(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030597
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20240229BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240229BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20240229BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240229BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/249
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133576
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩二
(57)【要約】
【課題】輝度ムラの発生を防ぐことによって、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】導光体4は、分岐部10から第1の方向の一方側に向かって湾曲した第1の湾曲部13と、分岐部10から第1の方向の他方側に向かって湾曲した第2の湾曲部14とを有し、分岐部10は、第1の導光部9の軸線方向とは直交する第2の方向の断面において、少なくとも第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との境界10aが直線を描くように形成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源の前方に配置された第1の導光部と、
前記第1の導光部の基端側に位置して、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部と、
前記第1の導光部の先端側に位置する分岐部と、
前記分岐部から第1の方向の一方側に向かって延長された第2の導光部と、
前記分岐部から第1の方向の他方側に向かって延長された第3の導光部と、
前記分岐部から前記第2の導光部の一部が前記第1の方向の一方側に向かって湾曲した第1の湾曲部と、
前記分岐部から前記第3の導光部の一部が前記第1の方向の他方側に向かって湾曲した第2の湾曲部とを有し、
前記分岐部は、前記第1の導光部の軸線方向とは直交する第2の方向の断面において、前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部との境界の少なくとも一部が直線を描くように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記分岐部は、前記第2の方向の断面において、前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部との互いに接する2つの円の間を平行な2本の接線で繋いだ長円を描くように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の湾曲部及び前記第2の湾曲部は、その軸線方向とは直交する第3の方向の断面において、前記境界から各々の先端側に向かって、前記直線から円弧へと徐変するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体は、前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部の正面側に位置して、前記第1の反射部により反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する第1の出射部と、
前記第3の導光部の背面側に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部の正面側に位置して、前記第2の反射部により反射された光を前記第3の導光部の外部へと出射する第2の出射部とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状や板状の導光体とを組み合わせたものが知られている。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側から入射し、導光体の内部で反射を繰り返しながら、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光部をライン状や面状に発光させることが可能である。
【0004】
また、車両用灯具の中には、導光体に設けられた分岐部で光を分岐した後、この分岐部を挟んだ導光体の一方側と他方側との間に亘って設けられた発光部を発光させるものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した分岐部を設けた場合、この分岐部の内部で導光される光の一部が導光体の先端側に向かわず、迷光となって分岐部から外部に漏れ出すことがあった。この場合、分岐部から導光体の先端側に向かう光の取り込み量が減るため、導光体の内部で導光される光の利用効率が悪くなる。
【0007】
特に、光源から出射される光の光軸が分岐部の境界に対してずれた配置となる場合、分岐部で分岐される光の光量に差が生じるため、上述した光の取り込み量が減ることによっって、光量の振り分けがより困難となる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、分岐部における光の取込効率を高めると共に、分岐部から外部に漏れ出す光を低減することを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記光源の前方に配置された第1の導光部と、
