示例によれば下流側)の面に対し、その左右両側でそれぞれ接する二つの第二止水板20,20と、第一止水板10及び第二止水板20,20に嵌り合う嵌合固定部材30とを具備する(
図1及び
図2参照)。
【0010】
支柱Xは、当該止水装置1の設置対象である構築物の開口部における左右両側の部分を構成している。各支柱Xは、例えば硬質金属材料によって下方側不動面Gから上方へ延びる柱状(図示例によれば角筒状)に形成される。
各支柱Xの開口部側の面には、上側被係合部x1及び下側被係合部x2(
図3参照)が設けられている。これら上側被係合部x1と下側被係合部x2は、後述する上側係合部24と下側係合部25にそれぞれ係合される。
【0011】
上側被係合部x1と下側被係合部x2の各々は、硬質金属材料からなる円柱ピン状に構成される。
上側被係合部x1は、支柱Xの上部側において、左右の支柱X,X間の内側(開口部中央側)へ突出する。
下側被係合部x2は、支柱Xにおける上側被係合部x1よりも下側において、左右の支柱X,X間の内側(開口部中央側)へ突出する。
【0012】
なお、
図2中、符号x3は、開口部を開閉する自動ドアの扉体を例示している。
【0013】
第一止水板10は、下方側の不動面G(例えば、地面や床面、下枠等)に対し、着脱部材19により着脱可能に止着されている。
詳細に説明すれば、この第一止水板10は、略直立する第一止水板本体11と、第一止水板本体11の左右両端側でそれぞれ上流側へ突出するとともに上下方向へわたって連続する2つの縦方向水密材12,12と、第一止水板本体11から下方へ突出するとともに横方向へわたって連続する横方向水密材13とを一体的に具備する。
【0014】
第一止水板本体11は、正面視矩形板状の平板部11aと、この平板部の上端側で下流側へ曲げられた上側突片部11bと、同平板部の下端側で下流側へ曲げられた下側突片部11cとを有する側面視略コ字状を呈し、例えば、硬質金属製の板材から形成される。
【0015】
下側突片部11cには、上下方向の貫通孔が形成され、この貫通孔に着脱部材19が回転自在に遊挿される。
【0016】
着脱部材19は、先端側に雄ネジ部を有するボルトの後端側に、手で回転操作可能な摘まみ部を固定したものである。
この着脱部材19は。下側突片部11c及び横方向水密材13を下方へ貫通し、その下端側が、不動面Gに設けられた雌ネジ孔g1に螺合し締め付けられる。
【0017】
縦方向水密材12は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、第一止水板本体11の上下方向へわたる長尺状に形成される。
この縦方向水密材12は、第一止水板本体11の上流側面に固定され、平板部11a及び横方向水密材13を上下方向に跨っている。縦方向水密材12を第一止水板本体11に固定する手段は、接着材(例えば、接着剤や両面テープなど)を用いた接着や、ブラケット等を介した嵌合等とすればよい。
【0018】
横方向水密材13は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から長尺状に形成され、下側突片部11cの下面において左右全長にわたって連続している。
この横方向水密材13を下側突片部11cに固定する手段は、接着材(例えば、接着剤や両面テープなど)を用いた接着や、ブラケット等を介した嵌合等とすればよい。
【0019】
二つの第二止水板20,20は、左右方向に間隔を置いて隣接しており、左右対称に構成される。
各第二止水板20は、略直立する第二止水板本体21と、第二止水板本体21の横幅方向の一端側で下流側へ突出するとともに上下方向へわたって長尺状に連続する縦方向水密材22と、第二止水板本体21から下方へ突出するとともに横幅方向へわたって長尺状に連続する横方向水密材23と、第二止水板本体21の横幅方向の一端側から対応する支柱Xへ向かって突出する上側係合部24及び下側係合部25とを一体的に具備する。
【0020】
各第二止水板20は、第一止水板10の上流側面に対し、重なり代Wを確保した状態で(
図2参照)、上下方向にわたって水密に接している。
重なり代Wは、第一止水板10と第二止水板20が重なり合う横幅方向の寸法である。
各第二止水板20は、上側係合部24及び下側係合部25によって支柱Xに係合していない状態では、重なり代Wの範囲で。左右方向へ移動可能である。
【0021】
第二止水板本体21は、正面視矩形板状の平板部21aと、この平板部21aの下端側で上流側へ曲げられた突片部21bとを有する側面視略L字状を呈し、例えば、硬質金属製の板材から形成される。
【0022】
縦方向水密材22は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、第二止水板本体21の上下方向へわたる長尺状に形成される。
