(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030421
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】検出装置、及びユーザインターフェース
(51)【国際特許分類】
G06F 3/044 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G06F3/044 124
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133316
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(57)【要約】
【課題】タッチ操作の検出性能を悪化させることなく装置サイズを小型化できる検出装置、及びユーザインターフェースを提供する。
【解決手段】検出装置3は、自己容量方式の静電容量センサの電極13の静電容量変化に基づき、パネルへのタッチ操作を検出する。検出装置3は、検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極14と、複数の選択電極14の間で共用される共用電極15と、判定部41と、を備える。判定部41は、共用電極15を複数の選択電極14の各々の一要素として割り当てて、どの選択電極14がタッチ操作されたのかを判定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己容量方式の静電容量センサの電極の静電容量変化に基づき、パネルへのタッチ操作を検出する検出装置であって、
検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極と、
前記複数の選択電極の間で共用される共用電極と、
前記共用電極を前記複数の選択電極の各々の一要素として割り当てて、どの前記選択電極がタッチ操作されたのかを判定する判定部と
を備えた検出装置。
【請求項2】
前記複数の選択電極と前記共用電極とは、前記複数の選択電極の間に前記共用電極が位置するように、規定の方向に並んで配置されている
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記複数の選択電極の各々は、前記電極の幅方向の中央寄りの位置に配置されるとともに、前記幅方向に対して交差する方向に細長く延びた形状に形成されている
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記複数の選択電極の各々を前記共用電極と組み合わせることにより、これら電極組をタッチ操作の検出単位として割り当てて、どの前記電極組がタッチ操作されたのかを判定する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記電極組ごとの静電容量の演算値を求めるとともに、前記演算値に基づきタッチ操作を判定する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、タッチ操作有無を前記共用電極の静電容量に基づき検出するとともに、前記複数の選択電極の静電容量の大小関係から、どの前記選択電極がタッチ操作されたのかを判定する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
前記判定部の判定結果に応じた画像を前記パネルの背面から投影することにより、前記パネルに前記画像を表示するディスプレイを備える
請求項1に記載の検出装置。
【請求項8】
前記パネルは、タッチ操作の操作機能を表す表示物を、前記電極と重なる位置に有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
前記表示物を象った光透過可能な孔に前記パネルの背面から光を照射することにより、前記孔を透過する光によって、前記表示物を点灯表示するパターン点灯表示部を備える
請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
光を透過可能なパネルにディスプレイの画像を投影することによって前記パネルに前記画像を表示し、前記パネルへのタッチ操作を、自己容量方式の静電容量センサの電極の静電容量変化に基づいて検出した場合に、前記ディスプレイの表示を切り替えるユーザインターフェースであって、
検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極と、
前記複数の選択電極の間で共用される共用電極と、
前記共用電極を前記複数の選択電極の各々の一要素として割り当てて、どの前記選択電極がタッチ操作されたのかを判定する判定部と
