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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003049
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】バッテリー劣化度判定システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20231228BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185756
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2023035113の分割
【原出願日】2021-05-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日 令和3年2月8日 https://mirai-lab.com/archives/news/954 https://www.aucnet.co.jp/nw_corp/20210208_01/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000034036.html
(71)【出願人】
【識別番号】506142794
【氏名又は名称】MIRAI-LABO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】平塚 利男
(57)【要約】
【課題】様々な劣化度の使用済みバッテリーセルを用いても、安定した電力を継続的に利用可能なバッテリー劣化度判定システムを提供する。
【解決手段】バッテリー要素の識別情報と使用履歴情報を関連付けて記録する管理サーバと、バッテリー要素の充電時または放電時の第1電気特性を測定し、第1電気特性の測定結果および使用履歴情報に基づいて第1劣化度を判定し、第1劣化度を含む診断情報を識別情報と関連付けて管理サーバに記録する劣化判断部と、を備え、劣化判断部は、所定期間経過後にバッテリー要素の充電時または放電時の第2電気特性を測定し、使用履歴情報を更新し、第2電気特性の測定結果および使用履歴情報に基づいて第2劣化度を判定し、診断情報に第2劣化度を追加して更新し、第2劣化度に基づいてバッテリー要素の交換を通知することを特徴とするバッテリー劣化度判定システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みバッテリーから分解された個別のバッテリー要素の劣化を判定するバッテリー劣化度判定システムであって、
前記バッテリー要素の第1識別情報と、前記使用済バッテリーの第2識別情報および使用履歴情報とを関連付けて記録する管理サーバと、
前記バッテリー要素の充電時または放電時の第1電気特性を測定し、前記第1電気特性の測定結果および前記使用履歴情報に基づいて第1劣化度を判定し、前記第1劣化度を含む診断情報を前記第1識別情報と関連付けて前記管理サーバに記録する劣化判断部と、を備え、
前記劣化判断部は、所定期間経過後に前記バッテリー要素の充電時または放電時の第2電気特性を測定し、前記使用履歴情報を更新し、前記第2電気特性の測定結果および前記使用履歴情報に基づいて第2劣化度を判定し、前記診断情報に前記第2劣化度を追加して更新し、
前記第2劣化度に基づいて前記バッテリー要素の交換を通知することを特徴とするバッテリー劣化度判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー劣化度判定システムであって、
前記劣化判断部は、複数の前記バッテリー要素に関する前記使用履歴情報と前記診断情報の関係を機械学習によって分析し、
前記分析の結果に基づいて、前記第1劣化度および前記第2劣化度の判定方法を更新することを特徴とするバッテリー劣化度判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッテリー劣化度判定システムであって、
前記使用済みバッテリーは、移動体の電源に用いられたものであり、
前記使用履歴情報には、前記移動体の運転履歴が含まれていることを特徴とするバッテリー劣化度判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー劣化度判定システムに関し、特に複数のバッテリーユニットを交換可能な電源装置のバッテリー劣化度判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって、自動車や自動二輪車等の移動体の動力源として電力を用い、二次電池から供給された電力を運動エネルギーに変換する電気自動車やハイブリッドカー、電動二輪車等が普及しつつある。また、自転車の補助動力源として電力を用いる電動アシスト付き自転車の普及率も向上している。
【0003】
これらの移動体は、移動体に搭載された二次電池に蓄えられている電力を使用して移動するため、二次電池の充電可能な容量で航続距離が決まる。移動体の航続距離を大きくするためには、二次電池を大型化して大容量化することが有効であるが、二次電池で充電可能な容量は使用環境や使用履歴に応じて劣化することが知られており、新品の二次電池での航続距離と比較して徐々に移動体の航続距離が短くなってしまう。
【0004】
