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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030535
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】間仕切装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E04B2/74 561L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133481
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】城ノ下 朋興
(72)【発明者】
【氏名】深谷 壮麻
(72)【発明者】
【氏名】菅内 大地
(57)【要約】
【課題】簡単な構造且つ低コストなものでネスティング性にも優れる間仕切装置1を提供する。
【解決手段】本発明の間仕切装置1は、枠状のフレーム体2と、前記フレーム体2の下フレーム6に取り付けられて前記フレーム体2を自立させるベース体3とを備える。前記ベース体3は、前記フレーム体2を挟んだ前後に張り出している。前後一方の張り出し部11の床面Fからの高さHfを前後他方の張り出し部12の床面Fからの高さHbよりも高くすることによって、前後にネスティング可能にする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状のフレーム体と、前記フレーム体の下フレームに取り付けられて前記フレーム体を自立させるベース体とを備える間仕切装置であって、
前記ベース体は、前記フレーム体を挟んだ前後に張り出しており、前後一方の張り出し部の床面からの高さを前後他方の張り出し部の床面からの高さよりも高くすることによって、前後にネスティング可能になっている、
間仕切装置。
【請求項2】
前記前後一方の張り出し部の横幅寸法は、前記前後他方の張り出し部よりも長くなっている、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項3】
前記各張り出し部の下面のうち横方向両側にキャスターが取り付けられており、
前記前後一方の張り出し部における前記両キャスター間の内法寸法は、前記前後他方の張り出し部の横幅寸法よりも長くなっている、
請求項2に記載した間仕切装置。
【請求項4】
二台の前記間仕切装置を平面視で直交配置した場合において、隣り合う前記張り出し部同士が互いに干渉しない平面視形状になっている、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項5】
前記ベース体は、一枚板状の平板を折り曲げて段差状に形成されている、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項6】
前記ベース体の縁部には、折り曲げによる補強部が形成されている、
請求項5に記載した間仕切装置。
【請求項7】
前記ベース体の下面には、前記前後一方の張り出し部と前記下フレームと前記前後他方の張り出し部とに跨る補強部が取り付けられている、
請求項5又は6に記載した間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校施設やオフィスといった建物の室内空間を仕切る間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
学校施設やオフィスでは、間仕切装置などを使用して室内空間を区画することが広く行われている。室内空間を区画する態様の一例として、床面に立設した4本の支柱で支持された天枠体を有するフレーム式ブース家具が知られている(例えば特許文献1参照)。当該フレーム式ブース家具は、支柱と天枠体とで囲まれた空間を形成していて、ミーティングスペースやリフレッシュスペースとして使用可能になっている。また、特許文献1には、目隠し用のパネルやスクリーンを隣り合う支柱の間に取り付けて、フレーム式ブース家具の個室性を高めることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-25516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の間仕切装置においては、簡単な構造且つ低コストなもので空間をゆるく仕切ったり、ユーザーの希望に応じて様々なレイアウトに変更したり、効率よく格納するためにネスティング可能にしたりしたいという要望がある。
【0005】