を備えたユーザインターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作を検出する検出装置、及びユーザインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、車載用のエアーコンディショナー装置を操作するためのパネル装置が周知である。このパネル装置の場合、ディスプレイの表示を見ながらスイッチ部で温度設定や風量設定など実行したり、パネルのシンボルをタッチ操作によって機能のオンオフを切り替えたりする。パネルのタッチ操作は、パネルの裏側に設けられた検出部によって検出する。検出部は、例えば、静電容量方式のセンサが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のパネル装置の場合、シンボルの各々に検出部が設けられる。このため、特許文献1の場合、列ごとに配列された検出部を行方向に複数配置する必要があるため、装置が大型化してしまう懸念があった。一方で、各検出部を小さくすれば装置の小型化は可能となるが、背反としてタッチ領域が小さくなってしまうため、タッチ操作がし難くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する検出装置は、自己容量方式の静電容量センサの電極の静電容量変化に基づき、パネルへのタッチ操作を検出する構成であって、検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極と、前記複数の選択電極の間で共用される共用電極と、前記共用電極を前記複数の選択電極の各々の一要素として割り当てて、どの前記選択電極がタッチ操作されたのかを判定する判定部と、を備えた。
【0006】
前記課題を解決するユーザインターフェースは、光を透過可能なパネルにディスプレイの画像を投影することによって前記パネルに前記画像を表示し、前記パネルへのタッチ操作を、自己容量方式の静電容量センサの電極の静電容量変化に基づいて検出した場合に、前記ディスプレイの表示を切り替える構成であって、検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極と、前記複数の選択電極の間で共用される共用電極と、前記共用電極を前記複数の選択電極の各々の一要素として割り当てて、どの前記選択電極がタッチ操作されたのかを判定する判定部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、タッチ操作の検出性能を悪化させることなく装置サイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】
図2に示すVI-VI線断面図(一部破断)である。
【
図7】ユーザインターフェースの電気構成図である。
【
図8】(a)、(b)は、電極へのタッチ操作例を示す説明図である。
【
図10】(a)、(b)は、電極へのタッチ操作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を説明する。なお、実施形態を説明する各図では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0010】
(ユーザインターフェース1の概説)
図1に示すように、車両2には、機器(車載機器)を操作するためのユーザインターフェース1が設けられている。本例の場合、ユーザインターフェース1は、例えば、ユーザインターフェース1へのユーザ操作を検出する操作検出機能(検出装置3)と、ユーザインターフェース1に対して各種表示を実行する表示機能(表示装置4)と、を有する。ユーザインターフェース1の操作対象である機器は、例えば、車内を空調するエアーコンディショナー装置などである。
【0011】
図2に示すように、表示機能は、例えば、コンピュータなどの機器から出力される信号を画像5に変換してディスプレイ6に表示するディスプレイ表示機能を含む。ディスプレイ6は、例えば、ユーザインターフェース1の意匠面であるパネル7の中央部付近に配置されている。機器が車載用のエアーコンディショナー装置の場合、画像5は、例えば、設定下にある温度、風量、送風モードなどの表示がある。
【0012】
表示機能は、例えば、予め決められた所定パターンの表示物8を点灯表示するパターン点灯表示機能を含む。表示物8は、例えば、絵柄を表すシンボル8aである。機器が車載用のエアーコンディショナー装置の場合、シンボル8aは、例えば、エアーコンディショナー装置の機能に対応して設けられた操作アイコンである。操作アイコンは、例えば、温度設定アイコン、風量設定アイコン、送風モード設定アイコンなどがある。表示物8は、例えば、車両2のライトが非点灯時、周囲の環境光によって視認でき、車両2のライトの点灯時、パターン点灯表示機能によって点灯されるとよい。
【0013】
操作検出機能は、例えば、ユーザインターフェース1へのユーザ操作をタッチスイッチ9によって検出する機能を含む。タッチスイッチ9は、例えば、ユーザインターフェース1に設けられたシンボル8aへのタッチ操作を検出するために設けられている。タッチスイッチ9(電極13)は、表示物8(本例は、シンボル8a)と重なる位置に配置されている。タッチスイッチ9は、例えば、電極13の静電容量変化に基づきタッチ操作を検出する静電容量センサ10が使用される。静電容量センサ10は、例えば、自己容量方式であることが好ましい。
