(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030536
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】間仕切装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E04B2/74 561J
E04B2/74 561L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133482
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】菅内 大地
(57)【要約】
【課題】簡単な構造且つ低コストなもので、パネル体10の取り付け作業性や美感にも優れた間仕切装置1を提供する。
【解決手段】本発明の間仕切装置1は、枠状のフレーム体2と、フレーム体2の下フレーム6に取り付けられてフレーム体2を自立させるベース体3と、フレーム体2の枠内に配置される矩形板状のパネル体10とを備える。フレーム体2の上下中途部に、横方向に延びる横桟フレーム7を取り付ける。パネル体10の上端面側は、上部連結具58によってフレーム体2における上フレーム5の下端側に取り付け、パネル体10の下端面側は、下部連結具59によって横桟フレーム7の上端側に取り付ける。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状のフレーム体と、前記フレーム体の下フレームに取り付けられて前記フレーム体を自立させるベース体と、前記フレーム体の枠内に配置される矩形板状のパネル体とを備えており、前記フレーム体の上下中途部には、横方向に延びる横桟フレームが取り付けられている間仕切装置であって、
前記パネル体の上端面側は、上部連結具によって前記フレーム体における上フレームの下端側に取り付けられ、前記パネル体の下端面側は、下部連結具によって前記横桟フレームの上端側に取り付けられている、
間仕切装置。
【請求項2】
前記下部連結具は、前記横桟フレームを下方から貫通するファスナーである、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項3】
前記上部連結具は、自身の弾性変形を利用して、前記パネル体の上端面側を前記上フレームの下端側に取り付ける構成である、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項4】
前記下部連結具は、自身の弾性変形を利用して、前記パネル体の下端面側を前記横桟フレームの下端側に取り付ける構成である、
請求項1に記載した間仕切装置。
【請求項5】
前記フレーム体は、上フレーム、横桟フレーム及び下フレームの横方向端部をつなぐ一対の縦フレームを備えており、前記各縦フレームと前記パネル体との間には、前記各縦フレームを掴める隙間が形成されている、
請求項1~4のうちいずれかに記載した間仕切装置。
【請求項6】
前記パネル体の上下両端面には、前記上部連結具又は前記下部連結具を嵌める取り付け穴が上下対称状に形成されている、
請求項1~4のうちいずれかに記載したに記載した間仕切装置。
【請求項7】
前記パネル体を構成する表裏両面板の周縁部は、前記パネル体の厚み方向中央側に向けて断面鉤状に折り曲げられている、
請求項1~4のうちいずれかに記載した間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校施設やオフィスといった建物の室内空間を仕切る間仕切装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
学校施設やオフィスでは、間仕切装置などを使用して室内空間を区画することが広く行われている。室内空間を区画する態様の一例として、床面に立設した4本の支柱で支持された天枠体を有するフレーム式ブース家具が知られている(例えば特許文献1参照)。当該フレーム式ブース家具は、支柱と天枠体とで囲まれた空間を形成していて、ミーティングスペースやリフレッシュスペースとして使用可能になっている。また、特許文献1には、目隠し用のパネルやスクリーンを隣り合う支柱の間に取り付けて、フレーム式ブース家具の個室性を高めることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の間仕切装置においては、遮蔽や美感等の理由でホワイトボード等のパネル体を取り付ける場合がある。間仕切装置にパネル体を取り付けるには、例えば間仕切装置のフレームにパネル体をビス止めすることが挙げられる。