前記第1の導光部の基端側に位置して、前記光源から出射された光を前記第1の導光部の内部へと入射する入射部と、
前記第1の導光部の先端側に位置する分岐部と、
前記分岐部から第1の方向の一方側に向かって延長された第2の導光部と、
前記分岐部から第1の方向の他方側に向かって延長された第3の導光部と、
前記分岐部から前記第2の導光部の一部が前記第1の方向の一方側に向かって湾曲した第1の湾曲部と、
前記分岐部から前記第3の導光部の一部が前記第1の方向の他方側に向かって湾曲した第2の湾曲部とを有し、
前記分岐部は、前記第1の導光部の軸線方向とは直交する第2の方向の断面において、前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部との境界の少なくとも一部が直線を描くように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記分岐部は、前記第2の方向の断面において、前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部との互いに接する2つの円の間を平行な2本の接線で繋いだ長円を描くように形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第1の湾曲部及び前記第2の湾曲部は、その軸線方向とは直交する第3の方向の断面において、前記境界から各々の先端側に向かって、前記直線から円弧へと徐変するように形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記導光体は、前記第2の導光部の背面側に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部の正面側に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部の正面側に位置して、前記第1の反射部により反射された光を前記第2の導光部の外部へと出射する第1の出射部と、
前記第3の導光部の背面側に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部の正面側に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部の正面側に位置して、前記第2の反射部により反射された光を前記第3の導光部の外部へと出射する第2の出射部とを有することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、輝度ムラの発生を防ぐことによって、分岐部における光の取込効率を高めると共に、分岐部から外部に漏れ出す光を低減することを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す下面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具が備える光源の上面図である。
【
図4】
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示すカプラー付ソケット、インナーレンズ及び反射部材の構成を示す斜視図である。
【
図7】光源、インナーレンズ及び反射部材の構成を示す正面図である。
【
図8】
図5に示すカプラー付ソケット及びインナーレンズの構成を示す斜視図である。
【
図9】
図8中に示す切断面Bによるインナーレンズの断面図である。
【
図10】
図8中に示す切断面Cによるインナーレンズの断面図である。
【
図11】
図8中に示す切断面Dによるインナーレンズの断面図である。
【
図12】インナーレンズの分岐部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図11に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の構成を示す正面図である。
図2は、車両用灯具1の構成を示す下面図である。
図3は、車両用灯具1が備える光源3の上面図である。
図4は、
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。
図5は、車両用灯具1の構成を示す斜視図である。
図6は、カプラー付ソケット7、インナーレンズ4及び反射部材5の構成を示す斜視図である。
図7は、光源3、インナーレンズ4及び反射部材5の構成を示す正面図である。
図8は カプラー付ソケット7及びインナーレンズ4の構成を示す斜視図である。
図9は、
図8中に示す切断面Bによるインナーレンズ4の断面図である。
図10は、
図8中に示す切断面Cによるインナーレンズ4の断面図である。
図11は、
図8中に示す切断面Dによるインナーレンズ4の断面図である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両後方のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプに本発明を適用したものである。
【0016】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0017】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、灯体2の内側に、光源3と、インナーレンズ4と、反射部材5とが配置された構成を有している。
