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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030574
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0323 20190101AFI20240229BHJP
   F24F 1/0029 20190101ALI20240229BHJP
   F24F 1/0325 20190101ALI20240229BHJP
【FI】
F24F1/0323
F24F1/0029
F24F1/0325
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133539
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸部 隆久
(72)【発明者】
【氏名】小和田 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 直孝
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
【Fターム(参考)】
3L049BC01
3L049BD03
3L051BE04
(57)【要約】
【課題】送風機の設置位置を最適化し、空調装置の小型化を妨げることなく、送風機から送風される空気の風速分布を均一化すると共に風損を減少させて、熱交換器の性能を十分に発揮させる。
【解決手段】圧縮機、加熱器、減圧部、及び冷却器を含む冷媒回路と、加熱器又は冷却器に空気を送風する送風機と、を筐体内に収容した空調装置であって、送風機と加熱器又は冷却器との位置関係を示し、以下の数式(1)で表される定数Sが、0.0025以上0.005以下となるように、加熱器又は冷却器に対して送風機を配置した空調装置を提供する。
S=L/A ・・・(1)
ただし、Lは、送風機の吹出口と加熱器又は冷却器の空気流入口との距離であり、Aは、加熱器又は冷却器の空気流入口の開口面積である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、加熱器、減圧部、及び冷却器を含む冷媒回路と、
前記加熱器又は前記冷却器に空気を送風する送風機と、を筐体内に収容した空調装置であって、
前記送風機と前記加熱器又は前記冷却器との位置関係を示し、以下の数式(1)で表される定数Sが、0.0025以上0.005以下となるように、前記加熱器又は前記冷却器に対して前記送風機を配置した、空調装置。
S=L/A ・・・(1)
ただし、Lは、前記送風機の吹出口と前記加熱器又は前記冷却器の空気流入口との距離であり、Aは、前記加熱器又は前記冷却器の空気流入口の開口面積である。
【請求項2】
前記定数Sが、0.0025以上0.004以下となるように、前記加熱器又は前記冷却器に対して前記送風機を配置した、請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記加熱器又は前記冷却器が、チューブとコルゲートフィンとを交互に積層した熱交換器である、請求項1記載の空調装置。
【請求項4】
前記送風機が軸流ファンであり、
前記加熱器又は前記冷却器の空気流入口の中心線が、前記軸流ファンのハブの径内に収まるように、前記加熱器又は前記冷却器に対して前記送風機を配置した、請求項1記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒回路を構成する機器(圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧部など)や送風機などの空調に必要な機器一式及びこれらを制御する制御装置を筐体に収容した小型の空調装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、空調装置では、空気吸込用の開口部を介して送風機によって送風された空気を熱交換器(凝縮器又は蒸発器)において温度調整し、温度調整された空気を吹き出すことにより空調装置の設置空間に対する空調を行う。比較的大型の空調装置では、熱交換器の開口面積が大きいことから、送風機から熱交換器に送風される空気の風速分布が不均一となった場合や、風損が生じた場合でも熱交換器の性能に与える影響は少ないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-121247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような小型の空調装置の場合には、熱交換器の開口部が小さいことから、断面積当たりの密度が高く、熱交換器に対する送風機の設置位置が不適切である場合には、送風機から熱交換器への風速分布の不均一と風損が生じ、熱交換器の性能に大きな影響を与えてしまう。
【0006】
