(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030528
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 37/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A01B37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133474
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034BA07
2B034BB01
2B034EA02
2B034EA16
2B034EB02
2B034EB08
(57)【要約】
【課題】
速度条件が変化しても土寄せ効果を発揮できる代掻き作業機を提供する。
【解決手段】
走行機体1の前進とともに耕耘爪を回転駆動させて土を砕土する砕土部3と、砕土部3の進行方向の前方側に配置し、走行機体1によって形成された走行跡に、土を移動させて走行跡を消すことが可能な土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43及び第3土寄せ体(図示せず))と、土寄せ体を水平方向に回動可能な旋回軸61と、旋回軸61まわりの一方の方向に付勢する弾性部材62と、弾性部材62を覆うとともに土寄せ体の旋回軸61まわりの移動を規制する規制部64を有したカバー部材63と、を備えることを特徴とする農作業機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前進とともに耕耘爪を回転駆動させて土を砕土する砕土部と、
前記砕土部の進行方向の前方側に配置し、前記走行機体によって形成された走行跡に、土を移動させて走行跡を消すことが可能な土寄せ体と、
前記土寄せ体を水平方向に回動可能な旋回軸と、
前記旋回軸まわりの一方の方向に付勢する弾性部材と、
前記弾性部材を覆うとともに前記土寄せ体の前記旋回軸まわりの移動を規制する規制部を有したカバー部材と、
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記カバー部材および前記旋回軸に差し込むことで前記旋回軸と一体的に固定して前記土寄せ体を前記旋回軸に対して前記旋回軸の軸方向および前記旋回軸の周方向に移動不可能にし、前記カバー部材および前記旋回軸から引き抜くことで前記カバー部材と前記旋回軸との固定を解除して前記旋回軸に対して前記旋回軸の軸方向および前記旋回軸の周方向に移動可能にする固定部材と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
前記カバー部材は前記旋回軸を前記カバー部材から引き抜いた後に前記旋回軸の軸線上以外に移動可能に設ける、
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
前記カバー部材を上下方向から挟むように配置し、前記旋回軸の周方向および軸方向に移動可能に前記旋回軸を保持する保持部材と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の農作業機。
【請求項5】
前記保持部材は前記規制部が当接可能にされた当接部と、
を備えることを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は農作業機に関する。更に詳細には、土寄せ体によって、予め大まかに平坦に均した土を砕土部で整地する代掻き作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
走行する走行機体に装着し回転駆動する耕耘爪によって、圃場を耕耘するとともに整地する代掻き作業を行う作業機の例として、特許文献1がある。この発明には、走行機体の通過に伴い、タイヤ等によって圃場表面に形成される溝部に、土を寄せる土寄せ板が設けられている。この土寄せ板によって溝部に土を寄せることで、整地性能を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
代掻き作業を迅速に短時間で行うためには、走行機体の走行速度、すなわち作業速度を高めることが必要である。その一方で、土壌の土質や土壌に浸される水分の含有条件、作業圃場の面積によっては、作業速度を高めることができない場面も存在する。特許文献1に記載の作業機が備える土寄せ板では、作業速度の変化に対応できる土寄せ板の構造ではなく、作業速度の変化があったときは、土寄せ効果すなわち走行跡を消す効果が十分に発揮できない課題が生じている。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、速度条件が変化しても土寄せ効果を発揮できる代掻き作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
走行機体の前進とともに耕耘爪を回転駆動させて土を砕土する砕土部と、
前記砕土部の進行方向の前方側に配置し、前記走行機体によって形成された走行跡に、土を移動させて走行跡を消すことが可能な土寄せ体と、
前記土寄せ体を水平方向に回動可能な旋回軸と、
前記旋回軸まわりの一方の方向に付勢する弾性部材と、
前記弾性部材を覆うとともに前記土寄せ体の前記旋回軸まわりの移動を規制する規制部を有したカバー部材と、
を備えることを特徴とする農作業機、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記カバー部材は、前記カバー部材および前記旋回軸に差し込むことで前記旋回軸と一体的に固定して前記土寄せ体を前記旋回軸に対して前記旋回軸の軸方向および前記旋回軸の周方向に移動不可能にし、前記カバー部材および前記旋回軸から引き抜くことで前記カバー部材と前記旋回軸との固定を解除して前記旋回軸に対して前記旋回軸の軸方向および前記旋回軸の周方向に移動可能にする固定部材と、
を備えることを特徴とする農作業機、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記カバー部材は前記旋回軸を前記カバー部材から引き抜いた後に前記旋回軸の軸線上以外に移動可能に設ける、
