(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030463
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】センサの取付装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
F16L55/00 Z
F16L55/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133386
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 大介
(57)【要約】
【課題】センサの取付の自由度を高める。
【解決手段】取付装置100は、配管9の軸心Xの方向における互いに異なる位置において配管9に取り付けられる第1取付具1A及び第2取付具1Bと、第1取付具1Aと第2取付具1Bとのそれぞれに結合され、第1取付具1Aと第2取付具1Bとを連結する連結具3と、連結具3に結合され、配管9に対向する位置においてプローブ8を保持する保持具5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の軸心の方向における互いに異なる位置において前記配管に取り付けられる第1取付具及び第2取付具と、
前記第1取付具と前記第2取付具とのそれぞれに結合され、前記第1取付具と前記第2取付具とを連結する連結具と、
前記連結具に結合され、前記配管に対向する位置においてセンサを保持する保持具とを備えるセンサの取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサの取付装置において、
前記第1取付具及び前記第2取付具のそれぞれは、前記配管を把持することによって前記配管に取り付けられるセンサの取付装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサの取付装置において、
前記第2取付具は、前記配管において、前記第1取付具が取り付けられた部分の前記軸心と一直線上に並ばない前記軸心を有する部分に取り付けられるセンサの取付装置。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサの取付装置において、
前記保持具は、前記センサが取り付けられる複数の取付部を有するセンサの取付装置。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサの取付装置において、
前記保持具は、前記連結具に着脱可能に取り付けられ、
前記連結具は、前記保持具の取付位置を前記軸心に沿った方向へ変更可能に構成されているセンサの取付装置。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサの取付装置において、
前記連結具は、前記第1取付具と前記第2取付具との間で並んで延びる第1連結具及び第2連結具を含み、
前記保持具は、前記第1連結具から前記第2連結具まで前記配管の外周に沿って延び、前記第1連結具及び前記第2連結具のそれぞれに結合され、
前記センサは、前記保持具のうち前記第1連結具と前記第2連結具との間の部分に取り付けられるセンサの取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、センサの取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサは、様々な方法で対象物に取り付けられている。例えば、特許文献1に記載のセンサの取付装置では、センサが治具本体にネジで取り付けられ、治具本体が対象物としての配管に取り付けられている。こうして、センサが対象物に対して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の取付装置では、配管に取り付けられる治具本体にセンサが取り付けられるため、センサの位置は、治具本体の位置に限定される。つまり、治具本体は、配管を挟持できる部分にしか取り付けることができない。そのため、センサも、配管のうち治具本体を取り付けることができる部分にしか配置できない。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センサの取付の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたセンサの取付装置は、配管の軸心の方向における互いに異なる位置において前記配管に取り付けられる第1取付具及び第2取付具と、前記軸心に沿って延び、前記第1取付具と前記第2取付具とのそれぞれに結合された連結具と、前記連結具に結合され、前記配管に対向する位置においてセンサを保持する保持具とを備える。
【発明の効果】
【0007】
前記センサの取付装置によれば、センサの取付の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、
図1とは別の角度から見た、取付装置100の斜視図である。
【
図5】
図5は、プローブ8の構成を示す概略図である。
【
図8】
図8は、軸心Aと直交する平面における取付具1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、取付装置100の斜視図である。
図2は、
図1とは別の角度から見た、取付装置100の斜視図である。
図3は、取付装置100の側面図である。
【0010】
取付装置100は、プローブ8を配管9に取り付ける。プローブ8は、パルス渦電流探傷(PEC:Pulsed Eddy Current)によって対象物の厚さを測定するために用いられる。プローブ8は、対象物に渦電流を発生させ且つ発生した渦電流を検出する。プローブ8は、センサの一例である。この例では、プローブ8の対象物は、配管9である。
【0011】
この例では、配管9は、蒸気又はドレンが流通する金属製の配管である。例えば、配管9は、屈曲又は湾曲している。すなわち、配管9の軸心Xは、屈曲又は湾曲している。配管9は、例えば、円管である。
【0012】
図4は、配管9の概略図である。この例では、配管9の一部は、軸心Yを中心に円弧状に湾曲している。具体的には、配管9は、第1直管91と、第1直管91に接続されたエルボ93と、エルボ93に接続された第2直管92とを含んでいる。エルボ93は、第1直管91と第2直管92との間に配置されている。第1直管91における軸心X、及び、第2直管92における軸心Xは、略直線状である。第1直管91における軸心Xの延長線と第2直管92における軸心Xの延長線とは、略直交する。エルボ93における軸心Xは、略円弧状である。エルボ93における軸心Xの曲率中心は、軸心Yである。軸心Yを曲率中心Yともいう。配管9は、JIS(Japanese Industrial Standards)又はISO(International Organization Standardization)等の規格で定められた寸法を有している。例えば、配管9の外径及びエルボ93の曲率半径等が規格で定められている。