【0018】
灯体2は、前面が開口したハウジング5aを構成する反射部材5と、このハウジングの開口を覆う透明なアウターレンズ(カバーレンズ)6とを有して、全体として車両の幅方向(以下、「車幅方向」という。)に延在した長尺形状を有している。
【0019】
また、灯体2は、車両の後端側の両コーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の中央部から両端部に向かって湾曲した形状を有している。なお、灯体2の形状については、このような湾曲した形状に限らず、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0020】
本実施形態の車両用灯具1は、光源3が配置されたカプラー付ソケット7を備えている。カプラー付ソケット7は、上述したハウジングを構成する反射部材5の下部に設けられた取付孔(図示せず。)から灯体2の内側に挿入された状態で、取付孔の周囲に着脱自在に取り付けられている。
【0021】
光源3は、赤色光(以下、「光」という。)Lを発する少なくとも1つ又は複数(本実施形態では4つ)の発光素子8を有している。発光素子8は、例えばLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)の面上に実装されて、前方(本実施形態では上方)に向けて光を放射状に出射する。また、複数の発光素子8は、同じ回路基板の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光Lを放射状に出射する。
【0022】
本実施形態の光源3では、
図3に示すように、4つの発光素子8が四方に並んで配置され、その中心がカプラー付ソケット7の中心軸AXと一致した状態で配置されている。したがって、複数の発光素子8を1つの光源3とみなす場合、光源3の光軸については、カプラー付ソケット7の中心軸AXと一致するもの(以下、光源3の光軸AX)として扱うものとする。
【0023】
なお、本実施形態では、上述した光源3が配置されたカプラー付ソケット7を備えた構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、光源3が配置された回路基板が灯体2の内側に配置された構成であってよい。
【0024】
インナーレンズ4は、
図1、
図2及び
図4~
図11に示すように、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの導光体からなり、光源3(カプラー付ソケット7)の前方に配置されている。
【0025】
インナーレンズ4は、灯体2の形状に合わせて、光源3(カプラー付ソケット7)を挟んで左右非対称に車幅方向に延在した長尺の丸棒形状を有している。すなわち、このインナーレンズ4は、車幅方向の中央部からずれた位置に光源3(カプラー付ソケット7)が配置されると共に、この光源3(カプラー付ソケット7)を挟んだインナーレンズ4の一方側が他方側よりも長くなっている。
【0026】
インナーレンズ4は、光源3の前方に配置されて、車両の上下方向に延長された第1の導光部9と、第1の導光部9の先端(本実施形態では上端)側に位置する分岐部10と、分岐部10から車幅方向の一方(本実施形態では左)側に向かって延長された第2の導光部11と、分岐部10から車幅方向の他方(本実施形態では右)側に向かって延長された第3の導光部12と、分岐部10から第2の導光部11の一部が車幅方向の一方(本実施形態では左)側に向かって湾曲した第1の湾曲部13と、分岐部10から第3の導光部12の一部が車幅方向の他方(本実施形態では右)側に向かって湾曲した第2の湾曲部14とを有している。
【0027】
また、インナーレンズ4は、第1の導光部9の基端(本実施形態では下端)側に位置する入射部15と、第2の導光部11の一面(本実施形態では下面)側に位置する第1の反射部16と、第2の導光部11の他面(本実施形態では上面)側に位置する第1の出射部17と、第3の導光部12の一面(本実施形態では下面)側に位置する第2の反射部18と、第3の導光部12の他面(本実施形態では上面)側に位置する第2の出射部19と、第1の湾曲部13に位置する第1の導光出射部20と、第2の湾曲部14に位置する第2の導光出射部21とを有している。
【0028】
入射部15は、第1の導光部9の基端(下端)側に位置して、光源3と対向する平坦(平面)な入射面15aを有している。入射部15は、光源3から出射された光Lを入射面15aから第1の導光部9(インナーレンズ4)の内部へと入射する。また、入射部15から入射した光Lは、第1の導光部9の内部を第1の導光部9の先端(上端)側にある分岐部10に向けて導光されることになる。
【0029】
なお、入射部15については、上述した平坦(平面)な入射面15aを有する構成に限らず、光源3から放射状に出射された光Lを平行化又は集光しながら、第1の導光部9の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0030】
分岐部10は、第1の導光部9の先端(上端)側に位置して、第2の導光部11の第1の湾曲部13と第3の導光部12の第2の湾曲部14とが互いに逆向きに湾曲しながら分岐した部分であり、第1の導光部9の先端(上端)側に向けて導光される光Lを第2の導光部11側と第3の導光部12側と分岐しながら導光させる。
【0031】
また、入射部15から分岐部10に向けて導光される光Lのうち、分岐部10から第2の導光部11側に向けて分岐された光L1は、第1の湾曲部13を介して第2の導光部11の基端側から先端側に向けて導光されることになる。一方、入射部15から分岐部10に向けて導光される光Lのうち、分岐部10から第3の導光部12側に向けて分岐された光L2は、第3の導光部12の基端側から先端側に向けて導光されることになる。
