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特開2024-30698無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030698
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20240229BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20240229BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240229BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240229BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20240229BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240229BHJP
【FI】
F24F11/56
G08C15/06 F
G08C17/00 Z
H04Q9/00 301C
H04Q9/00 311H
F24F120:10
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133753
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
【テーマコード(参考)】
2F073
3L260
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA25
2F073AA27
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC05
2F073CD11
2F073CD17
2F073DD07
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG07
2F073GG09
3L260BA66
3L260BA74
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA17
3L260CA20
3L260CB84
3L260CB85
3L260HA01
3L260JA01
3L260JA12
3L260JA13
3L260JA19
3L260JA24
5K048AA06
5K048BA07
5K048BA08
5K048BA34
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB10
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】 伝送経路における通信量を低減することが可能な無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置を提供すること。
【解決手段】 無線通信システムA1は、第1通信プロトコルの無線通信によって測定データを送信する複数種類のセンサ装置Esと、第2通信プロトコルの無線通信によって当該測定データを転送する複数の中継ユニットと、複数の中継ユニットからの測定データを受信する制御装置Ctと、を備え、各センサ装置Esからの測定データは、複数の中継ユニットのいずれかの中継ユニットのみによって受信され、制御装置Ctは、記憶部に記憶された複数種類のセンサ装置Esの測定データの組み合わせに応じて、照明装置Lに照明制御信号を送信し、測定データの組み合わせに基づく空調制御信号を、空調機器Acに送信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信プロトコルの無線通信によって測定データを送信する複数種類のセンサ装置と、
前記複数種類のセンサ装置からの測定データを受信し、当該測定データを第2通信プロトコルに変換し、前記第2通信プロトコルの無線通信によって当該測定データを転送する複数の中継ユニットと、
前記複数の中継ユニットからの測定データを受信する制御装置と、を備え、
前記各センサ装置からの測定データは、前記複数の中継ユニットのいずれかの中継ユニットのみによって受信され、
前記制御装置は、
無線通信部、制御部および記憶部を有し、
前記記憶部に記憶された前記複数種類のセンサ装置の測定データの組み合わせに応じて、照明装置に照明制御信号を送信し、
前記測定データの組み合わせに基づく空調制御信号を、空調機器に送信する、無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムに用いられる中継ユニットであって、
照明装置として構成されており、且つ、前記第1通信プロトコルの無線信号を送受信する第1無線通信部と、前記第2通信プロトコルの無線信号を送受信する第2無線通信部と、を有し、
前記第1無線通信部による送受信と、前記第2無線通信部による送受信とを、交互に実行し、
前記第1無線通信部は、電波強度が閾値以上の前記センサからの測定データを受信し、
前記第2無線通信部は、前記測定データと前記照明制御信号とを同時に送信する、中継ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信システムに用いられる制御装置であって、
前記無線通信部は、前記複数種類のセンサからの測定データをそれぞれ受信し、
前記記憶部は、前記複数種類のセンサの測定データの測定データ組み合わせを記憶しており、
前記制御部は、前記無線通信部からの測定データの組み合わせに応じて、前記照明制御信号を生成し、
前記無線通信部は、前記照明制御信号を前記第2通信プロトコルに変換し、当該照明制御信号を前記第2通信プロトコルの無線通信によって照明装置に送信する、制御装置。
【請求項4】
異なる種類の複数の前記センサが各々に配置された複数のエリアが設定され、
前記各エリアに含まれる前記複数種類のセンサは、人感センサと温度センサとを含み、
前記人感センサは、電波レーダを利用した感知を行い、前記各エリアの人数データを前記制御装置に送信し、