【0013】
以下、説明の便宜上、軸心X及び曲率半径の両方と直交する直線(即ち、配管9の軸心Xと直交する断面において軸心Xを通り且つ軸心Yと平行な直線)を中心軸とする。軸心X上の異なる点における中心軸を繋げて形成される面を中立面とする。中立面は、配管9に曲げ応力が発生しているとした場合に引張も圧縮も生じない面である。軸心Xを中立軸ともいう。軸心X又は中立面を基準として曲率中心Yの側を「曲げの内側」、曲率中心Yと反対側を「曲げの外側」という。軸心Xを含み中立面と直交する平面を基準面という。
【0014】
取付装置100は、プローブ8を配管9のエルボ93に取り付ける。配管9の外周面は断熱材95で覆われていてもよい。エルボ93の外表面は、断熱材95で覆われている。取付装置100は、断熱材95の上からプローブ8を取り付ける。
【0015】
プローブ8は、非接触型のプローブであり、配管9に近接して配置される。尚、「非接触型」とは、非接触でも使用可能であることを意味し、接触状態での使用を除外するものではない。プローブ8は、変動磁場を形成することによって対象物に渦電流を発生させる。また、プローブ8は、対象物に発生した渦電流の変化を誘導電圧として検出する。
【0016】
図5は、プローブ8の構成を示す概略図である。プローブ8は、励磁電流による磁束で配管9に渦電流を発生させる励磁コイル81と、配管9の渦電流を検出する検出コイル82とを備える。プローブ8は、励磁コイル81及び検出コイル82を収容するケーシング83をさらに備えていてもよい。プローブ8は、励磁コイル81によって配管9に渦電流を発生させ、発生した渦電流を検出コイル82で検出する。この例では、プローブ8は、励磁コイル81と検出コイル82とを1組として、2組の励磁コイル81及び検出コイル82を有している。
【0017】
この例では、各組の励磁コイル81の軸心と検出コイル82の軸心とが一直線状になるように、励磁コイル81と検出コイル82とが配列されている。このとき、検出コイル82の方が配管9の近くに配置されている。
【0018】
励磁コイル81は、電流が印加されることによって、その軸心の方向に磁場を形成する。一方の励磁コイル81と他方の励磁コイル81とは、軸心の方向において互いに反対向きの磁場を形成するように電流が印加される。例えば、一方の励磁コイル81から配管9へ向かって磁束が発生し、配管9から他方の励磁コイル81へ向かって磁束が発生する。その結果、一方の励磁コイル81から発せられる大部分の磁束は、一方の励磁コイル81の軸心の方向に出て配管9内へ入り、配管9内を略円弧状に通過し、他方の励磁コイル81の軸心の方向へ向かい他方の励磁コイル81に入っていく。励磁コイル81に印加する電流を変動させることによって、配管9に発生する磁場が変動し、配管9に渦電流が発生する。
【0019】
一方、配管9のうち検出コイル82の近傍の部分に発生した渦電流によって、検出コイル82を貫通する磁束が形成される。検出コイル82を貫通する磁束が変化すると、検出コイル82に誘導起電力が発生する。検出コイル82は、この誘導起電力を検出することによって、配管9の渦電流を検出する。
【0020】
プローブ8は、配管9のうち決められた部分において渦電流を定期的に検出する。すなわち、プローブ8は、配管9の渦電流を定点観測する。プローブ8は、検出された渦電流を演算装置(図示省略)へ送信する。例えば、プローブ8は、1日又は1週間に1回、渦電流を検出して、検出された渦電流を送信する。
【0021】
演算装置は、プローブ8によって検出された渦電流に基づいて対象物、即ち、配管9の厚さを演算する。渦電流に基づいた厚さの測定は、公知の技術が用いられる。例えば、渦電流は、配管9に浸透していくのに従って減衰していく。渦電流は、配管9の表面(プローブ8が対向している面)から裏面に到達するまでの間は徐々に減衰し、裏面に到達すると急激に減衰する。検出コイル82によって検出される電圧も渦電流と同様に変化する。配管9の厚さと検出電圧が急激に減衰するまでの時間とには相関がある。演算装置は、検出電圧が急激に減衰するまでの時間に基づいて、配管9の厚さを演算する。
【0022】
次に、取付装置100について詳しく説明する。取付装置100は、
図1,2,3に示すように、配管9に取り付けられる取付具1と、取付具1に結合される連結具3と、連結具3に結合され、センサ、即ち、プローブ8を保持する保持具5とを備える。保持具5に保持されたプローブ8は、配管9の外表面と対向している。尚、プローブ8と配管9との間には、断熱材95が介在していてもよい。
【0023】
取付具1は、第1取付具1Aと第2取付具1Bとを含んでいる。第1取付具1A及び第2取付具1Bは、配管9の軸心Xの方向における互いに異なる位置において配管9に取り付けられる。この例では、第2取付具1Bは、配管9において、第1取付具1Aが取り付けられた部分の軸心Xと一直線上に並ばない軸心Xを有する部分に取り付けられる。具体的には、第1取付具1Aは、第1直管91に取り付けられ、第2取付具1Bは、第2直管92に取り付けられる。つまり、第1取付具1Aと第2取付具1Bとは、配管9においてエルボ93を介在させて、軸心Xの向きが90度異なる部分に取り付けられている。
【0024】
第1取付具1Aと第2取付具1Bとは、同じ構成を有している。以下、第1取付具1Aと第2取付具1Bとを区別しない場合には、単に「取付具1」と称する。
【0025】
取付具1は、配管9を把持することによって配管9に取り付けられる。取付具1は、配管9の外周に沿って環状に形成されている。
図6は、取付具1の正面図である。詳しくは、取付具1は、軸心Aを中心とする環状に形成されている。取付具1の外周形状は、軸心Aを中心とする略正八角形をしている。取付具1の内周形状は、軸心Aを中心とする略円形をしている。取付具1の説明において、「半径方向」とは軸心Aを中心とする半径方向を、「周方向」とは軸心Aを中心とする周方向を、「軸心A方向」とは軸心Aの方向を意味する。
【0026】
取付具1は、第1分割体11と第2分割体12とに分割された分割構造を有している。具体的には、第1分割体11と第2分割体12とは、軸心Aを含む平面に対して対称な形状をしている。第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれは、弓型に形成され、より具体的には、軸心Aを中心とする略半円の弧状に形成されている。第1分割体11の長手方向の両端部をそれぞれ第1端部15及び第2端部16と称する。同様に、第2分割体12の長手方向の両端部をそれぞれ第1端部15及び第2端部16と称する。
