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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030592
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652T
H01L29/78 658G
H01L29/78 658F
H01L29/78 655A
H01L29/91 C
H01L29/91 A
H01L29/91 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133568
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立花 文人
(57)【要約】
【課題】 層間絶縁膜がトレンチ内部に位置する半導体装置において、半導体基板の上面と層間絶縁膜の上面を覆う金属膜の被覆性を向上する技術を提案する。
【解決手段】 半導体装置は、半導体基板と、半導体基板の上面に設けられたトレンチと、トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜と、トレンチの内部に設けられており、ゲート絶縁膜によって半導体基板から絶縁されているゲート電極と、トレンチの内部に設けられており、ゲート電極の上面を覆う層間絶縁膜と、金属膜、を備えている。半導体基板が、半導体基板の上面よりも下側に位置しており、半導体基板の上面とトレンチの側面とを接続する接続面を備えている。ゲート絶縁膜の上面が、接続面よりも下側に位置しており、層間絶縁膜の上面が、ゲート絶縁膜の上面よりも下側に位置しており、金属膜が、半導体基板の上面、接続面、ゲート絶縁膜の上面、及び層間絶縁膜の上面を覆っている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(12)と、
前記半導体基板の上面(12a)に設けられたトレンチ(22)と、
前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(24)と、
前記トレンチの内部に設けられており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(26)と、
前記トレンチの内部に設けられており、前記ゲート電極の上面を覆う層間絶縁膜(28)と、
金属膜(52)、
を備えており、
前記半導体基板が、前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置しているとともに前記半導体基板の前記上面と前記トレンチの側面とを接続する接続面(40)を備えており、
前記ゲート絶縁膜の上面(24a)が、前記接続面よりも下側に位置しており、
前記層間絶縁膜の上面(28a)が、前記ゲート絶縁膜の前記上面よりも下側に位置しており、
前記金属膜が、前記半導体基板の前記上面、前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び前記層間絶縁膜の前記上面を覆っている、
半導体装置(10)。
【請求項2】
前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び前記層間絶縁膜の前記上面は、前記トレンチの中心側に向かうにつれて下側に変位するように傾斜している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続面と前記ゲート絶縁膜の前記上面との境界に第1の段差部(80)が設けられており、
前記ゲート絶縁膜の前記上面と前記層間絶縁膜の前記上面との境界に第2の段差部(82)が設けられている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板は、SiCにより構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体装置(10)の製造方法であって、
半導体基板(12)の上面(12a)にトレンチ(22)を形成する工程と、
前記トレンチ内に、ゲート絶縁膜(24)と、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されたゲート電極(26)を形成する工程であって、前記ゲート電極の上面が前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置するように前記ゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板の前記上面から前記ゲート電極の前記上面に跨る範囲を覆う層間絶縁膜(28)を形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記ゲート絶縁膜、及び前記半導体基板をエッチング可能なエッチングガスを用いてエッチングを行う工程であって、前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置しているとともに前記半導体基板の前記上面と前記トレンチの側面(22a)とを接続する接続面(40)が前記半導体基板に形成され、前記ゲート絶縁膜の上面(24a)が前記接続面よりも下側に位置し、前記層間絶縁膜の上面(28a)が前記ゲート絶縁膜の前記上面よりも下側に位置するように、前記ゲート絶縁膜、前記層間絶縁膜、及び前記半導体基板をエッチングする前記工程と、
