(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030454
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240229BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20240229BHJP
B29C 43/32 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/18
B29C43/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133375
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC01
4F204AD19
4F204AH37
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FF23
4F204FJ11
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ38
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA22
5F061CB11
5F061DA01
5F061DA11
5F061DD00
(57)【要約】
【課題】プレスローダが金型内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムを使用可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供する。
【解決手段】樹脂封止装置1は、樹脂封止金型60と、ローダハンド88と、を備えている。樹脂封止金型60は、下型61と下型61に対向する側にキャビティ凹部63が形成された上型62とを含む樹脂封止金型であって、キャビティ凹部63にリリースフィルムFを介して供給された樹脂材料Rによって電子部品Eを樹脂封止する。ローダハンド88は、上型62と下型61との間の空間60Sに進入可能に構成され、かつ、当該空間60Sから退避可能に構成されている。ローダハンド88は、空間60Sに進入した状態で使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持し、リリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態で空間60Sから退避する。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する樹脂封止装置であって、
下型と前記下型に対向する側にキャビティ凹部が形成された上型とを含む樹脂封止金型であって、前記キャビティ凹部にリリースフィルムを介して供給された樹脂材料によって前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止金型と、
前記上型と前記下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、を備え、
前記ローダハンドは、前記空間に進入した状態で使用済みの前記リリースフィルム及び前記樹脂封止品を保持し、前記リリースフィルム及び前記樹脂封止品を保持した状態で前記空間から退避する、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記ローダハンドは、前記空間に進入した状態で使用済みの前記リリースフィルムが付着した状態の前記樹脂封止品を保持することにより、前記リリースフィルム及び前記樹脂封止品をまとめて保持した状態で前記空間から退避する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記ローダハンドは、第1ハンドと、前記第1ハンドとは反対側の面に設けられた第2ハンドと、を備え、
前記ローダハンドが前記空間に進入した状態で前記第1ハンドが前記下型に配置された使用済みの前記リリースフィルムが付着した状態の前記樹脂封止品を保持する、
請求項2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記ローダハンドから前記リリースフィルムが付着した状態の前記樹脂封止品を受け取るピックアンドプレイス装置を更に備え、
前記ローダハンドは、前記空間から退避した状態及び/又は前記空間に進入した状態で上下反転可能に構成され、
重力方向下向きの状態の前記第1ハンドが、前記空間に進入した状態で前記下型に配置された前記樹脂封止品を保持し、
反転して重力方向上向きの状態の前記第1ハンドが、前記空間から退避した状態で前記ピックアンドプレイス装置に前記樹脂封止品を引き渡す、
請求項3に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記ローダハンドは、第1ハンドと、前記第1ハンドとは反対側の面に設けられた第2ハンドと、を備え、
前記ローダハンドが前記空間に進入した状態で前記第2ハンドが前記上型に配置された使用済みの前記リリースフィルムが付着した状態の前記樹脂封止品を保持する、
請求項2に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記ローダハンドから前記リリースフィルムが付着した状態の前記樹脂封止品を受け取るピックアンドプレイス装置を更に備え、
重力方向上向きの状態の前記第2ハンドが、前記空間から退避した状態で前記ピックアンドプレイス装置に前記樹脂封止品を引き渡す、
請求項5に記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記ローダハンドは、前記下型に前記ワークを供給する第1ハンドと、前記第1ハンドとは反対側の面に設けられた第2ハンドと、を備え、