【0005】
しかし、これではビスの頭部が外部に露出するため、美感の点で検討の余地があるばかりか、多数箇所をビス止めするという取り付け作業はかなり面倒であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような現状を契機として成されたものであり、簡単な構造且つ低コストなもので、パネル体の取り付け作業性や美感にも優れた間仕切装置を提供しようとするものである。
【0007】
本発明は、枠状のフレーム体と、前記フレーム体の下フレームに取り付けられて前記フレーム体を自立させるベース体と、前記フレーム体の枠内に配置される矩形板状のパネル体とを備えており、前記フレーム体の上下中途部には、横方向に延びる横桟フレームが取り付けられている間仕切装置であって、前記パネル体の上端面側は、上部連結具によって前記フレーム体における上フレームの下端側に取り付けられ、前記パネル体の下端面側は、下部連結具によって前記横桟フレームの上端側に取り付けられているというものである。
【0008】
本発明の間仕切装置において、前記下部連結具は、前記横桟フレームを下方から貫通するファスナーであってもよい。
【0009】
本発明の間仕切装置において、前記上部連結具は、自身の弾性変形を利用して、前記パネル体の上端面側を前記上フレームの下端側に取り付ける構成であってもよい。
【0010】
本発明の間仕切装置において、前記下部連結具は、自身の弾性変形を利用して、前記パネル体の下端面側を前記横桟フレームの下端側に取り付ける構成であってもよい。
【0011】
本発明の間仕切装置において、前記フレーム体は、上フレーム、横桟フレーム及び下フレームの横方向端部をつなぐ一対の縦フレームを備えており、前記各縦フレームと前記パネル体との間には、前記各縦フレームを掴める隙間が形成されるようにしてもよい。
【0012】
本発明の間仕切装置において、前記パネル体の上下両端面には、前記上部連結具又は前記下部連結具を嵌める取り付け穴が上下対称状に形成されるようにしてもよい。
【0013】
本発明の間仕切装置において、前記パネル体を構成する表裏両面板の周縁部は、前記パネル体の厚み方向中央側に向けて断面鉤状に折り曲げ形成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、前記上部連結具によって前記上フレームの下端側に前記パネル体の上端面側を取り付け、前記下部連結具によって前記横桟フレームの上端側にパネル体の下端面側を取り付けるから、前記フレーム体の枠内に前記パネル体を嵌め込むようにして簡単且つ強固に取り付けできる。
【0015】
本発明の間仕切装置において、前記下部連結具として、前記横桟フレームを下方から貫通するファスナーを採用すれば、前記ファスナーの頭部を外部から見えにくくして美感を向上できるとともに、前記フレーム体に対する前記パネル体の取り付け強度を向上できる利点がある。
【0016】
本発明の間仕切装置において、前記上部連結具又は前記下部連結具として、自身の弾性変形を利用して連結するものを採用すれば、前記フレーム体に対する前記パネル体の着脱作業性を格段に向上できる。
【0017】
本発明の間仕切装置において、前記フレーム体は、上フレーム、横桟フレーム及び下フレームの横方向端部をつなぐ一対の縦フレームを備えており、前記各縦フレームと前記パネル体との間には、前記各縦フレームを掴める隙間が形成されるようにすれば、前記間仕切装置を移動させるのに、前記各縦フレームを簡単に掴めて移動させやすくできる。
【0018】
本発明の間仕切装置において、前記パネル体の上下両端面には、前記上部連結具又は前記下部連結具を嵌める取り付け穴が上下対称状に形成されるようにすれば、上下方向が逆向きになるように反転させて、前記パネル体を前記フレーム体に取り付けできる。すなわち、前記フレーム体に対する前記パネル体の取り付け作業性の簡素化を図れる。
【0019】
