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特開2024-30436エアバッグ装置の製造方法及びエアバッグ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030436
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】エアバッグ装置の製造方法及びエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/237 20060101AFI20240229BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B60R21/237
B60R21/207
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133344
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 優斗
(72)【発明者】
【氏名】桜井 努
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA21
3D054CC29
3D054DD13
3D054FF16
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】乗員を十分に保護できるようにエアバッグクッションが膨張展開するエアバッグ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るエアバッグ装置の製造方法は、突出部を、前記突出部の先端から前記メインチャンバの方向に向かってロール状に折り畳み、前記突出部のロール軸が前記メインチャンバの長手方向に対して交差する方向になるように、ロール状の前記突出部の一方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバが平置きされた状態での前記メインチャンバの一方の面に当接するように折り畳まれ、ロール状の前記突出部の他方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバが平置きされた状態での前記メインチャンバの他方の面に当接するように折り畳む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の車室(1)内で膨張展開し、座席(2、3)に着座する乗員を側方から拘束するエアバッグクッション(41)を備えるエアバッグ装置(4)の製造方法であって、
膨張展開用のガスを噴射するインフレータ(42)を収容する収容部(411)を含むメインチャンバ(41d)と、前記エアバッグクッション(41)の膨張展開時に、当該メインチャンバ(41d)の長手方向の中央部分から、当該長手方向に交差する方向に延びる突出部(41e)とを含む前記エアバッグクッション(41)を用意し、
前記突出部(41e)を、前記突出部の先端から前記メインチャンバ(41d)の方向に向かってロール状に折り畳み、
前記突出部(41e)のロール軸が前記メインチャンバ(41d)の長手方向に対して交差する方向になるように、ロール状の前記突出部(41e)の一方端部を含む部分を、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の一方の面に当接するように折り畳み、
ロール状の前記突出部(41e)の他方端部を含む部分を、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の他方の面に当接するように折り畳み、
前記メインチャンバ(41d)において前記収容部(411)から延在する第1部分(41a)を、前記エアバッグクッション(41)の一方の水平方向の端部から前記収容部(411)の近傍までの間で、ロール状または蛇腹状に折り畳み、
前記収容部(411)から見て、前記第1部分(41a)と水平方向における反対方向に延在する第2部分(41b)より更に延在する第3部分(41c)を、ロール状または蛇腹状に折り畳む
エアバッグ装置(4)の製造方法。
【請求項2】
前記第1部分(41a)に対して前記収容部(411)と反対側に配された前記第2部分(41b)を、折り畳まれた前記第1部分(41a)の側に折り返し、
ロール状に折り畳まれた前記第3部分(41c)を、前記第1部分(41a)に対して前記収容部(411)と反対側に配置する
請求項1に記載のエアバッグ装置(4)の製造方法。
【請求項3】
前記第3部分(41c)をロール状に折り畳む前に、
前記第3部分(41c)の端部を、前記第2部分(41b)の方向に向かって、前記エアバッグクッション(41)の内部に折り込む
請求項1または2に記載のエアバッグ装置(4)の製造方法。
【請求項4】
前記エアバッグクッション(41)は、展開時に前記突出部(41e)に対向する面を構成する底面マチ部(41g)を備え、
前記底面マチ部(41g)を、前記エアバッグクッション(41)における内面が当接し、外面が山折りになるように折り畳む
請求項1または2に記載のエアバッグ装置(4)の製造方法。
【請求項5】
車両(100)の車室(1)内で膨張展開し、座席(2、3)に着座する乗員を側方から拘束するエアバッグクッション(41)を備えるエアバッグ装置(4)であって、