そこで、二次電池の劣化程度を個別に測定し、予め定めた以上に劣化が進行した二次電池については新しい二次電池に交換し、移動体の航続距離を維持することが提案されている。また、劣化した二次電池は回収業者が回収し、性能回復や再組み立てを実施したうえでリユース品またはリビルド品として再利用することも提案されている。(例えば特許文献1を参照。)
【0005】
図9は、従来から提案されている二次電池の回収モデルを示す模式図である。図中では、バッテリーセルの充電可能な容量を新品時と比較した割合を百分率で示している。換言すると、新品時の充電可能な容量を100%(劣化度0%)と表示すると、劣化度は100%-(充電可能な容量%)となる。
【0006】
図9に示した例では、充電可能な容量が100%のバッテリーセルは新車に使用することが可能であり、充電可能な容量が90%(劣化度10%)のバッテリーセルは中古車向けや中古の二次電池として販売される。また、充電可能な容量が70~80%(劣化度20~30%)のバッテリーセルは、新品と比較して十分な航続距離を確保することが困難なため、街灯の電源など移動体以外の用途に用いられる。また、充電可能な容量が10%(劣化度90%)程度にまで劣化が進行したバッテリーセルについては、他用途での再利用も困難なため分解して原料をリサイクルする処理に回される。
【0007】
このように従来技術では、劣化があまり進行していないバッテリーセルについては再利用し、著しく劣化が進行したバッテリーセルはリサイクルすることが可能となり、資源の有効活用を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-149679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし従来技術では、充電可能な容量が20~60%(劣化度40~80%)程度のものについては、再利用においても劣化が進行するため充電可能な容量を維持することが困難であり、再利用の用途が限定されるという問題があった。また、再利用されたバッテリーセルの劣化がさらに進行していくと、最終的には劣化度が90%以上になり再利用用途にも使用不可能となるため、安定した電力供給が困難であるという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、様々な劣化度の使用済みバッテリーセルを用いても、安定した電力を継続的に利用可能なバッテリー劣化度判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のバッテリー劣化度判定システムは、使用済みバッテリーから分解された個別のバッテリー要素の劣化を判定するバッテリー劣化度判定システムであって、前記バッテリー要素の第1識別情報と、前記使用済バッテリーの第2識別情報および使用履歴情報とを関連付けて記録する管理サーバと、前記バッテリー要素の充電時または放電時の第1電気特性を測定し、前記第1電気特性の測定結果および前記使用履歴情報に基づいて第1劣化度を判定し、前記第1劣化度を含む診断情報を前記第1識別情報と関連付けて前記管理サーバに記録する劣化判断部と、を備え、前記劣化判断部は、所定期間経過後に前記バッテリー要素の充電時または放電時の第2電気特性を測定し、前記使用履歴情報を更新し、前記第2電気特性の測定結果および前記使用履歴情報に基づいて第2劣化度を判定し、前記診断情報に前記第2劣化度を追加して更新し、前記第2劣化度に基づいて前記バッテリー要素の交換を通知することを特徴とする。
【0012】
このような本発明のバッテリー劣化度判定システムでは、バッテリー要素の電気特性と使用履歴情報に基づいて劣化度を判定することで、電気特性の測定時点におけるバッテリー要素の状態だけではなく、当該バッテリー要素が製造されてからの使用履歴も考慮して正確な劣化度の判定を行うことができる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記劣化判断部は、複数の前記バッテリー要素に関する前記使用履歴情報と前記診断情報の関係を機械学習によって分析し、前記分析の結果に基づいて、前記第1劣化度および前記第2劣化度の判定方法を更新する。
【0014】
また本発明の一態様では、前記使用済みバッテリー要素は、前記使用済みバッテリーは、移動体の電源に用いられたものであり、前記使用履歴情報には、前記移動体の運転履歴が含まれている。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、様々な劣化度の使用済みバッテリーセルを用いても、安定した電力を継続的に利用可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る電源装置100の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る電源装置100を構成するための二次電池の回収モデルを示す模式図である。
図3】バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセルについて説明する模式図である。
図4】電源装置100におけるバッテリーユニット10a~10eの管理手順を示すフローチャートである。
図5】電源装置100を用いた電力供給システムの一例を示す模式図である。
図6】第2実施形態に係るバッテリー再利用工程を示す模式図である。
図7】第2実施形態に係るバッテリー劣化度判定システムの工程例を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係るバッテリー劣化度判定システムで用いられる管理サーバ110の構成例を示すブロック図である。
