(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030618
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】作業管理システム、及び、作業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133607
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】521432270
【氏名又は名称】株式会社KURANDO
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 一弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業開始時刻の記録操作を煩雑とすることなく、その記録漏れを正しく検出し、将来の業務効率向上や作業計画の精度向上に資する作業管理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】作業者による作業を管理するサーバを備えた作業管理システムSにおいて、サーバ10は、作業種L1を作業者Q1が開始したL1作業開始時刻T1を記録し、続いて作業種L2をタブレット端末2へ入力操作する作業者Q1が開始したL2作業開始時刻T2を記録する情報記録部と、L2作業開始時刻T2とL1作業開始時刻T1との差分である作業時間tを算出し、作業種情報L1に関連付けられた作業種係数X1と作業者情報Q1に関連付けられた属性係数Yaとを用いて、積算値X1Yaを算出し、作業時間tと積算値X1Yaとの大小関係を比較する情報処理部と、作業時間tが積算値X1Yaより大きい場合にアラート信号を送信する情報出力部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、作業者による作業を管理するコンピュータを備えた作業管理システムであって、前記コンピュータは、以下の機能を備えた情報記録部、情報処理部、及び、情報出力部、を有する。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
<情報出力部>
・前記作業時間tが前記積算値XYより大きい場合にアラート信号を送信する。
【請求項2】
前記情報出力部が、
前記情報記録部に新たな作業種係数が入力された場合に、前記作業種データベース内の作業種係数を新たな作業種係数へと更新する、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記情報処理部が、
前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係に基づいて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新する、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記情報記録部が、
前記情報出力部からアラート信号が送信されるごとに、次作業開始時刻の記録漏れの有無を指標する記録漏れ有無情報の入力を記録し、
前記情報出力部が、
入力された前記記録漏れ有無情報の指標内容に応じて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新する、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項5】
前記情報記録部が、
前記情報出力部からアラート信号が送信されるごとに、次作業開始時刻の記録漏れの有無を指標する記録漏れ有無情報の入力を記録し、
前記情報処理部が、
所定期間内の前記記録漏れ有無情報のうち、記録漏れ有りを指標する情報の記録回数である漏れ有り回数をカウントすると共に、前記所定期間内の前記記録漏れ有無情報のうち、記録漏れ無しを指標する情報の記録回数である漏れ無し回数をカウントし、
前記漏れ有り回数と前記漏れ無し回数との大小関係を比較し、
前記情報出力部が、
前記漏れ有り回数と前記漏れ無し回数との大小関係に基づいて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新する、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項6】
前記情報記録部が、携帯情報端末に入力された前記第1作業者の作業者情報、前記第1作業種の作業種情報、及び、前記第2作業種の作業種情報を、ネットワークを介して前記携帯情報端末より取得することにより、前記第1作業者の作業者情報、前記第1作業種の作業種情報、及び、前記第2作業種の作業種情報の記録を行う、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項7】
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、コンピュータにより、作業者による作業を管理する作業管理プログラムであって、
前記コンピュータを、以下の動作を各々実行する情報記録部、情報処理部、及び情報出力部、として機能させる作業管理プログラム。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
<情報出力部>
・前記作業時間tが前記積算値XYより大きい場合にアラート信号を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システム、及び、作業管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、物流業界における倉庫作業等において、業務効率向上を目的として、様々な管理システムが導入されている(例えば、特許文献1を参照。)。倉庫作業においては、熟練の社員からパートタイマー、アルバイト員等、種々の作業者が作業を行っており、各々が有するスキルや作業処理速度はバラバラである。また、倉庫作業においては、荷受け作業、運搬作業、ピッキング作業、仕分け作業、検品作業、梱包作業等種々の作業種が存在し、各作業者が、各々の作業計画に従って必要な作業に従事している。
