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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030691
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】グラウンドゴルフのホールポスト錘
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240229BHJP
   A63B 63/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A63B69/36 514A
A63B63/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133739
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】593171570
【氏名又は名称】羽立工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 周作
(57)【要約】
【課題】安価に製造できるとともに、ポールに対して簡単に取り付けることができる、グラウンドゴルフのホールポスト錘を提供する。
【解決手段】グラウンドゴルフのホールポスト錘10は、第1移動阻止部30と、第2移動阻止部32と、繋ぎ部34とを備える。第1移動阻止部30は、ポール16を前方、後方および左方から取り囲むことができるようにU字状に形成される。第2移動阻止部32は、ポール16を前方、後方および右方から取り囲むことができるように、第1移動阻止部30から上方へ離間してU字状に形成される。第1移動阻止部30と第2移動阻止部32とは、繋ぎ部34で繋がれる。第3開口48から繋ぎ部34の前側の第3空間S3に受け入れられたポール16が回動されると、このポール16が、第1開口40から第1移動阻止部30の第1空間S1に受け入れられるとともに、第2開口44から第2移動阻止部32の第2空間S2に受け入れられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンドゴルフで用いられるホールポストのポールに取り付けられるグラウンドゴルフのホールポスト錘であって、
上下方向に対して直交する任意の一つの方向を前後方向とし、上下方向および前後方向に対して直交する方向を左右方向としたとき、
上下方向へ延びる前記ポールを前方、後方および左方から取り囲むことができるようにU字状に形成された第1移動阻止部と、
上下方向へ延びる前記ポールを前方、後方および右方から取り囲むことができるように、前記第1移動阻止部から上方または下方へ離間してU字状に形成された第2移動阻止部と、
前記第1移動阻止部の内側の第1空間と前記第2移動阻止部の内側の第2空間とを上下方向に連通させる第3空間を構成するように、前記第1移動阻止部と前記第2移動阻止部とを前記第3空間の後方または前方で繋ぐ繋ぎ部とを備え、
前記第1空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第1開口を通して右方へ向けて開放され、
前記第2空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第2開口を通して左方へ向けて開放され、
前記第3空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第3開口を通して前方または後方へ向けて開放されるとともに、左右方向の両側に向けて開放される、グラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項2】
1つの本体部を備え、
前記第1空間は、前記本体部の下部に上下方向へ延びて右方へ向けて開いて形成された第1溝によって構成され、
前記第2空間は、前記本体部の上部に上下方向へ延びて左方へ向けて開いて形成された第2溝によって構成され、
前記第3空間は、前記本体部の上下方向中央部に左右方向へ延びて前方または後方へ向けて開いて形成された第3溝によって構成される、請求項1に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項3】
前記本体部は、円柱状に形成される、請求項2に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項4】
前記第1溝および前記第2溝のそれぞれの最奥部の内面は、半円形に湾曲して形成される、請求項3に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項5】
前記本体部の軸方向長さは、前記本体部の径方向長さよりも長く定められる、請求項4に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項6】
前記第1移動阻止部、前記第2移動阻止部および前記繋ぎ部の全体は、上下を逆にしても形状が変わらない点対称に形成される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。
【請求項7】