前記温度センサは、前記各エリアの温度データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、受信した前記人数データと前記温度データとに応じて、前記複数のエリア毎に個別の前記空調制御信号を生成し、当該空調制御信号を前記空調機器に送信する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記人数データおよび前記温度データをクラウドに送信し、
前記クラウドは、前記人数データおよび前記温度データを表示装置に送信し、
前記表示装置は、受信した前記人数データに基づく人数表示項目と前記温度データに基づく温度表示項目とを、表示する、請求項4に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムと、無線通信システムに用いられる中継ユニットおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセンサからの測定データを用いた対象機器の制御を実現する無線通信システムが種々に提案されている。特許文献1には、従来の無線通信システムの一例が開示されている。同文献に開示された無線通信システムは、複数のセンサを備えている。複数のセンサは、人に関する情報を測定するセンサや、環境に関する情報を測定するセンサを含む。複数のセンサからの測定データは、制御装置に伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-043189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の無線通信システムにおいては、複数のセンサからの測定データが、1つの伝送経路を経由して制御装置に伝送される。このため、伝送経路を伝送される測定データが多くなると、伝送経路における通信量が増大する。これにより、伝送経路における通信不良等の問題が懸念される。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、伝送経路における通信量を低減することが可能な無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される無線通信システムは、第1通信プロトコルの無線通信によって測定データを送信する複数種類のセンサ装置と、前記複数種類のセンサ装置からの測定データを受信し、当該測定データを第2通信プロトコルに変換し、前記第2通信プロトコルの無線通信によって当該測定データを転送する複数の中継ユニットと、前記複数の中継ユニットからの測定データを受信する制御装置と、を備え、前記各センサ装置からの測定データは、前記複数の中継ユニットのいずれかの中継ユニットのみによって受信され、前記制御装置は、無線通信部、制御部および記憶部を有し、前記記憶部に記憶された前記複数種類のセンサ装置の測定データの組み合わせに応じて、照明装置に照明制御信号を送信し、前記測定データの組み合わせに基づく空調制御信号を、空調機器に送信する。
【0007】
本発明の第2の側面によって提供される中継ユニットは、本発明の第1の側面によって提供される無線通信システムに用いられる中継ユニットであって、照明装置として構成されており、且つ、前記第1通信プロトコルの無線信号を送受信する第1無線通信部と、前記第2通信プロトコルの無線信号を送受信する第2無線通信部と、を有し、前記第1無線通信部による送受信と、前記第2無線通信部による送受信とを、交互に実行し、前記第1無線通信部は、電波強度が閾値以上の前記センサからの測定データを受信し、前記第2無線通信部は、前記測定データと前記照明制御信号とを同時に送信する。
【0008】
本発明の第3の側面によって提供される制御装置は、本発明の第1の側面によって提供される無線通信システムに用いられる制御装置であって、前記無線通信部は、前記複数種類のセンサからの測定データをそれぞれ受信し、前記記憶部は、前記複数種類のセンサの測定データの測定データ組み合わせを記憶しており、前記制御部は、前記無線通信部からの測定データの組み合わせに応じて、前記照明制御信号を生成し、前記無線通信部は、前記照明制御信号を前記第2通信プロトコルに変換し、当該照明制御信号を前記第2通信プロトコルの無線通信によって照明装置に送信する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、異なる種類の複数の前記センサが各々に配置された複数のエリアが設定され、前記各エリアに含まれる前記複数種類のセンサは、人感センサと温度センサとを含み、前記人感センサは、電波レーダを利用した感知を行い、前記各エリアの人数データを前記制御装置に送信し、前記温度センサは、前記各エリアの温度データを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、受信した前記人数データと前記温度データとに応じて、前記複数のエリア毎に個別の前記空調制御信号を生成し、当該空調制御信号を前記空調機器に送信する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記人数データおよび前記温度データをクラウドに送信し、前記クラウドは、前記人数データおよび前記温度データを表示装置に送信し、前記表示装置は、受信した前記人数データに基づく人数表示項目と前記温度データに基づく温度表示項目とを、表示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伝送経路における通信量を低減することができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの照明装置を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの制御装置を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサ装置を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの空調機器を示すブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの一実施例を示すシステム構成図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの中継ユニットの無線送信を示すタイミングチャートである。