【0003】
一日の作業において、一人の作業者が時間を割り振りつつ複数の作業種に従事する場合が多く、業務効率の向上や将来の作業計画の立案において、作業者が各々の作業種に従事した作業時間を管理することは重要である。作業者ごと、又は作業者の属性(例えば、熟練度や作業処理速度に応じた属性や、正社員・パートタイマー・アルバイト員等の雇用形態に応じた属性等。)ごとに、作業種ごとの作業時間を管理すれば、将来の業務量に合わせて、必要な属性の作業者の必要な人員数を予測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業者が、各作業種を開始/終了するにあたって、作業開始時刻や作業終了時刻をわざわざ記録するのは煩雑である。したがって、時刻記録の煩雑さを軽減するために、特定の作業開始時に開始時刻を記録し、続いて別の作業開始時にその別の作業の開始時刻を記録することで、別の作業開始時刻=前の作業の終了時刻として記録する方法が用いられることがある。
【0006】
しかしながら、この方法では、作業者が、作業開始時における作業の開始時刻の記録を失念すると、その記録漏れを検出することが難しいという課題がある。すなわち、作業者が、最初の作業(第1作業)、次の作業(第2作業)、更に次の作業(第3作業)を行う際に、第2作業の作業開始時刻の記録が漏れると、第1作業の作業時間+第2作業の作業時間の合計時間が第1作業の作業時間として記録されてしまう。その結果、作業者による第1作業の作業時間が不正確な情報として記録されてしまい、適正な作業時間管理ができなくなるという不都合を生じる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、作業開始時刻の記録操作を煩雑とすることなく、その記録漏れを正しく検出し、将来の業務効率向上や作業計画の精度向上に資することのできる作業管理システム及び作業管理プログラムを提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての作業管理システムは、以下の構成を有する。
【0009】
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、作業者による作業を管理するコンピュータを備えた作業管理システムであって、前記コンピュータは、以下の機能を備えた情報記録部、情報処理部、及び、情報出力部、を有する。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
【0010】
本発明の他の例示的側面としての作業管理プログラムは、以下の構成を有する。
【0011】
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、コンピュータにより、作業者による作業を管理する作業管理プログラムであって、
前記コンピュータを、以下の動作を各々実行する情報記録部、情報処理部、及び情報出力部、として機能させる作業管理プログラム。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
<情報出力部>
・前記作業時間tが前記積算値XYより大きい場合にアラート信号を送信する。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業開始時刻の記録操作を煩雑とすることなく、その記録漏れを正しく検出し、将来の業務効率向上や作業計画の精度向上に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係る作業管理システムの全体を示す概略構成図である。
【
図2】
図1に示すタブレット端末の概略構成図である。
【
図3】
図2のタブレット端末のタッチパネルへ表示される表示画面の表示例であって、(a)は、タッチパネルに、作業者情報入力枠、作業種選択ボタン、及び、登録ボタンが表示された登録画面の例を示し、(b)は、タッチパネルにアラートウィンドウがポップアップ表示した表示画面の例を示す。
【
図4】実施形態1に係る補助スコープ及びカードの外観図である。
【
図5】
図1に示すサーバの内部構造の概略を示す概略構成図である。
【
図6】作業種データベースのデータ構造の概略を示すデータ構造図である。
【
図7】作業者データベースのデータ構造の概略を示すデータ構造図である。
【
図8】実施形態6に係る作業管理システムの全体を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る作業管理システムSの全体を示す概略構成図である。作業管理システムSは、サーバ(コンピュータ)10、ディスプレイ(情報表示部)20、キーボード(情報入力部)30を有して大略構成される。また、サーバ10は、ネットワークWを介してタブレット端末(携帯情報端末)2と情報送受信可能に接続され得る。ネットワークWはインターネットでもよいし、この作業管理システムSと情報送受信可能に接続されるローカルなネットワーク(LAN)であってもよい。サーバ10の詳細な説明は後述する。
【0015】
この実施形態1では、作業管理システムSが、倉庫内作業での各作業者の作業種ごとの時間管理に用いられる例について説明する。作業者は複数人存在し、各作業者のスキル、熟練度、経験値、作業処理速度が異なる。したがって、同様のスキルや経験値等を有する作業者同士が1つのグループにグルーピングされ、スキルや経験値等の異なる複数のグループごとに、すなわち作業者の属性ごとに分類される。実施形態1では、複数の作業者を2つの属性に係る属性情報Ga、Gbに分類した場合について説明する。
【0016】
また、作業種も、荷受け作業、運搬作業、ピッキング作業、仕分け作業、検品作業、梱包作業等種々の作業種が存在する。実施形態1では、説明の簡単のために、作業種を作業種情報L1、L2、L3に係る3種類の作業種とした場合について説明する。なお、以下の説明において、作業者と作業者情報とは略同義であるので、作業者についても引用符号Qを用いて作業者Qということがある。また、作業種と作業種情報とは略同義であるので、作業種についても引用符号Lを用いて作業種Lということがある。