図9】従来から提案されている二次電池の回収モデルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る電源装置100の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、電源装置100は、複数のバッテリーユニット10a~10eと、収容部20と、制御部30と、接続選択部40と、劣化測定部50と、ユニット交換通知部60と、充電部70と、放電部80を備えている。また、充電部70にはソーラーパネル90が接続され、放電部80には負荷91が接続されている。
【0018】
バッテリーユニット10a~10eは、複数のバッテリーセルを電気的に接続した二次電池である。公知の二次電池と同様に、バッテリーユニット10a~10eは充電および放電に用いる端子や、充電および放電を制御するBMS(Battery Management System)等を備えている。後述するように各バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセルは、移動体等で使用された二次電池に含まれていたバッテリーセルを再利用したものである。また、バッテリーユニット10a~10eは、収容部20に着脱自在に収容される形状を有しており、収容部20が備えるロック機構によって着脱が規制される構造も備えている。
【0019】
収容部20は、複数のバッテリーユニット10a~10eを着脱自在に収容して保持するとともに、ロック機構を作動させることでバッテリーユニット10a~10eの着脱を規制する部分である。収容部20の形状や具体的なロック機構の構造は限定されず、公知のバッテリー着脱機構を用いることができる。また収容部20は、バッテリーユニット10a~10eと制御部30を電気的に接続する端子や配線を備えている。図1では、収容部20に5つのバッテリーユニット10a~10eを収容した例を示しているが、収容するバッテリーユニットの個数は限定されない。
【0020】
制御部30は、接続選択部40、劣化測定部50およびユニット交換通知部60の動作を制御する部分である。制御部30は図示しないメモリと外部記憶装置、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えており、所定のプログラムに従って情報処理を行って、各部を制御する。
【0021】
接続選択部40は、充電部70または放電部80に接続されるバッテリーユニット10a~10eを選択する部分であり、機械的または電子的に各部の間での接続と切断を切り替える。一例としては、接続選択部40がバッテリーユニット10aと充電部70を接続し、バッテリーユニット10eと放電部80を接続した場合には、ソーラーパネル90から電力が供給されてバッテリーユニット10aが充電され、バッテリーユニット10eから負荷に電力が供給される。接続選択部40の具体的な構成は限定されないが、放電部80に接続されるバッテリーユニット10a~10eを切り替える際に、電力の供給が停止する瞬断を抑制できる回路構成を用いることが好ましい。
【0022】
劣化測定部50は、制御部30に接続されたバッテリーユニット10a~10eに関する情報を取得し、バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセルについて劣化度を測定する部分である。ここで劣化度とは、全てのバッテリーセルが新品の状態における充電可能な容量を新品容量とし、再組み立てしたバッテリーユニット10a~10eでの充電可能な容量を劣化容量としたときに、劣化容量と新品容量の比率で表される。
【0023】
また充電可能な容量とは、バッテリーの満充電と完全放電を設定した際に、満充電から完全放電までに取り出し可能な電力量を示す。換言すると、各バッテリーユニット10a~10eにおいて、BMSが過充電保護機能を働かせて充電を止める状況を満充電(100%)とし、BMSが過放電保護機能を働かせて放電を止める状況を全放電(0%)としたときに、全放電(0%)から満充電(100%)まで充電するために要する電力量が、バッテリーユニット10a~10eの充電可能な容量である。
【0024】
劣化測定部50は、バッテリーユニット10a~10eの充電時または放電時の電気特性を測定し、測定した電気特性に基づいて劣化度を算出する。具体的な劣化度の算出方法は限定されず、測定する電気特性としては満充電電圧、全放電電圧、開路電圧、閉路電圧、充電特性、放電特性、内部抵抗、温度特性、負荷特性、サイクル使用履歴情報またはインピーダンス等を用いることができる。
【0025】
ユニット交換通知部60は、劣化測定部50の測定結果に基づいてユニット交換信号を送出する部分である。ここでユニット交換信号とは、電源装置100の外部に対して交換対象となるバッテリーユニット10a~10eを通知するための信号であり、公知の通信手段を用いて伝達対象に伝達される信号である。ユニット交換通知部60の具体的構成は限定されず、電気配線とランプを用いた警告ランプや、無線通信手段を用いた情報通信による電子的情報の通信等を用いることができる。
【0026】