この縦方向水密材22は、第二止水板本体21の下流側面における横幅方向の一端側に固定され、第二止水板本体21及び横方向水密材23を上下方向に跨っている。この縦方向水密材22を第二止水板本体21に固定する手段は、
図2の例示によれば、ブラケット等を介した嵌合としているが、接着材(例えば、接着剤や両面テープなど)を用いた接着とすることも可能である。
【0023】
横方向水密材23は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から長尺状に形成され、突片部21bの下面において左右全長にわたって長尺状に連続している。特に図示例の横方向水密材23は、突片部21b下面において、下流側寄りに固定される(
図4参照)。
この横方向水密材23を突片部21bに固定する手段は、接着材(例えば、接着剤や両面テープなど)を用いた接着や、ブラケット等を介した嵌合等とすればよい。
【0024】
上側係合部24は、第二止水板本体21における下流側面の上部側に位置し、下流側へ突出している。この上側係合部24は。支柱Xの上側被係合部x1に対し斜め上側から近づいて係合するように、略凹状に構成される(
図6参照)。この上側係合部24の係合状態は、図示しない係脱機構に対する手動操作により解除可能である。
【0025】
下側係合部25は、第二止水板本体21における下流側面の下部側に位置し、下流側へ突出している。この下側係合部25は。支柱Xの下側被係合部x2に対し斜め上側から近づいて係合するように、略凹状に構成される(
図6参照)。係合状態の下側係合部25は、前記とは逆方向(上流側斜め上方)への移動により、下側係合部25から離脱可能である。
【0026】
嵌合固定部材30は、硬質金属製の板材から、縦断面逆凹状に曲げ形成され、横幅方向へ長尺状に連続している。
この嵌合固定部材30は、一方の第二止水板20から他方の第二止水板20に跨る長さを有し、第一止水板10及び両側の第二止水板20,20の一部分に対し上方から被さるように嵌り合っており、この嵌合構造により、各第一止水板10と第二止水板20が厚さ方向へ離隔するのを阻む。
【0027】
<設置手順>
次に、上記構成の第一止水板10及び第二止水板20を、両側の支柱X,X間に設置する手順を説明する。
先ず、不動面G上において左右の支柱X,X間の略中央に、第一止水板10を載置し、着脱部材19先端側の雄ネジ部を、不動面G側の雌ネジ孔g1に螺合し締め付ける(
図5参照)。
これによって、第一止水板10下端の横方向水密材13は、不動面Gに圧接されて水密性を保持する。
【0028】
次に、左右の第二止水板20を、それぞれ、支柱Xと第一止水板10の間に対し近づける。そして、支柱Xの上側被係合部x1と下側被係合部x2に対し、それぞれ、上側係合部24と下側係合部25を上流側斜め上方から近づけて嵌め合わせる(
図6参照)。
【0029】
これによって、各第二止水板20の縦方向水密材22は、支柱Xに圧接されて水密性を保持し、各第二止水板20の横方向水密材23は、不動面Gに圧接されて水密性を保持する。
【0030】
次に、第一止水板10及び第二止水板20,20に対し、上方から覆いかぶせられるようにして嵌合固定部材30が嵌め合わせられる。
嵌合固定部材30は、左側の第二止水板20の右端側と、右側の第二止水板20の左端側とを跨るように位置する。
これによって、嵌合固定部材30の上底面は、第一止水板10及び第二止水板20の上端に接触又は近接し、同嵌合固定部材30の上流側の内面は、第二止水板20の上流側面に接触又は近接し、同嵌合固定部材30の下流側の内面は、第一止水板10の上側突片部11bの突端に接触又は近接する(
図4参照)。
【0031】
このようにして、左右の支柱X,X間の開口部が、第一止水板10及び第二止水板20,20によって水密に閉鎖される。
この閉鎖状態で上流側が浸水した場合、第二止水板20が水圧を受けて下流側へ撓んで第一止水板10に対しさらに圧接される。しかも、第一止水板10と第二止水板20の間は、嵌合固定部材30によって離隔しないように保持される。したがって、第二止水板20と第一止水板10の間に水漏れを生じるような隙間が生じるのを防ぐことができる。
【0032】
また、各第一止水板10は、支柱Xに係合していない状態において、重なり代Wの範囲内で横幅方向へ移動可能である。
したがって、例えば、設置対象である左右の支柱X,X間の幅が異なる場合には、各第一止水板10について第二止水板20との水密性を保持したまま横幅方向へ移動して、各第一止水板10を横方向の位置が異なる支柱Xに係合させることができる。
すなわち、止水対象となる開口部の幅が異なる場合にも容易に対応することができる。
【0033】
