IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 技研トラステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-購買行動集計装置 図1
  • 特開-購買行動集計装置 図2
  • 特開-購買行動集計装置 図3
  • 特開-購買行動集計装置 図4
  • 特開-購買行動集計装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030622
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】購買行動集計装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133614
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390028288
【氏名又は名称】技研トラステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】古川 裕三
(72)【発明者】
【氏名】森田 聡二郎
(72)【発明者】
【氏名】岩見 累
(72)【発明者】
【氏名】小森 伸一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】店舗の来店者を人物毎に購買者と非購買者とに分離集計可能とする購買行動集計装置を提供する。
【解決手段】購買行動集計装置の画像処理装置は、個別のエリアIDを付与して前記人物の行動を計測するための計測エリアとして撮像画像における店舗の出入口領域となる入口エリアとレジ前領域となるレジエリアとを設定し、撮像画像上で認識された人物に対して個別の人物IDを付与して追跡し、人物IDを付与した人物に対して計測エリアを通るときに進入時刻、進入経路、退出経路、滞在時間を計測し、購買行動履歴データベースに対して人物IDに紐づけて計測エリアのエリアID及び計測エリアでの計測結果を記録する構成を備える。購買行動履歴データベースは、人物ID毎にエリアID及び計測結果が記録されており、所定の検索条件により人物ID毎に購買者と非購買者とを抽出可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗の出入口及びレジを含む領域を上方から撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像画像上の個々の人物を認識し追跡して行動を計測する画像処理装置と、前記画像処理装置での計測結果を記録する購買行動履歴データベースを有する記憶装置とを備え、
前記画像処理装置は、
個別のエリアIDを付与して前記人物の行動を計測するための計測エリアとして、前記撮像画像における店舗の出入口領域となる入口エリアとレジ前領域となるレジエリアとを設定し、
前記撮像画像上で認識された人物に対して個別の人物IDを付与して追跡を行い、
前記人物IDを付与した人物に対して、前記計測エリアを通るときに当該計測エリア内への進入時刻、当該計測エリア内への進入位置を示す進入経路、当該計測エリア外への退出位置を示す退出経路及び当該計測エリア内の滞在時間を計測し、
前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記計測エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該計測エリアのエリアID及び当該計測エリアでの前記計測結果を記録する構成を備え、
前記購買行動履歴データベースは、
前記人物ID毎に前記エリアID及び前記計測結果が記録されており、所定の検索条件により前記人物ID毎に購買者と非購買者とを抽出可能に構成されている、購買行動集計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の購買行動集計装置において、
前記記憶装置の購買行動履歴データベースにアクセス可能に接続される集計装置を更に備え、
前記集計装置は、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、レジエリア内の滞在時間が所定時間(t1)以上である条件に該当する人物を購買者として前記人物ID毎に抽出し集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の購買行動集計装置において、
前記記憶装置の購買行動履歴データベースにアクセス可能に接続される集計装置を更に備え、
前記集計装置は、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、レジエリア内の滞在時間が所定時間(t1)未満である条件に該当する人物を非購買者として前記人物ID毎に抽出し集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項4】
請求項2に記載の購買行動集計装置において、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)である条件に該当する人物を来店者として抽出し、来店者総数に対する購買者総数の割合を買上率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項5】
請求項3に記載の購買行動集計装置において、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)である条件に該当する人物を来店者として抽出し、来店者総数に対する非購買者総数の割合を非購買率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項6】