前記第3空間よりも下側の部分の体積および重量は、前記第3空間よりも上側の部分の体積および重量よりも大きく定められる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のグラウンドゴルフのホールポスト錘。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドゴルフで用いられるホールポストのポールに取り付けられる、グラウンドゴルフのホールポスト錘に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、従来のグラウンドゴルフのホールポスト錘の一例が開示されている。このホールポスト錘は、ホールポストのポールを取り囲むように筒状に組み合わされる複数の重り部材を備えている。各重り部材には、他の重り部材と連結するための連結手段が設けられている。特許文献1に例示された複数の連結手段のうちの1つは、互いに篏合可能な形状に形成された突出部および受け部を有しており、互いに隣接する2つの重り部材の一方に設けられた突出部が、他方に設けられた受け部に篏合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-206634号
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたホールポスト錘では、複数の重り部材が用いられるため、部品数が多くなり、製造コストが高くなるという問題があった。また、ホールポスト錘をポールに取り付けるとき、使用者は、複数の重り部材を互いに連結する必要があり、簡単に取り付けることができないという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、安価に製造できるとともに、ポールに対して簡単に取り付けることができる、グラウンドゴルフのホールポスト錘を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の特徴は、グラウンドゴルフで用いられるホールポストのポールに取り付けられるグラウンドゴルフのホールポスト錘であって、上下方向に対して直交する任意の一つの方向を前後方向とし、上下方向および前後方向に対して直交する方向を左右方向としたとき、上下方向へ延びる前記ポールを前方、後方および左方から取り囲むことができるようにU字状に形成された第1移動阻止部と、上下方向へ延びる前記ポールを前方、後方および右方から取り囲むことができるように、前記第1移動阻止部から上方または下方へ離間してU字状に形成された第2移動阻止部と、前記第1移動阻止部の内側の第1空間と前記第2移動阻止部の内側の第2空間とを上下方向に連通させる第3空間を構成するように、前記第1移動阻止部と前記第2移動阻止部とを前記第3空間の後方または前方で繋ぐ繋ぎ部とを備え、前記第1空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第1開口を通して右方へ向けて開放され、前記第2空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第2開口を通して左方へ向けて開放され、前記第3空間は、前記ポールの外接円直径よりも広い幅を有する第3開口を通して前方または後方へ向けて開放されるとともに、左右方向の両側に向けて開放されることにある。
【0007】
この構成において、ホールポスト錘をポールに取り付ける際には、まず、使用者は、ポールの一部に第3開口から第3溝を被せることによって、第3空間にポールの一部を配置する。続いて、使用者は、ホールポスト錘を、第3空間に位置する部分を中心としてポールに対して相対的に回動させることによって、ポールの上記一部よりも下側の部分(または上側の部分)を第1開口から第1空間に収容し、かつ、ポールの上記一部よりも上側の部分(または下側の部分)を第2開口から第2空間に収容する。このように、使用者は、ホールポスト錘をポールに対して簡単に取り付けることができる。また、構造が単純であることから、ホールポスト錘を安価に製造できる。さらに、ポールに対するホールポスト錘の前後方向および左右方向への動きを、第1移動阻止部および第2移動阻止部によって阻止できるので、ポールが傾いた場合でもホールポスト錘はポールから離脱し難い。
【0008】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、1つの本体部を備え、前記第1空間は、前記本体部の下部に上下方向へ延びて右方へ向けて開いて形成された第1溝によって構成され、前記第2空間は、前記本体部の上部に上下方向へ延びて左方へ向けて開いて形成された第2溝によって構成され、前記第3空間は、前記本体部の上下方向中央部に左右方向へ延びて前方または後方へ向けて開いて形成された第3溝によって構成されることにある。
【0009】
この構成によれば、1つの本体部に第1溝、第2溝および第3溝を形成することによって、ホールポスト錘を簡単かつ安価に製造できる。
【0010】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、前記本体部は、円柱状に形成されることにある。
【0011】
この構成によれば、ホールポスト錘の使用状態において、ポールの周囲に円柱状の本体部が配置されるので、ホールポスト錘は目立ち難い。
【0012】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、前記第1溝および前記第2溝のそれぞれの最奥部の内面は、半円形に湾曲して形成されることにある。
【0013】