この点、特許文献1のフレーム式ブース家具は、ぶら下がったりする使用者の体重を支えるのに、ある程度の高い強度及び安全性を確保する必要があるため、構造の簡素化(軽量化)や低コスト化が困難であり、ネスティングさせることを前提としたものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような現状を契機として成されたものであり、簡単な構造且つ低コストなものでネスティング性にも優れるなど、改良された間仕切装置を提供しようとするものである。
【0007】
本発明は、枠状のフレーム体と、前記フレーム体の下フレームに取り付けられて前記フレーム体を自立させるベース体とを備える間仕切装置であって、前記ベース体は、前記フレーム体を挟んだ前後に張り出しており、前後一方の張り出し部の床面からの高さを前後他方の張り出し部の床面からの高さよりも高くすることによって、前後にネスティング可能になっているというものである。
【0008】
本発明の間仕切装置において、前記前後一方の張り出し部の横幅寸法は、前記前後他方の張り出し部よりも長くなるようにしてもよい。
【0009】
本発明の間仕切装置において、前記各張り出し部の下面のうち横方向両側にキャスターが取り付けられており、前記前後一方の張り出し部における前記両キャスター間の内法寸法は、前記前後他方の張り出し部の横幅寸法よりも長くなるようにしてもよい。
【0010】
本発明の間仕切装置では、二台の前記間仕切装置を平面視で直交配置した場合において、隣り合う前記張り出し部同士が互いに干渉しない平面視形状になるようにしてもよい。
【0011】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体は、一枚板状の平板を折り曲げて段差状に形成されるようにしてもよい。
【0012】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体の縁部には、折り曲げによる補強部が形成されるようにしてもよい。
【0013】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体の下面には、前記前後一方の張り出し部と前記下フレームと前記前後他方の張り出し部とに跨る補強部が取り付けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、簡単な構成でありながら、前後ネスティング可能な間仕切装置を実現できる。
【0015】
本発明の間仕切装置において、前記前後一方の張り出し部の横幅寸法は、前記前後他方の張り出し部よりも長くなるようにすれば、高さの低い前記前後他方の張り出し部を、高さの高い前記前後一方の張り出し部の下方に潜り込ませた場合、前記前後他方の張り出し部を前記前後一方の張り出し部で覆い隠せるから、高さの低い前記前後他方の張り出し部と、高さの高い前記前後一方の張り出し部とを上下方向に重ね合わせやすく、ネスティングピッチのコンパクト化を図れる。
【0016】
本発明の間仕切装置において、前記各張り出し部の下面のうち横方向両側にキャスターが取り付けられており、前記前後一方の張り出し部における前記両キャスター間の内法寸法は、前記前後他方の張り出し部の横幅寸法よりも長くなるようにすれば、高さの低い前記前後他方の張り出し部を、高さの高い前記前後一方の張り出し部の下方にスムーズに潜り込ませでき、前後にネスティングされた前記間仕切装置を、高さの高い前記前後一方の張り出し部側における前記キャスター対のガイド作用によって、横方向にずれないように保持できる。このため、複数台の前記間仕切装置を、見栄えよく直列に並べて収納できる。また、複数台の前記間仕切装置をネスティング状態で押して移動させるに際して、列を乱すことなく安定的に移動させられる。
【0017】
本発明の間仕切装置では、二台の前記間仕切装置を平面視で直交配置した場合において、隣り合う前記前後いずれか一方の張り出し部同士が互いに干渉しない平面視形状になるようにすれば、前記間仕切装置を用いることによって、オープン性を確保しながら空間をゆるく仕切れる。仕切パターンの多様化を図れる。
【0018】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体は、一枚板状の平板を折り曲げて階段状に構成されるようにすれば、前記ベース体の構造を簡素化でき、コスト削減を図れる。
【0019】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体の縁部には、折り曲げによる補強部が形成されるようにすれば、前記ベース体の強度を向上させて前記間仕切装置をより安定的に支持できる。
【0020】
