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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030542
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/38 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B29D30/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133502
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中辻 俊晴
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA11
4F215VD16
4F215VD19
4F215VP11
(57)【要約】
【課題】オープンコードが抑制されたタイヤの提供。
【解決手段】
タイヤ製造方法は、
A:複数のグルーブを有する供給ロールから、複数のコードを、磁力でそれぞれのグルーブに1つのコードを付着させつつ、カレンダーに送る工程、
B:上記カレンダーにて、上記コードに未架橋ゴム組成物を被覆し、トッピングシートを得る工程、
C:上記トッピングシートを他の部材とアッセンブリーし、ローカバーを得る工程、
及び
D:上記ローカバーをモールド内で加圧及び加熱する工程
を含む。この供給ロールは、軸方向に沿って並ぶ複数のグルーブと、複数のマグネットとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A:複数のグルーブを有する供給ロールから、複数のコードを、磁力でそれぞれのグルーブに1つのコードを付着させつつ、カレンダーに送る工程、
B:上記カレンダーにて、上記コードに未架橋ゴム組成物を被覆し、トッピングシートを得る工程、
C:上記トッピングシートを他の部材とアッセンブリーし、ローカバーを得る工程、
及び
D:上記ローカバーをモールド内で加圧及び加熱する工程
を備えた、タイヤ製造方法。
【請求項2】
カレンダーと、このカレンダーに向けて並列されたコードを送るための供給ロールとを備えており、
上記供給ロールが、軸方向に沿って並ぶ複数のグルーブと、複数のマグネットとを有しており、
それぞれのグルーブが、周方向に沿って延在しており、
それぞれのマグネットが、上記グルーブの半径方向内側に位置している、トッピング装置。
【請求項3】
上記マグネットが、ラジアル異方性タイプ又は等方性タイプである、請求項2に記載のトッピング装置。
【請求項4】
上記マグネットが、上記供給ロールの周方向に沿って延在する、請求項2又は3に記載のトッピング装置。
【請求項5】
上記マグネットが、上記供給ロールの軸方向に沿って延在する、請求項2又は3に記載のトッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、タイヤの製造方法を開示する。詳細には、本明細書は、改良されたトッピング工程を開示する。
【背景技術】
【0002】
一般的なタイヤは、ベルトを有している。このベルトは、並列された多数のコードとトッピングゴムとを有している。このタイヤの製造では、並列されたコードがカレンダーへと送られる。カレンダーにおいて、これらのコードが未架橋ゴム組成物で被覆されて、ベルト用のゴムシートが完成する。この工程は、トッピングと称されている。このゴムシートが他の部材とアッセンブリーされて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーがモールド内で加圧及び加熱されて、タイヤが完成する。カレンダーが用いられたトッピング工程の一例が、特開2007-301850公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-301850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トッピング工程では、並列されたコードが、供給ロールを経てカレンダーへと送られる。供給ロールは、複数のグルーブを有している。それぞれのグルーブは、供給ロールの周方向に沿って延在している。これらのグルーブは、供給ロールの軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。それぞれのグルーブに、1本のコードが嵌まる。これらのグルーブに案内されることで、複数のコードが等ピッチで並列しつつ、カレンダーへと進行する。
【0005】
意図されない架橋反応の進行により、カレンダーにおいて、高硬度のゴムが局所的に存在することがある。この高硬度なゴムによって本来の方向へのコードの進行が妨げられ、コードがグルーブから脱抜することがある。脱抜は、他の要因によっても生じうる。この脱抜は、コードのピッチの不統一を招来する。これらのコードを含むベルトでは、局所的にコードのピッチが大きい箇所が存在する。この現象は、「オープンコード」と称される。オープンコードは、ベルトの機能を阻害しうる。ベルト以外の部材でも、オープンコードは、この部材の機能を阻害しうる。