充電部70は、電源装置100に接続された電力源から電力を受け取る部分であり、接続端子と電子回路を含んで構成されている。充電部70には、バッテリーユニット10a~10eを充電するための電流値と電圧値に変換するための変換回路を含んでいるとしてもよい。また、充電部70にはバッテリーユニット10a~10eの充電を制御するための制御回路を含んでいるとしてもよい。特に、電力源としてソーラーパネル90を用いる場合には、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御や、最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御を行う回路を含むことが好ましい。
【0027】
放電部80は、電源装置100に接続された負荷91に対して電力を供給する部分であり、接続端子と電子回路を含んで構成されている。放電部80には、バッテリーユニット10a~10eから供給された電力の電流値や電圧値を変換するための変換回路を含んでいるとしてもよい。また、負荷91に対して交流を出力する場合にはDC/ACインバータ回路を含むことが好ましい。
【0028】
ソーラーパネル90は、充電部70に接続されて電源装置100に対して電力を供給する電力源であり、太陽光を受光して光エネルギーを電気エネルギーに変換する。したがって、ソーラーパネル90は本発明における光発電部に相当している。ここでは電力源としてソーラーパネル90を用いた例を示しているが、充電部70を介して電源装置100に電力を供給できれば構成は限定されず、例えば商用電源やその他の発電装置を用いるとしてもよい。
【0029】
負荷91は、放電部80に接続されて電源装置100から電力が供給される装置である。負荷91の具体例は限定されず、例えば街灯等の照明装置、画像表示装置、無線通信基地局、ポンプやモーター等の動力源等を用いることができる。ここでは放電部80には負荷91を接続する例を示したが、電力網に放電部80を接続して、電力会社への電力売却を行うとしてもよい。
【0030】
図2は、本実施形態に係る電源装置100を構成するための二次電池の回収モデルを示す模式図である。本実施形態では図2に示したように、回収した二次電池に含まれるバッテリーセルについて電気特性を測定することで劣化度を算出し、充電可能な容量が20~80%(劣化度20~80%)のバッテリーセルを再利用(リユース)して、バッテリーユニット10a~10eを再組み立てする。ここで二次電池の回収時における劣化度の算出方法は限定されないが、劣化測定部50で実施される劣化度の算出と同等の結果を導くものが好ましく、劣化測定部50と同じ電気特性の測定と劣化度の算出を行うことが好ましい。従来と同様に、充電可能な容量が100%のバッテリーセルは新車に使用し、充電可能な容量が90%(劣化度10%)のバッテリーセルは中古車向けや中古の二次電池として販売する。また、充電可能な容量が10%(劣化度90%)程度のバッテリーセルは分解して原料をリサイクルする処理に回される。
【0031】
図3は、バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセルについて説明する模式図である。図3に示したように、各バッテリーユニット10a~10eには、それぞれ複数のバッテリーセル11a~11d、12a~12d、13a~13d、14a~14d、15a~15dが含まれており、各バッテリーセル11~15は直列又は並列接続されている。各バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の個数は同じであり、バッテリーユニット10a~10e内でのバッテリーセルの接続関係も同じとされている。
【0032】
また、異なる劣化度のバッテリーセル11~15を直列又は並列接続した場合には、バッテリーユニット10a~10eの特性が最も劣化したバッテリーセル11~15の電気的特性に影響を受け、各バッテリーセル11~15の劣化度に応じた充電可能な容量を活用できなくなる。そこで本実施形態では、各バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の劣化度は異なっているが、一つのバッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の劣化度のランク(劣化ランク)は同じとする。ここで劣化ランクとは、劣化度に応じてランク分けされた分類を意味しており、例えば百分率の一桁を四捨五入したランク分けが挙げられる。
【0033】
図3に示した例では、バッテリーユニット10aに含まれるバッテリーセル11a~11dは充電可能な容量が60%(劣化度40%ランク)であり、バッテリーユニット10bに含まれるバッテリーセル12a~12dは充電可能な容量が80%(劣化度20%ランク)であり、バッテリーユニット10cに含まれるバッテリーセル13a~13dは充電可能な容量が20%(劣化度80%ランク)であり、バッテリーユニット10dに含まれるバッテリーセル14a~14dは充電可能な容量が50%(劣化度50%ランク)であり、バッテリーユニット10eに含まれるバッテリーセル15a~15dは充電可能な容量が40%(劣化度60%ランク)である。
【0034】
このようにバッテリーセル11~15を劣化ランクに応じて分類し、同じ劣化ランクのバッテリーセル11~15のみでバッテリーユニット10a~10eを再組立てすることで、各バッテリーユニット10a~10eでは、各々の電気特性に応じた充電可能な容量を有効に活用することができる。図3に示した例では、バッテリーユニット10aに含まれる4つのバッテリーセル11a~11dは劣化度60%のランクであるため、バッテリーユニット10a全体の充電可能な容量は、それぞれのバッテリーセル11a~11dにおける充電可能な容量の4倍程度となる。他のバッテリーユニット10b~10eも同様である。
