IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プロジェクター 図1
  • 特開-プロジェクター 図2
  • 特開-プロジェクター 図3
  • 特開-プロジェクター 図4
  • 特開-プロジェクター 図5
  • 特開-プロジェクター 図6
  • 特開-プロジェクター 図7
  • 特開-プロジェクター 図8
  • 特開-プロジェクター 図9
  • 特開-プロジェクター 図10
  • 特開-プロジェクター 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030409
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240229BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240229BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240229BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240229BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20240229BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240229BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 340
F21V5/04 650
F21V7/28 240
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133286
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】天野 裕高
(72)【発明者】
【氏名】上原 健彦
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203GA02
2K203GA23
2K203GA36
2K203GB04
2K203HA02
2K203HA22
2K203HA35
2K203HA36
2K203HA43
2K203HA63
2K203MA04
(57)【要約】
【課題】光源の光利用効率を向上できる、プロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、非直線偏光である第1光を射出する光源と、第1光を所定の直線偏光に変換する偏光変換ユニットと、所定の直線偏光を変調する液晶パネルを含む光変調装置と、所定の直線偏光を液晶パネルに重畳させる重畳光学系と、を備え、偏光変換ユニットは、第1光を第2光と第3光とに分離する偏光分離部と、第2光および第3光の偏光方向を所定の直線偏光に揃える位相差素子と、を有する。偏光分離部は、偏光分離素子および反射素子を含み、偏光分離素子は第1光の主光線に対して傾いた状態に設けられ、第1光のうちの第1直線偏光成分を第2光として重畳光学系に向けて反射するとともに第1光のうちの第2直線偏光成分を第3光として透過させることで第1光を分離し、反射素子は、偏光分離素子から入射する第3光を重畳光学系に向けて反射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非直線偏光である第1光を射出する光源と、
前記光源から入射する前記第1光を所定の直線偏光に変換する偏光変換ユニットと、
前記偏光変換ユニットで変換された前記所定の直線偏光を変調する液晶パネルを含む光変調装置と、
前記偏光変換ユニットから入射する前記所定の直線偏光を前記液晶パネルに重畳させる重畳光学系と、を備え、
前記偏光変換ユニットは、前記第1光を偏光成分に基づいて第2光と第3光とに分離する偏光分離部と、前記第2光および前記第3光の偏光方向を前記所定の直線偏光に揃える位相差素子と、を有し、
前記偏光分離部は、偏光分離素子および反射素子を含み、
前記偏光分離素子は、前記第1光の主光線に対して傾いた状態に設けられ、前記第1光のうちの第1直線偏光成分を前記第2光として前記重畳光学系に向けて反射するとともに前記第1光のうちの前記第1直線偏光成分と異なる偏光方向の第2直線偏光成分を前記第3光として透過させることで前記第1光を分離し、
前記反射素子は、前記偏光分離素子から入射する前記第3光を前記重畳光学系に向けて反射する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記偏光分離素子および前記反射素子は、それぞれプレート状であり、
前記偏光分離素子および前記反射素子は、互いに離間して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記偏光分離部は、前記偏光分離素子および前記反射素子が保持される透光性部材をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記反射素子で反射された前記第3光の光路に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子で反射された前記第2光の光路に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面を有し、
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子の前記光入射面に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記反射素子は、前記第3光を反射する光反射面を有し、
前記位相差素子は1/4波長板で構成され、前記反射素子の前記光反射面に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面と前記第3光を射出する光射出面とを有し、
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子の前記光射出面に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面を有し、
前記反射素子は、前記第3光を反射し、前記光入射面と平行である光反射面を有し、
前記光入射面および前記光反射面と前記第1光の主光線とがなす角度が45°である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記光変調装置により変調された画像光を投射する投射光学系と、前記光変調装置から射出された前記画像光の光路を折り曲げて前記投射光学系に入射させるミラーと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記偏光分離部に入射する前記第1光の主光線に沿う第1方向と、前記ミラーから前記投射光学系に向けて射出される前記画像光の主光線に沿う第2方向とは、反対方向である、
ことを特徴とする請求項10に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記光源と前記偏光変換ユニットと前記光変調装置と前記重畳光学系とを収容し、設置用部品が設けられた設置用壁部を有する外装筐体をさらに備え、
前記偏光変換ユニットと前記重畳光学系と前記光変調装置と前記ミラーとが並んで配置される方向は、前記設置用壁部の内面に沿い、かつ、前記投射光学系の光軸に沿う方向である、
ことを特徴とする請求項10に記載のプロジェクター。
【請求項13】
前記光源と前記偏光変換ユニットと前記光変調装置と前記重畳光学系とを収容し、設置用部品が設けられた設置用壁部を有する外装筐体をさらに備え、
前記偏光変換ユニットと前記重畳光学系と前記光変調装置と前記ミラーとが並んで配置される方向は、前記設置用壁部の内面に直交する方向である、
ことを特徴とする請求項10に記載のプロジェクター。
【請求項14】
前記重畳光学系と前記光変調装置との間に設けられ、前記重畳光学系から射出された光を平行化する平行化光学系をさらに備え、
前記平行化光学系は、フレネルレンズで構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項15】
前記重畳光学系は、前記偏光変換ユニットから射出された前記第2光が入射する第1レンズ部と、前記偏光変換ユニットから射出された前記第3光が入射する第2レンズ部と、を有し、
前記第1レンズ部から射出された前記第2光の主光線と前記第2レンズ部から射出された前記第3光の主光線とは、前記光変調装置に向かうにつれて互いに近づく、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項16】
前記重畳光学系はフレネルレンズで構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項17】
前記液晶パネルは、カラーフィルターを有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項18】
前記光源から射出された前記第1光は白色光である、