【0006】
本出願人の意図するところは、オープンコードが抑制されうるタイヤ製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示するタイヤ製造方法は、
A:複数のグルーブを有する供給ロールから、複数のコードを、磁力でそれぞれのグルーブに1つのコードを付着させつつ、カレンダーに送る工程、
B:上記カレンダーにて、上記コードに未架橋ゴム組成物を被覆し、トッピングシートを得る工程、
C:上記トッピングシートを他の部材とアッセンブリーし、ローカバーを得る工程、
及び
D:上記ローカバーをモールド内で加圧及び加熱する工程
を備える。
【発明の効果】
【0008】
このタイヤ製造方法では、グルーブからのコードの脱抜が生じにくい。この製造方法では、オープンコードが生じにくい。この製造方法により、高品質なタイヤが得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るトッピング装置が示された正面図である。
図2図2は、図1の装置のプレスロールの一部が示された斜視図である。
図3図3は、図2のプレスロールの一部が示された拡大図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、図4のプレスロールの一部が示された拡大図である。
図7図7は、図6のプレスロールのマグネットの一部が示された拡大斜視図である。
図8図8は、図1の装置のコムロールの一部が示された断面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、図1の装置の一部が示された拡大平面図である。
図11図11は、図6のプレスロールがコードと共に示された断面図である。
図12図12は、図1の装置で得られたトッピングシートの一部が示された斜視図である。
図13図13は、他の実施形態に係るトッピング装置のマグネットの一部が示された斜視図である。
図14図14は、さらに他の実施形態に係るトッピング装置のプレスロールの一部が示された拡大図である。
図15図15は、図14のXV-XV線に沿った断面図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1に示されたトッピング装置2は、第一カレンダー4a、第二カレンダー4b、プレスロール6及びコムロール8を有している。プレスロール6及びコムロール8のそれぞれは、供給ロールである。
【0012】
第一カレンダー4aは、上ロール10a及び下ロール12aを有している。上ロール10aは、図1において矢印A1で示される方向に、回転している。下ロール12aは、図1において矢印A2で示される方向に、回転している。第一カレンダー4aは、上ロール10aと下ロール12aとの間に、ニップ14aを有している。
【0013】
第二カレンダー4bは、上ロール10b及び下ロール12bを有している。上ロール10bは、図1において矢印A3で示される方向に、回転している。下ロール12bは、図1において矢印A4で示される方向に、回転している。第二カレンダー4bは、上ロール10bと下ロール12bとの間に、ニップ14bを有している。
【0014】
第一カレンダー4aの上ロール10aと、第二カレンダー4bの下ロール12bとの間には、メインニップ16が形成されている。
【0015】
図2-5に、プレスロール6が示されている。これらの図において、矢印Xはプレスロール6の軸方向を表す。このプレスロール6は、主部18と複数のグルーブ20とを有している。図3から明らかなように、それぞれのグルーブ20は、主部18の外周面22から凹んでいる。図5から明らかなように、このグルーブ20は、プレスロール6の周方向に沿って延在している。図3及び4から明らかなように、複数のグルーブ20が、プレスロール6の軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。図4における矢印P1は、グルーブ20のピッチを表す。グルーブ20の数は、一般的には、300から1000である。
【0016】
プレスロール6はさらに、複数のマグネット24を有している。図5から明らかなように、それぞれのマグネット24は、リング形状を有している。このマグネット24は、プレスロール6の周方向に沿って延在している。図4から明らかなように、複数のマグネット24が、プレスロール6の軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。
【0017】
図6は、図4のプレスロール6の一部が示された拡大図である。図6において、矢印Xはプレスロール6の軸方向を表し、矢印Yはプレスロール6の半径方向を表す。この図から明らかな通り、それぞれのマグネット24は、半径方向においてグルーブ20よりも内側(図6における下側)に位置している。本実施形態では、グルーブ20に連続して主部18に形成された窪み26に、マグネット24が嵌め込まれている。このマグネット24の外周面28は、露出している。この外周面28は、グルーブ20の底面を形成している。