前記エアバッグクッション(41)は、膨張展開用のガスを噴射するインフレータ(42)を収容する収容部(411)を含むメインチャンバ(41d)と、前記エアバッグクッション(41)の膨張展開時に、当該メインチャンバ(41d)の長手方向の中央部分から、当該長手方向に交差する方向に延びる突出部(41e)とを含み、
前記突出部(41e)は、前記突出部の先端から前記メインチャンバ(41d)の方向に向かってロール状に折り畳まれ、
前記突出部(41e)のロール軸が前記メインチャンバ(41d)の長手方向に対して交差する方向になるように、ロール状の前記突出部(41e)の一方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の一方の面に当接するように折り畳まれ、
ロール状の前記突出部(41e)の他方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の他方の面に当接するように折り畳まれ、
前記メインチャンバ(41d)において前記収容部(411)から延在する第1部分(41a)は、前記エアバッグクッション(41)の一方の水平方向の端部から前記収容部(411)の近傍までの間で、ロール状または蛇腹状に折り畳まれ、
前記収容部(411)から見て、前記第1部分(41a)と水平方向における反対方向に延在する第2部分(41b)より更に延在する第3部分(41c)は、ロール状または蛇腹状に折り畳まれている
エアバッグ装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、エアバッグ装置の製造方法及びエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両にはエアバッグ装置が装備されている。エアバッグ装置は、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、ガス圧で膨張展開して乗員を受け止めて保護する。エアバッグには、設置箇所及び用途に応じて様々な種類がある。例えば、前後方向からの衝突から運転者を守るために、ステアリングの中央にはフロントエアバッグが設けられている。また、側面衝突又はそれに続いて起こる横転から乗員を守るために、壁部の天井付近からサイドウィンドウに沿って膨張展開するカーテンエアバッグ、座席の側部から乗員のすぐ脇へ膨張展開するサイドエアバッグなどが設けられている。そして、サイドエアバッグには、側面衝突等の際に運転座席に着座している乗員が助手座席側に移動することを抑制するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-115947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両のサイズ、エアバッグを取り付ける場所、及び、エアバッグの形状によっては、特許文献1に記載の膨張展開によっては乗員を衝撃から十分に保護できない場合がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、乗員を十分に保護できるようにエアバッグクッションが膨張展開するエアバッグ装置の製造方法及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置の製造方法は、車両(100)の車室(1)内で膨張展開し、座席(2、3)に着座する乗員を側方から拘束するエアバッグクッション(41)を備えるエアバッグ装置(4)の製造方法であって、膨張展開用のガスを噴射するインフレータ(42)を収容する収容部(411)を含むメインチャンバ(41d)と、前記エアバッグクッション(41)の膨張展開時に、当該メインチャンバ(41d)の長手方向の中央部分から、当該長手方向に交差する方向に延びる突出部(41e)とを含む前記エアバッグクッション(41)を用意し、前記突出部(41e)を、前記突出部の先端から前記メインチャンバ(41d)の方向に向かってロール状に折り畳み、前記突出部(41e)のロール軸が前記メインチャンバ(41d)の長手方向に対して交差する方向になるように、ロール状の前記突出部(41e)の一方端部を含む部分を、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の一方の面に当接するように折り畳み、ロール状の前記突出部(41e)の他方端部を含む部分を、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の他方の面に当接するように折り畳み、前記メインチャンバ(41d)において前記収容部(411)から延在する第1部分(41a)を、前記エアバッグクッション(41)の一方の水平方向の端部から前記収容部(411)の近傍までの間で、ロール状または蛇腹状に折り畳み、前記収容部(411)から見て、前記第1部分(41a)と水平方向における反対方向に延在する第2部分(41b)より更に延在する第3部分(41c)を、ロール状または蛇腹状に折り畳む。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置の製造方法は、前記第1部分(41a)に対して前記収容部(411)と反対側に配された前記第2部分(41b)を、折り畳まれた前記第1部分(41a)の側に折り返し、ロール状に折り畳まれた前記第3部分(41c)を、前記第1部分(41a)に対して前記収容部(411)と反対側に配置する。
