IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-検出装置 図1
  • 特開-検出装置 図2
  • 特開-検出装置 図3
  • 特開-検出装置 図4
  • 特開-検出装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030521
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240229BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F3/041 570
G06F3/044
G06F3/041 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133465
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(57)【要約】
【課題】電力消費の抑制が図られる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、押圧力に応じた起電力を発生する圧電素子3と、静電容量を検出する静電容量センサ6と、静電容量センサ6に駆動信号を出力する制御部5と、を備え、制御部5は、駆動信号を出力する駆動モード及び駆動信号を出力しないスリープモードを含む動作モードを有し、スリープモードにおいて圧電素子3からの起電力が入力されたときに、動作モードを駆動モードに切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧力に応じた起電力を発生する圧電素子と、
静電容量を検出する静電容量センサと、
前記静電容量センサに駆動信号を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記駆動信号を出力する駆動モード及び前記駆動信号を出力しないスリープモードを含む動作モードを有し、
前記スリープモードにおいて前記圧電素子からの前記起電力が入力されたときに、前記動作モードを前記駆動モードに切り替える検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記起電力に対する閾値を有し、前記スリープモードにおいて前記圧電素子から入力された前記起電力が前記閾値を超えた場合に、前記動作モードを前記駆動モードに切り替える請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記静電容量センサは、タッチパネルによって構成されている請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記圧電素子が配置される第1面と、前記第1面の反対側に位置し、前記タッチパネルへの取付面となる第2面とを有するベース板を更に備える請求項3記載の検出装置。
【請求項5】
前記静電容量センサは、タップに対応するON判定及びリリースに対応するOFF判定を行い、
前記制御部は、前記静電容量センサのON判定に基づいてタップ判定を行い、前記静電容量センサのOFF判定に基づいてリリース判定を行う判定部を有する請求項1~4のいずれか一項記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検出装置として、例えば特許文献1に記載の静電容量式タッチパネルがある。この従来の検出装置では、物体が近接していることを検出する近接センサが静電容量センサであるタッチパネルの表面側に設けられている。この検出装置では、タッチパネルで静電容量変化を検出し、且つ近接センサで物体の近接を検出しないときには、タッチパネルに付着した異物による静電容量変化であると判別し、タッチパネルで静電容量変化を検出し、且つ近接センサで物体の近接を検出したときには、利用者の指示による静電容量変化であると判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-138026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような静電容量式タッチセンサを備えた検出装置では、待機中もタッチパネルへのタップを検出するために、静電容量センサが定期的に動作している。静電容量センサの定期的な動作は、マイクロコントローラ等の制御部がスリープ状態であるときも継続するため、無駄な電力消費が生じてしまうことが技術的課題となっている。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、電力消費の抑制が図られる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る検出装置は、押圧力に応じた起電力を発生する圧電素子と、静電容量を検出する静電容量センサと、静電容量センサに駆動信号を出力する制御部と、を備え、制御部は、駆動信号を出力する駆動モード及び駆動信号を出力しないスリープモードを含む動作モードを有し、スリープモードにおいて圧電素子からの起電力が入力されたときに、動作モードを駆動モードに切り替える。