本発明の間仕切装置において、前記パネル体を構成する表裏両面板の周縁部は、前記パネル体の厚み方向中央側に向けて断面鉤状に折り曲げ形成されるようにすれば、前記表裏両面板の端縁(エッジ)が外向きに露出しないから、前記パネル体の周縁部に触れても角が立たず、前記パネル体の周縁部を手で持ったときに持ちやすい。前記表裏両面板が厚み方向に対称な形状になるから、前記パネル体全体としての美感も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態における間仕切装置の外観斜視図である。
【
図4】複数台の間仕切装置のネスティング状態を示す斜視図である。
【
図5】ネスティング状態でのベース体の側面図である。
【
図6】ネスティング状態でのベース体の底面図である。
【
図7】間仕切装置の外観斜視図であり、(a)は斜め上方から見た図、(b)は斜め下方から見た図である。
【
図8】パネル体の上部(又は下部)を示す拡大斜視図である。
【
図10】パネル体の平面視での説明図であり、(a)は拡大平面図、(b)は拡大平面断面図である。
【
図11】パネル体の側面視での説明図であり、(a)は一部切り欠き拡大側面図、(b)は一部切り欠き拡大側面断面図である。
【
図12】(a)~(c)はパネル体の取り付け手順の説明図である。
【0021】
【
図13】第2実施形態における上部連結具での固定態様を示す拡大側面断面図である。
【
図14】第3実施形態における上部連結具での固定態様を示す拡大側面断面図である。
【
図15】第4実施形態における上部連結具での固定態様を示す拡大側面断面図である。
【
図16】第5実施形態における上部連結具での固定態様を示す拡大側面断面図である。
【
図17】第6実施形態における上部連結具を説明する図であり、(a)は上コーナー部材の斜視図、(b)は上コーナー部材での固定態様を示す一部切り欠き拡大正面図である。
【
図18】第6実施形態における下部連結具を説明する図であり、(a)は下コーナー部材の斜視図、(b)は下コーナー部材での固定態様を示す一部切り欠き拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、方向等を特定するために「前後」「左右」の文言を使用している。この場合、ベース体3の平面視面積の大きい張り出し板部11のある側を手前(又は前)とし、当該張り出し板部11を基準にして、後ろ(又は奥)及び左右(又は横)を定義している。
【0023】
図1~
図12には、第1実施形態の間仕切装置1に関する構造を示している。
図1に示すように、第1実施形態の間仕切装置1は、金属丸パイプで骨組が構成された枠状のフレーム体2と、フレーム体2を自立させるベース体3とを備えている。フレーム体2は、左右一対の縦フレーム4と、縦フレーム4対の上端部同士をつなぐ上フレーム5と、縦フレーム4対の下端部同士をつなぐ下フレーム6と、縦フレーム4対の上下中途部同士をつなぐ左右横長の横桟フレーム7とを備えている。
【0024】
第1実施形態では、各縦フレーム4が上部パイプ8と下部パイプ9とに分離構成されている。各縦フレーム4の上部パイプ8は、上フレーム5の左右両端側を折り曲げて一体的に形成されている。各縦フレーム4の下部パイプ9は、下フレーム6の左右両端側を折り曲げて一体的に形成されている。第1実施形態の上下フレーム5,6は、ともにコ字状に折り曲げ形成された外観を呈している。この場合、上部パイプ8の長さが下部パイプ9のそれよりも長くなっている。
【0025】
詳細な図示は省略するが、上部パイプ8と下部パイプ9とは、両パイプ8,9内に挿し込み可能なフレーム連結具を介して着脱可能に連結されて、縦フレーム4として構成される。フレーム連結具と各パイプ8,9とは、ビスで固定されている。横桟フレーム7の左右各端部は、対応する縦フレーム4(第1実施形態では上部パイプ8の先端寄り部位)に枠内側から突き当ててビスで固定されている。フレーム連結具の構造自体は直接的に関係しないのでこれ以上詳述しないが、必要であれば本出願人による特開2022-17821号公報等を参照されたい。
【0026】
なお、フレーム体2には、ホワイトボード等のパネル体10(
図1等参照)や、布帛又はシート材といった薄い素材からなる面材(目隠し材)を取り付けることが可能になっている。
【0027】
図7(b)に示すように、上フレーム5の下端側には、下向きに開口した複数個の挿入穴44が横方向(長手方向)に適宜間隔で並べて形成されている。また、