前記半導体基板の前記上面、前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び、前記層間絶縁膜の前記上面を覆う金属膜(52)を形成する工程、
を備える、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
特許文献1には、半導体基板と、半導体基板の上面に設けられたトレンチと、トレンチ内に設けられたゲート絶縁膜及びゲート電極と、ゲート電極の上面を覆う層間絶縁膜を備えている。この半導体装置では、層間絶縁膜の上面が、半導体基板の上面よりも下側に位置している。半導体基板の上面から層間絶縁膜の上面に跨る範囲は、金属膜によって覆われている。特許文献1では、層間絶縁膜がトレンチの内部に形成されるため、トレンチのピッチを狭くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-196876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の半導体装置は、半導体基板の上面と層間絶縁膜の上面との間に大きな段差を有している。このため、当該段差において金属膜の被覆性が悪化し、金属膜に段切れが生じ得る。本明細書では、層間絶縁膜がトレンチ内部に位置する半導体装置において、半導体基板の上面と層間絶縁膜の上面を覆う金属膜の被覆性を向上する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する半導体装置(10)は、半導体基板(12)と、前記半導体基板の上面(12a)に設けられたトレンチ(22)と、前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(24)と、前記トレンチの内部に設けられており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(26)と、前記トレンチの内部に設けられており、前記ゲート電極の上面を覆う層間絶縁膜(28)と、金属膜(52)、を備えている。前記半導体基板が、前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置しているとともに前記半導体基板の前記上面と前記トレンチの側面とを接続する接続面(40)を備えている。前記ゲート絶縁膜の上面(24a)が、前記接続面よりも下側に位置している。前記層間絶縁膜の上面(28a)が、前記ゲート絶縁膜の前記上面よりも下側に位置している。前記金属膜が、前記半導体基板の前記上面、前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び前記層間絶縁膜の前記上面を覆っている。
【0006】
上記の半導体装置では、半導体基板が、半導体基板の上面とトレンチの側面とを接続する接続面を備えている。この接続面は、半導体基板の上面よりも下側に位置している。また、ゲート絶縁膜の上面が接続面よりも下側に位置しており、層間絶縁膜の上面がゲート絶縁膜の上面よりも下側に位置している。このように、上記の半導体装置では、半導体基板の上面、接続面、ゲート絶縁膜の上面、及び層間絶縁膜の上面が、この順に徐々に下側に位置するように設けられている。したがって、隣り合う構成要素間の段差が小さく、これらを被覆する金属膜の被覆性を向上させることができる。
【0007】
本明細書が開示する半導体装置(10)の製造方法は、半導体基板(12)の上面(12a)にトレンチ(22)を形成する工程と、前記トレンチ内に、ゲート絶縁膜(24)と、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されたゲート電極(26)を形成する工程であって、前記ゲート電極の上面が前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置するように前記ゲート電極を形成する工程と、前記半導体基板の前記上面から前記ゲート電極の前記上面に跨る範囲を覆う層間絶縁膜(28)を形成する工程と、前記層間絶縁膜、前記ゲート絶縁膜、及び前記半導体基板をエッチング可能なエッチングガスを用いてエッチングを行う工程であって、前記半導体基板の前記上面よりも下側に位置しているとともに前記半導体基板の前記上面と前記トレンチの側面(22a)とを接続する接続面(40)が前記半導体基板に形成され、前記ゲート絶縁膜の上面(24a)が前記接続面よりも下側に位置し、前記層間絶縁膜の上面(28a)が前記ゲート絶縁膜の前記上面よりも下側に位置するように、前記ゲート絶縁膜、前記層間絶縁膜、及び前記半導体基板をエッチングする前記工程と、前記半導体基板の前記上面、前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び、前記層間絶縁膜の前記上面を覆う金属膜(52)を形成する工程、を備えている。
【0008】