本発明の間仕切装置において、前記ベース体の下面には、前記前後一方の張り出し部と前記下フレームと前記前後他方の張り出し部とに跨る補強部が取り付けられるようにした場合も、前記ベース体の強度を向上させて前記間仕切装置をより安定的に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態における間仕切装置の外観斜視図である。
図2】ベース体の底面図である。
図3】ベース体の側面断面図である。
図4】複数台の間仕切装置のネスティング状態を示す斜視図である。
図5】ネスティング状態でのベース体の側面図である。
図6】ネスティング状態でのベース体の底面図である。
図7】二台の間仕切装置を平面視で直交配置した状態の平面図であり、(a)は前張り出し板部同士を隣り合わせた場合、(b)は後張り出し板部同士を隣り合わせた場合の図、(c)は前張り出し板部と後張り出し板部を隣り合わせた場合の図である。
図8】第2実施形態におけるベース体の側面断面図である。
図9】第3実施形態における間仕切装置の外観斜視図である。
図10】ベース体の側面断面図である。
図11】ベース体を斜め下側から見た斜視図である。
図12】ベース体における左部の拡大斜視図である。
図13】ネスティング状態でのベース体の底面図である。
図14】二台の間仕切装置を平面視で直交配置した状態の平面図であり、(a)は前張り出し板部同士を隣り合わせた場合、(b)は前張り出し板部と後張り出し板部を隣り合わせた場合の図である。
図15】第4実施形態におけるベース体の断面斜視図である。
図16】第5実施形態におけるベース体の斜視図であり、(a)は前張り出し板部側から見た図、(b)は後張り出し板部側から見た図である。
図17】第6実施形態におけるベース体の斜視図であり、(a)は前張り出し板部側から見た図、(b)は後張り出し板部側から見た図である。
図18】第7実施形態におけるベース体を斜め下側から見た斜視図である。
図19】第8実施形態を説明する図であり、(a)はベース体を斜め下側から見た斜視図、(b)は補強部の斜視図、(c)はネスティング状態でのベース体の底面図である。
図20】第9実施形態を説明する図であり、(a)はベース体を斜め下側から見た斜視図、(b)は補強部の斜視図、(c)はネスティング状態でのベース体の底面図である。
図21】第10実施形態を説明する図であり、(a)はベース体を斜め下側から見た斜視図、(b)は補強部の斜視図である。
図22】第11実施形態を説明する図であり、(a)はベース体を斜め下側から見た斜視図、(b)は補強部の斜視図である。
図23】ベース体にキャスターを取り付ける構造のバリエーションを説明する図であり、(a)は受け座仕様、(b)は補強下アームにビス穴を開ける仕様、(c)はナット仕様、(d)は側補強筒部にビス穴を開ける仕様である。
図24図23(b)の例において、二台の間仕切装置を平面視で直交配置した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、方向等を特定するために「前後」「左右」の文言を使用している。この場合、ベース体3の平面視面積の大きい張り出し板部11のある側を手前(又は前)とし、当該張り出し板部11を基準にして、後ろ(又は奥)及び左右(又は横)を定義している。
【0023】
図1図7には、第1実施形態の間仕切装置1に関する構造を示している。図1に示すように、第1実施形態の間仕切装置1は、金属丸パイプで骨組が構成された枠状のフレーム体2と、フレーム体2を自立させるベース体3とを備えている。フレーム体2は、左右一対の縦フレーム4と、縦フレーム4対の上端部同士をつなぐ上フレーム5と、縦フレーム4対の下端部同士をつなぐ下フレーム6と、縦フレーム4対の上下中途部同士をつなぐ左右横長の横桟フレーム7とを備えている。
【0024】
第1実施形態では、各縦フレーム4が上部パイプ8と下部パイプ9とに分離構成されている。各縦フレーム4の上部パイプ8は、上フレーム5の左右両端側を折り曲げて一体的に形成されている。各縦フレーム4の下部パイプ9は、下フレーム6の左右両端側を折り曲げて一体的に形成されている。第1実施形態の上下フレーム5,6は、ともにコ字状に折り曲げ形成された外観を呈している。この場合、上部パイプ8の長さが下部パイプ9のそれよりも長くなっている。
【0025】
詳細な図示は省略するが、上部パイプ8と下部パイプ9とは、両パイプ8,9内に挿し込み可能なフレーム連結具を介して着脱可能に連結されて、縦フレーム4として構成される。フレーム連結具と各パイプ8,9とは、ビスで固定されている。横桟フレーム7の左右各端部は、対応する縦フレーム4(第1実施形態では上部パイプ8の先端寄り部位)に枠内側から突き当ててビスで固定されている。フレーム連結具の構造自体は直接的に関係しないのでこれ以上詳述しないが、必要であれば本出願人による特開2022-17821号公報等を参照されたい。
【0026】
