(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030444
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】装置、装置の寿命管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/22 20060101AFI20240229BHJP
H04M 3/00 20240101ALI20240229BHJP
H04Q 3/58 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H04M3/22 Z
H04M3/00 E
H04Q3/58 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133357
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 賢二
(72)【発明者】
【氏名】中山 裕介
(72)【発明者】
【氏名】堀内 一乃
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049AA09
5K201EA08
5K201FA03
5K201FA08
(57)【要約】
【課題】
装置の寿命により故障が生じる前に使用者に装置の交換意識を持たせることができる装置を提供する。
【解決手段】
装置の稼働時間を計測する計測部と、稼働時間が装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理部と、第1の告知信号を出力した後において、稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ装置の一部機能を無効にする第2の処理部と、第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別部と、応答信号を受信したときに装置の一部機能の無効を解除する第3の処理部と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寿命管理機能を有する装置であって、
前記装置の稼働時間を計測する計測部と、
前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理部と、
前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理部と、
前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別部と、
前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理部と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2の処理部は、前記第2の告知信号に対する応答信号を受信した後において、前記稼働時間が前記特定時間を経過したときに前記第2の告知信号を再出力し、かつ前記装置の前記一部機能を再度無効にすることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第2の判別部を有し、
前記第2の処理部は、前記第1の告知信号に対する応答信号の受信に応じて前記稼働時間が前記特定時間を経過したか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1の告知信号は前記装置が寿命に達したことを告知せしめる信号であり、前記第2の告知信号は前記装置が寿命に達したことにより前記装置の機能制限中にあり、動作継続のためには解除操作が必要であることを告知せしめる信号であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記稼働時間が前記第1の所定時間より小の第2の所定時間に達したときに第3の告知信号を出力する第4の処理部と、
前記第3の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第3の判別部と、を有し、
前記第3の告知信号は前記稼働時間が前記装置の寿命に近い時間に達したことを告知せしめる信号であることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記装置には端末が接続されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記端末は、表示部及び操作部を有し、
前記第1の告知信号を受信して前記第1の告知信号が示す第1の内容を前記表示部に表示し、前記第1の内容の表示中における前記操作部の設定キーの操作に応じて前記第1の告知信号に対する応答信号を前記装置に送信し、
前記第2の告知信号を受信して前記第2の告知信号が示す第2の内容を前記表示部に表示し、前記第2の内容の表示中における前記設定キーの操作に応じて前記第2の告知信号に対する応答信号を前記装置に送信し、
前記第3の告知信号を受信して前記第3の告知信号が示す第3の内容を前記表示部に表示し、前記第3の内容の表示中における前記設定キーの操作に応じて前記第3の告知信号に対する応答信号を前記装置に送信することを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記第1の告知信号に対する応答信号、前記第2の告知信号に対する応答信号、及び前記第3の告知信号に対する応答信号の各々に応答して前記表示部の表示のクリア指令を示す制御データを前記端末に送信する第5の処理部を有することを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記装置はIP電話交換機であり、前記端末は前記IP電話交換機に接続されたIP電話機であることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記一部機能は発信、着信、及び通話に関する機能であることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記装置はIP電話機であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記IP電話交換機は着脱自在な電源部を有し、
前記計測部は前記電源部の稼働時間を計測し、
前記第1の処理部は前記電源部の稼働時間が前記電源部の寿命に相当する第3の所定時間に達したときに第4の告知信号を出力し、
前記第2の処理部は前記第4の告知信号を出力した後において、前記電源部の稼働時間が前記特定時間を経過したときに第5の告知信号を出力し、かつ前記IP電話交換機の一部機能を無効にし、
前記第1の判別部は前記第5の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別し、