【0014】
タッチスイッチ9は、例えば、運転席用温度設定スイッチ9a、助手席用温度設定スイッチ9b、風量設定スイッチ9c、及び、送風モード設定スイッチ9d、を含む。運転席用温度設定スイッチ9aは、運転席側のエアーコンディショナー装置の温度を設定するためのスイッチである。助手席用温度設定スイッチ9bは、助手席側のエアーコンディショナー装置の温度を設定するためのスイッチである。風量設定スイッチ9cは、エアーコンディショナー装置の風量の強弱を設定するためのスイッチである。送風モード設定スイッチ9dは、エアーコンディショナー装置の送風モードを設定するためのスイッチである。
【0015】
図3に示すように、タッチスイッチ9の各々は、例えば、1つのスイッチ単位において、複数(本例は、2箇所)のタッチ操作領域が割り当てられている。具体的には、タッチスイッチ9は、上寄りの領域と下寄りの領域とがタッチ操作領域として割り当てられている。例えば、運転席用温度設定スイッチ9aの場合、一方のタッチ操作領域が温度上昇用のスイッチとして割り当てられ、他方のタッチ操作領域が温度下降用のスイッチとして割り当てられている。
【0016】
(検出装置3及び電極13の概説)
図4に示すように、検出装置3は、電極13の静電容量変化に基づき、パネル7へのタッチ操作を検出する。検出装置3は、検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極14と、複数の選択電極14の間で共用される共用電極15と、を備える。すなわち、電極13は、複数の選択電極14と共用電極15と、を含む。
【0017】
本例の場合、複数の選択電極14は、共用電極15の両側に計2つ配置されている。本例の選択電極14は、一方を第1選択電極14aとし、他方を第2選択電極14bとする。複数の選択電極14と共用電極15との組は、例えば、タッチスイッチ9ごとに設けられている。複数の選択電極14と共用電極15とは、例えば、上下方向(紙面上下方向)に並んで配置されている。このように、複数の選択電極14と共用電極15とは、複数の選択電極14の間に共用電極15が位置するように、規定の方向に沿って並んで配置されている。
【0018】
第1選択電極14a及び第2選択電極14bは、共用電極15に対し、横方向の長さは同じであるものの、縦方向の長さが小さくなった形状に形成してもよい。第1選択電極14a及び第2選択電極14bは、同一形状に形成されている。第1選択電極14a及び共用電極15の間には、電極層が存在しない非電極部16が設けられている。また、第2選択電極14b及び共用電極15の間にも、非電極部16が設けられている。
【0019】
検出装置3は、複数の選択電極14の各々を共用電極15と組み合わせることにより、複数の電極組17が割り当てられている。本例の場合、第1選択電極14aと共用電極15とを第1電極組17aとし、第2選択電極14bと共用電極15とを第2電極組17bとする。検出装置3は、これら第1電極組17a及び第2電極組17bがタッチ操作の検出単位として割り当てられている。具体的には、1つのスイッチ単位において、一方のタッチ操作領域への操作を第1電極組17aで検出するとともに、他方のタッチ操作領域の他方への操作を第2電極組17bで検出する。
【0020】
(表示装置4のディスプレイ表示機能の概説)
図5に示すように、パネル7は、ディスプレイ6によって表示される画像5を表示するために光を透過可能に構成されている。パネル7は、例えば、スモーク(光減衰部材)が入った部材であることが好ましい。パネル7は、例えば、平板状又は曲面状のいずれでもよい。
【0021】
ディスプレイ6は、パネル7に画像5を表示するディスプレイ表示部20を備える。ディスプレイ表示部20は、例えば、裏フィルム21、遮光層22、及び開口枠23を有する。
【0022】
裏フィルム21は、例えば、パネル7の裏面に貼り付けられている。裏フィルム21は、例えば、透明フィルムが使用される。
遮光層22は、例えば、裏フィルム21の裏面に設けられている。遮光層22は、例えば、黒印刷によって形成されている。遮光層22は、ディスプレイ表示部20の光をパネル7に通さない素材から構成されている。遮光層22は、例えば、塗装レーザ、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パッド印刷などの製造方法によって形成される。
【0023】
