IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図1
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図2
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図3
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図4
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図5
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図6
  • 特開-超音波流量計及び流量計測方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030669
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】超音波流量計及び流量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20240229BHJP
【FI】
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133708
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 太輔
(72)【発明者】
【氏名】夏 園
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA19
(57)【要約】
【課題】従来に対し、超音波の伝搬時間が急変した場合でも、瞬時流量計測を適切に実施可能とする。
【解決手段】パケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行う設定部1041と、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果に基づいて、設定部1041により設定された受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する正常ゼロクロス点判別部1047と、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果、及び、正常ゼロクロス点判別部1047による判別結果に基づいて、パケット毎に、超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出部1048と、伝搬時間算出部1048による算出結果に基づいて、パケット毎に、測定対象である流体の流量を算出する流量算出部1049とを備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行う設定部と、
前記設定部による設定に基づいて、超音波の送受信を行う一対の超音波素子のうちの一方の超音波素子からの受信信号を受信する第1の受信部と、
前記設定部による設定に基づいて、前記超音波素子のうちの他方の超音波素子からの受信信号を受信する第2の受信部と、
前記第1の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第1のゼロクロス点計測部と、
前記第2の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第2のゼロクロス点計測部と、
前記第1のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、前記第2のゼロクロス点計測部による計測結果に基づいて、前記設定部により設定された受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する正常ゼロクロス点判別部と、
前記第1のゼロクロス点計測部による計測結果、前記第2のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、前記正常ゼロクロス点判別部による判別結果に基づいて、パケット毎に、超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出部と、
前記伝搬時間算出部による算出結果に基づいて、パケット毎に、測定対象である流体の流量を算出する流量算出部と
を備えた超音波流量計。
【請求項2】
前記設定部は、前記伝搬時間算出部により算出された過去の伝搬時間に基づいて、受信開始タイミングの設定を行う
ことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記設定部は、受信開始グループを均等に設定する
ことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
【請求項4】
設定部が、パケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行うステップと、
第1の受信部が、前記設定部による設定に基づいて、超音波の送受信を行う一対の超音波素子のうちの一方の超音波素子からの受信信号を受信するステップと、
第2の受信部が、前記設定部による設定に基づいて、前記超音波素子のうちの他方の超音波素子からの受信信号を受信するステップと、
第1のゼロクロス点計測部が、前記第1の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測するステップと、
第2のゼロクロス点計測部が、前記第2の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測するステップと、