前記第3の処理部は前記第5の告知信号に対する応答信号を受信したときに前記IP電話交換機の前記一部機能の無効を解除することを特徴とする請求項9又は10記載の装置。
【請求項13】
装置の寿命管理方法であって、
前記装置は、
前記装置の稼働時間を計測する計測ステップと、
前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理ステップと、
前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理ステップと、
前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別ステップと、
前記応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理ステップと、を有することを特徴とする寿命管理方法。
【請求項14】
寿命管理機能を有する装置に用いられるプログラムであって、
コンピュータを、
前記装置の稼働時間を計測する計測部と、
前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理部と、
前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理部と、
前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別部と、
前記応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理部として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命管理機能を有する装置、装置の寿命管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置(後述の特許文献1の一例では電気機器)を利用する使用者に対し、その装置が動作した際の運転データの蓄積から保守整備や寿命に至るまでの余寿命を予測し、保守整備時期や予測した余寿命を日常生活の中で役立つ時間情報として通知することにより、装置管理上の予防保全につなげることができる管理システムが提案されている。
【0003】
特許文献1には、所定期間T1(例えば、1日)毎に蓄積された運転データに基づいて、データ算出部が所定期間T1の所定倍の所定期間T2(例えば、1週間)毎に運転データの平均を算出し、この算出で装置の余寿命を除することにより新たなメンテナンスまたは寿命に至るまでの余寿命の情報を算出し、その余寿命の情報を顧客に報知する家電機器管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、装置に寿命が来たことが顧客等の使用者に通知されたとしても、装置が即座に使えなくなるというわけではないので、使用者はその装置を使い続ける可能性がある。装置の予備機の備えが無い状態で使い続けた場合に装置が急に故障し、通常状態への復旧までに時間を要してしまうことがある。また、装置が寿命を超えて使用されたことにより故障しても、その故障に使用者は気が付かないまま放置されることで装置の周囲にまで影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、このような課題に着目し、装置の寿命により故障が生じる前に使用者に装置の交換意識を持たせることができる装置、装置の寿命管理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の装置は、寿命管理機能を有する装置であって、前記装置の稼働時間を計測する計測部と、前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理部と、前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理部と、前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別部と、前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理部と、を含むことを特徴としている。
【0008】
本発明の寿命管理方法は、装置の寿命管理方法であって、前記装置は、前記装置の稼働時間を計測する計測ステップと、前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理ステップと、前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理ステップと、前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別ステップと、前記応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理ステップと、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明のプログラムは、寿命管理機能を有する装置に用いられるプログラムであって、コンピュータを、前記装置の稼働時間を計測する計測部と、前記稼働時間が前記装置の寿命に相当する第1の所定時間に達したときに第1の告知信号を出力する第1の処理部と、前記第1の告知信号を出力した後において、前記稼働時間が特定時間を経過したときに第2の告知信号を出力し、かつ前記装置の一部機能を無効にする第2の処理部と、前記第2の告知信号に対する応答信号を受信したか否かを判別する第1の判別部と、前記応答信号を受信したときに前記装置の前記一部機能の無効を解除する第3の処理部として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の装置、装置の管理方法、及びプログラムによれば、装置の寿命に相当する稼働時間が計測されると、装置の管理者に装置の寿命が来たことを告知し、かつ装置の一部機能が制限されるので、装置の寿命により故障が生じる前に使用者に装置の交換意識を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用されたIP電話システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のシステム中のIP電話機の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のシステム中のIP電話交換機の構成を示すブロック図である。
【
図4】IP電話交換機中の制御部による電話交換機についての寿命管理動作を示すフローチャートである。
【
図5A】
図4の寿命管理動作で用いられる表示データD1が示す内容を示す図である。
【
図5B】
図4の寿命管理動作で用いられる表示データD2が示す内容を示す図である。
【
図5C】
図4の寿命管理動作で用いられる表示データD3が示す内容を示す図である。
【
図6】IP電話機中の制御部によるIP電話機についての寿命管理動作を示すフローチャートである。