なお、実施形態1では、作業者を複数の属性情報Ga、Gbにグルーピングした場合について説明している。この場合、複数の作業者が1つの属性情報にまとめて分類される。しかしながら、作業者をグルーピングしなくてもよい。この場合、属性情報は、1人1人の作業者情報に対応することとなり、属性情報と作業者情報とは同義となる。また、この場合は、後述する属性係数も作業者ごとの作業者係数と同一視することができる。
【0017】
すなわち、複数の作業者を1つの属性にまとめて属性情報として管理する場合は、作業者情報と属性情報とは別に概念され、複数の作業者を属性ごとにまとめることなく1人1人の情報として管理する場合には、以下の説明における属性情報を作業者情報と同一視することができる。
【0018】
<ディスプレイ20>
ディスプレイ20は、サーバ10から受信した情報に基づき、この作業管理システムSの管理者に対して種々の表示を行う情報表示部としてのデバイスである。ディスプレイ20としては、CRTモニター、液晶ディスプレイモニター、有機ELディスプレイモニター、プラズマディスプレイモニター等の種々の表示装置を適用することができる。
【0019】
ディスプレイ20には、サーバ10からの情報のみならず、サーバ10と情報送受信可能とされたタブレット端末2からの情報やキーボード30から入力された情報についても表示可能とされる。
【0020】
<キーボード30>
キーボード30は、管理者がサーバ10に情報入力を行う際に用いる情報入力部としてのデバイスであり、種々の文字や数値の入力が可能とされる。なお、この実施形態1では情報入力部としてキーボード30を例として説明するが、情報入力部としては、キーボードの他にマウス、ペンタブレットを適用することもでき、また、これらの組合せを用いることも可能である。
【0021】
<タブレット端末2>
タブレット端末2は、スマートフォンと同様のいわゆる携帯情報端末と呼ばれるものの一種である。
図2にその概略構成を示すように、タブレット端末2は、CPU(演算処理部)2a、メモリ(記憶部)2b、カメラ(撮像部)2c、タッチパネル(表示部及び入力部)2d、タイマー(計時部)2eを有する。メモリ2b、カメラ2c、タッチパネル2dは、
図2に示すように、各々がCPU2aと接続されている。タブレット端末2は、一般に大略長方形状の平板形状を呈しておりその表面側にタッチパネル2d及びカメラ2cが配置されている。
【0022】
CPU2aは、タッチパネルからの入力信号や接続された外部機器(不図示)からの入力信号に基づいて各種演算処理を実行する。CPU2aによる演算処理は、メモリ2b内に格納された各種プログラムの機能により実現される。
【0023】
メモリ2bは、プログラムやデータを記憶する記憶部であり、本実施形態1のタブレット端末2には、端末側プログラムPが格納されている。
図3は、端末側プログラムPによってタブレット端末2のタッチパネル2dへ表示される表示画面の表示例である。
図3(a)は、タッチパネル2dに、作業者情報入力枠2m、作業種選択ボタン2g、及び、登録ボタン2hが表示された登録画面2jの例を示し、
図3(b)は、タッチパネル2dにアラートウィンドウ2kがポップアップ表示した表示画面の例を示す(後述)。
カメラ2cは、画像を撮像するための撮像部であって、例えば、タブレット端末2の周縁近傍であってタッチパネル2dの枠外部に配置されている。本実施形態1では、カメラ2cは、タブレット端末2の本体と一体とされており、その撮像方向がタブレット端末2の表面と直交する方向であって、タブレット端末2の表面側に向くように配置されている。
【0024】
カメラ2cで撮像された画像の情報は、カメラ2cと接続されたCPU2aへと送信され、CPU2aによって画像処理が実行される。作業者を識別するために作業者ごとに割り振られた識別画像としてのバーコード7(
図4参照)を、カメラ2cによって撮像すると、端末側プログラムPによって画像処理がされてそのバーコード7内に記録された識別情報がCPU2aによって読み取られ、作業者情報入力枠2mに作業者情報が自動入力されるようになっている。
【0025】
なお、バーコード7は、従業員等ごとに割り当てられた識別情報が画像として表示されたものである。バーコード7は、例えば従業員等が所持管理する社員証や会員証等のカード8の表面に画像形成されている。カード8の材質は、紙、樹脂、金属のいずれでもよく、それらの表面に印刷、刻印、表面処理等の方式でバーコード7が画像形成される。
【0026】
バーコードの一例としてQRコード(登録商標)のような2次元バーコードが適用可能であるがこれに限られず、1次元バーコードも適用可能である。識別画像は、必ずしもバーコードである必要がなく、数字列、文字列、顔写真、キャラクター図形等を識別画像として利用することも可能である。
【0027】
タッチパネル2dは、タブレット端末2の表面側に配置された表示画面であり、多くは液晶や有機EL等で構成され、CPU2aによる演算処理の進捗状況や演算処理結果を表示する機能を有する。また、タッチパネル2dは、情報入力部としても機能し、そのパネル面に指先等で触れることで、文字入力、アイコン選択等の情報入力が可能とされている。
【0028】
タイマー2eは、タブレット端末2が内部に有する時計であり、時間を計測したり現在時刻を出力したりする機能を有する。タイマー2eからCPU2aに向けて現在時刻が送信可能とされている。
【0029】
作業者(ここでは、タブレット端末2を使用するユーザでもある。)が登録画面2jにおいて、自身のカード8をカメラ2cによって撮像し、作業種選択ボタン2gにおいて複数提示される作業種情報の中から1つの作業種情報を選択し、最後に登録ボタン2hを押すと、作業者情報、作業種情報、及び、登録ボタン2hを押した現在時刻である作業開始時刻の情報が、タブレット端末2にネットワークWを介して接続された作業管理システムS側へと送信される。
【0030】
<補助スコープ4>
なお、バーコード7の読取りに際しては、補助スコープ4を利用することが可能である。補助スコープ4を利用することで、より簡易にかつ正確にバーコード7のカメラ2cでの読取りを行うことができる。
【0031】