請求項2に記載の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗内の商品棚の前領域に個別のエリアIDを付与した商品エリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記商品エリアを通るときに当該商品エリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記商品エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該商品エリアのエリアID及び当該商品エリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、商品エリア内の滞在時間が所定時間(t2)以上である条件に該当する人物を商品関心者として抽出し、商品関心者総数に対する購買者総数の割合を商品関心買上率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項7】
請求項3に記載の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗内の商品棚の前領域に個別のエリアIDを付与した商品エリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記商品エリアを通るときに当該商品エリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記商品エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該商品エリアのエリアID及び当該商品エリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、商品エリア内の滞在時間が所定時間(t2)以上である条件に該当する人物を商品関心者として抽出し、商品関心者総数に対する非購買者総数の割合を商品関心非購買率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項8】
請求項2に記載の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗の内又は外に設置されたサイネージの前領域に個別のエリアIDを付与したサイネージエリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記サイネージエリアを通るときに当該サイネージエリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記サイネージエリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該サイネージエリアのエリアID及び当該サイネージエリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、サイネージエリア内の滞在時間が所定時間(t3)以上である条件に該当する人物をサイネージ関心者として抽出し、サイネージ関心者総数に対する購買者総数の割合をサイネージ関心買上率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【請求項9】
請求項3に記載の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗の内又は外に設置されたサイネージの前領域に個別のエリアIDを付与したサイネージエリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記サイネージエリアを通るときに当該サイネージエリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記サイネージエリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該サイネージエリアのエリアID及び当該サイネージエリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、サイネージエリア内の滞在時間が所定時間(t3)以上である条件に該当する人物をサイネージ関心者として抽出し、サイネージ関心者総数に対する非購買者総数の割合をサイネージ関心非購買率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段の撮像画像から人物を認識し追跡して店舗の来店者を人物毎に購買者と非購買者とに分離集計可能とする購買行動集計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店舗等において商品の種類や配置などの売場改善を適正に行えるように来店者の立ち寄り場所や順序などの行動履歴を取得することが求められている。店舗の来店者の行動履歴を取得する方法として追跡調査がある。この追跡調査では、調査員を配置して来店者の入店から退店までの行動を追跡し記録するが、一人の調査員では複数の来店者を同時に追跡調査できないため、来店者を人物毎に購買者と非購買者とに分離して集計するのは負担が大きく、コストも高く付く。
【0003】
また、店舗にカメラを設置し、画像処理装置で画像処理を行って人物を認識して追跡しその移動位置を特定する装置も知られているが、このような装置では、人物の移動場所、停止場所を毎秒の座標として記録する必要があり、データ量が膨大となり、また、撮像画像上の位置座標と実空間の売場での場所との位置関係を紐づけするために位置座標の変換が必要となり、処理の負担が大きくなるなどの課題を有している。
【0004】
また、店舗にカメラを設置し、来店者の商品に対する関心度を計測する商品関心度計測装置が知られている(特許文献1、2)。この商品関心度計測装置は、撮像画像上で商品に対し視認・接触となる近傍に商品関心計測領域を定義し、商品関心計測領域内での人物の滞在時間を記録し、この滞在時間を時間基準に基づく複数の閾値で評価し関心度を多段階に判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4338147号公報