ことを特徴とする農作業機、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記カバー部材を上下方向から挟むように配置し、前記旋回軸の周方向および軸方向に移動可能に前記旋回軸を保持する保持部材と、
を備えることを特徴とする農作業機、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記保持部材は前記規制部が当接可能にされた当接部と、
を備えることを特徴とする農作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、速度条件が変化しても土寄せ効果を発揮できる代掻き作業機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施例に係る代掻き作業機の正面図である。代掻き作業機の進行方向前方からみた全体を示す。側部作業体は、展開状態である。
【
図2】この発明の実施例に係る代掻き作業機の平面図である。代掻き作業機の全体平面を示す。側部作業体は、展開状態である。
【
図3】この発明の実施例に係る代掻き作業機の進行方向左から見た全体の側面図である。側部作業体は、展開状態である。
【
図4】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の拡大正面図である。図示は、走行跡に対して進行方向左側に配置した状態である。
【
図5】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の拡大側面図である。図示は、走行跡に対して進行方向左側に配置した土寄せ体である。
【
図6】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の拡大平面図である。図示は、走行跡の左側に配置した土寄せ体である。
【
図7】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の断面底面図である。特に、旋回軸、カバー部材、固定具を示す。図示は、走行跡の左側に配置した土寄せ体である。
【
図8】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の拡大背面図である。特に、固定具を示す。
【
図9】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ面と平行な方向から見た土寄せ体の側面図である。図示は、機体の左側に配置した土寄せ体である。
【
図10】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体の断面図である。旋回軸の中心で左右方向に断面した図である。土寄せ体は図示省略する。図示は、機体の左側に配置した土寄せ体である。
【
図11】この発明の実施例に係る代掻き作業機の平面断面図である。カバー部材を平面で断面している。固定部材による固定状態であって、土寄せ板への負担が小さい状態をあらわす。図示は、機体の左側に配置した土寄せ体である。
【
図12】この発明の実施例に係る代掻き作業機の平面断面図である。カバー部材を平面で断面している。固定部材による固定状態であって、土寄せ板への負担が大きい状態をあらわす。図示は、機体の左側に配置した土寄せ体である。
【
図13】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体に設けた整流部の一例を示す平面図である。整流部が直線形状をあらわす。図示は走行跡に対して、進行方向左に配置した土寄せ体である。
【
図14】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体に設けた整流部の他の実施例を示す平面図である。整流部が波形形状をあらわす。図示は走行跡に対して、進行方向左に配置した土寄せ体である。
【
図15】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体に設けた整流部の他の実施例を示す平面図である。整流部が山形形状をあらわす。図示は走行跡に対して、進行方向左に配置した土寄せ体である。
【
図16】この発明の実施例に係る代掻き作業機の土寄せ体をカバー体に取り付けた一例の断面図を示す。カバーと旋回軸は中間の孔に固定した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施例に係る代掻き作業機について図面にしたがって説明する。
1は、代掻き作業機である。
11は、中央作業体である。中央作業体11は、代掻き作業機1の中央に位置して、代掻き作業を行う。
11Lは、延長作業体左である。延長作業体左11Lは、中央作業体11の進行方向左側に位置して中央作業体11と折り畳み可能に取り付け、代掻き作業を行なう。
11Rは、延長作業体右である。延長作業体右11Rは、中央作業体11の進行方向右側に位置して中央作業体11と折り畳み可能であり、代掻き作業を行なう。
延長作業体右11Rおよび、延長作業体左11Lにより側部作業体を構成する。
【0014】
2は、フレームである。フレーム2は、パイプフレーム22を有する。パイプフレーム22は、代掻き作業機1の骨格をなすフレームである。パイプフレーム22は、第1パイプフレーム221と第2パイプフレーム222とからなる。
パイプフレーム22である第1パイプフレーム221の前方に、長尺体である第2パイプフレーム222をサポートフレーム24間に配置する。第2パイプフレーム222は第1パイプフレーム221とともに装着部20および変速部(図示せず)を支えるとともに、中央作業体11および側部作業体である延長作業体右11R及び延長作業体左11Lを支える。
【0015】
この発明の実施例に係る第2パイプフレーム222は、断面矩形の角パイプで構成している。
図4乃至
図8、
図10に図示するように、角パイプからなる第2パイプフレーム222下方の面を、第1面222A、上方の面を第2面222B、進行方向前面を第3面222C、進行方向背面を第4面222Dと呼称することがある。
【0016】