なお、図示は割愛するが、フレーム連結具に代えて、下フレーム6内に連結用パイプを挿入し、下フレーム6を二重パイプ構造にしてもよい。この場合、連結用パイプの左右両端側は、下フレーム6の下部パイプ9から上向きに突出して、フレーム連結具と同様の機能を発揮するように構成される。二重パイプ構造を採用すると、フレーム体2の下半部(下フレーム6)の強度を向上でき、フレーム体2全体のたわみの抑制を図れる。
【0027】
フレーム体2には、ホワイトボード等のパネル体10(図1の二点鎖線参照)や、布帛又はシート材といった薄い素材からなる面材(目隠し材)を取り付けることが可能になっている。
【0028】
フレーム体2を自立させるベース体3は、フレーム体2を挟んだ前後に張り出した姿勢で、下フレーム6の略中央部に取り付けられている。第1実施形態のベース体3は、平面視凸型で一枚板状の薄平板を折り曲げて、前張り出し板部11と後張り出し板部12と縦連接板部13とからなる段差状(Z字状とも言える)に形成されている。このため、ベース体3の構造を簡素化でき、コスト削減を図れる。前張り出し板部11と後張り出し板部12とは、平面視略矩形状に形成されている。そして、前張り出し板部11の平面視面積は、後張り出し板部12の平面視面積よりも大きくなっている(図2及び図6参照)。
【0029】
ベース体3は、下フレーム6に対するベース体3の取り付け強度を高めるために、下フレーム6に上から被さるように配置されている。第1実施形態では、前張り出し板部11の下面後辺側が下フレーム6に上方から載り、縦連接板部13の前面側が下フレーム6に後方から当接している。ベース体3(前張り出し板部11の下面後辺側と縦連接板部13)は、下フレーム6に溶接にて固定されている。
【0030】
下フレーム6に対するベース体3の固定態様は、ビス止めやリベット止め等でも差し支えないが、第1実施形態のように溶接にて固定すると、取り付け強度と信頼性とに優れたものになる。なお、図3では、溶接によるビードを符号14にて示している。第1実施形態において、ベース体3の縦連接板部13の下端側を下フレーム6の上部側に載せて溶接にて固定しても差し支えない。
【0031】
図2図6に示すように、各張り出し板部11,12の下面のうち横方向両側(左右両側)には、車輪式のキャスター15,16が旋回可能に取り付けられている。第1実施形態では、前張り出し板部11における下面前辺側の左右両コーナー部に、大径キャスター15が配置されている。後張り出し板部12における下面後辺側の左右両コーナー部には、小径キャスター16が配置されている。従って、ベース体3下面には、合計四個のキャスター15,16が配置されている。
【0032】
前述の通り、第1実施形態のベース体3は、前張り出し板部11と後張り出し板部12と縦連接板部13とからなる段差状に形成されていて、前張り出し板部11の床面Fからの高さHfが後張り出し板部12の床面Fからの高さHbよりも高くなっている(Hf>Hb)。このため、キャスター15,16群を床面Fに接地させた状態で、ベース体3が床面Fに平行な水平姿勢となるように、前張り出し板部11側に大径キャスター15対が配置され、後張り出し板部12側に小径キャスター16対が配置されている。
【0033】
第1実施形態では、前張り出し板部11における下面前辺側の左右両コーナー部に、大径用受け座17が溶接等にて取り付けられている。各大径用受け座17に大径キャスター15の取り付け座15aを下方から重ね合わせてビス止めすることによって、前張り出し板部11に大径キャスター15対が装着されている。後張り出し板部12における下面後辺側の左右両コーナー部には、小径用受け座18が溶接等にて取り付けられている。各小径用受け座18に小径キャスター16の取り付け座16aを下方から重ね合わせてビス止めすることによって、後張り出し板部12に小径キャスター16対が装着されている。
【0034】
図2及び図6に示すように、前張り出し板部11の横幅寸法Wfは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(Wf>Wb)。そして、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(IM>Wb)。
【0035】
第1実施形態では、前張り出し板部11の床面Fからの高さHfを後張り出し板部12の床面Fからの高さHbよりも高くする(Hf>Hb)という簡単な構成を採用して、前後ネスティング可能な間仕切装置1を実現している。その上、前張り出し板部11の横幅寸法Wfが後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっているから(Wf>Wb)、高さの低い後張り出し板部12を、高さの高い前張り出し板部11の下方に潜り込ませた場合、後張り出し板部12を前張り出し板部11で覆い隠すことができる。すなわち、高さの低い後張り出し板部12と、高さの高い前張り出し板部11とを上下方向に重ね合わせやすく、ネスティングピッチのコンパクト化を図れる。