【特許文献2】特許第4753975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記商品関心度計測装置では、来店者の特定商品に対する関心の高さを多段階に判別して集計できるが、個々の来店者が最終的に購買者であったのか非購買者であったのかを判別できない。例えば、特定商品に関心が高い来店者であると評価されても、その特定商品の購入には至らなかった非購買者であるという情報を得ることができない。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、店舗の来店者を人物毎に購買者と非購買者とに分離集計可能とする購買行動集計装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る購買行動集計装置は、
店舗の出入口及びレジを含む領域を上方から撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像画像上の個々の人物を認識し追跡して行動を計測する画像処理装置と、前記画像処理装置での計測結果を記録する購買行動履歴データベースを有する記憶装置とを備え、
前記画像処理装置は、
個別のエリアIDを付与して前記人物の行動を計測するための計測エリアとして、前記撮像画像における店舗の出入口領域となる入口エリアとレジ前領域となるレジエリアとを設定し、
前記撮像画像上で認識された人物に対して個別の人物IDを付与して追跡を行い、
前記人物IDを付与した人物に対して、前記計測エリアを通るときに当該計測エリア内への進入時刻、当該計測エリア内への進入位置を示す進入経路、当該計測エリア外への退出位置を示す退出経路及び当該計測エリア内の滞在時間を計測し、
前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記計測エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該計測エリアのエリアID及び当該計測エリアでの前記計測結果を記録する構成を備え、
前記購買行動履歴データベースは、
前記人物ID毎に前記エリアID及び前記計測結果が記録されており、所定の検索条件により前記人物ID毎に購買者と非購買者とを抽出可能に構成されている。
【0009】
(2)前記(1)の購買行動集計装置において、
前記記憶装置の購買行動履歴データベースにアクセス可能に接続される集計装置を更に備え、
前記集計装置は、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、レジエリア内の滞在時間が所定時間(t1)以上である条件に該当する人物を購買者として前記人物ID毎に抽出し集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0010】
(3)前記(1)又は(2)の購買行動集計装置において、
前記記憶装置の購買行動履歴データベースにアクセス可能に接続される集計装置を更に備え、
前記集計装置は、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、レジエリア内の滞在時間が所定時間(t1)未満である条件に該当する人物を非購買者として前記人物ID毎に抽出し集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0011】
(4)前記(2)の購買行動集計装置において、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)である条件に該当する人物を来店者として抽出し、来店者総数に対する購買者総数の割合を買上率として集計する構成を備える、購買行動集計装置。
【0012】
(5)前記(3)の購買行動集計装置において、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)である条件に該当する人物を来店者として抽出し、来店者総数に対する非購買者総数の割合を非購買率として集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0013】
(6)前記(2)の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗内の商品棚の前領域に個別のエリアIDを付与した商品エリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記商品エリアを通るときに当該商品エリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記商品エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該商品エリアのエリアID及び当該商品エリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、商品エリア内の滞在時間が所定時間(t2)以上である条件に該当する人物を商品関心者として抽出し、商品関心者総数に対する購買者総数の割合を商品関心買上率として集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0014】
(7)前記(3)の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗内の商品棚の前領域に個別のエリアIDを付与した商品エリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記商品エリアを通るときに当該商品エリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記商品エリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該商品エリアのエリアID及び当該商品エリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、商品エリア内の滞在時間が所定時間(t2)以上である条件に該当する人物を商品関心者として抽出し、商品関心者総数に対する非購買者総数の割合を商品関心非購買率として集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0015】