【0018】
図6から明らかな通り、1つのグルーブ20の内側に、1つのマグネット24が存在している。従って、マグネット24の数は、グルーブ20の数と一致している。グルーブ20のピッチP1は、マグネット24のピッチでもある。
【0019】
図7に、マグネット24の一部が示されている。このマグネット24は、S極及びN極を有している。S極及びN極は、軸方向に沿って並んでいる。このマグネット24は、強磁性体を引き寄せうる。
【0020】
図8及び9に、コムロール8が示されている。本実施形態では、コムロール8の外径はプレスロール6のそれよりも小さい。サイズを除くコムロール8の構造は、概してプレスロール6のそれと同様である。このコムロール8は、主部30と複数のグルーブ32とを有している。それぞれのグルーブ32は、主部30の外周面34から凹んでいる。このグルーブ32は、コムロール8の周方向に沿って延在している。複数のグルーブ32が、コムロール8の軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。図8における矢印P2は、グルーブ32のピッチを表す。本実施形態では、ピッチP2は、プレスロール6のグルーブ20のピッチP1(図4参照)と同一である。グルーブ32の数は、一般的には、300から1000である。
【0021】
コムロール8はさらに、複数のマグネット36を有している。図9から明らかなように、それぞれのマグネット36は、リング形状を有している。このマグネット36は、コムロール8の周方向に沿って延在している。図8から明らかなように、複数のマグネット36が、コムロール8の軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。このマグネット36は、プレスロール6のマグネット24(図7参照)と同様に、S極及びN極を有している。このマグネット36は、強磁性体を引き寄せうる。それぞれのマグネット36は、半径方向においてグルーブ32よりも内側に位置している。このマグネット36の外周面38は、露出している。この外周面38は、グルーブ32の底面を形成している。
【0022】
図8から明らかな通り、1つのグルーブ32の内側に、1つのマグネット36が存在している。従って、マグネット36の数は、グルーブ32の数と一致している。グルーブ32のピッチP2は、マグネット36のピッチでもある。
【0023】
図10は、図1のトッピング装置2の一部が示された拡大平面図である。図10には、プレスロール6及びコムロール8が示されている。図10にはさらに、複数のコード40も示されている。それぞれのコード40の材質は、結晶構造がbccであるスチールである。従ってこのコード40は、強磁性体である。このスチールの概念には、炭素鋼及び合金鋼が含まれる。
【0024】
以下、図1及び10が参照されて、タイヤの製造方法が説明される。この製造方法では、トッピング装置2に向けて複数のコード40が送られる。これらのコード40は、図1及び10において矢印A5で示される方向へと、進行する。これらのコード40は、まずコムロール8へと到達する。本実施形態では、コード40は、コムロール8のうち鉛直方向上側の部位と接触する。それぞれのコード40は、グルーブ32に嵌まり込む(図9も参照)。コード40は、グルーブ32に案内されつつ進行する。コムロール8を通過したこれらのコード40は、ピッチP2(図8参照)にて並列する。
【0025】
これらのコード40は、次にプレスロール6へと到達する。本実施形態では、コード40は、プレスロール6のうち鉛直方向下側の部位と接触する。それぞれのコード40は、グルーブ20に嵌まり込む(図5も参照)。コード40は、グルーブ20に案内されつつ進行する。プレスロール6を通過したこれらのコード40は、ピッチP1(図4参照)にて並列する。これらのコード40は、メインニップ16に向けて進行する。
【0026】
図1に示されるように、第一カレンダー4aでは、ニップ14aの上流にバンク42aが形成されている。このバンク42aの材質は、未架橋のゴム組成物である。このバンク42aのゴム組成物が徐々にニップ14aを通過することで、第一ゴムシート44aが成形される。第一ゴムシート44aは上ロール10aに貼りついて、図1において矢印A1で示される方向に回転する。第一ゴムシート44aは、メインニップ16に向けて進行する。
【0027】
第二カレンダー4bでは、ニップ14bの上流にバンク42bが形成されている。このバンク42bの材質は、未架橋のゴム組成物である。本実施形態では、バンク42bのゴム組成物の組成は、バンク42aのゴム組成物の組成と、同一である。このバンク42bのゴム組成物が徐々にニップ14bを通過することで、第二ゴムシート44bが成形される。第二ゴムシート44bは下ロール12bに貼りついて、図1において矢印A4で示される方向に回転する。第二ゴムシート44bは、メインニップ16に向けて進行する。
【0028】