図8】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムにおける測定データ組み合わせの一例を示す表である。
図9】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサ装置の一例を示すブロック図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムにおける測定データ組み合わせの他の例を示す表である。
図11】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの第1変形例を部分的に示すシステム構成図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの第1変形例のリレーユニットを示すブロック図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムを示すシステム構成図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの第1変形例を示すシステム構成図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの第1変形例の表示装置の表示例を示す図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの第2変形例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
本開示における「第1」、「第2」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0016】
<第1実施形態>
図1図7は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システムを示している。本実施形態の無線通信システムA1は、複数種類のセンサ装置Es、複数の照明装置L、制御装置Ctおよび空調機器Acを備える。無線通信システムA1は、複数種類のセンサ装置Esの測定データを無線通信によって送受信し、照明装置Lの照明制御および空調機器Acの空調制御を行うシステムである。センサ装置Esが検出する物理量や、複数のセンサ装置Esが設置される環境は、何ら限定されない。
【0017】
〔照明装置L(中継ユニット)〕
照明装置Lは、本発明における中継ユニットの具体例である。中継ユニットの具体例としては、照明装置Lに限定されない。たとえば、以降に説明する照明装置Lから光源部11を除いた専用の構成の中継ユニットを用いてもよい。
【0018】
複数の照明装置Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明装置Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明装置Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形蛍光灯の代替照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明装置Lの一般的な構成を述べる場合に照明装置Lと称するとともに、複数の照明装置Lを区別する場合に照明装置L1-1、・・・、L1-n、L2-1、・・・、L4-n等の符号を適宜用いる場合がある(nは、自然数)。図1に示された例の場合、複数の照明装置L1-1~L4-nは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明装置L1-1~L4-nが同一の構成である場合を例に説明する。
【0019】
図2は、照明装置Lのブロック図である。照明装置Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0020】
光源部11は、照明装置Lにおいて発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明装置Lは、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0021】
制御部12は、たとえば制御装置Ctからの指示等に基づいて、照明装置Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明装置Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明装置Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0022】
無線通信モジュール14は、制御装置Ct、複数の照明装置Lおよび複数のセンサ装置Esと無線通信を行うためのものであり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0023】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、センサ装置Esおよび他の照明装置Lからの信号を受信し、受信した信号に含まれるデータを制御部12に送信する。また、照明制御信号を受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明装置Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0024】
本実施形態においては、複数の照明装置Lの各々が有する固有の灯具IDが、無線通信モジュール14に記憶されている。灯具IDの情報形式は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、灯具IDは、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。
【0025】