(8)前記(2)の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗の内又は外に設置されたサイネージの前領域に個別のエリアIDを付与したサイネージエリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記サイネージエリアを通るときに当該サイネージエリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記サイネージエリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該サイネージエリアのエリアID及び当該サイネージエリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、サイネージエリア内の滞在時間が所定時間(t3)以上である条件に該当する人物をサイネージ関心者として抽出し、サイネージ関心者総数に対する購買者総数の割合をサイネージ関心買上率として集計する構成を備える、ものとすることができる。
【0016】
(9)前記(3)の購買行動集計装置において、
前記画像処理装置は、更に、前記計測エリアとして店舗の内又は外に設置されたサイネージの前領域に個別のエリアIDを付与したサイネージエリアを設定し、前記人物IDを付与した人物に対して、前記サイネージエリアを通るときに当該サイネージエリア内の滞在時間を計測し、前記購買行動履歴データベースに対して、前記人物の前記サイネージエリア通過時に、当該人物の人物IDに紐づけて当該サイネージエリアのエリアID及び当該サイネージエリア内の滞在時間を記録するように構成され、
前記集計装置は、更に、前記購買行動履歴データベースから、前記所定の検索条件として入口エリアにおける進入経路が店舗の出入口側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口側以外の位置(B)であり、且つ、サイネージエリア内の滞在時間が所定時間(t3)以上である条件に該当する人物をサイネージ関心者として抽出し、サイネージ関心者総数に対する非購買者総数の割合をサイネージ関心非購買率として集計する構成を備える、ものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、購買行動履歴データベースには、撮像画像において認識された全ての人物に対し、人物毎に、個別の人物IDに紐づけて計測エリアの進入時刻、進入経路、退出経路、滞在時間の計測結果が記録される。すなわち、購買行動履歴データベースは、全ての来店者に対して来店者毎の購買行動が記録されている。従って、この購買行動履歴データベースから、店舗の出入口、レジ、商品棚等のレイアウト等に基づいた所定の検索条件を設定して検索することにより、店舗の来店者毎に購買者と非購買者とをリアルタイムに把握することができる。例えば、特定商品に関心が高い来店者であったが、その特定商品を購入しなかった非購買者であった等の情報を、全来店者に対して来店者毎に把握することができる。このように、店舗の来店者について来店者毎に購買者か非購買者かを把握することで、店舗のレイアウト改善や商品の配置変更等に役立て売上増加を図るための有意義な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の購買行動集計装置において、店舗内をカメラで上方から撮像した撮像画像を示す模式図である。
図2】実施形態の購買行動集計装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態における購買行動履歴データベースの記録内容を示す表である。
図4】実施形態における集計装置により購買行動履歴データベースから抽出し集計した購買者集計の表である。
図5】実施形態における集計装置により購買行動履歴データベースから抽出し集計した非購買者集計の表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態の購買行動集計装置1は、例えば、図1に示すような店舗の売場を上方からカメラ(撮像手段)2で常時撮像し、店舗の来店者の行動履歴を取得する装置である。図1に示す店舗は、店舗の出入口71、商品棚73,74,75、商品購入の決済処理を行うレジ72、商品広告のサイネージ76が所定の場所に配置されている。なお、サイネージ76は、店舗内の出入口71付近に設置されているが、店舗外の出入口71付近に設置されてもよく、その場合はカメラ2で店舗外のサイネージ76前を含む領域も撮像する。
【0020】
図2に示すように、購買行動集計装置1は、カメラ2、画像処理装置3、購買行動履歴データベース41を有する記憶装置4、集計装置5を備えている。
カメラ2は、店舗内を上方から撮像する撮像手段であり、例えば、1台のCCDカメラ等が使用され、広角レンズを有して店舗内を上方から周囲360度の範囲で撮像できるように天井や壁面に設置されている。このカメラ2によって、店舗の出入口71、商品棚73,74,75、レジ72、サイネージ76を含む店舗の全領域を上方から撮像し、撮像された撮像画像6(画像情報)が画像処理装置3に送られる。なお、カメラ2は、広角レンズを使用しないものでもよく、また、複数台設置して店舗内の全領域を撮像するようにしてもよい。
【0021】