図7(a)に示すように、横桟フレーム7には、上下に貫通した複数個の貫通穴45が横方向(長手方向)に適宜間隔で並べて形成されている。第1実施形態では、上フレーム5に四個の挿入穴44が形成され、横桟フレーム7には四個の貫通穴45が形成されている。挿入穴44群と貫通穴45群とは、上下対称な位置関係におかれている。詳細は後述するが、挿入穴44は、上部連結具が嵌め込まれる穴であり、貫通穴45は、下部連結具が嵌め込まれる穴である。
【0028】
フレーム体2を自立させるベース体3は、フレーム体2を挟んだ前後に張り出した姿勢で、下フレーム6の略中央部に取り付けられている。第1実施形態のベース体3は、平面視凸型で一枚板状の薄平板を折り曲げて、前張り出し板部11と後張り出し板部12と縦連接板部13とからなる段差状(Z字状とも言える)に形成されている。このため、ベース体3の構造を簡素化でき、コスト削減を図れる。前張り出し板部11と後張り出し板部12とは、平面視略矩形状に形成されている。そして、前張り出し板部11の平面視面積は、後張り出し板部12の平面視面積よりも大きくなっている(
図2及び
図6参照)。
【0029】
ベース体3は、下フレーム6に対するベース体3の取り付け強度を高めるために、下フレーム6に上から被さるように配置されている。第1実施形態では、前張り出し板部11の下面後辺側が下フレーム6に上方から載り、縦連接板部13の前面側が下フレーム6に後方から当接している。ベース体3(前張り出し板部11の下面後辺側と縦連接板部13)は、下フレーム6に溶接にて固定されている。
【0030】
下フレーム6に対するベース体3の固定態様は、ビス止めやリベット止め等でも差し支えないが、第1実施形態のように溶接にて固定すると、取り付け強度と信頼性とに優れたものになる。なお、
図3では、溶接によるビードを符号14にて示している。第1実施形態において、ベース体3の縦連接板部13の下端側を下フレーム6の上部側に載せて溶接にて固定しても差し支えない。
【0031】
図2~
図6に示すように、各張り出し板部11,12の下面のうち横方向両側(左右両側)には、車輪式のキャスター15,16が旋回可能に取り付けられている。第1実施形態では、前張り出し板部11における下面前辺側の左右両コーナー部に、大径キャスター15が配置されている。後張り出し板部12における下面後辺側の左右両コーナー部には、小径キャスター16が配置されている。従って、ベース体3下面には、合計四個のキャスター15,16が配置されている。
【0032】
前述の通り、第1実施形態のベース体3は、前張り出し板部11と後張り出し板部12と縦連接板部13とからなる段差状に形成されていて、前張り出し板部11の床面Fからの高さHfが後張り出し板部12の床面Fからの高さHbよりも高くなっている(Hf>Hb)。このため、キャスター15,16群を床面Fに接地させた状態で、ベース体3が床面Fに平行な水平姿勢となるように、前張り出し板部11側に大径キャスター15対が配置され、後張り出し板部12側に小径キャスター16対が配置されている。
【0033】
第1実施形態では、前張り出し板部11における下面前辺側の左右両コーナー部に、大径用受け座17が溶接等にて取り付けられている。各大径用受け座17に大径キャスター15の取り付け座15aを下方から重ね合わせてビス止めすることによって、前張り出し板部11に大径キャスター15対が装着されている。後張り出し板部12における下面後辺側の左右両コーナー部には、小径用受け座18が溶接等にて取り付けられている。各小径用受け座18に小径キャスター16の取り付け座16aを下方から重ね合わせてビス止めすることによって、後張り出し板部12に小径キャスター16対が装着されている。
【0034】
図2及び
図6に示すように、前張り出し板部11の横幅寸法Wfは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(Wf>Wb)。そして、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMは、後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっている(IM>Wb)。
【0035】