前記ローダハンドは、前記空間に進入した状態で、前記第1ハンドが前記樹脂封止品を保持し、前記第2ハンドが使用済みの前記リリースフィルムを保持する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記ワークを加熱するプレヒータと、
前記樹脂封止品及び/又は前記リリースフィルムを搬送可能なパレットと、を更に備え、
前記ローダハンドが前記プレヒータから前記ワークを受け取るとき、前記パレットが前記プレヒータに隣接した位置に配置される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
前記ワークを加熱するプレヒータと、
前記樹脂封止品及び/又は前記リリースフィルムを搬送可能なパレットと、を更に備え、
前記ローダハンドが前記樹脂封止品及び/又は前記リリースフィルムを前記パレットに引き渡すとき、前記プレヒータが前記パレットに隣接した位置に配置される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項10】
上型に形成されたキャビティ凹部にリリースフィルムを介して樹脂材料を供給すること、
前記樹脂材料を前記上型と下型との間で加熱及び圧縮して基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を成形すること、
前記上型と前記下型との間の空間にローダハンドが進入すること、並びに、
使用済みの前記リリースフィルム及び前記樹脂封止品を保持した状態で前記ローダハンドが前記空間から退避すること、を含む、
樹脂封止方法。
【請求項11】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する樹脂封止装置であって、
下型と前記下型に対向する側にキャビティ凹部が形成された上型とを含む樹脂封止金型であって、前記キャビティ凹部にリリースフィルムを介して供給された樹脂材料によって前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止金型と、
前記上型と前記下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されたローダハンドと、を備え、
前記ローダハンドは、前記下型に前記ワークを供給する第1ハンドと、前記第1ハンドとは反対側の面に設けられた第2ハンドと、を備え、
前記ローダハンドは、前記空間に進入した状態で前記第1ハンドによって前記ワークを前記下型に供給し前記第2ハンドによって使用済みの前記リリースフィルムを保持し、前記リリースフィルムを保持した状態で前記空間から退避する、
樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材及び電子部品を含むワークの電子部品を金型内で樹脂封止するとき、金型から離型しやすい材料で形成されたリリースフィルムが広く使用されている。リリースフィルムは、金型に固着しやすい樹脂材料と金型のキャビティ凹部とが直に接触しないように、キャビティ凹部を覆って金型の汚染を防ぐ。
【0003】
使用前のリリースフィルムを金型内に供給し、使用済みのリリースフィルムを金型内から回収する方式として、大きく分けて二つの方式が知られている。一つ目の方式は、金型を挟むように配置された巻出しローラと巻取りローラとの間でリリースフィルムを切れ目なくロールトゥロールで搬送する。二つ目の方式は、金型内に進退可能なプレスローダを用いて一回分ずつ切断された枚葉状のリリースフィルムを搬送する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-145548号公報
【特許文献2】特開2019-136942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二つ目の方式では、樹脂封止品だけでなく使用済みのリリースフィルムもプレスローダが回収するため、使用済みのリリースフィルムを巻き取るだけで回収できる一つ目の方式と比べてプレスローダが金型内に進退する回数が増える。プレスローダの進退回数が増えると、樹脂封止後に樹脂封止金型から樹脂封止品と使用済みのリリースフィルムとを取り出すまでの所要時間が長くなったり、使用済みのリリースフィルムを取り出してから次のワークを供給するまでの所要時間が長くなったりしてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、プレスローダが金型内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムを使用可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を製造する。樹脂封止装置は、樹脂封止金型と、ローダハンドと、を備えている。樹脂封止金型は、下型と下型に対向する側にキャビティ凹部が形成された上型とを含む樹脂封止金型であって、キャビティ凹部にリリースフィルムを介して供給された樹脂材料によって電子部品を樹脂封止する。ローダハンドは、上型と下型との間の空間に進入可能に構成され、かつ、当該空間から退避可能に構成されている。ローダハンドは、空間に進入した状態で使用済みのリリースフィルム及び樹脂封止品を保持し、リリースフィルム及び樹脂封止品を保持した状態で空間から退避する。
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂封止方法は、上型に形成されたキャビティ凹部にリリースフィルムを介して樹脂材料を供給すること、樹脂材料を上型と下型との間で加熱及び圧縮して基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止した樹脂封止品を成形すること、上型と下型との間の空間にローダハンドが進入すること、並びに、使用済みのリリースフィルム及び樹脂封止品を保持した状態でローダハンドが空間から退避すること、を含んでいる。
【0009】