正常ゼロクロス点判別部が、前記第1のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、前記第2のゼロクロス点計測部による計測結果に基づいて、前記設定部により設定された受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定するステップと、
伝搬時間算出部が、前記第1のゼロクロス点計測部による計測結果、前記第2のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、前記正常ゼロクロス点判別部による判別結果に基づいて、パケット毎に、超音波の伝搬時間を算出するステップと、
流量算出部が、前記伝搬時間算出部による算出結果に基づいて、パケット毎に、測定対象である流体の流量を算出するステップと
を有する流量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波を用いて流体の流量を計測する超音波流量計、及び、流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の超音波素子により送受信される超音波の伝搬時間差に基づいて、計測対象である流体の流量を計測する超音波流量計が知られている。
このような超音波流量計において、超音波の受信開始タイミングを、超音波の到達時間に合わせて設定する超音波流量計が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、前回までの伝搬時間に合わせて受信開始タイミングを適切に設定する超音波流量計が示されている。この超音波流量計では、受信回路の起動時間を短縮して省電力化を図ることを主な目的としている。
【0004】
また、特許文献2では、タイマを設けて、数分おきに受信開始(遮断解除)タイミングを早める超音波流量計が示されている。この超音波流量計では、ガスの入れ替え等により超音波の伝搬時間が急変し、超音波の到達時間が変化した際に、本来の超音波を正しく検知できず、受信開始タイミングの設定を間違えた状態が継続する不具合の解消を目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2828615号
【特許文献2】特許第6225325号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の超音波流量計では、直前の瞬時流量計測の結果で把握した伝搬時間からタイミングを決定したり、タイマを使って時折早めに計測を開始する、といった手法が採用されている。
しかしながら、何れの場合についても、ガス種又は温度が変化して超音波の伝搬時間が急変した瞬間又はその直後の瞬時流量計測では、受信開始タイミングが適切に設定さておらず、流量計測が行えなかったり、流量計測値が不正確な状態が発生し得る。
このような状態が発生すると同時に流量が急変した場合、流量の変化を即座に測定できない。この場合、流量の変化を測定できるのは、次回以降の瞬時流量計測となってしまう。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来に対し、超音波の伝搬時間が急変した場合でも、瞬時流量計測を適切に実施可能となる超音波流量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る超音波流量計は、パケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行う設定部と、設定部による設定に基づいて、超音波の送受信を行う一対の超音波素子のうちの一方の超音波素子からの受信信号を受信する第1の受信部と、設定部による設定に基づいて、超音波素子のうちの他方の超音波素子からの受信信号を受信する第2の受信部と、第1の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第1のゼロクロス点計測部と、第2の受信部により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第2のゼロクロス点計測部と、第1のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部による計測結果に基づいて、設定部により設定された受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する正常ゼロクロス点判別部と、第1のゼロクロス点計測部による計測結果、第2のゼロクロス点計測部による計測結果、及び、正常ゼロクロス点判別部による判別結果に基づいて、パケット毎に、超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出部と、伝搬時間算出部による算出結果に基づいて、パケット毎に、測定対象である流体の流量を算出する流量算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、上記のように構成したので、従来に対し、超音波の伝搬時間が急変した場合でも、瞬時流量計測を適切に実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る超音波流量計の構成例を示す図である。
図2】実施の形態1における演算部の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1における演算部の動作例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1における演算部で用いられるパケットの構成例を示す図である。