延長作業体右11Rおよび、延長作業体左11Lからなる側部作業体には、側部パイプフレーム223および側部伝動ケース231を設け、中央作業体11の伝動ケース23上部の側方に位置したドッググクラッチ33の嵌合によって、動力を側部パイプフレーム223および側部伝動ケース231を介して側部作業体(延長作業体右11R、延長作業体左11L)の砕土部3R,3Lに伝動する。
【0017】
20は、装着部である。201は、トップリンクピンである。202は、ロアリンクピンである。装着部20は、トップリンクピン201と、ロアリンクピン202を有する。装着部20は、これらにより、代掻き作業機1をけん引するトラクタに取り付ける。
【0018】
21は、入力ケース、211は、入力軸である。入力軸211は、入力ケース21内に取り付け、トラクタのPTO軸に接続して、トラクタの駆動力を取り出す。
212は、トップマストである。トップマスト212は、パイプフレーム22上に設ける。トップマスト212は、先端にトップリンクピン201を設ける。
213は、ロワプレートである。ロワプレート213は、パイプフレーム22に取り付ける。ロワプレート213先端には、ロアリンクピン202を取り付ける。ロワプレート213は、
図1および
図2に示すように、第2パイプフレーム222に取り付けてあってもよい。
23は、伝動ケースである。伝動ケース23は、パイプフレーム22に設け、入力ケース21に設けた入力軸211からの駆動力を出力する。
【0019】
24は、サポートフレームである。サポートフレーム24は、入力ケース21に対して左右対称の位置に設け、パイプフレーム22より下方で後述するロータ軸31を保持する。実施例での伝動ケース23は、中央作業体11のパイプフレーム22の一方側の端部である進行方向左側のサポートフレーム24に設けている。
25は、支点部である。支点部25はパイプフレーム22の両端部にそれぞれ設け、延長作業体左11L及び延長作業体右11Rの折り畳み回動支点部である。一方の支点部25には延長作業体左11Lに設けたカバー体左4Lから上部に突出させた支点フレーム41Lを、他方の支点部25には延長作業体右11Rに設けたカバー体右4Rから上部に突出させた支点フレーム41Rを、それぞれ回動可能に連結している。
【0020】
3は、砕土部である。砕土部3は、フレーム2の下方に設けて回転駆動可能であり、圃場を砕土する。砕土部3は、走行機体であるトラクタ等の後部に装着した代掻き作業機1に備え、走行機体の後方に位置する。走行機体であるトラクタ等の前進とともに砕土部3が備える耕耘爪32を回転駆動させて土を砕土する。
砕土部3は、走行機体の前進とともに耕耘爪32を回転駆動させて土を砕土する。
3Lは、延長砕土部左である。延長砕土部左3Lは、砕土部3の進行方向左側の延長作業体左11Lに回転可能に取り付け、延長作業体左11Lと一体になって折り畳み可能である。3Rは、延長砕土部右である。延長砕土部右3Rは、砕土部3の進行方向右側の延長作業体右11Rに回転可能に取り付け、延長作業体右11Rと一体になって折り畳み可能である。
【0021】
31は、ロータ軸である。ロータ軸31は、サポートフレーム24のそれぞれの下部に掛け渡された回転軸であり、伝動ケース23からの駆動力で回転する。
31Lは、延長側ロータ軸左である。延長側ロータ軸左31Lは、ロータ軸31の進行方向左側の延長作業体左11Lに設ける。31Rは、延長側ロータ軸右である。延長側ロータ軸右31Rは、ロータ軸31の進行方向右側の延長砕土部右3Rに設ける。延長側ロータ軸左31L、延長側ロータ軸右31Rは、側部伝動ケース231からの駆動力で回動する。
【0022】
32は、耕耘爪である。耕耘爪32は、ロータ軸31及び延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rのそれぞれの周囲に複数取り付け、ロータ軸31および延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rの回転により駆動し、圃場を耕耘する。
【0023】
33は、ドッグクラッチである。ドッグクラッチ33は、ドッグクラッチ中央側(図示せず)と延長側ドッグクラッチ左延長側(図示せず)と延長側ドッグクラッチ右延長側(図示せず)とからなる。ドッグクラッチ中央側は第1パイプフレーム221の両端部の伝動ケース23及びサポートフレーム24の近傍のそれぞれに設ける。
延長側ドッグクラッチ左延長側は、延長砕土部左3Lの進行方向右側に設けてドッグクラッチ中央側と噛み合うことで、進行方向左側のドッグクラッチを構成する。
延長側ドッグクラッチ右延長側は、延長砕土部左3Rの進行方向左側に設けてドッグクラッチ中央側と噛み合うことで、進行方向右側のドッグクラッチを構成する。
ドッグクラッチ33により、延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rの回転駆動を入切する。
【0024】
34は、保持部である。保持部34は、ロータ軸31の軸受部であり、伝動ケース23及びサポートフレーム24の下部に設ける。
保持部34は、第3土寄せ体(図示せず)の後方に位置して砕土部3の回転軸を保持する。保持部34は、伝動ケース23とサポートフレーム24のそれぞれの下部に取り付ける。
34Lは、左延長側保持部である。左延長側保持部34Lは、ロータ軸31Lの軸受部であり、後述するカバー体左4Lの下部に設ける。
34Rは、右延長側保持部である。右延長側保持部34Rは、ロータ軸31Rの軸受部であり、後述するカバー体右4Rの下部に設ける。
保持部34、左延長側保持部34L、右延長側保持部34Rは、内部にベアリング、オイルシールを有する。
【0025】
4は、カバー体である。カバー体4は、砕土部3の上部を覆う。4Lは、カバー体左である。4Rは、カバー体右である。カバー体左4Lは、延長砕土部左3Lの上部を覆う。カバー体右4Rは、延長砕土部右3Lの上部を覆う。カバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rは、砕土部3及び延長砕土部左3L及び延長砕土部右3Rによって砕土あるいは耕耘された土が周囲へ飛散することを防ぐ。
【0026】
41Lは、左支点フレームである。左支点フレーム41Lは、代掻き作業機1の延長作業体左11Lを支点部25に対して回動自在に取り付けるための上部に突出した部材であり、側部パイプフレーム223と一体となったアームである。