一方、上述した小型の空調装置は比較的狭い限られた空間に設置して使用されるものであり、より一層の小型化が求められることから、筐体に収容される機器の性能や大きさ、機器のレイアウト変更に制限がある。つまり、風損を補うことや、風速分布の均一化のために送風機を大型化することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、送風機の加熱器又は冷却器に対する配置位置を最適化することで、空気の風速分布を均一化すると共に風損を減少させ、空調装置の小型化を妨げることなく、熱交換器の性能を十分に発揮させること、を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る空調装置は、圧縮機、加熱器、減圧部、及び冷却器を含む冷媒回路と、前記加熱器又は前記冷却器に空気を送風する送風機と、を筐体内に収容した空調装置であって、前記送風機と前記加熱器又は前記冷却器との位置関係を示し、以下の数式(1)で表される定数Sが、0.0025以上0.005以下となるように、前記加熱器又は前記冷却器に対して前記送風機を配置している。
S=L/A ・・・(1)
ただし、Lは、前記送風機の吹出口と前記加熱器又は前記冷却器の空気流入口との距離であり、Aは、前記加熱器又は前記冷却器の空気流入口の開口面積である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送風機の加熱器又は冷却器に対する配置位置を最適化することで、風速分布を均一化すると共に風損を減少させ、空調装置の小型化を妨げることなく、熱交換器の性能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る空調装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す斜視図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す斜視図であり、冷却器と第1送風機の位置関係、及び、加熱器と第2送風機の位置関係を示す参考図である
図5】冷却器及び加熱器の空気流入口の開口部を示す参考図である。
図6】定数Sと、定数S=0を基準としたときの熱交換器の性能の比率を示す熱交性能係数との関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る空調装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、空調装置1の内部の概略構成を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、空調装置1は、筐体10、筐体10内に収容される圧縮機20、冷却器(蒸発器)30、加熱器(凝縮器)40、第1送風機50、第2送風機60、減圧器70、及び、制御装置80を備えている。圧縮機20、冷却器30、加熱器40、及び減圧器70は冷媒配管92~94によって接続され、冷媒が循環する冷媒回路を構成している。
【0013】
空調装置1では、空調装置1の前後方向に沿って冷却器30及び加熱器40の内部を通過する空気が流通する。つまり、空調装置1では、空調装置1の前後方向が冷却器30及び加熱器40における空気の流通方向となる。冷却器30については背面から正面に向かって空気を流通させ、加熱器40については正面から背面に向かって空気を流通させることで、冷却器30及び加熱器40を通過する空気と冷媒との熱交換を行わせる。
【0014】
(筐体外部のレイアウトについて)
図1に示すように、筐体10の正面において、制御装置80の収容位置(後述)に対応する位置に操作パネル11が設けられ、操作パネル11に隣接する位置であって、冷却器30の収容位置に対応し、かつ、ダクト303の吹出用開口部31に対応するように吹出口12が設けられている。また、第2送風機60の収容位置に対応する位置に空気の吸込口13が設けられている。
【0015】
筐体10の背面において、第1送風機50の収容位置に対応する位置に空気の吸込口(不図示)が設けられ、加熱器40の収容位置に対応する位置に排気口(不図示)が設けられている。
【0016】
(筐体内部のレイアウトについて)
続いて、本実施形態に係る空調装置1の筐体10内における各機器のレイアウトについて説明する。図2に示すように、空調装置1の筐体10内には、底板15上に圧縮機20、アキュームレータ22、加熱器40及び第2送風機60を配置し、これらの上方(鉛直方向上側)に冷却器30、第1送風機50、減圧器70、制御装置80を配置している。
【0017】
具体的には、底板15上に、正面視で加熱器40の右側に圧縮機20、圧縮機20の前方側にアキュームレータ22、加熱器40の前方側に第2送風機60が配置されている。
また、加熱器40の上方かつ加熱器40よりもやや前方側に、鉛直方向において加熱器40と部分的に重なるように冷却器30が配置されている。
【0018】
正面視で、冷却器30の左側に減圧器70が、右側に制御装置80がそれぞれ配置され、冷却器30の背面側には第1送風機50が配置されている。冷却器30の正面側には、冷却器30と吹出口12とを接続するダクト303が設けられている。なお、ダクト303の正面側には、筐体10の吹出口12と接続される吹出用開口部31が設けられている。冷却器30と第1送風機50の位置関係、及び、加熱器40と第2送風機60の位置関係の詳細については後述する。
【0019】
冷却器30の上面には、冷却器30の一方側(正面視で左側)、すなわち、減圧器70側に、減圧器70を通過した冷媒を冷却器30に流入させる冷媒流入口32が設けられている。また、冷却器30の上面において、冷媒流入口32より後方側に、冷却器30を通過して圧縮機20に戻る冷媒の冷媒流出口33が設けられている。