【
図7A】
図6の寿命管理動作で用いられる表示データD4が示す内容を示す図である。
【
図7B】
図6の寿命管理動作で用いられる表示データD5が示す内容を示す図である。
【
図7C】
図6の寿命管理動作で用いられる表示データD6が示す内容を示す図である。
【
図8】IP電話交換機中の制御部による電源部についての寿命管理動作を示すフローチャートである。
【
図9A】
図8の寿命管理動作で用いられる表示データD7が示す内容を示す図である。
【
図9B】
図8の寿命管理動作で用いられる表示データD8が示す内容を示す図である。
【
図9C】
図8の寿命管理動作で用いられる表示データD9が示す内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の装置が適用されたIP(Internet Protocol)電話システム10の概略構成を示している。IP電話システム10は、IP電話交換機11、給電ハブ12、13、及び複数のIP電話機14~19を備えている。IP電話機14はIP電話システム10の管理者が使用する管理者用電話機である。
【0014】
IP電話交換機11は複数のIP電話機14~19のうちのIP電話機間の内線通信又は外線との通信のために回線間の接続を制御する。IP電話交換機11は給電ハブ12とLAN回線21を介して接続され、給電ハブ13とLAN回線22を介して接続されている。すなわち、IP電話交換機11と給電ハブ12、13の各々との間はLAN回線21、22を介して互いに通信可能にされている。給電ハブ12、13の各々はIP電話交換機11からLAN回線21、22を介してハブとして動作する給電式の集線装置である。
【0015】
給電ハブ12にはIP電話機14~16がLAN回線24を介して接続され、給電ハブ13にはIP電話機17~19がLAN回線25を介して接続されている。すなわち、給電ハブ12とIP電話機14~16の各々との間はLAN回線24を介して互いに通信可能にされ、給電ハブ13とIP電話機17~19の各々との間はLAN回線25を介して互いに通信可能にされている。
【0016】
このようにIP電話機14~19の各々は給電ハブ及びLAN回線を介してIP電話交換機11と接続されると、IP電話交換機11と通信を開始することができる。
【0017】
IP電話交換機11、給電ハブ12、13、及び複数のIP電話機14~19の各々はMAC(Media Access Control)アドレスで識別可能な機器である。それらの機器間ではMACアドレスで指定される機器に制御データ、操作データ、音声データ、表示データ、稼働時間データ等の各種データを送信することができる。制御データはIP電話機14~19各々に対する各種の動作指令を含む。操作データは、IP電話機14~19の使用者がIP電話機のいずれかのキーを操作した場合に、その操作したキーを表すデータである。音声データは電話通話の際の音声を示すデータである。表示データはIP電話機14~19の後述の表示部55にテキスト等の内容を表示させるためのデータである。稼働時間データは後述する稼働時間を示すデータである。
【0018】
LAN回線21、22、24、25はいわゆるイーサネット規格に準拠したケーブルである。IP電話機14~19は、詳しく説明しないが、IPを利用して音声をディジタルデータに変換して送受信する電話機である。
【0019】
IP電話機14~19の各々は、例えば、
図2に示されるように、制御部51、LAN回線24に接続された通信部52、使用者が送受話を行うための送受話部53、テンキーを含む複数のキーからなる操作部54、表示部55、及びタイマ56を有する。制御部51は通信部52、送受話部53、操作部54、ディスプレイを有する表示部55、及びタイマ56に接続され、それらを制御するマイクロコンピュータからなる。制御部51は、通話制御と共に後述する寿命管理動作を行う。タイマ56はIP電話機14~19の各々の稼働時間を計測する。
【0020】
IP電話機14~19の各々としては、
図2に示したような専用の電話機以外に、通話機能を有するPC(パーソナルコンピュータ)を用いることができる。本IP電話システム10では管理者用電話機のIP電話機14はPCでも良い。
【0021】
IP電話機14~19の各々は、IP電話交換機11から供給される表示データは通信部52で受信され、それが制御部51に供給されると、表示データが示すテキスト等の内容は表示部55に表示されるようになっている。
【0022】
IP電話交換機11は、
図3に示されるように、制御部31、通信部32、ROM(リードオンリメモリ)33、タイマ34、RAM(ランダムアクセスメモリ)35、記憶部36、RTC(Real Time Clock:リアルタイムクロック)37、電源部38、外線I/F回路39、内線通信部40、及び内線I/F回路41を含んでいる。
【0023】
制御部31、通信部32、ROM33、タイマ34、RAM35、記憶部36、RTC37、電源部38、外線I/F回路39、内線通信部40、及び内線I/F回路41はバス45に接続され、バス45を介して指令やデータを交換することが可能にされている。
【0024】
制御部31は、CPU(中央処理装置)を含むコンピュータからなり、ROM33に予め書き込まれたプログラム(システムBIOSを含む)を実行することにより電話交換制御する。また、制御部31は、ROM33に予め書き込まれたプログラムに従って寿命管理動作を行う。
【0025】
通信部32は制御部31の制御動作によってLAN回線21を介してIP電話機14~16の各々との通信を行う。タイマ34は制御部31の指令に応じて時間計測を行う。
【0026】
ROM33は不揮発性メモリ(FROM:FLASH ROM)であり、ROM33には上述したプログラムが予め書き込まれる他、制御部31によってIP電話交換機11の稼働時間がデータとして書き込まれる。また、ROM33にはIP電話機17~19の各々のMACアドレスに関連付けて、制御部31によってIP電話機17~19の各々の稼働時間がデータとして書き込まれる。
【0027】
RAM35は制御部31によって一時的な通信制御のデータの書き込み又は読み出しに用いられる。
【0028】
記憶部36は例えば、半導体メモリからなり、制御部31の指令によりデータを記憶する。
【0029】
電源部38は、AC電源回路46、DC電源回路47、バッテリ48、及びROM49を備えている。AC電源回路46は商用電源である交流電力を外部から電力供給線26を介して受け入れ、それを変圧及び整流して出力する。DC電源回路47はAC電源回路46の出力電圧が検出されるときにはAC電源回路46の出力電圧を定電圧化してDC出力端子から電源電圧として出力し、AC電源回路46の出力電圧が検出されないときにはバッテリ48の出力端子電圧を定電圧化してDC出力端子から電源電圧として出力する。DC電源回路47のDC出力端子から出力される電源電圧はIP電話交換機11内の上述した各部に動作電圧として供給される。