この製造方法では、ゲート電極を、その上面が半導体基板の上面よりも下側に位置するように形成した後、半導体基板の上面からゲート電極の上面に跨る範囲を覆う層間絶縁膜を形成する。ゲート電極の上面が半導体基板の上面よりも下側に位置しているので、層間絶縁膜は、半導体基板の上面及びゲート電極の上面の形状に倣って略一定の厚みで形成される。すなわち、層間絶縁膜の上面は、ゲート電極の上方において、その他の範囲よりも下側に位置することとなる。その後、層間絶縁膜、ゲート絶縁膜、及び半導体基板をエッチング可能なエッチングガスを用いてエッチングを行う工程を実施する。層間絶縁膜の上面が、ゲート電極の上方において、その他の範囲よりも下側に位置しているので、この工程では、層間絶縁膜をエッチングする過程で、半導体基板のうち、まずトレンチの肩部(半導体基板の上面とトレンチの側面の境界部)が露出する。エッチングガスは半導体基板をエッチング可能であるので、当該肩部をエッチングすることで、半導体基板に、その上面よりも下側に位置しているとともに当該上面とトレンチの側面とを接続する接続面が形成される。また、この工程では、ゲート絶縁膜の上面が接続面よりも下側に位置し、層間絶縁膜の上面がゲート絶縁膜の上面よりも下側に位置するように、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜がエッチングされる。すなわち、半導体基板の上面、接続面、ゲート絶縁膜の上面、及び層間絶縁膜の上面が、この順に徐々に下側に位置するようにエッチングされる。したがって、隣り合う構成要素間の段差が小さく、その後の金属膜を形成する工程において、金属膜の被覆性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の半導体装置の断面図。
図2】実施例の半導体装置の拡大断面図。
図3】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図4】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図5】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図6】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図7】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図8】実施例の半導体装置の製造工程を説明するための図。
図9】変形例の半導体装置の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、前記接続面、前記ゲート絶縁膜の前記上面、及び前記層間絶縁膜の前記上面は、前記トレンチの中心側に向かうにつれて下側に変位するように傾斜していてもよい。
【0011】
このような構成では、接続面、ゲート絶縁膜の上面、及び層間絶縁膜の上面が、半導体基板の上面からトレンチの中心側に向かって緩やかに下側に変位する。このため、金属膜の被覆性をより向上することができる。また、上記の構成では、半導体基板の上面とトレンチの側面とが、傾斜した接続面により接続される。このため、半導体基板の上面、接続面、及びトレンチの側面の各接続部分が鈍角になり、電界集中が緩和される。したがって、ゲート漏れ電流を抑制することができる。
【0012】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、前記接続面と前記ゲート絶縁膜の前記上面との境界に第1の段差部が設けられており、前記ゲート絶縁膜の前記上面と前記層間絶縁膜の前記上面との境界に第2の段差部が設けられていてもよい。
【0013】
本明細書が開示する一例の半導体装置では、前記半導体基板は、SiCにより構成されていてもよい。
【0014】
(実施例)
図1は、実施例の半導体装置10を示している。半導体装置10は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、半導体基板12と、電極、絶縁膜等を有している。半導体基板12は、SiC(炭化シリコン)により構成されている。ただし、半導体基板12を構成する材料は特に限定されず、例えば、Si(シリコン)やGaN(窒化ガリウム)等、他の半導体材料を用いてもよい。
【0015】
半導体基板12の上面12aには、複数のトレンチ22が設けられている。各トレンチ22は、図1の紙面に対して垂直方向に沿って互いに平行に伸びている。半導体基板12の上面12aと、トレンチ22の側面22aとの間には、接続面40が設けられている。半導体基板12の上面12aとトレンチ22の側面22aは、接続面40により接続されている。接続面40は、半導体基板12の上面12aよりも下側に位置している。詳細には、接続面40は、半導体基板12の上面12aからトレンチ22の中心側に向かって下側に変位するように傾斜している。図2に示すように、接続面40は、半導体基板12の上面12aに対して、角度θ1だけ傾斜している。角度θ1の値は特に限定されないが、例えば、10°~30°である。
【0016】
各トレンチ22の内面は、ゲート絶縁膜24に覆われている。ゲート絶縁膜24の上面24aは、接続面40よりも下側に位置している。詳細には、ゲート絶縁膜24の上面24aは、トレンチ22の中心側に向かって下側に変位するように傾斜している。図2に示すように、ゲート絶縁膜24の上面24aは、半導体基板12の上面12aに対して、角度θ2だけ傾斜している。角度θ2の値は特に限定されないが、例えば、10°~30°である。
【0017】
各トレンチ22の内部には、ゲート電極26が配置されている。ゲート電極26は、ゲート絶縁膜24の表面のうち、上端部分を除く範囲を覆っている。ゲート電極26は、ゲート絶縁膜24によって半導体基板12から絶縁されている。ゲート電極26の上面は、トレンチ22の中心側に向かって下側に変位するように傾斜している。
【0018】
各トレンチ22の内部には、層間絶縁膜28が配置されている。ゲート電極26の上面は、層間絶縁膜28によって覆われている。層間絶縁膜28の上面28aは、ゲート絶縁膜24の上面24aよりも下側に位置している。詳細には、層間絶縁膜28の上面28aは、トレンチ22の中心側に向かって下側に変位するように傾斜している。図2に示すように、層間絶縁膜28の上面28aは、半導体基板12の上面12aに対して、角度θ3だけ傾斜している。角度θ3の値は特に限定されないが、例えば、10°~30°である。本実施例では、角度θ1~θ3は互いに略等しい。しかしながら、角度θ1~θ3は、それぞれ異なる値であってもよい。