第1実施形態では、前張り出し板部11の床面Fからの高さHfを後張り出し板部12の床面Fからの高さHbよりも高くする(Hf>Hb)という簡単な構成を採用して、前後ネスティング可能な間仕切装置1を実現している。その上、前張り出し板部11の横幅寸法Wfが後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっているから(Wf>Wb)、高さの低い後張り出し板部12を、高さの高い前張り出し板部11の下方に潜り込ませた場合、後張り出し板部12を前張り出し板部11で覆い隠すことができる。すなわち、高さの低い後張り出し板部12と、高さの高い前張り出し板部11とを上下方向に重ね合わせやすく、ネスティングピッチのコンパクト化を図れる。
【0036】
さらに、前張り出し板部11における大径キャスター15対の間の内法寸法IMが後張り出し板部12の横幅寸法Wbよりも長くなっているから(IM>Wb)、高さの低い後張り出し板部12を、高さの高い前張り出し板部11の下方にスムーズに潜り込ませて、前後にネスティングされた間仕切装置1を、高さの高い前張り出し板部11側における大径キャスター15対のガイド作用によって、横方向(左右方向)にずれないように保持できる。
【0037】
換言すると、複数台の間仕切装置1のネスティングに際して、移動させてきた後続の間仕切装置1の後張り出し板部12を、停止している先行の間仕切装置1の前張り出し板部11の下方に潜り込ませると、高さの高い前張り出し板部11側における大径キャスター15対のガイド作用によって、後続の間仕切装置1が先行の間仕切装置1と直列に並ぶように、自動的に位置と姿勢が修正される。
【0038】
従って、複数台の間仕切装置1を、見栄えよく直列に並べて収納できる。また、複数台の間仕切装置1をネスティング状態で押して移動させるに際して、列を乱すことなく安定的に移動させられる。
【0039】
次に、
図8~
図12も参照しながら、パネル体10の詳細構造について説明する。
図1、
図4及び
図7等に示すように、パネル体10は、表裏両面に筆記できる、いわゆるホワイトボードとして機能するものであり、左右の縦フレーム4対、上フレーム5及び横桟フレーム7とで囲まれた枠内に配置された矩形板状に形成されている。
【0040】
パネル体10の横幅寸法は、縦フレーム4対間の内法寸法よりも小さくなっている。フレーム体2にパネル体10を取り付けた状態では、左右の縦フレーム4とパネル体10との間に、各縦フレーム4を掴める隙間20が形成される(
図1及び
図7参照)。パネル体10の左右に隙間20を存在させることによって、間仕切装置1を移動させるのに、各縦フレーム4を簡単に掴めて移動させやすくできる。
【0041】
図8及び
図9に示すように、パネル体10は、ハニカム構造の芯材51と、芯材51の周囲を取り囲む枠材52と、芯材51及び枠材52の表裏両面に固着された金属製の化粧板53とを含む積層構造(サンドイッチ構造)になっている。枠材52は、木質繊維を素材とする成型板等からなっている。化粧板53は、芯材3及び枠材52の表裏両面に接着にて貼り付けられ、芯材51及び枠材52の表裏両面を覆っている。
【0042】
枠材52は、四角枠状に構成されていて、左右一対の縦枠52aと、縦枠52a対の上端部同士をつなぐ上枠52bと、縦フレーム4対の下端部同士をつなぐ下枠52cとを備えている。枠材52のうち上枠52bの上端面には、上フレーム5の各挿入穴44に対応する上向き開口状の上取り付け穴54が、上枠52bの長手方向に適宜間隔で並べて形成されている。また、枠材52のうち下枠52cの下端面には、横桟フレーム7の各貫通穴45に対応する下向き開口状の下取り付け穴55が、下枠52cの長手方向に適宜間隔で並べて形成されている。上取り付け穴54と下取り付け穴55とは、上下対称な位置関係におかれている。
【0043】
上フレーム5の挿入穴44に対応する上取り付け穴54は、上部連結具が嵌め込まれる穴であり、横桟フレーム7の貫通穴45に対応する下取り付け穴55は、下部連結具が嵌め込まれる穴である。第1実施形態では、上取り付け穴54が挿入穴44に対応して上枠52bに四個形成され、下取り付け穴55が貫通穴45に対応して下枠52cに四個形成されている。
【0044】
図8及び
図10~
図12に示すように、表裏両方の化粧板53の四周縁部は、パネル体10の厚み方向中央側に向けて断面鉤状に折り曲げられている。このため、パネル体10における四周端面の厚み方向中央部には、表裏化粧板53の折り曲げ鉤部53a同士が対峙して形成される凹溝56が現れている。隣り合う端面に形成された凹溝56同士は、隣り合う端面同士が突き合わさるコーナー部で連通するような位置関係になっている。
【0045】