【0030】
ROM49は不揮発性メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)であり、バス45に接続されている。ROM49には電源部ID(識別符号)及び稼働時間がデータとして書き込まれる。電源部IDは予め割り当てられた識別符号である。例えば、電源部38の生産の際にROM49に電源部IDと関連付けて稼働時間が0時間と書き込まれる。
【0031】
電源部38は例えば、コネクタ(図示せず)によってIP電話交換機11に対して着脱自在に設けられている。
【0032】
外線I/F回路39は制御部31の制御によって電話回線27を介した通信を行う。電話回線27は通信事業者が提供する外線に接続されている。内線通信部40は制御部31の制御によってLAN回線22を介したIP電話機17~19の各々との通信を行う。内線I/F回路41は制御部31の制御によって内線電話回線28を介した通信を行う。
【0033】
次に、かかる構成のIP電話システム10内のIP電話交換機11についての寿命管理動作を
図4のフローチャートに従って説明する。
【0034】
先ず、IP電話交換機11内に電源部38から電源電圧が供給され、それによりIP電話交換機11の稼働が開始されると、制御部31はタイマ34に稼働時間の計測を開始させる(ステップS11)。タイマ34は制御部31の指令に応答して稼働時間の計測を開始し、その開始後においては電源部38から電源電圧が供給されている限り稼働時間の計測を続ける。稼働時間の初期値は0時間である。ステップS11が計測部に相当する。
【0035】
制御部31は、IP電話交換機11の稼働中には稼働時間が6年(第2の所定時間)を超えたか否かを判別する(ステップS12)。IP電話システム10で使用されているIP電話交換機11の寿命は稼働時間では7年の時間に相当する。稼働時間が6年の時間となっているならば、それはIP電話交換機11の寿命としては1年前の稼働時間である。制御部31は、ステップS12ではタイマ34が計測中の稼働時間をデータとして取り込み、その稼働時間が6年に相当する時間を超えたか否かを判別する。
【0036】
稼働時間が6年に相当する時間を超えたならば、制御部31は管理者用電話機のIP電話機14への表示データD1の送信を指令する(ステップS13)。ステップS13で送信を指令される表示データD1は例えば、
図5Aに示されるように「本交換機は6年経過しました。」を表すデータである。ステップS13の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD1を送信し、その表示データD1はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD1が示す内容が表示部55に表示される。なお、ステップS12、S13が第4の処理部に相当する。
【0037】
IP電話機14の使用者である管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キー(図示せず)を操作する。設定キーは予め特定されている。なお、表示内容を確認すると設定キーの操作を促すことは
図5Aの表示データD1が示す内容と共に表示されても良い。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0038】
制御部31はステップS13の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS14)。ステップS14では、通信部32で受信された操作データが制御部31に供給され、その操作データが設定キーの操作であることを示すならば、制御部31は設定キーが操作されたと判別する。
制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令する(ステップS15)。ステップS15の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して制御データを送信し、その制御データはLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD1による表示がクリアされる。
【0039】
このようにIP電話交換機11の稼働時間が6年に相当する時間を超えた時点では、IP電話交換機11の稼働期間が6年を超えたことが管理者に告知されるので、管理者はIP電話交換機11の寿命が残り1年であることを知ることになり、管理者にIP電話交換機11の交換準備の意識を与えることができる。また、この稼働時間が6年を超えた時点ではIP電話交換機11の通常稼働が継続される。
【0040】
ステップS15の実行後において、制御部31は、IP電話交換機11の稼働時間が7年(第1の所定時間)を超えたか否かを判別する(ステップS16)。上述したように稼働時間が7年であるということはIP電話交換機11がその寿命に達していることを表している。
【0041】
稼働時間が7年に相当する時間を超えたならば、制御部31は管理者用電話機のIP電話機14への表示データD2の送信を指令する(ステップS17)。ステップS17で送信を指令される表示データD2は例えば、
図5Bに示されるように「本交換機は7年経過しました。定期的に解除操作が必要です。」を表すデータである。ステップS17の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD2を送信し、その表示データD2はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD2が示す内容が表示部55に表示される。ステップS16、S17が第1の処理部に相当し、表示データD2が第1の告知信号に相当する。
【0042】
IP電話機14の管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0043】
制御部31はステップS17の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS18)。制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令する(ステップS19)。ステップS18及びS19はステップS14及びS15と同じである。ステップS19の送信指令により通信部32から制御データがIP電話機14に供給されると、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD2による表示がクリアされる。ステップS18は第2の判別部に相当し、通信部32で受信された操作データが応答信号に相当する。
【0044】