【0007】
この検出装置では、押圧力によって圧電素子が起電力を発生させることを利用し、圧電素子で発生した起電力をトリガーとして制御部をスリープモードから駆動モードに切り替える。したがって、この検出装置では、制御部がスリープモードとなっている間に静電容量センサを定期的に動作させる必要がなくなるため、電力消費の抑制が図られる。
【0008】
制御部は、起電力に対する閾値を有し、スリープモードにおいて圧電素子から入力された起電力が閾値を超えた場合に、動作モードを駆動モードに切り替えてもよい。これにより、ノイズなどによって制御部のスリープモードが解除されてしまうことを防止できる。したがって、電力消費の一層の抑制が図られる。
【0009】
静電容量センサは、タッチパネルによって構成されていてもよい。この場合、タッチパネルを備えた電子機器に適用される検出装置において、電力消費を好適に抑制できる。
【0010】
検出装置は、圧電素子が配置される第1面と、第1面の反対側に位置し、タッチパネルへの取付面となる第2面とを有するベース板を更に備えていてもよい。この場合、指などによるタッチパネルへのタップの押圧力がベース板を介して圧電素子に効率良く伝達される。したがって、スリープモードにおいてタッチパネルへの指などのタップがなされたときに、制御部の動作モードをより確実に駆動モードに切り替えることができる。
【0011】
静電容量センサは、タップに対応するON判定及びリリースに対応するOFF判定を行い、制御部は、静電容量センサのON判定に基づいてタップ判定を行い、静電容量センサのOFF判定に基づいてリリース判定を行う判定部を有していてもよい。これにより、押圧力の加わり方に依らずにタップ判定及びリリース判定を精度良く実施できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電力消費の抑制が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る検出装置を示す概略図である。
図2図1に示した検出装置の構成を示す斜視図である。
図3】タップ判定及びリリース判定の様子を示すチャート図である。
図4】比較例に係る制御部の駆動モード及びスリープモードを示すチャート図である。
図5】本実施形態に係る制御部の駆動モード及びスリープモードを示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る検出装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態に係る検出装置を示す概略図である。図2は、図1に示した検出装置の構成を示す斜視図である。図2では、検出装置1のうち、後述のタッチパネルKを除いた構成要素を示している。図1及び図2に示すように、検出装置1は、ベース板2と、ベース板2の一面側に配置された圧電素子3と、圧電素子3に電気的に接続された配線部材(第1の配線部材)4と、検出装置1の動作を制御する制御部5とを備えて構成されている。検出装置1では、例えば指などの接触等によってベース板2に付加される応力(ベース板2の歪み)に基づき、圧電素子3からの起電力が得られるようになっている。圧電素子3からの起電力は、配線部材4を介して制御部5に出力される。
【0016】
また、検出装置1は、図1に示すように、ベース板2の一面側に配置された静電容量センサ6を備えている。静電容量センサ6は、ベース板2の静電容量を検出するセンサである。静電容量センサ6は、自己容量方式のセンサであってもよく、相互容量方式のセンサであってもよい。静電容量センサ6は、制御部5から出力される駆動信号に基づいて動作し、検出結果を示す信号を制御部5に出力する。
【0017】
本実施形態では、図1に示すように、静電容量センサ6は、タッチパネルKによって構成されている。タッチパネルKは、例えばスマートフォン、タブレット、ナビゲーション装置などの電子機器に搭載され得る。タッチパネルKは、例えばガラス等のカバー層、タッチセンサ層、液晶パネル層などを備えている。タッチパネルKは、不図示の配線部材によって制御部5に電気的に接続されている。当該配線部材は、制御部5からの駆動信号及びタッチパネルKからの検出結果を示す信号がやり取りされる信号線である。検出装置1では、タッチパネルKへの指等のタップによる静電容量の変化を検出し、タッチパネルKに対するタップ判定及びリリース判定を実施する。
【0018】
図1の例では、ベース板2及び圧電素子3は、タッチパネルKの裏面に取り付けられている。タッチパネルKとベース板2との接合には、例えば両面テープ、接着剤などの接合部材を用いることができる。本実施形態では、静電容量センサ6であるタッチパネルKの静電容量の検出に鑑み、当該接合部材には、電気絶縁性を有する部材が用いられている。ベース板2とタッチパネルKとの接合にあたっては、ベース板2の全面をタッチパネルKの裏面に接合してもよい。