図5】実施の形態1における設定部による受信開始グループの設定例を示す図である。
図6】実施の形態1における演算部における各受信開始グループでの受信開始タイミングの一例を示す図である。
図7】実施の形態1における演算部の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る超音波流量計1の構成例を示す図である。
超音波流量計1は、超音波を用いて、計測対象である流体の流量を計測する。この超音波流量計1は、ゼロクロス方式の超音波流量計であって、瞬時流量計測が可能な超音波流量計である。
この超音波流量計1は、図1に示すように、計測管101、一対の超音波素子(第1の超音波素子102、及び、第2の超音波素子103)、及び、演算部104を備えている。
【0012】
計測管101は、内部に超音波流量計1が計測対象とする流体が流れる管である。
【0013】
第1の超音波素子102は、計測管101の側壁における上流側に取付けられ、計測管101内で第2の超音波素子103との間で超音波の送受信を交互に繰り返す超音波振動子である。すなわち、第1の超音波素子102は、演算部104からの送信信号に応じて計測管101内で下流側(第2の超音波素子103)に対して超音波を送信し、また、下流側(第2の超音波素子103)からの超音波を受信信号として受信する。
この第1の超音波素子102により受信された受信信号は、演算部104に出力される。
【0014】
第2の超音波素子103は、計測管101の側壁における下流側に取付けられ、計測管101内で第1の超音波素子102との間で超音波の送受信を交互に繰り返す超音波振動子である。すなわち、第2の超音波素子103は、演算部104からの送信信号に応じて計測管101内で上流側(第1の超音波素子102)に対して超音波を送信し、また、上流側(第1の超音波素子102)からの超音波を受信信号として受信する。
この第2の超音波素子103により受信された受信信号は、演算部104に出力される。
【0015】
なお、第1の超音波素子102から第2の超音波素子103への超音波の送受信は、順方向の送受信である。一方、第2の超音波素子103から第1の超音波素子102への超音波の送受信は、逆方向の送受信である。
【0016】
また、第1の超音波素子102及び第2の超音波素子103の位置関係は、第1の超音波素子102及び第2の超音波素子103で用いられる超音波の伝搬経路に応じて適宜設計される。
【0017】
演算部104は、第1の超音波素子102による送受信結果、及び、第2の超音波素子103による送受信結果に基づいて、計測対象である流体の流量(瞬時流量)を演算する。
【0018】
この演算部104は、図2に示すように、設定部1041、制御部1042、送受切替部1043、送信部1044、受信部1045、ゼロクロス点計測部1046、正常ゼロクロス点判別部1047、伝搬時間算出部1048、及び、流量算出部1049を備えている。
また、受信部1045は、第1の受信部1045-1、及び、第2の受信部1045-2を有している。また、ゼロクロス点計測部1046は、第1のゼロクロス点計測部1046-1、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2を有している。
【0019】
なお、演算部104は、IC(Integrated Circuit)、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0020】
設定部1041は、1回のパケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎の受信開始タイミングの設定を行う。パケットは、超音波流量計1における1回の瞬時流量計測中に実施される単計測群である。また、受信開始タイミングは、受信開始グループ毎に異なるタイミングとされる。
【0021】
なお、例えば、設定部1041は、超音波流量計1の計測動作が初回の動作である場合には、上記受信開始グループの設定、及び、上記受信開始タイミングの設定を行う際に、初期値を用いる。
また、例えば、設定部1041は、超音波流量計1の計測動作が2回目以降の動作である場合には、伝搬時間算出部1048により算出された過去(通常は1つ前)の伝搬時間に基づいて、上記受信開始グループの設定、及び、上記受信開始タイミングの設定を行う。
【0022】
この際、設定部1041は、例えば、1回のパケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループを均等に設定する。
【0023】
制御部1042は、設定部1041による設定に基づいて、送受切替部1043、送信部1044、及び、受信部1045の動作を制御する。すなわち、制御部1042は、これらの構成の動作を制御することで、超音波流量計1における超音波の送受方向、及び、当該送受の繰り返し回数を制御する。
また、この際、制御部1042は、設定部1041による設定に基づいて、受信部1045に対して、受信開始グループ毎の受信開始タイミングを制御する。
【0024】
送受切替部1043は、制御部1042による制御に従い、第1の超音波素子102における送受動作、及び、第2の超音波素子103における送受動作を交互に切り替える。すなわち、送受切替部1043は、第1の超音波素子102及び第2の超音波素子103をそれぞれ送信部1044及び受信部1045に接続可能とし、第1の超音波素子102を送信部1044及び受信部1045のうちの一方に接続するとともに、第2の超音波素子103を送信部1044及び受信部1045のうちの他方に接続するように、交互に切り替えるスイッチである。
【0025】