【0032】
ところで、インナーレンズ4では、第2の導光部11と第3の導光部12との長さが異なっており、第1の方向(本実施形態では左右方向)の一方側(本実施形態では左側)に向かって延長された第2の導光部11が第1の方向の他方側(本実施形態では右側)に向かって延長された第3の導光部12よりも長くなっている。
【0033】
これに対して、分岐部10では、第2の導光部11側に向けて導光される光L1の割合と、第3の導光部12側に向けて導光される光L2の割合とを、これら第2の導光部11と第3の導光部12との長さ(光路長)の違いに応じて調整している。
【0034】
具体的に、この分岐部10では、第3の導光部12よりも第2の導光部11の方が長いため、第2の導光部11と第3の導光部12との境界10aを通る境界線BXに対して、光源3から出射された光Lの光軸AXが第2の導光部11側にずれた配置となっている。
【0035】
これにより、分岐部10に向けて導光される光Lのうち、第2の導光部11側に分岐して導光される光L1の割合が、第3の導光部12側に分岐して導光される光L2の割合よりも大きくなるように調整されている。
【0036】
第1の反射部16は、第2の導光部11の一面(下面)側に位置して、第2の導光部11が延在する方向(左右方向)に並ぶ複数の反射カット16aを有している。複数の反射カット16aについては、第2の導光部11の一面(下面)側に入射した光L1を第2の導光部11の他面(上面)側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、複数の反射カット16aとして、第2の導光部11の一面(下面)側を前後方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が左右方向に並んで設けられている。
【0037】
また、複数の反射カット16aは、第1の出射部17から出射される光L1を第2の導光部11が延在する方向(左右方向)に均一化するため、第2の導光部11の基端側から先端側に向かって、反射カット16aを形成する溝部の深さが漸次深くなっている。若しくは、第2の導光部11の基端側から先端側に向かって、複数の反射カット16aの隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよい。
【0038】
第1の出射部17は、第2の導光部11の他面(上面)側に位置して、第2の導光部11が延在する方向(左右方向)に連続した第1の出射面17aを有している。第1の出射面17aは、第2の導光部11の延在方向とは直交する方向の断面(鉛直断面)において、円弧状に湾曲した凸面により構成されている。
【0039】
第1の出射部17では、複数の反射カット16a(第1の反射部16)により反射された光L1を第1の出射面17aから第2の導光部11の外部へと出射する。
【0040】
第2の反射部18は、第3の導光部12の一面(下面)側に位置して、第3の導光部12が延在する方向(左右方向)に並ぶ複数の反射カット18aを有している。複数の反射カット18aについては、第3の導光部12の一面(下面)側に入射した光L2を第3の導光部12の他面(上面)側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、複数の反射カット18aとして、第3の導光部12の一面(下面)側を前後方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が左右方向に並んで設けられている。
【0041】
また、複数の反射カット18aは、第2の出射部19から出射される光L2を第3の導光部12が延在する方向(左右方向)に均一化するため、第3の導光部12の基端側から先端側に向かって、反射カット18aを形成する溝部の深さが漸次深くなっている。若しくは、第3の導光部12の基端側から先端側に向かって、複数の反射カット18aの隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよい。
【0042】
第2の出射部19は、第3の導光部12の他面(上面)側に位置して、第3の導光部12が延在する方向(左右方向)に連続した第2の出射面19aを有している。第2の出射面19aは、第3の導光部12の延在方向とは直交する方向の断面(鉛直断面)において、円弧状に湾曲した凸面により構成されている。
【0043】
第2の出射部19では、複数の反射カット18a(第2の反射部18)により反射された光L2を第2の出射面19aから第3の導光部12の外部へと出射する。
【0044】
第1の導光出射部20と第2の導光出射部21とは、
図7及び
図8に示すように、分岐部10の境界10aから第1の湾曲部13と第2の湾曲部14とが互いに逆向きに湾曲しながら分岐した分岐中央部22を挟んだ両側に設けられている。
【0045】
第1の導光出射部20は、第1の湾曲部13の他面(上面)側に位置して、第1の湾曲部13が延在する方向(左右方向)に並ぶ複数の出射カット20aを有している。複数の出射カット20aについては、第1の湾曲部13の他面(上面)側に入射した光L1のうち一部の光L3を第1の湾曲部13の他面(上面)側から外部へと出射(透過)するものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、複数の出射カット20aとして、第1の湾曲部13の他面(上面)側を前後方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が左右方向に並んで設けられている。