【0019】
半導体基板12の上面12a、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aは、バリアメタル層52によって覆われている。バリアメタル層52は、例えば、Ti(チタン)とTiN(窒化チタン)の積層膜によって構成されている。バリアメタル層52は、半導体基板12の上面12a、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aに沿って、これらの形状に倣って略一定の厚みで設けられている。バリアメタル層52の上面には、上部電極54が配置されている。上部電極54は、例えば、AlSi(アルミニウムシリコン)によって構成されている。バリアメタル層52及び上部電極54により、ソース電極が構成されている。
【0020】
図1に示すように、半導体基板12の内部には、複数のソース領域30、ボディ領域32、及びドリフト領域34が設けられている。
【0021】
各ソース領域30は、n型領域である。各ソース領域30は、半導体基板12の上面12aに露出する位置に配置されている。各ソース領域30は、バリアメタル層52に接している。各ソース領域30は、対応するトレンチ22の側面22aにおいて、ゲート絶縁膜24に接している。
【0022】
ボディ領域32は、p型領域である。ボディ領域32は、各ソース領域30に接している。ボディ領域32は、コンタクト領域32aとメインボディ領域32bを有している。コンタクト領域32aは、メインボディ領域32bよりも高いp型不純物濃度を有している。コンタクト領域32aは、2つのソース領域30に挟まれており、バリアメタル層52に接している。メインボディ領域32bは、ソース領域30及びコンタクト領域32aの下側に配置されている。メインボディ領域32bは、トレンチ22の側面22aにおいて、ゲート絶縁膜24に接している。メインボディ領域32bは、ソース領域30の下側でゲート絶縁膜24に接している。
【0023】
ドリフト領域34は、n型領域である。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側に配置されている。ドリフト領域34は、ボディ領域32によってソース領域30から分離されている。ドリフト領域34は、トレンチ22の側面22a及び底面において、ゲート絶縁膜24に接している。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側でゲート絶縁膜24に接している。
【0024】
図示していないが、ドリフト領域34の下側には、ドリフト領域34よりもn型不純物濃度が高いドレイン領域が設けられている。ドレイン領域は、半導体基板12の下面に露出している。半導体基板12の下面は、ドレイン電極によって覆われている。
【0025】
半導体装置10の使用時には、半導体装置10と負荷(例えば、モータ)と電源が直列に接続される。半導体装置10のドレイン電極側がソース電極側よりも高電位となる向きで、電源電圧が印加される。ゲート電極26にゲートオン電位(ゲート閾値よりも高い電位)を印加すると、ゲート絶縁膜24に接する範囲のメインボディ領域32bにチャネル(反転層)が形成され、半導体装置10がオンする。ゲート電極26にゲートオフ電位(ゲート閾値以下の電位)を印加すると、チャネルが消失し、半導体装置10がオフする。
【0026】
以上に説明したように、本実施例の半導体装置10では、半導体基板12が、半導体基板12の上面12aとトレンチ22の側面22aとを接続する接続面40を備えている。この接続面40は、半導体基板12の上面12aよりも下側に位置している。また、ゲート絶縁膜24の上面24aが接続面40よりも下側に位置しており、層間絶縁膜28の上面28aがゲート絶縁膜24の上面24aよりも下側に位置している。具体的には、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aが、半導体基板12の上面12aからトレンチ22の中心側に向かって緩やかに下側に変位するように傾斜している。このように、本実施例の半導体装置10では、半導体基板12の上面12a、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aが、この順に徐々に下側に位置するように設けられている。したがって、隣り合う構成要素間の段差が小さく、これらを被覆するバリアメタル層52の被覆性を向上させることができる。
【0027】
また、本実施例の半導体装置10では、半導体基板12の上面12aとトレンチ22の側面22aとが、傾斜した接続面40により接続されている。このため、半導体基板12の上面12aと接続面40との接続部分、及び、接続面40とトレンチ22の側面22aとの接続部分が鈍角になり、電界集中が緩和される。したがって、ゲート漏れ電流を抑制することができる。
【0028】
次に、図3図8を参照して、半導体装置10の製造方法について説明する。なお、図3図8では、半導体基板12の内部のMOSFETの構造(ソース領域30、ボディ領域32等)の図示を省略している。まず、図3に示すように、半導体基板12の上面12aにトレンチ22を形成した後、半導体基板12の上面12aからトレンチ22の内面に跨る範囲を覆う絶縁膜64を形成する。次に、絶縁膜64の表面全体にポリシリコン層66を形成することにより、トレンチ22内をポリシリコン層66で埋め込む。この工程では、トレンチ22が深さを有しているため、トレンチ22の上方において、ポリシリコン層66の上面に窪み66aが形成される。
