(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030583
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】仮想化基盤装置、システム、制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/24 20220101AFI20240229BHJP
H04L 41/0895 20220101ALI20240229BHJP
【FI】
H04L47/24
H04L41/0895
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133549
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水島 大地
(72)【発明者】
【氏名】沈 文裕
(72)【発明者】
【氏名】滕 文娜
(72)【発明者】
【氏名】和田 雄一郎
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030HD03
5K030LA03
5K030LC01
(57)【要約】
【課題】仮想化基盤装置上で作成される仮想スイッチにおいてQoS処理を実現するための技術を提供する。
【解決手段】仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記仮想化基盤装置であって、前記制御装置から受信する構成定義ファイルに基づいて仮想スイッチを作成する制御部と、前記仮想スイッチと、を備え、前記構成定義ファイルは、前記仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含み、前記仮想スイッチは、前記処理定義に従って、パケットを処理する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記仮想化基盤装置であって、
前記制御装置から受信する構成定義ファイルに基づいて仮想スイッチを作成する制御部と、
前記仮想スイッチと、を備え、
前記構成定義ファイルは、前記仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含み、前記仮想スイッチは、前記処理定義に従って、パケットを処理する
仮想化基盤装置。
【請求項2】
前記処理定義は、パケットのヘッダ情報におけるQoS番号に基づくマッチルールである
請求項1に記載の仮想化基盤装置。
【請求項3】
前記仮想スイッチは、優先度を付けられた複数のキューを有し、前記マッチルールは、パケットのヘッダ情報におけるQoS番号とキューとを対応付けた情報である
請求項2に記載の仮想化基盤装置。
【請求項4】
前記仮想化基盤装置は、前記構成定義ファイルに基づいて作成された複数の仮想コンポーネントを備え、
前記複数の仮想コンポーネントのそれぞれが、QoSに基づく処理定義に従って動作する
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の仮想化基盤装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の前記仮想化基盤装置と、前記構成定義ファイルを送信する前記制御装置とを備えるシステム。
【請求項6】
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記制御装置であって、
仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含む構成定義ファイルを生成する管理部と、
前記構成定義ファイルを前記仮想化基盤装置に送信することにより、前記仮想化基盤装置に対して前記仮想スイッチを作成するよう指示する指示部と
を備える制御装置。
【請求項7】
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記制御装置における制御方法であって、
仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含む構成定義ファイルを生成するステップと、
前記構成定義ファイルを前記仮想化基盤装置に送信することにより、前記仮想化基盤装置に対して前記仮想スイッチを作成するよう指示するステップと
を備える制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項6に記載の制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想化基盤装置におけるQoS制御に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の技術発展に伴い2020年春から5Gの商用サービスが始まった。5Gは超高速、超低遅延、多数同時接続の3点で大幅に技術発展し、世の中に普及してきた。また、モバイルキャリアにとどまらずローカル5G制度も創設され、各企業・自治体がプライベートに管理するローカル5G環境も導入が進んでいる。