41Rは、右支点フレームである。右支点フレーム41Rは、代掻き作業機1の延長作業体右11Rを支点部25に対して回動自在に取り付けるための上部に突出した部材であり、側部パイプフレーム223と一体となったアームである。
【0027】
土寄せ体は、第1土寄せ体42、第2土寄せ体43及び第3土寄せ体(図示せず)からなり、砕土部3の進行方向の前方側に配置する。土寄せ体は、走行機体によって形成された走行跡に、土を移動させて走行跡を消すことが可能である。
土寄せ体は、走行機体の後方に位置させた長尺体である第2パイプフレーム222に設ける。さらに土寄せ体は、カバー体4、カバー体左4L、カバー体右4R、サポートフレーム24、伝動ケース23、側部伝動ケース231に設けることもできる。
土寄せ体は、土を轍側に移動させることが可能な土寄せ面を有している。土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43と第3土寄せ体(図示せず))は、第2土寄せ体43については、土を進行方向側方に移動させる土寄せ面431を有する。第1土寄せ体42、第3土寄せ体(図示せず)も同様に土寄せ面(図示せず)を有する。
土寄せ体は旋回軸61によって水平方向に旋回可能であり、進行方向から見た投影面積を変化させることが可能である。
この発明の実施例では、走行機体の幅に対する外側の走行跡に位置する第2土寄せ体43に適応させているが、走行機体の幅に対する中心側の走行跡に位置する第1土寄せ体42に適応させても良い。
【0028】
第1土寄せ体42は、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、走行する走行機体によって圃場に形成される一つの轍の幅に対する一方側に配置した面を、機体幅に対する外側に向かうにつれて後方側に傾斜させる。
第1土寄せ体42は、代掻き作業機1の中央側に設置する。
【0029】
第2土寄せ体43は、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、轍の他方側に配置した面を、機体幅である代掻き作業機1幅に対する内側に向かうにつれて後方側に傾斜させる。
第2土寄せ体43は、第1土寄せ体42よりも代掻き作業機1の機体幅外側であるカバー体4の端部側に設置する。
第1土寄せ体42と第2土寄せ体43とは、走行する走行機体である代掻き作業機1によって圃場に形成される一つの轍の幅を挟んで、対向させて設置する。
【0030】
42bは、第1土寄せ体42を支持する支持部材である。第1土寄せ体42の支持部材42bは、第1土寄せ体42を代掻き作業機1に取り付けるための部材で、ロワプレート213から下方に向けて垂れ下げるように配置し固定した部材である。支持部材42bの下部はカバー体4の下端部より下方に位置していて、この支持部材42bの下部に第1土寄せ体42を取り付ける。
43bは、第2土寄せ体43を支持する支持部材である。第2土寄せ体43の支持部材43bは、第2土寄せ体43を代掻き作業機1に取り付けるための部材で、旋回軸61とも呼ばれる。支持部材43bである旋回軸61は、カバー体4前部の両端部のそれぞれから下方に向けて垂れ下がるように配置した部材である。支持部材43bの下部はカバー体4の下端部より下方に位置していて、この支持部材43bの下部に第2土寄せ体43を取り付ける。
【0031】
図示しない第3土寄せ体は、砕土部3の前方且つカバー体4の下方に位置し、轍の他方側に配置するとともに第2土寄せ体43より進行方向に対する左右側の外側に位置した面を、機体幅である代掻き作業機1幅に対する内側に向かうにつれて後方側に傾斜させて設ける。
第3土寄せ体(図示せず)は、代掻き作業機1のカバー体4の端部側であり、第2土寄せ体43よりも進行方向に対する外側に設置する。
第1土寄せ体42と、第2土寄せ体43及び第3土寄せ体(図示せず)とは、走行する走行機体である代掻き作業機1によって圃場に形成される一つの轍の幅を挟んで、対向させて設置する。
【0032】
平面視である
図2及び進行方向左側から見た側面図である
図3に図示するように、第1土寄せ体42の前端は第2土寄せ体43の前端より後方に位置する。第2土寄せ体43は、第1土寄せ体42より、進行方向に飛び出している。本来は、第1土寄せ体42は、進行方向に突き出した方が埋戻し効果がよいが、第1土寄せ体42は、三点リンクが上下動するときに、トラクタのタイヤやクローラと接触するのを避けるため、進行方向に突き出ないように配置している。
【0033】
第3土寄せ体(図示せず)の前端は第1土寄せ体42の前端より後方に位置させる。第2土寄せ体43からあふれた土の流れを補足するため、第3土寄せ体は、第2土寄せ体43のある程度後方に設ける。第3土寄せ体は、第2土寄せ体43に対してあまり前過ぎると、第2土寄せ体43と第3土寄せ体の間隔が狭くなり、この間を通過する土の流れが悪くなる。
【0034】
第1土寄せ体42及び第2土寄せ体43及び第3土寄せ体のそれぞれの前端はカバー体4の前端より前方に突出している。カバー体4の機体の幅方向に対する中央付近に第1土寄せ体42が、カバー体4の機体の幅方向に対する端部に第2土寄せ体43及び第3土寄せ体がそれぞれ配置されてある。そのため、土が、カバー体4の前端部より後方に位置する砕土部3に到達する前に、土の流れを決めて、予め轍溝へ土を送ることができる。
【0035】
5は、整地体である。整地体5は、代掻き作業機1の作業時進行方向後部にカバー体4の後部に取り付ける。進行に伴い圃場を整地する。
5Lは、左整地体である。左整地体5Lは、カバー体左4Lの後部に取り付け、整地体5の作業時進行方向左側端部を構成する。
5Rは、右整地体である。右整地体5Rは、カバー体右4Rの後部に取り付け、整地体5の作業時進行方向右側端部を構成する。
52は、ヒンジである。ヒンジ52は、整地体5をカバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rに対して上下回動する回動支点として取り付ける。
【0036】
土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43と第3土寄せ体(図示せず))の回動機構について説明する。説明する実施例では、第2土寄せ体43に回動機構を設けたものとして説明する。