これらの態様によれば、樹脂封止後に樹脂封止品と使用済みのリリースフィルムとを樹脂封止金型からまとめて取り出すため、プレスローダが金型内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムを使用可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【0010】
本発明の他の一態様に係る樹脂封止装置は、ローダハンドが、下型にワークを供給する第1ハンドと、第1ハンドとは反対側の面に設けられた第2ハンドと、を備えている。ローダハンドは、空間に進入した状態で第1ハンドによってワークを下型に供給し第2ハンドによって使用済みのリリースフィルムを保持し、リリースフィルムを保持した状態で空間から退避する。
【0011】
この態様によれば、新たに樹脂封止しようとしているワークを供給するついでに前回の樹脂封止で使用したリリースフィルムを取り出すため、プレスローダが金型内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムを使用可能な樹脂封止装置及び該装置を用いた樹脂封止方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プレスローダが金型内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムを使用可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の各実施形態に共通する樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2A-H】本発明の第1実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図3A-J】本発明の第2実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図4A-I】本発明の第3実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図5A-I】本発明の第4実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図6A-I】本発明の第5実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図7A-J】本発明の第6実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図8A-K】本発明の第7実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図9A-K】本発明の第8実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【
図10A-K】本発明の第9実施形態の樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、
図1から
図10Kを参照して各構成について詳しく説明する。
図1は、本発明の各実施形態に共通する樹脂封止装置1の構成を概略的に示す平面図である。実施形態の説明の便宜上、
図1に示すように「前」「後」「左」及び「右」を定義し、重力を基準に「上」及び「下」を定義する。
【0015】
樹脂封止装置1は、圧縮成形機であり、基材S(
図2A参照)及び電子部品E(
図2A参照)を含むワークWの電子部品Eを樹脂材料Rで樹脂封止(モールド成形)して樹脂封止品Mを製造する。樹脂封止装置1は、例えば、ワーク供給装置2、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4、プレス装置6、ワーク収納装置7、搬送装置8等を備えている。
【0016】
プレス装置6は、ワークW、樹脂材料R、リリースフィルムF等を樹脂封止金型60に挟み込み加圧して樹脂封止する。搬送装置8は、ワークW、樹脂材料R、リリースフィルムF等を樹脂封止金型60内に搬入し、樹脂封止品M及び使用済みのリリースフィルムF´を樹脂封止金型60内から搬出する。ワーク供給装置2は、搬送装置8にワークWを供給する。
【0017】
樹脂供給装置3は、搬送装置8に樹脂材料Rを供給する。フィルム供給装置4は、搬送装置8に枚葉状のリリースフィルムFを供給する。ワーク収納装置7は、搬送装置8から回収した樹脂封止品Mを収納する。樹脂封止品Mは、放熱効率を高めるヒートスプレッダ、電磁ノイズを遮蔽するシールド板等の機能部材Hを含んでいてもよい。機能部材Hは、シート状に形成された樹脂材料であってもよい。樹脂封止装置1は、搬送装置8に機能部材Hを供給する機能部材供給装置5を備えていてもよい。
【0018】
図示した例では、樹脂封止装置1が二台のプレス装置6を備えている。プレス装置6の台数は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。図示した例では、ワーク供給装置2、プレス装置6及びワーク収納装置7が左右方向に並べて配置され、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4及び機能部材供給装置5が前後方向に並べて配置されている。樹脂封止装置1の配置は、図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0019】
搬送装置8は、例えば、左右方向に延在する第1リニアコンベヤ81、前後方向に延在する第2リニアコンベヤ82、第1リニアコンベヤ81に沿って移動可能なプレヒータ83及びパレット84、第2リニアコンベヤ82に沿って移動可能なレジンローダ85、各々のプレス装置6に隣接して配置されたプレスローダ86等を備えている。プレスローダ86は、二台のプレス装置6の間を左右方向に移動可能であってもよい。その場合、プレスローダ86をプレス装置6毎に設けなくてもよい。
【0020】