このようにIP電話交換機11の稼働時間が7年を超えた時点では、IP電話交換機11の稼働時間が7年を超えたこと、すなわちIP電話交換機11が寿命に達したことが管理者に告知される。この寿命告知により管理者には、IP電話交換機11を新しいものと交換しなければいけないという交換意識が生じる。IP電話交換機11の稼働時間が7年を超えた後においてIP電話交換機11の交換をしない場合には、後述するようにIP電話交換機11の機能が制限されることになる。
【0045】
制御部31は、ステップS19の実行後に予め設定された特定時間だけ稼働時間が経過したか否かを判別する(ステップS20)。ステップS20の特定時間は、IP電話交換機11の稼働時間が7年を超えた後にIP電話交換機11による機能制限が一時的に解除される時間である。特定時間内ではIP電話交換機11の通常稼働が行われる。一方、特定時間外ではIP電話交換機11の機能が制限される。なお、制御部31は特定時間の計測にタイマ34を用いる。
【0046】
制御部31は、ステップS20において特定時間が経過したと判別したならば、IP電話交換機11によるIP電話機14~19の各々に対する発信、着信及び通話に関する機能を制限する(ステップS21)。
【0047】
ステップS21の機能制限とは、例えば、IP電話機14~19の各々が発信動作を行ってもIP電話交換機11の制御部31がその発信動作を無視し、着信先への着信制御動作及び通話制御動作、すなわちIP電話交換機11の電話交換制御動作の一部を停止した状態である。ただし、機能制限中であってもIP電話機14~19の各々の操作部54のキー操作及び表示部55の表示機能は有効とされる。
【0048】
なお、ステップS21では、IP電話機14~19全てに対するIP電話交換機11の一部機能が無効とされるが、管理者用のIP電話機14だけに対するIP電話交換機11の一部機能が無効とされても良い。
【0049】
制御部31は、ステップS21の機能制限を開始すると、管理者用電話機のIP電話機14への表示データD3の送信を指令する(ステップS22)。ステップS22で送信を指令される表示データD3は例えば、
図5Cに示されるように「本交換機は7年経過しました。動作継続には解除操作が必要です。」を表すデータである。ステップS22の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD3を送信し、その表示データD3はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD3が示す内容が表示部55に表示される。ステップS20~S22が第2の処理部に相当する。
【0050】
IP電話機14の管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0051】
制御部31はステップS22の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS23)。制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令し(ステップS24)、ステップS21の機能制限を解除して通常稼働に戻る(ステップS25)。ステップS23が第1の判定部に相当し、通信部32で受信された操作データが応答信号に相当する。また、ステップS25が第3の処理部に相当する。
【0052】
ステップS24の送信指令により通信部32から制御データがIP電話機14に供給されると、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD3による表示がクリアされる。ステップS25では制御部31が全ての制御動作を行うので、IP電話交換機11の通常稼働により電話交換動作が再開される。制御部31はステップS25の実行後、ステップS20を再度実行する。ステップS20では上記したように特定時間が経過したか否かを判別するので、再開されたIP電話交換機11の通常稼働は特定時間だけの復旧であり、その特定時間の経過後には機能制限が再度実行される。管理者にはIP電話交換機11の交換が要求されるのである。
【0053】
かかる
図4に示した実施例によれば、IP電話交換機11の寿命を7年と設定されていた場合には、稼働年数が7年を超えると、IP電話交換機11の管理者にIP電話交換機11の寿命が来たことを告知し、かつIP電話交換機11の一部機能が制限されるので、IP電話交換機11の寿命により故障が生じる前に管理者にIP電話交換機11に対する交換意識を持たせることができる。また、管理者がIP電話機14の設定キーを操作することによりIP電話交換機11の一部機能制限が一時的に特定時間だけ解除されるので、管理者はIP電話交換機11の交換意識を持ちつつIP電話交換機11を利用することもできる。
【0054】
次に、かかる構成のIP電話システム10におけるIP電話機14~19の各々についての寿命管理動作を
図6のフローチャートに従って説明する。なお、IP電話機14~19の各々の寿命管理動作は同一であるので、ここではIP電話機14の寿命管理動作として説明する。
【0055】
IP電話機14はIP電話交換機11と通信可能に接続されると、制御部51はIP電話交換機11と通信を開始し、自身の稼働時間を要求する(ステップS31)。具体的には、IP電話機14はLAN回線24、給電ハブ12、LAN回線21を介してIP電話交換機11に接続されると、IP電話交換機11と通信可能になる。IP電話交換機11では、ステップS31の稼働時間の要求が通信部32を介して制御部31に供給され、制御部31はその稼働時間の要求に応答してROM33からIP電話機14のMACアドレスに対応する稼働時間を読み出し、その稼働時間を稼働時間データとして通信部32に対してIP電話機14宛てに送信させる。よって、稼働時間データはIP電話交換機11からLAN回線21、給電ハブ12、LAN回線24を介してIP電話機14に送られる。
【0056】
IP電話機14では、制御部51は稼働時間データを通信部52を介して受信し(ステップS32)、その稼働時間データが示す稼働時間をタイマ56にセットし、セットした稼働時間から時間計測させる(ステップS33)。タイマ56の計測時間はIP電話機14がIP電話交換機11と通信可能に接続された状態下でのIP電話機14の稼働時間を示すことになる。
また、制御部51はタイマ56の稼働時間の計測開始後、1時間が経過すると、その時の稼働時間を示す稼働時間データをIP電話交換機11に送信させる(ステップS34)。稼働時間データは通信部52によってIP電話交換機11に向けて送信され、LAN回線24、給電ハブ12、LAN回線21を介してIP電話交換機11に供給される。IP電話交換機11では通信部32が稼働時間データを受信すると、その稼働時間データが制御部31に供給される。制御部31はその稼働時間データが示す稼働時間によってROM33内のIP電話機14のMACアドレスに対応する稼働時間を上書き更新する。
【0057】