図4は、実施形態1で用いられる補助スコープ4及びカード8の外観図である。補助スコープ4は、タブレット端末2に装着して用いるためのもので、ホルダー部4aとアーム部4bとフレーム部4cとを有する。
【0032】
ホルダー部4aは、タブレット端末2に装着するための部分であり、例えば、図に示すように、タブレット端末2の厚さに対応するサイズの凹部を有する略コの字状断面を呈して、そのままタブレット端末2の周縁2fに差込み可能となっていてもよい。このように構成することで、ホルダー部4aは、タブレット端末2の周縁2fに差し込むだけで周縁2fと係合するので、ホルダー部4aは、周縁2fへの係合部として機能することとなる。
【0033】
ホルダー部4aの一部にカメラ2cの視野を確保するための透光部4dが形成されていてもよい。透光部4dは貫通穴として形成されてもよいし、
図4に示すように、切欠部として形成されてもよいし、カメラ2cの視野を確保するように一部が透光部材(例えば、透光性のある樹脂等)により形成されていてもよい。これにより、ホルダー部4aが大型であっても、カメラ2cの視野を遮ることなくホルダー部4aの周縁2fへの装着が可能となる。
【0034】
また、ホルダー部4aは、タブレット端末2の周縁2fを把持する把持部として機能するように構成されてもよい。ホルダー部4aがバネ等の弾性部材を有してクリップのように周縁2fを挟持及び開放可能であるように構成されれば、周縁2fへの補助スコープ4の装着がより強固となる。
【0035】
アーム部4bは、後述するフレーム部4cをカメラ2cの視野内においてカメラ2cから所定距離離れた状態に配置するための部分である。フレーム部4cの枠部4eにかざしたバーコード7がカメラ2cにより鮮明に撮像できるように、アーム部4bは、ホルダー部4aとフレーム部4cとを接続しつつ、フレーム部4cがカメラ2cから所定距離離れるように維持する。そのため、補助スコープ4の周縁2fへの装着状態において、アーム部4bは、タブレット端末2の表面から略垂直に立設されることとなる。なお、この「所定距離」は、実質的に「アーム部4bの長さ」と読み替えることができる。
【0036】
所定距離、すなわち、補助スコープ4の装着状態でのカメラ2cとフレーム部4cとの離間距離がどの程度であれば適切であるかについては、カメラ2cの焦点距離やカメラ2cの撮像方向、視野角等に依存する。例えば、一般的なタブレット端末2に用いる補助スコープ4において、所定距離は5cm程度~20cm程度の範囲内に設定されることが多い。
【0037】
フレーム部4cは、バーコード7をカメラ2cで撮像可能な位置に保持するための部分である。フレーム部4cは、図に示すように、大略四角形状の平板部として構成され、その中央は中空部4fとされており、中空部4fを囲むように枠部4eが設置されている。枠部eが呈する面(平板面)は、タッチパネル2dと略平行する面内に延びるように配置されている。すなわち、フレーム部4cは、アーム部4bが延びる方向に対して、略直角に屈曲して設けられている。枠部4eに従業員等が自身の管理するカード8をかざし、カード8の表面に印刷されたバーコード7が中空部4fから露出するように位置すれば、カメラ2cでバーコード7が撮像できるような位置関係となっている。
【0038】
すなわち、補助スコープ4をタブレット端末2の周縁2fに装着すると、枠部4eがカメラ2cの視野内に含まれ、かつ枠部4eの中心がカメラ2cの視野の中心近傍に位置するようになっている。その結果、中空部4fの中心もカメラ2cの視野の中心近傍に位置することとなる。アーム部4bにより、フレーム部4cがカメラ2cから所定距離、すなわち、バーコード7が鮮明に撮像できる範囲の距離に配置されるので、枠部4eにかざしたバーコード7内から、高い認識率で識別情報を読み取ることができる。
【0039】
<サーバ10>
サーバ10は、本実施形態1の作業管理システムSの主要部を構成するコンピュータである。
図5は、サーバ10の内部の概略構成図である。サーバ10は、その内部に、CPU(演算処理部)10a、メモリ(記憶部)10bを有しており、メモリ10bには、作業管理プログラムP1と作業種データベースD1と作業者データベースD2とが格納されている。
【0040】
CPU10aは、サーバ10において各種演算処理や各種情報処理を担当する主要構成部分であり、本実施形態1では、作業管理プログラムP1が実行されることにより、CPU10aが、情報記録部11、情報処理部12、情報出力部13として機能する。
【0041】
<作業種データベースD1>
図6は、作業種データベースD1のデータ構造の概略を示すデータ構造図である。作業種データベースD1には、複数の作業種情報L(L1、L2、L3)と複数の作業種係数X(X1、X2、X3)とが相互に関連付けられて格納されている。
【0042】
作業種情報L1~L3は、各々1種類ずつの作業種に対応しており、例えば、作業種情報L1はピッキング作業、作業種情報L2は仕分け作業、L3は梱包作業に対応する。ここで、例えば、作業種情報L1~L3を作業種L1~L3という場合もあることとする。
【0043】
作業種係数X1~X3は、予め設定された係数であって、当該作業の継続時間を指標する係数値である。作業種係数X1~X3は、例えば、各々の作業種L1~L3の業務量や業務の難易度等、当該業務を完了させるまでに必要な時間に応じた値であり、作業の継続時間が長くなれば、作業種係数Xも大きくなる。
【0044】
作業種係数Xの値は、後述する情報出力部13の機能に基づき、更新可能である。作業種係数Xの値は、情報処理部12による演算処理の結果に基づいて、自動的に更新されるものであってもよいが、本実施形態1では、管理者がキーボード30から新たな数値を入力することによって作業種係数Xの値が更新可能とされる。
【0045】
<作業者データベースD2>
図7は、作業者データベースD2のデータ構造の概略を示すデータ構造図である。作業者データベースD2には、複数の作業者情報Q(Q1~Q5)と複数の属性情報G(Ga、Gb)と複数の属性係数Y(Ya、Yb)とが相互に関連付けられて格納されている。
【0046】