第1リニアコンベヤ81は、ワーク供給装置2、プレス装置6及びワーク収納装置7の間を接続するように敷設されている。第2リニアコンベヤ82は、第1リニアコンベヤ81と立体交差し、樹脂供給装置3、フィルム供給装置4及び機能部材供給装置5の間を接続するように敷設されている。搬送装置8の構成は図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。
【0021】
プレスローダ86は、樹脂封止金型60内に進退可能なローダハンド88を用い、樹脂封止金型60内にワークWを供給し、樹脂封止金型60内から樹脂封止品M及び使用済みのリリースフィルムF´を回収する。ローダハンド88については
図2Aから
図10Kを参照して後で詳しく説明する。
【0022】
プレヒータ83は、ワーク供給装置2とプレスローダ86との間で第1リニアコンベヤ81の上を往復移動してワークWを搬送する。プレヒータ83は、ワークWを加熱する機能を有していてもよい。パレット84は、プレスローダ86とワーク収納装置7との間で第1リニアコンベヤ81の上を往復移動して樹脂封止品Mや使用済みのリリースフィルムF´を搬送する。パレット84は、樹脂封止品Mを冷却する機能を有していてもよい。
【0023】
第2リニアコンベヤ82は、昇降路82Hに沿ってレジンローダ85を上下方向に昇降させ、昇降路82Hの中心を軸にしてレジンローダ85を水平方向に旋回させるエレベーション機構を備えている。レジンローダ85は、樹脂封止金型60内に進退可能なローダハンドを備え、旋回してプレス装置6に隣接した位置に移動したとき樹脂材料R及び使用前のリリースフィルムFを樹脂封止金型60に供給する。
【0024】
ワーク供給装置2は、例えば、樹脂封止される前のワークWが収納されている供給マガジン20、プッシャ等により供給マガジン20から一枚ずつ押し出されたワークWを整列させてプレヒータ83の上に載置するワークインデックス装置21等を備えている。図示した例では、ワークインデックス装置21が短冊状のワークWを三枚並べてプレヒータ83の上に載置している。
【0025】
なお、規定枚数に満たないワークWであっても成形できる。端数のワークWを成形したい場合、ワークWが一枚であれば、例えば中央のキャビティ凹部63にワークWを配置し、ワークWが二枚であれば、例えば両サイドのキャビティ凹部63にワークWを配置してもよい。
【0026】
ワークWは、例えば、半導体素子が装着されたリードフレーム、半導体素子が装着されたインタポーザ基板、半導体素子が一時的に貼合された粘着シート付きキャリアプレート等であって、基材S(
図2A参照)と、該基材Sに取り付けられた半導体素子、MEMSチップ、電子デバイス等の微小な電子部品E(
図2A参照)とで構成されている。同じ種類の複数の電子部品Eを基材Sに取り付けたワークWであってもよいし、異なる種類の電子部品Sを混在させて基材Sに取り付けたワークWであってもよい。
【0027】
フィルム供給装置4は、フィルムハンドラ等であって、一回分ずつ切断した枚葉状のリリースフィルムFをレジンローダ85の上に載置する。フィルム供給装置4がレジンローダ85に供給するリリースフィルムFの大きさや形状は特に限定されず、一回の圧縮成形で樹脂封止されるワークWの数量に応じて複数枚のリリースフィルムFを供給してもよいし、複数のワークWを一枚で覆う大判のリリースフィルムFを供給してもよい。リリースフィルムFは、樹脂封止金型60から離型しやすいポリテトラフルオロエチレン樹脂等の樹脂材料で形成されている。
【0028】
樹脂供給装置3は、レジンローダ85の上に樹脂材料Rを供給する。樹脂材料Rの一例は、エポキシ系熱硬化性樹脂等の熱硬化性樹脂である。樹脂供給装置3は、例えば、顆粒状や粉末状の樹脂材料Rを貯留するホッパ30、ホッパ30から投下された樹脂材料Rを均一な高さに均す加振装置31等を備えている。樹脂供給装置3は、シート状に形成された樹脂材料を供給可能であってもよい。
【0029】
後述する各実施形態では、上型62(
図2A参照)にリリースフィルムFが吸着され、リリースフィルムFに固着した樹脂材料Rが重力に逆らってキャビティ凹部63に保持された例が説明されている。樹脂供給装置3は、顆粒状や粉末状の樹脂材料Rを予熱してリリースフィルムFに固着させた状態で樹脂材料Rをレジンローダ85に供給できる。
【0030】
樹脂供給装置3は、リリースフィルムFではなく板状の機能部材Hに固着させた状態で樹脂材料Rをレジンローダ85に供給してもよい。リリースフィルムFに貫通孔を形成し、この貫通孔を通じてキャビティ凹部63に機能部材Hを吸着させると、機能部材Hに固着した樹脂材料Rが重力に逆らってキャビティ凹部63に保持される。なお、下型61(
図2A参照)に保持されたワークWの上に顆粒状の樹脂材料Rを直に載置しても樹脂封止できるため、各実施形態においてレジンローダ85に供給する樹脂材料Rは、顆粒状のままであってもよいし、シート状に形成されていてもよい。
【0031】
ワーク収納装置7は、例えば、パレット84に搬送されてきた樹脂封止品Mを受け取って収納する収納マガジン70、樹脂封止品Mに付着した使用済みのリリースフィルムFを分離する剥離装置71等を備えている。ワーク収納装置7以外のスペースに剥離装置71を配置してもよい。例えば、プレスローダ86を挟んで樹脂封止金型60とは反対側のスペースに剥離装置71を配置してもよい。
【0032】
[第1実施形態]
図2Aから
図2Hは、本発明の第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。図示された各工程は、アルファベット順に連続している。なお、
図2Hに示された工程の後には、
図2Aに示された工程が連続している。後述する第2から第9実施形態も同様に、図示された各工程がアルファベット順に連続している。
【0033】
図2Aに示すように、樹脂封止金型60は、下型61と、下型61に対向する側にキャビティ凹部63が形成された上型62と、を含んでいる。
図2Aから
図2Cに示すように、樹脂封止金型60は、キャビティ凹部63にリリースフィルムFを介して供給された樹脂材料RによってワークWの電子部品Eを樹脂封止する。