ことを特徴とする請求項16に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光変調素子として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクター、いわゆる単板式のプロジェクターが知られている(例えば、下記特許文献1,2参照)。下記特許文献1では、液晶パネルの入射側偏光板として反射型偏光素子を設けることで光源から入射する光のうち所定の直線偏光を液晶パネルに入射させるようにしている。下記特許文献2では、非偏光の光を射出するLEDを光源として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第201622432号明細書
【特許文献2】中国実用新案第212515320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非偏光の光が入射側偏光板を透過する際、入射側偏光板の透過軸と異なる偏光方向の光がカットされてしまう。このため、単板式のプロジェクターにおいて非偏光の光を射出する光源を用いる場合、光源の光利用効率が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によれば、非直線偏光である第1光を射出する光源と、前記光源から入射する前記第1光を所定の直線偏光に変換する偏光変換ユニットと、前記偏光変換ユニットで変換された前記所定の直線偏光を変調する液晶パネルを含む光変調装置と、前記偏光変換ユニットから入射する前記所定の直線偏光を前記液晶パネルに重畳させる重畳光学系と、を備え、前記偏光変換ユニットは、前記第1光を偏光成分に基づいて第2光と第3光とに分離する偏光分離部と、前記第2光および前記第3光の偏光方向を揃える位相差素子と、を有し、前記偏光分離部は、偏光分離素子および反射素子を含み、前記偏光分離素子は、前記第1光の主光線に対して傾いた状態に設けられ、前記第1光のうちの第1直線偏光成分を前記第2光として前記重畳光学系に向けて反射するとともに前記第1光のうちの前記第1直線偏光成分と異なる偏光方向の第2直線偏光成分を前記第3光として透過させることで前記第1光を分離し、前記反射素子は、前記偏光分離素子から入射する前記第3光を前記重畳光学系に向けて反射する、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】外装筐体の要部構成を示す図である。
図3】偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
図4】第2実施形態の偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
図5】第3実施形態の偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
図6】第4実施形態の偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
図7】第5実施形態の偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
図8】第6実施形態のプロジェクターの要部構成を示す平面図である。
図9】第7実施形態のプロジェクターの要部構成を示す平面図である。
図10】第8実施形態のプロジェクターの内部レイアウトを示す側面図である。
図11】変形例の偏光変換ユニットの要部構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0009】
図1に示すように、プロジェクター1は、光源100と、光学系150と、偏光変換ユニット200と、重畳光学系250と、平行化光学系300と、集光光学系350と、光変調装置400と、ミラー450と、投射光学系500と、外装筐体10と、を備えている。
【0010】
本実施形態のプロジェクター1において、光源100から射出される照明光(第1光)Lの主光線Laが通る軸を照明光軸AX、光変調装置400の中心を通ってプロジェクター1の構成部品を配置する基準となる軸を基準軸Jと定義する。
なお、以下の説明において、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、照明光軸AXおよび基準軸Jと平行な軸である。Y軸は、プロジェクターの画像投射方向に沿う軸であってX軸およびZ軸に直交する。以下、プロジェクター1における各部材の配置や形状を説明する場合において、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の高さに相当するZ軸方向と平行な方向を上下方向Z、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の横幅に相当するX軸方向と平行な方向を左右方向X、画像投射側からプロジェクター1を正面視した際の奥行に相当するY軸方向と平行な方向を前後方向Yと称す。また、Z方向の一方側である+Z側を「上側(+Z)」、Z方向の他方側である-Z側を「下側(-Z)」、X方向の一方側である+X側を「右側(+X)」、X方向の他方側である-X側を「左側(-X)」、画像光を投射するY方向の一方側である+Y側を「前側(+Y)」、Y方向の他方側である-Y側を「後側(-Y)」と称す場合がある。なお、上側(+Z)、下側(-Z)、前側(+Y)、後側(-Y)、右側(+X)、左側(-X)とは、単にプロジェクター1の各構成部材の配置関係を説明する定義であって、プロジェクター1における実際の設置姿勢や方向を限定するものではない。
【0011】
光源100および光学系150は照明光軸AXに沿って配置されている。
光源100は非直線偏光の白色光を照明光Lとして後側(-Y)に向けて射出する。本実明細書において、非直線偏光の光とは、例えば、非偏光(ランダム偏光)、円偏光、楕円偏光の光を意味する。
本実施形態の場合、光源100は、例えば、発光ダイオード(LED)から構成され、照明光(第1光)Lとして非偏光、すなわち複数の直線偏光が重なり合って全体として偏光状態が観測されない状態の光を射出する。このように光源100としてLEDを用いることでプロジェクター1の小型化および軽量化が可能となる。
【0012】
光学系150は光源100から射出される照明光Lを取り込んで平行化する。光学系150は、例えば、2枚の凸レンズ150a,150bで構成される。なお、光学系150を構成するレンズの枚数については特に限定されず、1枚あるいは3枚以上であってもよい。
【0013】
光学系150により平行化された照明光Lは偏光変換ユニット200に入射する。偏光変換ユニット200は、光源100から入射する照明光Lを所定の直線偏光である変換光L0に変換する。偏光変換ユニット200は、変換光L0を右側(+X)に向けて射出する。偏光変換ユニット200の構成については後述する。
【0014】
重畳光学系250は、偏光変換ユニット200から入射する変換光L0を光変調装置400に重畳させる。本実施形態の重畳光学系250は負のパワーを有するため、重畳光学系250よりも大型の光変調装置400に対して偏光変換ユニット200からの光を拡大投射することができる。
【0015】
光変調装置400は、1枚のカラー表示に対応した液晶パネルを含む単板式の液晶光変調装置である。具体的に光変調装置400は、カラーフィルターを備えた液晶パネル401と、入射側偏光板402と、射出側偏光板403と、を有している。このように、単板式の液晶光変調装置を採用することによって、プロジェクター1の小型化が図れる。
【0016】
液晶パネル401は、偏光変換ユニット200からの変換光L0を画像情報に応じて変調して画像光GLを生成する。入射側偏光板402は、液晶パネル401の光入射側に設けられている。射出側偏光板403は、液晶パネル401の光射出側に設けられている。入射側偏光板402と射出側偏光板403とは、互いの偏光軸が直交するように配置されている。
【0017】
平行化光学系300は、重畳光学系250と光変調装置400との間に配置される。具体的に平行化光学系300は、入射側偏光板402の光入射側に配置される。平行化光学系300は重畳光学系250から入射する光を平行化して光変調装置400に入射させる。本実施形態において、平行化光学系300はフレネルレンズで構成され、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。このため、平行化光学系300は光軸方向の厚さを抑えることでプロジェクター1の基準軸Jに沿う左右方向Xの寸法が抑えられている。
【0018】
集光光学系350は、液晶パネル401の光射出側に配置される。具体的に集光光学系350は、射出側偏光板403の光射出側に配置される。集光光学系350は、液晶パネル401から射出された光を集光させる。本実施形態において、集光光学系350はフレネルレンズで構成され、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。このため、集光光学系350は光軸方向の厚さを抑えることでプロジェクター1の基準軸Jに沿う左右方向Xの寸法が抑えられている。
