(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030660
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】導通検査用治具とプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01R1/073 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133690
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】森 隆之
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA03
2G011AA15
2G011AB07
2G011AC21
2G011AE01
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】正確な結果を提供するための導通検査用治具の提供。
【解決手段】導通検査用治具は、複数の第1開口を有する第1部材と、複数の第2開口を有し、前記第1部材上に位置する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材間に空間を形成するために前記第1部材と前記第2部材間に配置されている支持部材と、前記第1開口の一つと前記空間と前記第2開口の一つを通るプローブ、とからなる。前記第1部材と前記第2部材で前記空間が挟まれ、前記第1部材の曲げ強度が300MPa以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1開口を有する第1部材と、
複数の第2開口を有し、前記第1部材上に位置する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材間に空間を形成するために前記第1部材と前記第2部材間に配置されている支持部材と、
前記第1開口の一つと前記空間と前記第2開口の一つを通るプローブ、とからなる導通検査用治具であって、
前記第1部材と前記第2部材で前記空間が挟まれ、前記第1部材の曲げ強度が300MPa以上である。
【請求項2】
請求項1の導通検査用治具であって、さらに、前記第1部材の下に前記プローブを通す複数の第3開口を有する第3部材を有し、前記第3部材の曲げ強度は300MPa未満である。
【請求項3】
請求項1の導通検査用治具であって、前記第1部材はセラミック製である。
【請求項4】
請求項2の導通検査用治具であって、前記第3部材は樹脂製である。
【請求項5】
請求項2の導通検査用治具であって、前記第3部材の数は複数である。
【請求項6】
請求項1の導通検査用治具であって、前記第2部材の曲げ強度が300MPa以上である。
【請求項7】
請求項6の導通検査用治具であって、さらに、前記第2部材の上に前記プローブを通す複数の第4開口を有する第4部材を有し、前記第4部材の曲げ強度は300MPa未満である。
【請求項8】
請求項6の導通検査用治具であって、前記第2部材はセラミック製である。
【請求項9】
請求項7の導通検査用治具であって、前記第4部材の数は複数である。
【請求項10】
請求項7の導通検査用治具であって、前記第4部材は樹脂製である。
【請求項11】
請求項1の導通検査用治具であって、さらに、前記第2部材の上に前記プローブを通す複数の第4開口を有する第4部材を有し、前記第2部材の曲げ強度と前記第4部材の曲げ強度は300MPa未満である。
【請求項12】
請求項11の導通検査用治具であって、前記第2部材と前記第4部材は樹脂製である。
【請求項13】
請求項1の導通検査用治具であって、前記支持部材は前記空間をほぼ囲んでいる。
【請求項14】
請求項1の導通検査治具を用いてプリント配線板を検査すること、を含むプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、導通検査用治具とプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、検査用プローブと、複数の電極部を有する接続体と、検査用プローブを保持する保持体、とを有する導通検査用治具を開示する。検査用プローブは先端部と後端部を有する。先端部は検査点に接触し、後端部は電極部に接触する。保持体は基礎部を有する。基礎部は検査用プローブの後端部を電極部へ案内するための貫通孔を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の導通検査用治具では、検査用プローブの先端部が検査対象に接触すると検査用プローブが湾曲する。検査用プローブが湾曲すると、検査用プローブは基礎部の貫通孔周辺に当たると考えられる。検査用プローブが当たると、基礎部の貫通孔周辺に大きな負担が加わると考えられる。基礎部が割れやすいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の導通検査用治具は、複数の第1開口を有する第1部材と、複数の第2開口を有し、前記第1部材上に位置する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材間に空間を形成するために前記第1部材と前記第2部材間に配置されている支持部材と、前記第1開口の一つと前記空間と前記第2開口の一つを通るプローブ、とからなる。前記第1部材と前記第2部材で前記空間が挟まれ、前記第1部材の曲げ強度が300MPa以上である。