画像処理装置3は、カメラ2で撮像された撮像画像6上の個々の人物を認識し追跡して人物の行動を計測する装置であり、エリア設定部31と、人認識・追跡部32と、エリア計測部33とを備えている。なお、画像処理装置3は、現在の日付及び時刻を認識する時計機能を有している。
【0022】
エリア設定部31は、カメラ2で撮像される撮像画像6上において、店舗の出入口71、レジ72、商品棚73,74,75、サイネージ76の各位置に、人物の行動を計測するための領域として個別のエリアIDを付与した計測エリアKを設定する。計測エリアKは、カメラ2の設置時に撮像画像6上の位置を確認してエリア設定部31により設定される。図1に示すように、計測エリアKとして、入口エリアK1、レジエリアK2、商品エリアK3,K4,K5、サイネージエリアK6が設定される。
【0023】
入口エリアK1は、店舗内の出入口71前に沿って長方形形状に設定される。入口エリアK1には、例えば、エリアID:1が付与される。また、入口エリアK1の四辺のうち、出入口71側位置の一辺をA、出入口71側以外の位置の三辺をBと定義される。レジエリアK2は、決済時の人物(購買者)の立ち位置となるレジ72前に沿って長方形形状に設定される。レジエリアK2には、例えば、エリアID:2が付与される。また、レジエリアK2の四辺のうち、レジ72側位置の一辺をA、この辺Aの対向辺をB、左辺をL、右辺をRと定義される。
【0024】
商品エリアK3,K4,K5は、商品棚73,74,75の前となる商品棚73,74,75の外周領域を含む長方形形状に設定される。実施形態では、商品棚73,74,75は3つ有し、各商品棚73,74,75に対して商品エリアK3,K4,K5が設定される。これら商品エリアK3,K4,K5のエリアIDとして、例えば、出入口71に近い側からエリアID:3、エリアID:4、エリアID:5が付与される。サイネージエリアK6は、サイネージ76の広告面の前に沿って長方形形状に設定される。サイネージエリアK6には、例えば、エリアID:6が付与される。なお、商品エリアK3,K4,K5及びサイネージエリアK6では、入口エリアK1やレジエリアK2のような四辺の位置の定義は行わないものとする。また、本実施形態では、計測エリアKは、長方形形状の枠として設定されるが、円形、円弧、多角形等の様々な枠形状であってもよい。また、本発明においては、商品エリアK3,K4,K5とサイネージエリアK6は設定せず、入口エリアK1とレジエリアK2だけを設定するようにしてもよい。
【0025】
人認識・追跡部32は、カメラ2による撮像画像6上に現れた人物を認識し、認識した人物に対して個別の人物IDを付与して追跡を行う。人物IDは、例えば、人物が撮像画像6上に現れた順に、001、002、003、・・・のように付与される。人物の認識方法は、例えば、ベクトル焦点法(特許第3406587号、特許第3390426号等。「ベクトル焦点」は登録商標である。)により行うことができる。ここで、ベクトル焦点法を概略すると、追跡対象となる移動体(本実施形態では人物)の標準モデルを撮像画像6上に配置し、この標準モデルにおける焦点(例えば、中心点)と標準モデルの輪郭線に対する法線ベクトルの位置との間の方向(法線ベクトルの角度情報)と長さ(法線ベクトルの位置の座標情報)とによる標準体データを基に、撮像画像6上で標準体データと適合する移動体(人物)を認識して代表点を付す。そして、時間経過順の撮像画像6から前記代表点を経時的に追跡することで対象の移動体(人物)を高速に追跡することができる。なお、人物の認識方法は、前記ベクトル焦点法以外の様々な物体認識方法(画像処理技術、AI技術等)で行うようにしてもよい。また、画像処理装置3は、人認識・追跡部32により撮像画像6上の人物を認識し追跡開始するときに、その人物の人物ID及び追跡開始時刻を記憶装置4の購買行動履歴データベース41に記録する。
【0026】
エリア計測部33は、前記人物IDを付与した人物に対して、計測エリアKを通るときに当該計測エリアKのエリアIDと紐づけて、当該計測エリアK内への進入時刻、当該計測エリアK外への退出時刻、当該計測エリアK内の滞在時間、当該計測エリアK内への進入位置を示す進入経路、当該計測エリアK外への退出位置を示す退出経路の計測を行う。なお、本実施形態では、商品エリアK3,K4,K5とサイネージエリアK6については、進入経路及び退出経路は計測しないこととしている。画像処理装置3は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、当該人物の人物IDに紐づけて当該計測エリアKのエリアID及び前記計測結果を記録する。なお、前記計測結果のうち、計測エリアKの退出時刻は進入時刻との間で滞在時間を求める計測値であるので、画像処理装置3は、購買行動履歴データベース41に対して計測エリアKの退出時刻を記録しないようにしてもよい。エリアID及び計測結果は、人物が計測エリアKを通過したときに、その人物IDとともに購買行動履歴データベース41に記録される。従って、購買行動履歴データベース41において、同じ人物により通過する計測エリアKの数が多くなるに従って、その人物の行動データ(前記計測結果)が増えることとなる。
【0027】
前記のように記憶装置4には、購買行動履歴データベース41が作成され保存されている。購買行動履歴データベース41は、例えば、図3に示すような表形式で作成される。
この購買行動履歴データベース41は、撮像画像6上で認識された全ての人物について、人物毎に、人物IDが付与され、行動データが記録される。すなわち、購買行動履歴データベース41は、店舗内を移動して計測エリアKを通過すると、通過した計測エリアKの数に応じて記録される。このように、購買行動履歴データベース41は、店舗に来店した全ての人物に対して、人物毎に、その人物が店舗に来店してから退店するまでの間の行動履歴が記録される。また、購買行動履歴データベース41は、全ての来店者に対して来店者毎に各計測エリアKにおける行動が記録されているため、所定の検索条件により人物ID毎に購買者と非購買者とを抽出可能に構成されている。