【0046】
また、複数の出射カット20aは、この第1の導光出射部20から出射される光L3を第1の湾曲部13が延在する第1の方向(左右方向)に均一化するため、第1の湾曲部13の基端側から先端側に向かって、複数の出射カット20aの隣り合う間隔が漸次狭くなっている。
【0047】
第2の導光出射部21は、第2の湾曲部14の他面(上面)側に位置して、第2の湾曲部14が延在する方向(左右方向)に並ぶ複数の出射カット21aを有している。複数の出射カット21aについては、第2の湾曲部14の他面(上面)側に入射した光L2のうち一部の光L4を第2の湾曲部14の他面(上面)側から外部へと出射(透過)するものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。本実施形態では、複数の出射カット21aとして、第2の湾曲部14の他面(上面)側を前後方向に切り欠く断面略三角形状の溝部が左右方向に並んで設けられている。
【0048】
また、複数の出射カット21aは、この第2の導光出射部21から出射される光L4を第2の湾曲部14が延在する第1の方向(左右方向)に均一化するため、第2の湾曲部14の基端側から先端側に向かって、複数の出射カット21aの隣り合う間隔が漸次狭くなっている。
【0049】
分岐部10は、
図8及び
図9に示すように、第1の導光部9の軸線方向とは直交する第2の方向の断面(鉛直断面)において、第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との互いに接する2つの円の間を平行な2本の接線で繋いだ長円を描くように形成されている。
【0050】
なお、第1の導光部9は、入射部15から分岐部10まで同じ長円の断面形状を有している。また、上述した2つの円の径は、円形の断面形状を有する第2の導光部11及び第3の導光部12の径と一致している。
【0051】
また、分岐部10は、第2の方向の断面(鉛直断面)において、第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との境界10aの少なくとも一部が直線SLを描くように形成されている。すなわち、分岐部10の境界10aは、第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との互いに接する2つの円の中間を直線SLにより分断するように形成されている。
【0052】
インナーレンズ4では、入射部15及び分岐部10の境界10aをこのような形状とすることで、入射部15から分岐部10に向けて導光される光Lを第1の湾曲部13側と第2の湾曲部14側とに効率良く分岐させることで、第2の導光部11側と第3の導光部12側とに導光される光L1,L2のロスを抑えつつ、全体の光Lの利用効率を高めることが可能である。
【0053】
なお、分岐部10の境界10aでは、上述した第2の方向の断面において、必ずしも直線SLの両端が2本の接線と接続されるような形状とする必要はなく、例えば、直線SLの両端がそれぞれ第1の湾曲部13側と第2の湾曲部14側とに分岐しながら、2本の接線と連続的に(湾曲しながら)接続されるような形状や、互いに交わる2つの円の中間を直線SLにより分断するような形状としてもよい。
【0054】
また、分岐部10の境界10aでは、第1の導光部9の軸線方向に沿った断面(水平断面)において、第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との間で尖形となっているが、インナーレンズ4を金型で成形する上で、第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との間で丸みを帯びた形状としてもよい。
【0055】
第1の湾曲部13及び第2の湾曲部14は、
図8及び
図11に示すように、その軸線方向とは直交する第3の方向の断面(鉛直断面)において、境界10aから各々の先端側に向かって、直線SLから円弧CLへと徐変するように形成されている。
【0056】
反射部材5は、
図1、
図2及び
図4~
図7に示すように、例えば光拡散性を有する白色の樹脂部材からなり、ハウジング5aとリフレクタ5bとが一体に形成された構成を有している。
【0057】
反射部材5は、車両用灯具1の正面側に開口部5cを有して、ハウジング5aがインナーレンズ4の上側を除くインナーレンズ4の周囲を囲むように配置されている。また、反射部材5は、インナーレンズ4の他面(上面)と対向するリフレクタ5bが前方の開口部5cに向かって傾斜するように配置されている。アウターレンズ6は、反射部材5の開口部5cを覆うように配置されている。
【0058】
これにより、反射部材5は、インナーレンズ4から外部(上方)へと出射された光L1~L4をリフレクタ5bにより反射して、前方の開口部5cに向けて光L1~L4を出射する。
【0059】
また、反射部材5は、リフレクタ5bのうち、インナーレンズ4の分岐中央部22と対向する第1の反射領域E1と、分岐中央部22を挟んだ両側に設けられた第1の導光出射部20及び第2の導光出射部21と対向する一対の第2の反射領域E2とを有している。
【0060】
第1の反射領域E1は、例えばシボ加工等を施すことによって、第2の反射領域E2よりも光Lの拡散度合いが大きい領域となっている。
【0061】
以上のような構成を有する車両用灯具1では、アウターレンズ6の正面側から出射される光L1~L4(L)によりアウターレンズ6の正面側をリッドランプの発光面Sとしてライン状に赤色発光させることが可能である。
【0062】