【0008】
本発明に係るエアバッグ装置の製造方法は、前記第3部分(41c)をロール状に折り畳む前に、前記第3部分(41c)の端部を、前記第2部分(41b)の方向に向かって、前記エアバッグクッション(41)の内部に折り込む。
【0009】
本発明に係るエアバッグ装置の製造方法は、前記エアバッグクッション(41)は、展開時に前記突出部(41e)に対向する面を構成する底面マチ部(41g)を備え、前記底面マチ部(41g)を、前記エアバッグクッション(41)における内面が当接し、外面が山折りになるように折り畳む。
【0010】
本発明に係るエアバッグ装置は、車両(100)の車室(1)内で膨張展開し、座席(2、3)に着座する乗員を側方から拘束するエアバッグクッション(41)を備えるエアバッグ装置(4)であって、前記エアバッグクッション(41)は、膨張展開用のガスを噴射するインフレータ(42)を収容する収容部(411)を含むメインチャンバ(41d)と、前記エアバッグクッション(41)の膨張展開時に、当該メインチャンバ(41d)の長手方向の中央部分から、当該長手方向に交差する方向に延びる突出部(41e)とを含み、前記突出部(41e)は、前記突出部の先端から前記メインチャンバ(41d)の方向に向かってロール状に折り畳まれ、前記突出部(41e)のロール軸が前記メインチャンバ(41d)の長手方向に対して交差する方向になるように、ロール状の前記突出部(41e)の一方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の一方の面に当接するように折り畳まれ、ロール状の前記突出部(41e)の他方端部を含む部分が、膨張前の前記メインチャンバ(41d)が平置きされた状態での前記メインチャンバ(41d)の他方の面に当接するように折り畳まれ、前記メインチャンバ(41d)において前記収容部(411)から延在する第1部分(41a)は、前記エアバッグクッション(41)の一方の水平方向の端部から前記収容部(411)の近傍までの間で、ロール状または蛇腹状に折り畳まれ、前記収容部(411)から見て、前記第1部分(41a)と水平方向における反対方向に延在する第2部分(41b)より更に延在する第3部分(41c)は、ロール状または蛇腹状に折り畳まれている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係るエアバッグ装置の製造方法にあっては、乗員を十分に保護できるようにエアバッグクッションが膨張展開するエアバッグ装置の製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】サイドエアバッグ装置を備える車両の内部を略示する斜視図である。
図2】サイドエアバッグ装置を備える車両の内部を略示する平面図である。
図3図1のIII-III線によるサイドエアバッグ装置の断面図である。
図4】エアバッグクッションの例を示す斜視図である。
図5】エアバッグクッションの折り畳み方法を示す説明図である。
図6】エアバッグクッションの折り畳み方法を示す説明図である。
図7】エアバッグクッションの展開過程を示す説明図である。
図8】エアバッグクッションが展開を完了した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下の説明で使用している「上」、「下」、「上下」方向とは、車両の天井の中心と床の中心とを結ぶ線上での方向を示し、天井に向かう方向を「上」とし、床に向かう方向を「下」とする。また、車両の「前」、「後」、「前後」方向とは、車両の前進方向を「前」方向とし、車両の後進方向を「後」方向とする。更に、車両の幅方向とは、通常の座席が並んで配置される方向であり、上記した「前後」方向と直交する方向であり、運転座席2側の方向である「右」方向と、助手座席3側の方向である「左」方向とを含む。
【0014】
図1は、サイドエアバッグ装置4を備える車両100の内部を略示する斜視図である。図2は、サイドエアバッグ装置4を備える車両100の内部を略示する平面図である。図1図2には、車室1の床面10上に設置された運転座席(座席)2と助手座席(座席)3とシートベルト5とが示されている。運転座席2は、座部21と、該座部21の後側から上向きに立ち上がる背もたれ22とを備えている。
【0015】
図2に示すように、サイドエアバッグ装置(エアバッグ装置)4は、車両100の車室1内に設置されている運転座席2の背もたれ22の助手座席3側の内部に配してある。図1に示すようにサイドエアバッグ装置4は直方体状をなす。なお、サイドエアバッグ装置4は、助手座席3の背もたれの運転座席2側の内部に配されてもよい。
【0016】
図3は、図1のIII-III線によるサイドエアバッグ装置4の断面図である。本図の上、下は、車両100の前、後に対応する。サイドエアバッグ装置4は、収納部40内に収納されたエアバッグクッション41とインフレータ42とを備える。
【0017】
エアバッグクッション41は、例えば、ナイロン繊維等の高強度繊維の編み込みにより強化された布地製の袋体であり、ロール状に折り畳まれて収納部40の内側に収納されている。エアバッグクッション41の形状及び折り畳み方については、後述する。インフレータ42は、スタッドボルト421により収納部40の底板を挟み込んで、背もたれ22の骨格フレーム23に固定されている。インフレータ42は、エアバッグクッション41の内部に膨張展開用のガスを噴射可能に格納されている。