第1無線通信部141は、センサ装置Esと第1通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第1通信プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1通信プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。本例においては、第1通信プロトコルとして、BLE(Bluetooth Low Energy)が採用された場合について説明する。図示された例においては、第1無線通信部141は、SPI(Serial Peripheral Interface)通信によって第2無線通信部142と接続されているが、これに限定されない。
【0026】
第2無線通信部142は、制御装置Ctおよび他の照明装置Lと第2通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第2通信プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2通信プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。本例においては、第2通信プロトコルとして、2.4GHz帯の特定プロトコルが採用された場合について説明する。本実施形態においては、第2無線通信部142を有する複数の照明装置Lと制御装置Ctとが、メッシュネットワークである無線通信ネットワークCnを構築している。第2通信プロトコルは、後述のように複数の照明装置L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0027】
第2通信プロトコルと第1通信プロトコルとは、互いの通信が干渉しないように通信周波数が異なるものを選択することが好ましい。また、第2無線通信部142による無線通信と第1無線通信部141による無線通信とは、互いの通信タイミングを異ならせることが好ましい。図7は、無線通信モジュール14による無線通信例を示すタイミングチャートである。同図に示す無線通信においては、第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1と第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2とが、時間軸において交互に実行されている。これは、無線通信モジュール14において、第1無線通信部141と第2無線通信部142とが交互に無線通信処理を実行していることを意味する。第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1と第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2とを定期的に切り替える時間間隔は、たとえば0.1S~100Sである。一例として、第1無線通信部141は、0.5Sの間オンになり、第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1で、センサ装置Esから測定データMdを受信する。第2無線通信部142は、60Sの間オンになり、第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2で、無線通信ネットワークCnにおいて隣接する照明装置Lから照明制御信号Lsと合わせて測定データMdを送受信する。
【0028】
無線通信モジュール14は、たとえば第2無線通信部142によって制御装置Ctからセンサ装置Esのデータ取得を要求する要求信号を受信した場合、当該要求信号を第2通信プロトコルから第1通信プロトコルに変換することによって転送データを構築し、この転送データを第1無線通信部141からセンサ装置Esに送信する。また、センサ装置Esから送信された測定データを第1無線通信部141が受信した場合、当該測定データを第2通信プロトコルに変換することによって転送データを構築し、制御装置Ctに送信する。
【0029】
具体的な例を挙げると、無線通信モジュール14は、センサ装置Esからの測定データが第1通信プロトコルを用いた通信であることを通信データ中のプロトコルフラグから検出する。次いで、第1通信プロトコルに応じた手順で所定の処理を行って第1無線通信部141によって受信する。そして、測定データを第2通信プロトコルを用いた通信のデータ形式に変換することで転送データを構築し、無線通信ネットワークCnで隣接する照明装置Lに転送する。なお、転送データの構築は、新規の転送データを生成する処理を含む。また、転送データの構築は、予め用意された複数の転送データから条件に合致する等の転送データを選択する処理を含む。以降の説明において、特段の記載がない限り、転送データの構築は、これらの処理を含むものとして用いられる。
【0030】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0031】
〔センサ装置Es〕
センサ装置Esは、様々な対象物の物理量を測定するものであり、たとえば、温度センサ、湿度センサ、人感センサ、照度センサ、二酸化炭素濃度センサ、マグネットセンサ等として機能するものである。複数のセンサ装置Esの設置箇所は何ら限定されず、天井、壁面、床面、扉等の種々の箇所や、屋内および屋外に設置された各種機器に取り付けられ、あるいは内蔵される。以降の説明においては、センサ装置Esの一般的な構成を述べる場合にセンサ装置Esと称するとともに、複数のセンサ装置Esを区別する場合にセンサ装置Es1、・・・センサ装置Esn等の符号を適宜用いる場合がある。図1における複数のセンサ装置Es1~ESnは、測定する物理量が互いに異なる複数種類のセンサ装置Esを含んでいる。測定する物理量が同じであるセンサ装置Esについては、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数のセンサ装置Es1~ESnのうち無線通信等を実行するための構成が同一である場合を例に説明する。
【0032】
図4は、センサ装置Esのブロック図である。センサ装置Esは、センサ部41、制御部42、記憶部43、無線通信部44および電源部45を備える。
【0033】
センサ部41は、センサ装置Esは、対象となる物理量を測定する機能を果たすものである。センサ部41としては、たとえば温度センサ、湿度センサ、人感センサ、照度センサ、マグネットセンサ等が挙げられる。センサ部41の測定原理は何ら限定されない。