この送受切替部1043は、ある時点においては、順方向の送受信を行うため、第1の超音波素子102を送信動作させ、第2の超音波素子103を受信動作させる。この場合、送受切替部1043は、送信部1044からの送信信号を第1の超音波素子102に出力し、第2の超音波素子103からの受信信号を受信部1045(第1の受信部1045-1)に出力する。
そして、送受切替部1043は、次の時点においては、逆方向の送受信を行うため、第2の超音波素子103を送信動作させ、第1の超音波素子102を受信動作させる。この場合、送受切替部1043は、送信部1044からの送信信号を第2の超音波素子103に出力し、第1の超音波素子102からの受信信号を受信部1045(第2の受信部1045-2)に出力する。
【0026】
送信部1044は、制御部1042による制御に従い、送信信号を送信する。
【0027】
第1の受信部1045-1は、制御部1042による制御に従い、送受切替部1043を介して、第2の超音波素子103からの受信信号を受信する。すなわち、第1の受信部1045-1は、順方向の受信信号を受信する。なお、この際、第1の受信部1045-1は、制御部1042による制御に従い、対応する受信開始グループに対して設定された受信開始タイミングで受信を行う。
この第1の受信部1045-1は、受信した受信信号を増幅する機能(アンプ)を有している。
【0028】
第2の受信部1045-2は、制御部1042による制御に従い、送受切替部1043を介して、第1の超音波素子102からの受信信号を受信する。すなわち、第2の受信部1045-2は、逆方向の受信信号を受信する。なお、この際、第2の受信部1045-2は、制御部1042による制御に従い、対応する受信開始グループに対して設定された受信開始タイミングで受信を行う。
この第2の受信部1045-2は、受信した受信信号を増幅する機能(アンプ)を有している。
【0029】
第1のゼロクロス点計測部1046-1は、第1の受信部1045-1により受信された受信信号に基づいて、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間(単にゼロクロス点までの時間とも称す)を複数回計測する。そして、第1のゼロクロス点計測部1046-1は、上記の処理を、複数の受信信号毎(1回のパケットに含まれる単計測毎)に実施する。
なお、例えば図6に示すように、ゼロクロス点は、受信の開始後、受信信号の強度が閾値(閾値電圧)を超えた後に当該受信信号の強度がゼロとなる点である。図6において、符号61は閾値を示し、符号62はゼロクロス点を示している。また、図6において、符号63は受信信号の受信開始時点を示し、符号64は受信信号の最大ピークを示している。また、第1のゼロクロス点計測部1046-1が1回の単計測において、時間の計測を行うゼロクロス点の数は、事前に設定される。また、1回のパケットに含まれる単計測の回数は、事前に設定される。
この第1のゼロクロス点計測部1046-1は、上記受信信号を閾値と比較する機能(コンパレータ)を有している。
【0030】
第2のゼロクロス点計測部1046-2は、第2の受信部1045-2により受信された受信信号に基づいて、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間(単にゼロクロス点までの時間とも称す)を複数回計測する。そして、第2のゼロクロス点計測部1046-2は、上記の処理を、複数の受信信号毎(1回のパケットに含まれる単計測毎)に実施する。
なお、第2のゼロクロス点計測部1046-2が1回の単計測において、時間の計測を行うゼロクロス点の数は、事前に設定される。また、1回のパケットに含まれる単計測の回数は、事前に設定される。
この第2のゼロクロス点計測部1046-2は、上記受信信号を閾値と比較する機能(コンパレータ)を有している。
【0031】
なお、第1の受信部1045-1及び第2の受信部1045-2、並びに、第1のゼロクロス点計測部1046-1及び第2のゼロクロス点計測部1046-2による動作は、1系統の回路で実現可能である。すなわち、順方向の送受信と逆方向の送受信とに応じて、上記回路と第1の超音波素子102及び第2の超音波素子103との接続が切替えられることで、上記の動作を実現可能である。
【0032】
正常ゼロクロス点判別部1047は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果に基づいて、受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する。
【0033】
伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果、及び、正常ゼロクロス点判別部1047による判別結果に基づいて、超音波の伝搬時間を算出する。
この際、例えば、まず、伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果のうち、正常ゼロクロス点判別部1047により正常であると判別された受信開始グループのゼロクロス点までの時間を抽出する。
次に、伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間に基づいて、当該ゼロクロス点毎に、各単計測での時間を平均化することで、ゼロクロス点毎の第1の伝搬時間を算出する。
同様に、伝搬時間算出部1048は、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間に基づいて、当該ゼロクロス点毎に、各単計測での時間を平均化することで、ゼロクロス点毎の第2の伝搬時間を算出する。
【0034】
流量算出部1049は、伝搬時間算出部1048による算出結果に基づいて、計測対象である流体の流量(瞬時流量)を算出する。