【0019】
ベース板2は、図2に示すように、例えば導電性を有する金属材料によって矩形状に形成されている。ベース板2の平面形状は、例えば正方形状となっている。ベース板2は、振動板として構成されていてもよい。ベース板2の構成材料としては、例えばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼などが挙げられる。ベース板2は、互いに対向する一対の主面(第1面)2a及び主面2b(第2面)を有している。主面2aは、圧電素子3が配置される面である。主面2bは、取付対象物への取付面となる面である。すなわち、主面2bは、タッチパネルKの裏面に接合される面である。
【0020】
圧電素子3は、圧電素体と、一対の外部電極とを備えている。圧電素体は、厚さ方向に扁平な直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、角部及び稜線部が丸められている形状も含まれる。圧電素子3は、例えば圧電素体の中心とベース板2の中心とを一致させた状態で、ベース板2の主面2aに接合されている。圧電素子3とベース板2との接合には、例えば両面テープ、接着剤などを用いることができる。
【0021】
圧電素体は、一対の主面を有している。主面の一方は、ベース板2側を向く面である。主面の他方は、ベース板2と反対側を向く面である。一対の主面は、圧電素子3の平面視において、互いに同形状となっている。ここでは、一対の主面は、例えばベース板2よりも一辺の長さが小さい正方形状となっている。圧電素体の厚さは、例えばベース板2の厚さよりも大きくなっている。圧電素子3の平面視において、圧電素体の中心は、ベース板2の中心と一致している。また、圧電素子3の平面視において、圧電素体の各辺は、ベース板2の各辺とそれぞれ平行になっている。
【0022】
圧電素体は、内部電極を有しておらず、単層の圧電体層によって構成されている。圧電体層は、圧電材料によって構成されている。本実施形態では、圧電体層は、圧電セラミック材料によって構成されている。圧電セラミック材料としては、例えばPZT[Pb(Zr,Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O]、チタン酸バリウムなどが挙げられる。圧電体層は、例えば上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。
【0023】
一対の外部電極は、厚さ方向に扁平な直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、角部及び稜線部が丸められている形状も含まれる。一対の外部電極の厚さは、互いに同程度となっており、いずれも圧電素体の厚さに比べて十分小さくなっている。外部電極は、導電性材料によって構成されている。導電性材料としては、例えばAg、Pd、Ag-Pd合金などが挙げられる。外部電極は、例えば上述した導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体によって構成されている。
【0024】
配線部材4は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)によって構成されている。配線部材4は、導体をカバー材で覆った構造を有している。導体は、例えば銅などの導電性に優れた材料によって形成されている。カバー材は、例えばポリイミド樹脂などの非導電性の樹脂によって形成されている。配線部材4の一端は、圧電素子3におけるベース板2と反対側の面に位置し、圧電素子3の外部電極に対して電気的に接続されている。配線部材4の他端は、ベース板2の面内方向に引き出され、圧電素子3で生じる起電力の出力先となる制御部5に対して電気的に接続されている。
【0025】
制御部5は、静電容量センサ6であるタッチパネルKに駆動信号を出力する部分である。また、制御部5は、タッチパネルKの静電容量の変化を検出し、これに基づくタップ判定及びリリース判定を行う部分である。制御部5は、物理的には、RAM、ROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部を備えたコンピュータシステムによって構成されている。制御部5は、メモリに格納されるプログラムをコンピュータシステムのCPUで実行することにより機能する。制御部5は、マイクロコントローラ、集積回路などによって構成されていてもよい。本実施形態では、制御部5は、マイクロコントローラによって構成されている。
【0026】
制御部5は、図1に示すように、駆動部11と、受信部12と、判定部13とを備えている。駆動部11は、静電容量センサ6の駆動を制御する部分である。駆動部11は、静電容量センサ6の駆動に用いる駆動信号を静電容量センサ6であるタッチパネルKに入力する。駆動信号としては、例えば三角波を用いることができる。本実施形態では、タッチパネルKへの指などのタップがなされると、タッチパネルKの静電容量が増加して充放電時間が長くなるため、三角波のカウントが減少する。反対に、タッチパネルKからの指などのリリースがなされると、タッチパネルKの静電容量が減少して充放電時間が短くなるため、三角波のカウントが増加する。したがって、タッチパネルKでは、三角波のカウントの変動に基づいて静電容量を検出でき、検出した静電容量に基づいて、タップに対応するON判定及びリリースに対応するOFF判定を行うことができる。