【0003】
5G技術の中でも複数の異なる利用シナリオが存在し、いずれのシーンにも対応できる柔軟なネットワークが求められる。そこで、ネットワーク層を仮想的に切り出し別の層とするネットワークスライシング技術が用いられる。この技術の実現により、例えば音声情報を分離し優先的に処理することにより通信品質の向上が期待される。
【0004】
一方で、クラウド化が進む中で限られたリソースを効率よく利用する目的で、仮想化基盤技術が用いられる。仮想化基盤技術は主に仮想マシンと仮想スイッチで構成され、この構築方法も多種のベンダーが参画し、遠隔で複数機器へデプロイできる機構が開発されている。
【0005】
ここで、今後仮想化基盤技術とネットワークスライシング技術の融合が期待できる。これにより、クラウド基盤、各拠点のオンプレ環境を問わず、ローカル5Gの発展に大きく寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
仮想化基盤とネットワークスライシングを融合する上で、仮想化基盤上ではQoS(Quality of Service)制御に関する技術開発が進んでいないという課題がある。ここで、例えば、ローカル5G、SDWAN等のユースケースが想定される。VNFに関するコンポーネント(vRAN、gNodeB等)の技術はそのまま応用できることが期待される。その反面、仮想スイッチ部分でのQoS処理対応が進んでいないことから、QoS処理において、仮想スイッチがボトルネックになることが考えられる。
【0008】
なお、仮想スイッチ部分でのQoS処理対応ができていないという課題は、5G等のユースケースに依存せずに生じる課題である。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、仮想化基盤装置上で作成される仮想スイッチにおいてQoS処理を実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術によれば、仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記仮想化基盤装置であって、
前記制御装置から受信する構成定義ファイルに基づいて仮想スイッチを作成する制御部と、
前記仮想スイッチと、を備え、
前記構成定義ファイルは、前記仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含み、前記仮想スイッチは、前記処理定義に従って、パケットを処理する
仮想化基盤装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、仮想化基盤装置上で作成される仮想スイッチにおいてQoS処理を実現するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】仮想化基盤装置(エッジ装置)の構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態におけるエッジ装置100の構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】Match ruleの内容を説明するための図である。
【
図9】仮想スイッチにおけるキューの構成を示す図である。
【
図10】第2実施形態におけるエッジ装置100の構成例を示す図である。
【
図11】第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第2実施形態における構成定義の例を示す図である。
【
図13】第3実施形態におけるエッジ装置100の構成例を示す図である。
【
図14】第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図15】第3実施形態における構成定義の例を示す図である。
【
図16】第4実施形態におけるエッジ装置100の構成例を示す図である。
【
図17】第4実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図18】装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0014】
本実施の形態では、仮想化基盤装置として、エッジコンピューティングにおけるエッジ装置を使用しているが、これは例である。仮想化基盤装置として、エッジ装置以外の装置を使用してもよい。
【0015】
(システムの全体構成例)
図1に、本実施の形態におけるシステムの全体構成例を示す。
図1に示すように、本システムは、制御装置200、及びエッジ装置100がネットワーク1に接続される構成を有する。エッジ装置100は、例えば、ユーザの各拠点に備えられる。エッジ装置100を、「仮想化基盤」、「仮想化基盤装置」、「通信装置」、「処理装置」、あるいは「サーバ」等と呼んでもよい。
【0016】
制御装置200は、1つ以上のエッジ装置100の管理及び制御を実行する装置である。エッジ装置100は、制御装置200とネットワーク1を介して通信する。制御装置200とエッジ装置100はいずれも、ソフトウェア(プログラム)を動作させることができる、通信機能を持つコンピュータである。