次に、上記構成の第一止水板10及び第二止水板20を収納する際の特徴について詳細に説明する。
第一止水板10の第一止水板本体11は、一方の面を平坦状に形成した平板部11aと、横幅方向へわたって前記一方の面の上端側から突出する上側突片部11bと、横幅方向へわたって前記一方の面の下端側から突出する下側突片部11cとを有し、前記一方の面を対向させて重ね合わせ可能に構成されている。
【0034】
また、第二止水板20の第二止水板本体21は、一方の面を平坦状に形成した平板部21aと、横幅方向へわたって前記一方の面の下端側から突出する突片部21bとを有し、前記一方の面を対向させて重ね合わせ可能に構成されている。
【0035】
したがって、例えば、複数箇所に設置される複数の止水装置1に対応して複数の第一止水板10がある場合に、これら第一止水板10のうちの二枚を、
図7(a)(b)に示すように重ね合わせることができる。
【0036】
詳細に説明すれば、一方の第一止水板10は、上側突片部11b及び下側突片部11cを上方へ向けて下方側の不動面等に載置される。
他方の第一止水板10は、上側突片部11b及び下側突片部11cを上方へ向けて下方側の前記一方の第一止水板10に重ね合わせられる。
【0037】
この重ね合わせ状態において、一方の第一止水板10の上側突片部11bと、他方の第一止水板10の上側突片部11bは、それぞれ、突端を平板部11aに突き当てて、下側突片部11cに重なり合う。
よって、
図7(b)に示すように、コンパクトで安定した収容態様を得ることができる。
【0038】
また、例えば、複数箇所に設置される複数の止水装置1に対応して、異なる高さの複数の第一止水板10,10’,10”がある場合に、これら第一止水板10,10’,10”を、
図8に示すように重ね合わせることができる。
【0039】
詳細に説明すれば、第一止水板10は、上側突片部11b及び下側突片部11cを上方へ向けて下方側の不動面等に載置される。
【0040】
次に、第一止水板10’は、上側突片部11b及び下側突片部11cを上方へ向けて、下方側の第一止水板10の平板部11a上に載置される。
【0041】
さらに、第一止水板10”は、上側突片部11bの突端を第一止水板10”の平板部11aに突き当てるとともに、下側突片部11cの突端を第一止水板10の平板部11aに突き当てるようにして、第一止水板10’の上側に重ね合わせられる(
図8(b)参照)。なお、この重ね合わせ状態において、第一止水板10’の上側突片部11bの突端は、第一止水板10”の平板部11aに近接又は接触する。
【0042】
よって、
図8(b)に示すように、高さ寸法の異なる第一止水板10,10’,10”について、コンパクトで安定した収納態様を得ることができる。
【0043】
また、例えば、第一止水板10と第二止水板20を
図9に示すように重ね合わせることもできる。
【0044】
詳細に説明すれば、第一止水板10は、上側突片部11b及び下側突片部11cを上方へ向けて下方側の不動面等に載置される(
図9(a)参照)。
【0045】
第二止水板20は、突片部21bを下方へ向けるとともに、平板部21aを平板部11aに対向させて、第一止水板10の上側に重ね合わせられる。
【0046】
この重ね合わせ状態において、第一止水板10の上側突片部11bの突端は、第二止水板20の平板部21aに突き当たる。
また、第二止水板20突片部21bは、その突端を、第一止水板10の平板部11aに近接又は接触する。
【0047】
よって、
図9(b)に示すように、第一止水板10及び第二止水板20について、コンパクトで安定した収納態様を得ることができる。
【0048】
<変形例>
上記実施形態によれば、好ましい一例として、第一止水板10を左右の第二止水板20,20よりも下流側に設けたが、他例としては、第一止水板10を左右の第二止水板20,20よりも上流側に設けた態様や、第一止水板10を第二止水板20,20の上流側と下流側の両方に設けた態様とすることが可能である。
【0049】
上記実施形態によれば、嵌合固定部材30を左右の第二止水板20,20に跨る長さに形成したが、この嵌合固定部材30の他例としては、一方の第二止水板20と第一止水板10を跨るものと、他方の第二止水板20と第一止水板10を跨るものとの二つから構成することも可能である。
【0050】
上記実施形態によれば、着脱部材19は、不動面Gに対し螺合接続したが、この着脱部材の他例としては、不動面Gに対し螺合接続以外の着脱可能な接続手段(例えば、磁石等)によって接続することも可能である。
【0051】
また、上記実施形態によれば、第一止水板10と第二止水板20の間の縦方向水密材12を第一止水板10に対し一体的に設けたが、他例としては、この縦方向水密材を第一止水板10には設けずに第二止水板20に対し一体的に設けたり、この縦方向水密材を第一止水板10と第二止水板20の両方に設けたりすることも可能である。