【0035】
したがって、各バッテリーセル11a~11dの劣化度からバッテリーユニット10a~10eの充電可能な容量を求めることができ、さらに収容部20に収容されているバッテリーユニット10a~10eについて、充電可能な電気量の総和を充電総量として算出することができる。図3に示した例では、一つの新品のバッテリーセルでの充電可能な電気量(容量)が1kWhである場合には、バッテリーユニット10aの充電可能な電気量は1×0.6×4=2.4kWhとなる。同様に計算するとバッテリーユニット10b~10eの充電可能な電気量は、それぞれ3.2kWh、0.8kWh、2kWh、1.6kWhとなり、電源装置100全体では10kWhを充電可能となる。
【0036】
上述したように、電源装置100の充電可能な容量(充電総量)は、収容部20に収容されたバッテリーユニット10a~10eにおける充電可能な容量の総和である。よって様々な充電可能な容量のバッテリーユニット10a~10eを適切に組み合わせることで、電源装置100の充電総量を決めることができる。これにより、劣化が進行した劣化ランクのバッテリーセルを用いたバッテリーユニットであっても、劣化度の低い劣化ランクのバッテリーセルを用いたバッテリーユニットと組み合わせて用いることで、所望の充電総量の電源装置100を得ることができる。
【0037】
図4は、電源装置100におけるバッテリーユニット10a~10eの管理手順を示すフローチャートである。電源装置100の駆動がスタートすると、制御部30は記憶装置からプログラムをメモリに読み込み、以下の手順をステップS1から実行する。ここではプログラムを電源装置100に備えられた記憶装置から読み込むとしたが、ネットワークを介してプログラムをダウンロードするとしてもよい。
【0038】
ステップS1は、充電対象または放電対象となるバッテリーユニット10a~10eを選択する接続対象選択工程である。制御部30は、収容部20に収容されたバッテリーユニット10a~10eについてBMSから情報を取得し、定められた充放電の優先順位に応じて充電する対象と放電する対象を選択する。また接続選択部40は、バッテリーユニット10a~10eのうち選択された対象と充電部70または放電部80の間を電気的に接続し、バッテリーユニット10a~10eのうち選択されていないものは電気的な接続を切断する。充放電対象の選択と接続/切断を実施した後にステップS2に移行する。
【0039】
ステップS2は、バッテリーユニット10a~10eのうち充電対象に充電部70から充電動作を行い、放電対象から放電部80を介して放電を行う充放電工程である。充電部70と放電部80による具体的な充放電動作は限定されず、従来公知の回路構成と制御方法を用いることができる。充電部70と放電部80による充放電動作を継続しながらステップS3に移行する。
【0040】
ステップS3は、各バッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の劣化度を算出する劣化度算出工程である。電源装置100では、ステップS2の充放電工程で充電動作または放電動作が行われることで、バッテリーセル11~15の劣化がさらに進行する。劣化度算出工程では、充電対象または放電対象に選択されたバッテリーユニット10a~10eの充電動作または放電動作中に、劣化測定部50が電気的特性を測定し、測定した電気特性に基づいて劣化度を算出する。劣化測定部50が劣化度の算出をしたのちにステップS4に移行する。
【0041】
ステップS4は、劣化度算出工程で算出されたバッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の劣化度に基づいて、充放電の除外対象となるバッテリーユニット10a~10eを判定するユニット劣化判定工程である。制御部30は、劣化測定部50が算出したバッテリーセル11~15の劣化度から求められる充電可能な電気量(充電容量)を予め定められた判定基準と比較して、バッテリーユニット10a~10eが除外対象に該当するかを判定する。除外対象に該当するバッテリーユニット10a~10eが存在する場合にはステップS5に移行し、存在しない場合にはステップS6に移行する。図4に示した例では、判定基準として予め充電容量の閾値(第1閾値)を定めておき、何れかのバッテリーセル11~15の充電容量が第1閾値以下であるかを基準としている。一例としては、第1閾値を新品時の充電容量における10%(劣化度90%以上)とする。
【0042】
ステップS5は、ユニット劣化判定工程で除外対象に該当すると判定されたバッテリーユニット10a~10eを充電動作と放電動作の対象から除外する除外対象決定工程である。制御部30は、ユニット劣化判定工程で除外対象とされたバッテリーユニット10a~10eについて、除外対象であること記憶装置に記録し、以後の接続対象選択工程において充電動作と放電動作の選択対象から除外する。制御部30が除外対象を記録した後にステップS7に移行する。
【0043】
ステップS6は、電源装置100全体での充電可能な電気量(充電総量)が維持されているかを判定する充電総量判定工程である。制御部30は、劣化度算出工程で算出されたバッテリーユニット10a~10eに含まれるバッテリーセル11~15の劣化度に基づいて、収容部20に収容されたバッテリーユニット10a~10eの充電総量を算出し、予め定められた閾値(第2閾値)を下回った場合にはステップS7に移行し、それ以外の場合にはステップS1に移行する。
【0044】