ところで、本実施形態の車両用灯具1では、
図6に示すように、上述したインナーレンズ4の分岐部10から第1の湾曲部13側と第2の湾曲部14側とに分岐して導光される光L1,L2(L)のうち、分岐中央部22から第1の湾曲部13及び第2の湾曲部14の外部へと漏れ出した光L5,L6をリフレクタ5bの第1の反射領域E1により前方に向けて反射する。
【0063】
分岐中央部22は、漏れ出した光L5,L6により点光りが発生し易い領域である。第1の反射領域E1は、第2の反射領域E2よりも光の拡散度合いが大きい領域のため、この分岐中央部22から漏れ出した光L5,L6を第2の反射領域E2よりも大きく拡散させながら反射することで、点光りの発生を抑制することが可能である。
【0064】
一方、本実施形態の車両用灯具1では、第1の導光出射部20及び第2の導光出射部21から第1の湾曲部13及び第2の湾曲部14の外部へと出射された光L3,L4をリフレクタ5bの一対の第2の反射領域E2により前方に向けて反射する。
【0065】
第1の導光出射部20及び第2の導光出射部21は、他の部分よりも暗くなる暗部が発生し易い領域のため、この第1の導光出射部20及び第2の導光出射部21から光L3,L4を出射することで、暗部の発生を抑制することが可能である。
【0066】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、分岐部10から分岐した第1の湾曲部13と第2の湾曲部14との間に対応した領域(第1の反射領域E1及び一対の第2の反射領域E2)を略均一に発光させることが可能である。
【0067】
また、本実施形態の車両用灯具1では、
図8~
図11に示すように、上述した分岐部10の境界10aが直線SLを描くように形成されている。また、第1の湾曲部13及び第2の湾曲部14が境界10aから各々の先端側に向かって、直線SLから円弧CLへと徐変するように形成されている。
【0068】
この場合、直線SLとなる部分は、円弧CLとなる部分よりも光L1,L2の反射角度が小さくなり、全反射し易くなるため、分岐部10から外部に漏れ出す光L5,L6を低減することが可能である。
【0069】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、上述した分岐部10から漏れ出す不要な光L5,L6を低減し、この分岐部10から第1の湾曲部13側と第2の湾曲部14側とに分岐して導光される光L1,L2(L)の取込効率を高めることが可能である。
【0070】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、上述した光源3から出射された光Lを分岐部10を挟んだ第2の導光部11側と第3の導光部12側とに適切に振り分ける(分配する)ことによって、車幅方向にライン状に延びる発光面Sをより均一な明るさ(輝度)で発光させることが可能である。
【0071】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した入射部15から分岐部10に向けて導光される光Lを第1の湾曲部13側と第2の湾曲部14側とに効率良く分岐させることでき、第2の導光部11側と第3の導光部12側とに導光される光L1,L2のロス(漏れ光)を抑えつつ、光L1,L2(L)の取込効率を高めることが可能である。
【0072】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、上述した光源3から出射された光Lの利用効率を高めつつ、発光面Sでの輝度ムラの発生を防止しながら、発光時の見栄えを良くすることが可能である。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記分岐部10の断面形状については、上述した
図9に示す形状に必ずしも限定されるものではなく、
図12(A)に示すように、互いに離間する2つの円の間を平行な2本の接線で繋いだ長円形状であってもよく、
図12(B)に示すように、互いに交わる2つの円の間を平行な2本の接線で繋いだ長円形状であってもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、上述した車両用灯具1をリッドランプに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0075】
すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリッドランプの他にも、例えば、テールランプやストップランプ、バックランプ、昼間点灯ランプ(DRL)、車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0076】
また、光源については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、光源が発する光の色については、上述した赤色光以外にも、白色光や橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…車両用灯具 2…灯体 3…光源 4…インナーレンズ(導光体) 5…反射部材 6…アウターレンズ 7…カプラー付ソケット 8…発光素子 9…第1の導光部 10…分岐部 11…第2の導光部 12…第3の導光部 13…第1の湾曲部 14…第2の湾曲部 15…入射部 16…第1の反射部 17…第1の出射部 18…第2の反射部 19…第2の出射部 20…第1の導光出射部 21…第2の導光出射部 22…分岐中央部 E1…第1の反射領域 E2…第2の反射領域 SL…直線 CL…円弧 L,L1~L6…光