【0027】
図7は、第1分割体11の斜視図である。例えば、第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれは、板金によって形成されている。第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれは、取付具1の外周を区画する4つの外周壁13と、外周壁13から延びる8つの側壁14とを有している。4つの外周壁13は、概ね周方向に並んでいる。4つの外周壁13のそれぞれは、隣り合う外周壁13と繋がっている。第1分割体11の4つの外周壁13と第2分割体12の4つの外周壁13とは、実質的に正八角柱の側周面を形成する。
【0028】
各外周壁13のうち軸心A方向における両端縁のそれぞれに側壁14が繋がっている。すなわち、1つの外周壁13に2つの側壁14が繋がっている。側壁14は、外周壁13から実質的に半径方向内側へ屈曲して、軸心Aと略直交する平面内で拡がっている。各側壁14のうち半径方向内側の端縁は、軸心Aを中心とする略円弧状に形成されている。8つの外周壁13の軸心A方向の一方の端縁から屈曲する8つの側壁14は、軸心Aと略直交する同一の平面内で拡がっている。これらの8つの側壁14の半径方向内側の端縁は、軸心Aを中心とする1つの円を形成する。8つの外周壁13の軸心A方向の他方の端縁から屈曲する8つの側壁14は、一方の端縁から延びる側壁14とは別の、軸心Aと略直交する同一の平面内で拡がっている。これらの8つの側壁14の半径方向内側の端縁は、軸心Aを中心とする1つの円を形成する。軸心A方向の一方の8つの側壁14の形成する円の直径は、軸心A方向の他方の8つの側壁14の形成する円の直径と略同じである。
【0029】
第1分割体11の第1端部15と第2分割体12の第1端部15とは、軸心Aと略平行な軸心Bを中心に回転可能に互いに連結されている。第1分割体11と第2分割体12とが軸心Bを中心に相対的に回転することによって、第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16との間隔が変更される。第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16とは、ボルト21等によって連結される。第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16とが連結されることによって、取付具1は、軸心Aを中心とする環状となる。
【0030】
図8は、軸心Aと直交する平面における取付具1の断面図である。第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれには、複数の第1ネジ孔17が半径方向に貫通するように形成されている。詳しくは、第1分割体11に2つの第1ネジ孔17が形成され、第2分割体12に2つの第1ネジ孔17が形成されている。4つの第1ネジ孔17は、取付具1が環状の状態において周方向に等間隔で配置されている。
【0031】
例えば、ナットが外周壁13に半径方向内側から溶接等によって接合されている。ナットに第1ネジ孔17が形成されている。外周壁13にはナットの第1ネジ孔17と連通する貫通孔が形成されている。
【0032】
各第1ネジ孔17には、
図1,2,3に示すように、取付具1を配管9に固定するためのボルト22が半径方向の外側から螺合される。ボルト22は、第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれよりも半径方向内側に突出し得る。
【0033】
第1分割体11及び第2分割体12のそれぞれには、複数の第2ネジ孔19が貫通形成されている。各外周壁13に2つの第2ネジ孔19が厚さ方向に貫通形成されている。例えば、ナットが外周壁13に半径方向内側から溶接等によって接合されている。ナットに第2ネジ孔19が形成されている。外周壁13にはナットの第2ネジ孔19と連通する貫通孔が形成されている。第2ネジ孔19には、後述する接続具6を取付具1に取り付けるためのボルト65が半径方向の外側から螺合される。
【0034】
第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16との間隔が拡げられ、第1分割体11と第2分割体12との間に配管9が位置するように、取付具1は配管9の周囲に配置される。その後、第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16とがボルト21等によって連結される。これにより、第1分割体11及び第2分割体12は、配管9を把持する。こうして、配管9の周囲を囲むように取付具1が配管9に取り付けられる。
【0035】
連結具3は、第1取付具1A及び第2取付具1Bのそれぞれに結合され、第1取付具1Aと第2取付具1Bとを連結する。具体的には、連結具3は、第1取付具1A及び第2取付具1Bのそれぞれに着脱可能に取り付けられている。連結具3は、配管9の軸心Xに沿って延びている。連結具3は、第1連結具3Aと第2連結具3Bとを含んでいる。第1連結具3A及び第2連結具3Bは、第1取付具1Aと第2取付具1Bとの間で並んで延びる。具体的には、第1連結具3Aと第2連結具3Bとは、互いに略平行に延びている。第1連結具3Aと第2連結具3Bとは、基準面に対して対称に配置されている。以下、第1連結具3Aと第2連結具3Bとを区別しない場合には、単に「連結具3」という。
【0036】
図9は、連結具3の正面図である。連結具3は、平板状に形成されている。連結具3は、例えば板金によって形成されている。連結具3は、第1端部31と第2端部32と本体30とを有している。本体30は、第1端部31と第2端部32とのそれぞれに繋がっている。本体30は、軸心Cを中心とする略円弧状に形成されている。より詳しくは、本体30は、軸心Cを中心とする略4分円を形成している。以下、連結具3の説明において、「半径方向」とは軸心Cを中心とする半径方向を、「周方向」とは軸心Cを中心とする周方向を意味する。第1端部31及び第2端部32のそれぞれは、本体30の周方向の端縁から、本体30が形成する円弧の接線方向へ直線状に延びている。
【0037】
連結具3は、保持具5の取付位置を軸心Xに沿った方向へ変更可能に構成されている。詳しくは、本体30には、保持具5を取り付けるためのネジ孔33が形成されている。ネジ孔33は、厚さ方向に本体30を貫通している。ネジ孔33は、略円形である。この例では、本体30には複数のネジ孔33が形成されている。半径方向に並ぶ2つのネジ孔33を一組として、複数組のネジ孔33が周方向に並んでいる。すなわち、本体30には、軸心Cを中心とする角度位置が異なる複数組のネジ孔33が設けられている。いずれの組の2つのネジ孔33の半径方向の間隔も略同じである。一の保持具5の取り付けに、何れか一組のネジ孔33が用いられる。一の保持具5が複数のネジ孔33に取り付けられることによって、ネジ孔33を中心とする保持具5の回転が防止される。ネジ孔33の組を変更することによって、保持具5の取付位置を周方向へ変更することができる。詳しくは後述するが、連結具3は、軸心Cが軸心Yと略一致するように第1取付具1A及び第2取付具1Bに取り付けられる。つまり、複数組のネジ孔33は、軸心Xに沿った方向に並ぶことになる。そのため、保持具5の取付位置は、ネジ孔33の組を変更することによって軸心Xに沿った方向へ変更される。