旋回軸61は、第2土寄せ体43を水平方向に回動可能である。旋回軸61はパイプ状または棒状で構成していて、鉛直方向に向けて配置する。旋回軸61は上下2か所に設けた支点ボスである保持部材65によって保持され、旋回自在且つ軸方向の軸線上で移動可能にさせる。
【0037】
旋回軸61と第2土寄せ体43の左右方向に対する位置関係は、この発明の実施例のように、旋回軸61が第2土寄せ体43の轍側の側端部に位置している。旋回軸61が土寄せ体の側端部に位置する構造により、負荷を受けた時の旋回方向は必ず一方の方向に旋回する。旋回軸61は第2土寄せ体43の左右幅方向の中間部、または、轍から離れる側の側端部に位置させてもよい。
図示するこの発明の実施例では、作業機本体は、中央作業体11と側部作業体(延長作業体右11R、延長作業体左11L)を有し、この側部作業体を格納・展開が可能な作業機1を用いて説明するが、中央作業体11のみで構成する作業機にも適応可能である。
【0038】
旋回軸61には、保持部材65間に位置させたカバー部材63を設ける。
カバー部材63は、
図4以下に図示するように、後述する弾性部材62の周囲を覆うことが可能な箱状の部材であり、カバー部材63の内部には旋回軸61との間に弾性部材62を覆うことが可能な空間を有している。また、カバー部材63は旋回軸61に対して旋回可能に設けているとともに、保持部材65によって上下移動が不可能に設けている。カバー部材63は、
図5以下に図示するように、規制部64を有する。規制部64は、土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43と第3土寄せ体(図示せず))の旋回軸61まわりの移動を規制する。
カバー部材63は上部に旋回軸61を挿入するボス部68を設け、ボス部68には旋回軸61方向と直交する方向に貫通した孔74aを設ける。旋回軸61にも孔74bを設け、これらの孔74a,74bを貫通させるようにピン状の固定部材69を抜き差しすることで、カバー部材63と旋回軸61とが一体的に固定およびこの解除が可能となる。固定状態では旋回軸61が上下方向に移動することが不可能となり、固定が解除されると、旋回軸61は保持部材65およびカバー部材63に対して上下方向に移動可能になる。
固定部材69をそれぞれの孔74a,74bに貫通させることで、旋回軸61とボス部68が一体的に固定され、旋回軸61の固定部材69に対する上下移動が不可能になる。固定状態で一体となった旋回軸61とカバー部材63は、保持部材65に対して、規制部64による旋回範囲の制限内で相対的に旋回移動が可能である。
【0039】
他方、固定部材69を引き抜いて取り外すことで、旋回軸61とボス部68の固定が解除され、旋回軸61の固定部材69に対する上下移動が可能になる。また、固定解除状態での旋回軸61とカバー部材63は、それぞれ独立して保持部材65に対して相対的に旋回移動が可能である。なお、カバー部材63については、規制部64による回動範囲の制限内で旋回移動が可能である。
固定部材69で固定状態の旋回軸61は、第1規制部641と第2規制部642で形成される旋回範囲内で、旋回が可能となる。すなわち、固定状態での第2土寄せ体43は、規制部64で形成された旋回範囲内で旋回が可能となる。
【0040】
他方、固定部材69で固定解除状態の旋回軸61は、第1規制部641と第2規制部642で形成される旋回範囲内によらず、カバー部材63および保持部材65のそれぞれに対して、相対的な旋回が可能である。すなわち、固定解除状態での第2土寄せ体43は、規制部64による旋回軸61まわりの自由な旋回が可能となる。
固定部材69で固定状態の旋回軸61は、弾性部材62の付勢を受けて、一方の方向に旋回するように付勢を受ける。実施例での固定状態において、旋回軸61の下端部に配置された第2土寄せ体43の土寄せ面431は、進行方向に沿う向きに旋回するように付勢を受ける。そして、第2土寄せ体43は少なくとも土寄せ面431の下端部が泥土中に埋没した状態で進行する。
【0041】
カバー部材63は、固定部材69を、カバー部材63および旋回軸61に差し込むことで旋回軸61と一体的に固定して第2土寄せ体43を旋回軸61に対して旋回軸61の軸方向および旋回軸61の周方向に移動不可能にする。固定部材69を、カバー部材63および旋回軸61から引き抜くことでカバー部材63と旋回軸61との固定を解除して旋回軸61に対して旋回軸61の軸方向および旋回軸61の周方向に移動可能にする。
【0042】
カバー部材63は旋回軸61をカバー部材63から引き抜いた後に旋回軸61の軸線上以外に移動可能に設ける。
保持部材65のボス間には、カバー部材63を設ける。カバー部材63の上部には円筒状のボス部68(保持部材65のボスとは異なる)を設け、旋回軸61がボス部68に挿入可能に設ける。
【0043】
弾性部材62について説明する。
カバー部材63内の空間には弾性部材62を設け、第2土寄せ体43の旋回軸61まわりの一方の方向に常時付勢する。これにより、第2土寄せ体43が進行による土壌から受ける負荷の強弱によって、旋回軸61まわりに旋回する。
実施例での弾性部材62は巻きばねを用いる。巻きばねのコイル部を旋回軸61に貫通させ、一方の腕部621を第2パイプフレーム222の第3面222C側に設けた当接部67に、他方の腕部621をカバー部材63の内壁面にそれぞれ接触させるように配置する。このように構成することで、カバー部材63は一方の方向に常時付勢される。巻きばね腕部621端部はフック状に形成しており、カバー部材63や当接部67が弾性部材62の反発力を局部的に集中して受けないように設けている。
【0044】
実施例のように弾性部材62に巻きばねを用いることで、旋回軸61まわりをコンパクトに構成できる。実施例の場合の弾性部材62は巻きばねを用いたが、弾性部材62の態様に限定はなく、カバー部材63またはカバー部材63のボスを旋回軸61に対して、一方の方向に常時付勢できればよい。
弾性部材62はカバー部材63に覆われているので、飛散する異物等の付着を防止することができる。これにより、弾性部材62は異物に対して影響を受けることなく、カバー部材63に安定した付勢力を与えることができる。
【0045】