【0034】
制御部42は、センサ装置Esの各部を制御するためのものである。制御部42の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部43は、制御部42の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0035】
無線通信部44は、対応する照明装置Lと上述した第1通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。本例においては、無線通信部44は、BLE(Bluetooth Low Energy)による無線通信を行う。
【0036】
本実施形態においては、センサ装置Esが固有の機器IDを有する。機器IDの具体例は何ら限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、機器IDは、無線通信部44に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部43に記憶されていてもよい。
【0037】
電源部45は、センサ部41、制御部42および無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーまたは乾電池等である。
【0038】
無線通信部44は、対応する照明装置Lから受信した後述の設定コマンドが、自機器の機器IDを含む場合、当該設定コマンドを制御部42に送信する。制御部42は、設定コマンドにしたがって、たとえば送信周期等の測定条件を設定する。また、制御部42は、測定要求をセンサ部41に送信する。センサ部41は測定の結果得られた測定値を制御部42に出力する。制御部42は、機器ID、測定値、測定時刻(タイムスタンプ)等を含む測定データを構築し、無線通信部44から、たとえば送信周期に応じて送信する。なお、測定データの構築は、制御部42がプログラムを実行することにより新規の測定データを生成する処理を含む。また、測定データの構築は、たとえば予め用意された複数の測定データが記憶部43に記憶されており、これらの測定データから条件に合致する等の測定データを制御部42が選択する処理を含む。以降の説明において、特段の記載がない限り、測定データの構築は、これらの処理を含むものとして用いられる。
【0039】
センサ装置Esのセンサ部41が測定を行う測定周期は、たとえば制御装置Ctから送信される測定周期設定に基づいて設定される。あるいは、センサ装置Esの初期設定時に、測定周期が設定され、この初期に設定された測定周期で、センサ部41が測定を行ってもよい。
【0040】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の照明装置Lの点灯制御や複数種類のセンサ装置Esの測定制御、および空調機器Acの空調制御を行うものである。制御装置Ctは、複数の照明装置Lが設置されている建物に設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の照明装置Lとがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の照明装置L1~Lnとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、無線通信システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよい。本実施形態の制御装置Ctは、複数の照明装置Lとの双方に通信可能である。
【0041】
図3は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信モジュール24および電源部25を備える。
【0042】
表示部21は、後述する無線通信システムA1の動作においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0043】
制御部22は、複数の照明装置L1~Lnの点灯制御や複数のセンサ装置Esの測定制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする照明装置Lへ照明制御信号Lsを送信するように、無線通信モジュール24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0044】
また、制御装置Ctは、センサ装置Esの測定データについて、異常の有無を判定してもよい。
【0045】
無線通信モジュール24は、複数の照明装置Lの無線通信モジュール14の第2無線通信部142と第1通信プロトコルを用いた無線通信を行い、また、空調機器Acなどと第3通信プロトコルを用いた無線通信、または、LTE(Long Term Evolution)などの商用ネットワークを通じてクラウドなど外部サーバと通信を行うためのものである。本実施形態の無線通信モジュール24は、第3無線通信モジュール241および第4無線通信モジュール242を有する。
【0046】
第3無線通信モジュール241は、複数の照明装置Lと上述の第2通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。本実施形態においては、第3無線通信モジュール241を有する制御装置Ctと複数の照明装置Lとが、メッシュネットワークである無線通信ネットワークCnを構築している。
【0047】
第4無線通信モジュール242は、複数種類のセンサ装置Esと第3通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第3通信プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第3通信プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの商用ネットワークなどが例示される。図示された例においては、第4無線通信モジュール242は、SPI(Serial Peripheral Interface)通信によって第3無線通信モジュール241と接続されているが、これに限定されない。