ディスプレイ表示部20は、例えば、光源25、液晶26、拡散シート27を有する。光源25は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。光源25は、例えば、基板28に実装されるとともに、複数設けられることが好ましい。液晶26は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)である。拡散シート27は、例えば、液晶26の裏面に取付けられている。拡散シート27は、例えば、光を透過可能な白色シートからなる。光源25の光は、拡散シート27によって拡散されて液晶26に照射される。
【0024】
開口枠23は、例えば、遮光層22において、光源25と対向する部位を省略することにより形成されている。開口枠23は、例えば、ディスプレイ表示部20の光(画像5)をパネル7に引き出すために設けられる。開口枠23は、太陽光等の外部の光の当たり方によって、パネル7の表面から透けて見える。開口枠23は、例えば、長方形に形成されている。
【0025】
ディスプレイ表示部20は、パネル7の背面から開口枠23を通じてパネル7に画像5を投影することにより、パネル7に画像5を表示する。具体的には、光源25の点灯時、拡散シート27及び液晶26を通った光線L1が、開口枠23から裏フィルム21及びパネル7を通って外部に引き出されることにより、パネル7に画像5が表示される。このように、ディスプレイ表示部20は、パネル7の背面から画像5を投影することにより、パネル7に画像5を表示する。
【0026】
(表示装置4のパターン点灯表示機能の概説)
図6に示すように、表示装置4は、表示物8(本例は、シンボル8a)を点灯表示するパターン点灯表示部31を備える。パターン点灯表示部31は、例えば、表示物8を象った光透過可能な孔32にパネル7の背面から光を照射することにより、孔32を透過する光によって表示物8を点灯表示する。表示物8は、タッチ操作の操作機能を表す。
【0027】
パターン点灯表示部31は、前述の孔32の他に、例えば、光源34及びレンズ35を有する。光源34は、例えば、LEDである。光源34は、例えば、基板28に実装されている。光源34は、例えば、表示物8ごとに1つずつ設けられることが好ましい。レンズ35は、光源34の輝度を上げるために設けられている。孔32は、例えば、遮光層22において、光源34と対向する部位を省略することにより形成されている。
【0028】
パターン点灯表示部31は、例えば、光減衰層36及び拡散シート37を有する。光減衰層36は、遮光層22の裏面に設けられている。光減衰層36は、例えば、パネル7の見た目の黒さを確保する層であって、いわゆるスモーク層である。光減衰層36は、遮光層22の裏面一帯に配置されるとともに、孔32を埋めるような形状に形成されている。なお、前述の非電極部16は、光減衰層36及び拡散シート37のいずれから構成されてもよい。
【0029】
電極13は、例えば、光減衰層36及び拡散シート37の間に配置されている。電極13は、例えば、静電容量センサ10の電極シート(センサシート)である。電極13は、シンボル8aを狙い位置としたパネル7へのタッチ操作を検出する。電極13は、光源34からの光をパネル7に引き出せるように透明(透明電極)となっている。
【0030】
拡散シート37は、電極13の裏面に取付けられている。拡散シート37は、例えば、光を透過可能な白色シートからなる。
孔32は、例えば、遮光層22において、表示物8を象った形状に形成されている。光源34は、パネル7の背面から孔32に光を照射することにより、孔32の形状に応じた表示物8をパネル7に点灯表示する。すなわち、光源34の点灯時、レンズ35、拡散シート37、電極13、及び光減衰層36を通った光線L2が、孔32から裏フィルム21及びパネル7を通って外部に引き出されることにより、表示物8(シンボル8a)が点灯表示される。
【0031】
(検出装置3の電気的構成)
図7に示すように、ユーザインターフェース1は、ユーザインターフェース1の動作を制御する制御装置40を備える。本例の場合、制御装置40は、検出装置3及び表示装置4の制御を実行する。制御装置40は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)やECU(Electronic Control Unit)である。制御装置40は、入力にタッチスイッチ9の電極13(選択電極14、共用電極15)が接続されるとともに、出力に液晶26及び光源25、34が接続されている。
【0032】
制御装置40は、例えば、車両電源がオン状態となったとき、ディスプレイ6に画像5を表示する。制御装置40は、シンボル8aへのタッチ操作を検出するタッチスイッチ9の検出信号(電極13の静電容量)に基づき、ディスプレイ6の表示を制御する。具体的には、制御装置40は、シンボル8aへのタッチ操作を検出した場合、その操作に応じた表示に液晶26の画面を切り替える。例えば、送風温度を1段階アップする操作が実行された場合、液晶26の温度表示を、1段階上昇させた値に切り替える。また、制御装置40は、シンボル8aへのタッチ操作を検出した場合、その操作に応じた制御指令を他のECUに出力する。
【0033】