作業者情報Q1~Q5は、各々一人一人の作業者に対応する情報であって、作業者を識別する情報である。作業者情報Q1~Q5は、各々作業者ごとのバーコード7に対応している。属性情報Ga、Gbは各々作業者の属性に対応する情報であって、実施形態1では、例えば、属性情報Gaは正社員、属性情報Bはアルバイト員である。実施形態1では、作業者Q1、Q2が正社員であって属性情報Gaと関連付けられ、作業者Q3~Q5がアルバイト員であって属性情報Bと関連付けられている。
【0047】
属性係数Ya、Ybは、各々属性Ga、Gbに関連付けられている。属性係数Ya、Ybは予め定められた係数であって、当該属性に対応する作業者の作業処理速度を指標する係数値である。当該属性に対応する作業者の作業処理速度が高いほど属性係数Yの値は小さくなる。属性係数Ya、Ybは、各々の属性情報Ga、Gbに応じた値であり、正社員に対応する属性係数Yaは、アルバイト員に対応する属性係数Ybよりも小さい値である。
【0048】
属性係数Ya、Ybの値は、後述する情報出力部13の機能に基づき、更新可能である。情報処理部12による演算処理の結果に基づいて、自動的に更新されるものであってもよいが、本実施形態1では、管理者がキーボード30から新たな数値を入力することによって属性係数Ya、Ybの値が更新可能とされる。
【0049】
<作業管理プログラムP1>
作業管理プログラムP1は、メモリ10b内に格納されたプログラムであって、それが実行されることにより、サーバ10の主要部としてのCPU10aを、情報記録部11、情報処理部12、情報出力部13として機能させる。
【0050】
情報記録部11は、複数の作業種のうちの第1作業種を複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と第1作業種の作業種情報と第1作業者の作業者情報とを記録する。本実施形態1では、第1作業種を作業種L1、第1作業者を作業者Q1であるとする。情報記録部11は、作業者Q1が作業種L1を開始したことを検出した場合に、L1作業開始時刻(第1作業開始時刻)T1と作業種情報L1と作業者情報Q1とを記録する。
【0051】
作業者Q1が作業種L1を開始したことは、作業者Q1がタブレット端末2において、自身の作業者情報Q1を作業者情報入力枠2mに入力し、作業種情報L1を作業種選択ボタン2gにおいて選択した状態で登録ボタン2hを押したことにより、ネットワークWを介して接続されたサーバ10側で検出される。タブレット端末2から、登録ボタンを押した現在時刻であるL1作業開始時刻T1と作業種情報L1と作業者情報Q1とがサーバ10側に送信される。
【0052】
<情報記録部11>
情報記録部11は、第1作業種に引き続き複数の作業種のうちの第2作業種を第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と第2作業種の作業種情報と第1作業者の作業者情報とを記録する。本実施形態1では、第2作業種を作業種L2であるとする。情報記録部11は、作業者Q1が作業種L1に引き続き作業種L2を開始したことを検出した場合に、L2作業開始時刻(第2作業開始時刻)T2と作業種情報L2と作業者情報Q1とを記録する。
【0053】
作業者Q1が作業種L2を開始したことは、作業者Q1がタブレット端末2において、自身の作業者情報Q1を作業者情報入力枠2mに入力し、作業種情報L2を作業種選択ボタン2gにおいて選択した状態で登録ボタン2hを押したことにより、ネットワークWを介して接続されたサーバ10側で検出される。タブレット端末2から、登録ボタンを押した現在時刻であるL2作業開始時刻T2と作業種情報L2と作業者情報Q1とがサーバ10側に送信される。なお、作業種選択ボタン2gにおいて作業者Q1自身が作業種L2を選択しなくても、作業管理システムS側で予め設定された当日の作業者Q1の作業計画に基づいて、L1作業開始時刻T1が送信された後は、作業種L2に対応する作業種情報L2が作業種選択ボタン2gに自動的に設定されるようになっていてもよい。
【0054】
上記のタブレット端末2から受信した各種情報、すなわち、作業者情報Q1、作業種情報L1、作業種情報L2、L1作業開始時刻T1、L2作業開始時刻T2等の情報は、情報記録部11によってメモリ10b内に記録される。なお、作業者による作業者情報の入力は、作業者情報入力枠2mへの作業者による入力操作によるものであってもよいが、カード8に画像形成されたバーコード7をカメラ2cによって撮像するものであってもよいことは、前述の通りである。
【0055】
<情報処理部12>
情報処理部12は、第2作業開始時刻と第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。すなわち、情報処理部12は、情報記録部11によって記録されたL2作業開始時刻T2とL1作業開始時刻T1との差分である作業時間t=T2-T1を算出する。
【0056】
次に、情報処理部12は、第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。すなわち、情報処理部12は、作業種L1に関連付けられた作業種係数X1と作業者Q1に対応する作業者情報(ここでは、属性情報Ga)に関連付けられた第1作業者係数(ここでは、属性係数)Yaとを用いて、作業種計数X1と属性係数Yaとの積算値X1Yaを算出する。
【0057】
この積算値X1Yaは、属性情報Gaに対応する作業者Q1の作業処理速度によって作業種L1の作業が完了するはずの時間に対応する値である。したがって、作業時間tが積算値X1Yaより大きいとき、作業者Q1が、作業L1を終えて次の作業L2に移行したにも拘わらず、L2作業開始時刻T2の記録が漏れたと判断することができる。
【0058】
情報処理部12は、作業時間tと積算値XYとの大小関係を比較する。すなわち、作業時間tと積算値X1Yaの値との比較を行い、いずれが大きいかについて判定する。このとき、作業時間tと積算値XYとの大小関係の比較には、積算値XYに所定の倍率mを乗じた上での作業時間tとの大小関係の比較も含む。
【0059】
作業種係数Xは作業の継続時間を指標する係数値であり、作業の継続時間が長くなれば作業種係数Xも大きくなる。一方、属性係数Yは、その属性に対応する作業者の作業処理速度を指標する係数値であり、作業者の作業処理速度が高いほど属性係数Yの値は小さくなる。したがって、積算値XYは、作業時間tに比例する値となる。すなわち、作業時間t∝積算値XYである。
