(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003054
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】耳栓の製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20231228BHJP
A61F 11/10 20060101ALI20231228BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
A61F11/10 100
G10K11/162
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186033
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2018213354の分割
【原出願日】2018-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】506249347
【氏名又は名称】株式会社発明屋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙治
(57)【要約】
【課題】音楽を聴くことができる耳栓の製造方法を提供する。
【解決手段】耳栓1は、電気信号を音声に変換するドライバユニット2と、ドライバユニット2を外耳道に向けて保持する遮音部材3と、を有する。遮音部材3は、外耳道を閉塞可能である。遮音部材3は、伸縮性及び柔軟性を有する。遮音部材3は、ドライバユニット2の全体を収容する収容室4を有する。収容室4の開口部4aは、ドライバユニット2を収容室4に収容した後に、樹脂5を収容室4に注入し硬化させることにより、樹脂5で閉塞されている。樹脂5は、遮音部材3及びケーブル6と結合している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳栓の製造方法であって、
前記耳栓は、
電気信号を音声に変換するドライバユニットと、
前記ドライバユニットを外耳道に向けて保持する遮音部材と、
前記ドライバユニットに一端が接続され、多端が前記遮音部材の外に延びるケーブルと、を有し、
前記ドライバユニットは放音部を有し、
前記遮音部材は、外耳道を閉塞可能であり、
前記遮音部材は、伸縮性及び柔軟性を有する充実体であり、
前記遮音部材は、前記ドライバユニットの全体を収容する収容室を有し、
前記遮音部材は、外耳道に挿入可能であり、
前記収容室の開口部は、前記遮音部材の外耳道への反挿入側端部に設けられており、
前記ケーブルは、前記開口部から前記遮音部材の外に延びており、
前記ドライバユニットを前記収容室に収容した後に、前記開口部から前記収容室に樹脂を注入し、その後、当該樹脂を硬化させることにより、当該樹脂を前記遮音部材及び前記ケーブルと結合させるとともに、前記開口部を当該樹脂で閉塞した、耳栓の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂には、熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂が含まれる、請求項1記載の耳栓の製造方法。
【請求項3】
前記遮音部材は、前記ドライバユニットの側壁と外耳道の内壁との間を埋める振動伝達材である、請求項1記載の耳栓の製造方法。
【請求項4】
前記遮音部材は、比較的低域の音に比べて比較的高域の音に対する遮音性が高い、請求項1記載の耳栓の製造方法。
【請求項5】
前記遮音部材は、低反発フォーム又は低反発ゴムである、請求項1記載の耳栓の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、耳栓に関する。
【背景技術】
【0003】
騒音対策等のために耳栓が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耳栓では音楽などを聴くことができない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、音楽などを聴くことができる耳栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の耳栓は、