この際、まず、流量算出部1049は、ゼロクロス点毎に、伝搬時間算出部1048により算出された第1の伝搬時間と第2の伝搬時間との差分を算出することで、ゼロクロス点毎の伝搬時間差を算出する。
次に、流量算出部1049は、算出したゼロクロス点毎の伝搬時間差に基づいて、流体の流速を算出する。
次に、流量算出部1049は、算出した流体の流速に基づいて、流体の流量を算出する。
なお、流量算出部1049による流速算出及び流量算出の手法としては、既存手法を適用可能である。
【0035】
次に、図1,2に示す実施の形態1における演算部104の動作例について、図3を参照しながら説明する。
ここで、従来、1秒間隔等の所定の間隔で繰り返し行われる瞬時流量計測動作を行う超音波流量計が知られている。このような超音波流量計では、超音波の送受信による伝搬時間の測定(単計測)を、短い間隔(例えば5~10ミリ秒等)で複数回繰り返し実施している。また、この超音波流量計では、上記の測定を、順方向及び逆方向のそれぞれで実施している。そして、この超音波流量計では、上記のようにして取得した複数の単計測の結果から、順方向及び逆方向の伝搬時間をそれぞれ求め、その伝搬時間差(逆方向の伝搬時間-順方向の伝搬時間)から瞬時流量を算出している。
なお、1回の瞬時流量計測動作で行われる単計測の受信開始タイミングは、その瞬時流量計測動作が開始されるまでに決定される。また、一連の単計測が完了して、伝搬時間と流量の算出が行われるまでは、受信開始タイミングが適切であるか否かを判定したり、途中でフィードバック的に受信開始タイミングを変更することはできない。
【0036】
また、電池駆動での長時間動作が必要とされる超音波流量計では、消費電流の削減が重要な課題である。この点に関し、計測動作の簡易化だけでなく、消費電流の大きいアンプ又はコンパレータ等を含む超音波受信回路の動作時間を減らすことで、消費電流を低減することが課題とされている。
一方で、超音波受信回路の動作時間を短くした場合、仮に、超音波の伝搬時間が急変して超音波の伝搬時間が大幅に早まった場合、超音波を適切に計測できなくなる可能性がある。
【0037】
そこで、実施の形態1における演算部104では、1回のパケットに含まれる複数の単計測に対し、受信開始タイミングの異なる複数のグループ(受信開始グループ)を設定する。この際、例えば、各受信開始グループに属する単計測は、1回のパケット内に均等に配置される。これにより、実施の形態1における演算部104では、仮に、超音波の伝搬時間が急変して超音波の伝搬時間が大幅に早まり、受信開始タイミングが遅いグループに属する単計測では超音波の計測ができなかった場合であっても、受信開始タイミングの早いグループに属する単計測での超音波の計測結果を用いて瞬時流量の算出を可能とする。
【0038】
この図1,2に示す実施の形態1における演算部104による動作例では、図3に示すように、まず、設定部1041は、1回のパケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行う(ステップST301)。
【0039】
なお、例えば、設定部1041は、超音波流量計1の計測動作が初回の動作である場合には、上記受信開始グループの設定、及び、上記受信開始タイミングの設定を行う際に、初期値を用いる。
また、例えば、設定部1041は、超音波流量計1の計測動作が2回目以降の動作である場合には、伝搬時間算出部1048により算出された過去(通常は1つ前)の伝搬時間に基づいて、上記受信開始グループの設定、及び、上記受信開始タイミングの設定を行う。
【0040】
この際、設定部1041は、例えば、1回のパケットに含まれる単計測に対し、複数の受信開始グループを均等に設定する。
【0041】
図4は、実施の形態1における演算部104で用いられるパケットの構成例を示す図である。
なお、図4において、左側のパケットは順方向のパケット(順方向パケット)を示し、右側のパケットは逆方向のパケット(逆方向パケット)を示している。そして、この順方向パケットに含まれる単計測による計測結果から順方向の伝搬時間が算出される。同様に、逆方向パケットに含まれる単計測による計測結果から逆方向の伝搬時間が算出される。そして、順方向の伝搬時間と逆方向の伝搬時間から流量(瞬時流量)が算出される。
【0042】
そして、図5は、図4に示すパケットに対する設定部1041による受信開始グループの設定例を示している。
この図5では、設定部1041が、受信開始グループとして、2つのグループ(遅受信開始グループ及び早受信開始グループ)を設定した場合を示している。
遅受信開始グループは、受信開始タイミングが遅いグループであり、図5ではグレーで示している。早受信開始グループは、受信開始タイミングが早いグループであり、図5では白色で示している。
【0043】
また、図5では、設定部1041が、1回のパケットに含まれる単計測に対して、1つずつ交互に遅受信開始グループ又は早受信開始グループに属するように受信開始グループを設定している。
【0044】
なお、1回のパケットに含まれる単計測の数は予め決められている。また、設定部1041は、受信開始タイミングの設定を、そのパケットの最初の計測が開始する段階までに行い、計測の途中では変更しない。
図4及び図5では、1回のパケットに含まれる単計測の数が21個である場合を示している。そして、図5では、遅受信開始グループに属する単計測の数が10個であり、早受信開始グループに属する単計測の数が11個である場合を示している。
【0045】
なお、図5では、設定部1041が、1回のパケットに含まれる単計測に対し、複数の受信開始グループを1つずつ交互に設定した場合を示した。しかしながら、これに限らず、例えば、設定部1041は、1回のパケットに含まれる単計測に対し、複数の受信開始グループを複数ずつ交互に設定してもよい。