制御装置40は、例えば、車両ライトが点灯されたとき、シンボル8a用の光源34を点灯してもよい。これにより、シンボル8aがパネル7において点灯表示される。よって、夜間のときにシンボル8aが見易くなる。
【0034】
(検出装置3の判定部41)
図7に示す通り、検出装置3は、電極13の静電容量変化に基づきパネル7へのタッチ操作を判定する判定部41を備える。判定部41は、例えば、制御装置40に設けられている。判定部41は、共用電極15を複数の選択電極14の各々の一要素として割り当てて、どの選択電極14がタッチ操作されたのかを判定する。本例の場合、判定部41は、複数の選択電極14の各々を共用電極15と組み合わせることにより、これら電極組17をタッチ操作の検出単位として割り当てるとともに、どの電極組17がタッチ操作されたのかを判定する。
【0035】
本例の場合、判定部41は、電極組17ごとの静電容量の演算値を求めるとともに、演算値に基づきタッチ操作を判定する。演算値は、例えば、1つの選択電極14の静電容量と共用電極15の静電容量との和である。具体的には、判定部41は、第1選択電極14aと共用電極15との和によって、タッチスイッチ9の上寄りの領域に対するタッチ操作を検出する。また、判定部41は、第2選択電極14bと共用電極15との和によって、タッチスイッチ9の下寄りの領域に対するタッチ操作を検出する。
【0036】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の検出装置3の作用について説明する。
図8(a)に示すように、タッチスイッチ9において、例えば、上寄りのタッチ操作領域がタッチ操作された場合、指が触れる領域は、第2電極組17bよりも第1電極組17aの方が大きくなる。本例の場合、判定部41は、第1電極組17aの検出容量の和と、第2電極組17bの検出容量の和と、を比較することにより、上寄り又は下寄りのどちらのタッチ操作領域がタッチ操作されたのかを判定する。
【0037】
図8(a)の場合、下寄りのタッチ操作領域よりも上寄りのタッチ操作領域のタッチ面積が大きくなるため、第2電極組17bの検出容量の和よりも、第1電極組17aの検出容量の和の方が、値が大きくなる。このとき、判定部41は、第1電極組17aの検出容量の和がタッチ判定の閾値以上となる判定結果を得る。よって、判定部41は、第1電極組17aの検出容量の和が閾値以上となったとき、上寄りのタッチ操作領域がタッチ操作されたと判定する。
【0038】
制御装置40は、例えば、風量の設定温度を1段階上げる操作が実行された判定結果が得られた場合、温度上昇指令をエアーコンディショナー装置に出力することにより、風量の温度を1段階上昇させる。また、制御装置40は、液晶26の設定温度の画像5を、1段階上昇させた値に切り替える。これにより、風量の設定温度が1段階上げられたことがユーザに通知される。
【0039】
図8(b)に示すように、タッチスイッチ9において、例えば、下寄りのタッチ操作領域がタッチ操作された場合、指が触れる領域は、第1電極組17aよりも第2電極組17bの方が大きくなる。このため、第1電極組17aの検出容量の和よりも、第2電極組17bの検出容量の和の方が、値が大きくなる。このとき、判定部41は、第2電極組17bの検出容量の和の方がタッチ判定の閾値以上となる判定結果を得る。よって、判定部41は、第2電極組17bの検出容量の和が閾値以上となったとき、下寄りのタッチ操作領域がタッチ操作されたと判定する。
【0040】
制御装置40は、例えば、風量の設定温度を1段階下げる操作が実行された判定結果が得られた場合、温度下降指令をエアーコンディショナー装置に出力することにより、風量の温度を1段階下降させる。また、制御装置40は、液晶26の設定温度の画像5を、1段階下降させた値に切り替える。これにより、風量の設定温度が1段階下げられたことがユーザに通知される。
【0041】
(実施形態の効果)
上記実施形態の検出装置3(ユーザインターフェース1)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0042】
(1-1)検出装置3は、自己容量方式の静電容量センサ10の電極13の静電容量変化に基づき、パネル7へのタッチ操作を検出する。検出装置3は、検出するタッチ位置が異なる複数の選択電極14と、複数の選択電極14の間で共用される共用電極15と、判定部41と、を備える。判定部41は、共用電極15を複数の選択電極14の各々の一要素として割り当てて、どの選択電極14がタッチ操作されたのかを判定する。
【0043】
本構成によれば、共用電極15を複数の選択電極14の各々の一要素として割り当てることにより、どの選択電極14がタッチ操作されたのかを判定する。このように、共用電極15が複数の選択電極14の間で共用されるため、タッチ検出に必要な電極サイズを小さく抑えつつ、タッチ操作の検出範囲を広くとることが可能となる。よって、タッチ操作の検出性能を悪化させることなく装置サイズを小型化できる。
【0044】