【0018】
収納部40は、一面が開口された箱体であり、背もたれ22の骨格フレーム23にスタッドボルト43及び上述したスタッドボルト421により固定されている。収納部40の開口部は助手座席3側に向いており、運転座席2の側面と面一をなすカバー板44に覆われている。カバー板44は、収納部40よりも低強度の樹脂製の板である。カバー板44の外面前部には、上下方向の全長に亘って開裂溝45が形成されている。エアバッグクッション41は、車両100の衝突時にインフレータ42の噴射ガスの作用により膨張し、開裂溝45を破断して側方に向けて展開する。図3に示す開裂溝45は、カバー板44の外面に形成されているが、カバー板44の内面に形成されてもよい。
【0019】
図4はエアバッグクッション41の例を示す斜視図である。図4では膨張時のエアバッグクッション41を示している。図4に示す方向は、前述した車両100における方向を示している。エアバッグクッション41は、車両100の水平方向(前後方向及び幅方向)に展開するメインチャンバ41dと、メインチャンバ41dの長手方向における中央部分から長手方向に交差する方向に展開する突出部41eとを有する、凸字状をなす。なお、図4において、メインチャンバ41dの長手方向は車両100の前後方向に対応し、長手方向に交差する方向は、車両100の上下方向に対応する。突出部41eは、メインチャンバ41dから、車両100の上方向に延びる。エアバッグクッション41は平面視凸字状をなす2枚のパネルを幅方向に厚みを持たせる上面マチ部41f及び底面マチ部41gを介して接合したものである。エアバッグクッション41の内部には、シリンダ型(筒型)のインフレータ42を収容する収容部411が設けられている。収容部411には、インフレータ42が有するスタッドボルト421を挿通される挿通孔412、413が設けてある。インフレータ42は、車両100の衝突等の緊急時に動作しエアバッグクッション41の内部にガスを噴射する。エアバッグクッション41は、インフレータ42の噴射ガスの作用により爆発的に膨張する。エアバッグクッション41の膨張圧力は、収納部40の底板を支えとしてカバー板44に作用する。エアバッグクッション41は開裂溝45を破断して、収納部40の外部に膨張展開する。なお、以下、膨張展開を単に展開とも言う。
【0020】
以下の説明において、エアバッグクッション41のメインチャンバ41dを概念的に3つの部分からなるものとする。前方部分を第1部分41a、収容部411から後方の部分を第2部分41b、第2部分41bから更に後方を第3部分41cとする。第1部分41aはエアバッグクッション41の前後方向の一方の端部から収容部411の近傍までの部分である。第2部分41bは収容部411から見て、第1部分41aと前後方向において反対方向に所定の長さ延在した部分である。第3部分41cは第1部分41aに対して収容部411と反対側に配された第2部分41bから更に延在した部分である。第2部分41bは、主に隣接した座席(運転座席2、助手座席3)の間の空間の部分に対応する位置に設けられる。第1部分41a、第2部分41b及び第3部分41cは概念的な区分けである。第1部分41aと第2部分41bとの境界、及び第2部分41bと第3部分41cとの境界は、厳密なものではない。また、図4に示した収容部411の位置は、第1部分41a及び第2部分41bの境界としているが、それに限らない。収容部411の位置を、図4に示した位置よりも前方又は後方としてもよい。すなわち、第1部分41a及び第2部分41bを区分けする境界を、収容部411の位置に関わらず、図4に示したように凸部の前後方向における前側端部の近傍と設定した場合、収容部411は第1部分41aに含まれてもよいし、第2部分41bに含まれてもよい。
【0021】
図5及び図6は、エアバッグクッション41の折り畳み方法を示す説明図である。図5は、突出部41eを折り畳む方法を示す。なお、図5はエアバッグクッション41を左方から見た図である。図5A及び図5Bに示すように、突出部41eは、前後方向に扁平につぶされ、上下方向及び幅方向の辺を有するシート状にされる。その後、シート状にされた突出部41eは、図5Cに示すように、幅方向をロール軸方向として、上端(先端)が最初に第1部分41a側に折られるように、上方から下方に向かってロール状に折り畳まれる。この時、突出部41eの上端は最初に前方向に向かうように折られるようにロール状にされるが、上端が最初に後ろ方向に向かうように折られてロール状にされてもよい。図5Cに示すようにロール状に折り畳まれた突出部41eは、図5Dに示すように、左端(一方端部)がメインチャンバ41dの左面(メインチャンバ41dが平置きされた状態における一方の面)に当接するように、上面マチ部41fと共に折り畳まれる。更に、図5Dに示すように折られた突出部41eは、上下方向における略中心を軸として、図5Cに示す状態における右端(他方端部)がメインチャンバ41dの右面(メインチャンバ41dが平置きされた状態における他方の面)に当接するように、上面マチ部41fと共に下方向に折り畳まれ、図5Eに示す状態となる。なお、エアバッグクッション41が図5Eに示す状態になる際に、底面マチ部41gはエアバッグクッション41における内面が当接し、外面が山折りになるように折り畳まれる。