また、集光光学系350により液晶パネル401から射出された光を集光させることで後段に配置される投射光学系500のレンズ径を小型化することができる。
なお、集光光学系350と射出側偏光板403との位置を入れ替えてもよい。
【0019】
ミラー450は基準軸Jに対して45°の角度をなすように配置される。ミラー450は、光変調装置400から射出された画像光GLの光路を90°折り曲げて投射光学系500に入射させる。なお、投射光学系500を基準軸Jに沿って配置するレイアウトを採用する場合、ミラー450は省略可能である。
【0020】
投射光学系500は、投射レンズから構成されている。投射光学系500はミラー450を経由して入射する光変調装置400によって変調された画像光GLを不図示のスクリーンに向けて投射する。なお、投射光学系500を構成する投射レンズの枚数については、特に限定されず、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、投射光学系500を構成する複数のレンズのうち最も光入射側のレンズを集光光学系350として利用してもよい。
【0021】
光源100、光学系150、偏光変換ユニット200、重畳光学系250、平行化光学系300、集光光学系350、光変調装置400、ミラー450および投射光学系500は、外装筐体10の内部に収容されている。
【0022】
外装筐体10は、複数の壁部で構成された略直方体箱状であり、プロジェクター1の外装を構成する。外装筐体10は、第1壁部11と、第2壁部12と、第3壁部13と、第4壁部14と、第5壁部15と、第6壁部16と、を有する。
【0023】
第1壁部11は、上下方向Zのうち上側(+Z)を向く壁部であり、第2壁部12は、上下方向Zのうち下側(-Z)を向く壁部である。第3壁部13は、上下方向Zと交差する前後方向Yのうち後側(-Y)を向く壁部であり、第4壁部14は、前後方向Yのうち前側(+Y)を向く壁部である。第5壁部15は、上下方向Zと交差する左右方向Xのうち右側(+X)を向く壁部であり、第6壁部16は、左右方向Xのうち左側(-X)を向く壁部である。第1壁部11と第2壁部12とは、上下方向Zに間隔を空けて配置されている。第3壁部13と第4壁部14とは、前後方向Yに間隔を空けて配置されている。第5壁部15と第6壁部16とは、左右方向Xに間隔を空けて配置されている。
【0024】
なお、本明細書において「外装筐体の或る壁部が或る方向を向く」とは、例えば、或る壁部の外側の壁面における少なくとも半分以上の部分の向きが、或る方向を向く成分を含んで入ればよい。例えば、「第1壁部11が+Z側を向く」とは、第1壁部11の壁面の少なくとも一部が+Z側に傾斜していてもよいし、第1壁部11の壁面の全体が+Z方向と直交してもよい。
【0025】
図2は外装筐体10の要部構成を示す図である。
図2に示すように、外装筐体10の第2壁部(設置用壁部)12には設置用部品17が設けられている。設置用部品17とは、プロジェクター1の設置時に使用される部品である。設置用部品17としては、例えば、机等の設置面に当接する設置用脚部、設置面に対するプロジェクター1の高さを調整する高さ調整機構部、三脚や天吊り用金具を取り付けるためのネジ部等を例示できる。
【0026】
本実施形態のプロジェクター1において、光源100、光学系150、偏光変換ユニット200、重畳光学系250、平行化光学系300、集光光学系350、光変調装置400、ミラー450および投射光学系500は、図1に示すように、第2壁部12の内面12aに沿って配置されている。本実施形態のプロジェクター1000では、外装筐体10内で偏光変換ユニット200、重畳光学系250および光変調装置400が並ぶ方向は、第2壁部12の内面12aに沿う左右方向Xである。
【0027】
偏光分離部210に入射する照明光Lの主光線Laに沿う第1方向(-Y方向)と、ミラー450から投射光学系500に向けて射出される画像光GLの主光線に沿う第2方向(+Y方向)とは反対方向である。
【0028】
図3は、偏光変換ユニット200の要部構成を示す平面図である。図3は、偏光変換ユニット200を上側(+Z)から視た平面図である。
図3に示すように、偏光変換ユニット200は、偏光分離部210と、位相差素子220と、を有する。
【0029】
偏光分離部210は、照明光Lを偏光成分に基づいて第2光L2と第3光L3とに分離する。偏光分離部210は、互いに離間かつ対向した状態で配置される偏光分離素子213および反射素子214を含む。
【0030】
本実施形態において、偏光分離素子213、反射素子214および位相差素子220はプレートホルダー125にそれぞれ保持される。プレートホルダー125は、プロジェクター1の外装筐体10の内側に固定されている。このように偏光分離素子213、反射素子214および位相差素子220はプレートホルダー125によって所定の位置に高精度で配置されている。なお、偏光分離素子213、反射素子214および位相差素子220を保持するプレートホルダー125はそれぞれ別体で構成されても良いし、一体で構成されてもよい。
【0031】
偏光分離素子213は、光入射面213aと光射出面213bとを有する。光入射面213aは光源100からの照明光Lが入射する面である。光射出面213bは、光入射面213aと平行かつ反対を向く面であり、偏光分離素子213を透過した光を射出する面である。
偏光分離素子213は、光源100の後側(-Y)に配置されている。偏光分離素子213は、照明光Lの主光線Laに対して光入射面213aが傾いた状態に設けられる。偏光分離素子213は、光入射面213aが照明光軸AX(照明光Lの主光線La)に対して35°~55°具体的には45°の角度をなすように、配置されている。このため、光射出面213bは、光入射面213aと同様に、照明光軸AX(照明光Lの主光線La)と45°の角度をなすように配置されている。
本実施形態の場合、光入射面213aには反射防止膜ARが設けられている。これにより、光入射面213aと空気層との界面による照明光Lの反射が抑制されるため、照明光Lが光入射面213aに対して効率良く入射できる。
【0032】
偏光分離素子213は、非偏光である照明光Lに対する偏光分離機能を有する。すなわち、偏光分離素子213は、非偏光の照明光Lに含まれる偏光成分のうち光入射面213aの表面に対するS偏光成分を主に反射し、光入射面213aの表面に対するP偏光成分を主に透過する。本実施形態の偏光分離素子213は、例えば、ガラス等の透光性基板に誘電体多層膜を成膜して構成される。つまり、本実施形態において、偏光分離素子213はプレート状である。
【0033】
偏光分離素子213は、照明光LのうちのS偏光成分(第1直線偏光成分)L2sを第2光L2として重畳光学系250に向けて反射するとともに、非偏光の照明光LのうちのS偏光成分と異なる偏光方向のP偏光成分(第2直線偏光成分)L3pを第3光L3として後側(-Y)に透過させる。
このようにして偏光分離素子213は照明光Lを第2光L2と第3光L3とに分離する。
【0034】
反射素子214は、偏光分離素子213の後側(-Y)に隙間を空けて配置されている。反射素子214は、偏光分離素子213の光射出面213bと平行である光反射面214aを有する。反射素子214は、光反射面214aが照明光軸AX(照明光Lの主光線La)に対して45°の角度をなすように、配置されている。
【0035】
本実施形態の反射素子214は、例えば、基板表面に金属膜を成膜した金属ミラーで構成される。反射素子214は、偏光分離素子213から入射する第3光L3を重畳光学系250に向けて反射する。なお、S偏光成分を反射する誘電体多層膜を基板表面に成膜したミラーで反射素子214を構成してもよい。つまり、本実施形態において、反射素子214はプレート状である。
【0036】
位相差素子220は、第2光L2および第3光L3の偏光方向を揃える板状の部材である。
本実施形態の位相差素子220は1/2位相差板で構成され、反射素子214で反射された第3光L3の光路に設けられている。本実施形態の位相差素子220は、例えば板状またはフィルム状の樹脂を延伸させる、あるいは、プラスチック基板の表面に光の波長よりも小さい周期構造をナノインプリント法で形成することで構成された板状の部材である。また、水晶、サファイア、ニオブ酸リチウム、方解石などの無機材料を用いて位相差素子220を形成してもよい。
【0037】
反射素子214で反射された第3光L3は位相差素子220を透過する。第3光L3は、位相差素子220を透過することでP偏光成分L3pからS偏光成分L3sに変換される。つまり、位相差素子220は、第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)に第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)を揃える。
【0038】
このようにして本実施形態の偏光変換ユニット200は、無偏光の照明光LをS偏光に揃えた第2光L2および第3光L3を含む変換光L0に変換することができる。なお、本明細書において、第2光L2および第3光L3の偏光方向が揃うとは、第2光L2および第3光L3の偏光方向が完全に一致する場合、つまり第2光L2および第3光L3各々の偏光方向がなす角度が0°の状態のみならず、第2光L2および第3光L3各々の偏光方向がなす角度が±20°以内の状態も含む。