【0036】
さらに、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMが後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっているから(IM>Wb)、高さの低い後張り出し板部12を、高さの高い前張り出し板部11の下方にスムーズに潜り込ませて、前後にネスティングされた間仕切装置1を、高さの高い前張り出し板部11側における大径キャスター15対のガイド作用によって、横方向(左右方向)にずれないように保持できる。
【0037】
換言すると、複数台の間仕切装置1のネスティングに際して、移動させてきた後続の間仕切装置1の後張り出し板部12を、停止している先行の間仕切装置1の前張り出し板部11の下方に潜り込ませると、高さの高い前張り出し板部11側における大径キャスター15対のガイド作用によって、後続の間仕切装置1が先行の間仕切装置1と直列に並ぶように、自動的に位置と姿勢が修正される。
【0038】
従って、複数台の間仕切装置1を、見栄えよく直列に並べて収納できる。また、複数台の間仕切装置1をネスティング状態で押して移動させるに際して、列を乱すことなく安定的に移動させられる。
【0039】
図7(a)~(c)に示すように、第1実施形態では、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、隣り合う張り出し板部11,12同士が互いに干渉しない平面視形状になっている。
【0040】
図7(a)は、前張り出し板部11同士を内側で隣り合わせた例を示している。二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、上フレーム4を一辺とみたときの正方形Sにおける二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、平面視略矩形状の前張り出し板部11がそれぞれ収まっている。換言すると、各前張り出し板部11は、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域からはみ出さない平面視形状(平面視面積)に設定されている。このため、隣り合う前張り出し板部11同士は、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合に互いに干渉することがない。
【0041】
図7(b)は、後張り出し板部12同士を内側で隣り合わせた例である。後張り出し板部12の平面視面積は、前張り出し板部11の平面視面積よりも小さいので当然であるが、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、平面視略矩形状の後張り出し板部12はそれぞれ収まっている(各後張り出し板部12も、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域からはみ出さない平面視形状(平面視面積)になっている)。このため、隣り合う後張り出し板部12同士も、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合に互いに干渉することがない。
【0042】
図7(c)は、前張り出し板部11と後張り出し板部12とを内側で隣り合わせた例を示している。この例でも当然に、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、前張り出し板部11と後張り出し板部12とはそれぞれ収まっている。このため、隣り合う前張り出し板部11と後張り出し板部12も、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合に互いに干渉することがない。
【0043】
従って、第1実施形態の間仕切装置1を用いれば、オープン性を確保しながら空間をゆるく仕切れるのである。また、仕切パターンの多様化も図れることになる。
【0044】
図8には、第1実施形態の変形例として、ベース体3の別態様である第2実施形態を示している。なお、第2実施形態以降の実施形態において、構造について詳細な説明を省略したものは、第1実施形態と同様なものとする。
【0045】