【0027】
受信部12は、圧電素子3からの起電力及びタッチパネルKからの静電容量を受信する部分である。受信部12は、圧電素子3の配線部材4を介して圧電素子3からの起電力を受信し、タッチパネルKの配線部材(不図示)を介してタッチパネルKからの静電容量を受信する。本実施形態では、受信部12は、圧電素子3からの起電力を駆動部11に出力し、タッチパネルKからの静電容量を判定部13に出力する。
【0028】
判定部13は、タップ判定及びリリース判定を行う部分である。判定部13は、具体的には、タッチパネルK(静電容量センサ6)のON判定に基づいてタップ判定を行い、タッチパネルK(静電容量センサ6)のOFF判定に基づいてリリース判定を行う。判定部13は、タップ判定及びリリース判定の結果を示す情報をそれぞれ生成し、外部装置に出力する。外部装置では、受け取った各情報に基づく処理が実行される。
【0029】
制御部5は、駆動信号を出力する駆動モード及び駆動信号を出力しないスリープモードを含む動作モードを有している。駆動モードでは、駆動部11からタッチパネルKに駆動信号が出力され、タッチパネルKの静電容量に基づくタップ判定及びリリース判定が行われる。図3は、タップ判定及びリリース判定の様子を示すチャート図である。図3に示すように、駆動モードにおいて、時刻t1にタッチパネルKへの指などのタップがなされると、タッチパネルKの静電容量が増加して充放電時間が長くなり、三角波のカウントが減少する。これに基づき、タッチパネルKは、時刻t1においてON判定を行う。また、判定部13は、時刻t1において、タッチパネルKのON判定に基づいてタップ判定を行う。
【0030】
タップ判定の後、時刻t2において、タッチパネルKからの指などのリリースがなされると、タッチパネルKの静電容量が減少して充放電時間が短くなり、三角波のカウントが増加する。これに基づき、タッチパネルKは、時刻t2においてOFF判定を行う。また、判定部13は、時刻t2において、タッチパネルKのOFF判定に基づいてリリース判定を行う。
【0031】
スリープモードでは、駆動部11からタッチパネルKに駆動信号が出力されず、制御部5が省電力状態となる。図4は、比較例に係る制御部の駆動モード及びスリープモードを示すチャート図である。図4の例では、時刻taにおいて制御部が駆動モードからスリープモードに切り替わっており、時刻tbにおいて制御部がスリープモードから駆動モードに切り替わっている。すなわち、時刻taから時刻tbまでの期間において制御部がスリープモードとなっている。制御部が駆動モードからスリープモードに切り替わる際の条件(待機時間等)は、予め設定されている。
【0032】
比較例に係る検出装置では、制御部がスリープモードである時刻taから時刻tbまでの期間においても、タッチパネルへの指などのタップを検出を可能にするために、タッチパネルが定期的に動作している。タッチパネルの定期的な動作のため、時刻taから時刻tbまでの期間においても、タッチパネルへの駆動信号の出力が一定の間隔で行われる。したがって、制御部がスリープモードとなっている期間中も駆動信号の出力に基づく電力消費が継続することとなる。
【0033】
これに対し、検出装置1では、制御部5が駆動モードからスリープモードに切り替わる際の条件(待機時間等)が予め設定されている点では、比較例に係る検出装置と同じであるが、図5に示すように、制御部5がスリープモードとなっている間はタッチパネルKへの駆動信号の出力が行われないようになっている。検出装置1では、時刻tcにおいてタッチパネルKへの指などのタップがなされると、圧電素子3においてタップの押圧力による起電力(タップ電圧)が発生する。圧電素子3で発生した起電力が制御部5に入力されると、制御部5の動作モードがスリープモードから駆動モードに切り替えられる。
【0034】
動作モードの切り替えにあたって、制御部5は、圧電素子3の起電力に対する閾値(タップ閾値S)を有している。制御部5は、圧電素子3から入力される起電力がタップ閾値Sを超えない場合には、動作モードをスリープモードのまま維持する。制御部5は、圧電素子3から入力される起電力がタップ閾値S以上となった場合には、動作モードをスリープモードから駆動モードに切り替える。駆動モードに切り替えられた後の動作は、図3に示したとおりであり、駆動部11からタッチパネルKに駆動信号が出力され、タッチパネルKの静電容量に基づくタップ判定及びリリース判定が行われる。
【0035】