【0039】
ここで、偏光変換ユニット200において、偏光分離素子213の光入射面213aの左右方向Xにおける幅を第1幅H1とし、偏光分離素子213および反射素子214の前後方向Yにおける合計幅を第2幅H2とする。第1幅H1は偏光変換ユニット200に入射する照明光Lの光束幅に相当し、第2幅H2は偏光変換ユニット200から射出される変換光L0の光束幅に相当する。本実施形態の場合、第2幅H2は第1幅H1の2倍に相当する。
本実施形態の偏光変換ユニット200によれば、照明光Lの2倍の光束幅を有するとともに偏光方向が所定の直線偏光に揃った変換光L0を生成することができる。
【0040】
ここで、変換光L0の偏光方向は、光変調装置400の入射側偏光板402の透過軸を透過する偏光方向に対応している。所定の直線偏光とは、光変調装置400の入射側偏光板402の透過軸を透過する偏光に相当する。つまり、偏光変換ユニット200は、照明光Lを、入射側偏光板402を透過できる所定の直線偏光(P偏光)の変換光L0に変換できる。偏光変換ユニット200から射出された変換光L0は重畳光学系250に入射する。
【0041】
続いて、重畳光学系250の構成について説明する。
図1に示したように、重畳光学系250は、偏光変換ユニット200から射出された変換光L0のうちの第2光L2が入射する第1レンズ部251と、偏光変換ユニット200から射出された変換光L0のうちの第3光L3が入射する第2レンズ部252と、を有する。
【0042】
重畳光学系250はフレネルレンズで構成されている。つまり、第1レンズ部251および第2レンズ部252はそれぞれフレネルレンズで構成されている。これにより、重畳光学系250は光軸方向の厚さを抑えることでプロジェクター1の基準軸Jに沿う左右方向Xの寸法を抑えている。
【0043】
第1レンズ部251を構成するフレネルレンズは偏芯しており、第1レンズ部251から射出された第2光L2は第1レンズ部251の光軸に対して直交する前後方向Yの後側(-Y)にずれた位置に結像される。
同様に、第2レンズ部252を構成するフレネルレンズは偏芯しており、第2レンズ部252から射出された第3光L3は第2レンズ部252の光軸に対して直交する前後方向Yの前側(+Y)にずれた位置に結像される。
第1レンズ部251および第2レンズ部252は一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。
【0044】
本実施形態の重畳光学系250において、第1レンズ部251から射出された第2光L2の主光線L2Aと第2レンズ部252から射出された第3光L3の主光線L3Aとは光変調装置400に向かうにつれて互いに近づくようになっている。このため、本実施形態の重畳光学系250によれば、第2光L2および第3光L3の前後方向Yの位置を調整することで光変調装置400の光照射領域である液晶パネル401の画素形成領域で第2光L2および第3光L3を重畳させることができる。よって、重畳光学系250は第2光L2および第3光L3を重畳させることで液晶パネル401を照明する変換光L0の面内明るさ分布を均一化できる。このため、光変調装置400は面内で明るさムラのない優れた画像を生成することができる。
【0045】
なお、第1レンズ部251および第2レンズ部252の光射出面をプロジェクター1の基準軸J側を向けるように傾けた状態(チルト状態)で配置してもよい。この場合、第1レンズ部251から射出された第2光L2の主光線L2Aと第2レンズ部252から射出された第3光L3の主光線L3Aとをより近づけ易くすることができる。このように第1レンズ部251および第2レンズ部252をチルトさせることで、第1レンズ部251および第2レンズ部252を構成する各フレネルレンズの偏芯量を抑えることができる。
なお、第1レンズ部251および第2レンズ部252をチルト調整のみ行うことで第2光L2および第3光L3の液晶パネル401上での重畳量を制御し、第1レンズ部251および第2レンズ部252を構成する各フレネルレンズを偏心させない構成としてもよい。
【0046】
重畳光学系250から射出された変換光L0は平行化光学系300により平行化されて光変調装置400に入射する。変換光L0の偏光方向は、偏光変換ユニット200によって、光変調装置400の入射側偏光板402の透過軸を透過する偏光方向に揃えられている。このため、変換光L0は入射側偏光板402を透過して液晶パネル401に効率良く入射する。液晶パネル401で変調された光は射出側偏光板403を透過して画像光GLとして射出される。このようにして光変調装置400から射出された画像光GLは集光光学系350に集光されるとともにミラー450で反射されて投射光学系500に入射し、不図示のスクリーンに向けて射出される。
【0047】
以下のように、本実施形態のプロジェクター1は、非直線偏光(非偏光)である照明光Lを射出する光源100と、光源100から入射する照明光Lを所定の直線偏光である変換光L0に変換する偏光変換ユニット200と、偏光変換ユニット200で変換された変換光L0を変調する液晶パネル401を含む光変調装置400と、偏光変換ユニット200から入射する変換光L0を液晶パネル401に重畳させる重畳光学系250と、を備える。偏光変換ユニット200は、照明光Lを偏光成分に基づいて第2光L2と第3光L3とに分離する偏光分離部210と、第2光L2および第3光L3の偏光方向を所定の直線偏光に揃える位相差素子220と、を有する。偏光分離部210は、偏光分離素子213および反射素子214を含む。偏光分離素子213は、照明光Lの主光線Laに対して傾いた状態に設けられ、照明光LのうちのP偏光成分を第2光L2として重畳光学系250に向けて反射するとともに照明光LのうちのS偏光成分を第3光L3として透過させることで照明光Lを分離する。反射素子214は、偏光分離素子213から入射される第3光L3を重畳光学系250に向けて反射する。
【0048】
本実施形態のプロジェクター1によれば、偏光変換ユニット200によって光源100から射出された非偏光である照明光Lの偏光方向をS偏光に揃えた変換光L0に変換することができる。したがって、偏光板を用いて非偏光である照明光LをS偏光に揃える場合に比べて、光源100から射出された照明光LをS偏光に変換して光変調装置400の液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態の偏光変換ユニット200では、偏光分離素子213および反射素子214をそれぞれプレート状であるため、プリズム等の光学部材に偏光分離素子や反射ミラーを設ける場合よりも装置構成を軽量化できる。
【0050】
また、偏光変換ユニット200は、偏光分離素子213の光入射面213aに入射した第1幅H1を有する照明光Lの偏光方向をS偏光に揃えた変換光L0の光束幅を第2幅H2に拡げることができる。このため、偏光変換ユニット200は、入射光である照明光Lの光束幅を2倍に拡げることができる。このように変換光L0の光束幅が拡がることで重畳光学系250が変換光L0の光束幅を拡大させる度合い(レンズパワー)を抑えることができる。つまり、重畳光学系250の拡大倍率が抑えられるため、重畳光学系250から光変調装置400までの基準軸J方向における距離を短くでき、プロジェクター1の小型化を実現できる。
【0051】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0052】
図4は、本実施形態の偏光変換ユニット1200の要部構成を示す平面図である。図3は、偏光変換ユニット1200を上側(+Z)から視た平面図である。
図4に示すように、本実施形態の偏光変換ユニット1200において、位相差素子220は、偏光分離素子213で反射された第2光L2の光路に設けられる。つまり、位相差素子220は、偏光分離素子213の光入射面213a側に設けられている。
【0053】
本実施形態の偏光変換ユニット1200の場合、偏光分離素子213を透過して照明光Lから分離された第3光L3は位相差素子220を透過することなく射出される。
一方、偏光分離素子213で反射されて照明光Lから分離された第2光L2は位相差素子220を透過する。第2光L2は、位相差素子220を透過することでS偏光成分L2sからP偏光成分L2pに変換される。位相差素子220は、第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)に第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)を揃えることができる。
【0054】
このように本実施形態の偏光変換ユニット1200によれば、偏光透過軸がS偏光に設定された入射側偏光板402を含む光変調装置400に対して、S偏光に変換した変換光L0を入射させるため、液晶パネル401に変換光L0を効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0055】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0056】