第2実施形態のベース体3は、前張り出し板部11になる厚板と、後張り出し板部12になる厚板と、縦連接板部13になる厚板とを、段差状(Z字状とも言える)に突き合わせて、溶接にて固定したものである。そして、縦連接板部13の下端側を下フレーム6の上部側に載せた状態で、後張り出し板部12の下面前辺側と縦連接板部13の下端側とが下フレーム6に溶接にて固定されている。前張り出し板部11、後張り出し板部12及び縦連接板部13としてそれぞれ厚板を採用しこれらを段差状に溶接固定してベース体3となすことによって、第2実施形態では、ベース体3の強度向上が図られている。
【0046】
図9図14には、第3実施形態の間仕切装置1に関する構造を示している。第3実施形態では、ベース体3における前張り出し板部11の平面視形状(平面視面積)を、第1実施形態のものと異ならせている。
【0047】
第3実施形態のベース体3は、一枚板状の薄平板を段差状(Z字状とも言える)に折り曲げ形成したものであるが、その前張り出し板部11は、前辺側を短い底辺とした平面視略台形状(等脚台形状)に形成されている。後張り出し板部12は、平面視略矩形状に形成されている。第3実施形態では、前張り出し板部11の下面後辺側が下フレーム6の上方に位置し、縦連接板部13の前面側が下フレーム6に後方から当接した状態で、溶接にて固定されている(図10及び図11参照)。
【0048】
前張り出し板部11後辺側の左右両コーナー部には、対応する縦フレーム4を挿通させる貫通穴19が形成されている(図12参照)。このため、各縦フレーム4の下部側は、前張り出し板部11と縦連接板部13とによって取り囲まれている。なお、第3実施形態でも、前張り出し板部11の床面Fからの高さHfは、後張り出し板部12の床面Fからの高さHbよりも高くなっている(Hf>Hb、図10参照)。
【0049】
図13に示すように、前張り出し板部11における前辺側の横幅寸法Wfは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(Wf>Wb)。そして、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(IM>Wb)。
【0050】
従って、第3実施形態でも、高さの低い後張り出し板部12を、高さの高い前張り出し板部11の下方にスムーズに潜り込ませて、前後にネスティングされた間仕切装置1を、高さの高い前張り出し板部11側における大径キャスター15対のガイド作用によって、横方向(左右方向)にずれないように保持できる。すなわち、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0051】
図14(a)(b)に示すように、第3実施形態においても、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、隣り合う張り出し板部11,12同士が互いに干渉しない平面視形状になっている。
【0052】
図14(a)は、前張り出し板部11同士を内側で隣り合わせた例である。二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、平面視略台形状の前張り出し板部11がそれぞれ収まっている。このため、隣り合う(平面視略台形状の)前張り出し板部11同士は、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合に互いに干渉することがない。
【0053】
図14(b)は、前張り出し板部11と後張り出し板部12とを内側で隣り合わせた例を示している。この例でも当然に、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、平面視略台形状の前張り出し板部11と平面視略矩形状の後張り出し板部12とはそれぞれ収まっている。このため、隣り合う前張り出し板部11と後張り出し板部12も、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合に互いに干渉することがない。
【0054】
従って、第3実施形態の間仕切装置1を用いた場合も、オープン性を確保しながら空間をゆるく仕切れる。また、仕切パターンの多様化も図れることになる。
【0055】
図15には、ベース体3の別配置態様である第4実施形態を示している。第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。第4実施形態のベース体3では、縦連接板部13の下端側を下フレーム6の上部側に載せた状態で、後張り出し板部12の下面前辺側と縦連接板部13の下端側とが下フレーム6に溶接にて固定されている。
【0056】
図16図18には、ベース体3の補強構造の一例である第5~第7実施形態を示している。第5~第7実施形態では、ベース体3の縁部に、折り曲げによる補強部21~28が形成されている。
【0057】