以上説明したように、検出装置1では、押圧力によって圧電素子3が起電力を発生させることを利用し、圧電素子3で発生した起電力をトリガーとして制御部5をスリープモードから駆動モードに切り替える。したがって、検出装置1では、制御部5がスリープモードとなっている間に静電容量センサ6を定期的に動作させる必要がなくなるため、電力消費の抑制が図られる。
【0036】
本実施形態では、制御部5は、圧電素子3の起電力に対するタップ閾値Sを有している。そして、スリープモードにおいて圧電素子3から入力された起電力がタップ閾値Sを超えた場合に、制御部5の動作モードがスリープモードから駆動モードに切り替えられる。これにより、ノイズなどによって制御部5のスリープモードが解除されてしまうことを防止できる。したがって、電力消費の一層の抑制が図られる。
【0037】
本実施形態では、静電容量センサ6は、タッチパネルKによって構成されている。これにより、タッチパネルKを備えたスマートフォンやタブレット等の電子機器に適用される検出装置1において、電力消費を好適に抑制できる。
【0038】
本実施形態では、検出装置1は、圧電素子3が配置される主面(第1面)2aと、主面2aの反対側に位置し、タッチパネルKへの取付面となる主面(第2面)2bとを有するベース板を更に備えていてもよい。この場合、指などによるタッチパネルKへのタップの押圧力がベース板2を介して圧電素子3に効率良く伝達される。したがって、スリープモードにおいてタッチパネルKへの指などのタップがなされたときに、制御部5の動作モードをより確実に駆動モードに切り替えることができる。
【0039】
本実施形態では、静電容量センサ6は、タップに対応するON判定及びリリースに対応するOFF判定を行う。また、制御部5は、静電容量センサ6のON判定に基づいてタップ判定を行い、静電容量センサ6のOFF判定に基づいてリリース判定を行う判定部13を有している。これにより、押圧力の加わり方に依らずにタップ判定及びリリース判定を精度良く実施できる。
【0040】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、制御部5が駆動モードからスリープモードに切り替わる際の条件(待機時間等)が予め設定されているとしたが、リリース判定から所定期間が経過した後、すなわち、OFF判定から所定期間が経過した後に、制御部5が自動的に駆動モードからスリープモードに切り替わるようにしてもよい。これにより、リリース判定の後に静電容量センサ6の動作が自動的に停止するため、電力の消費をより確実に削減できる。
【0041】
上記実施形態では、静電容量センサ6(タッチパネルK)の配線部材を図示していないが、静電容量センサ6の配線部材7と圧電素子3の配線部材4とは、一体化されていてもよい。すなわち、圧電素子3の配線部材4が静電容量センサ6の配線部材7を兼ねていてもよい。この場合、例えばFPCである配線部材4の一端側を分岐し、分岐の一方を圧電素子3に電気的に接続し、分岐の他方を静電容量センサ6に電気的に接続すればよい。
【0042】
圧電素子は、上記実施形態で例示した圧電素子3の構成に限られず、押圧力に応じた起電力を発生する素子であればよい。例えば圧電膜、圧電体膜、圧電体、電気機械変換素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、圧電部材といった名称の素子であっても、押圧力に応じた起電力を発生する素子であれば、本開示の圧電素子として用いることができる。
【0043】
本開示の要旨は、以下の[1]~[5]のとおりである。
[1]押圧力に応じた起電力を発生する圧電素子と、静電容量を検出する静電容量センサと、前記静電容量センサに駆動信号を出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記駆動信号を出力する駆動モード及び前記駆動信号を出力しないスリープモードを含む動作モードを有し、前記スリープモードにおいて前記圧電素子からの前記起電力が入力されたときに、前記動作モードを前記駆動モードに切り替える検出装置。
[2]前記制御部は、前記起電力に対する閾値を有し、前記スリープモードにおいて前記圧電素子から入力された前記起電力が前記閾値を超えた場合に、前記動作モードを前記駆動モードに切り替える[1]記載の検出装置。
[3]前記静電容量センサは、タッチパネルによって構成されている[1]又は[2]記載の検出装置。
[4]前記圧電素子が配置される第1面と、前記第1面の反対側に位置し、前記タッチパネルへの取付面となる第2面とを有するベース板を更に備える[3]記載の検出装置。
[5]前記静電容量センサは、タップに対応するON判定及びリリースに対応するOFF判定を行い、前記制御部は、前記静電容量センサのON判定に基づいてタップ判定を行い、前記静電容量センサのOFF判定に基づいてリリース判定を行う判定部を有する[1]~[4]のいずれか記載の検出装置。
【符号の説明】
【0044】
1…検出装置、2…ベース板、2a…主面(第1面)、2b…主面(第2面)、3…圧電素子、5…制御部、6…静電容量センサ、13…判定部、K…タッチパネル(静電容量センサ)、S…タップ閾値(閾値)。
図1
図2
図3
図4
図5