【0017】
また、エッジ装置100には制御部(ハイパーバイザと呼んでもよい)が搭載されており、制御部により、エッジ装置100上で仮想マシン(VMと呼ぶ)等を有する仮想システムの作成と実行が可能である。なお、本実施の形態では、制御部により作成される1つ又は複数の仮想コンポーネントの集合を「仮想システム」と呼ぶ。
【0018】
具体的には、制御装置200から制御部に対して、サービス構成定義ファイル(以下、構成定義ファイルと呼ぶ)が送信され、制御部が定義ファイルに従って、仮想システムを作成する。
【0019】
以下では、適宜、制御装置200及びエッジ装置100の機能構成を図示するが、その機能構成は、本発明に係る技術に特に関連する機能の構成を示している。
【0020】
(実施の形態の概要)
図2に、エッジ装置100内に構築される仮想システムの構成例を示す。
図2に示す例では、エッジ装置100内にvSwitch(仮想スイッチ)、vRAN(仮想無線アクセスネットワーク)、VF(SR-IOV仮想機能)、UPF、WANのCPEが備えられる。これにより、5GのネットワークとWAN/LANとを接続(連携)する構成が実現されている。また、エッジ装置100の外部には、物理装置の例として、端末(UE)及び基地局(gNodeB)が示されている。
【0021】
5G等のネットワークでは、端末とサーバ等との間の通信が、QoSフローで識別される。QoSフローは、QoS制御が行われるフローである。QoS制御では、そのフローにおけるパケットのQoS番号に応じて、帯域保証、遅延、及びパケットロス率等が規定値を満たすように制御がなされる。
【0022】
本実施の形態では、QoS番号が小さいほど優先度が高くなるものとする。優先度が高いパケットは、優先度が低いパケットよりも、例えば、低遅延になるような制御がネットワーク(仮想システム)においてなされる。
【0023】
前述したとおり、従来技術では、仮想化基盤装置(具体的にはエッジ装置100)における仮想スイッチ部分でのQoS処理対応が進んでいない。
【0024】
そこで、本実施の形態では、エッジ装置100における仮想コンポーネントにおいて、パケットのヘッダから取得できるQoS番号を基に、パケットの優先制御を行うこととしている。
【0025】
(制御装置200の構成例)
図3に、制御装置200の構成例を示す。
図3に示すように、制御装置200は、管理部210、記憶部220、指示部230を有する。管理部210は、例えばユーザからの入力情報に基づいて構成定義ファイルを生成し、作成した構成定義ファイルを記憶部120に格納する。例えば、構成定義ファイルのテンプレートを予め準備しておき、テンプレートの変数部分に入力情報を代入することで構成定義ファイルを生成することができる。
【0026】
指示部130は、記憶部120から構成定義ファイルを読み出し、構成定義ファイルをエッジ装置100に送信することにより、エッジ装置100に対して仮想システムを作成するよう指示する。指示部130によりエッジ装置100上に仮想システムを作成する動作を「デプロイ」と呼んでも良い。
【0027】
以下、制御装置200、及びエッジ装置100を有するシステムの構成と動作を詳細に説明する。以下では、第1実施形態~第4実施形態を説明する。第1実施形態が最も基本的な例であり、第2実施形態~第4実施形態については、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第1実施形態~第4実施形態は、任意に組み合わせて実施することが可能である。なお、
図3に示した制御装置200の構成は第1実施形態~第4実施形態において共通である。
【0028】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を説明する。第1実施形態におけるエッジ装置100の構成を
図4に示す。
図4に示す構成は、構成定義ファイルを用いたデプロイが完了した後の構成を示している。なお、制御部121(例:ハイパーバイザ)は、エッジ装置100に予め備えられている。
【0029】
図4に示すように、エッジ装置100には、VM111、vSwitch1(114)、VM115が備えられる。この例では、VM111、vSwitch1(114)、VM115は、ホストOSのユーザ空間(User space)110で動作する。
【0030】
VM111は、App(アプリケーション)112、vnic113を有する。VM115は、App116、vnic117を有する。
図5に示すフローチャートの手順に沿って、システムの動作を説明する。
【0031】
<S101:デプロイ>
S101において、制御装置200の指示部230からエッジ装置100に対して、管理部210により生成された構成定義ファイルが送信され、エッジ装置100の制御部121が、構成定義ファイルに従って、
図4に示すような仮想システムを作成する
図6に、構成定義ファイル(抜粋)の一例を示す。
図6におけるvSwitch定義部が、