電気信号を音声に変換するドライバユニットと、当該ドライバユニットを外耳道に向けて保持する遮音部材と、を有し、
前記遮音部材は、外耳道を閉塞可能であり、
前記遮音部材は、伸縮性及び柔軟性を有し、
前記遮音部材は、前記ドライバユニットの全体を収容する収容室を有し、
前記収容室の開口部は、樹脂で閉塞されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1乃至
図3に示すように、一実施形態の耳栓1は、電気信号を音声に変換するドライバユニット2と、ドライバユニット2を外耳道(不図示)に向けて保持する遮音部材3と、ケーブル6と、を有している。
【0009】
遮音部材3は、外耳道を閉塞可能である。
遮音部材3は、伸縮性及び柔軟性を有する。
遮音部材3は、外耳道に挿入可能である。
遮音部材3は、ドライバユニット2の側壁(外周面)2aと外耳道の内壁との間を埋める振動伝達材である。
遮音部材3は、比較的低域の音に比べて比較的高域の音に対する遮音性が高い性質を有している。
遮音部材3は、低反発フォーム又は低反発ゴムである。遮音部材3の素材の例として、低反発ポリウレタンを挙げることができる。低反発ポリウレタンからなる遮音部材3は、圧縮されると変形し、圧縮されなくなると、元の形状にゆっくりと戻る。遮音部材3は、外耳道の内壁に気密に密着する。これにより、高い遮音性が得られる。
遮音部材3は、これを貫通する貫通孔を有していない。
遮音部材3は、ドライバユニット2の全体を収容する収容室4を有する。
【0010】
収容室4は、円筒状である。
収容室4の開口部4aは、樹脂5で閉塞されている。
収容室4の開口部4aは、遮音部材3の外耳道への反挿入側端部3aに設けられている。
【0011】
反挿入側端部3aは、遮音部材3のを外耳道に正しく挿入したときに、外耳道の外に向く側の端部である。挿入側端部3bは、遮音部材3のを外耳道に正しく挿入したときに、外耳道の奥に向く側の端部である。
【0012】
ドライバユニット2は、入力電気信号に基づく放音(音響再生)を行う。ドライバユニット2の形状は、円柱状である。ドライバユニット2は、収容室4と互いに同軸に配置されている。ドライバユニット2の外周面2aと収容室4の内周面4bは互いに接している。ドライバユニット2の先端面(放音部)2bは、収容室4の最奥面4cに面している。
【0013】
ケーブル6は、図示しない再生装置からの電気信号をドライバユニット2に伝達する。ケーブル6の一端は、ドライバユニット2の信号端子4dに接続されている。ケーブル6の他端側は、樹脂5から外に延びている。
【0014】
樹脂5は、ドライバユニット2を収容室4に収容した後に、開口部4aから収容室4に注入される。樹脂5の例として、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、等を挙げることができる。樹脂5は、収容室4に注入された後、硬化する。樹脂5は、硬化すると同時に、遮音部材3と強固に結合する。これにより、ドライバユニット2が遮音部材3に固定される。樹脂5は、硬化すると同時に、ケーブル6のシース6aと強固に結合する。これにより、ケーブル6に掛かる力が、リード線6bと信号端子4dとの接続部に作用するのを防止することができる。よって、ケーブル6に所謂抜け止め用の結び目を設ける必要がなくなる。
ケーブル6に抜け止め用の結び目による大曲率部が形成されないことで、曲げによるケーブル6の電気特性の悪化を回避できる。
【0015】
遮音部材3は、その大部分が外耳道内に挿入される。遮音部材3は、ドライバユニット2を外耳道の奥に向けて保持する。遮音部材3は、外耳道の内壁に密着する。
【0016】
遮音部材3は、ドライバユニット2と外耳道の内壁との間を埋める。ドライバユニット2と外耳道の内壁との間は、遮音部材3により、振動伝達可能に接続される。
【0017】
遮音部材3は、ドライバユニット2から放音される音の伝達媒体となる。ドライバユニット2から放音された音の一部は、遮音部材3は、を通過する。遮音部材3は、ドライバユニット2から放音された音のエネルギーを一部吸収する。その吸収されたエネルギーの一部は、遮音部材3を媒体とする振動のエネルギーである。
【0018】
ドライバユニット2の放音部2bから出た音の一部は、遮音部材3を介して外耳道の奥側(鼓膜側)の空間に放音(空気振動として放出)される。ドライバユニット2の放音部2bから出た音の一部は、遮音部材3を伝って外耳道の内壁に伝達される。外耳道の内壁に伝達される音(振動)には、遮音部材3を媒体とする固体振動が含まれる。ドライバユニット2の振動の一部は、遮音部材3を介して外耳道の内壁に伝達される。