【0048】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信モジュール24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0049】
制御装置Ctは、複数の照明装置Lの灯具IDや複数種類のセンサ装置Esの機器IDを保有しており、これらがたとえば記憶部43に記憶されている。制御装置Ctが保有する灯具IDや機器IDは、照明装置Lが保有する灯具IDとしてのMACアドレスやセンサ装置Esが保有する機器IDとしてのMACアドレスでもよいし、これらのMACアドレスと対応付けされた別の灯具IDや機器IDであってもよい。
【0050】
なお、無線通信システムA1内に時計ユニット(図示略)を別途配置してもよい。この時計ユニットは、FM電波を受信し、無線通信ネットワークCn を介して時間情報を制御装置Ctに送信する。制御装置Ctから各照明装置Lや各センサ装置Esに送信されるデータには、この時間情報を付与する。各照明装置Lや各センサ装置Esは受信した時計情報をもとにそれぞれの時刻をカウントする。これにより、無線通信システムA1を構成する機器や装置の時刻をより正確に合わせることができる。
【0051】
〔空調機器Ac〕
空調機器Acは、設置された環境における空気の温度および湿度や、気流、清浄度等を調整するための機器である。空調機器Acが設置される環境は何ら限定されず、オフィス、店舗、倉庫等の種々の建物内に設置されることが一般的である。空調機器Acの具体的な構成は何ら限定されず、本実施形態においては、空調機器Acは、図5に示すように、空調部31、制御部32、記憶部33、無線通信部34および電源部35を有する。
【0052】
空調部31は、空調機器Acが設置された環境における空気の空調を行うための機能部分である。空調部31の具体的構成は何ら限定されず、たとえば一般にエアコンとの略称で呼称される機器の場合、室内機に内蔵される送風機構、熱交換器やフィルタ部分、また、室外機に内蔵されるコンプレッサや熱交換器等が挙げられる。
【0053】
制御部32は、空調部31、無線通信部34および電源部35の制御を適宜行うものである。制御部32は、たとえばCPUによって構成される。なお、制御部32は、空調機器Acの各所の配置された複数のCPU等によって構成されていてもよい。
【0054】
記憶部33は、空調機器Acの動作に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0055】
無線通信部34は、制御装置Ctと上述した第3通信プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。
【0056】
本実施形態においては、空調機器Acが固有の機器IDを有してもよい。機器IDの具体例は何ら限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、機器IDは、無線通信部34に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部33に記憶されていてもよい。
【0057】
電源部35は、空調部31、制御部32および無線通信部34等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリー等である。
【0058】
次に、無線通信システムA1の動作について説明する。
【0059】
説明の便宜として、図1に示すように、無線通信システムA1が、複数種類のセンサ装置Es1~Es1と、複数の中継ユニットとしての複数の照明装置L1-1~L4-nとを備える場合について説明する。同図に示された構成の他に、複数種類のセンサ装置Esおよび複数の照明装置Lを備えていてもよい。本発明の無線通信システムの一般的なシステム構成の場合、複数の照明装置Lが2,000台程度、複数種類のセンサ装置Esが20~30台程度、設置されており、複数の照明装置Lの台数のほうが、複数種類のセンサ装置Esの台数よりも多い。
【0060】
まず、複数種類のセンサ装置Esから測定データMdを送信する照明装置Lの設定について説明する。本発明においては、複数種類のセンサ装置Es1~Es4からの測定データMdは、複数の照明装置L1-1~L4-nのいずれか1つのみの照明装置Lによって受信される。たとえば、図6に示す例においては、互いの設置距離等により、照明装置L1-1が測定データMdを受信しうる複数種類のセンサ装置Esとして、センサ装置Es1,Es2,Es3が挙げられる。センサ装置Es1,Es2,Es3は、第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1で、各々の測定結果を含む測定データMd、あるいはビーコン信号等のテストデータを無線通信部44から送信する。照明装置L1-1は、センサ装置Es1,Es2,Es3は、測定データMd、あるいはテストデータを無線通信モジュール14の第1無線通信部141で受信する。
【0061】
次に、照明装置L1-1は、センサ装置Es1,Es2,Es3ごとの電波強度を測定する。電波強度を測定するための構成は何ら限定されず、たとえば、受信した電波について無線通信モジュール14(第1無線通信部141)が算出するRSSI(Received Signal Strength Indicator)を利用する。RSSIは、無線通信モジュール14(第1無線通信部141)が受信した電波の電圧や出力に基づいて、電波強度を相対的に表す指標として出力するものである。RSSIとしては、たとえば、無線通信モジュール14(第1無線通信部141)によって受信した入力電圧の対数値(dBマイクロV)に対して比例した値であり、その数値範囲は、たとえば-80~+60の範囲である。この数値が大きいほど入力電圧が高く安定して受信できることを表しており、この数値が高いほど電波強度が強いと判断する。
【0062】