図4のvSwitch1(114)に対応し、vnf定義部が、VM111に対応し、Link定義部が、VM111とvSwitch1(114)との間のリンクに対応する。
【0032】
図6に示すとおり、構成定義ファイルには、vSwitch1(114)の構成定義の一部として、Match rule1(マッチルール1)が含められる。このMatch rule1に従って、vSwitch1(114)におけるキュー格納操作が制御される。
【0033】
図6に示すMatch rule1の意味を
図7に示す。
図7に示すとおり、vSwitch1(114)は、Match rule1により、QoS番号が1~3のパケットをキュー1に格納し、QoS番号が4~6のパケットをキュー2に格納し、QoS番号が7~9のパケットをキュー3に格納する。どのQoS番号のパケットをどのキューに入れるかについては、ユーザが予め決定しておき、その決定内容に基づきMatch rule1を作成する。
【0034】
なお、本実施の形態で説明する動作を行う仮想スイッチ等の各仮想コンポ―ネットに関して、そのプログラムについては予め作成されており、構成定義ファイルを用いたデプロイ時に、エッジ装置100にインストールされる。また、構成定義ファイルに従ったMatch ruleの設定が仮想スイッチ等の各仮想コンポ―ネットに対してなされる。
【0035】
<S102~S105>
図5のフローにおけるS102~S105は、Match rule1を用いた動作に対応する。以下、Match rule1を用いた動作を説明する。
【0036】
S102において、VM111がvSwicth1(114)にパケットを送信する。
図8に、パケットの例を示す。
図8に示すように、このパケットは、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、データ、CRCを有する。ヘッダ情報である「タイプ」にQoS番号が格納されている。QoS番号は、例えば、1~9の範囲の整数値であり、値が小さいほど、そのパケットの優先度が高いことを意味する。ただし、これは例であり、QoS番号の値が大きいほど、そのパケットの優先度が高いとする実装を行ってもよい。
【0037】
S103において、リンクを介して、vSwicth1(114)がパケットを受信する。
【0038】
S104において、vSwicth1(114)は、受信したパケットのヘッダ情報(タイプ)からQoS番号を読み取る。vSwicth1(114)は、Match rule1(
図7)に従って、読み取ったQoS番号に対応するキューにパケットを格納する。例えば、QoS番号が2である場合、パケットはキュー2に格納される。
【0039】
S105において、vSwicth1(114)は、キューからパケットを取り出し、当該パケットをVM115に送信する。
【0040】
Match rule1(
図7)に対応するキューの構成を
図9に示す。
図9に示すように、優先度が高い順にキュー1、キュー2、キュー3が備えられている。
図9には、例として、キュー1にパケットが格納される動作が示されている。
【0041】
これらのキューを用いた優先制御についてはどのような方法で行ってもよい。例えば、優先度の高いキューと、それよりも優先度の低いキューの両方にパケットが格納された場合、優先度の高いキューのパケットが無くなるまで優先度の高いキューからパケットを出力し、その後に優先度の低いキューからパケットを出力するといった制御を行ってもよい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態では、エッジ装置100に複数個の仮想スイッチを備える場合の構成と動作の例を説明する。
【0043】
第2実施形態におけるエッジ装置100の構成を
図10に示す。
図10に示す構成は、構成定義ファイルを用いたデプロイが完了した後の構成を示している。
【0044】
図10に示すように、エッジ装置100には、第1実施形態で説明したVM111、vSwitch1(114)、VM115に追加して、vSwitch2(123)が備えられる。また、
図10には、ホストOSのカーネル空間(Kernel Space)120における制御部121とNW122(仮想的なネットワーク)が示されている。
【0045】
図10に示すように、第2実施形態では、vSwitch2(123)はカーネル空間120に配置されるが、これは一例である。例えば、vSwitch1(114)とvSwitch2(123)の両方をユーザ空間110に配置するようにしてもよい。
【0046】
vSwitch1(114)は、VM111とVM115のそれぞれとリンクで接続される。vSwitch2(123)も同様に、VM111とVM115のそれぞれとリンクで接続される。
図11に示すフローチャートの手順に沿って、システムの動作を説明する。
【0047】
<S201:デプロイ>
S201において、制御装置200の指示部230からエッジ装置100の制御部121に対して構成定義ファイルが送信され、エッジ装置100において構成定義ファイルに従って、
図10に示すような仮想システムが作成される。
【0048】