【0006】
本発明の実施形態の導通検査用治具では、検査時にプローブが湾曲すると、第1部材の第1開口の周辺に当たりやすいと考えられる。しかしながら、本発明の実施形態の導通検査用治具では、第1部材の曲げ強度は300MPa以上である。検査時に湾曲しているプローブが第1部材の第1開口の周辺に当たっても第1部材が割れがたい。本発明の実施形態によれば、長期間にわたって正確な検査結果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2A】検査対象のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【
図2B】プリント配線板の電極を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態の検査装置2と検査対象のプリント配線板120を示す断面図である。検査装置2は、配線を有するプリント配線板120の電気的検査を行う。検査装置2は、導通検査用治具4を有する。導通検査用治具4は、第1部材10と第2部材20と第3部材30と第4部材40と支持部材50と複数のプローブ60によって形成されている。第3部材30の数は複数であることが好ましい。第4部材40の数は複数であることが好ましい。第1部材10と第2部材20間に空間SPが形成される。第3部材30は第1部材10の下に設けられる。第4部材40は第2部材20の上に設けられる。第1部材10と第3部材30は基板80側(装置側)に配置されている。第2部材20と第4部材40はプリント配線板120側(検査対象側)に配置されている。プローブ60は、第4部材40と第2部材20と空間SPと第1部材10と第3部材30を貫通する。検査装置2は、さらに、第1部材10下に端子82を有する基板80と端子82から延びているリード線84を有する。リード線84は図示されていないテスターに電気的に繋がっている。
【0009】
検査対象のプリント配線板120の例が
図2Aに示される。
図2Aはプリント配線板120の断面を示す。プリント配線板120は複数の樹脂絶縁層121と複数の導体層122を含む。樹脂絶縁層121と導体層122は交互に積層されている。隣接する導体層122はビア導体123で接続される。プリント配線板120は表面Fと表面Fと反対側の裏面Sを有する。表面Fに複数の電極127を有する。
図2Bは電極127の平面図である。
図2Bには、隣接している2つの電極127が描かれている。
図2Aと
図2Bに隣接する電極127間のピッチPが示されている。ピッチPは隣接する電極127の中心間の距離である。
【0010】
図1に示されるように、第1部材10は第2部材20側の第1面12(図中上面)と第1面12と反対側の第2面14(図中下面)を有している。第1面12は空間SPと対向している。第2面14は第3部材30と対向している。第1部材10は周縁部15と中央部17を有する。中央部17の厚みは周縁部15の厚みより薄い。中央部17には複数の第1開口18が形成されている。各第1開口18にはプローブ60が通る。例えば、第1部材10はセラミック製である。第1部材10の曲げ強度は300MPa以上である。第1部材10は300MPa以上の曲げ強度を有する樹脂製の部材でもよい。
【0011】
複数の第3部材30は第1部材10の下に積層されている。第3部材30の数は4である。改変例では第3部材30の数は1以上である。各第3部材30は第2部材20側の第1面32(図中上面)と第1面32と反対側の第2面34(図中下面)を有している。最上の第3部材30の第1面32は第1部材10と対向している。最下の第3部材30の第2面34は基板80と対向している。各第3部材30は周縁部35と中央部37を有する。中央部37の厚みは周縁部35の厚みより薄い。中央部37は複数の第3開口38を有する。各第3開口38にはプローブ60が通る。例えば、第3部材30は樹脂製である。第3部材30の曲げ強度は300MPa未満である。
【0012】
第2部材20は、第1部材10側の第1面22(図中下面)と第1面22と反対側の第2面24(図中上面)を有している。第1面22は空間SPと対向している。第2面24は第4部材40と対向している。第2部材20は周縁部25と中央部27を有する。中央部27の厚みは周縁部25の厚みより薄い。中央部27は複数の第2開口28を有する。各第2開口28にはプローブ60が通る。例えば、第2部材20はセラミック製である。第2部材20の曲げ強度は300MPa以上である。第2部材20は300MPa以上の曲げ強度を有する樹脂製の部材でもよい。