【0028】
集計装置5は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41にアクセス可能に接続されている。この集計装置5は、購買行動履歴データベース41から、検索条件として、エリアID、進入時刻、進入経路、退出経路、滞在時間を任意に選択、組み合わせた検索キーにて検索することで、検索条件に該当する人物IDの人物を抽出することができる。例えば、来店者、購買者、非購買者、商品関心者、サイネージ関心者等を抽出して集計したり、また、買上率、非購買率、商品関心買上率、商品関心非購買率、サイネージ関心買上率、サイネージ関心非購買率等を集計したりすることができる。
【0029】
来店者は、購買行動履歴データベース41への検索条件として、入口エリアK1における進入経路が店舗の出入口71側位置(A)及び退出経路が店舗の出入口71側以外の位置(B)である条件に該当する人物が、来店者として抽出される。購買者は、購買行動履歴データベース41への検索条件として、前記来店者の検索条件に加え、レジエリアK2内の滞在時間が所定時間(t1)以上である条件に該当する人物が、購買者として抽出される。なお、購買者の前記検索条件において、更にレジエリアK2の進入経路と退出経路を加えてもよく、これにより、購買者の抽出精度を向上することができる。非購買者は、購買行動履歴データベース41への検索条件として、前記来店者の検索条件に加え、レジエリアK2内の滞在時間が所定時間(t1)未満である条件に該当する人物が、非購買者として抽出される。商品関心者は、購買行動履歴データベース41への検索条件として、前記来店者の検索条件に加え、商品エリアK3,K4,K5内の滞在時間が所定時間(t2)以上である条件に該当する人物が、商品関心者として抽出される。サイネージ関心者は、購買行動履歴データベース41への検索条件として、前記来店者の検索条件に加え、サイネージエリアK6内の滞在時間が所定時間(t3)以上である条件に該当する人物が、サイネージ関心者として抽出される。
【0030】
また、集計装置5は、これら来店者、購買者、非購買者、商品関心者、サイネージ関心者を人物ID毎に抽出し、各種の集計を行うことができる。すなわち、来店者総数に対する購買者総数の割合を買上率として集計する。来店者総数に対する非購買者総数の割合を非購買率として集計する。商品関心者総数に対する購買者総数の割合を商品関心買上率として集計する。商品関心者総数に対する非購買者総数の割合を、商品関心非購買率として集計する。サイネージ関心者総数に対する購買者総数の割合を、サイネージ関心買上率として集計する。サイネージ関心者総数に対する非購買者総数の割合を、サイネージ関心非購買率として集計する。
【0031】
次に、実施形態の購買行動集計装置1の動作例を説明する。
図1の撮像画像6を参照して、この例では5人の人物の行動を示す。計測エリアKは、エリア設定部31により、入口エリアK1、レジエリアK2、商品エリアK3,K4,K5、サイネージエリアK6が設定されている。
【0032】
動線d1(点線)で示す人物は、出入口71から店舗内に進入し、サイネージ76の前を通り、出入口71に一番近い商品棚73を通り、レジ72を通り、出入口71から店舗外に退出した。この場合、まず、カメラ2の撮像画像6上に人物(動線d1)が現れると、画像処理装置3の人認識・追跡部32により、この人物(動線d1)を認識して人物ID:001を付与して追跡を開始する。画像処理装置3は、人認識・追跡部32による人物(動線d1)の追跡開始時に、人物(動線d1)の人物ID:001及び追跡開始時刻を記憶装置4の購買行動履歴データベース41に記録する。
【0033】
続いて、人物(動線d1)は、店舗の出入口71の入口エリアK1を通過している。入口エリアK1では、人物(動線d1)は、進入経路Aから入口エリアK1内に進入し、退出経路Bから入口エリアK1を退出している。画像処理装置3のエリア計測部33は、人物(動線d1)に対して、入口エリアK1内への進入時刻、入口エリアK1外への退出時刻、入口エリアK1内の滞在時間、入口エリアK1内への進入経路、入口エリアK1外への退出経路を計測する。エリア計測部33で前記計測が完了すると、画像処理装置3は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、この人物(動線d1)の人物ID:001、入口エリアK1のエリアID:1、及び前記計測結果(入口エリアK1内への進入時刻、入口エリアK1外への退出時刻、入口エリアK1内の滞在時間、入口エリアK1内への進入経路、入口エリアK1外への退出経路)を記録する。
【0034】
続いて、人物(動線d1)は、サイネージエリアK6を通過している。サイネージエリアK6では、画像処理装置3は、エリア計測部33にて人物(動線d1)に対してサイネージエリアK6内の滞在時間(エリアへの進入から退出までの時間)を計測し、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、人物(動線d1)の人物ID:001、サイネージエリアK6のエリアID:6、及び前記計測結果であるサイネージエリアK6内の滞在時間を記録する。
【0035】
続いて、人物(動線d1)は、商品エリアK3を通過している。商品エリアK3では、画像処理装置3は、エリア計測部33にて人物(動線d1)に対して商品エリアK3内の滞在時間(エリアへの進入から退出までの時間)を計測し、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、人物(動線d1)の人物ID:001、商品エリアK3のエリアID:3、及び前記計測結果である商品エリアK3内の滞在時間を記録する。
【0036】