第2実施形態における構成定義ファイルにおけるvSwitch1(114)とvSwitch2(123)に関する構成定義(特にMatch ruleの部分)を
図12に示す。
【0049】
図12に示すように、vSwitch1(114)のMatch rule1は、パケットのQoS番号が5以下である場合にそのパケットをキュー1に格納することを規定する。パケットのQoS番号が5より大きい場合、vSwitch1(114)はそのパケットを受け入れない。
【0050】
vSwitch2(123)のMatch rule2は、パケットのQoS番号が5より大きい場合にそのパケットをキュー1に格納することを規定する。パケットのQoS番号が5以下である場合、vSwitch2(123)はそのパケットを受け入れない。
【0051】
<S202~S205>
S202において、VM111がvSwicth1(114)とvSwitch2(123)のそれぞれにパケットを送信する。S203において、vSwicth1(114)とvSwitch2(123)はそれぞれリンクを介してパケットを受信する。
【0052】
S203において、vSwicth1(114)とvSwitch2(123)はそれぞれ、受信したパケットのヘッダ情報(タイプ)からQoS番号を読み取る。vSwicth1(114)は、Match rule1に従って、読み取ったQoS番号が5以下であれば、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。vSwicth2(123)は、Match rule2に従って、読み取ったQoS番号が5より大きければ、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。
【0053】
上記の処理の結果、パケットは、vSwicth1(114)とvSwitch2(123)のうちのいずれかに受け入れられる。
【0054】
S205において、パケットを受け入れたほうのvSwicthは、キューからパケットを取り出し、当該パケットをVM115に送信する。
【0055】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第3実施形態では、第2実施形態と同様に、エッジ装置100において、複数個の仮想スイッチを備える。ただし、第3実施形態では、複数個の仮想スイッチのうちの少なくとも1つがVF(Virtual Function)である。
【0056】
VFは、シングルルートI/O仮想化(SR-IOV)をサポートするネットワークアダプター(NIC、ネットワークカード等と呼んでもよい)上のPCIe機能である。VFはネットワークアダプターのPCIe物理機能(PF:Physical Function)に関連付けられており、ネットワークアダプターの仮想化インスタンスを表す。
【0057】
PFは、PCIカードやオンボードデバイスなどの物理的なポートを指し、VFは、PFをもとにして作成する仮想的なポートであることから、PFを物理ポートと呼び、VFを仮想ポートと呼んでもよい。
【0058】
第3実施形態におけるエッジ装置100の構成を
図13に示す。
図13に示す構成は、構成定義ファイルを用いたデプロイが完了した後の構成を示している。
【0059】
図13に示すように、エッジ装置100には、第1実施形態で説明したVM111、vSwitch1(114)、VM115に追加して、VF131が備えられる。第3実施形態では、vSwitch1(114)はカーネル空間120に配置されている。また、VF131は、物理デバイス130(NIC等)上にあり、PF132と関連付けられている。
【0060】
vSwitch1(114)は、VM111とVM115のそれぞれとリンクで接続される。VF131も同様に、VM111とVM115のそれぞれとリンクで接続される。
図14に示すフローチャートの手順に沿って、システムの動作を説明する。
【0061】
<S301:デプロイ>
S301において、制御装置200の指示部230からエッジ装置100に対して構成定義ファイルが送信され、エッジ装置100において構成定義ファイルに従って、
図13に示すような仮想システムが作成される。
【0062】
第3実施形態の構成定義ファイルにおけるvSwitch1(114)とVF131に関する構成定義(特にMatch ruleの部分)を
図15に示す。
【0063】
図15に示すように、vSwitch1(114)のMatch rule1は、パケットのQoS番号が5以下である場合にそのパケットをキュー1に格納することを規定する。パケットのQoS番号が5より大きい場合、vSwitch1(114)はそのパケットを受け入れない。
【0064】
VF131のMatch ruleは、パケットのQoS番号が5より大きい場合にそのパケットをキュー1に格納することを規定する。パケットのQoS番号が5以下である場合、VF131はそのパケットを受け入れない。
【0065】
<S302~S305>
S302において、VM111がvSwicth1(114)とVF131のそれぞれにパケットを送信する。S303において、vSwicth1(114)とVF131はそれぞれリンクを介してパケットを受信する。