制御部51は、ステップS34の実行後、稼働時間が6年を超えたか否かを判別する(ステップS35)。IP電話システム10で使用されているIP電話機14~19の寿命は稼働時間では7年の時間に相当する。稼働時間が6年の時間であるならば、それはIP電話機14の寿命としては1年前の稼働時間である。制御部51はステップS35ではタイマ56の計測中の稼働時間をデータとして取り込み、その稼働時間が6年に相当する時間を超えたか否かを判別する。
【0058】
稼働時間が6年に相当する時間を超えていないならば、制御部51はステップS32~S35の実行を繰り返す。稼働時間が6年に相当する時間を超えたならば、制御部51は表示データD4を表示部55に供給して表示データD4が示す内容を表示させる(ステップS36)。表示データD4は後述する表示データD5、D6と共に制御部51内にメモリ(図示せず)に予め保存させて置くことができる。表示データD4が示す内容は例えば、
図7Aに示されるように「本電話機は6年経過しました。」である。このような内容が表示部55によって表示される。
【0059】
制御部51は、ステップS36の実行後、操作部54の設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS37)。IP電話機14の使用者(管理者)は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。よって、制御部51は、設定キーの操作が行われた場合には、表示部55に対して表示データD4による表示をクリアさせる(ステップS38)。
【0060】
このようにIP電話機14の稼働時間が6年を超えた時点では、IP電話機14の稼働時間が6年を超えたことがIP電話機14の使用者に告知されるので、その使用者はIP電話機14の寿命が残り1年であることを知ることになり、使用者にIP電話機14の交換準備の意識を与えることができる。また、この稼働時間が6年を超えた時点ではIP電話機14としては通常稼働が継続される。
【0061】
制御部51は、ステップS38の実行後にはステップS39~S41を実行する。ステップS39~S41は、IP電話機14の稼働時間が6年を超えた後においてIP電話機14の稼働時間を計測する部分であり、その部分はステップS32~S34と同一であるので、ここでの詳しい説明は省略される。
【0062】
制御部51は、ステップS41の実行後、稼働時間が7年を超えたか否かを判別する(ステップS42)。上述したように稼働時間が7年であるということはIP電話機14がその寿命に達していることを表している。
【0063】
稼働時間が7年に相当する時間を超えたならば、制御部51は表示データD5を表示部55に供給して表示データD5が示す内容を表示させる(ステップS43)。表示データD5が示す内容は例えば、
図7Bに示されるように「本電話機は7年経過しました。定期的に解除操作が必要です。」である。このような内容が表示部55によって表示される。
【0064】
制御部51は、ステップS43の実行後、操作部54の設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS44)。IP電話機14の使用者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。よって、制御部51は、設定キーの操作が行われた場合には、表示部55に対して表示データD5による表示をクリアさせる(ステップS45)。
【0065】
このようにIP電話機14の稼働時間が7年を超えた時点では、IP電話機14の稼働時間が7年を超えたこと、すなわちIP電話機14が寿命に達したことが使用者に告知される。この寿命告知により使用者はIP電話機14を新しいものと交換する必要が生じる。IP電話機14の稼働時間が7年を超えた後においてIP電話機14の交換をしない場合には、後述するようにIP電話機14の機能が制限されることになる。
【0066】
制御部51は、ステップS45の実行後にはステップS46~S48を実行する。ステップS46~S48は、IP電話機14の稼働時間が7年を超えた後においてIP電話機14の稼働時間を計測する部分であり、その部分はステップS32~S34と同一であるので、ここでの詳しい説明は省略される。
【0067】
制御部51は、ステップS48の実行後において、予め設定された特定時間だけ稼働時間が経過したか否かを判別する(ステップS49)。ステップS49の特定時間は、IP電話機14の稼働時間が7年を超えた後にIP電話機14の機能制限が一時的に解除される時間である。特定時間内ではIP電話機14の通常稼働が行われる。一方、特定時間外ではIP電話機14の機能が制限される。なお、制御部51は特定時間の計測にタイマ56を用いる。
【0068】
制御部51は、ステップS49において特定時間が経過したと判別したならば、IP電話機14の発信、着信及び通話に関する機能を制限する(ステップS50)。
【0069】
ステップS50の機能制限とは、例えば、IP電話機14の使用者が操作部54に対して発信操作を行っても、又はIP電話交換機11からのIP電話機14への着信があっても制御部51が発信制御動作、着信制御動作、通話制御動作等の一部の制御動作を停止した状態である。機能制限中であってもIP電話機14の操作部54のキー操作及び表示部55の表示機能は有効とされる。
【0070】
制御部51は、ステップS50の機能制限を開始すると、表示データD6を表示部55に供給して表示データD6が示す内容を表示させる(ステップS51)。表示データD6が示す内容は例えば、
図7Cに示されるように「本電話機は7年経過しました。動作継続には解除操作が必要です。」である。このような内容が表示部55によって表示される。
【0071】
制御部51は、ステップS51の実行後、操作部54の設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS52)。IP電話機14の使用者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。よって、制御部51は、設定キーの操作が行われた場合には、表示部55に対して表示データD5による表示をクリアさせ(ステップS53)、ステップS50の機能制限を解除して通常稼働に戻る(ステップS54)。
【0072】
ステップS54では制御部51が機能停止していた発信、着信及び通話に関する制御動作を実行するので、IP電話機14が通常稼働に戻る。制御部51はステップS54の実行後、ステップS46~S49を再度実行する。ステップS49では上記したように特定時間が経過したか否かを判別するので、再開されたIP電話機14の通常稼働は特定時間だけの復旧であり、その特定時間の経過後には機能制限が再度実行される。IP電話機14の使用者にはIP電話機14の交換が要求されるのである。
【0073】