【0052】
また、上記実施形態によれば、第二止水板20については、下端側のみに突片部21bを設けたが、この第二止水板20の他例としては、上端側と下端側の両方に同様の突片部を設けることも可能である。
【0053】
また、上記実施形態によれば、第一止水板10及び両側の第二止水板20,20を略同じ高さ寸法に形成したが、図示例以外の他例としては、嵌合固定部材30を省いて、第一止水板10の高さ寸法を両側の第二止水板20,20よりも大きくしてもよい。
このようにすれば、
図9のようにして収納する際に、第一止水板10の内側に両側の第二止水板20,20を重ね合わせて内在することが可能になる。
【0054】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0055】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
横幅方向の中央寄りに位置する第一止水板と、この第一止水板の一方の面に対し、その左右両側でそれぞれ接する二つの第二止水板とを具備し、これら第一止水板及び第二止水板によって開口部を水密に閉鎖する止水装置であって、前記二つの第二止水板のうち、少なくとも一方の第二止水板は、前記第一止水板に対し、横幅方向へ移動可能にするための重なり代を確保して、水密に接していることを特徴とする止水装置(
図1~
図6参照)。
(2)
前記第一止水板と前記第二止水板とは、縦方向水密材を介して上下方向へわたって水密に接していることを特徴とする(1)に記載の止水装置(
図4参照)。
(3)
前記第一止水板は、下方側の不動面に対し、着脱部材により着脱可能に止着されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の止水装置(
図5参照)。
(4)
前記第二止水板は、前記第一止水板に対し、想定される水の流れ方向の上流側から接していることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の止水装置(
図2参照)。
(5)
前記第一止水板と前記第二止水板のうち、少なくとも一方の止水板は、一方の面を平坦状に形成した平板部と、横幅方向へわたって前記一方の面の上端側又は下端側から突出する突片部とを有し、前記一方の面を対向させて重ね合わせ可能に構成されていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の止水装置(
図7~
図9参照)。
(6)
隣接する二つの前記第二止水板の両側には、横幅方向に間隔を置いて二つの支柱が立設され、前記支柱の上部側と下部側には、それぞれ、左右の支柱間の内側へ突出するように上側被係合部と下側被係合部が設けられ、前記第二止水板の上部側と下部側には、それぞれ、前記上側被係合部と前記下側被係合部に係合する上側係合部と下側係合部が設けられていることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の止水装置(
図4及び
図6参照)。
(7)
前記第一止水板と前記第二止水板に嵌り合って、これら第一止水板及び第二止水板が厚さ方向へ離隔するのを阻む嵌合固定部材が設けられていることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の止水装置(
図4参照)。
(8)
前記嵌合固定部材は、二つの前記第二止水板を横幅方向に跨るように連続していることを特徴とする(7)に記載の止水装置(
図1及び
図2参照)。
【0056】
また、上記実施形態では、次の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明は、水の流れに対し交差するように立設される止水板であって、一方の面を平坦状に形成した平板部と、横幅方向へわたって前記一方の面の上端側又は下端側から突出する突片部とを有し、前記一方の面を対向させて重ね合わせ可能に構成されていることを特徴とする止水板(
図3及び
図7~
図9参照)。
この発明によれば、平板部を突片部により補強した構造のため水圧等による撓みを抑制できる上、複数毎収納する際には、一方の面を対向させて重ね合わせることができ、その収納性が良好である。
【符号の説明】
【0057】
1:止水装置
10:第一止水板
12:縦方向水密材
13:横方向水密材
19:着脱部材
20:第二止水板
22:縦方向水密材
23:横方向水密材
24:上側係合部
25:下側係合部
30:嵌合固定部材
W:重なり代
X:支柱
x1:上側被係合部
x2:下側被係合部