ボス部68には、固定部材69を挿入するための孔74aが軸に対して直交する向きに貫通されている。また、旋回軸61にも後述する固定部材69を挿入するための孔74bが軸に対して直交する向きに貫通されている。固定部材69を用いることによって旋回軸61の上下移動を阻止可能に設ける。
【0046】
保持部材65について説明する。
前記カバー部材63を上下方向から挟むように配置し、前記旋回軸61の周方向および軸方向に移動可能に前記旋回軸61を保持する保持部材65を備える。保持部材65は第2パイプフレーム222に対する位置を固定可能にされた部材で、第2パイプフレーム222の前方側で旋回軸61を回動可能あるいは旋回可能に支持することができる。支点ボスである保持部材65は、上下2か所に間隔を置いて旋回軸61を支えるため、接触面積を低減させて旋回軸61との旋回時の摩擦を増大させることを防ぎつつ、旋回軸61を軸線上でぶれることなく強固に支持できる。すなわち、旋回軸61の下端部に配置した第2土寄せ体43が、旋回軸61下部に安定して位置できるとともに、旋回軸61周りに安定して旋回できる。保持部材65の後部には規制部64が当接可能にされた当接部67を備え、カバー部材63の旋回移動を規制する。
【0047】
嵌合部66について説明する。実施例では第2土寄せ体43に勘合部66を設けたものとして説明する。
土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43と第3土寄せ体(図示せず))は、長尺体である、第2パイプフレーム222に対して進行方向に対する左右方向への移動可能な嵌合部66を、備える。嵌合部66は、後方側が解放された断面コ字状からなる。
嵌合部66は、第2土寄せ体43を上下方向に移動可能に取り付けるための保持部材65を有する。実施例では嵌合部66の進行方向前方側に保持部材65が配置されている。
保持部材65は、後方側が解放された断面コ字状の嵌合部66に接続され、嵌合部66は進行方向に対する左右方向に向かった長尺体である第2パイプフレーム222に、嵌合するとともに長尺方向に移動可能である。嵌合部66の後部側には固定具71を取り付けることで、長尺体に対して移動不可能なように固定する。
保持部材65は上下に離間させて配置し、且つ、嵌合部66の前方に配置したボスを有している。ボスは嵌合部66と一体的に固定されている。旋回軸61はボス内に挿入可能であり、挿入時において、ボスに対して相対的に旋回することが可能であり、ボスとの同一軸線上で移動可能に設けている。
【0048】
長尺体である、第2パイプフレーム222の長尺方向を軸とした場合の周囲は、嵌合部66によって
図4乃至
図8、
図10に図示するように、角パイプからなる第2パイプフレーム222下方の面である第1面222A、上方の面である第2面222B、進行方向前面である第3面222Cが覆われている。
嵌合部66の進行方向前方側には規制部64が当接可能にされた当接部67を備える。
【0049】
規制部64について説明する。
カバー部材63には保持部材65間に設けた当接部67に当接可能な規制部64が設けられ、カバー部材63と旋回軸61とが一体的に固定された状態において、第2土寄せ体43の旋回軸61まわりの旋回範囲を限定する。
嵌合部66の前方に位置するカバー部材63には規制部64を設ける。規制部64は、嵌合部66の前面に形成された当接部67と当接可能に設けている。規制部64は、カバー部材63が一方の方向側への旋回を規制する第1規制部641と、カバー部材63が他方の方向側への旋回を規制する第2規制部642とを有する。つまり、第1規制部641は、土寄せ体43が受ける負荷が小さい場合に旋回する方向である一方の方向への旋回を規制し、第2規制部642は土寄せ体43が受ける負荷が大きい場合に旋回する方向である他方の方向への旋回を規制する。カバー部材63は、旋回軸61がボス部68に挿入した状態において、当接部67に当接する第1規制部641と、当接部67に当接する第2規制部642との範囲内で旋回が可能である。第1規制部641および第2規制部642は、旋回することで保持部材65の後方に位置する当接部67に当接することで、旋回に規制がかかる。カバー部材63は、第1規制部641と第2規制部642で形成される旋回範囲内で、旋回軸61まわりに旋回が可能である。
実施例では第2土寄せ体43に上記した回動機構を備えるものとして説明したが、第1土寄せ体42や第3土寄せ体(図示なし)に備えていてもよい。また、実施例では第2土寄せ体43に上記した勘合部66を備えるものとして説明したが、第1土寄せ体42や第3土寄せ体(図示なし)に備えていてもよい。
【0050】
土寄せ体の下部に整流部432を設ける。実施例では第2土寄せ体43に設けているものとして説明する。
整流部432は第2土寄せ体43が土を側方に移動させる面である土寄せ面431の下端から後方に向かって連続するように設ける。整流部432は板状の部材であり、整流部432の下方を泥土が通過できるように設ける。
【0051】
整流部432下面には土寄せ面431の下方を流れる土の流れを整え、泥土を案内する案内面433を設ける。
案内面433は地面に対する水平に設け、整流部432は土寄せ面431の下端から連続して設けている。つまり、土寄せ面431と案内面433は連続して設けている。実施例での整流部432は、案内面433を土寄せ面431に対して後方にほぼ直角に折り曲げるように設けている。案内面433は土寄せ面431に対して垂直方向に向かって水平方向に向かって設ける。
土寄せ面431と案内面433は連続して形成するため、泥流を滞留させるような凹凸を形成しないため、土寄せ面431の下方を通過する泥流を不必要に乱すことなく後方に案内できる。また、案内面433を折り曲げて形成する際の折り曲げ半径や、折り曲げ回数等の形成方法には限定はなく、案内面433の後端部が後方に向かっていればよい。
【0052】
整流部432は、第2土寄せ体43の下方を通過する泥流が乱れることを防止する。整流部432がない場合、土寄せ体の下方を通過した泥流が乱れ、土寄せ体の後方で泥土が大きくうねることがある。うねりによる流れの乱れによって土寄せ体の後方の泥土が抉られ、土寄せ体による均平性能が低下する場合がある。整流部432によって、土寄せ体の下方を通過する泥流が乱れることを抑制する。つまり、土寄せ体の後方で泥土のうねりを抑制できるので、第2土寄せ体43による均平性能が向上する。