メインニップ16においてコード40は、第一ゴムシート44a及び第二ゴムシート44bに挟まれる。第一ゴムシート44a、コード40及び第二ゴムシート44bは、積層される。この積層により、コード40が第一ゴムシート44a及び第二ゴムシート44bによってトッピングされる。この積層により、トッピングシート46が成形される。このトッピングシート46は、図1において矢印A6で示される方向に進行する。
【0029】
図11は、図6のプレスロール6がコード40と共に示された断面図である。前述の通り、コード40は強磁性体である。従って、プレスロール6を通過するそれぞれのコード40は、マグネット24に引き寄せられる。コード40は、マグネット24の外周面28(つまりグルーブ20の底面)に付着する。従って、コード40の、図11において二点鎖線で示される位置への意図されない移動が、マグネット24によって阻止される。メインニップ16に存在する不良ゴム等に起因して、コード40に進行方向とは異なる方向の張力がかかった場合でも、グルーブ20からのコード40の脱抜が抑制される。
【0030】
図示されていないが、コムロール8においても、コード40は、マグネット36に引き寄せられる。従って、意図されないコード40の移動が、マグネット36によって阻止される。コムロール8においても、グルーブ32からのコード40の脱抜が、マグネット36によって抑制される。
【0031】
図12は、図1の装置で得られたトッピングシート46の一部が示された斜視図である。このトッピングシート46は、並列された複数のコード40と、トッピングゴム48とを有している。それぞれのコード40は、トッピングゴム48に埋もれている。このトッピングゴム48は、図1に示された第一ゴムシート44a及び第二ゴムシート44bによって形成される。
【0032】
このトッピングシート46は、タイヤの部材である。典型的には、このトッピングシート46は、ベルトである。このトッピングシート46が、所定のサイズに裁断され、さらに他の部材とアッセンブリーされて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーがモールド内で加圧及び加熱されて、タイヤが完成する。
【0033】
図12において矢印P3は、トッピングシート46におけるコード40のピッチである。本実施形態では、ピッチP3は、プレスロール6におけるグルーブ20のピッチP1と概して同じであり、かつ、コムロール8におけるグルーブ32のピッチP2と概して同じである。前述の通り、図1-11に示されたトッピング装置2では、マグネット24によってグルーブ20からのコード40の脱抜が抑制され、かつマグネット36によってグルーブ32からのコード40の脱抜が抑制される。従って、ピッチP3が均一であるトッピングシート46が得られうる。このトッピングシート46から得られた部材(例えばベルト)では、オープンコードが抑制されうる。このトッピングシート46が用いられたタイヤは、品質に優れる。
【0034】
図6において矢印Dpは、グルーブ20(又はグルーブ32)の深さを表す。深さDpは、0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。コード40の直径Dm(図11参照)に対する深さDpの比(Dp/Dm)は、0.60以上1.20以下が好ましい。
【0035】
図6において矢印Wdは、グルーブ20(又はグルーブ32)の幅を表す。幅Wdは、0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。コード40の直径Dm(図11参照)に対する幅Wdの比(Wd/Dm)は、1.05以上1.20以下が好ましい。
【0036】
コムロール8がマグネット36を有さない装置によって、トッピングシート46が得られてもよい。この装置では、プレスロール6のマグネット24が、コード40の等ピッチに寄与しうる。
【0037】
プレスロール6がマグネット24を有さない装置によって、トッピングシート46が得られてもよい。この装置では、コムロール8のマグネット36が、コード40の等ピッチに寄与しうる。
【0038】
メインニップ16には、コムロール8よりもプレスロール6が、近い。従って、プレスロール6がマグネット24を有する装置が、好ましい。プレスロール6がマグネット24を有し、かつコムロール8もマグネット36を有する装置が、特に好ましい。
【0039】
前述の通り、プレスロール6のマグネット24は、リング形状を有する。プレスロール6が、周方向に沿って間欠的に存在する複数のマグネットを有してもよい。
【0040】
前述の通り、コムロール8のマグネット36は、リング形状を有する。コムロール8が、周方向に沿って間欠的に存在する複数のマグネットを有してもよい。
【0041】
前述の通り、プレスロール6では、マグネット24の外周面28は露出している。プレスロール6が、その外周面28が露出しないマグネット24を有してもよい。換言すれば、マグネット24が主部18に埋設されてもよい。
【0042】
前述の通り、コムロール8では、マグネット36の外周面38は露出している。コムロール8が、その外周面38が露出しないマグネット36を有してもよい。換言すれば、マグネット36が主部30に埋設されてもよい。