【0038】
第1端部31及び第2端部32のそれぞれには、連結具3を取付具1に取り付けるための取付孔34が形成されている。取付孔34は、厚さ方向に第1端部31又は第2端部32を貫通している。取付孔34は、略円形である。この例では、第1端部31に複数の取付孔34が形成されている。第1端部31の延びる方向と略直交する方向に並ぶ2つの取付孔34を一組として、複数組(この例では、2組)の取付孔34が第1端部31の延びる方向に並んでいる。いずれの組の2つの取付孔34の間隔も略同じである。第1取付具1Aへの取り付けに、何れか一組の取付孔34が用いられる。連結具3が複数の取付孔34に取り付けられることによって、取付孔34を中心とする連結具3の回転が防止される。取付孔34の組を変更することによって、第1端部31の延びる方向における、第1取付具1Aと連結具3との相対位置を変更することができる。
【0039】
同様に、第2端部32に複数の取付孔34が形成されている。第2端部32の延びる方向と略直交する方向に並ぶ2つの取付孔34を一組として、複数組(この例では、2組)の取付孔34が第2端部32の延びる方向に並んでいる。いずれの組の2つの取付孔34の間隔も略同じである。第2取付具1Bへの取り付けに、何れか一組の取付孔34が用いられる。取付孔34の組を変更することによって、第2端部32の延びる方向における、第2取付具1Bと連結具3との相対位置を変更することができる。
【0040】
連結具3は、接続具6を介して取付具1に取り付けられる。
図10は、接続具6の背面図である。詳しくは、接続具6は、略直線状に延びる平板で形成されている。例えば、接続具6は、板金によって形成されている。接続具6の長手方向の一端部には、接続具6を取付具1に取り付けるための2つの取付孔61が形成されている。接続具6の長手方向の他端部には、連結具3を接続具6に取り付けるための2つのネジ孔62が形成されている。
【0041】
2つの取付孔61は、接続具6の長手方向に並んでいる。2つの取付孔61の間隔は、取付具1の各外周壁13に設けられた2つの第2ネジ孔19の間隔と略同じである。接続具6は、取付孔61を介して一の外周壁13に取り付けられる。2つの取付孔61が2つの第2ネジ孔19と連通するように接続具6が外周壁13に重ねられ、ボルト65が取付孔61を貫通して第2ネジ孔19に螺合させられる。ボルト65を締め付けることによって、接続具6が外周壁13に取り付けられる。その結果、接続具6は、外周壁13から外周壁13の長手方向へ延びるように設置される。
【0042】
尚、接続具6には、2つの取付孔61の間に貫通孔63が形成されている。第1ネジ孔17が形成された外周壁13に接続具6が取り付けられた場合、貫通孔63は、第1ネジ孔17と連通する。取付具1を固定するためのボルト22は、貫通孔63を貫通して第1ネジ孔17に螺合させられる。
【0043】
2つのネジ孔62は、接続具6のうち外周壁13から離れた端部において接続具6の長手方向に並んでいる。2つのネジ孔62の間隔は、連結具3の第1端部31及び第2端部32の各組の2つの取付孔34の間隔と略同じである。例えば、ナットが接続具6に溶接等によって接合されている。ナットにネジ孔62が形成されている。接続具6にはナットのネジ孔62と連通する貫通孔が形成されている。連結具3は、ネジ孔62を介して接続具6に取り付けられる。2つの取付孔34が2つのネジ孔62と連通するように第1端部31又は第2端部32が接続具6に重ねられ、ボルト66が取付孔34を貫通してネジ孔62に螺合させられる。ボルト66を締め付けることによって、連結具3が接続具6に取り付けられる。その結果、第1端部31又は第2端部32は、接続具6の長手方向に対して略直交する方向に延びるように設置される。
【0044】
保持具5は、第1連結具3A及び第2連結具3Bのそれぞれに結合されている。具体的には、保持具5は、第1連結具3A及び第2連結具3Bのそれぞれに着脱可能に取り付けられている。保持具5は、第1連結具3Aから第2連結具3Bまで配管9の外周に沿って延びる。配管9への取付状態において、保持具5は、配管9との干渉を避けるように配管9の周囲を第1連結具3Aから第2連結具3Bまで延びる。保持具5は、配管9の軸心Xに直交する平面内で延びている。
【0045】
この例では、取付装置100は、複数種類の保持具5の中から選択された少なくとも1つの保持具5を含んでいる。取付装置100は、複数の保持具5を含んでいてもよい。その場合、複数の保持具5の種類は、異なっていても、同一であってもよい。
【0046】
例えば、保持具5は、第1保持具5A、第2保持具5B、第3保持具5C及び第4保持具5Dの中から選択される。
図11は、第1保持具5Aの斜視図である。
図12は、第2保持具5Bの斜視図である。
図13は、第3保持具5Cの斜視図である。
図14は、第4保持具5Dの斜視図である。尚、第1保持具5A、第2保持具5B、第3保持具5C及び第4保持具5Dのそれぞれを区別しない場合には、単に「保持具5」と称する。
【0047】
保持具5は、長手方向の一端部である第1端部51と、長手方向の他端部である第2端部52と、第1端部51と第2端部52との間の本体50とを有している。第1端部51は、第1連結具3Aに取り付けられる。第2端部52は、第2連結具3Bに取り付けられる。本体50には、プローブ8が取り付けられる取付部55が形成されている。つまり、プローブ8は、保持具5のうち第1連結具3Aと第2連結具3Bとの間の部分に着脱可能に取り付けられる。保持具5は、全体として湾曲又は屈曲した形状、即ち、概ね弓型に形成されている。ここで、「弓型」とは、円弧状に限定されず、円弧状、U字状及びV字状を含み得る。より詳しくは、保持具5は、軸心Xを含む平面に対して対称な形状をしている。
【0048】