図5は、本実施形態の偏光変換ユニット2200の要部構成を示す平面図である。図5は、偏光変換ユニット3200を上側(+Z)から視た平面図である。
図5に示すように、偏光変換ユニット2200において、位相差素子220は、偏光分離素子213の光入射側に直接設けられている。つまり、位相差素子220は、偏光分離素子213の光入射面213aに設けられる。
【0057】
本実施形態の場合、位相差素子220の表面220aには反射防止膜ARが設けられている。これにより、位相差素子220の表面220aと空気層との界面による照明光Lの反射が抑制されるため、照明光Lが位相差素子220に対して効率良く入射できる。
また、偏光分離素子213の光射出面213bにも反射防止膜ARが設けられている。これにより、偏光分離素子213の光射出面213bと空気層との界面による光の反射が抑制されるため、偏光分離素子213を透過する第3光L3を効率良く射出することができる。
【0058】
本実施形態の偏光変換ユニット2200において、照明光Lは偏光分離素子213の光入射側に設けられた位相差素子220を透過する。このとき、無偏光である照明光Lの偏光状態は位相差素子220の透過前後において変化しない。位相差素子220を透過した照明光Lは偏光分離素子213に入射し、第2光L2および第3光L3に分離される。
【0059】
第3光L3は偏光分離素子213を透過することで照明光Lから分離され、反射素子214で重畳光学系250に向けて反射される。
一方、偏光分離素子213で反射されて照明光Lから分離された第2光L2は位相差素子220を透過し、重畳光学系250に入射する。第2光L2は、位相差素子220を透過することでS偏光成分L2sからP偏光成分L2pに変換される。
本実施形態の位相差素子220は、第3光L3の偏光方向(P偏光成分L3p)に第2光L2の偏光方向(P偏光成分L2p)を揃えることができる。
【0060】
このように本実施形態の偏光変換ユニット2200においても入射側偏光板402を透過可能な偏光方向に変換光L0の偏光方向を変換することで液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0061】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0062】
図6は、本実施形態の偏光変換ユニット3200の要部構成を示す平面図である。図5は、偏光変換ユニット3200を上側(+Z)から視た平面図である。
図6に示すように、偏光変換ユニット3200において、位相差素子221は、反射素子214に直接設けられている。具体的に位相差素子221は、反射素子214の光反射面214aに設けられる。
【0063】
本実施形態の場合、位相差素子221の表面221aには反射防止膜ARが設けられている。これにより、位相差素子221の表面221aと空気層との界面による照明光Lの反射が抑制されるため、照明光Lが位相差素子221に対して効率良く入射できる。
また、偏光分離素子213の光射出面213bにも反射防止膜ARが設けられている。これにより、偏光分離素子213の光射出面213bと空気層との界面による光の反射が抑制されるため、偏光分離素子213を透過する第3光L3を効率良く射出することができる。
【0064】
本実施形態の位相差素子221は1/4位相差板で構成されている。本実施形態の位相差素子221は、例えば板状の樹脂を延伸させる、あるいは、プラスチック基板の表面に光の波長よりも小さい周期構造をナノインプリント法で形成することで構成された板状の部材である。また、水晶、サファイア、ニオブ酸リチウム、方解石などの無機材料を用いて位相差素子221を形成してもよい。
【0065】
本実施形態の偏光変換ユニット3200において、偏光分離素子213で反射されて照明光Lから分離された第2光L2は、重畳光学系250に向けて射出される。
一方、偏光分離素子213を透過して照明光Lから分離された第3光L3は位相差素子221を透過して反射素子214に入射する。ここで、P偏光成分L3pである第3光L3は位相差素子221を透過することで円偏光L3c1に変換される。円偏光L3c1に変換された第3光L3は反射素子214で反射される。円偏光L3c1である第3光L3は、反射素子214で反射されることで回転方向が逆方向の円偏光L3c2に変換される。円偏光L3c2である第3光L3は位相差素子221を再度透過することで、S偏光成分L3sに変換され、重畳光学系250に向けて射出される。
本実施形態の位相差素子221は、第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)に第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)を揃えることができる。
【0066】
このように本実施形態の偏光変換ユニット3200においても入射側偏光板402を透過可能な偏光方向に変換光L0の偏光方向を変換することで液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0067】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0068】
図7は、本実施形態の偏光変換ユニット4200の要部構成を示す平面図である。図7は、偏光変換ユニット4200を上側(+Z)から視た平面図である。
図7に示すように、偏光変換ユニット4200において、位相差素子220は、偏光分離素子213の光射出側に直接設けられている。つまり、位相差素子220は、偏光分離素子213の光射出面213bに設けられる。
【0069】
本実施形態の場合、偏光分離素子213の光入射面213aには反射防止膜ARが設けられている。これにより、偏光分離素子213の光入射面213aと空気層との界面による照明光Lの反射が抑制されるため、照明光Lが偏光分離素子213に対して効率良く入射できる。
【0070】
本実施形態の偏光変換ユニット4200において、偏光分離素子213で反射されて照明光Lから分離された第2光L2は重畳光学系250に向けて射出される。
一方、偏光分離素子213を透過して照明光Lから分離された第3光L3は位相差素子220を透過する。第3光L3は、位相差素子220を透過することでP偏光成分L2pからS偏光成分L2sに変換される。位相差素子220は、第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)に第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)を揃えることができる。
【0071】
このように本実施形態の偏光変換ユニット4200においても入射側偏光板402を透過可能な偏光方向に変換光L0の偏光方向を変換することで液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0072】
(第6実施形態)
続いて、第6実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0073】
図8は、本実施形態の偏光変換ユニット5200の要部構成を示す平面図である。図8は、偏光変換ユニット5200を上側(+Z)から視た平面図である。
図8に示すように、偏光変換ユニット5200において、位相差素子222位相差素子222は、第1素子222aと第2素子222bとを含む。
【0074】
第1素子222a第1素子222aは、偏光分離素子213の光入射側に直接設けられている。具体的に第1素子222aは偏光分離素子213の光入射面213aに設けられる。
第2素子222bは、反射素子214の光入射側に直接設けられている。具体的に第2素子222bは反射素子214の光反射面214aに設けられる。
【0075】
本実施形態の場合、第1素子222aの光射出側および第2素子222bの光入射側には反射防止膜ARがそれぞれ設けられている。これにより、第1素子222aおよび第2素子222bと空気層との界面による光の反射が抑制されるため、第1素子222aから効率良く第3光L3を射出させるとともに反射素子214に対して効率良く第3光L3を入射させることができる。
【0076】
第1素子222aは1/4位相差板で構成され、第2素子222bは1/8位相差板で構成される。第1素子222aおよび第2素子222bは、例えば板状の樹脂を延伸させる、あるいは、プラスチック基板の表面に光の波長よりも小さい周期構造をナノインプリント法で形成することで構成された板状の部材である。また、水晶、サファイア、ニオブ酸リチウム、方解石などの無機材料を用いて第1素子222aおよび第2素子222bを形成してもよい。
【0077】
本実施形態の偏光変換ユニット5200において、偏光分離素子213において照明光Lから分離された第2光L2は重畳光学系250に向けて射出される。一方、偏光分離素子213を透過したP偏光成分L3pである第3光L3は第1素子222aを透過することで円偏光L3cに変換される。円偏光L3cに変換された第3光L3は第2素子222bを透過して反射素子214に入射し、重畳光学系250に向けて射出される。このとき、円偏光L3cは反射素子214で反射されることで回転方向が逆方向の円偏光に変換されるとともに、第2素子222bを往復して透過することで1/4波長分の位相差が付与され、S偏光成分L3sに変換される。