ステップS7は、バッテリーユニット10a~10eの交換を促す交換通知工程である。ユニット交換通知部60は、電源装置100の外部に対して、ユニット劣化判定工程で除外対象に選定されたバッテリーユニット10a~10eの存在、または充電総量が第2閾値を下回ったことをユニット交換信号として送出する。同時に、バッテリーユニット10a~10eのうち除外対象とされたものや、最も劣化度が高く充電容量が低いものについて交換対象であることを通知する。また、交換対象とされたバッテリーユニット10a~10eについては充放電工程での充放電対象から除外するとともに、収用部20でのロック機構を解除してバッテリーユニット10a~10eを取り外し可能にする。
【0045】
ユニット交換信号を受け取った回収業者は、再組立てしたバッテリーユニット10を新たに用意し、交換対象とされたバッテリーユニット10a~10eを収容部20から取り出し、新たに用意したバッテリーユニット10と交換する。ユニット交換通知部60がユニット交換信号を送出した後にステップS8に移行する。
【0046】
ステップS8は、充放電動作を継続するかを判断する継続判断工程である。制御部30は、充電部70に接続された電力源から供給される電力や、負荷91の接続状況等に基づいて充放電動作を継続するか判断し、継続する場合にはステップS1に移行し、継続しない場合には制御動作を終了する。
【0047】
図5は、電源装置100を用いた電力供給システムの一例を示す模式図である。電源装置100には充電部70に電力源であるソーラーパネル90が接続され、放電部80に負荷91として照明装置が接続されている。また、電源装置100はネットワークを介して管理サーバ110と情報通信可能に接続されている。図5に示したような電力供給システムでは、商用電源を確保することが困難な遠隔地において、ソーラーパネル90での発電により電源装置100を充電し、電源装置100に充電された電力により負荷91を駆動することができる。
【0048】
管理サーバ110は、二次電池を回収してバッテリーユニット10を再組立てする回収業者が運用する情報処理装置であり、ネットワークを介してユニット交換通知部60が送出するユニット交換信号を受信する。ユニット交換信号を受信した回収業者は、交換対象とされたバッテリーユニット10a~10eを取り外して持ち帰り、分解して原料をリサイクルする処理に回す。また、新たに用意したバッテリーユニット10を収容部20に収容して以後の充放電工程において充放電動作の対象とする。新たにバッテリーユニット10は、交換対象として取り外されたバッテリーユニット10a~10eよりも充電容量が大きいため、電源装置100の充電総量を維持することができる。また、交換対象とされたバッテリーユニット10a~10eは充放電動作の対象から除外されているため、新たなバッテリーユニット10との交換作業時においても、充電動作および放電動作を継続することができる。
【0049】
上述したように本実施形態では、バッテリーユニット10a~10eの一部を新たに用意したバッテリーユニット10と交換するため、電源装置100全体での充電総量を維持して、安定した電力を継続的に利用可能である。また、バッテリーユニット10に様々な劣化度の使用済みバッテリーセル11~15を用い、複数のバッテリーユニット10a~10eでの総充電量を確保しているため、劣化度が進んだ充電容量の少ないバッテリーセル11~15を有効に活用することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6図8を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。本実施形態では、バッテリーセルの劣化度を正確に判定するために、バッテリーセルの使用履歴情報を参照する点が第1実施形態と異なっている。
【0051】
図6は、本実施形態に係るバッテリー再利用工程を示す模式図である。図6に示したように、本実施形態ではバッテリー使用機器200から使用済バッテリー210を取り出し、使用済バッテリー210内に含まれていた複数のバッテリー要素220を個別に分解する。分解された個別のバッテリー要素220は、充電動作または放電動作をさせながら電気特性を測定して劣化度を算出し、算出された劣化度に応じて複数のランクにグレーディングし、例えばAランク~Cランク等に分類する。グレーディングされた複数のバッテリー要素220は、収容部20に収容されて新たなバッテリーとして組み立てられ、電源装置100に用いられる。このとき第1実施形態と同様に、同じランクのバッテリー要素220を直列又は並列接続してバッテリーユニット10a~10eを構成するとしてもよい。
【0052】
バッテリー使用機器200は、二次電池(バッテリー)に貯蔵された電力で駆動する装置であり、例えば電気自動車やハイブリットカー等が挙げられる。バッテリー使用機器200では、使用しているバッテリーの使用環境や使用状況を履歴情報として記録している。履歴情報として記録される情報としては、例えば充電回数、放電回数、使用環境温度、使用時間、SOH(State of Health)などが挙げられる。特に、電気自動車等の移動体においては、走行距離や走行履歴、加速回数、走行速度、ブレーキ回数等の運転履歴を履歴情報に含めることが好ましい。
【0053】
使用済バッテリー210は、個体毎に識別番号が付与されており、バッテリー使用機器200での履歴情報と識別番号が関連付けされて、バッテリー使用機器200の記憶装置に記録されている。使用済バッテリー210には複数のバッテリー要素220が含まれて電気的に接続されており、複数のバッテリー要素220を一括して一つの電池としてBMS(Battery Management System)で充放電の制御を行っている。