【0020】
つまり、冷却器30において、冷媒流入口32は、冷却器30の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口33は、冷却器30の上面から冷媒が流出するように設けられている。冷媒流出口33と圧縮機20とは冷媒配管94によって接続されている。冷媒配管94は、冷媒流出口33から、制御装置80の背面側に引き回された後に制御装置80の下側を通って圧縮機20の前方側に接続される。
【0021】
加熱器40の上面には、加熱器40の一方側(正面視で左側)、かつ、加熱器40の後方側に、圧縮機20から吐出された高圧冷媒を流入させる冷媒流入口42が設けられている。また、加熱器40の上面において、冷媒流入口42より前方側に、加熱器40を通過して減圧器70へ向かって流出する冷媒流出口43が設けられている。
【0022】
つまり、加熱器40において、冷媒流入口42は、加熱器40の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口43は、加熱器40の上面から冷媒が流出するように設けられている。
【0023】
圧縮機20と加熱器40の冷媒流入口42とは冷媒配管(不図示)によって接続され、冷媒流出口43と減圧器70とは冷媒配管92によって接続され、減圧器70と冷却器30の冷媒流入口32とは冷媒配管93によって接続されている。冷媒配管92及び冷媒配管93はいずれも、冷却器30に対して減圧器70側に位置している。
【0024】
(冷媒の流れについて)
上記のように接続された冷媒回路において、冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出される。高圧のガス冷媒は、不図示の冷媒配管を通過して冷媒流入口42を介して加熱器40に流入し、第2送風機60から送風されて加熱器40を通過する空気と熱交換することにより放熱する。
【0025】
加熱器40の冷媒流出口43から流出した高圧冷媒は、冷媒配管92を通過して減圧器70に流入し、減圧器70によって減圧されて膨張し、低圧冷媒となる。減圧器70において低圧になった冷媒は、冷媒配管93を通過して冷媒流入口32から冷却器30に流入する。冷却器30に流入した低圧冷媒は、第1送風機50によって送風されて冷却器30を通過する空気と熱交換することにより吸熱し、冷却器30の冷媒流出口33を介して流出する。冷却器30を流出した冷媒は、冷媒配管94を流れ、アキュームレータ22を介して圧縮機20へ戻る。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0026】
(冷却器を通過する空気、及び、加熱器を通過する空気の流れについて)
第1送風機50は、冷却器30の空気流通方向の上流側に、第1送風機50の空気の吹出口と冷却器30の空気流入口とが対向するように配置され、筐体10の背面に設けられた吸込口から取り込んだ空気を、冷却器30に送風する。第1送風機50から冷却器30へ送風された空気は、冷却器30に導入され、冷却器30を通過する過程で冷媒に吸熱されて冷却される。冷却された空気は、吹出用開口部31を介して筐体10の吹出口12から冷風として吹き出される。
【0027】
第2送風機60は、加熱器40の空気流通方向の上流側に第2送風機60の空気の吹出口と加熱器40の空気流入口とが対向するように配置され、筐体10の正面に設けられた吸込口13から取り込んだ空気を、加熱器40に送風する。第2送風機60から加熱器40に送風された空気は、加熱器40に導入され、加熱器40を通過する過程で冷媒と熱交換し、排気用開口部41を介して筐体10の背面に設けられた不図示の排気口から流出する。
【0028】
(冷却器と第1送風機の位置関係、及び、加熱器と第2送風機の位置関係について)
図3及び図4は空調装置1の内部構成を示す断面図である。
【0029】
図2から図4に示すように、冷却器30は、冷却器本体301をケース302に収容して構成され、加熱器40は加熱器本体401をケース402に収容して構成されている。冷却器30及び加熱器40には、例えば、チューブとコルゲートフィンとを交互に積層した熱交換器を適用することができる。
【0030】
第1送風機50は、回転中心となるハブ51に複数の翼52が放射状に設けられた軸流ファンであり、ファンケース55に支持されている。同様に、第2送風機60は、回転中心となるハブ61に複数の翼62が放射状に設けられた軸流ファンであり、ファンケース65に支持されている。
【0031】
上述したように、本実施形態に係る空調装置1のような比較的小型の空調装置に適用される熱交換器(冷却器30又は加熱器40)は、空気流入口の開口面積が小さく、断面積当たりの密度が高い。このため、送風機(第1送風機50又は第2送風機60)は、熱交換器(冷却器30及び加熱器40)に対して、風損をできる限り抑制し、かつ、風速分布が均一となるように送風できる位置に配置することが望ましい。
【0032】
そこで、送風機を熱交換器に対して、以下の数式(1)で表される定数Sが、0.0025以上0.005以下、好ましくは、0.0025以上0.004以下となるように配置する。
S=L/A ・・・(1)
ただし、Lは、送風機の吹出口と熱交換器の空気流入口との距離であり、Aは、熱交換器の空気流入口の開口面積である。