【0034】
プレス装置6に隣接して配置されたプレスローダ86(
図1参照)は、
図2Hに示すように、上型62と下型61との間の空間60Sに進入可能に構成され、かつ、
図2Aに示すように、当該空間60Sから退避可能に構成されたローダハンド88を備えている。
図2Gから
図2Hに示すように、ローダハンド88は、プレヒータ83の上に載置されたワークWを保持して下型61に供給する第1ハンド881を備えている。
【0035】
図2Gに示すように、プレヒータ83の上に載置されたワークWは、電子部品Eの取り付けられた面が重力方向上向きの状態でローダハンド88に供給される。電子部品Eの取り付けられた面が重力方向下向きの状態でプレヒータ83の上にワークWを載置してもよい。その場合、電子部品Eがプレヒータ83と接触しないように、プレヒータ83の上面に凹部(逃げ)を設けてもよい。
【0036】
図2Gに示すように、ローダハンド88がプレヒータ83からワークWを受け取るとき、プレヒータ83は、
図1に示されたプレスローダ86の直下の位置86Oに配置される。
図2Eに示すように、ローダハンド88が樹脂封止品Mや使用済みのリリースフィルムF´をパレット84に引き渡すとき、パレット84は、
図1に示されたプレスローダ86の直下の位置86Oに配置される。
【0037】
プレヒータ83がプレスローダ86の直下の位置86Oに配置されているとき、パレット84はプレヒータ83に隣接した位置86R(
図1参照)に配置されていることが好ましい。逆に、パレット84がプレスローダ86の直下の位置86Oに配置されているとき、プレヒータ83はパレット84に隣接した位置86L(
図1参照)に配置されていることが好ましい。
【0038】
プレスローダ86のすぐ近くにパレット84が待機していれば、プレスローダ86がパレット84の移動時間を待たずに迅速に樹脂封止品Mや使用済みのリリースフィルムF´を引き渡すことができる。プレスローダ86のすぐ近くにプレヒータ83が待機していれば、プレスローダ86がプレヒータ83の移動時間を待たずに迅速にワークWを受け取ることができる。樹脂封止装置1のサイクルタイムを高速化できる。
【0039】
以上のように構成された第1実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、まず、
図2Aに示すように、上型62に形成されたキャビティ凹部63にリリースフィルムFを介して樹脂材料Rを供給する。次いで、
図2Bから
図2Cに示すように、樹脂材料Rを上型62と下型61との間で加熱及び圧縮して基材S及び電子部品Eを含むワークWの電子部品Eを樹脂封止した樹脂封止品Mを成形する。そして、
図2Dに示すように、上型62と下型61との間の空間60Sにローダハンド88が進入し、
図2Eに示すように、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態でローダハンド88が空間60Sから退避する。
【0040】
第1実施形態の樹脂封止装置1は、
図2Cに示された型開きの工程において、樹脂封止品Mと樹脂封止品Mに付着した使用済みのリリースフィルムF´とを分離しない。
図2Dに示すように、ローダハンド88が、使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態の樹脂封止品Mを空間60Sに進入した状態で保持することにより、リリースフィルムF´及び樹脂封止品Mをまとめて保持した状態で空間60Sから退避できる。
【0041】
図2Fに示した例では、樹脂封止装置1は、プレスローダ86の直下の位置86O(
図1参照)において、パレット84が樹脂封止品Mを吸着等によって保持し、ローダハンド88がリリースフィルムF´を把持して持ち上げ、樹脂封止品Mから使用済みのリリースフィルムF´を分離している。プレスローダ86の直下の位置86Oではなく、ワーク収納装置7に付設された剥離装置71(
図1参照)において樹脂封止品Mから使用済みのリリースフィルムF´を分離してもよいし、
図2Fに示された工程は、
図2Eに示された工程の後にパレット84を86R側に退避させ、
図2G及び
図2Hに示された工程の後にパレット84を86Oに戻して実施してもよい。リリースフィルムF´の分離時間を待たずに次の工程を進めることができるため、図示した例と比べて樹脂封止装置1のサイクルタイムを高速化できる。
【0042】
続いて本発明の第2から第9実施形態の樹脂封止装置1について説明する。なお、第2から第9実施形態では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。後述する第2及び第3実施形態の樹脂封止装置1は、これまで説明した第1実施形態と同様に、型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が付着した樹脂封止品Mを下型61に保持するように構成されている。
【0043】
後述する第4から第6実施形態の樹脂封止装置1は、型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が付着した樹脂封止品Mを下型61ではなく上型62に保持するように構成されている。後述する第7から第9実施形態の樹脂封止装置1は、型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´を上型62に保持し、樹脂封止品Mを下型61に保持することにより、樹脂封止品MとリリースフィルムF´とを分離するように構成されている。
【0044】
[第2実施形態]
図3Aから
図3Jは、本発明の第2実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第2実施形態に係るローダハンド88は、
図3Dに示すように、ワークWを供給する第1ハンド881とは反対側の面に設けられた第2ハンド882を備えている。ローダハンド88は、