【0046】
また、図5の例では、設定部1041は、遅受信開始グループに対し、例えば下式(1)のように、受信開始タイミングを設定する。
また、図5の例では、設定部1041は、早受信開始グループに対し、例えば下式(2)のように、受信開始タイミングを設定する。
なお、式(1)及び式(2)において、Tは基準となる伝搬時間を示し、t1はTに対するマージンのための時間を示し、Aは遅受信開始グループと早受信開始グループとの受信開始タイミングの差を示している。なお、例えば、超音波流量計1の計測動作が初回の動作である場合にはTは初期値に設定され、超音波流量計1の計測動作が2回目以降の動作である場合にはTは伝搬時間算出部1048により算出された過去(通常は1つ前)の伝搬時間に設定される。
T-t1 (1)
T-t1-A (2)
【0047】
この設定部1041における、遅受信開始グループに対する受信開始タイミングと、早受信開始グループの受信開始タイミングとの関係は、例えば図6のように示される。
【0048】
なお、t1は、順方向と逆方向とで値が異なっていてもよい。
【0049】
また、Aは、例えば、発生し得る伝搬時間の変動の大きさに応じて設定されることが望ましい。例えば、Aは、通常状態として想定される伝搬時間の20%程度の値に設定される。
また、Aは、直近数秒間の温度又は伝搬時間の変化の大きさに応じて、これらの要素の変動が大きい場合には値を大きくし、これらの要素の変動が小さい場合には値を小さくする等、可変であってもよい。
【0050】
そして、制御部1042は、設定部1041による設定に基づいて、送受切替部1043、送信部1044、及び、受信部1045の動作を制御する。すなわち、制御部1042は、これらの構成の動作を制御することで、超音波流量計1における超音波の送受方向、及び、繰り返し回数を制御する。
また、この際、制御部1042は、設定部1041による設定に基づいて、受信部1045に対して、受信開始グループ毎の受信開始タイミングを制御する。
【0051】
また、送受切替部1043は、制御部1042による制御に従い、第1の超音波素子102における送受動作、及び、第2の超音波素子103における送受動作を交互に切り替える。
【0052】
次いで、送信部1044は、制御部1042による制御に従い、送信信号を送信する(ステップST302)。
そして、順方向の送受信の場合には、送信部1044により送信された送信信号は、送受切替部1043を介して、第1の超音波素子102に出力される。そして、第1の超音波素子102は、この送信信号に応じて、第2の超音波素子103に向かって超音波を送信する。そして、第2の超音波素子103は、この超音波を受信信号として受信する。
一方、逆方向の送受信の場合には、送信部1044により送信された送信信号は、送受切替部1043を介して、第2の超音波素子103に出力される。そして、第2の超音波素子103は、この送信信号に応じて、第1の超音波素子102に向かって超音波を送信する。そして、第1の超音波素子102は、この超音波を受信信号として受信する。
【0053】
次いで、第1の受信部1045-1及び第2の受信部1045-2は、受信信号を取得する(ステップST303)。
すなわち、第1の受信部1045-1は、制御部1042による制御に従い、送受切替部1043を介して、第2の超音波素子103からの受信信号を受信する。すなわち、第1の受信部1045-1は、順方向の受信信号を受信する。なお、この際、第1の受信部1045-1は、制御部1042による制御に従い、対応する受信開始グループに対して設定された受信開始タイミングで受信を行う。
同様に、第2の受信部1045-2は、制御部1042による制御に従い、送受切替部1043を介して、第1の超音波素子102からの受信信号を受信する。すなわち、第2の受信部1045-2は、逆方向の受信信号を受信する。なお、この際、第2の受信部1045-2は、制御部1042による制御に従い、対応する受信開始グループに対して設定された受信開始タイミングで受信を行う。
【0054】
図5の例では、第1の受信部1045-1及び第2の受信部1045-2は、1回のパケットに含まれる単計測のうち、遅受信開始グループに属する単計測については、式(1)に示す受信開始タイミングで受信信号の受信を行う。
また、図5の例では、第1の受信部1045-1及び第2の受信部1045-2は、1回のパケットに含まれる単計測のうち、早受信開始グループに属する単計測については、式(2)に示す受信開始タイミングで受信信号の受信を行う。
【0055】
次いで、第1のゼロクロス点計測部1046-1及び第2のゼロクロス点計測部1046-2は、単計測毎に、受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間(計測時間)を複数回計測する(ステップST304)。
すなわち、第1のゼロクロス点計測部1046-1は、第1の受信部1045-1により受信された受信信号に基づいて、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する。第1のゼロクロス点計測部1046-1は、上記の処理を、単計測毎に実施する。
同様に、第2のゼロクロス点計測部1046-2は、第2の受信部1045-2により受信された受信信号に基づいて、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する。第2のゼロクロス点計測部1046-2は、上記の処理を、単計測毎に実施する。
【0056】