【0078】
本実施形態の位相差素子222は、第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)に第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)を揃えることができる。
【0079】
このように本実施形態の偏光変換ユニット5200においても入射側偏光板402を透過可能な偏光方向に変換光L0の偏光方向を変換することで液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0080】
(第7実施形態)
続いて、第7実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは偏光変換ユニットの構成であり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では偏光変換ユニットの構成を説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0081】
図9は、本実施形態の偏光変換ユニット6200の要部構成を示す平面図である。図9は、偏光変換ユニット6200を上側(+Z)から視た平面図である。
図9に示すように、偏光変換ユニット2200において、偏光分離部1210は、偏光分離素子213および反射素子214が保持される透光性部材240をさらに含む。透光性部材240は、第1透光性部材241と第2透光性部材242とで構成される。
【0082】
第1透光性部材241は、平面形状が平行四辺形となる四角柱状のプリズムで構成されている。第1透光性部材241は、例えば、光学ガラスやプラスチック等の透光性材料で構成される。第1透光性部材241は、第1面241aと第2面241bと第3面241cと第4面241dと上端面241eと下端面241fとを有する。上端面241eは第1透光性部材241の上側(+Z)の端部をなす面であり、下端面241fは第1透光性部材241の下側(-Z)の端部をなす面である。
【0083】
第1面241aは、上端面241eおよび下端面241fに交差し照明光Lが入射する面である。本実施形態の場合、位相差素子220は第1面241aに設けられている。
第2面241bは、上端面241eおよび下端面241fに交差し第1面241aと反対の後側(-Y)を向く面である。第1面241aおよび第2面241bは互いに等しい面積を有する。本実施形態の場合、反射素子214は第2面241bに設けられている。
第1面241aおよび第2面241bは互いに平行かつ照明光Lの照明光軸AXと35°~55°、具体的には45°の角度をなすように配置されている。
【0084】
第3面241cは、上端面241eおよび下端面241fに交差、かつ、第1面241aおよび第2面241bの一端である右側(+X)を接続する面である。本実施形態の場合、位相差素子220は第3面241cに設けられている。
第4面241dは、上端面241eおよび下端面241fに交差、かつ、第1面241aおよび第2面241bの他端である左側(-X)を接続し第3面241cと平行な面である。第3面241cおよび第4面241dは互いに等しい面積を有する。なお、第4面241dに反射ミラーを設け、第4面241dに入射した光を第2面241bあるいは第3面241cに向けて反射させてもよい。
【0085】
第2透光性部材242は、平面形状が三角形の三角柱状プリズムで構成されている。第2透光性部材242は、例えば、光学ガラスやプラスチック等の透光性材料で構成される。第2透光性部材242は、例えば、光学用接着剤を介して第1透光性部材241に貼り付けられている。第2透光性部材242は、第5面242aと第6面242bと第7面242cと上端面242dと下端面242eとを有する。上端面242dは第2透光性部材242の上側(+Z)の端部をなす面であり、下端面242eは第2透光性部材242の下側(-Z)の端部をなす面である。
【0086】
第5面242aは、上端面241eおよび下端面241fに交差し照明光Lが入射する面である。第6面242bは、上端面241e、下端面241fおよび第5面242aに交差し第1透光性部材241の第3面241cと平行な面である。第6面242bは、第1透光性部材241の第3面241cと等しい面積を有する。
第7面242cは、上端面241e、下端面241f、第5面242aおよび第6面242bに交差し第1透光性部材241の第1面241aと接触する。第7面242cは、後述のように第1透光性部材241の第1面241aとの間で偏光分離素子213を挟む。
【0087】
本実施形態において、第1透光性部材241の第3面241cと第2透光性部材242の第6面242bとは左右方向Xにおける位置が一致している。つまり、第3面241cと第6面242bとは面一となっている。
【0088】
本実施形態の場合、第2透光性部材242の第5面242aおよび第6面242bに反射防止膜ARが設けられている。これにより、第5面242aおよび第6面242bと空気層との界面による反射を抑制することができる。よって、第2透光性部材242の第5面242aに対して照明光Lを効率良く射出させることができる。また、第2透光性部材242の第6面242bから第2光L2を効率良く射出させることができる。
また、照明光Lは空気層から第1透光性部材241に直接ではなく、第2透光性部材242を経由して第1透光性部材241に入射するため、第1透光性部材241に入射する照明光Lの屈折を抑制できる。
【0089】
本実施形態の場合、偏光分離素子213は、第1透光性部材241の第1面241aに設けられている。偏光分離素子213は、第1透光性部材241の第1面241aと第2透光性部材242の第7面242cとの間に挟まれている。本実施形態の偏光分離素子213は、例えば、誘電体多層膜により構成される。
【0090】
偏光分離素子213は、光入射面213aが第2透光性部材242の第7面242cと接触し、光射出面213bが第1透光性部材241の第1面241aと接触している。
【0091】
本実施形態の偏光変換ユニット6200において、偏光分離素子213および反射素子214は透光性部材240に設けられる。このため、偏光分離素子213および反射素子214は同一部材に設けられることで互いの位置精度を容易に高めることができる。
【0092】
このように本実施形態の偏光変換ユニット6200においても入射側偏光板402を透過可能な偏光方向に変換光L0の偏光方向を変換することで液晶パネル401に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0093】
また、本実施形態の偏光変換ユニット6200は、偏光分離素子213の光射出側に第1透光性部材241を備えるため、偏光分離素子213と空気層との界面による第3光L3の全反射を抑制することで第3光L3を変換光L0として効率良く取り出せる。
【0094】
また、偏光変換ユニット6200は、偏光分離素子213および反射素子214が透光性部材240に安定して保持されるため、例えば、プロジェクター1の使用時の振動等においても偏光分離素子213および反射素子214の位置関係を安定させることができる。
【0095】
なお、透光性部材240は第1透光性部材241のみで構成されていてもよい。すなわち、設計要求の度合いに応じて第2透光性部材242を省略してもよい。
【0096】
本実施形態の偏光変換ユニット6200では、第1実施形態の偏光変換ユニット200に透光性部材240を組み合わせる場合を例に挙げたが、第2実施形態から第6実施形態の偏光変換ユニットに透光性部材240を組み合わせてもよい。
【0097】
(第8実施形態)
続いて、第8実施形態のプロジェクターについて説明する。本実施形態と第1実施形態との違いはプロジェクターの外装筐体内における各構成部品のレイアウトであり、それ以外の構成は共通である。このため、以下では外装筐体内における各構成部品のレイアウトを説明し、上記実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0098】
図10は、本実施形態のプロジェクター1000の内部レイアウトを示す側面図である。なお、図10では各構成部品のレイアウトを主に説明するため、各部材を模式化して図示した。
図10に示すように、本実施形態のプロジェクター1000において、偏光変換ユニット200、重畳光学系250および光変調装置400は外装筐体10内において上下方向Zに並んで配置されている。つまり、外装筐体10内で偏光変換ユニット200、重畳光学系250および光変調装置400が並ぶ方向である基準軸Jに沿う方向は、第2壁部12の内面12aに直交する上下方向Zである。このため、本実施形態のプロジェクター1000では、外装筐体10が上下方向Zに細長い形状を有している。
【0099】
本実施形態のプロジェクター1000において、偏光分離部210に入射する照明光Lの主光線Laに沿う第1方向(-Y方向)と、ミラー450から投射光学系500に向けて射出される画像光GLの主光線に沿う第2方向(+Y方向)とは反対方向である。