この構成によれば、第1溝および第2溝のそれぞれの最奥部の内面、すなわち第1移動阻止部および第2移動阻止部のそれぞれの最奥部の内面が半円形に湾曲して形成されるので、これらの内面をポールの外面に近接させることができる。したがって、ホールポスト錘とポールとの間に生じる空間を小さくして、ホールポスト錘をコンパクトに形成できる。また、第1移動阻止部および第2移動阻止部を、回転刃を有する加工装置を用いて簡単かつ安価に形成できる。
【0014】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、前記本体部の軸方向長さは、前記本体部の径方向長さよりも長く定められることにある。
【0015】
この構成によれば、ホールポスト錘の使用状態において、ポールの周囲に軸方向に長い円柱状の本体部が配置されるので、ホールポスト錘は目立ち難い。
【0016】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、前記第1移動阻止部、前記第2移動阻止部および前記繋ぎ部の全体は、上下を逆にしても形状が変わらない点対称に形成されることにある。
【0017】
この構成によれば、使用者は、ホールポスト錘の上下の向きを考慮する必要がなく、ホールポスト錘をポールに対して迅速に取り付けることができる。
【0018】
本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の他の特徴は、前記第3空間よりも下側の部分の体積および重量は、前記第3空間よりも上側の部分の体積および重量よりも大きく定められることにある。
【0019】
この構成によれば、ホールポスト錘の重心位置を低くして、ホールポストを安定させることができる。また、使用者は、ホールポスト錘の第3空間を挟んだ両側の部分を見比べて、体積が大きい方を下にすることによって、重量が大きい方を確実に下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の使用状態を示す斜視図である。
図2】グラウンドゴルフのホールポストの構成を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す斜視図であり、(A)は、前斜め上方から見た斜視図、(B)は、後斜め下方から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は底面図である。
図5】第1実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す図であり、(E)は右側面図、(F)は左側面図である。
図6】第1実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘のポールに対する取付け方法を示す斜視図であり、(A)は第1工程を示す斜視図、(B)は第2工程を示す斜視図である。
図7】(A)は、第2実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す斜視図、(B)は、第3実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す斜視図である。
図8】第4実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す斜視図である。
図9】第5実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘の構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は右側面図、(C)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘(以下、単に「ホールポスト錘」という。)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる「前後方向」とは、上下方向に対して直交する任意の一つの方向であり、「左右方向」とは、上下方向および前後方向に対して直交する方向である。前後、左右および上下の各方向は、図中に矢印で示す各方向と一致する。
【0022】
(第1実施形態に係るホールポスト錘の構成)
図1は、第1実施形態に係るホールポスト錘10の使用状態を示す斜視図である。図2は、グラウンドゴルフのホールポスト12の構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すホールポスト錘10は、ホールポスト12を安定させることによって、ホールポスト12の転倒を防止するための器具であり、使用時には、ホールポスト12を構成するポール16の下端部に取り付けられる。
【0024】
図1および図2に示すホールポスト12は、公益社団法人日本グラウンド・ゴルフ協会が定めた「用具標準規則」に則って構成されたものであり、ホール14およびポール16を備えている。
【0025】
図2に示すように、ホール14は、底円部18と、底円部18の上方に設けられた上円部20と、上円部20の中央部に設けられた支持板22と、3つの脚部24と、支持板22の下方に設けられた鈴26とを有している。底円部18は、直径6mmの金属線で外径36cmの円環状に形成されている。上円部20は、直径6mmの金属線で外径20cmの円環状に形成されている。支持板22は、直径6cmの円板状に形成されている。底円部18に対して下方から接触する地表面Gを想定したとき、地表面Gから上円部20までの距離は、11cmに定められている。
【0026】