【0060】
ここで、作業時間は、作業L1の開始時刻と作業L2の開始時刻との現実の時間差分であるので、作業種係数Xや属性係数Yの数値設定の仕方によっては、積算値XYと作業時間tとを直接的に大小比較することが適切でない場合がある。そのような場合には、積算値XYに倍率mを乗じた上で、作業時間tとの大小関係を比較してもよい。すなわち、情報処理部12は、
・作業時間t>倍率m×積算値XY -比較結果(1)
・作業時間t=倍率m×積算値XY -比較結果(2)
・作業時間t<倍率m×積算値XY -比較結果(3)
を判定してもよい。
【0061】
<情報出力部13>
情報出力部13は、作業時間tが積算値X1Yaより大きい場合にアラート信号を送信する。すなわち、上記の比較結果(1)の場合に、情報出力部13は、アラート信号を送信する。上記の比較結果(1)の場合に加えて比較結果(2)の場合にも情報出力部13は、アラート信号を送信してもよい。この場合、アラート信号は、ディスプレイ20に向けて送信されてディスプレイ20にアラート情報が表示されてもよいし、アラート信号がサーバ10内の警報装置(不図示)に向けて送信され、サーバ10においてアラート音が鳴るようになっていてもよい。
【0062】
また、アラート信号は、ネットワークWを介して作業者Q1のタブレット端末2に向けて送信され、タブレット端末2のタッチパネル2dにアラートウィンドウ2kが表示されてもよい。
【0063】
<作業管理システムSの動作>
作業管理システムSの動作について説明する。まず作業者Q1が、その日の作業計画に基づいて、タブレット端末2から作業者情報Q1、最初の作業種である作業種情報L1の情報をサーバ10に向けて送信する。サーバ10側では、作業者情報Q1、作業種情報L1及びタブレット端末2からそれらの情報が送信された時刻(L1作業開始時刻)T1を受信する。
【0064】
作業者Q1が作業L1を終了した後に、タブレット端末2から作業者情報Q1、次の作業種である作業種情報L2の情報をサーバ10に向けて送信する。サーバ10側では、作業者情報Q1、作業種情報L2及びタブレット端末2からそれらの情報が送信された時刻(L2作業開始時刻)T2を受信する。
【0065】
サーバ10が、作業時間t=T2-T1を算出する。そして、作業種データベースD1及び作業者データベースD2に基づいて、作業種係数X1と作業者Q1に対応する属性係数Yaとの積算値X1Yaに更に倍率mを乗じた値、mX1Yaを算出する。
【0066】
サーバ10が、作業時間tとmX1Yaの値とを比較し、以下のいずれの比較結果であるかを判定する。
・作業時間t>倍率m×積算値XY -比較結果(1)
・作業時間t=倍率m×積算値XY -比較結果(2)
・作業時間t<倍率m×積算値XY -比較結果(3)
【0067】
作業時間tがmX1Yaより大きい場合(比較結果(1)の場合)には、ディスプレイ20及び作業者Q1のタブレット端末2に向けてアラート信号を送信する。又は、作業時間tがmX1Ya以上の場合(比較結果(1)又は(2)の場合)には、ディスプレイ20及び作業者Q1のタブレット端末2に向けてアラート信号を送信する。アラート信号が送信されると、ディスプレイ20にアラート表示がされる。
【0068】
なお、実施形態1では、ディスプレイ20にアラート表示が送信された場合には、管理者が作業種データベースD1内の作業種情報L1に対応する作業種係数X1を更新することができるようになっている。管理者がキーボード30から新たな作業種係数X1を入力することにより、情報出力部13の機能に基づいて作業種データベースD1内の作業種係数X1が新たな値へと更新される。
【0069】
例えば、アラート表示がされた場合には、作業種係数X1をより大きな値に更新し、アラート表示がされなかった場合には、作業種係数X1をより小さな値に更新してもよい。アラート表示がされなかった場合には、作業種係数X1を更新しなくてもよい。どのような比較結果となった場合に、作業種係数X1を更新するかしないか、又はどのように更新するかについては、適宜その作業管理の事情に応じて設定することができる。
【0070】
このように、積算値XY(又は積算値XYと倍率mとを乗じた値)と作業時間tとの比較結果に基づき、作業時間tが想定よりも大きい場合に作業種係数X1をより大きい値に更新し、以降の作業者Q1による作業種L1の作業において、アラート信号が送信されにくいように設定することができる。また、作業時間tが想定よりも小さい場合に作業種係数X1をより小さい値に更新すれば、作業種L1の想定継続時間を短くすることができ、より適切な想定継続時間とすることができる。
【0071】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る作業管理システムSにおいて、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
実施形態1においては、ディスプレイ20に送信されたアラート信号に基づき、管理者が、作業種情報L1に対応する作業種係数X1を更新したが、実施形態2においては、情報処理部12による比較結果に応じて、作業管理システムSが作業種係数X1を自動更新する例について説明する。
【0073】
情報処理部12は、作業時間tと積算値XYとの大小関係に基づいて、作業種係数X1の値を自動的に更新する。すなわち、情報処理部12による比較結果が比較結果(1)の場合、情報処理部12は、作業種係数X1をより大きい値に自動更新する。そして、情報処理部12による比較結果が比較結果(3)の場合、情報処理部12は、作業種係数X1をより小さい値に自動更新する。なお、比較結果が比較結果(3)の場合に、作業種係数X1を更新しなくてもよい。
【0074】
なお、比較結果が比較結果(2)の場合に、比較結果(1)と同様の処理とするか、比較結果(3)と同様の処理とするかについては、適宜設定可能である。また、比較結果(1)の場合に、作業種係数X1をより小さい値に更新し、比較結果(2)の場合に、作業種係数X1を更新せず、比較結果(3)の場合に、作業種係数X1をより大きい値に更新することもできる。