【0054】
バッテリー要素220は、バッテリーユニットまたはバッテリーセルとして使用済バッテリー210に複数含まれている要素である。バッテリー要素220には個別のBMSは備わっていないため、新たにBMSを追加して電気特性の測定や充放電の管理を行うことが好ましい。また、各バッテリー要素220には、新たに固体を識別するための識別情報が付与され、各バッテリー要素220の識別情報には分解前の使用済バッテリー210に付与されていた識別番号が関連付けて記録されている。
【0055】
図7は、本実施形態に係るバッテリー劣化度判定システムの工程例を示すフローチャートである。図8は、本実施形態に係るバッテリー劣化度判定システムで用いられる管理サーバ110の構成例を示すブロック図である。管理サーバ110は、図8では図示を省略しているが、情報を記録する記録部と、外部との情報通信を行う情報通信部を備えて、予め記録されたプログラムによって情報処理部が情報処理動作を行う。また、管理サーバ110の動作プログラムは記録部に予め記録せず外部からダウンロードするとしてもよい。また、本実施形態の管理サーバ110は、第1実施形態の図5に示したように、ネットワークを介して電源装置100と情報通信可能に接続されている。
【0056】
図8に示すように、管理サーバ110には識別情報111と、履歴情報112と、診断情報113が記録部に記録され、バッテリー要素220の劣化を判断する劣化判断部114を備えている。劣化判断部114は、管理サーバ110の情報処理手段によってプログラムが実行されることで実現されるとしてもよく、ネットワークを介して管理サーバ110と情報通信可能に接続された外部の機器により実現されるとしてもよい。また、管理サーバ110の内部または外部には、バッテリー要素220の電気特性を測定する測定装置が設けられており、当該測定装置で測定された結果が測定情報として管理サーバ110に送信されることで、劣化判断部114の測定機能を構成している。
【0057】
図7に示すように、本実施形態に係るバッテリー劣化度判定システムでは、ステップS11の取り出し工程で、バッテリー使用機器200から使用済バッテリー210を取り出す。次にステップS12の使用履歴情報取得工程では、バッテリー使用機器200に記録されている使用済バッテリー210の履歴情報を取得する。使用履歴情報取得工程で取得された履歴情報112は、使用済バッテリー210の識別番号と関連付けて管理サーバ110に記録される。
【0058】
次にステップS13の分解工程で、使用済バッテリー210を分解して含まれているバッテリー要素220を個別に分離する。このとき、分離された各バッテリー要素220には、識別情報111が付与される。各バッテリー要素220の識別情報111は、分解前の使用済バッテリー210の識別番号および履歴情報112と関連付けて管理サーバ110に記録される。したがって、各バッテリー要素220について識別情報111と、使用済バッテリー210の識別番号および履歴情報112が関連付けて管理サーバ110に記録される。これにより、各バッテリー要素220について、分解前の使用済バッテリー210とバッテリー使用機器200での履歴情報112まで遡って追跡することができる。
【0059】
次に、ステップS14のモジュール診断工程では、劣化判断部114は、各バッテリー要素220に充電動作または放電動作を実行して電気特性を測定し劣化判断部114が初期劣化度を判定する。ここで、モジュール診断工程で測定された電気特性は、本願発明における第1電気特性に相当している。また、初期劣化度は、バッテリー使用機器200から取り外された最初の段階での使用済バッテリー210の劣化度であり、本願発明の第1劣化度に相当している。また、電気特性の測定に際しては、各バッテリー要素220にBMSが備えられていない場合には、新たに各バッテリー要素220にBMSを付加することが好ましい。
【0060】
次に、ステップS15の個別情報記録工程では、劣化判断部114が判定した初期劣化度を診断情報113に含めて管理サーバ110に記録する。また、各バッテリー要素220に関連付けられた使用済バッテリー210の履歴情報112を複製して、各バッテリー要素220の識別情報111と関連付けた個別の履歴情報112を管理サーバ110に記録する。このとき、診断情報113には判定した初期劣化度に加えて、電気特性の測定日時、測定条件、測定結果等の付加的な情報を含めるとしてもよい。また、劣化判断部114は、バッテリー要素220の識別情報111および履歴情報112と関連付けて診断情報113を記録する。
【0061】
ステップS14のモジュール診断工程では、測定した電気特性に加えて、管理サーバ110に記録されている識別情報111および履歴情報112を参照して、初期劣化度を判定するとしてもよい。一例としては、バッテリー使用機器200での使用済バッテリー210の履歴情報から充電回数や放電回数、走行距離等を取得し、これらの情報と劣化度の関係を予めテーブル情報として作成しておき、テーブル情報を参照して劣化度を判定することが挙げられる。また、管理サーバ110には多数のバッテリー要素220に関して履歴情報112と診断情報113が記録されているので、これら多数のデータを基に履歴情報112と診断情報113の関係を機械学習によって分析して劣化度を判定するとしてもよい。
【0062】