【0043】
図13は、他の実施形態に係るトッピング装置のマグネット50の一部が示された斜視図である。このトッピング装置の、マグネット50以外の構成は、図1に示されたトッピング装置2の構成と同じである。
【0044】
このマグネット50は、プレスロールに採用されうる。このマグネット50は、S極及びN極を有している。S極及びN極は、半径方向に沿って並んでいる。本実施形態では、S極は半径方向外側に位置しており、N極は半径方向内側に位置している。S極が半径方向内側に位置し、かつN極が半径方向外側に位置してもよい。このマグネット50は、いわゆるラジアル異方性タイプである。このマグネット50により、コードは、グルーブの軸方向中央に引き寄せられうる。ラジアル異方性タイプのマグネット50が、コムロールに採用されてもよい。
【0045】
等方性タイプのマグネットが、プレスロール又はコムロールに採用されてもよい。このマグネットでは、磁石粉がベースポリマーに分散する。このマグネットにより、コードは、グルーブの軸方向中央に引き寄せられうる。
【0046】
図14-16に、さらに他の実施形態に係るトッピング装置のプレスロール52が示されている。このプレスロール52は、主部54と複数のグルーブ56とを有している。それぞれのグルーブ56は、主部54の外周面57から凹んでいる。このグルーブ56は、プレスロール52の周方向に沿って延在している。複数のグルーブ56が、プレスロール52の軸方向に沿って等ピッチで並んでいる。
【0047】
プレスロール52はさらに、複数のマグネット58を有している。それぞれのマグネット58は、ストレート形状を有している。このマグネット58は、プレスロール52の軸方向(図14及び16における左右方向)に沿って延在している。このマグネット58は、部分的に、グルーブ56の半径方向内側に位置している。図15から明らかなように、複数(この例では12個)のマグネット58が、プレスロール52の周方向に沿って等ピッチで並んでいる。
【0048】
このプレスロール52でも、マグネット58がコード40(図15参照)を引き寄せる。マグネット58は、グルーブ56からのコード40の脱抜を抑制する。
【0049】
図15において矢印PAは、マグネット58のピッチ角を表す。脱抜の抑制の観点から、ピッチ角PAは10°以上45°以下が好ましい。軸方向に延在するマグネットを、コムロールが含んでもよい。
【0050】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態を開示する。
【0051】
[項目1]
A:複数のグルーブを有する供給ロールから、複数のコードを、磁力でそれぞれのグルーブに1つのコードを付着させつつ、カレンダーに送る工程、
B:上記カレンダーにて、上記コードに未架橋ゴム組成物を被覆し、トッピングシートを得る工程、
C:上記トッピングシートを他の部材とアッセンブリーし、ローカバーを得る工程、
及び
D:上記ローカバーをモールド内で加圧及び加熱する工程
を備えた、タイヤ製造方法。
【0052】
[項目2]
カレンダーと、このカレンダーに向けて並列されたコードを送るための供給ロールとを備えており、
上記供給ロールが、軸方向に沿って並ぶ複数のグルーブと、複数のマグネットとを有しており、
それぞれのグルーブが、周方向に沿って延在しており、
それぞれのマグネットが、上記グルーブの半径方向内側に位置している、トッピング装置。
【0053】
[項目3]
上記マグネットが、ラジアル異方性タイプ又は等方性タイプである、項目2に記載のトッピング装置。
【0054】
[項目4]
上記マグネットが、上記供給ロールの周方向に沿って延在する、項目2又は3に記載のトッピング装置。
【0055】
[項目5]
上記マグネットが、上記供給ロールの軸方向に沿って延在する、項目2又は3に記載のトッピング装置。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明されたトッピング装置は、タイヤのベルトのためのトッピングシートの製造に、適している。このトッピング装置は、ベルト以外の部材のためのトッピングシートの製造にも、適している。
【符号の説明】
【0057】
2・・・トッピング装置
4a・・・第一カレンダー
4b・・・第二カレンダー
6・・・プレスロール
8・・・コムロール
10a、10b・・・上ロール
12a、12b・・・下ロール
14a、14b・・・ニップ
16・・・メインニップ
18・・・主部
20・・・グルーブ
24・・・マグネット
30・・・主部
32・・・グルーブ
36・・・マグネット
40・・・コード
42a、42b・・・バンク
44a・・・第一ゴムシート
44b・・・第二ゴムシート
46・・・トッピングシート
48・・・トッピングゴム
50・・・マグネット
52・・・プレスロール
54・・・主部
56・・・グルーブ
58・・・マグネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16