【0019】
上記のように構成された一実施形態の耳栓1は、ドライバユニット2の放音部2bから出た音を、音導管(不図示)を通さずに外耳道内に放音する。また、耳栓1は、ドライバユニット2と外耳道の内壁とを、遮音部材3を介して振動伝達可能に接続する。このため、耳栓1は、音導管を有するカナル型イヤホンと比較して中低音再現性が良い。
【0020】
また、耳栓1は、非貫通型の遮音部材3を備えている。このため、耳栓1は、貫通型のイヤプラグを備えたイヤホンと比較して低音再現性が良い。これは、遮音部材3が、比較的高域の音に対する遮音性(吸音性)が高い性質を持つことによる。すなわち、ドライバユニット2の放音部2bから出た音は、遮音部材3を経ることにより、高域成分に対し低域成分が相対的に増幅される。
【0021】
また、耳栓1は、ドライバユニット2の振動(放音部2bから出た音及びドライバユニット2自体の振動を含む)を、遮音部材3を介して外耳道の内壁に伝達するので、ドライバユニット2による再生音を、空気の振動のみならず、皮膚及び骨の振動によって、聴覚器官(耳小骨、渦巻管、等)に伝達することができる。このことは、再生音の可聴性に極めて有利に働く。
【0022】
また、耳栓1は、耳に接触する部分が遮音部材3であり且つ遮音部材3が柔軟な部材であるので、耳への装着感が良好で、長時間着けていても耳が痛くなり難い。また、耳栓1を耳に装着した状態において、耳栓1が耳から出っ張らないので、耳栓1を耳に装着した状態で、耳を枕など当接対象 (不図示)に当てても、耳栓1が当接対象と干渉し難い。したがって、耳栓1は、寝ホンすなわち、ユーザが寝ながら音楽などを聴く態様での使用に適している。
【0023】
なお、本発明の実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。
【0024】
例えば、上記の例の耳栓1は、所謂ベル型の遮音部材3を備えているが、遮音部材3は所謂弾丸型でも円柱型でもよい。また、遮音部材3は略球形であってもよい。
【0025】
また、耳栓1は、ドライバユニット2を被覆するキャップ(ケーシング)を更に有し、遮音部材3は、ドライバユニット2を当該キャップごと収容してもよい。
【0026】
以上のように、本明細書には、以下の内容が開示されている。
(1)
電気信号を音声に変換するドライバユニットと、当該ドライバユニットを外耳道に向けて保持する遮音部材と、を有し、
前記遮音部材は、外耳道を閉塞可能であり、
前記遮音部材は、伸縮性及び柔軟性を有し、
前記遮音部材は、前記ドライバユニットの全体を収容する収容室を有し、
前記収容室の開口部は、樹脂で閉塞されている、耳栓。
この構成によれば、極めて簡単な構成で、音楽などを聴くことができる耳栓を実現することができる。
【0027】
(2)
前記遮音部材と前記樹脂は互いに結合している、(1)の耳栓。
この構成によれば、遮音部材と樹脂とを一体化させ、ドライバユニットを遮音部材内に固定することができる。
【0028】
(3)
前記ドライバユニットに一端が接続され、多端が前記樹脂から外に延びるケーブルを有し、
前記ケーブルは、前記樹脂と結合している、(1)又は(2)記載の耳栓。
この構成によれば、ケーブルと樹脂とを一体化させ、ケーブルに掛かる力が、ケーブルとドライバユニットとの接続部に作用するのを防止することができる。
【0029】
(4)
前記遮音部材は、外耳道に挿入可能であり、
前記収容室の開口部は、前記遮音部材の外耳道への反挿入側端部に設けられている、(1)乃至(3)のいずれかの耳栓。
【0030】
(5)
前記遮音部材は、前記ドライバユニットの側壁と外耳道の内壁との間を埋める振動伝達材である、(1)乃至(4)のいずれかの耳栓。
【0031】
(6)
前記遮音部材は、比較的低域の音に比べて比較的高域の音に対する遮音性が高い、(1)乃至(5)のいずれかの耳栓。
【0032】
(7)
前記遮音部材は、低反発フォーム又は低反発ゴムである、(1)乃至(6)のいずれかの耳栓。
【符号の説明】
【0033】
1 耳栓
2 ドライバユニット
2a 外周面
2b 放音部
3 遮音部材
3a 反挿入側端部
4 収容室
4a 開口部
4b 内周面
4d 信号端子
5 樹脂
6 ケーブル
6a シース