【0100】
本実施形態のプロジェクター1000によれば、基準軸Jに対して光源100および投射光学系500が同じ側(前側(+Y))に配置されている。これに対して、第1方向と第2方向とが同じ方向の場合、光源100が基準軸Jの一方側である前側(+Y)に配置され、投射光学系500が基準軸Jの他方側である後側(-Y)に配置される。
【0101】
本実施形態のプロジェクター1000は、基準軸Jに対して光源100および投射光学系500が同じ側に配置されるため、基準軸Jに対して光源100および投射光学系500が反対側に配置される場合に比べて、前後方向Yにおける寸法を小型化できる。
【0102】
ここで、光源100および投射光学系500はプロジェクター1000の構成部品の中で重量の大きい部品である。本実施形態の場合、重量の大きい光源100および投射光学系500が基準軸Jに対して同じ側に配置されるため、上下方向Zにおいて光源100および投射光学系500の少なくとも一部が重なるように配置されている。この構成によれば、光源100および投射光学系500が前後方向Yに離間する場合、つまり基準軸Jに対して光源100および投射光学系500が反対側に配置される場合に比べて、外装筐体10内の各部品の重量バランスが前後方向Yで崩れ難くなる。このため、本実施形態のように上下方向Zに細長い外装筐体10を有するプロジェクター1000は設置時の安定性が増すことで前後方向Yへの倒れ込みが抑制されたものとなる。
【0103】
本実施形態のプロジェクター1000では、第1実施形態の偏光変換ユニット200を用いてレイアウト変更を行う場合を例に挙げたが、第2実施形態から第6実施形態の偏光変換ユニットを用いてレイアウト変更を行ってもよい。
【0104】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、プロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0105】
例えば、上記実施形態では、変換光L0を光変調装置400に重畳させる重畳光学系250をフレネルレンズで構成する場合を例に挙げたが、重畳光学系250をフレネルレンズに代えて凹レンズで構成してもよい。つまり、第1レンズ部251および第2レンズ部252をそれぞれ凹レンズで構成していてもよい。この場合において、第1レンズ部251および第2レンズ部252を構成する各凹レンズの光軸は光変調装置400に向かうにつれて基準軸Jに近づく方向に傾いた状態(チルト状態)に配置される。
【0106】
また、重畳光学系250をフレネルレンズに代えてリフレクターで構成してもよい。つまり、第1レンズ部251を第1リフレクター(第1光学部材)、第2レンズ部252を第2リフレクター(第2光学部材)に置き換えてもよい。第1リフレクターおよび第2リフレクターの設置角度、第1リフレクターおよび第2リフレクターに対する第2光L2および第3光L3の入射角度を適宜調整することで、第1リフレクターから射出された第2光L2の主光線L2Aと第2リフレクターから射出された第3光L3の主光線L3Aとを光変調装置400に向かうにつれて互いに近づけることができる。つまり、第1リフレクターで反射した第2光L2と第2リフレクターで反射した第3光L3とを光変調装置400上で重畳させることができる。
重畳光学系250をリフレクターで構成する場合、光源100からの照明光Lを平行化する光学系150を省略すれば第2光L2および第3光L3の各リフレクターに対する入射角度の調整が容易となる。
【0107】
また、上記実施形態では、偏光分離素子213を誘電体多層膜で構成する場合を例に挙げたが、例えばアルミニウム等からなる複数の金属細線を微細なピッチで基材の一面に設けたワイヤーグリッド型偏光素子で偏光分離素子213を構成してもよい。ワイヤーグリッド型偏光素子を用いた場合、偏光分離素子213の耐熱性を高めることができる。
【0108】
(変形例)
以下、ワイヤーグリッド型偏光素子で構成された偏光分離素子を用いた場合の構成を変形例として説明する。
図11は変形例に係る偏光変換ユニット201の要部構成を示す平面図である。図11は、偏光変換ユニット201を上側(+Z)から視た平面図である。
図11に示す本変形例の偏光変換ユニット201は、第1実施形態の偏光変換ユニット200において誘電体多層膜で構成された偏光分離素子213をワイヤーグリッド型偏光素子で構成された偏光分離素子1213に置き換えたものである。
【0109】
第1実施形態の偏光分離素子1213は、照明光LのうちのS偏光成分(第1直線偏光成分)を第2光L2として反射させ、非偏光の照明光LのうちのP偏光成分(第2直線偏光成分)を第3光L3として透過させていた。
これに対して、ワイヤーグリッド型偏光素子で構成された本変形例の偏光分離素子1213は、例えば、照明光Lに対して複数の金属細線の配列方向や角度を調整することで、照明光LのうちのP偏光成分(第1直線偏光成分)L2pを第2光L2として反射させ、非偏光の照明光LのうちのS偏光成分(第2直線偏光成分)L3sを第3光L3として透過させることができる。
【0110】
このため、本変形例の偏光変換ユニット201において、偏光分離素子1213を透過して照明光Lから分離されたS偏光成分L2sである第2光L2は射出される。また、偏光分離素子1213で反射されて照明光Lから分離されたP偏光成分L3pである第3光L3は位相差素子220を透過する。第3光L3は、位相差素子220を透過することでP偏光成分L3pからS偏光成分L3sに変換される。
【0111】
このように本変形例の偏光変換ユニット201によれば、位相差素子220は、第2光L2の偏光方向(S偏光成分L2s)に第3光L3の偏光方向(S偏光成分L3s)を揃えることで、入射側偏光板402を透過可能なS偏光に変換光L0の偏光方向を変換して光変調装置400に効率良く入射させることができる。よって、光源100から射出した照明光Lの光利用効率を高めることができる。
【0112】
なお、本変形例では第1実施形態の偏光変換ユニット200を例に挙げたが、第2から第7実施形態の偏光変換ユニットのいずれかにおける偏光分離素子をワイヤーグリッド型偏光素子に置き換えてもよい。
【0113】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
非直線偏光である第1光を射出する光源と、
前記光源から入射する前記第1光を所定の直線偏光に変換する偏光変換ユニットと、
前記偏光変換ユニットで変換された前記所定の直線偏光を変調する液晶パネルを含む光変調装置と、
前記偏光変換ユニットから入射する前記所定の直線偏光を前記液晶パネルに重畳させる重畳光学系と、を備え、
前記偏光変換ユニットは、前記第1光を偏光成分に基づいて第2光と第3光とに分離する偏光分離部と、前記第2光および前記第3光の偏光方向を所定の直線偏光に揃える位相差素子と、を有し、
前記偏光分離部は、偏光分離素子および反射素子を含み、
前記偏光分離素子は、前記第1光の主光線に対して傾いた状態に設けられ、前記第1光のうちの第1直線偏光成分を前記第2光として前記重畳光学系に向けて反射するとともに前記第1光のうちの前記第1直線偏光成分と異なる偏光方向の第2直線偏光成分を前記第3光として透過させることで前記第1光を分離し、
前記反射素子は、前記偏光分離素子から入射する前記第3光を前記重畳光学系に向けて反射する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0114】
この構成のプロジェクターによれば、偏光変換ユニットによって光源から射出された非直線偏光である第1光の偏光方向を所定の偏光方向に揃えた変換光に変換することができる。したがって、偏光板を用いることで第1光の偏光方向を揃える場合に比べて、光源から射出された第1光を所定の偏光方向に変換して光変調装置の液晶パネルに効率良く入射させることができる。よって、光源から射出した第1光の光利用効率を高めることができる。
また、偏光変換ユニットは、変換光の光束幅を第1光の光束幅よりも拡げることで重畳光学系の拡大倍率を抑えることができる。これにより、重畳光学系から光変調装置までの距離を短くすることができ、プロジェクターの小型化を実現できる。
【0115】
(付記2)
前記偏光分離素子および前記反射素子は、それぞれプレート状であり、
前記偏光分離素子および前記反射素子は、互いに離間して配置されている、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0116】
この構成によれば、偏光分離素子および反射素子がプレート状であるため、プリズム等の光学部材に偏光分離素子や反射素子を設ける場合に比べて軽量化を図ることができる。
【0117】
(付記3)
前記偏光分離部は、前記偏光分離素子および前記反射素子が保持される透光性部材をさらに含む、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載のプロジェクター。
【0118】
この構成によれば、偏光分離素子および反射素子が透光性部材に安定して保持されるため、例えば、プロジェクターの使用時の振動等においても偏光分離素子および反射素子の位置関係を安定させることができる。