整流部432は、前面の土寄せ面431から後方に向かって案内距離Lを有した案内面433を設け、案内距離Lの後端である整流部432の後端は砕土部3の前方部に達するように設ける。案内距離Lを有した案内面433の下面に沿って泥水が進行方向前方から後方に向かって通過することで、泥土のうねりを抑制し、より一層流れが安定する。なお、案内距離Lは図示されたものに限定されたものではなく、土質および使用条件および使用環境に応じて自由に変更ができる。
【0053】
図13に図示するように、実施例での整流部432の後端は平面視で直線状に設けているが、これに限定はない。他の実施例をあらわす
図14、
図15に図示するように後端部を波形や山形に形成することで、整流部432の下面を流れる泥水が、整流部432後端に達した際に、後端下面から離れるタイミングをずらすことができる。
図14、
図15に図示するように後端を波形や山形に形成することで、前後に対して後端が前方側に窪んだ谷部から後方側に突出した山部にかけて、徐々に泥土が離れるように形成するので、泥流を乱すことなく、泥水の流れを整えることをより一層向上させることができる。また、
図14、
図15の図示では、波形や山形の突出部が複数設けてあるものとして説明したが、単一の波形や山形の突出部であってもその効果は変わらない。
実施例での整流部432は、第2土寄せ体43に設けているものとして説明したが、第1土寄せ体42や、第3土寄せ体(図示なし)に設けていてもよい。この場合、土寄せ体下部を通過する泥流がより一層整うので、土寄せ体通過後の均平性能の向上が期待できる。
【0054】
長尺体である、第2パイプフレーム222について更に説明する。実施例の第2パイプフレーム222は断面矩形の角パイプで構成している。
長尺体は断面矩形状であるので、締結部材70で固定具71と嵌合部66とを固定することで、長尺体の長尺方向を軸にした周囲方向にも移動が不可能である。
上記のように、長尺体と固定したので、土寄せ体(第2土寄せ体43)は位置を砕土部3に対して、前後左右上下ともに位置を固定した状態になるので、土寄せ体(第2土寄せ体43)による土寄せ作業が安定的に可能になる。図示では、第2パイプフレーム222に第2土寄せ体43を取り付けたものとして説明したが、第1土寄せ体42および第3土寄せ体(図示なし)も第2パイプフレーム222に設置することができる。
【0055】
固定具71について説明する。
土寄せ体は、嵌合部66を長尺体に対して固定および固定解除可能にする固定具71を備える。
固定具71は前記長尺体の長尺方向に幅広に設ける。
固定具71は角パイプからなる第2パイプフレーム222の第4面222Dに位置している。嵌合部66によって第2パイプフレーム222の他の面である第1面222A、第2面222B、第3面222Cが覆われている。
固定具71は板状部材であり、第4面222Dに接するように設ける。固定具71の下端部は第3面222C側に屈曲させ、屈曲させた先端は第1面222Aの下方に達している。
固定具71は、下方側である一方に設けた係止部72を勘合部66下部の突起上部73に引っ掛けて、上方側である他方を勘合部66の上部に設けた締結部材70で締結するように設けている。つまり締結部材70が、第2パイプフレーム222の上部である第2面222B側に集中しているので、作業者の手や工具が第3面222C側から第2面222Bを経由して締結部材70へのアクセスが容易である。
【0056】
嵌合部66と固定具71との間に設けた隙間75について説明する。
第2面222B側の嵌合部66と固定具71との間には僅かに隙間75を設けている。この隙間75を設けることによって、嵌合部66と固定具71とを締結部材70で締め付けて固定した際に、隙間75が縮まる。
すなわち、固定具71および嵌合部66が互いに近づくように僅かに撓む。このように構成することで、第3面222Cと第4面222Dは嵌合部66と固定具71で、強力に挟まれた状態となる。したがって、長尺体第2パイプフレーム222と接する嵌合部66と固定具71との摩擦が増大し、結果として、嵌合部66は長尺体第2パイプフレーム222の長尺方向に移動することが不可能になり、土寄せ体も長尺体第2パイプフレーム222の長尺方向に移動できなくなる。
固定具71および嵌合部66は、長尺体の長尺方向に幅広に設けている。このため、嵌合部66と固定具71との密着固定時に、長尺体第2パイプフレーム222への局部的な圧着を避けることができ、長尺体が損傷することを避けることができる。また、同時に、幅広に設けていることによって、長尺体への摩擦を増大させることができるので、より一層、長尺体との一体的固定ができる。
【0057】
突起状部73について説明する。
嵌合部66の下部には、嵌合部66から下方に向かって突出させた突起状部73を設ける。突起状部73は長尺体である第2パイプフレーム222に対して第1面222A側の前後方向の中間部に位置している。また、突起状部73は長尺体の長手方向に間隔をあけて複数箇所に複数設けている。実施例では進行方向左右端部の2か所に設け、それぞれを板状部材で形成した嵌合部66の後方側端部を下方に折り曲げて形成している。
【0058】
係止部72について説明する。
固定具71の長尺体の第1面222A側に位置した係止部72は、嵌合部66に設けた突起状部73に係止可能な棒状部材である。係止部72は、固定具71の下部の先端からは、突起状部73に向けて設ける。係止部72を突起状部73の前面に係止することで、固定具71が第4面222D側、つまり進行方向後方側に移動することを規制する。そして、固定具71は係止部72の突起状部73間から上方に至るように配置されて、上部を締結部材70で固定することで、勘合部66と一体となる。つまり、固定具71および勘合部66は、一方を係止部72によって係止し、他方側を締結するのみで、長尺体に固定が可能である。
【0059】
締結部材70について説明する。
締結部材70は長尺体である第2パイプフレーム222の第2面222B側に位置し、嵌合部66とともに固定することによって、土寄せ体(第2土寄せ体43)が長尺体である第2パイプフレーム222に対しての移動を不可能にする。
締結部材70は保持部材65に対して長尺体である第2パイプフレーム222の長尺方向にオフセットさせて配置している。
【0060】