【0075】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る作業管理システムSにおいて、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
実施形態3においては、タブレット端末2に送信されたアラート信号に基づき、作業者Q1が管理するタブレット端末2にアラートウィンドウ2kが表示される。アラートウィンドウ2kには、
図3(b)に示すように、記録漏れ有りボタン2k1及び記録漏れ無しボタン2k2が表示される。
【0077】
作業者Q1による作業種L2の開始時刻の記録が漏れる場合がある。この場合、作業者Q1は、作業種L2の開始時刻を記録することなく作業種L2を既に開始及び終了している。そして、これから開始する作業種は作業種L2の次に行うべき作業種L3であるにも拘わらず、L2作業開始時刻T2を送信してしまう場合がある。
【0078】
この場合、作業者Q1は、アラートウィンドウ2k内に表示された記録漏れ有りボタン2k1を押す。そうすると、タブレット端末2からサーバ10へと記録漏れ有りを指標する記録漏れ有無信号(以下、記録漏れ有り信号という。)が送信される。一方、作業者Q1が記録漏れ無しボタン2k2を押した場合には、タブレット端末2からサーバ10へと記録漏れ無しを指標する記録漏れ有無信号(以下、記録漏れ無し信号という。)が送信される。
【0079】
ここで、タブレット端末2にアラート信号が送信されたにも拘わらず、記録漏れが無かった場合には、作業種L1の作業種係数X1をより大きい値へと更新することが適切である。この実施形態3では、
・サーバ10がタブレット端末2から記録漏れ無し信号を受信したこと
・サーバ10がタブレット端末2から記録漏れ有り信号を受信したこと
に応じて作業種係数X1の更新の要否を判断する。すなわち、記録漏れ無し信号を受信した場合には、作業種係数X1をより小さい値に更新し、記録漏れ有り信号を受信した場合には、作業種係数X1を更新しないか、又はより大きい値に更新する。
【0080】
なお、作業種係数X1の更新は、上記実施形態1の場合と同様に、管理者によるキーボード30からの入力に基づくものであってもよいし、上記実施形態2の場合と同様に、サーバ10側による自動更新であってもよい。
【0081】
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係る作業管理システムSにおいて、実施形態3と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する。実施形態4においては、実施形態3と同様に、タブレット端末2に送信されたアラート信号に基づき、作業者Q1が管理するタブレット端末2にアラートウィンドウ2kが表示される。
【0082】
作業者Q1によるL2作業の開始時刻の記録が漏れていた場合には、作業者Q1は記録漏れ有りボタン2k1を押し、作業者Q1によるL2作業の開始時刻の記録が漏れていなかった場合には、作業者Q1は記録漏れ無しボタン2k2を押す。作業者Q1が押したボタン2k1、2k2に応じて、記録漏れ有り信号又は記録漏れ無し信号がサーバ10へと送信される。
【0083】
サーバ10側では、所定期間が設定され、予めメモリ10b内にその情報が格納されている。所定期間は、例えば1ヶ月であってもよいし、その他の期間、例えば2週間や半年間であってもよい。サーバ10は、所定期間内に受信した作業者Q1(又は属性情報Gaに対応する複数の作業者Q1、Q2)のタブレット端末2から受信した記録漏れ有り信号のカウント数Ncと記録漏れ無し信号のカウント数Ndとを計数する。
【0084】
ここで、所定期間におけるカウント数Nc<カウント数Ndであった場合に、作業種L1に対応する作業種計数X1をより大きい値へと更新することが適切である。この実施形態4では、
・所定期間内のカウント数Nc<カウント数Ndの場合 -状況(4)
・所定期間内のカウント数Nc=カウント数Ndの場合 -状況(5)
・所定期間内のカウント数Nc>カウント数Ndの場合 -状況(6)
に応じて、作業種計数X1の更新の要否を判断する。すなわち、状況(4)の場合に作業種計数X1をより大きい値へと更新し、状況(6)の場合に作業種計数X1を更新しないか、又はより小さい値へと更新する。
【0085】
状況(5)のときに、状況(4)と同様の処理を行うか、状況(6)と同様の処理を行うかについては、適宜設定可能である。また、状況(4)の場合に、作業種係数X1をより小さい値に更新し、状況(5)の場合に、作業種係数X1を更新せず、状況(6)の場合に、作業種係数X1をより大きい値に更新することもできる。
【0086】
[実施形態5]
なお、上記実施形態1~4においては、作業者情報Qを属性情報Gに関連付けて各属性情報Gに複数の作業者情報Qをグルーピングしている。そして、各属性情報Gが対応する属性計数Yに関連付けられている。
【0087】
しかしながら、作業者情報Qを属性情報Gごとにグルーピングしなくてもよい。この場合、実施形態1における属性情報Gと作業者情報Qとは略同義となる。また、実施形態1における属性計数Yは作業者係数とも読み替えることができる。
【0088】
[実施形態6]
上記実施形態1~5においては、サーバ10と各作業者Qが管理するタブレット端末2とがネットワークWを介して接続され、サーバ10とタブレット端末2との情報送受信が、ネットワークWを介して行われる例について説明した。
【0089】
しかしながら、例えば
図8に示すように、サーバ10にネットワークWを介して接続された複数のポート端末40が各作業場a~cごとに設置されてもよい。作業者Qがタブレット端末2をポート端末40に近接させることによって、タブレット端末2とポート端末40との間の近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC等)により、サーバ10とタブレット端末2との間の情報送受信が実現される。
【0090】