3つの脚部24のそれぞれは、直径6mmの金属線で、上円部20の中心から互いに120度の角度間隔を隔てて放射状に設けられている。底円部18、上円部20および支持板22は、3つの脚部24を介して互いに連結されている。鈴26は、支持板22から下方へ突出するように設けられており、地表面Gから鈴26までの距離は、2cmに定められている。
【0027】
図2に示すように、ポール16は、円形断面を有するパイプ状に形成されている。ポール16の直径は、18mmに定められており、ポール16の長さは、100cmに定められている。ポール16の下端部は、ボルト等(図示省略)の固定具を用いて支持板22に固定されている。ポール16の上端部には、ホールナンバーが表示された旗(図示省略)が取り付けられている。
【0028】
なお、ホールポスト12の各部分のサイズは、上記サイズに限定されるものではなく、「用具標準規則」に定められた範囲内において適宜変更されてもよいし、「用具標準規則」とは異なる基準に基づいて適宜変更されてもよい。また、ポール16におけるホールポスト錘10が取り付けられる部分の断面形状は、六角形、四角形および異形などに形成されてもよい。
【0029】
図3は、ホールポスト錘10の構成を示す斜視図であり、図3(A)は、前斜め上方から見た斜視図、図3(B)は、後斜め下方から見た斜視図である。図4および図5は、ホールポスト錘10の構成を示す図であり、図4(A)は平面図、図4(B)は正面図、図4(C)は背面図、図4(D)は底面図、図5(E)は右側面図、図5(F)は左側面図である。
【0030】
図3(A),(B)に示すように、ホールポスト錘10は、第1移動阻止部30と、第2移動阻止部32と、繋ぎ部34とを備えている。本実施形態の第1移動阻止部30、第2移動阻止部32および繋ぎ部34は、鉄等の金属材料で円柱状に形成された1つの本体部36に対して形成されている。図4(B)に示すように、本実施形態における本体部36の軸方向長さL1は、本体部36の径方向長さL2よりも長く定められている。
【0031】
なお、本発明の説明で用いる「円柱状」は、外部から見たときに略円柱状に見える形状を幅広く含む概念であり、孔や溝を有する形状であっても、さらには、外側面の一部が平坦に形成された形状(図9)であっても、平面視形状が円形または略円形の立体形状は「円柱状」に含まれる。
【0032】
図3(B)に示すように、第1移動阻止部30は、上下方向へ延びるポール16(図1)を前方、後方および左方から取り囲むことができるように底面視でU字状に形成された部分である。第1移動阻止部30の内側には、使用時にポール16が配置される第1空間S1が構成されている。本実施形態の第1空間S1は、本体部36の下部に上下方向へ延びて右方へ向けて開いて形成された第1溝38によって構成されている。
【0033】
図4(D)に示すように、第1溝38の幅W1は、ポール16の外接円直径D(図1)よりも広く定められており、第1溝38の最奥部の内面38aは、半円形に湾曲して形成されている。第1溝38の内側の第1空間S1は、ポール16の外接円直径D(図1)よりも広い幅W1を有する第1開口40を通して右方へ向けて開放されている。なお、本実施形態では、ポール16の断面形状が円形であるため、ポール16の外接円直径Dは、ポール16の外径と一致する。
【0034】
言い換えると、図3(B)に示す第1移動阻止部30は、第1開口40から第1空間S1にポール16(図1)を受け入れることができるように構成されており、第1移動阻止部30の最奥部の内面、すなわち第1溝38の最奥部の内面38aは、ポール16の外面に近接できるように半円形に湾曲して形成されている。
【0035】
なお、第1溝38の形成方法は、特に限定されるものではないが、回転刃を有する加工装置を用いれば、半円形に湾曲する内面38aを有する第1溝38を簡単に形成することができる。
【0036】
図3(A)に示すように、第2移動阻止部32は、上下方向へ延びるポール16(図1)を前方、後方および右方から取り囲むことができるように平面視でU字状に形成された部分である。第2移動阻止部32の内側には、使用時にポール16が配置される第2空間S2が構成されている。本実施形態の第2空間S2は、本体部36の上部に上下方向へ延びて左方へ向けて開いて形成された第2溝42によって構成されている。
【0037】
図4(A)に示すように、第2溝42の幅W2は、ポール16の外接円直径D(図1)よりも広く定められており、第2溝42の最奥部の内面42aは、半円形に湾曲して形成されている。第2溝42の内側の第2空間S2は、ポール16の外接円直径D(図1)よりも広い幅W2を有する第2開口44を通して左方へ向けて開放されている。
【0038】
言い換えると、図3(A)に示す第2移動阻止部32は、第2開口44から第2空間S2にポール16(図1)を受け入れることができるように構成されており、第2移動阻止部32の最奥部の内面、すなわち第2溝42の最奥部の内面42aは、ポール16の外面に近接できるように半円形に湾曲して形成されている。
【0039】
なお、第2溝42の形成方法は、特に限定されるものではないが、回転刃を有する加工装置を用いれば、半円形に湾曲する内面42aを有する第2溝42を簡単に形成することができる。
【0040】
図3(A)に示すように、繋ぎ部34は、第1移動阻止部30の内側の第1空間S1と第2移動阻止部32の内側の第2空間S2とを上下方向に連通させる第3空間S3を構成するように、第1移動阻止部30と第2移動阻止部32とを第3空間S3の後方で繋ぐ部分である。
【0041】