図3Dから
図3Eと
図3Hから
図3Iとに示すように、空間60Sから退避した状態で上下反転可能に構成され、
図3Fから
図3Gに示すように、空間60Sに進入した状態で上下反転可能に構成されている。
【0045】
以上のように構成された第2実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、
図3Cに示された型開きの工程の後又は型開きの工程中に、
図3Dに示すように、ローダハンド88の第1ハンド881がプレヒータ83の上に載置されているワークWを保持し、
図3Eに示すように、ローダハンド88が上下反転する。
【0046】
図3Fに示すように、ローダハンド88は、第1ハンド881が重力方向上向き、第2ハンド882が重力方向下向きの状態で空間60Sに進入し、使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態で下型61に配置されている樹脂封止品Mを第2ハンド882で保持する。続いて、ローダハンド88は、
図3Gに示すように、空間60Sに進入した状態で上下反転して第1ハンド881に保持しているワークWを下型61に供給する。
図3Hに示すように、ローダハンド88は、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを重力方向上向きの第2ハンド882が保持した状態で空間60Sから退避する。
【0047】
つまり、第2実施形態に係るローダハンド88は、空間60Sに進入した状態で第1ハンド881によってワークWを下型61に供給するとともに、第2ハンド882によって使用済みのリリースフィルムF´を保持し、リリースフィルムF´を保持した状態で空間60Sから退避している。その後、ローダハンド88は、
図3Hから
図3Iに示すように、上下反転して樹脂封止品Mをパレット84の上に載置する。ローダハンド88は、
図3Fの工程の後に位置86Oで樹脂成型品Mをパレット84の上に載置してから上下反転してもよい。
【0048】
[第3実施形態]
図4Aから
図4Iは、本発明の第3実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第3実施形態に係る搬送装置8は、
図1に示されたプレスローダ86に付設され、
図4Eに示すように、ローダハンド88から樹脂封止品Mを受取り可能なピックアンドプレイス装置87を備えている。ピックアンドプレイス装置87は、左右に移動可能に構成され、
図1に示されたプレスローダ86の直上の位置でローダハンド88から樹脂封止品Mを受け取り、
図1に示された位置86O,86Rのいずれかに降下してパレット84に樹脂封止品Mを引き渡す。図示したように、ローダハンド88が樹脂封止金型60内に進退可能であって、かつ左右の移動を規制されている場合、ローダハンド88が空間60Sに進入した状態(
図4Gに示す)であれば、ピックアンドプレイス装置87がローダハンド88の直上から直下へ降下して、ローダハンド88の直下の位置86Oに待機中のパレット84に樹脂封止品Mを引き渡すことができる。
【0049】
ピックアンドプレイス装置87は、位置86L,86Oのいずれかに降下してプレヒータ83からワークWを受取り可能に構成され、プレスローダ86の直上の位置でローダハンド88にワークWを引渡し可能に構成されていてもよい。第3実施形態に係るローダハンド88は、第1及び第2ハンド881,882を上下反転可能に構成されている。
【0050】
以上のように構成された第3実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、
図4Cに示された型開きの工程の後、
図4Dに示すように、第1ハンド881が重力方向上向きかつ第2ハンド882が重力方向下向きの状態で、ローダハンド88が空間60Sに進入する。ローダハンド88は、使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態で下型61に配置されている樹脂封止品Mを第2ハンド882で保持する。
【0051】
図4Eに示すように、ローダハンド88は、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態で空間60Sから退避する。続いて、ローダハンド88が上下反転し、
図4Eに示すように、重力方向上向きの状態の第2ハンド882が、ピックアンドプレイス装置87に樹脂封止品Mを引き渡し、
図4Fに示すように、重力方向下向きの状態の第1ハンド881がプレヒータ83の上に載置されているワークWを保持する。
図4Fに示された工程は、
図4Eに示された工程の後ではなく
図4Gに示された工程の後であってもよい。
【0052】
図4Gに示すように、ローダハンド88は、空間60Sに進入してワークWを下型61に供給し、
図4Hに示すように、ピックアンドプレイス装置87が樹脂封止品Mをパレット84の上に載置する。図示した例では、パレット84が樹脂封止品Mを吸着等によって保持し、ピックアンドプレイス装置87がリリースフィルムF´を把持して持ち上げ、樹脂封止品Mから使用済みのリリースフィルムF´を分離している。ピックアンドプレイス装置87ではなく、ローダハンド88で樹脂封止品Mから使用済みのリリースフィルムF´を分離してもよいし、ワーク収納装置7に付設された剥離装置71(
図1参照)において樹脂封止品Mから使用済みのリリースフィルムF´を分離してもよい。
【0053】
[第4実施形態]
図5Aから
図5Iは、本発明の第4実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第4実施形態の樹脂封止装置1は、
図5Dから
図5Eに示すように、上下反転可能なローダハンド88を備え、
図5Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が付着した樹脂封止品Mが上型62に保持されるように構成されている。
【0054】