(1-2)複数の選択電極14と共用電極15とは、複数の選択電極14の間に共用電極15が位置するように、規定の方向に並んで配置されている。この構成によれば、複数の選択電極14と共用電極15との並びを、簡易な配列とすることができる。
【0045】
(1-3)判定部41は、複数の選択電極14の各々を共用電極15と組み合わせることにより、これら電極組17をタッチ操作の検出単位として割り当てて、どの電極組17がタッチ操作されたのかを判定する。本構成によれば、複数の選択電極14の各々を共用電極15と組み合わせることにより、これら電極組17をタッチ操作の検出単位として割り当てるようにした。このため、電極サイズを小さく抑えつつ、タッチ操作の検出範囲を広くとることが可能となる。よって、タッチ操作の検出性能を悪化させることなく装置サイズを小型化できる。
【0046】
(1-4)判定部41は、電極組17ごとの静電容量の演算値を求めるとともに、その演算値に基づきタッチ操作を判定する。この構成によれば、電極組17ごとの演算値を求めて比較するという簡易な処理によって、タッチ操作を判定することができる。
【0047】
(1-5)検出装置3は、パネル7に画像5を表示するディスプレイ6を備える。ディスプレイ6は、判定部41の判定結果に応じた画像5をパネル7の背面から投影することにより、パネル7に画像5を表示する。この構成によれば、判定部41の判定結果に応じた画像5を表示するディスプレイ6を備えた検出装置3とすることができる。
【0048】
(1-6)パネル7は、タッチ操作の操作機能を表す表示物8を、電極13と重なる位置に有する。この構成によれば、表示物8によってタッチ操作の操作機能が直ぐに分かり、かつ、表示物8をタッチ操作の操作位置として認識できる。
【0049】
(1-7)検出装置3は、表示物8をパネル7に点灯表示するパターン点灯表示部31を備える。パターン点灯表示部31は、表示物8を象った光透過可能な孔32にパネル7の背面から光を照射することにより、孔32を透過する光によって、表示物8を点灯表示する。この構成によれば、タッチ操作の操作機能に関係する表示物8を、電極13と重ねた位置に配置することが可能となる。よって、タッチ操作の操作機能を表示物8によって認識できる。また、表示物8をタッチ操作の狙い位置とすることもできる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の電極構成を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0051】
(電極13の概説)
図9に示すように、複数の選択電極14の各々は、電極13の幅方向(
図9の矢印K方向)の中央寄りの位置に配置されるとともに、その幅方向に対して交差する方向(
図9の矢印R方向)に細長く延びた形状に形成されている。共用電極15は、例えば、英大文字H形状に形成されている。このため、共用電極15は、電極13の幅方向に並んだ一対の広領域部46aと、一対の広領域部46aを繋ぐ連結部46bと、を有する。
【0052】
本例の電極形状とするにあたっては、例えば、共用電極15に一対の凹部(例えば、スリットなど)を形成するとともに、これら凹部に第1選択電極14a及び第2選択電極14bを各々配置する方法が挙げられる。また、この方法以外には、例えば、四角状の共用電極15の表面に、第1選択電極14a及び第2選択電極14bの各々を、絶縁層を介して配置する方法が挙げられる。
【0053】
(タッチ判定の仕方)
判定部41は、共用電極15をタッチ操作有無の検出するための識別用電極として使用する。具体的には、共用電極15は、電極13がタッチ操作されたか否かを検出するための電極として使用される。そして、判定部41は、第1選択電極14a及び第2選択電極14bのどちらがタッチ操作されたのかを、第1選択電極14a及び第2選択電極14bの検出容量に基づき判定する。
【0054】
(実施形態の作用)
図10(a)に示すように、タッチスイッチ9において、例えば、上寄りのタッチ操作領域がタッチ操作された場合、指は、共用電極15に触れるとともに、第2選択電極14bよりも第1選択電極14aの方に多く触れる。本例の場合、判定部41は、共用電極15の検出容量に基づき、タッチ操作の有無を判定する。すなわち、共用電極15の検出容量が規定値以上となれば、ユーザによるタッチ操作があったと判定する。
【0055】
また、判定部41は、第1選択電極14a及び第2選択電極14bの検出容量の大きさを比較することにより、上寄り又は下寄りのどちらのタッチ操作領域がタッチ操作されたのかを判定する。すなわち、判定部41は、共用電極15でタッチ操作ありを認識するとともに、第1選択電極14a及び第2選択電極14bの検出容量の大きさから、上寄り又は下寄りのどちらのタッチ操作領域がタッチ操作されたのかを判定する。
【0056】