図示された例においては、センサ装置Es1の電波強度が一番大きい。これは、たとえば、センサ装置Es1,Es2,Es3のうちセンサ装置Es1が、照明装置L1-1に最も近い位置に設置されていることによる。照明装置L1-1の制御部12は、最も電波強度が強い測定データMdまたはテストデータに含まれる機器IDを記憶部13に格納する。これにより、照明装置L1-1は、第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1によって送信されてくる測定データMdのうち、センサ装置Es1の機器IDが含まれる測定データMdのみを受信し、他の測定データMdの受信処理を行わないようにフィルタリング設定される。この結果、以降の無線通信システムA1の動作においては、照明装置Lは、センサ装置Es1からの測定データMdのみを受信する。同様に、図1に示す照明装置L2-1,L3-1,L4-1についても、同様の電波強度に基づくフィルタリング設定を行う。この結果、照明装置L2-1は、センサ装置Es2からの測定データMdのみを受信し、照明装置L3-1は、センサ装置Es3からの測定データMdのみを受信し、照明装置L4-1は、センサ装置Es4からの測定データMdのみを受信する。
【0063】
なお、照明装置L1-2~L1-n,L2-2~L2-n,L3-2~L3-n,L4-2~L4-nは、複数種類のセンサ装置Es1~Es4からの測定データMdを第1通信プロトコルを用いた無線通信Cp1によって受信する処理は行わない。たとえば、無線通信システムA1のシステム導入者が、複数種類のEs1~Es4の設置場所等の条件に基づき、上述の電波強度を用いたフィルタリング設定を行う照明装置Lを限定してもよい。あるいは、照明装置L1-2~L1-n,L2-2~L2-n,L3-2~L3-n,L4-2~L4-nについても電波強度を用いたフィルタリング設定を行い、同じセンサ装置Esからの電波強度が最大であった複数の照明装置Lについて、電波強度を相互に比較し、当該センサ装置Esからの電波強度が最も大きい照明装置Lのみが当該センサ装置Esからの測定データMdを受信するように設定してもよい。
【0064】
また、図6に示した例と異なり、照明装置Lが受信するセンサ装置Esを初期設定等の処理において選択入力処理を行うことなどにより、設定してもよい。たとえば、無線通信システムA1のシステム導入者が、複数の照明装置Lと複数種類のセンサ装置Esとの設置場所に基づき、初期対象設定の照明装置Lについて、最も近い位置に設置されたセンサ装置Esからの測定データMdのみを受信するようにフィルタリング設定を行ってもよい。
【0065】
さらに、複数の照明装置Lおよび複数種類のセンサ装置Esの設置条件から、たとえば照明装置L1-1によって、センサ装置Es1およびセンサ装置Es2からの測定データMdの双方を受信するように設定してもよい。このような設定は、たとえば複数の照明装置Lの台数が、相対的に少ない条件下において、ある照明装置Lが受信するセンサ装置Esの台数を1台のみに限定してしまうと、いずれかのセンサ装置Esからの測定データMdが受信されない場合が挙げられる。ただし、このような例においても、各センサ装置Esからの測定データMdが、1つのみの照明装置Lによって受信される構成である。
【0066】
複数種類のセンサ装置Es1~Es4の測定データMdが、照明装置L1-1,L2-1,L3-1,L4-1に受信されると、照明装置L1-1,L2-1,L3-1,L4-1から無線通信ネットワークCnを構成する他の照明装置Lに測定データMdがそれぞれ転送される。図1に示された例では、照明装置L1-1が受信した測定データMdは、L1-1の無線通信モジュール14によって、第2通信プロトコルに変換される。そして、測定データMdが第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によって、照明装置L1-2,L1-3,・・・,L1-nへと順に転送される。同様に、照明装置L2-1によって受信された測定データMdは、第2通信プロトコルに変換された後に、第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によって、照明装置L2-2,L2-3,・・・,L2-nへと順に転送される。同様に、照明装置L3-1によって受信された測定データMdは、第2通信プロトコルに変換された後に、第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によって、照明装置L3-2,L3-3,・・・,L3-nへと順に転送される。同様に、照明装置L4-1によって受信された測定データMdは、第2通信プロトコルに変換された後に、第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によって、照明装置L4-2,L4-3,・・・,L4-nへと順に転送される。これらの転送された測定データMdは、それぞれの伝送経路を経て、制御装置Ctに受信される。
【0067】
図1に示す例においては、複数種類のセンサ装置Es1~Es4からの測定データMdは、それぞれ1つの伝送経路を転送されている。図示された例においては、各々の伝送経路を構成する照明装置Lは、互いに独立した構成となっているが、このような構成に限定されず、複数の伝送経路が、いずれかの照明装置Lを共通に含む構成であってもよい。
【0068】
次に、制御装置Ctは、複数種類のセンサ装置Es1~Es4からの測定データMdの組み合わせに応じて、照明制御処理および空調制御処理を行う。
【0069】
<組み合わせデータの一例>
図8は、制御装置Ctによる複数種類のセンサ装置Es1~Es4からの測定データMdの組み合わせに応じた照明制御処理の一例に用いられる組み合わせデータを示している。この組み合わせデータは、たとえば制御装置Ctの記憶部23に記憶されている。本例においては、複数種類のセンサ装置Es1~Es4のうち、センサ装置Es1が人感センサあり、センサ装置Es2がマグネットセンサを用いた扉センサである場合について説明する。
【0070】