第1保持具5A、第2保持具5B及び第3保持具5Cの長さ(即ち、長手方向の寸法)は、第4保持具5Dに比べて長い。配管9の外周に沿って第1連結具3Aから第2連結具3Bまで至る経路は、2通りある。つまり、曲げの外側において中立軸から最も離れた部分(すなわち、曲げの曲率半径が最大となる部分であり、以下、「曲げの最外部分」という)の外方を通過する経路と、曲げの内側において中立軸から最も離れた部分(すなわち、曲げの曲率半径が最小となる部分であり、以下、「曲げの最内部分」という)の外方を通過する経路とがある。第1連結具3A及び第2連結具3Bが軸心Xよりも曲げの内側又は外側にオフセットしている場合には、一方の経路は、他方の経路よりも長くなる。第1保持具5A、第2保持具5B及び第3保持具5Cは、長い方の経路を通って第1連結具3Aと第2連結具3Bとを接続する場合に用いられる。一方、第4保持具5Dは、短い方の経路を通って第1連結具3Aと第2連結具3Bとを接続する場合に用いられる。さらに、第1保持具5A、第2保持具5B及び第3保持具5Cは、取付部55の個数又は配置が互いに異なる。第2保持具5B及び第3保持具5Cはそれぞれ、複数の取付部55を有する。
【0049】
具体的には、第1保持具5Aは、
図11に示すように、本体50に1つの取付部55が設けられている。取付部55は、本体50のうち長手方向の略中央に配置されている。
【0050】
第2保持具5Bは、
図12に示すように、本体50に2つの取付部55が設けられている。一の取付部55は、本体50のうち長手方向の略中央と第1端部51との間に配置され、残りの取付部55は、本体50のうち長手方向の略中央と第2端部52との間に配置されている。
【0051】
第3保持具5Cは、
図13に示すように、本体50に3つの取付部55が設けられている。一の取付部55は、本体50のうち第1端部51の近傍に配置されている。別の取付部55は、本体50のうち第2端部52の近傍に配置されている。残りの取付部55は、本体50のうち長手方向の略中央に配置されている。
【0052】
第4保持具5Dは、
図14に示すように、本体50に1つの取付部55が設けられている。取付部55は、本体50のうち長手方向の略中央に配置されている。
【0053】
第1端部51は、第1連結具3Aに一組のネジ孔33を介して取り付けられ、第2端部52は、第2連結具3Bに一組のネジ孔33を介して取り付けられる。第1端部51及び第2端部52はそれぞれ、ボルト56によって連結具3に取り付けられる。第1端部51が取り付けられる一組のネジ孔33と第2端部52が取り付けられる一組のネジ孔33とは、軸心Cを中心とする角度位置が同じである。
【0054】
第1保持具5A、第2保持具5B及び第3保持具5Cにおいて、第1端部51及び第2端部52のそれぞれには、一組のネジ孔33と同じ間隔を空けた2つの取付孔54が貫通形成されている。第1端部51の2つ取付孔54の並ぶ方向と第2端部52の2つの取付孔54の並ぶ方向とは、互いに略平行である。第1端部51及び第2端部52は、第1連結具3A及び第2連結具3Bの外側に配置される。ボルト56が各取付孔54を貫通して、各ネジ孔33に螺合される。
【0055】
第4保持具5Dにおいて、第1端部51及び第2端部52のそれぞれには、一組のネジ孔33と同じ間隔を空けた2つのネジ孔57が貫通形成されている。ナットが第1端部51及び第2端部52のそれぞれの内側から溶接等によって接合されている。ナットにネジ孔57が形成されている。第1端部51及び第2端部52のそれぞれにはナットのネジ孔57と連通する貫通孔が形成されている。第1端部51の2つネジ孔57の並ぶ方向と第2端部52の2つのネジ孔57の並ぶ方向とは、互いに略平行である。第1端部51及び第2端部52は、第1連結具3A及び第2連結具3Bの内側に配置される。ボルト56が各ネジ孔33を貫通して、各ネジ孔57に螺合される。
【0056】
取付部55には、プローブ8が嵌め込まれる設置孔55aと、プローブ8を取り付けるネジ孔55bとが形成されている。設置孔55aは、厚さ方向に本体50を貫通している。設置孔55aの周囲に、複数のネジ孔55bが配置されている。ナットが取付部55の内側(配管9が位置する側)から溶接等によって接合されている。ナットにネジ孔55bが形成されている。取付部55にはナットのネジ孔55bと連通する貫通孔が形成されている。プローブ8は、設置孔55aに嵌められた状態で、ネジ孔55bに螺合されるボルトによって取付部55に取り付けられる。
【0057】
続いて、取付装置100の配管9への取付について説明する。ここで、配管9は、JIS等の規格で定められた寸法を有しているので、取付予定の配管9の一部の寸法は既知である。取付予定の配管9の寸法に対応する取付具1、連結具3及び保持具5が用意される。例えば、配管9の複数種類の規格寸法に対応する複数種類の取付具1、連結具3及び保持具5を含む取付装置セットが用意されている。複数種類の取付具1は、規格で定められた配管9の複数種類の径にそれぞれ対応している。複数種類の連結具3は、規格で定められた配管9の複数種類の曲率半径にそれぞれ対応している。複数種類の保持具5は、規格で定められた配管9の複数種類の径にそれぞれ対応している。取付予定の配管9の寸法に合わせて適切な取付具1、連結具3及び保持具5が選択される。
【0058】
まず、第1取付具1A及び第2取付具1Bが配管9に取り付けられる。この例では、配管9のうち取付装置100が取り付けられる部分が断熱材95で覆われる。具体的には、配管9のうち、少なくとも第1取付具1Aが取り付けられる部分から第2取付具1Bが取り付けられる部分までの区間が断熱材95で覆われる。第1取付具1A及び第2取付具1Bは、断熱材95の上から配管9に取り付けられる。
【0059】
詳しくは、第1取付具1Aの第1分割体11と第2分割体12とは、互いの第2端部16の間隔が大きくなるように拡げられ、第1分割体11と第2分割体12との間に第1直管91が位置するように、第1取付具1Aが第1直管91の周囲に配置される。
【0060】
その後、互いの第2端部16の間隔が小さくなるように第1取付具1Aの第1分割体11と第2分割体12とが閉じられ、第1分割体11の第2端部16と第2分割体12の第2端部16とがボルト21等によって連結される。
【0061】
そして、接続具6が第1取付具1Aに取り付けられる。第1取付具1Aのうち軸心Xを挟んで対向する一組の外周壁13に接続具6が取り付けられる。2つの取付孔61が2つの第2ネジ孔19と連通するように接続具6が外周壁13に重ねられ、ボルト65が取付孔61を貫通して第2ネジ孔19に螺合される。ボルト65を締め付けることによって、接続具6が外周壁13に取り付けられる。2つの接続具6は、第1取付具1Aにおいて軸心Xを挟んで両側に取り付けられる。
【0062】
尚、取付具1への接続具6の取付は、取付具1が配管9に取り付けられる前に行われてもよい。つまり、接続具6が取り付けられた取付具1を配管9に取り付けてもよい。
【0063】
第2取付具1Bも、第1取付具1Aと同様にして、配管9に取り付けられる。第2取付具1Bは、第2直管92の周囲に配置される。さらに、第2取付具1Bにも、第1取付具1Aと同様にして、接続具6が取り付けられる。
【0064】