続いて、人物(動線d1)は、レジエリアK2を通過している。レジエリアK2では、人物(動線d1)は、進入経路BからレジエリアK2内に進入し、退出経路RからレジエリアK2を退出している。画像処理装置3のエリア計測部33は、人物(動線d1)に対して、レジエリアK2内への進入時刻、レジエリアK2外への退出時刻、レジエリアK2内の滞在時間、レジエリアK2内への進入経路、レジエリアK2外への退出経路を計測する。エリア計測部33で前記計測が完了すると、画像処理装置3は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、この人物(動線d1)の人物ID:001、レジエリアK2のエリアID:2、及び前記計測結果(レジエリアK2内への進入時刻、レジエリアK2外への退出時刻、レジエリアK2内の滞在時間、レジエリアK2内への進入経路、レジエリアK2外への退出経路)を記録する。
【0037】
続いて、人物(動線d1)は、店舗の出入口71の入口エリアK1を通過して、店舗外へ退出している。この際、人物(動線d1)は、進入経路Bから入口エリアK1内に進入し、退出経路Aから入口エリアK1を退出している。画像処理装置3のエリア計測部33は、人物(動線d1)に対して、入口エリアK1内への進入時刻、入口エリアK1外への退出時刻、入口エリアK1内の滞在時間、入口エリアK1内への進入経路、入口エリアK1外への退出経路を計測する。エリア計測部33で前記計測が完了すると、画像処理装置3は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対して、この人物(動線d1)の人物ID:001、入口エリアK1のエリアID:1、及び前記計測結果(入口エリアK1内への進入時刻、入口エリアK1外への退出時刻、入口エリアK1内の滞在時間、入口エリアK1内への進入経路、入口エリアK1外への退出経路)を記録する。なお、撮像画像6上から人物(動線d1)が消え去ると、人認識・追跡部32での追跡は終了する。
【0038】
動線d2~動線d5で示す他の人物についても、上述した動線d1の人物に対する動作と同じ要領で、各々の行動データが購買行動履歴データベース41に記録される。因みに、動線d2(一点鎖線)の人物は、人物ID:002が付与され、出入口71から店舗内に進入し、レジ72前を通過して、出入口71から店舗外に退出した。動線d3(二点鎖線)の人物は、人物ID:003が付与され、出入口71から店舗内に進入し、3つの商品棚73,74,75を順次通過して、出入口71から店舗外に退出した。動線d4(実線)の人物は、人物ID:004が付与され、出入口71から店舗内に進入し、すぐに出入口71から店舗外に退出した。動線d5の人物(実線)は、人物ID:005が付与され、レジ72裏から現れ、出入口71から遠い側の2つの商品棚74,75を順次通って、レジ72前を通過して、レジ72裏へ出て行った。
【0039】
次に、集計装置5による購買者集計、非購買者集計等を行う動作を説明する
(購買者集計)
購買者は、店舗の来店者であり、レジ72で決済処理を行った人物である。本実施形態では、レジ72での決済の所要時間として、例えば、60秒(所定時間(t1))以上要するものとする。この場合、集計装置5により、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対する検索条件(購買者検索条件)として、入口エリアK1のエリアID:1において進入経路がA、退出経路がBで記録された人物ID、且つ、レジエリアK2のエリアID:2において滞在時間が60秒(所定時間(t1))以上の人物IDを検索する。これにより、例えば、図4に示す購買者集計表のように、購買行動履歴データベース41から購買者を抽出し集計することができる。図1の例では、5人の人物のうち、人物ID:001の人物だけが購買者である。
【0040】
ここで、レジ待ち位置を設ける店舗では、購買者は、レジ待ち位置からレジ72前に進むように行動する。このような場合、画像処理装置3は、計測エリアKとして、レジエリアK2の手前のレジ72から離れた領域に、個別のエリアIDを付与した長方形形状のレジ待ちエリアを設定し、レジ待ちエリアの四辺のうちレジエリアK2に近い側の位置の辺をAと定義し、このレジ待ちエリアでの人物の退出経路を計測し、購買行動履歴データベース41に記録するようにし、集計装置5では、前記購買者検索条件に、レジ待ちエリアのエリアIDにおいて退出経路がAの人物IDである条件を加えて絞り込んで検索し、購買行動履歴データベース41から購買者を抽出してもよい。これにより、購買行動履歴データベース41から抽出する購買者において、購買者であることの正確性が向上する。
【0041】
(非購買者集計)
非購買者は、店舗の来店者であるが、レジ72で決済処理を行っていない人物である。この場合、集計装置5により、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対する検索条件(非購買者検索条件)として、入口エリアK1のエリアID:1において進入経路がA、退出経路がBで記録された人物ID、且つ、レジエリアK2のエリアID:2において滞在時間が60秒(所定時間(t1))未満の人物IDを検索する。これにより、例えば、図5に示す非購買者集計表のように、購買行動履歴データベース41から非購買者を抽出し集計することができる。図1の例では、5人の人物のうち、人物ID:002、003、004の人物が非購買者である。
【0042】
(買上率)
集計装置5は、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対する検索条件(来店者検索条件)として、入口エリアK1のエリアID:1において進入経路がA、退出経路がBで記録された人物IDを検索することで、購買行動履歴データベース41から来店者を抽出し集計することができる。そして、集計装置5は、この来店者集計と、前記購買者集計とにより、来店者総数に対する購買者総数の割合を買上率として集計することができる。
【0043】
(非購買率)
集計装置5は、前記来店者集計と、前記非購買者集計とにより、来店者総数に対する非購買者総数の割合を非購買率として集計することができる。