【0066】
S303において、vSwicth1(114)とVF131はそれぞれ、受信したパケットのヘッダ情報(タイプ)からQoS番号を読み取る。vSwicth1(114)は、Match rule1に従って、読み取ったQoS番号が5以下であれば、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。VF131は、Match ruleに従って、読み取ったQoS番号が5より大きければ、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。
【0067】
上記の処理に結果、パケットは、vSwicth1(114)とVF131のうちのいずれかに受け入れられる。
【0068】
S305において、パケットを受け入れたほうの機能(vSwicth1(114)又はVF131)は、キューからパケットを取り出し、当該パケットをVM115に送信する。
【0069】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図16に、第4実施形態におけるエッジ装置100の構成を示す。
図16に示すとおり、第4実施形態におけるエッジ装置100の構成は、第3実施形態におけるエッジ装置100の構成と基本的に同じである。
【0070】
ただし、第4実施形態では、
図2に示した場合と同様に、VM111上のApp112として5GCのUPFが動作し、VM115上のApp116としてWANのCPEが動作することを想定している。
【0071】
また、第4実施形態では、全仮想コンポーネントにおいてQoS番号を統一して使用する。これにより、UPFが扱うQoSフローとCPEが扱うQoSフローを統一して扱うことができる。つまり、UPFとCPEを連携させることができる。
図17に示すフローチャートの手順に沿って、システムの動作を説明する。
【0072】
<S401:デプロイ>
S401において、制御装置200の指示部230からエッジ装置100に対して構成定義ファイルが送信され、エッジ装置100において構成定義ファイルに従って、
図16に示すような仮想システムが作成される。
【0073】
ここでは、vSwitch1(114)とVF131における構成定義は第3実施形態での構成定義と同じであるとする。つまり、vSwitch1(114)は、受信したパケットのQoS番号が5以下であればパケットを受け入れ、受信したパケットのQoS番号が5より大きければパケットを受け入れない。また、VF131は、受信したパケットのQoS番号が5以下であればパケットを受け入れず、受信したパケットのQoS番号が5より大きければパケットを受け入れる。
【0074】
また、第4実施形態では、App116(CPE)は、仮想スイッチの機能を有し、Match ruleが設定される。このMatch ruleは、第1実施形態において
図7に示したMach ruleと同じものとする。つまり、App116(CPE)は、
図9に示したキューの構成を有し、
図7に示したMach ruleに従って動作を実行する。
【0075】
上記のような構成及び設定は一例に過ぎない。例えば、VF131を備えずに、vSwitch1(114)におけるMatch rule1の設定を第1実施形態でのMatch rule1の設定と同じものとしてもよい。
【0076】
<S402~S405>
S402において、VM111がvSwicth1(114)とVF131のそれぞれにパケットを送信する。S403において、vSwicth1(114)とVF131はそれぞれリンクを介してパケットを受信する。
【0077】
S403において、vSwicth1(114)とVF131はそれぞれ、受信したパケットのヘッダ情報(タイプ)からQoS番号を読み取る。vSwicth1(114)は、Match rule1に従って、読み取ったQoS番号が5以下であれば、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。VFは、Match ruleに従って、読み取ったQoS番号が5より大きければ、そのパケットを受け入れて、キュー1にパケットを格納する。
【0078】
上記の処理の結果、パケットは、vSwicth1(114)とVF131のうちのいずれかに受け入れられる。
【0079】
S405において、パケットを受け入れたほうの機能(vSwicth1(114)又はVF131)は、キューからパケットを取り出し、当該パケットをVM115に送信する。
【0080】
S406において、VM115におけるApp116は、受信したパケットのヘッダ情報(タイプ)からQoS番号を読み取る。App116は、Match rule(
図7)に従って、読み取ったQoS番号に対応するキューにパケットを格納する。例えば、QoS番号が2である場合、パケットはキュー2に格納される。そして、App116は、キューからパケットを取り出し、当該パケットをWAN側に送信する。
【0081】