図6では、第1のゼロクロス点計測部1046-1及び第2のゼロクロス点計測部1046-2が、1回の単計測において、6点のゼロクロス点の時間を計測した場合を示している。また、単計測の回数は、例えば21回である。
【0057】
なお、第1のゼロクロス点計測部1046-1により計測された、k回目の単計測におけるm番目のゼロクロス点の時間を順ZCm(k)と表す。
また、第2のゼロクロス点計測部1046-2により計測された、k回目の単計測におけるm番目のゼロクロス点の時間を逆ZCm(k)と表す。
【0058】
次に、演算部104は、順方向及び逆方向について、単計測を所定回数(例えば21回)実施したかを判定する(ステップST305)。
このステップST305において、演算部104が、単計測を所定回数実施していないと判定した場合には、シーケンスはステップST302に戻る。
一方、ステップST305において、演算部104が、単計測を所定回数実施したと判定した場合には、シーケンスはステップST306に進む。
【0059】
次いで、正常ゼロクロス点判別部1047は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果に基づいて、受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する(ステップST306)。
【0060】
この際、正常ゼロクロス点判別部1047は、受信開始グループ間で比較(例えばゼロクロス点までの時間のパターンの比較)を行うことで、受信開始グループ毎にゼロクロス点が正常であるか否かを判定する。
すなわち、複数の受信開始グループのうち、受信開始タイミングが早いグループでは正しく計測が実施されている可能性が高い。そのため、正常ゼロクロス点判別部1047は、受信開始タイミングが早いグループの計測結果が正常であるものとし、受信開始タイミングが遅いグループの計測結果との比較を行う。そして、正常ゼロクロス点判別部1047は、その差が小さい場合には、受信開始タイミングが遅いグループの計測結果は正常であると判定し、その差が大きい場合には、受信開始タイミングが遅いグループの計測結果は異常であると判定する。
【0061】
なお、上記では、正常ゼロクロス点判別部1047が、受信開始グループ間で、ゼロクロス点までの時間のパターンの比較を行うことで、正常判定を行う場合を示した。しかしながら、これに限らず、例えば、正常ゼロクロス点判別部1047は、受信開始グループ間で、上記ゼロクロス点までの時間を用いて算出された伝搬時間(TOF値)の比較を行うことで、正常判定を行ってもよい。
【0062】
次いで、伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果、及び、正常ゼロクロス点判別部1047による判別結果に基づいて、超音波の伝搬時間を算出する(ステップST307)。
この際、例えば、まず、伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果のうち、正常ゼロクロス点判別部1047により正常であると判別された受信開始グループのゼロクロス点までの時間を抽出する。
次に、伝搬時間算出部1048は、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間に基づいて、当該ゼロクロス点毎に、各単計測での時間を平均化することで、下式(3)に示すように、ゼロクロス点毎の第1の伝搬時間を算出する。なお、式(3)において、順ZCm(k’)は第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間を示し、K’は第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果から抽出した総数を示している。
同様に、伝搬時間算出部1048は、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間に基づいて、当該ゼロクロス点毎に、各単計測での時間を平均化することで、下式(4)に示すように、ゼロクロス点毎の第2の伝搬時間を算出する。なお、式(4)において、逆ZCm(k’)は第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果から抽出したゼロクロス点までの時間を示し、K’は第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果から抽出した総数を示している。
Σ順ZCm(k’)/K’ (3)
Σ逆ZCm(k’)/K’ (4)
【0063】
ここで、伝搬時間算出部1048は、例えばデジタルフィルタを用いて、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果のうちの一部のデータから、伝搬時間を算出することができる。
例えば、伝搬時間算出部1048は、奇数個のデータを対象として伝搬時間の算出を行うデジタルフィルタを機能させているとする。そして、例えば、1回のパケットに含まれる単計測の数が奇数個(例えば21個)であり、早受信開始グループに属する単計測の数を奇数個(11個)とし、遅受信開始グループに属する単計測の数を偶数個(例えば10個)とする。これにより、仮に、早受信開始グループの計測結果及び遅受信開始グループの計測結果が共に正常である場合には、21個の奇数個データを用いて伝搬時間算出部1048は伝搬時間を算出できる。一方、仮に、遅受信開始グループの計測結果は使えず、早受信開始グループの計測結果のみ正常である場合にも、早受信開始グループの11個の奇数個データを用いて伝搬時間算出部1048は伝搬時間を算出できる。このように、伝搬時間算出部1048は、全体のデータのうちの一部のデータ(1/2のデータ、又は、1/3のデータ等)であっても、伝搬時間を算出可能である