続いて、第1取付具1A及び第2取付具1Bのそれぞれがボルト22によって配管9に仮止めされる。詳しくは、ボルト22が第1ネジ孔17に第1取付具1Aの外側から螺合させられる。ボルト22の先端は、断熱材95にくい込む。後の連結具3を第1取付具1Aに取り付ける際に第1取付具1Aの位置を調節できるように、ボルト22は緩く締められ、第1取付具1Aは暫定的に固定される。このとき、第1取付具1Aに取り付けられた2つの接続具6が基準面と略平行となり且つ外周壁13から曲げの内側へ延びるように、第1取付具1Aの姿勢が調整される。
【0065】
同様に、ボルト22が第1ネジ孔17に第2取付具1Bの外側から螺合させられる。ボルト22の先端は、断熱材95にくい込む。後の連結具3を第2取付具1Bに取り付ける際に第2取付具1Bの位置を調節できるように、ボルト22は緩く締められ、第2取付具1Bは暫定的に固定される。このとき、第2取付具1Bに取り付けられた2つの接続具6が基準面と略平行となり且つ外周壁13から曲げの内側へ延びるように、第2取付具1Bの姿勢が調整される。
【0066】
その後、第1連結具3A及び第2連結具3Bが第1取付具1A及び第2取付具1Bに取り付けられる。第1連結具3A及び第2連結具3Bは、接続具6を介して第1取付具1A及び第2取付具1Bに取り付けられる。
【0067】
詳しくは、第1連結具3Aは、基準面に対して一方の側に配置された、第1取付具1Aの接続具6及び第2取付具1Bの接続具6に取り付けられる。第2連結具3Bは、基準面に対して他方の側に配置された、第1取付具1Aの接続具6及び第2取付具1Bの接続具6に取り付けられる。
【0068】
第1取付具1Aの接続具6には、連結具3の第1端部31が取り付けられ、第2取付具1Bの接続具6には、連結具3の第2端部32が取り付けられる。第1端部31及び第2端部32のそれぞれには、複数組の取付孔34が形成されている。一方、各接続具6には、2つのネジ孔62が形成されている。一組の取付孔34が2つのネジ孔62と連通するように連結具3が接続具6に重ねられ、ボルト66が取付孔34を貫通してネジ孔62に螺合される。ボルト66を締め付けることによって、連結具3が接続具6に取り付けられる。このとき、ネジ孔62に連通させる取付孔34の組を変更することによって、取付具1と連結具3との相対位置を変更することができる。
【0069】
ここで、接続具6は、中立面(即ち、軸心X)よりも曲げの内側へ延びるように外周壁13に取り付けられ、ネジ孔62は、中立面よりも曲げの内側に配置されている。そのため、第1連結具3A及び第2連結具3Bも、中立面よりも曲げの内側にオフセットしている。
【0070】
第1取付具1A及び第2取付具1Bの位置の調整、並びに、取付孔34の組の変更によって、第1連結具3A及び第2連結具3Bの配置が調節される。具体的には、配管9の曲率中心Yと第1連結具3A及び第2連結具3Bの軸心Cとが一致するように、第1連結具3A及び第2連結具3Bの配置が調節される。これにより、複数組のネジ孔33は、軸心Xに沿って、即ち、軸心Xと略平行に並ぶ状態となる。第1連結具3A及び第2連結具3Bがこのような配置となるように、第1取付具1A及び第2取付具1Bの位置が調整され、さらには、取付孔34の組が選択される。尚、平板状である第1連結具3A及び第2連結具3Bはそれぞれ、基準面と略平行となる。
【0071】
第1取付具1A及び第2取付具1Bの位置が決まると、各ボルト22が締め付けられる。ボルト22の先端は、断熱材95を圧縮して実質的に配管9まで達する。4つのボルト22の先端が実質的に配管9まで達することによって、取付具1が配管9に固定される。
【0072】
続いて、保持具5が第1連結具3A及び第2連結具3Bに取り付けられる。このとき、プローブ8を配置すべき位置に応じて、保持具5、取付部55及びネジ孔33が選択される。詳しくは、プローブ8の軸心Xを中心とする周方向の位置に応じて、第1保持具5A、第2保持具5B、第3保持具5C及び第4保持具5Dの中から保持具5が選択される。選択された保持具5が複数の取付部55を有する場合には、プローブ8の軸心Xを中心とする周方向の位置に応じて、複数の取付部55の中から何れかの取付部55が選択される。プローブ8の軸心Xの方向の位置に応じて、複数組のネジ孔33の中から一組のネジ孔33が選択される。
【0073】
尚、プローブ8を配置すべき位置は、予め決められていてもよいし、実際の配管9に応じて現場で決められてもよい。例えば、配管9のうち減肉しやすい部分が既知の場合には、プローブ8の位置が予め決められ得る。あるいは、現場で手動の測定装置によって実際の配管9の厚さが測定され、減肉が生じている部分にプローブ8の位置が決定されてもよい。
【0074】
例えば、曲げの最外部分にプローブ8が配置される場合には、第1保持具5A又は第3保持具5Cが用いられる。第3保持具5Cが用いられる場合には、第3保持具5Cにおける本体50の長手方向中央の取付部55にプローブ8が取り付けられる。軸心Xを中心に曲げの最外部分から略45度ずれた部分にプローブ8が配置される場合には、第2保持具5Bが用いられる。第2保持具5Bは、最外部分から両側に略45度ずれた位置に2つの取付部55が設けられている。プローブ8は、第2保持具5Bの2つの取付部55の一方又は両方に取り付けられる。軸心Xを中心に曲げの最外部分から略90度ずれた部分(すなわち、中心軸の延長線上の部分)にプローブ8が配置される場合には、第3保持具5Cが用いられる。第3保持具5Cにおける第1端部51の近傍の取付部55及び第2端部52の近傍の取付部55の一方又は両方にプローブ8が取り付けられる。曲げの最内部分にプローブ8が配置される場合には、第4保持具5Dが用いられる。
【0075】
選択された保持具5が選択されたネジ孔33に取り付けられ、選択された取付部55にプローブ8が取り付けられる。これにより、プローブ8が配管9の外表面のうち所望の部分に対向するように、プローブ8が配管9に取り付けられる。保持具5を変更する、又は、保持具5内で取付部55を変更することによって、軸心Xを中心とする周方向におけるプローブ8の位置を変更することができる。さらには、連結具3への保持具5の取付位置を変更することによって、軸心Xに沿ったプローブ8の位置を変更することができる。
【0076】
尚、第1連結具3A及び第2連結具3Bに取り付けられる保持具5は、複数であってもよい。その場合、複数の保持具5は、同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。複数のプローブ8を配管9に取り付ける場合には、複数の取付部55又は複数の保持具5が採用され得る。
【0077】
図1及び2の例では、第2保持具5B、第3保持具5C及び第4保持具5Dが第1連結具3A及び第2連結具3Bに取り付けられている。第2保持具5Bでは、一方の取付部55のみにプローブ8が取り付けられている。第3保持具5Cでは、第1端部51の近傍の取付部55及び本体50の長手方向中央の取付部55にプローブ8が取り付けられている。結果として、軸心Xを中心として曲げの最外部分を0度とすると、配管9のうち0度、45度、90度及び180度の部分に対向してプローブ8が配置される。