次に、ステップS16のグレーディング工程では、管理サーバ110に記録された各バッテリー要素220の診断情報113から劣化度に応じて分類(クラス分け)する。次に、ステップS17の再構成工程では、クラス分けされた複数のバッテリー要素220を組み合わせて収容部20に収容して再生バッテリーを構成する。このとき、同クラスに分類されたバッテリー要素220は直列又は並列接続し、異なるクラスに分類されたバッテリー要素220は、求められる電圧によっては直列又は並列接続してもよい。また、再構成された再生バッテリーの合計の充電可能容量は、含まれるバッテリー要素220の総和として算出することができる。ここで、再生バッテリーとしては、第1実施形態で示した電源装置100の構成を採用することができる。
【0063】
次に、ステップS18の再使用工程では、再構成された再生バッテリーを用いて各種負荷91に電流を供給して放電動作と、外部電源またはソーラーパネル90からの充電動作を行う。再使用工程を所定期間継続した後に、ステップS19に移行する。
【0064】
次に、ステップS19の劣化情報取得工程において、電源装置100の劣化測定部50または管理サーバ110の劣化判断部114を用いて、充電動作時または放電動作時の再生バッテリーの電気特性を測定する。ここで、再生バッテリーの電気特性は、本願発明における第2電気特性に相当している。また、劣化測定部50または劣化判断部114は、測定された電気特性と測定時点までの再生バッテリーの使用履歴を履歴情報112に追加して更新する。また、劣化測定部50または劣化判断部114は、測定された電気特性と、更新された履歴情報112に基づいて再度バッテリー要素220の劣化度を判定し、判定された劣化度を管理サーバ110の診断情報113に追加して更新する。ここで、劣化情報取得工程で再判定された劣化度は、本願発明における第2劣化度に相当している。
【0065】
上述したように本実施形態では、劣化情報取得工程において更新された履歴情報112および診断情報113は、再生バッテリーが使用されることで管理サーバ110に随時蓄積されていき、他のバッテリー要素220の劣化度を判定する際に用いられる。したがってモジュール診断工程および劣化情報取得工程では、バッテリー使用機器200での使用履歴と、バッテリー要素220の分解時の電気特性と、他の再生バッテリーでの使用履歴を参照して初期劣化度を判定することになる。これにより、分解時点のバッテリー要素220の電気特性だけではなく、分解前から再使用後の使用履歴と劣化度を時系列で把握したビッグデータを用い、バッテリー要素220で再構成された再生バッテリーがどの程度継続して充放電できるかの予測精度を高めた劣化度の判定を行うことが可能である。
【0066】
次に、ステップS20の交換対象判定工程では、第1実施形態の図4で示した手法を用いて、バッテリー要素220を交換するか否かを判断する。交換対象となるバッテリー要素220が存在しない場合にはステップS18に移行して再使用工程が継続され、存在する場合にはステップS21に移行する。ステップS21の交換通知工程では、ネットワークを介して管理サーバ110の外部に交換対象であるバッテリー要素220を通知する。
【0067】
上述したように、本実施形態のバッテリー劣化度判定システムは、バッテリー要素220の識別情報111と使用した履歴情報112を関連付けて管理サーバ110に記録し、バッテリー要素220の充電時または放電時の第1電気特性を測定し、測定結果および履歴情報112に基づいて初期劣化度を判定し、劣化判断部114は初期劣化度を含む診断情報113を識別情報111と関連付けて管理サーバ110に記録する。バッテリー要素220の電気特性と履歴情報に基づいて劣化度を判定することで、電気特性の測定時点におけるバッテリー要素220の状態だけではなく、当該バッテリー要素220が製造されてからの使用履歴も考慮して正確な劣化度の判定を行うことができる。
【0068】
また、劣化判断部114は、所定期間経過後にバッテリー要素220の充電時または放電時の第2電気特性を測定して履歴情報112を更新し、第2電気特性の測定結果および履歴情報112に基づいて第2劣化度を判定し、第2劣化度を含めて診断情報113を更新する。これにより、再構成された再生バッテリーの使用履歴も考慮した劣化度の判定を行うことができ、さらに正確に劣化度を判定することができる。
【0069】
また、劣化判断部114が、複数のバッテリー要素220に関する履歴情報112と診断情報113の関係を機械学習によって分析し、分析の結果に基づいて初期劣化度および第2劣化度の判定方法を更新する。これにより、バッテリー使用機器200からバッテリー要素220を取り出して測定し、再生バッテリーを再構成して使用し、再生バッテリーの使用履歴と電気特性を収集してバッテリー要素220の劣化度をより高精度に判定することが可能となる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100…電源装置
10,10a~10e…バッテリーユニット
20…収容部
30…制御部
40…接続選択部
50…劣化測定部
60…ユニット交換通知部
70…充電部
80…放電部
90…ソーラーパネル
91…負荷
110…管理サーバ
11~15…バッテリーセル
111…識別情報
112…履歴情報
113…診断情報
114…劣化判断部
200…バッテリー使用機器
210…使用済バッテリー
220…バッテリー要素

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9