【0022】
図6はエアバッグクッション41を収納部40に収納するための畳み方を示す。図6図5Dに示す状態に畳まれたエアバッグクッションを上方から見た断面図である。図6Aに示すように、インフレータ42が収容部411に収容されている。図6Bに示すように、第3部分41cの端部は、第2部分41bに向かう方向に、エアバッグクッション41の内部に折り込まれる。図6Cに示すように、エアバッグクッション41の第1部分41aは、ロール状に折り畳まれる。第1部分41aが折り畳まれる向きは、最初に第1部分41aの端部が反時計回りに折られ、右方のパネルが外側になるようにロールされた結果、上方から見て時計回りのロール折りとなる向きである。以下、このような折り畳み方を「時計回りのロール折り」という。図6Dに示すように、第3部分41cは、ロール状に折り畳まれる。第3部分41cが折り畳まれる向きは、最初に第3部分41cの端部が時計回りに折られ、右方のパネルが外側になるようにロールされた結果、上方から見て反時計回りのロール折りとなる向きである。以下、このような折り畳み方を「反時計回りのロール折り」という。図6Eに示すように、第2部分41bは、後方側から前方側に折り返される。これにより、第3部分41cは、第1部分41aに対して、収容部411の反対側に配置される。図6Eに示す例においては、ロール状に折り畳まれた突出部41eの前端側は第1部分41aと第3部分41cとの間に位置するが、ロール状に折り畳まれた突出部41eの前端側と第3部分41cとの間に第1部分41aが位置するように折り畳まれてもよい。
【0023】
図7は、エアバッグクッション41の展開過程を示す説明図である。図7は車室1の上方から見た図である。図7Aは展開前の状態を示す。図7Bは展開開始直後の状態を示す。展開開始後、第1部分41aは車室1の上方から見て時計回りのロール折りであるので、展開しながら第3部分41cを左前に押し出そうとする。第1部分41aによる力は、第3部分41cを助手座席3方向に向かわせる力となる。第3部分41cは車室1の上方から見て反時計回りのロール折りであるので、第1部分41aによる力と合わせて、折り畳まれている状態から展開する力により、助手座席3方向に傾きながら展開する。一方、第2部分41bはインフレータ42からのガスによる展開動作の力で、助手座席3方向、すなわち左方向に傾きながら展開する。また、第1部分41aは時計回りのロール折りであるので、折り畳まれている状態から展開する力により車室1の右方向に傾きながら展開する。そのため、エアバッグクッション41の状態は図7Bに示すように、平面視でV字状となる。
【0024】
図7Cはメインチャンバ41dが展開した状態を示す。図7Dは、エアバッグクッション41の展開が完了した状態を示す。エアバッグクッション41の第1部分41a及び第3部分41cのロール折が展開され、メインチャンバ41dが展開すると、両端が下方向を向くように折られていたロール状の突出部41eの折れが、突出部41eが前後方向に開くことによって解消され、前後方向をロール軸方向とした一本のロール巻きとなる。なお、図7Cに示す状態において突出部41eのロール折りは展開していない。その後、突出部41eが上方に向かって展開し、図7Dに示す状態となる。図7Dに示すエアバッグクッション41が展開した状態において、長手方向は車両の幅方向と略同方向となる。
【0025】
図8は、エアバッグクッション41が展開を完了した状態を示す正面図である。
図7D及び図8に示すように、展開した状態でのエアバッグクッション41において、第3部分41cは助手座席3に乗り上がる状態となる。そのため、運転座席2に着座している乗員が助手座席3側に移動することを抑制できる。また、エアバッグクッション41の拘束位置が固定されると共に、助手座席3のシートからの反力も利用して、乗員が受けた衝突の衝撃力を緩和することが可能となる。
【0026】
以上の構成によれば、展開時に、両端が下方向を向くように折られていたロール状の突出部41eの折れが、突出部41eが前後方向に開くことによって解消される。この挙動により、エアバッグクッション41は前後方向に安定して展開し、乗員を十分に保護できるように展開することが可能である。なお、本発明において突出部41e、第1部分41a、及び第3部分41cはロール状に折り畳まれるが、蛇腹状に折り畳まれてもよい。
【0027】
なお請求項に符号が記載されている場合、前記符号は、請求項の理解を容易にする為に、実施の形態に記載される符号に対応させて、参考として付されるものに過ぎず、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0028】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0029】
100 車両
1 車室
2 運転座席(座席)
3 助手座席(座席)
4 サイドエアバッグ装置(エアバッグ装置)
41 エアバッグクッション
41a 第1部分
41b 第2部分
41c 第3部分
41d メインチャンバ
41e 突出部
41f 上面マチ部
41g 底面マチ部
411 収容部
42 インフレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8