図5(E),(F)に示すように、本実施形態の第3空間S3は、本体部36の上下方向中央部に左右方向へ延びて前方へ向けて開いて形成された第3溝46によって構成されている。第3溝46の内側の第3空間S3は、ポール16の外接円直径Dよりも広い幅W3を有する第3開口48を通して前方へ向けて開放されるとともに、左右方向の両側に向けて開放されている。
【0042】
図4(B),(C)に示すように、本実施形態の第1移動阻止部30、第2移動阻止部32および繋ぎ部34は、上下を逆にしても形状が変わらない点対称に形成されている。つまり、図4(B)に着目したとき、対称の中心Pは、第3溝46(第3空間S3)の中央に位置しており、対称の中心Pの周りで本体部36を180度回動させたとき、回動動作の前後でホールポスト錘10の正面視形状は同じになる。
【0043】
(第1実施形態に係るホールポスト錘の使用方法)
図3(A),(B)に示すホールポスト錘10をポール16(図1)に対して取り付けるとき、使用者は、第3空間S3にポール16の一部を受け入れる第1工程と、第1空間S1および第2空間S2にポール16の他の一部を受け入れる第2工程とをこの順に実行する。
【0044】
図6は、ホールポスト錘10のポール16に対する取付け方法を示す斜視図であり、(A)は第1工程を示す斜視図、(B)は第2工程を示す斜視図である。
【0045】
図6(A)に示すように、第1工程では、使用者は、ポール16の一部にホールポスト錘10の第3開口48から第3溝46を被せることによって、第3空間S3にポール16の一部を配置する。この状態では、ポール16の上記一部の左側に第1開口40および第1空間S1が配置され、ポール16の上記一部の右側に第2開口44および第2空間S2が配置される。つまり、ホールポスト錘10は、図6(A)中の矢印で示す方向に回動できる状態にある。
【0046】
図6(B)に示すように、第2工程では、使用者は、ホールポスト錘10を第3空間に位置する部分を中心として回動させることによって、ポール16の上記一部よりも下側の部分を第1開口40から第1空間S1に収容し、かつ、ポール16の上記一部よりも上側の部分を第2開口44から第2空間S2に収容する。その後、使用者は、ホールポスト錘10をポール16に沿って降下させて、支持板22(図1)の上面に載置する。
【0047】
ホールポスト錘10をポール16から取り外すとき、使用者は、上記手順とは逆の手順を実行することによって、ホールポスト錘10を簡単に取り外すことができる。
【0048】
(第1実施形態に係るホールポスト錘の効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、図6(A),(B)に示すように、使用者は、ホールポスト錘10をポール16に対して簡単に取り付けることができる。また、構造が単純であることから、ホールポスト錘10を安価に製造できる。さらに、ポール16に対するホールポスト錘10の前後方向および左右方向への動きを、第1移動阻止部30および第2移動阻止部32によって阻止できるので、ポール16が傾いた場合でもホールポスト錘10はポール16から離脱し難い。
【0049】
1つの本体部36に第1溝38、第2溝42および第3溝46を形成することによって、ホールポスト錘10を簡単かつ安価に製造できる。
【0050】
第1移動阻止部30および第2移動阻止部32のそれぞれの半円形に湾曲した内面38a,42aをポール16の外面に近接させることができるので、ホールポスト錘10とポール16との間に生じる空間を小さくして、ホールポスト錘10をコンパクトに形成できる。また、第1移動阻止部30および第2移動阻止部32を、回転刃を有する加工装置(図示省略)を用いて簡単かつ安価に形成できる。
【0051】
ホールポスト錘10の使用状態において、ポール16の周囲に円柱状の本体部36が配置されるので、ホールポスト錘10は目立ち難い。本体部36の軸方向長さL1は、径方向長さL2よりも長く定められているので、本体部36は軸方向に長い円柱状であり、ホールポスト錘10は目立ち難い。
【0052】
第1移動阻止部30、第2移動阻止部32および繋ぎ部34の全体は、上下を逆にしても形状が変わらない点対称に形成されているので、使用者は、ホールポスト錘10の上下の向きを考慮する必要がなく、ホールポスト錘10をポール16に対して迅速に取り付けることができる。
【0053】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。すなわち、第1実施形態では、第2移動阻止部32が第1移動阻止部30から上方に離間して設けられているが、第2移動阻止部32は、第1移動阻止部30から下方に離間して設けられてもよい。つまり、左方へ向けて開いた第2溝42が本体部36の下部に設けられるとともに、右方へ向けて開いた第1溝38が本体部36の上部に設けられてもよい。
【0054】
第1実施形態では、繋ぎ部34が、第1移動阻止部30と第2移動阻止部32とを第3空間S3の後方で繋ぐように構成されているが、繋ぎ部34は、第1移動阻止部30と第2移動阻止部32とを第3空間S3の前方で繋ぐように構成されてもよい。
【0055】
第1実施形態では、ホールポスト錘10が1つの本体部36で構成されているが、ホールポスト錘は、互いに接合された複数の本体部で構成されてもよい。例えば、ホールポスト錘は、第1移動阻止部30を有する第1本体部と、第2移動阻止部32を有する第2本体部と、繋ぎ部34を有する第3本体部とを、接着剤などの接合手段で互い接合することによって構成されてもよい。
【0056】