以上のように構成された第4実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、
図5Dに示すように、第1ハンド881が重力方向上向きの状態でローダハンド88が空間60Sに進入し、
図5Eに示すように、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態でローダハンド88が空間60Sから退避する。空間60Sから退避したローダハンド88は、上下反転して使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態の樹脂封止品Mをパレット84の上に載置する。
【0055】
[第5実施形態]
図6Aから
図6Iは、本発明の第5実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第5実施形態の樹脂封止装置1は、
図6Gから
図6Hに示すように、第1及び第2ハンド881,882を上下反転可能なローダハンド88を備え、
図6Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が付着した樹脂封止品Mが上型62に保持されるように構成されている。
【0056】
以上のように構成された第5実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、
図6Cに示された型開きの工程の後又は型開きの工程中に、
図6Dに示すように、ローダハンド88の第1ハンド881がプレヒータ83の上に載置されているワークWを保持し、
図6Eに示すように、第1ハンド881が重力方向下向き、第2ハンド882が重力方向上向きの状態でローダハンド88が空間60Sに進入する。
【0057】
図6Eに示すように、第2ハンド882が使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態の樹脂封止品Mを保持し、
図6Fに示すように、第1ハンド881がワークWを下型61に供給する。
図6E及び
図6Fに示された工程は、逆順であってもよい。
図6Gに示すように、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態でローダハンド88が空間60Sから退避する。
【0058】
つまり、第5実施形態に係るローダハンド88は、空間60Sに進入した状態で第1ハンド881によってワークWを下型61に供給するとともに、第2ハンド882によって使用済みのリリースフィルムF´を保持し、リリースフィルムF´を保持した状態で空間60Sから退避している。
図6Hに示すように、ローダハンド88が上下反転し、重力方向下向きの第2ハンド882が樹脂封止品Mをパレット84の上に載置する。
【0059】
[第6実施形態]
図7Aから
図7Jは、本発明の第6実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第6実施形態の樹脂封止装置1は、搬送装置8がピックアンドプレイス装置87を備え、
図7Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が付着した樹脂封止品Mが上型62に保持されるように構成されている。
【0060】
以上のように構成された第6実施形態を用いた樹脂封止方法は、第5実施形態と同様に、重力方向上向きの第2ハンド882が使用済みのリリースフィルムF´が付着した状態の樹脂封止品Mを保持し(
図7E参照)、重力方向下向きの第1ハンド881がワークWを下型61に供給する(
図7F参照)。
図7E及び
図7Fに示された工程は、逆順であってもよい。第6実施形態に係るローダハンド88は、
図7Gに示すように、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態で空間60Sから退避し、ピックアンドプレイス装置87に第2ハンド882が樹脂封止品Mを引き渡す。
【0061】
第6実施形態に係るローダハンド88は、第5実施形態と同様に、空間60Sに進入した状態で第1ハンド881によってワークWを下型61に供給するとともに、第2ハンド882によって使用済みのリリースフィルムF´を保持し、リリースフィルムF´を保持した状態で空間60Sから退避している。
【0062】
第6実施形態では、第2ハンド882が重力方向上向きのまま、上型62から樹脂封止品Mを受け取り、ピックアンドプレイス装置87に樹脂封止品Mを引き渡す。そのため、ローダハンド88が第1及び第2ハンド881,882を上下反転させる機能を省略してもよい。
【0063】
[第7実施形態]
図8Aから
図8Kは、本発明の第7実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第7実施形態の樹脂封止装置1は、
図8Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が上型62に保持され、樹脂封止品Mが下型61に保持される。第7実施形態では、搬送装置8がピックアンドプレイス装置87を備え、ローダハンド88が第1及び第2ハンド881,882を上下反転可能に構成されている。
【0064】
以上のように構成された第7実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、
図8Cに示された型開きの工程の後、
図8Dに示すように、第1ハンド881が重力方向上向き、第2ハンド882が重力方向下向きの状態でローダハンド88が空間60Sに進入する。
図8Dに示すように、下型61に配置されている樹脂封止品Mを第2ハンド882が保持し、
図8Eに示すように、上型62に配置されている使用済みのリリースフィルムF´を第1ハンド881が保持する。
図8D及び
図8Eに示された工程は、逆順であってもよい。
【0065】
図8Fに示すように、ローダハンド88は、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mを保持した状態で空間60Sから退避し、上下反転する。