【0064】
次いで、流量算出部1049は、伝搬時間算出部1048による算出結果に基づいて、計測対象である流体の流量(瞬時流量)を算出する(ステップST308)。
この際、まず、流量算出部1049は、下式(5)に示すように、ゼロクロス点毎に、伝搬時間算出部1048により算出された第1の伝搬時間と第2の伝搬時間との差分を算出することで、ゼロクロス点毎の伝搬時間差を算出する。式(5)において、ZCmΔtは各ゼロクロス点での伝搬時間差を示している。
次に、流量算出部1049は、式(6)に示すように、算出したゼロクロス点毎の伝搬時間差を平均化する。式(6)において、Δtは平均化後の伝搬時間差を示し、Mはゼロクロス点の総数を示している。
次に、流量算出部1049は、算出した平均化後の伝搬時間差に基づいて、流体の流速を算出する。
次に、流量算出部1049は、算出した流体の流速に基づいて、流体の流量を算出する。
ZCmΔt=(Σ逆ZCm(k’)/K’)-(Σ順ZCm(k’)/K’) (5)
Δt=ΣZCmΔt/M (6)
【0065】
なお、設定部1041が、1回のパケットに含まれる単計測に対し、複数の受信開始グループを均等に設定することで、瞬時流量計測中における流動変動を適切に計測可能となる。
【0066】
また、超音波流量計1は、瞬時流量計測において機能すべきその他のアルゴリズムについても、早受信開始グループのデータしか使用できない場合でも機能可能なように設計される。
【0067】
このように、実施の形態1に係る超音波流量計1では、瞬時流量を計測する際に、同一パケット内で短い時間間隔をあけて複数回行われる単計測を、複数の受信開始タイミングが異なるグループ(例えば遅受信開始グループ及び早受信開始グループ)に分け、仮に例えば図7に示すように早受信開始グループだけしか正しく計測できなくても、瞬時流量が計算できるようにパケット内に配置する。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計1では、従来に対し、受信タイミングが変化した瞬間又はその直後においても、瞬時流量計測を適切に実施可能となる。
【0068】
以上のように、この実施の形態1によれば、超音波流量計1は、パケットに含まれる複数の単計測に対し、複数の受信開始グループの設定、及び、当該受信開始グループ毎に異なる受信開始タイミングの設定を行う設定部1041と、設定部1041による設定に基づいて、超音波の送受信を行う一対の超音波素子のうちの一方の超音波素子からの受信信号を受信する第1の受信部1045-1と、設定部1041による設定に基づいて、超音波素子のうちの他方の超音波素子からの受信信号を受信する第2の受信部1045-2と、第1の受信部1045-1により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第1のゼロクロス点計測部1046-1と、第2の受信部1045-2により受信された受信信号に基づいて、単計測毎に、当該受信信号が閾値を超えた後、所定の期間において、送信の開始からゼロクロス点までの時間を複数回計測する第2のゼロクロス点計測部1046-2と、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、及び、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果に基づいて、設定部1041により設定された受信開始グループ毎に、計測結果が正常であるか否かを判定する正常ゼロクロス点判別部1047と、第1のゼロクロス点計測部1046-1による計測結果、第2のゼロクロス点計測部1046-2による計測結果、及び、正常ゼロクロス点判別部1047による判別結果に基づいて、パケット毎に、超音波の伝搬時間を算出する伝搬時間算出部1048と、伝搬時間算出部1048による算出結果に基づいて、パケット毎に、測定対象である流体の流量を算出する流量算出部1049とを備えた。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計1は、従来に対し、超音波の伝搬時間が急変した場合、すなわち、超音波の伝搬時間が変化した瞬間又はその直後においても、瞬時流量計測を適切に実施可能となる。
【0069】
また、この実施の形態1によれば、設定部1041は、伝搬時間算出部1048により算出された過去の伝搬時間に基づいて、受信開始タイミングの設定を行ってもよい。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計1は、受信開始タイミングの設定を適切に実施可能となる。
【0070】
また、この実施の形態1によれば、設定部1041は、受信開始グループを均等に設定してもよい。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計1は、瞬時流量計測中における流動変動を適切に計測可能となる。
【0071】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 超音波流量計
101 計測管
102 第1の超音波素子
103 第2の超音波素子
104 演算部
1041 設定部
1042 制御部
1043 送受切替部
1044 送信部
1045 受信部
1045-1 第1の受信部
1045-2 第2の受信部
1046 ゼロクロス点計測部
1046-1 第1のゼロクロス点計測部
1046-2 第2のゼロクロス点計測部
1047 正常ゼロクロス点判別部
1048 伝搬時間算出部
1049 流量算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7