なお、本実施の形態においてMatch ruleを、Appや仮想スイッチ等の仮想コンポ―ネットに設定する設定方法に関しては上記で説明した方法に限られない。例えば、cloud-initを用いてもよいし、SDNコントローラ経由でQoSポリシーを投入する方式を用いてもよい。
【0082】
(ハードウェア構成例)
制御装置200、及びエッジ装置100はいずれも、例えば、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現できる。このコンピュータは、物理的なコンピュータであってもよいし、仮想マシンであってもよい。以下、制御装置200、エッジ装置100を総称して「装置」と呼ぶ。
【0083】
すなわち、当該装置は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0084】
図18は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図18のコンピュータは、それぞれバスBSで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。
【0085】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0086】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。
【0087】
インタフェース装置1005は、ネットワーク等に接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。なお、当該装置において、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008のいずれか又は全部を備えないこととしてもよい。
【0088】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る技術により、仮想化基盤装置上で作成される仮想スイッチにおいてQoS処理を実現するための技術が提供される。これにより、End-to-EndでのQoS処理が可能となる。
【0089】
(付記)
本明細書には、少なくとも下記各項の仮想化基盤装置、システム、制御装置、制御方法、及びプログラムが開示されている。
(付記項1)
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記仮想化基盤装置であって、
前記制御装置から受信する構成定義ファイルに基づいて仮想スイッチを作成する制御部と、
前記仮想スイッチと、を備え、
前記構成定義ファイルは、前記仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含み、前記仮想スイッチは、前記処理定義に従って、パケットを処理する
仮想化基盤装置。
(付記項2)
前記処理定義は、パケットのヘッダ情報におけるQoS番号に基づくマッチルールである
付記項1に記載の仮想化基盤装置。
(付記項3)
前記仮想スイッチは、優先度を付けられた複数のキューを有し、前記マッチルールは、パケットのヘッダ情報におけるQoS番号とキューとを対応付けた情報である
付記項2に記載の仮想化基盤装置。
(付記項4)
前記仮想化基盤装置は、前記構成定義ファイルに基づいて作成された複数の仮想コンポーネントを備え、
前記複数の仮想コンポーネントのそれぞれが、QoSに基づく処理定義に従って動作する
付記項1ないし3のうちいずれか1項に記載の仮想化基盤装置。
(付記項5)
付記項1ないし4のうちいずれか1項に記載の前記仮想化基盤装置と、前記構成定義ファイルを送信する前記制御装置とを備えるシステム。
(付記項6)
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記制御装置であって、
仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含む構成定義ファイルを生成する管理部と、
前記構成定義ファイルを前記仮想化基盤装置に送信することにより、前記仮想化基盤装置に対して前記仮想スイッチを作成するよう指示する指示部と
を備える制御装置。
(付記項7)
仮想化基盤装置と制御装置とを備えるシステムにおける前記制御装置における制御方法であって、
仮想スイッチにおけるQoSに基づく処理定義を含む構成定義ファイルを生成するステップと、
前記構成定義ファイルを前記仮想化基盤装置に送信することにより、前記仮想化基盤装置に対して前記仮想スイッチを作成するよう指示するステップと
を備える制御方法。
(付記項8)
コンピュータを、付記項6に記載の制御装置における各部として機能させるためのプログラム。
【0090】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 ネットワーク
100 エッジ装置
110 ユーザ空間
111、115 VM
114、123 vSwitch
131 VF
120 カーネル空間
121 制御部
200 制御装置
210 管理部
220 記憶部
230 指示部
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置