このように構成すると、表裏両方の化粧板53の四周縁部によって枠材52の四周端面を覆い隠せ、パネル体10の美感を向上できる。また、表裏両方の化粧板53の端縁(エッジ)が外向きに露出しないから、パネル体10の周縁部(表裏両方の化粧板53の四周縁部)に触れても角が立たず、パネル体10の周縁部(表裏両方の化粧板53の四周縁部)を手で持ったときに持ちやすい。表裏両方の化粧板53が厚み方向に対称な形状になるから、パネル体10全体としての美感向上に貢献する。
【0046】
図8及び
図10~
図12に示すように、パネル体10の上端面(表裏化粧板53における上側の折り曲げ鉤部53aの上端面)には、各上取り付け穴54を外部に露出させる角穴57が形成されている。また同様に、パネル体10の下端面(表裏化粧板53における下側の折り曲げ鉤部53aの下端面)にも、各下取り付け穴55を外部に露出させる角穴57が形成されている。パネル体10上端面側の角穴57は、上取り付け穴54に対応して四個形成され、パネル体10下端面側の角穴57は、下取り付け穴55に対応して四個形成されている。
【0047】
各上取り付け穴54には、縦長のピン58が挿し込み装着される。各下取り付け穴55には、ファスナーとしてのねじ59が横桟フレーム7において対応する貫通穴45を介して下方からねじ込まれる。ピン58が上部連結具に相当し、ねじ59が下部連結具に相当する。
【0048】
上記の構成において、フレーム体2に対するパネル体10の取り付けは、例えば次の手順で行われる。フレーム体2にパネル体10を対峙させて、各上取り付け穴54に装着されたピン58の突出端側を、上フレーム5において対応する挿入穴44に下方から挿入する(
図12(a)参照)。次いで、パネル体10の下端面を横桟フレーム7の上端側に載せて、各下取り付け穴55を、横桟フレーム7において対応する貫通穴45に重ね合わせる(
図12(b)参照)。そして、各貫通穴45を介して対応する下取り付け穴55に、ねじ(ファスナー)59を下方からねじ込む(
図12(c)参照)。その結果、フレーム体10(上フレーム5及び横桟フレーム7)にパネル体10が着脱可能に締結される。
【0049】
上記のように構成すると、フレーム体2の枠内にパネル体10を嵌め込むようにして簡単且つ強固に取り付けできる。また、下部連結具として、横桟フレームを下方から貫通するねじ(ファスナー)59を採用しているから、ねじ59の頭部を外部から見えにくくして美感を向上できるとともに、フレーム体2に対するパネル体10の取り付け強度を向上できる利点がある。
【0050】
さらに上記のように、パネル体10の上下両端面に取り付け穴54,55を上下対称状に形成すると、上下方向が逆向きになるように反転させて、パネル体10をフレーム体2に取り付けできる。すなわち、フレーム体2に対するパネル体10の取り付け作業性の簡素化を図れる。
【0051】
図13~
図16には、上部連結具の別態様である他の実施形態を示している。なお、第2実施形態以降の実施形態において、詳細な説明を省略したものは、第1実施形態と同様の構成及び作用効果を奏するものとして、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0052】
第2~第5実施形態は、縦長のピン58に代えて、パネル体10の上端面側に装着可能な笠木を応用して上部連結具に構成した例である。
図13に示す第2実施形態の上部連結具60は、パネル体10の上端面側に被さる断面下向きコ字状で横長の笠木部材60aと、上フレーム5の下端側に下から嵌まる断面半円状で横長の受け部材60bとを一体形成してなるものである。第2実施形態の上部連結具60は、例えば合成樹脂製でもよいし、金属製の押出し成形品でもよい。
【0053】
図14に示す第3実施形態の上部連結具61は、パネル体10の上端面側に被さる断面下向き略M字状で横長に形成されている。上部連結具61の上面には、上フレーム5の下端側が嵌まる凹み溝61aが長手方向に沿って形成されている。第3実施形態の上部連結具61についてもその材質は特に問わない(合成樹脂製でも金属製でもよい)。
【0054】
図15に示す第4実施形態では、上フレーム5の下端側に、第1実施形態の挿入穴44群に代えて、ビス穴62が横方向(長手方向)に適宜間隔で並べて形成されている。第4実施形態の上部連結具63は、パネル体10の上端面側に被さる断面下向きコ字状で横長に形成されている。上部連結具63の上面には、上フレーム5の各ビス穴62(パネル体10の各角穴57といってもよい)に対応する挿通穴63aが形成されている。