図10(a)の場合、下寄りのタッチ操作領域よりも上寄りのタッチ操作領域のタッチ面積が大きくなるため、第2選択電極14bの検出容量よりも、第1選択電極14aの検出容量の方が、値が大きくなる。よって、判定部41は、共用電極15でタッチ操作を認識した状態において、第2選択電極14bではなく第1選択電極14aの検出容量がタッチ判定の閾値以上となる判定結果を得るため、上寄りのタッチ操作領域がタッチ操作されたと判定する。
【0057】
図10(b)に示すように、タッチスイッチ9において、例えば、下側のタッチ操作領域がタッチ操作された場合、指は、共用電極15に触れるとともに、第1選択電極14aよりも第2選択電極14bの方に多く触れる。このため、第1選択電極14aの検出容量よりも、第2選択電極14bの検出容量の方が、値が大きくなる。よって、判定部41は、共用電極15でタッチ操作を認識した状態において、第1選択電極14aではなく第2選択電極14bの検出容量がタッチ判定の閾値以上となる判定結果を得るため、下寄りのタッチ操作領域がタッチ操作されたと判定する。
【0058】
(実施形態の効果)
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0059】
(2-1)複数の選択電極14の各々は、電極13の幅方向の中央寄りの位置に配置されるとともに、その幅方向に対して交差する方向に細長く延びた形状に形成されている。この構成によれば、選択電極14をスポット的に配置するので、選択電極14を小さくすることができる。また、タッチ操作の最適な位置に選択電極14を配置することができる。
【0060】
(2-2)判定部41は、タッチ操作有無を共用電極15の静電容量に基づき検出するとともに、複数の選択電極14の静電容量の大小関係から、どの選択電極14がタッチ操作されたのかを判定する。この構成によれば、選択電極14はタッチ操作有無を検出できればよいため、サイズを小さくすることが可能となる。よって、検出装置3において、装置サイズの小型化に一層寄与する。
【0061】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
・各実施形態において、ユーザインターフェース1から、表示物8の点灯表示機能を省略してもよい。すなわち、周囲の環境光によってのみ表示物8が見えるようにしてもよい。このように、ユーザインターフェース1から、パターン点灯表示部31が省略されてもよい。
【0063】
・第1実施形態において、選択電極14及び共用電極15は、四角形(長方形)の形状に形成されることに限らず、他の多角形状や円形状に変更してもよい。
・第1実施形態において、演算値は、検出容量の和に限らず、例えば、検出容量の変化量などの他の値としてもよい。
【0064】
・第2実施形態において、選択電極14は、電極13の幅方向中央に配置されることに限らず、中央から所定量ずれて配置されてもよい。
・第2実施形態においても、選択電極14や共用電極15の形状を自由に変更してもよい。
【0065】
・各実施形態において、選択電極14は、電極13の縦方向に並び配置されることに限らず、幅方向に並び配置されてもよい。
・各実施形態において、複数の選択電極14は、同一形状に限定されず、異なる形状としてもよい。
【0066】
・各実施形態において、電極13(表示物8)は、パネル7において行方向に複数設けられてもよい。
・各実施形態において、選択電極14の個数は、2つに限定されず、3つ以上としてもよい。
【0067】
・各実施形態において、選択電極14を4つとした場合、これらを十字状に配置してもよい。こうすれば、上下左右の十字方向に操作可能なタッチスイッチ9とすることができる。
【0068】
・各実施形態において、第1実施形態の電極形状で第2実施形態の判定の仕方を採用してもよい。また、これとは逆に、第2実施形態の電極形状で第1実施形態の判定の仕方を採用してもよい。
【0069】
・各実施形態において、表示物8が省略されてもよい。
・各実施形態において、ディスプレイ6が省略されてもよい。
・各実施形態において、検出装置3は、車載用に限定されず、他の機器やシステムに使用してもよい。
【0070】
・各実施形態において、判定部41は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0071】
・各実施形態において、判定部41は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、判定部41は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0072】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0073】
1…ユーザインターフェース、3…検出装置、5…画像、6…ディスプレイ、7…パネル、8…表示物、10…静電容量センサ、13…電極、14…選択電極、14a…第1選択電極、14b…第2選択電極、15…共用電極、17…電極組、17a…第1電極組、17b…第2電極組、31…パターン点灯表示部、32…孔、41…判定部。