【0078】
このように、取付装置100においては、プローブ8を取付具1とは異なる位置に配置することができる。取付具1を取り付けやすい部分に取り付けつつ、プローブ8を所望の位置に配置することができる。例えば、取付具1は、配管9のうち、分岐管、ポート、又は配管9に取り付けられた他の部品等の取付の障害が無い部分に取り付けられる必要がある。あるいは、配管9のうち取付具1を取り付ける部分の断熱材95又は断熱材95以外の部材を除去する等の前処理が必要かもしれない。取付具1は、これらを考慮して、配管9のうち取り付けやすい部分に取り付けられる。一方、プローブ8は、取付具1に対して連結具3及び保持具5を介して取り付けられるため、配管9のうち取付具1を取り付けにくい部分にも配置することができる。前述の例では、プローブ8を配管9の湾曲部分(即ち、エルボ93)に対向して配置する場合に、取付具1が配管9のストレート部分(即ち、第1直管91又は第2直管92)に取り付けられる。このように、プローブ8を配管9のうち湾曲又は屈曲した部分にも容易に配置することができる。
【0079】
さらに、取付具1は、配管9を把持することによって配管9に取り付けられる。配管9に取付具1を取り付けるためのボルト等を溶接で取り付ける等の配管9の加工の必要が無い。溶接等の加工は、配管9を含むシステムの運転を停止して行う必要がある。つまり、取付具1は、配管9を含むシステムの運転を停止することなく配管9に取り付けることができる。
【0080】
また、取付装置100は、2つの取付具1、即ち、第1取付具1A及び第2取付具1Bを配管9に取り付け、2つの取付具1を連結具3で連結しているため、取付具1が回転してプローブ8の位置がずれることを防止することができる。例えば、配管9のうち第1取付具1Aの取付部分の軸心Xと配管9のうち第2取付具1Bの取付部分の軸心Xとが一直線上に並んでいない場合には、一方の取付具1の軸心X回りの回転を他方の取付具1が阻止する。結果として、プローブ8の位置ずれが防止される。さらに、第1取付具1Aの取付部分の軸心Xと配管9のうち第2取付具1Bの取付部分の軸心Xとが一直線上に並んでいたとしても、両方の取付具1の取付が緩まない限り、一方の取付具1の軸心X回りの回転を他方の取付具1が阻止する。この場合も、プローブ8の位置ずれが防止される。
【0081】
さらに、プローブ8が保持具5に取り付けられ、保持具5が連結具3に取り付けられるので、連結具3に対する保持具5の取付位置を変更することによって、プローブ8の位置を連結具3に沿った方向に調節することができる。連結具3は、保持具5の取付位置を軸心Xに沿って変更可能となっている。そのため、プローブ8の位置を軸心Xの方向に沿って変更することができる。
【0082】
この例では、連結具3には、保持具5が取り付けられ得る複数のネジ孔33が軸心Xに沿って並んでいる。保持具5を取り付けるネジ孔33を変更することによって、連結具3及び保持具5を変更しなくても、プローブ8の位置を軸心Xに沿って変更することができる。このように、連結具3は保持具5の取付位置を変更可能になっているので、共通の連結具3及び保持具5を用いてもプローブ8の配置を調節することができる。それに加えて、連結具3には保持具5の取付位置に複数の選択肢があるので、連結具3に複数の保持具5を取り付けることができる。これにより、複数のプローブ8を取り付けることができる。
【0083】
さらに、第2保持具5B又は第3保持具5Cには複数の取付部55が設けられているので、取付部55を変更することによって軸心Xを中心とするプローブ8の角度位置を変更することができる。さらには、複数の取付部55にプローブ8を取り付けることによって一の保持具5に複数のプローブ8を取り付けることができる。
【0084】
さらにまた、取付装置100が複数種類の保持具5を備え、その中から適切な保持具5が採用されることによって、プローブ8の位置を適切に調節することができる。
【0085】
このような取付装置100によれば、現場におけるプローブ8の位置の調節に対応することができる。例えば、プローブ8の位置は、現場において判断される場合もある。配管9の使用状況又は現場での手動の装置による簡易検査等に基づいて、プローブ8の位置が現場で決定され得る。そのような場合でも、連結具3への保持具5の取付位置の変更、取付部55の変更、又は、保持具5の種類の変更によって、プローブ8の配置を柔軟に調節することができる。
【0086】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0087】
例えば、取付装置100が取り付けられる配管9は、前述の構成に限定されない。配管9のうち第1取付具1Aと第2取付具1Bとの間の部分は、湾曲又は屈曲しておらず、全体的にストレート状に延びていてもよい。あるいは、配管9は、第1取付具1Aと第2取付具1Bとの間において、複数箇所で湾曲又は屈曲していてもよい。取付具1は、配管9に断熱材95を介さずに取り付けられてもよい。
【0088】
取付具1は、2分割ではなく、3以上に分割されていてもよい。第1分割体11の一端部と第2分割体12の一端部とは、回転可能に連結されているが、分離可能であってもよい。例えば、第1分割体11と第2分割体12とは完全に分離されており、第1分割体11と第2分割体12とで配管9を挟持するように配管9に取り付けられてもよい。取付具1は、全体として環状に形成されていなくてもよい。
【0089】
取付具1の外周形状は、八角形に限定されず、それ以外の多角形又は円形であってもよい。取付具1の内周形状は、円形に限定されず、多角形等であってもよい。
【0090】
さらに、取付具1は、配管9を把持するように構成されていなくてもよい。例えば、配管9にボルト等が設けられ、取付具1は、配管9のボルトを介して取り付けられてもよい。さらには、取付具1は、配管9に溶接等によって取り付けられてもよい。
【0091】
連結具3は、前述の構成に限定されない。例えば、一の保持具5を取り付けるためのネジ孔33は、2つではなく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0092】
連結具3において保持具5の取付位置を変更可能な構成は、複数のネジ孔33に限定されない。例えば、ネジ孔33は、長孔であってもよい。その場合、保持具5は、ネジ孔33内で取付位置を変更することができる。例えば、ネジ孔33は、軸心Xを中心とする略円弧状の長孔であってもよい。この場合、保持具5の取付位置をネジ孔33内で変更することによって、保持具5の取付位置を軸心Xに沿った方向へ変更することができる。
【0093】