【0044】
(商品関心買上率、商品関心非購買率)
商品関心者は、店舗の来店者であり、商品棚の前に一定時間(例えば、100秒)滞在している人物であるといえる。この場合、集計装置5により、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対する検索条件(商品関心者検索条件)として、入口エリアK1のエリアID:1において進入経路がA、退出経路がBで記録された人物ID、且つ、商品エリアのエリアIDにおいて滞在時間が100秒(所定時間(t2))以上の人物IDを検索することで、購買行動履歴データベース41から商品関心者を抽出し集計することができる。ここで、前記商品エリアのエリアIDは、関心の対象とする商品棚73,74,75に対応したエリアIDであり、図1の例では、エリアID:3~5のうちのいずれか1つ又は任意に2以上を選択することができる。図1の例では、5人の人物のうち、人物ID:001、003の人物が商品関心者である。そして、集計装置5は、前記商品関心者集計と、前記購買者集計とにより、商品関心者総数に対する購買者総数の割合を商品関心買上率として集計することができる。また、集計装置5は、前記商品関心者集計と、前記非購買者集計とにより、商品関心者総数に対する非購買者総数の割合を商品関心非購買率として集計することができる。
【0045】
(サイネージ関心買上率、サイネージ関心非購買率)
サイネージ関心者は、店舗の来店者であり、サイネージ76の前に一定時間(例えば、100秒)滞在している人物であるといえる。この場合、集計装置5により、記憶装置4の購買行動履歴データベース41に対する検索条件(サイネージ関心者検索条件)として、入口エリアK1のエリアID:1において進入経路がA、退出経路がBで記録された人物ID、且つ、サイネージエリアK6のエリアID:6において滞在時間が100秒(所定時間(t3))以上の人物IDを検索することで、購買行動履歴データベース41からサイネージ関心者を抽出し集計することができる。図1の例では、5人の人物のうち、人物ID:001の人物がサイネージ関心者である。そして、集計装置5は、前記サイネージ関心者集計と、前記購買者集計とにより、サイネージ関心者総数に対する購買者総数の割合をサイネージ関心買上率として集計することができる。また、集計装置5は、前記サイネージ関心者集計と、前記非購買者集計とにより、サイネージ関心者総数に対する非購買者総数の割合をサイネージ関心非購買率として集計することができる。
【0046】
(従業員集計)
従業員は、店舗の出入口71をほとんど通ることがない人物であると考えられる。この場合、購買行動履歴データベース41において、レジエリアK2のエリアID:2の履歴が記録された人物IDであっても、入口エリアK1のエリアID:1の履歴の記録がない人物IDの人物は、来店者以外の人物である従業員と見なすことができる。そこで、集計装置5は、従業員検索条件として入口エリアK1のエリアID:1の記録無しの人物IDを検索することで、購買行動履歴データベース41から従業員を抽出し集計することができる。図1の例では、5人の人物のうち、人物ID:005の人物が従業員である。
【0047】
また、従業員は、店舗の従業員専用口から売場と売場外のバックヤードとの間を行き来する人物である。従って、画像処理装置3は、計測エリアKとして、従業員専用口の前領域に、個別のエリアIDを付与した長方形形状の従業員エリアを設定し、従業員エリアの四辺のうち、従業員専用口側位置の一辺をA、従業員専用口側以外の位置の三辺をBと定義し、この従業員エリアでの人物の進入経路及び退出経路を計測し、購買行動履歴データベース41に記録するようにする。そして、集計装置5は、従業員検索条件として従業員エリアのエリアIDにおいて進入経路がA、退出経路がBで記録された人物IDを検索することで、購買行動履歴データベース41から従業員を抽出し集計することができる。
【0048】
以上より、本実施形態の購買行動集計装置1によれば、購買行動履歴データベース41には、撮像画像6において認識された全ての人物に対し、人物毎に、個別の人物IDに紐づけて計測エリアKの進入時刻、進入経路、退出経路、滞在時間の計測結果が記録される。すなわち、購買行動履歴データベース41は、全ての来店者に対して来店者毎の行動データが記録されている。従って、この購買行動履歴データベース41から、店舗の出入口71、レジ72、商品棚73,74,75等のレイアウト等に基づいた所定の検索条件を設定して検索することにより、店舗の来店者毎に購買者と非購買者とをリアルタイムに把握することができる。例えば、特定商品に関心が高い来店者であったが、その特定商品を購入しなかった非購買者であった等の情報を、全来店者に対して来店者毎に把握することができる。また、公知のPOSレジは、決済履歴から購買者数を取得することはできるが、非購買者は取得することができない。本実施形態における購買行動履歴データベース41では、入口エリアK1及びレジエリアK2における人物の行動データが記録されるため、集計装置5により非購買者を抽出し集計できる点で有利な効果を有する。このように、本実施形態の購買行動集計装置1によれば、店舗の来店者について来店者毎に購買者か非購買者かを把握することで、店舗のレイアウト改善や商品の配置変更等に役立て売上増加を図るための有意義な情報を提供することができる。
【0049】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 購買行動集計装置
2 カメラ(撮像手段)
3 画像処理装置
4 記憶装置
5 集計装置
6 撮像画像
31 エリア設定部
32 人認識・追跡部
33 エリア計測部
41 購買行動履歴データベース
71 出入口
73,74,75 商品棚
72 レジ
76 サイネージ
K 計測エリア
K1 入口エリア
K2 レジエリア
K3,K4,K5 商品エリア
K6 サイネージエリア

図1
図2
図3
図4
図5