この場合において、ポート端末40が、各作業種に対応する作業場a~cに設置されており、その作業種に対応するポート端末40と通信を行うことで、タブレット端末2の作業種選択ボタン2gにおいて自動的に作業種情報Lが決定されたり、タブレット端末2からサーバ10に向けて送信される各種情報に、ポート端末40が設置された作業場a~cに対応する作業種情報Lが紐付けされるようになっていてもよい。
【0091】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0092】
なお、本発明は、以下の趣旨を含む。
【0093】
[趣旨1]
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、作業者による作業を管理するコンピュータを備えた作業管理システムであって、前記コンピュータは、以下の機能を備えた情報記録部、情報処理部、及び、情報出力部、を有する。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
<情報出力部>
・前記作業時間tが前記積算値XYより大きい場合にアラート信号を送信する。
【0094】
[趣旨2]
前記情報出力部が、
前記情報記録部に新たな作業種係数が入力された場合に、前記作業種データベース内の作業種係数を新たな作業種係数へと更新してもよい。
【0095】
[趣旨3]
前記情報処理部が、
前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係に基づいて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新してもよい。
【0096】
[趣旨4]
前記情報記録部が、
前記情報出力部からアラート信号が送信されるごとに、次作業開始時刻の記録漏れの有無を指標する記録漏れ有無情報の入力を記録し、
前記情報出力部が、
入力された前記記録漏れ有無情報の指標内容に応じて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新してもよい。
【0097】
[趣旨5]
前記情報記録部が、
前記情報出力部からアラート信号が送信されるごとに、次作業開始時刻の記録漏れの有無を指標する記録漏れ有無情報の入力を記録し、
前記情報処理部が、
所定期間内の前記記録漏れ有無情報のうち、記録漏れ有りを指標する情報の記録回数である漏れ有り回数をカウントすると共に、前記所定期間内の前記記録漏れ有無情報のうち、記録漏れ無しを指標する情報の記録回数である漏れ無し回数をカウントし、
前記漏れ有り回数と前記漏れ無し回数との大小関係を比較し、
前記情報出力部が、
前記漏れ有り回数と前記漏れ無し回数との大小関係に基づいて、前記第1作業種係数Xの値を自動的に更新してもよい。
【0098】
[趣旨6]
前記情報記録部が、携帯情報端末に入力された前記第1作業者の作業者情報、前記第1作業種の作業種情報、及び、前記第2作業種の作業種情報を、ネットワークを介して前記携帯情報端末より取得することにより、前記第1作業者の作業者情報、前記第1作業種の作業種情報、及び、前記第2作業種の作業種情報の記録を行ってもよい。
【0099】
[趣旨7]
複数の作業種ごとの情報である作業種情報とその作業種情報ごとに設定された作業種係数とが相互に関連付けられた作業種データベースと、
複数の作業者ごとの情報である作業者情報とその作業者情報ごとに設定された作業者係数とが相互に関連付けられた作業者データベースと、に基づき、コンピュータにより、作業者による作業を管理する作業管理プログラムであって、
前記コンピュータを、以下の動作を各々実行する情報記録部、情報処理部、及び情報出力部、として機能させる作業管理プログラム。
<情報記録部>
・前記複数の作業種のうちの第1作業種を前記複数の作業者のうちの第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第1作業開始時刻と当該第1作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
・前記第1作業種に引き続き前記複数の作業種のうちの第2作業種を前記第1作業者が開始したことを検出した場合にその開始時刻である第2作業開始時刻と当該第2作業種の作業種情報と当該第1作業者の作業者情報とを記録する。
<情報処理部>
・前記第2作業開始時刻と前記第1作業開始時刻との差分である作業時間tを算出する。
・前記第1作業種に対応する作業種情報に関連付けられた第1作業種係数Xと前記第1作業者に対応する作業者情報に関連付けられた第1作業者係数Yとを用いて、第1作業種計数Xと第1作業者係数Yとの積算値XYを算出する。
・前記作業時間tと前記積算値XYとの大小関係を比較する。
<情報出力部>
・前記作業時間tが前記積算値XYより大きい場合にアラート信号を送信する。
【符号の説明】
【0100】
a~c:作業場 D1:作業種データベース
D2:作業者データベース G、Ga、Gb:属性情報(作業者情報)
L、L1~L3:作業種情報 m:倍率
Nc:記録漏れ有り信号のカウント数 Nd:記録漏れ無し信号のカウント数
P:端末側プログラム P1:作業管理プログラム
Q、Q1~Q5:作業者情報 S:作業管理システム
t:作業時間 T1:L1作業開始時刻(第1作業開始時刻)
T2:L2作業開始時刻(第2作業開始時刻) W:ネットワーク
X、X1~X3:作業種係数 Y、Ya、Yb:属性係数(作業者係数)
2:タブレット端末(携帯情報端末) 2a:CPU(演算処理部)
2b:メモリ(記録部) 2c:カメラ(撮像部)
2d:タッチパネル(表示部及び入力部) 2e:タイマー(計時部)
2f:周縁 2g:作業種選択ボタン
2h:登録ボタン 2j:登録画面
2k:アラートウィンドウ 2k1:記録漏れ有りボタン
2k2:記録漏れ無しボタン 2m:作業者情報入力枠
4:補助スコープ 4a:ホルダー部
4b:アーム部 4c:フレーム部
4d:透光部 4e:枠部
4f:中空部 7:バーコード(識別画像)
8:カード 10:サーバ(コンピュータ)
10a:CPU(演算処理部) 10b:メモリ(記憶部)
11:情報記録部 12:情報処理部
13:情報出力部 20:ディスプレイ(情報表示部)
30:キーボード(情報入力部) 40:ポート端末