図8Gに示すように、第1ハンド881がパレット84の上に使用済みのリリースフィルムF´を載置する。
図8Hに示すように、第2ハンド882がピックアンドプレイス装置87に樹脂封止品Mを引き渡し、
図8Jに示すように、第1ハンド881がプレヒータ83からワークWを受け取る。
図8Iに示された工程は、
図8Kに示された工程中に実施してもよい。あるいは、
図8Fから
図8Iに示された工程に代えて、後述する
図10Iから
図10Kに示される工程を実施してもよい。その場合、
図10Jに示された工程は、
図8Kに示された工程中に実施してもよい。
【0066】
これまで説明した第1から第7実施形態によれば、樹脂封止後に樹脂封止品Mと使用済みのリリースフィルムF´とを樹脂封止金型60からまとめて取り出すため、プレスローダ86が金型60内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムFを使用可能な樹脂封止装置1及び樹脂封止方法を提供することができる。
【0067】
ただし、本発明は、空間60Sに進入したローダハンド88が、使用済みのリリースフィルムF´及び樹脂封止品Mのいずれか一方のみを保持した状態で空間60Sから退避してもよい。そのような例として、第8及び第9実施形態を更に説明する。
【0068】
[第8実施形態]
図9Aから
図9Kは、本発明の第8実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第8実施形態の樹脂封止装置1は、第1及び第2ハンド881,882を上下反転可能なローダハンド88を備え、
図9Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が上型62に保持され、樹脂封止品Mが下型61に保持されるように構成されている。
【0069】
以上のように構成された第8実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法では、ローダハンド88が樹脂封止金型60内に進退する回数を増やさないように、空間60Sに進入した状態で第1ハンド881によってワークWを下型61に供給し、第2ハンド882によって使用済みのリリースフィルムF´を保持し、リリースフィルムF´を保持した状態で空間から退避する。
【0070】
第8実施形態では、
図9Dから
図9Eに示すように、空間60Sに進入したローダハンド88が、上型62に使用済みのリリースフィルムF´を残し、下型61の樹脂封止品Mのみを回収して空間60Sから退避する。
図9Fに示すように、ローダハンド88は、プレヒータ83の上のワークWを第1ハンド881で保持する。
【0071】
ローダハンド88は、空間60Sに再び進入し、
図9Gに示すように、下型61にワークWを供給するとともに、
図9Hに示すように、上型62から使用済みのリリースフィルムF´を保持する。
図9G及び
図9Hに示された工程は、逆順であってもよい。
図9Iに示すように、使用済みのリリースフィルムF´を保持して空間60Sから退避する。退避したローダハンド88は、上下反転してリリースフィルムF´をパレット84の上に載置する。
【0072】
[第9実施形態]
図10Aから
図10Kは、本発明の第9実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法に含まれる工程を示す断面図である。第9実施形態の樹脂封止装置1は、搬送装置8が使用済みのリリースフィルムF´を受取可能なピックアンドプレイス装置87を備え、
図10Cに示された型開きの工程において、使用済みのリリースフィルムF´が上型62に保持され、樹脂封止品Mが下型61に保持されるように構成されている。
【0073】
以上のように構成された第9実施形態の樹脂封止装置1を用いた樹脂封止方法は、第8実施形態と同様に、空間60Sに進入した状態で第1ハンドによってワークを下型に供給し第2ハンドによって使用済みのリリースフィルムを保持し、リリースフィルムを保持した状態で空間から退避する。
図10G及び
図10Hに示された工程は、逆順であってもよい。
【0074】
第9実施形態では、
図10Hから
図10Iに示すように、第2ハンド882が重力方向上向きのまま、上型62からリリースフィルムF´を受け取り、ピックアンドプレイス装置87にリリースフィルムF´を引き渡す。そのため、ローダハンド88が第1及び第2ハンド881,882を上下反転させる機能を省略してもよい。ピックアンドプレイス装置87は、リリースフィルムF´をパレット84の上に載置する。
【0075】
これまで説明した第8及び第9実施形態によれば、新たに樹脂封止しようとしているワークWを供給するついでに前回の樹脂封止で使用したリリースフィルムF´を取り出すため、プレスローダ86が金型60内に進退する回数を増やさずに枚葉状のリリースフィルムF´を使用可能な樹脂封止装置1及び該装置を用いた樹脂封止方法を提供することができる。
【0076】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…樹脂封止装置、2…ワーク供給装置、3…樹脂供給装置、4…フィルム供給装置、5…機能部材供給装置、6…プレス装置、7…ワーク収納装置、8…搬送装置、20…供給マガジン、21…ワークインデックス装置、30…ホッパ、31…加振装置、60…樹脂封止金型、60S…上型と下型との間の空間、61…下型、62…上型、63…キャビティ凹部、70…収納マガジン、71…剥離装置、81…第1リニアコンベヤ、82…第2リニアコンベヤ、82H…昇降路、83…プレヒータ、84…パレット、85…レジンローダ、86…プレスローダ、87…ピックアンドプレイス装置、88…ローダハンド、881…第1ハンド、882…第2ハンド、E…電子部品、F,F´…リリースフィルム、H…機能部材、M…樹脂封止品、R…樹脂材料、S…基材、W…ワーク。