図16に示す第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。第5実施形態では、前張り出し板部11の左右側辺部に、下向きの側補強片21が折り曲げ形成されている。そして、後張り出し板部12の左右側辺部にも、下向きの側補強片22が折り曲げ形成されている。各側補強片21,22は、折り曲げによる補強部を構成するものである。各張り出し板部11,22における左右の側補強片21,22の突出高さは、間仕切装置1移動の妨げにならないように、床面Fに接しない寸法に設定されている。
【0058】
図17に示す第6実施形態は、第3実施形態の変形例である。第6実施形態では、前張り出し板部11だけでなく後張り出し板部12も、後辺側を短い底辺とした平面視略台形状(等脚台形状)に形成されている。前張り出し板部11の前辺部に、下向きの前補強片23が折り曲げ形成され、前張り出し板部11の左右脚辺部には、下向きの脚補強片24が折り曲げ形成されている。そして、後張り出し板部12の後辺部に、下向きの後補強片25が折り曲げ形成され、後張り出し板部12の左右脚辺部には、下向きの脚補強片26が折り曲げ形成されている。各張り出し板部11,22における補強片23~26の突出高さも、床面Fに接しない寸法に設定されている。なお、前補強片23には、別の間仕切装置1の後張り出し板部12を前張り出し板部11の下方に出し入れするための横長の切り欠き29が形成されている。
【0059】
図18に示す第7実施形態は、第5実施形態のさらなる変形例であり、前張り出し板部11の左右側辺部に、下向き、内向きそして上向きの順に三回折り曲げて筒状に構成した側補強筒部27が形成されている。同様に、後張り出し板部12の左右側辺部にも、下向き、内向きそして上向きの順に三回折り曲げて筒状に構成した側補強筒部28が形成されている。
【0060】
第5~第7実施形態のように構成すると、外力に対する各張り出し板部11,12の強度を高めて、ベース体3全体としての強度(堅牢性)を向上できる。従って、強度の高いベース体3によって間仕切装置1をより安定的に支持できる。なお、第5~第7実施形態に示した各補強片21~26や側補強筒部27,28は、折り曲げ形成によるものに限らず、ベース体3(前張り出し板部11や後張り出し板部12)とは別体に構成して、ベース体3の該当する縁部に溶接等にて固定したものであってもよい。
【0061】
図19図22には、ベース体3の補強構造の一例である第8~第11実施形態を示している。第8~第11実施形態では、ベース体3の下面に、前張り出し板部11と下フレーム6と後張り出し板部12とに跨る補強部31~34が取り付けられている。
【0062】
図19に示す第8実施形態は、第1実施形態の変形例である。第8実施形態では、ベース体3の下面に、補強部としての断面樋状の補強下アーム31対が溶接にて固着されている。補強下アーム31対は、後張り出し板部12から前張り出し板部11に行くに連れて配置間隔が広がるハ字状に並べられている。
【0063】
このため、移動させてきた後続の間仕切装置1の後張り出し板部12を、停止している先行の間仕切装置1の前張り出し板部11の下方に潜り込ませた場合、補強下アーム31対が後続の後張り出し板部12に干渉するのを回避して、ベース体の強度を確保しながら、複数台の間仕切装置1をスムーズにネスティングできる(補強下アーム31対の存在がネスティングの邪魔にならない)。
【0064】
第8実施形態の各補強下アーム31は、前張り出し板部11と後張り出し板部12との段差に対応するため、その上端開口側が段差状に形成されている。各補強下アーム31の上端開口側の長手中途部には、下フレーム6が嵌まる凹み部31aが形成されている。
【0065】
図20に示す第9実施形態は、第3実施形態の変形例であるが、後張り出し板部12が後辺側を短い底辺とした平面視略台形状(等脚台形状)になっている例である(後張り出し板部12の平面視形状が第6実施形態と共通している)。
【0066】
ベース体3の下面には、第8実施形態と同様に、前張り出し板部11と下フレーム6と後張り出し板部12とに跨る補強部としての断面樋状の補強下アーム32対が溶接にて固着されている。補強下アーム32対は、後張り出し板部12から前張り出し板部11に行くに連れて配置間隔が広がるハ字状に並べられている。第9実施形態の各補強下アーム32の外観形状は、第8実施形態のものに準じている(上端開口側が段差状であり、上端開口側の長手中途部には凹み部32aがある)。
【0067】
第9実施形態の後張り出し板部12は、後辺側を短い底辺とした平面視略台形状(等脚台形状)であるが、その後辺側の横幅寸法Wbは、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMよりも短い(図20(c)参照)。かかる点と、ネスティング時における補強下アーム32対と他の後張り出し板部12との干渉回避(ハ字状配置)の点とによって、第8実施形態と同様に、ベース体の強度を確保しながら、複数台の間仕切装置1のスムーズなネスティングが可能になっている。