【0055】
この場合、上部連結具63の各挿通穴63aに下方から挿し込んだビス64を、上フレーム5において対応するビス穴62にねじ込んで、上フレーム5の下側に上部連結具63を吊り下げ固定し、上部連結具63の下向き開口にパネル体10の上端面側を下方から嵌め込むことによって、パネル体10の上部が上部連結具63に把持される。
【0056】
図16に示す第5実施形態の上部連結具65は、上フレーム5に上方から被さる断面下向きU字状で横長に形成されている。上部連結具65における前後の先端部には、相対向する化粧板53に向けて突出する係止爪65aが形成されている。表裏両方の化粧板53の上部には、上部連結具65の係止爪65aが引っ掛かり係止する係止溝66が形成されている。上フレーム5の上方から上部連結具65を被せて、前後の係止爪65aを対応する化粧板53の係止溝66に係合させることによって、上部連結具65が上フレーム5とパネル体10の上部とをまとめて把持している。
【0057】
なお、第2~第5実施形態の下部連結具は、第1実施形態と同様のねじ59とその固定態様を採用すればよい。第2~第5実施形態の上部連結具60,61,63,65について、その材質は特に問わない(合成樹脂製でも金属製でもよい)。
【0058】
図17及び
図18には、上部連結具並びに下部連結具の別態様である第6実施形態を示している。第6実施形態の上部及び下部連結具は、パネル体10における四箇所のコーナー部に嵌め込まれるL型のコーナー部材67,68である。
図17(a)(b)に示す上コーナー部材67は、パネル体10における上側の左右両コーナー部に嵌め込まれる左右一対のものであり、ビス止め式に構成されている。各上コーナー部材67には、パネル体10における上側の左右コーナー部に嵌まるL溝67aと、上フレーム5の下端側が嵌まる当接溝67bとが形成されている。当接溝67bの底部にビス69を挿通させる挿通穴67cが形成されている。
【0059】
図18(a)(b)に示す下コーナー部材68は左右一対のものであり、パネル体10における下側の左右両コーナー部に嵌め込まれる強制嵌合式に構成されている。各下コーナー部材67には、パネル体10における下側の左右コーナー部に嵌まるL溝68aと、横桟フレーム7の上端側に載せる当接溝68bとが形成されている。当接溝68bの内底部には、板バネ式のロックピン68cが一体的に形成されている。
【0060】
第6実施形態では、上フレーム5下端側における左右の対応箇所に、当接溝67bが上フレーム5下端側に下から嵌まるようにして、各上コーナー部材67を上フレーム5にビス69止めしておき、その上で、それぞれのL溝68a内に、パネル体10における上側の左右コーナー部を挿し込む(
図17(b)参照)。
【0061】
そして、パネル体10における下側の左右コーナー部に、それぞれ下コーナー部材68を嵌め込んだ状態(下側の各コーナー部をL溝68a内に挿し入れた状態)で、各下コーナー部材68の当接溝68b側を、横桟フレーム7上端側における左右の対応箇所に載せ、当該箇所に形成された係合穴70に、ロックピン68cを強制嵌合させる(
図18(b)参照)。その結果、フレーム体10(上フレーム5及び横桟フレーム7)にパネル体10が着脱可能に締結される。
【0062】
なお、上コーナー部材67と下コーナー部材68との上下関係を逆にして、上側を強制嵌合式のコーナー部材、下側をビス止め式のコーナー部材としてもよい。この場合、パネル体10の取り付け態様は、第6実施形態のものと上下逆になる。
【0063】
第2~第6実施形態のように、上部連結具60,61,63,65,67又は下部連結具68として、自身の弾性変形を利用して連結するものを採用すれば、フレーム体2に対するパネル体10の着脱作業性を格段に向上できる。
【0064】
なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 間仕切装置
2 フレーム体
3 ベース体
4 縦フレーム
5 上フレーム
6 下フレーム
7 横桟フレーム
10 パネル体
44 挿入穴
45 貫通穴
52 枠材
52b 上枠
52c 下枠
53 化粧板
53a 折り曲げ鉤部
54 上取り付け穴
55 下取り付け穴
57 角穴
58 ピン
59 ねじ