図6に示した実施例の管理動作によれば、IP電話機14の寿命を7年と設定されていた場合には、稼働年数が7年を超えると、IP電話機14の使用者にIP電話機14の寿命が来たことを告知し、かつIP電話機14の一部機能が制限されるので、IP電話機14の寿命により故障が生じる前に使用者にIP電話機14に対する交換意識を持たせることができる。また、使用者がIP電話機14の設定キーを操作することによりIP電話機14の一部機能制限が一時的に特定時間だけ解除されるので、使用者はIP電話機14の交換意識を持ちつつIP電話機14を利用することもできる。なお、このことはIP電話機14以外のIP電話機15~19の各々についても同様である。
【0074】
次に、かかる構成のIP電話システム10における電源部38についての寿命管理動作を
図8のフローチャートに従って説明する。
【0075】
IP電話交換機11内に電源部38から電源電圧が供給され、それによりIP電話交換機11の稼働が開始されると、制御部31は、電源部38内のROM49から電源部ID及び稼働時間を読み出し(ステップS61)、電源部38の稼働時間の管理を開始する(ステップS62)。ステップS62では、ステップS61で読み出した電源部ID及び稼働時間をROM33に書き込むことが行われる。
【0076】
電源部38の稼働時間の管理開始後、制御部31は、稼働時間が1時間経過毎にROM33及びROM49の双方から電源部IDを読み出し(ステップS63)、それら電源部IDが一致するか否かを判別する(ステップS64)。電源部IDが一致しない場合には電源部38が別のものと交換された可能性があるので、ステップS61の実行に戻る。
【0077】
制御部31は、ステップS64において電源部IDが一致する場合には、ROM33の電源部38の稼働時間を1時間だけ増加更新させる(ステップS65)。また、制御部31は、電源部38の稼働時間が24時間経過したか否かを判別する(ステップS66)。電源部38の稼働時間が24時間経過していない場合にはステップS63~S65の実行が繰り返され、ステップS66ではステップS63~S65が24回繰り返し実行されると、電源部38の稼働時間が24時間経過したと判断される。制御部31は、電源部38の稼働時間が24時間経過した場合には電源部38内のROM49の稼働時間を上書き更新する(ステップS67)。
【0078】
制御部31は、ステップS67の実行後、電源部38の稼働時間が6年を超えたか否かを判別する(ステップS68)。IP電話交換機11に使用されている電源部38の寿命は稼働時間では7年分の時間に相当する。稼働時間が6年の時間となっているならば、それは電源部38の寿命としては1年前の稼働時間である。
【0079】
制御部31は、稼働時間が6年に相当する時間を超えていないならば、ステップS61の実行に戻る。一方、稼働時間が6年に相当する時間を超えたならば、制御部31は管理者用電話機のIP電話機14への表示データD7の送信を指令する(ステップS69)。
ステップS69で送信を指令される表示データD7は例えば、
図9Aに示されるように「電源部稼働6年経過しました。」を表すデータである。ステップS69の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD7を送信し、その表示データD7はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD7が示す内容が表示部55に表示される。
【0080】
IP電話機14の管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0081】
制御部31はステップS69の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS70)。ステップS70では、通信部32で受信された操作データが制御部31に供給され、その操作データが設定キーの操作であることを示すならば、制御部31は設定キーが操作されたと判別する。制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令する(ステップS71)。ステップS71の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して制御データを送信し、その制御データはLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD7による表示がクリアされる。
【0082】
このようにIP電話交換機11内の電源部38の稼働時間が6年に相当する時間を超えた時点では、電源部38の稼働時間が6年を超えたことが管理者に告知されるので、管理者は電源部38の寿命が残り1年であることを知ることになり、管理者に電源部38の交換準備の意識を与えることができる。また、この稼働時間が6年を超えた時点ではIP電話交換機11の通常稼働が継続される。
【0083】
ステップS71の実行後において、制御部31は、電源部38内のROM49から電源部ID及び稼働時間を読み出し(ステップS72)、1時間経過毎にROM33及びROM49の双方から電源部IDを読み出し(ステップS73)、それら電源部IDが一致するか否かを判別する(ステップS74)。電源部IDが一致しない場合には電源部38が別のものと交換された可能性があるので、ステップS61の実行に戻る。
【0084】
制御部31は、ステップS74において電源部IDが一致する場合には、ROM33の電源部38の稼働時間を1時間だけ増加更新させる(ステップS75)。また、制御部31は、電源部38の稼働時間が24時間経過したか否かを判別する(ステップS76)。電源部38の稼働時間が24時間経過していない場合にはステップS73~S75の実行が繰り返され、ステップS76ではステップS73~S75が24回繰り返し実行されると、電源部38の稼働時間が24時間経過したと判断される。制御部31は、電源部38の稼働時間が24時間経過した場合には電源部38内のROM49の稼働時間を上書き更新する(ステップS77)。なお、ステップS73~S77はステップS63~S67と同一である。
【0085】
ステップS77の実行後において、制御部31は、電源部38の稼働時間が7年(第3の所定時間)を超えたか否かを判別する(ステップS78)。上述したように稼働時間が7年であるということは電源部38がその寿命に達していることを表している。
【0086】
稼働時間が7年に相当する時間を超えたならば、制御部31は管理者用電話機のIP電話機14への表示データD8の送信を指令する(ステップS79)。ステップS79で送信を指令される表示データD8は例えば、
図9Bに示されるように「電源部稼働7年経過しました。定期的に解除操作が必要です。」を表すデータである。ステップS79の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD8を送信し、その表示データD8はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD8が示す内容が表示部55に表示される。
【0087】
IP電話機14の管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0088】