【0033】
本実施形態においては、第1送風機50及び第2送風機60が、それぞれ冷却器30及び加熱器40に対して上記した数式(1)を満たすように配置されている。
以下、第1送風機50と冷却器30との位置関係、及び、加熱器40と第2送風機60との位置関係について具体的に説明する。
【0034】
図3及び図4に示すように、第1送風機50は、冷却器30の空気流通方向の上流側に、第1送風機50の空気の吹出口と冷却器30の空気流入口とが対向するように配置されている。また、第1送風機50は、冷却器30の空気流通方向の中心線Oeが、第1送風機50の回転中心となるハブ51の直径De内に収まるように配置されている。
【0035】
第1送風機50は、冷却器30に対して、以下の数式(2)で表される定数Seが、0.0025以上0.005以下、好ましくは、0.0025以上0.004以下となるように配置されている。
Se=Le/Ae ・・・(2)
ただし、Leは、第1送風機50の吹出口と冷却器30の空気流入口との距離であり、Aeは、冷却器30の空気流入口の開口面積である。
【0036】
図5は、冷却器30及び加熱器40の空気流入口の開口部を示す参考図である。図5では、冷却器30及び加熱器40の空気流入口の開口部を説明するために関係しない構成(ダクト303、第1送風機50及び第2送風機60等)について図示を省略している。冷却器30の空気流入口の開口面積Aeは、第1送風機50から送風された空気を導入することができる領域の面積であり、図5に示すように、冷却器本体301の幅Weと高さHeとから算出される。
【0037】
なお、第1送風機50の吹出口と冷却器30の空気流入口との間には、第1送風機50から送風される空気を冷却器30に導くダクト304が設けられている。
【0038】
図3及び図4に戻り、第2送風機60は、加熱器40の空気流通方向の上流側に、第2送風機60の空気の吹出口と加熱器40の空気流入口とが対向し、加熱器40の空気流通方向の中心線Ocが、第2送風機60の回転中心となるハブ61の直径Dc内に収まるように配置されている。
【0039】
第2送風機60は、加熱器40に対して、以下の数式(3)で表される定数Scが、0.0025以上0.005以下、好ましくは、0.0025以上0.004以下となるように配置されている。
Sc=Lc/Ac ・・・(3)
ただし、Lcは、第2送風機60の吹出口と加熱器40の空気流入口との距離であり、Acは、加熱器40の空気流入口の開口面積である。
【0040】
加熱器40の空気流入口の開口面積Acは、第2送風機60から送風された空気を導入することができる領域の面積であり、図5に示すように、加熱器本体401の幅Wcと高さHcとから算出される。
【0041】
なお、第2送風機60の吹出口と加熱器40の空気流入口との間には、第2送風機60から送風される空気を加熱器40に導くダクト403が設けられている。
【0042】
(定数Sについて)
以下、上記した定数Sの特性について説明する。
図6は、定数Sと、定数S=0を基準としたときの熱交換器の性能の比率を示す熱交性能係数との関係を表したグラフである。図6のグラフは、主に、熱交換器(冷却器30又は加熱器40)の空気流入口と送風機(第1送風機50又は第2送風機60)の吹出口との距離Lを変化させて得られる定数Sと、その定数Sに対する熱交性能係数を演算してプロットしたものである。
【0043】
図6のグラフから、S=0.001のときの熱交性能係数はS=0と比較して、約1.3倍程度値が大きくなっており、その分、熱交換器の性能が向上していることを示している。図6のグラフから、定数Sの下限値を熱交性能係数の増加率が減少するS=0.0025とし、上限値を熱交性能係数が減少し始めるS=0.005、好ましくは上限値をS=0.004とすることにより、空調装置1の小型化を維持しながら、熱交換器(冷却器及び加熱器)の性能の確保を両立することができる。
【0044】
以上述べた如く、本実施形態に係る空調装置1によれば、熱交換器(冷却器30又は加熱器40)の空気流入口と送風機(第1送風機50又は第2送風機60)の吹出口との距離Lと、熱交換器(冷却器30又は加熱器40)の空気流入口の開口面積Aとにより表される定数Sが、0.0025以上0.005以下、好ましくは、0.0025以上0.004以下となるように送風機の熱交換器に対する配置位置を最適化する。
【0045】
このようにすることで、送風機から熱交換器に向けて送風される空気の風速分布を均一化すると共に風損を減少させ、空調装置の小型化を妨げることなく、熱交換器の性能を十分に発揮させることができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1:空調装置、10:筐体、11:操作パネル、12:吹出口、13:吸込口、15:底板、20:圧縮機、22:アキュームレータ
30:冷却器、31:吹出用開口部、40:加熱器
50:第1送風機、51:ハブ、52:翼、55:ファンケース
60:第2送風機、61:ハブ、62:翼、65:ファンケース
70:減圧器、80:制御装置
92~94:冷媒配管
301:冷却器本体、302:ケース、303,304:ダクト
401:加熱器本体、402:ケース、403:ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6