【0119】
(付記4)
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記反射素子で反射された前記第3光の光路に設けられる、
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0120】
この構成によれば、反射素子で反射された第3光が1/2波長板を透過するため、第3光の偏光方向を第2光の偏光方向である第1直線偏光成分に揃えることができる。
【0121】
(付記5)
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子で反射された前記第2光の光路に設けられる、
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0122】
この構成によれば、偏光分離素子で反射された第2光が1/2波長板を透過するため、第2光の偏光方向を第3光の偏光方向である第2直線偏光成分に揃えることができる。
【0123】
(付記6)
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面を有し、
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子の前記光入射面に設けられる、
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0124】
この構成によれば、偏光分離素子の光入射面で反射された第2光が1/2波長板を透過するため、第2光の偏光方向を第3光の偏光方向である第2直線偏光成分に揃えることができる。
【0125】
(付記7)
前記反射素子は、前記第3光を反射する光反射面を有し、
前記位相差素子は1/4波長板で構成され、前記反射素子の前記光反射面に設けられる、
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0126】
この構成によれば、反射素子で反射された第3光が1/4波長板を2回透過することで第3光の偏光方向を第2光の偏光方向である第1直線偏光成分に揃えることができる。
【0127】
(付記8)
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面と前記第3光を射出する光射出面とを有し、
前記位相差素子は1/2波長板で構成され、前記偏光分離素子の前記光射出面に設けられる、
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0128】
この構成によれば、偏光分離素子を透過して光射出面から射出された第3光が1/2波長板を透過するため、第3光の偏光方向を第2光の偏光方向である第1直線偏光成分に揃えることができる。
【0129】
(付記9)
前記偏光分離素子は、前記第1光が入射する光入射面を有し、
前記反射素子は、前記第3光を反射し、前記光入射面と平行である光反射面を有し、
前記光入射面および前記光反射面と前記第1光の主光線とがなす角度が45°である、
ことを特徴とする付記1から付記8のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0130】
この構成によれば、偏光分離素子を透過した第2光と反射素子で反射された第3光とを平行化することで偏光方向を揃えた平行光束からなる変換光を生成できる。
【0131】
(付記10)
前記光変調装置により変調された画像光を投射する投射光学系と、前記光変調装置から射出された前記画像光の光路を折り曲げて前記投射光学系に入射させるミラーと、をさらに備える、
ことを特徴とする付記1から付記9のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0132】
この構成によれば、ミラーによって偏光変換ユニット、光変調装置および投射光学系が直線上に並ばないレイアウトを採用することができる。このため、プロジェクター内において偏光変換ユニット、光変調装置、ミラーが並んで配置される基準軸に沿う方向における寸法を小型化できる。
【0133】
(付記11)
前記偏光分離部に入射する前記第1光の主光線に沿う第1方向と、前記ミラーから前記投射光学系に向けて射出される前記画像光の主光線に沿う第2方向とは、反対方向である、
ことを特徴とする付記10に記載のプロジェクター。
【0134】
この構成によれば、基準軸に対して光源および投射光学系が同じ側に配置されるため、基準軸に対して光源および投射光学系が反対側に配置される場合に比べて、基準軸に交差する方向の寸法も小型化できる。
【0135】
(付記12)
前記光源と前記偏光変換ユニットと前記光変調装置と前記重畳光学系とを収容し、設置用部品が設けられた設置用壁部を有する外装筐体をさらに備え、
前記偏光変換ユニットと前記重畳光学系と前記光変調装置と前記ミラーとが並んで配置される方向は、前記設置用壁部の内面に沿い、かつ、前記投射光学系の光軸に交差する方向である、
ことを特徴とする付記10または付記11に記載のプロジェクター。
【0136】
この構成によれば、投射光学系の光軸に交差する方向のプロジェクターの寸法を小型化できる。
【0137】
(付記13)
前記光源と前記偏光変換ユニットと前記光変調装置と前記重畳光学系とを収容し、設置用部品が設けられた設置用壁部を有する外装筐体をさらに備え、
前記偏光変換ユニットと前記重畳光学系と前記光変調装置とが並ぶ方向は、前記設置用壁部の内面に直交する方向である、
ことを特徴とする付記10または付記11に記載のプロジェクター。
【0138】
この構成によれば、設置用壁部の内面に直交するプロジェクターの高さ方向の寸法を小型化できる。
【0139】
(付記14)
前記重畳光学系と前記光変調装置との間に設けられ、前記重畳光学系から射出された光を平行化する平行化光学系をさらに備え、
前記平行化光学系は、フレネルレンズで構成される、
ことを特徴とする付記1から付記13のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0140】
この構成によれば、平行化光学系は光軸方向の厚さを抑えることでプロジェクターの軸方向の寸法を小型化することができる。
【0141】
(付記15)
前記重畳光学系は、前記偏光変換ユニットから射出された前記第2光が入射する第1レンズ部と、前記偏光変換ユニットから射出された前記第3光が入射する第2レンズ部と、を有し、
前記第1レンズ部から射出された前記第2光の主光線と前記第2レンズ部から射出された前記第3光の主光線とは、前記光変調装置に向かうにつれて互いに近づく、
ことを特徴とする付記1から付記14のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0142】
この構成によれば、第2光および第3光を光変調装置の光照射領域(画素形成領域)で重畳させることができる。よって、重畳光学系は第2光および第3光を重畳させることで液晶パネルを照明する変換光の面内明るさ分布を均一化できるので、液晶パネルは面内で明るさムラのない優れた画像を生成できる。
【0143】
(付記16)
前記重畳光学系はフレネルレンズで構成される、
ことを特徴とする付記1から付記15のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0144】
この構成によれば、重畳光学系がフレネルレンズで構成されるため、プロジェクターの光軸方向の寸法を小型化することができる。
【0145】
(付記17)
前記液晶パネルは、カラーフィルターを有する、
ことを特徴とする付記1から付記16のうちのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0146】
この構成によれば、フルカラーの画像を投射することができる。
【0147】
(付記18)
前記光源から射出された前記第1光は白色光である、
ことを特徴とする付記17に記載のプロジェクター。
【0148】
この構成によれば、カラーフィルターを備えた液晶パネルと組み合わせることでフルカラーの画像を生成することができる。
【符号の説明】
【0149】
1,1000…プロジェクター、10…外装筐体、12…第2壁部(設置用壁部)、17…設置用部品、100…光源、200,201,1200,2200,3200,4200,5200,6200…偏光変換ユニット、210,1210…偏光分離部、213,1213…偏光分離素子、213a…光入射面、213b…光射出面、214…反射素子、214a…光反射面、220,221,222…位相差素子、240…透光性部材、250…重畳光学系、251…第1レンズ部、252…第2レンズ部、300…平行化光学系、400…光変調装置、401…液晶パネル、450…ミラー、500…投射光学系、GL…画像光、L…照明光(第1光)、L2…第2光、L3…第3光、La,L2A,L3A…主光線、L2p…P偏光成分(第1直線偏光成分)、L3p…P偏光成分(第2直線偏光成分)、L2s…S偏光成分(第1直線偏光成分)、L3s…S偏光成分(第2直線偏光成分)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11