【0029】
次に、図4に示すように、ポリシリコン層66をエッチングすることにより、トレンチ22の内部にゲート電極26を形成する。ここでは、ポリシリコン層66の上面の位置が半導体基板12の上面12aの位置よりも下側になるまで、ポリシリコン層66をエッチングする。この工程では、エッチング前のポリシリコン層66が、トレンチ22の上方において窪み66a(図3参照)を有しているので、窪み66aの形状を維持したままポリシリコン層66のエッチングが進行する。その結果、図4に示すように、エッチング後のポリシリコン層66の上面も、窪み66aと同様の形状を有することとなる。すなわち、トレンチ22内に残存したポリシリコン層66の上面は、トレンチ22の中心側に向かうにつれて下側に変位するように傾斜する形状を有する。トレンチ22内に残存したポリシリコン層66がゲート電極26となる。
【0030】
次に、図5に示すように、絶縁膜64の表面からゲート電極26の上面に跨る範囲を覆う絶縁膜68を形成する。絶縁膜68は、絶縁膜64の上面とゲート電極26の上面に沿って、これらの形状に倣って略一定の厚みで形成される。このため、ゲート電極26の上方では、絶縁膜68の上面がゲート電極26の上面26aに倣った形状(窪み68a)を有することとなる。
【0031】
次に、絶縁膜68をドライエッチングする。エッチングには、エッチングガスとして、例えば、CとOの混合ガスが用いられる。絶縁膜68の上面には、窪み68a(図5参照)が形成されているので、図6に示すように、絶縁膜68をエッチングする過程で、半導体基板12のうち、まずトレンチ22の肩部22bが露出する。CとOの混合ガスは、半導体基板12及び絶縁膜64をエッチング可能なガスであるため、その後、エッチングを継続すると、図7に示すように、肩部22bがエッチングされるとともに絶縁膜64がエッチングされる。この工程では、半導体基板12の上面12aを覆う絶縁膜64が除去されるまで(すなわち、半導体基板12の上面12aが露出するまで)エッチングを行う。これにより、半導体基板12の上面12aとトレンチ22の側面22aを接続する接続面40が形成される。また、残存した絶縁膜64がゲート絶縁膜24となり、残存した絶縁膜68が層間絶縁膜28となる。この工程では、絶縁膜68の上面に形成された窪み68aの形状を維持したまま、半導体基板12、絶縁膜64、及び絶縁膜68のエッチングが進行する。このため、エッチング後の接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aは、窪み68aに倣った形状を有することとなる。
【0032】
次に、図8に示すように、半導体基板12の上面12a、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面26aに跨る範囲にバリアメタル層52を形成する。接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aがトレンチ22の中心側に向かって下側に変位するように傾斜しているので、これらの表面が比較的滑らかに接続されている。したがって、上面12a、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aをバリアメタル層52で隙間なく被覆することができる。その後、上部電極54、ドレイン電極等を形成することにより、半導体装置10が完成する。
【0033】
なお、上述した製造方法においては、予めMOSFETの構造を形成した半導体基板12を用いて図3図8に示す工程を実施してもよいし、図7に示す工程の後に半導体基板12にMOSFETの構造を形成してもよい。
【0034】
また、上述した実施例では、接続面40、ゲート絶縁膜24の上面24a、及び層間絶縁膜28の上面28aが、滑らかな傾斜面となっていた。しかしながら、例えば、図9に示すように、接続面40とゲート絶縁膜24の上面24aとの境界に段差部80が設けられてもよく、ゲート絶縁膜24の上面24aと層間絶縁膜28の上面28aとの境界に段差部82が設けられてもよい。半導体基板12、ゲート絶縁膜24、及び層間絶縁膜28は、エッチングレートが互いに異なる。具体的には、半導体基板12、ゲート絶縁膜24、層間絶縁膜28の順にエッチングレートが高くなる。したがって、図6及び図7に示すドライエッチングを行う工程において、図9に示すような段差部80、82が生じ得る。各段差部80、82の高さは、例えば、10nm以下である。このような構成であっても、隣り合う構成要素間の段差は従来よりも小さいので、バリアメタル層52の被覆性を確保することができる。
【0035】
また、上述した実施例では、半導体装置がMOSFETである場合について説明したが、半導体装置は、例えば、IGBTやダイオードであってもよい。
【0036】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0037】
10:半導体装置、12:半導体基板、12a:上面、22:トレンチ、22a:側面、24:ゲート絶縁膜、24a:上面、26:ゲート電極、26a:上面、28:層間絶縁膜、28a:上面、40:接続面、52:バリアメタル層
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9