また、連結具3は、複数の取付孔34が形成され、保持具5の取付位置を変更可能に構成されているが、これに限定されない。例えば、取付孔34は、長孔であって、取付孔34内で取付具1の取付位置を変更可能であってもよい。あるいは、連結具3には、保持具5を取り付けるための取付孔34が1個又は1組だけ設けられ、保持具5の取付位置が変更不能であってもよい。
【0094】
さらに、連結具3は、配管9の中立面よりも曲げの内側にオフセットしているが、これに限定されない。連結具3は、中立面よりも曲げの外側にオフセットしていてもよい。その場合、第1保持具5A、第2保持具5B及び第3保持具5Cは、配管9の曲げの最内部分の外方を通るように配置される。第4保持具5Dは、配管9の曲げの最外部分の外方を通るように配置される。
【0095】
あるいは、連結具3は、中立面に対して曲げの内側にも外側にもオフセットしていなくてもよい。すなわち、連結具3は、配管9の中心軸の延長線上に配置されていてもよい。その場合、配管9の外周に沿って第1連結具3Aから第2連結具3Bまで至る2通りの経路は、どちらも略同じ長さとなる。そのため、何れの経路を通る場合も共通の保持具5が用いられる。
【0096】
保持具5は、前述の構成に限定されない。例えば、取付装置100は、連結具3を1つだけ有していてもよい。その場合、第1取付具1Aと第2取付具1Bとは、1つの連結具3だけで連結されていてもよい。保持具5の一端部は、連結具3に取り付けられ、保持具5の他端部は、自由端であってもよい。すなわち、保持具5は、片持ち状に連結具3に取り付けられていてもよい。あるいは、保持具5の一端部は連結具3に取り付けられ、保持具5の他端部は第1取付具1A又は第2取付具1Bに取り付けられてもよい。
【0097】
センサは、プローブ8に限定されない。温度センサ等のセンサであってもよい。センサは、配管9等のセンシングの対象物に対して接触して配置されても、非接触で配置されてもよい。
【0098】
取付装置100の取付順序は、前述の順序に限定されない。取付装置100を配管9に取り付けることができる限りは、前述の順序を変更してもよい。
【0099】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0100】
[1] 取付装置100は、配管9の軸心Xの方向における互いに異なる位置において前記配管9に取り付けられる第1取付具1A及び第2取付具1Bと、前記第1取付具1Aと前記第2取付具1Bとのそれぞれに結合され、前記第1取付具1Aと前記第2取付具1Bとを連結する連結具3と、前記連結具3に結合され、前記配管9に対向する位置においてプローブ8(センサ)を保持する保持具5とを備える。
【0101】
この構成によれば、配管9に取り付けられる第1取付具1A及び第2取付具1Bとは異なる位置に、プローブ8を配置することができる。例えば、プローブ8を配置すべき部分に第1取付具1A及び第2取付具1Bを取り付けにくい場合であっても、当該部分を避けて第1取付具1A及び第2取付具1Bを配管9に取り付けつつ、連結具3及び保持具5によってプローブ8を適切な位置に配置することができる。つまり、プローブ8を取り付ける位置の自由度を高めることができる。
【0102】
また、第1取付具1A及び第2取付具1Bが配管9に取り付けられ、第1取付具1A及び第2取付具1Bが連結具3によって連結されているので、取付装置100全体の取付強度が向上し、プローブ8の位置ずれが抑制される。つまり、一方の取付具1の取付が緩んでも、他方の取付具1がしっかり取り付けられていれば、取付装置100の全体的な位置ずれが抑制され、ひいては、プローブ8の位置ずれが抑制される。
【0103】
[2] [1]に記載のセンサの取付装置100において、前記第1取付具1A及び前記第2取付具1Bのそれぞれは、前記配管9を把持することによって前記配管9に取り付けられる。
【0104】
この構成によれば、配管9に特別の加工を施さなくても、第1取付具1A及び第2取付具1Bのそれぞれを配管9に取り付けることができる。
【0105】
[3] [1]又は[2]に記載のセンサの取付装置100において、前記第2取付具1Bは、前記配管9において、前記第1取付具1Aが取り付けられた部分の前記軸心Xと一直線上に並ばない前記軸心Xを有する部分に取り付けられる。
【0106】
この構成によれば、第1取付具1Aと第2取付具1Bとは、同心状に回転し得ない。そのため、一方の取付具1が回転しようとしても、他方の取付具1がその回転を阻止する。その結果、取付装置100の回転が阻止され、プローブ8の位置ずれが防止される。
【0107】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のセンサの取付装置100において、前記保持具5は、前記プローブ8が取り付けられる複数の取付部55を有する。
【0108】
この構成によれば、保持具5を変更しなくても、プローブ8が取り付けられる取付部55を変更することによって、プローブ8の配置を変更することができる。あるいは、1つの保持具5に対して複数のプローブ8を取り付けることもできる。
【0109】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のセンサの取付装置100において、前記保持具5は、前記連結具3に着脱可能に取り付けられ、前記連結具3は、前記保持具5の取付位置を前記軸心Xに沿った方向へ変更可能に構成されている。
【0110】
この構成によれば、連結具3における保持具5の取付位置を変更することによって、軸心Xに沿った方向への保持具5の位置を変更することができる。その結果、軸心Xに沿った方向へのプローブ8の位置を変更することができる。
【0111】
[6] [1]乃至[5]の何れか1つに記載のセンサの取付装置100において、前記連結具3は、前記第1取付具1Aと前記第2取付具1Bとの間で並んで延びる第1連結具3A及び第2連結具3Bを含み、前記保持具5は、前記第1連結具3Aから前記第2連結具3Bまで前記配管9の外周に沿って延び、前記第1連結具3A及び前記第2連結具3Bのそれぞれに結合され、前記プローブ8は、前記保持具5のうち前記第1連結具3Aと前記第2連結具3Bとの間の部分に取り付けられる。
【0112】
この構成によれば、保持具5は、第1連結具3A及び第2連結具3Bに取り付けられるので、保持具5が片持ち状態に取り付けられる場合と比較して、保持具5の取付強度が向上する。そして、取付部55は保持具5のうち第1連結具3Aに取り付けられた部分と第2連結具3Bに取り付けられた部分との間に設けられているので、取付部55の変位が低減される。その結果、プローブ8の変位が低減される。
【符号の説明】
【0113】
100 取付装置
1A 第1取付具
1B 第2取付具
3 連結具
3A 第1連結具
3B 第2連結具
5 保持具
55 取付部
8 プローブ(センサ)
9 配管
X 軸心