固定具71の上部の締結部材70は第2面222B側に位置し、嵌合部66と固定具71に設けた穴に貫通させることによって、嵌合部66と固定具71が固定される。実施例での締結部材70はボルト及びナットを用いている。実施例での締結部材70は、長尺体である第2パイプフレーム222の長尺方向に間隔をあけて2か所に設けているが、数に限定はない。
締結部材70は、進行方向に対する正面視で(つまり第3面222C側から見た場合)、土寄せ体の旋回軸を保持する保持部材65から側方にオフセットさせて設けている。このため、第3面222C側からの締結部材70へのアクセスする際に、旋回軸61や保持部材65が邪魔にならないので、より一層、組み立て性や整備性を向上させている。
【0061】
土寄せ体(第1土寄せ体42、第2土寄せ体43と第3土寄せ体(図示せず))の作用について説明する。ここでは、回動機構を備えた第2土寄せ体43であるものとして説明をする。
第2土寄せ体43は進行によって、旋回軸61の取り付け位置とは異なる側部側が進行方向後方に押し付けられるように負荷を受ける。つまり、第2土寄せ体43は、泥土から進行による負荷を受けることによって、旋回軸61は弾性部材62の付勢を受ける方向とは逆の他方の方向に向かって、旋回する力を受ける。そして、速度の増加によって、泥土から受ける抵抗が増加し、やがて、土寄せ体が後方側に受ける負荷が、弾性部材62の付勢力を上回ると、旋回軸61を支点にして、第2土寄せ体43が後方側に旋回する。
【0062】
土寄せ体が後方側に受ける負荷は、第2土寄せ体43の泥土に対する埋没量や、進行速度、泥土の粘性によって変化する。このため、作業者は、砕土部3に対する土寄せ面431の相対高さを変更することで、第2土寄せ体43が後方側に受ける負荷を調整できる。土寄せ面431の高さ調整は、固定部材69をボス部68および旋回軸61から取り外すことによって行う。固定部材69を取り外すと、旋回軸61は保持部材65に対して上下移動が可能になる。旋回軸61には複数箇所に離間して孔74bがあるので、所望する旋回軸61の孔74bにボス部68の孔74aを合わせて固定部材69を挿入することで、土寄せ体の高さ変更ができる。
【0063】
固定部材69で旋回軸61に対して固定状態の土寄せ体は、規制部64によって旋回範囲を限定されている。弾性部材62によって常時旋回軸61まわりの一方の方向に付勢されているが、第1規制部641によって、一方の方向への旋回は規制されている。したがって、泥土による負荷がない状態において、土寄せ面431の角度が一定を維持できる。また、泥土の負荷を受けて他方の方向に旋回しても、第2規制部642によって当該方向の旋回は規制されている。したがって、泥土による負荷を受けても、土寄せ体が旋回し続けることがないので、土寄せ面431での土寄せ効果を維持できる。
【0064】
走行跡(轍)について説明する。
走行跡は走行機体の速度が増すと、走行機体の走行部の側方により遠方に押しのけられる。つまり、泥土は、走行機体の速度が増すにしたがって、元々あった場所から遠くに勢いにのって移動するのである。この移動した土を元の位置に復帰させるべく、実施例では、作業速度を大きくすると、泥土の進行速度による負荷を受けて第2土寄せ体43の進行方向から見た投影面積が大きくなるように設けている。言い換えれば、作業速度が大きくなると、進行方向から見た場合の、旋回軸61が取り付けられる側部と、旋回軸61が取り付けられる側部と対向する側部の距離は大きくなる。旋回軸61が取り付く側部と対向する側部が旋回軸61より側方に位置できるので、遠くに移動した土を元の位置である走行跡(轍)に戻すことができる。
【0065】
固定部材69を取り外したときに、旋回軸61は、カバー部材63のボス部68および保持部材65のボスとは独立して旋回ができる。固定部材69をボス部68および旋回軸61の孔74に貫通させるときでも、自由に位置の軸方向の調整ができるので孔74に対して、容易に固定部材69を貫通させることができる。
【0066】
また、旋回軸61がボス部68に挿入状態で固定部材69を取り外したカバー部材63は、弾性部材62の付勢を受けて旋回軸61の一方の方向に回転するが、規制部64(第1規制部641)によって、一方の方向への旋回を阻止されている。したがって、土寄せ体の高さ調整時に、旋回軸61の孔74とボス部68の孔74とを容易に合わせることができる。
【0067】
カバー部材63は、旋回軸61をボス部68から引き抜くことで、容易に旋回軸61の軸線上以外の場所に移動させることができる。つまり、カバー部材63は、ボス部68に旋回軸61を挿入することのみで、旋回軸61の軸線上且つ保持部材65間に位置するように設けているので、旋回軸61を取り除くと、容易にカバー部材63を保持部材65から取り除くことができる。この構造によって、カバー部材63を保持部材65間に位置させるための固定部材や締結部材を増やすことがないので、構成を簡略化できる。さらに実施例では、弾性部材62を巻きばねを用いているので、カバー部材63内部に位置する弾性部材62も同時に取り外すことができ、さらに組み立て性および分解性を向上させている。
【0068】
この発明の実施例では、第2パイプフレーム222に嵌合部66を嵌合させることによって、保持部材65および土寄せ体を砕土部に対して位置を固定したが、
図16に図示するように、砕土部3を覆うカバー体4に直接保持部材65を固定することもできる。この例では、保持部材65の後部に、カバー体4の前面に保持部材65を取り付けるための取付部を設けている。取付部はカバー体4に溶接等で永久的に固定してもよいし、ボルト・ナット等の締結部材で取り外し可能に設けていてもよい。このように構成することで、旋回軸61周りに旋回する土寄せ体は、砕土部3の前方に位置させることができるとともに、旋回軸61周りに旋回が可能にできる。
農作業機は必ずしも第2パイプフレーム222を有さないこともある。このような態様の農作業機でも、カバー体4があれば土寄せ体を砕土部3に対して位置を固定できる。この場合、嵌合部66および固定具71は省略され、土寄せ体はより簡素に構成可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 代掻き作業機(走行機体)
3 砕土部
32 耕耘爪
42 第1土寄せ体
43 第2土寄せ体(土寄せ体)
61 旋回軸
62 弾性部材
63 カバー部材
64 規制部