【0068】
第9実施形態において、各補強下アーム32の下面は、床面Fに対して平行な水平面になっている。このため、各補強下アーム32下面の長手方向両端側に、小径用受け座18が溶接等にて固定されている。計四箇所の小径用受け座18それぞれに小径キャスター16の取り付け座16aを下方から重ね合わせてビス止めすることによって、補強下アーム32対に、二個ずつ(計四個)の小径キャスター16が装着されている。第9実施形態では、ベース体3を支持するキャスターとして、すべて共通のものを採用できる(大径キャスター15を採用してもよい)。
【0069】
図21に示す第10実施形態は、第1実施形態の変形例であり、ベース体3の下面には、前張り出し板部11と下フレーム6と後張り出し板部12とに跨る補強部としてのZ字状の補強下プレート33対が溶接にて固着されている。図22に示す第11実施形態も、第1実施形態の変形例であり、ベース体3の下面には、前張り出し板部11と下フレーム6と後張り出し板部12とに跨る補強部としての断面樋状で且つ底面視Z字状の補強下フレーム34対が溶接にて固着されている。第11実施形態では、各補強下フレーム34下面の長手方向両端部に、小径用受け座18が溶接にて固定されている。第11実施形態において、各補強下フレーム34下面は、床面Fに対して平行な水平面になっており、第9実施形態と同様の技術思想でキャスターの装着が可能になっている。
【0070】
第8~第11実施形態のように構成した場合も、外力に対する各張り出し板部11,12の強度を高めて、ベース体3全体としての強度(堅牢性)を向上できる。従って、強度の高いベース体3によって間仕切装置1をより安定的に支持できる。
【0071】
図23には、ベース体3にキャスター15,16を取り付ける構造のバリエーションを示している。これらのうち(a)の例は、図19に示す第8実施形態と同様であり(第1実施形態もこれに準じている)。前張り出し板部11における下面前辺側の左右両コーナー部に、大径用受け座17が溶接等にて取り付けられ、後張り出し板部12における下面後辺側の左右両コーナー部には、小径用受け座18が溶接等にて取り付けられている。
【0072】
(b)の例は、図19の第8実施形態の変形例であり、前後の張り出し板部11,12の横幅寸法Wf,Wbを拡大させ、各補強下アーム31を長手方向に延出させたものである。そして、各補強下アーム31下面の長手方向両端側には、小径用受け座18に代えて、小径キャスター16の取り付け座16aをビス止めするためのビス穴35が形成されている。各補強下アーム31に小径キャスター16が直接ビス止めされる。
【0073】
(c)の例は、図23(a)の変形例であり、各張り出し板部11,12下面の左右両コーナー部に、受け座17,18に代えて、各キャスター15,16の旋回軸がねじ込まれるナット36が溶接等にて固定されている。
【0074】
(d)の例は、図18に示す第7実施形態の変形例であり、各側補強筒部27,28の下面側に、受け座17,18に代えて、小径キャスター16の取り付け座16aをビス止めするためのビス穴37が形成されている。各側補強筒部27,28に小径キャスター16が直接ビス止めされる。
【0075】
なお、図23(b)に示すベース体3は、前後の張り出し板部11,12の横幅寸法Wf,Wbが拡大していて、二台の間仕切装置1を平面視で直交配置した場合において、前張り出し板部11同士を内側に隣り合わせできないが、後張り出し板部12同士は内側で隣り合わせできる。二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域内に、平面視略矩形状の後張り出し板部12はそれぞれ収まる(各後張り出し板部12も、二本の仮想対角線D1,D2で仕切られた領域からはみ出さない平面視形状(平面視面積)になっている)。
【0076】
なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 間仕切装置
2 フレーム体
3 ベース体
4 縦フレーム
5 上フレーム
6 下フレーム
7 横桟フレーム
10 パネル体
11 前張り出し板部
12 後張り出し板部
13 縦連接板部
15 大径キャスター
16 小径キャスター
17 大径用受け座
18 小径用受け座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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