【0013】
複数の第4部材40は第2部材20の上に積層されている。第4部材40の数は2である。改変例では第4部材40の数は1以上である。各第4部材40は第2部材20側の第1面42(図中下面)と第1面42と反対側の第2面44(図中上面)を有している。最下の第4部材40の第1面42は第2部材20の第2面24と対向している。最上の第4部材40の第2面44はプリント配線板120と対向している。各第4部材40は周縁部45と中央部47を有する。中央部47の厚みは周縁部45の厚みより薄い。中央部47は複数の第4開口48を有する。各第4開口48にはプローブ60が通る。第4部材40は樹脂製である。第4部材40の曲げ強度は300MPa未満である。
【0014】
支持部材50は第1部材10と第2部材間に配置されている。
図1と
図3に示されるように、支持部材50は空間SPをほぼ囲んでいる。
図3に示されるように、支持部材50は、第2部材20と対向する上面52と、第1部材10と対向する下面54と、空間SPを形成する開口部56を有する。支持部材50は一つの部材で形成されている。改変例では支持部材50は複数の部材の組み合わせで形成されていてもよい。
【0015】
図1に示されるように、プローブ60は一端62と一端62と反対側の他端64を有する。一端62は第4部材40から突出している。他端64は第3部材30から突出している。プローブ60は、導電性ワイヤーと導電性ワイヤーの側面を被覆する絶縁膜で形成されている。プローブ60は可撓性を有する。一つのプローブ60は、一つの第3開口38と一つの第1開口18と空間SPと一つの第2開口28と一つの第4開口48を通る。検査時、プローブ60の一端62がプリント配線板120の電極127と電気的に繋がる。
図2Aに示されるように、プリント配線板120が電極127上にバンプ126を有すると、一端62はバンプ126と接触する。検査時、プローブ60の他端64は端子82に繋がる。
【0016】
第1開口18の直上に第2開口28は位置しない。第1開口18の直下に第3開口38は位置しない。第2開口28の直上に第4開口48は位置しない。第1開口18と第2開口28と第3開口38と第4開口48は、プローブ60が斜めに配列されるように配置されている。各プローブ60は同様に傾いている。検査の間、一端62がプリント配線板120の電極127、あるいは、バンプ126に当たり、他端64が端子82に当たる。その時、各プローブ60が同様に傾いているので、各プローブ60が同方向に撓む。全プローブ60は空間SP内で同方向に湾曲する。
【0017】
検査中にプローブ60が湾曲すると、プローブ60が第1部材10の第1開口18により露出される第1部材10の壁面(第1壁面)を押す。あるいは、プローブ60は第1壁面と第1面12との間の角を押す。あるいは、プローブ60は第1壁面と第2面14との間の角を押す。ほぼ全てのプローブ60が同様に第1部材10にストレスを与える。そのため、第1部材10は大きなストレスを受けやすい。しかしながら、実施形態では第1部材10の曲げ強度は300MPa以上である。検査中にプローブ60が第1部材10を押しても第1部材10が割れがたい。実施形態の導通検査用治具4は長期間にわたって正確な検査結果を提供することができる。
【0018】
検査中、第1部材10と同様に第2部材20はプローブ60によって押される。第2部材20の曲げ強度は300MPa以上である。第2部材20が割れがたい。
【0019】
[実施形態の改変例1]
改変例1の導通検査用治具4は、空間SPをほぼ囲む支持部材50を有していない。その代わりに、第1部材10と第2部材20間に支柱が配置される。第1部材10と第2部材20間に支柱を配置することで第1部材10と第2部材20間に空間SPが形成される。支柱が支持部材の一例である。
【0020】
[実施形態の改変例2]
改変例2の導通検査用治具4では、第3部材30が省略される。空間SPの下には第1部材10のみが配置される。
【0021】
[改変例2の別例1]
改変例2の別例1の導通検査用治具4では、第4部材40が省略される。空間SPの上には第2部材20のみが配置される。
【0022】
[改変例2の別例2]
改変例2の別例2の導通検査用治具4では、第3部材30と第4部材40が省略される。空間SPの下には第1部材10のみが配置され、空間SPの上には第2部材20のみが配置される。
【0023】
[実施形態の改変例3]
改変例3の導通検査用治具4では、第2部材20の曲げ強度が300MPa未満である。第2部材20が樹脂製である。
【符号の説明】
【0024】
2:検査装置
4:導通検査用治具
10:第1部材
18:第1開口
20:第2部材
28:第2開口
30:第3部材
38:第3開口
40:第4部材
48:第4開口
50:支持部材
60:プローブ
120:プリント配線板
SP:空間