制御部31はステップS79の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS80)。制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令する(ステップS81)。ステップS81の送信指令により通信部32から制御データがIP電話機14に供給されると、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD8による表示がクリアされる。
【0089】
このように電源部38の稼働時間が7年を超えた時点では、電源部38の稼働時間が7年を超えたこと、すなわち電源部38が寿命に達したことが管理者に告知される。この寿命告知により管理者は電源部38を新しいものと交換する必要が生じる。電源部38の稼働時間が7年を超えた後において電源部38の交換をしない場合には、IP電話交換機11の機能が制限されることになる。
【0090】
ステップS81の実行後において、制御部31は、1時間経過毎にROM33及びROM49の双方から電源部IDを読み出し(ステップS82)、それら電源部IDが一致するか否かを判別する(ステップS83)。電源部IDが一致しない場合には電源部38が別のものと交換された可能性があるので、ステップS61の実行に戻る。
【0091】
制御部31は、ステップS83の実行後に予め設定された特定時間が経過したか否かを判別する(ステップS84)。上述したように電源部38の稼働時間が7年を超えた後においてはIP電話交換機11の機能が制限されることになる。ステップS84の特定時間は、電源部38の稼働時間が7年を超えた後にIP電話交換機11の機能制限が一時的に解除される時間である。特定時間内ではIP電話交換機11の通常稼働が行われる。一方、特定時間外ではIP電話交換機11の機能が制限される。
【0092】
制御部31は、ステップS84において特定時間が経過したと判別したならば、IP電話交換機11によるIP電話機14~19の各々に対する発信、着信及び通話に関する機能を制限する(ステップS85)。ステップS85は上述したステップS21と同様である。
【0093】
制御部31は、ステップS85の機能制限を開始すると、管理者用電話機のIP電話機14への表示データD9の送信を指令する(ステップS86)。ステップS86で送信を指令される表示データD9は例えば、
図9Cに示されるように「電源部稼働7年経過しました。動作継続には解除操作が必要です。」を表すデータである。ステップS86の送信指令は制御部31から通信部32に供給される。通信部32は送信指令に応答して表示データD9を送信し、その表示データD9はLAN回線21、給電ハブ12、そしてLAN回線24を介してIP電話機14に供給される。そして、IP電話機14では供給された表示データD9が示す内容が表示部55に表示される。
【0094】
IP電話機14の管理者は、その表示部55の表示内容を確認すると、IP電話機14の操作部54の設定キーを操作する。IP電話機14では、設定キーの操作が行われると、その設定キーを示す操作データが制御部51で作成される。その操作データは制御部51の制御によりIP電話機14の通信部52から送信され、LAN回線24、給電ハブ12、そしてLAN回線21を介してIP電話交換機11の通信部32に供給される。通信部32で受信された操作データは制御部31に供給される。
【0095】
制御部31はステップS86の実行後、設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS87)。制御部31は、設定キーが操作されたと判別したならば、IP電話機14へ表示クリア指令を示す制御データの送信を指令し(ステップS88)、ステップS85の機能制限を解除して通常稼働に戻る(ステップS89)。
【0096】
ステップS88の送信指令により通信部32から制御データがIP電話機14に供給されると、IP電話機14では供給された制御データに応答して制御部51により表示部55の表示データD9による表示がクリアされる。ステップS89では制御部31が全ての制御動作を行うので、IP電話交換機11の通常稼働により電話交換動作が再開される。制御部31はステップS89の実行後、ステップS82~S84を再度実行する。ステップS84では上記したように特定時間が経過したか否かを判別するので、再開されたIP電話交換機11の通常稼働は特定時間だけの復旧であり、その特定時間の経過が判別された後には機能制限が再度実行される。管理者には電源部38の交換が要求されるのである。
【0097】
図8に示した実施例の寿命管理動作によれば、IP電話交換機11の電源部38の寿命を7年と設定されていた場合には、稼働年数が7年を超えると、IP電話交換機11の管理者に電源部38の寿命が来たことを告知し、かつIP電話交換機11の一部機能が制限されるので、電源部38の寿命により故障が生じる前に管理者に電源部38に対する交換意識を持たせることができる。また、管理者のIP電話機14の設定キーを操作することによりIP電話交換機11の一部機能制限が一時的に特定時間だけ解除されるので、管理者は電源部38の交換意識を持ちつつIP電話交換機11を利用することもできる。
【0098】
なお、使用者の機器寿命による交換意識をさらに高めさせるため、IP電話交換機の機能制限解除時に、再起動処理を行ってROM33等のメモリのチェックを行い、メモリへの書き込み単位時間が通常(例:200μS)より長くなった場合には、メモリの寿命が近いことの注意警告を通知しても良い。メモリが寿命に来ている場合には表示部付属のバックライト色を設定色とは異なる色を点灯させることにより、メモリ故障起因による機器故障が近いことを通知でき、単に稼働時間だけでなく機器の寿命を使用者に知らせることができる。
【0099】
また、上記した実施例は、寿命管理機能を有する装置としてIP電話交換機、IP電話機、及びIP電話交換機の電源部を示しているが、本発明の装置は通信機器以外の装置、例えば、家電製品に適用することができる。
【0100】
また、上記した実施例においては、IP電話交換機、IP電話機、及びIP電話交換機の電源部の寿命は7年となっているが、本発明では寿命が7年に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
10 IP電話システム
11 IP電話交換機
12、13 給電ハブ
14~19 IP電話機
21、22、24、25 LAN回線
26 電力供給線
27、28 電話回線
31、51 制御部
32、52 通信部
33、49 ROM
34、56 タイマ
35 RAM
36 記憶部
37 RTC
38 電源部
39 外線I/F回路
40 内線通信部
41 内線I/F回路
45 バス
46 AC電源回路
47 DC電源回路
48 バッテリ
53 送受話部
54 操作部
55 表示部
D1~D9 表示データ (
図5A~
図9C)