第1実施形態では、本体部36の軸方向長さL1が径方向長さL2よりも長く定められているが、本体部36の軸方向長さL1は、径方向長さL2よりも短く定められてもよい。この場合には、本体部36の重心の位置を低くすることができるので、ホールポスト12の安定性を高めることができる。
【0057】
図7(A)は、第2実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘50の構成を示す斜視図であり、図7(B)は、第3実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘52の構成を示す斜視図である。第1実施形態では、第1移動阻止部30、第2移動阻止部32および繋ぎ部34の全体が上下を逆にしても形状が変わらない点対称に形成されているが、図7(A)に示すホールポスト錘50や、図7(B)に示すホールポスト錘52のように、第1移動阻止部、第2移動阻止部および繋ぎ部の全体は、非対称に形成されてもよい。
【0058】
図7(A)に示すホールポスト錘50では、第1移動阻止部30の上下方向長さが第2移動阻止部32の上下方向長さよりも長くされており、これによって、第1移動阻止部30の体積および重量が第2移動阻止部32の体積および重量よりも大きく定められている。つまり、ホールポスト錘50では、第3空間S3よりも下側の部分の体積および重量が第3空間S3よりも上側の部分の体積および重量よりも大きく定められている。
【0059】
この構成によれば、ホールポスト錘50の重心位置を低くして、ホールポスト12(図1)を安定させることができる。また、使用者は、ホールポスト錘50の第3空間S3を挟んだ両側の部分を見比べて、体積が大きい方を下にすることによって、重量が大きい方を確実に下にすることができる。
【0060】
図7(B)に示すホールポスト錘52では、第2移動阻止部54が、繋ぎ部34に連続する壁部56と、壁部56に接合されたL字状の線状部58とで構成されており、これによって、第1移動阻止部30の体積および重量が第2移動阻止部54の体積および重量よりも大きく定められている。つまり、ホールポスト錘52では、第3空間S3よりも下側の部分の体積および重量が第3空間S3よりも上側の部分の体積および重量よりも大きく定められている。
【0061】
この構成によれば、ホールポスト錘52の重心位置を低くして、ホールポスト12(図1)を安定させることができる。また、使用者は、ホールポスト錘52の第3空間S3を挟んだ両側の部分を見比べて、体積が大きい方を下にすることによって、重量が大きい方を確実に下にすることができる。
【0062】
なお、図7(B)に示すホールポスト錘52では、第2移動阻止部54が壁部56とL字状の線状部58とで構成されているが、第1移動阻止部(図示省略)が壁部56とL字状の線状部58とで構成されてもよいし、第1移動阻止部および第2移動阻止部の両方(図示省略)が壁部56とL字状の線状部58とで構成されてもよい。
【0063】
図8は、第4実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘60の構成を示す斜視図である。第1実施形態では、本体部36が円柱状に形成されているが、本体部36は、図8に示すホールポスト錘60のように角柱状に形成されてもよいし、図示しない異形状に形成されてもよい。
【0064】
図9は、第5実施形態に係るグラウンドゴルフのホールポスト錘62の構成を示す図であり、図9(A)は斜視図、図9(B)は右側面図、図9(C)は左側面図である。第1実施形態では、本体部36の外側面の全体が曲面に形成されているが、図9(A)に示すホールポスト錘62のように、本体部36の外側面64の一部は平坦に形成されてもよい。
【0065】
ホールポスト錘62では、本体部36の外側面64が、左右方向に対して直交する第1平坦面66および第2平坦面68を有している。図9(C)に示すように、第1平坦面66は、第1移動阻止部30における半円形に湾曲する内面38a(図9(B))とは反対側に形成されている。図9(B)に示すように、第2平坦面68は、第2移動阻止部32における半円形に湾曲する内面42a(図9(C))とは反対側に形成されている。
【0066】
図9(A)に示すように、第2移動阻止部32における半円形に湾曲する内面42aと第2平坦面68とで挟まれた部分には、円形の横断面を有する貫通孔70が左右方向へ延びて形成されている。したがって、図9(B)に示すように、貫通孔70の開口70aは、第2平坦面68において円形に見える。なお、貫通孔70の直径は、特に限定されるものではないが、第5実施形態では、6mmに定められている。
【0067】
この構成によれば、ホールポスト錘62を横倒しにして保管する際に、第1平坦面66および第2平坦面68によってホールポスト錘62が転がることを抑制できる。また、貫通孔70に線材や棒材を通すことができるので、塗装時には、ホールポスト錘62を吊り下げて塗装することができ、洗浄時には、水洗浄されたホールポスト錘62を吊り下げて乾かすことができる。
【符号の説明】
【0068】
P…対称の中心、S1…第1空間、S2…第2空間、S3…第3空間、10,50,52,60,62…ホールポスト錘、12…ホールポスト、14…ホール、16…ポール、30…第1移動阻止部、32,54…第2移動阻止部、34…繋ぎ部、36…本体部、38a,42a…内面、38…第1溝、40…第1開口、42…第2溝、44…第2開口、46…第3溝、48…第3開口、56…壁部、58…線状部。
図1
図2
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図7
図8
図9