人感センサであるセンサ装置Es1は、たとえば焦電型赤外線センサであり、人物と床や壁等との温度差を利用して、検知エリア内の人物の有無を検出する。扉センサであるセンサ装置Es2は、たとえば検出エリアへの人物の出入り口に設けられた扉にマグネットセンサが設置されている。センサ装置Es2は、磁気の強弱を測定することにより、扉が開状態であるか、閉状態であるかを検出する。なお、図8に示す組み合わせデータにおいては、ある時刻において扉センサであるセンサ装置Es2の測定データMdが開であると、当該時刻から所定のタイマー時間が経過するまで、センサ装置Es2の測定データMdが開であることを維持する。このタイマー時間は、たとえば扉を開いて検知エリアに進入した人物が、人感センサであるセンサ装置Es1に検出されるのに十分な時間が設定される。
【0071】
制御装置Ctの制御部22は、センサ装置Es1およびセンサ装置Es2の測定データMdを受信すると、図8の組み合わせデータに基づいて、照明制御信号Lsを構築する。ここで、照明制御信号Lsの構築は、新規の照明制御信号Lsを生成する処理を含む。また、照明制御信号Lsの構築は、予め用意された複数の照明制御信号Lsから条件に合致する等の照明制御信号Lsを選択する処理を含む。以降の説明において、特段の記載がない限り、照明制御信号Lsの構築は、これらの処理を含むものとして用いられる。
【0072】
センサ装置Es1の測定データMdが人物を検出したデータであり、センサ装置Es2の測定データMdが開状態のデータである場合、図8の組み合わせデータのNo.1のケースに該当する。このケースでは、ある時刻に扉を開けてセンサ装置Es2に扉が開状態となったことを検出させた人物が、検知エリア内でセンサ装置Es1に検出されたものと推定される。したがって、制御部22は、検知エリアに設置された照明装置Lを点灯させる(オン)の照明制御信号Lsを構築する。
【0073】
一方、センサ装置Es1の測定データMdおよびセンサ装置Es2の測定データMdの組み合わせが、NO.1以外のケースでは、制御部22は、検知エリアに設置された照明装置Lを消灯させる(オフ)の照明制御信号Lsを構築する。
【0074】
制御部22は、構築した照明制御信号Lsを無線通信モジュール24に送る。無線通信モジュール24の第3無線通信モジュール241は、無線通信ネットワークCnの複数の照明装置Lに第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によって照明制御信号Lsを送信する。照明制御信号Lsを受信した照明装置Lは、近隣の照明装置Lに照明制御信号Lsを転送する。また、受信した照明制御信号Lsに自機器の機器IDが含まれている場合、制御部12は、照明制御信号Lsに応じた点灯制御を行う。また、第3無線通信モジュール241は、照明制御信号Lsを転送する際に、複数種類のセンサ装置Esからの測定データMdと照明制御信号Lsとを同時に送信してもよい。
【0075】
ケース1の照明制御信号Lsをオンに設定することにより、扉を開けた人物が検知エリアに存在する場合に、この人物が適切に作業等を行えるように照明装置Lを点灯させることができる。ケース2の照明制御信号Lsをオフに設定することにより、扉が開状態となっても、検知エリア内に人物が存在しない場合に、照明装置Lを無駄に点灯させることを回避することができる。ケース3の照明制御信号Lsをオフに設定することにより、人感センサであるセンサ装置Es1が人物を検出したとの測定データMdを送信しても、扉が一定時間(タイマー時間)の間に閉状態であると、検知エリアに人物が進入したとは想定し難いことから、照明装置Lをオフにしておくことが可能である。たとえばセンサ装置Es1が焦電型赤外線センサの人感センサであると、床や壁が太陽に照らされる等によって加熱された場合に、人物の検出が正常に行えないことが想定される。このような人感センサの誤検出があっても、扉センサと組み合わせることにより、照明装置Lの無駄な点灯を回避することができる。ケース4では、人感センサおよび扉センサのいずれの検出結果からも人物の存在は想定し得ないため、照明制御信号Lsがオフに設定される。このように、複数種類のセンサ装置Esが、人感センサと扉センサを含む場合に、これらの測定データMdと組み合わせデータに基づいて照明制御信号Lsを設定することにより、より適切な照明装置Lの点灯制御を行うことができる。
【0076】
また、図8の組み合わせデータは、照明制御信号Lsの設定に用いられる他に、たとえば空調機器Acの空調制御信号Asの設定に用いられてもよい。たとえば、No.1のケースでは、検知エリアの人物がより快適に過ごせる空調を行うように空調制御信号Asを設定する。一方、No.2~4のケースでは、実質的な空調を行わない(たとえば、空調機器Acをオフにする)ように空調制御信号Asを設定する。この空調制御信号Asは、制御装置Ctの無線通信モジュール24の第4無線通信モジュール242から、第3通信プロトコルを用いた無線通信Cp3によって空調機器Acに送信される。空調機器Acの記憶部33が空調機器Acを受信すると、制御部32が、空調機器Acに含まれる空調制御指令に応じて、空調部31の空調動作を制御する。たとえば、空調機器Acがエアコンである場合、空調制御信号Asがオンであると、空調機器Acの制御部32は、検知エリアに存在する人物がより快適に過ごせるように温度および湿度のいずれかまたは双方を設定し、空調部31を空調制御する。一方、空調制御信号Asがオフであると、空調機器Acの制御部32は、たとえば空調部31の動作を停止させる。
【0077】
図9は、センサ装置Esとして採用される人感センサの他の例を示している。同図に示すセンサ装置Esは、センサ部41が、判断回路411、送信アンテナ412および受信アンテナ413を有しており、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の電波レーダまたはドップラー方式の電波レーダとして構成されている。
【0078】
センサ装置EsがFMCW方式の電波レーダである場合、センサ部41は、間欠的に送信される複数のチャープ信号を含むFMCW変調された送信波を連続波として送信アンテナ412から送信する。なお、特定の周波数範囲の周波数成分を用いて、検知領域を限定しても良い。送信アンテナ412から送信される送信波が、検知エリアに伝搬される。受信アンテナ413は、検知エリアの人物や物体等によって反射された反射波を受信する。判断回路411は、検知エリアの人物の有無を判断する回路である。判断回路411は、検波回路、変換回路、差分演算回路、閾値生成回路、比較回路、メモリなどを有する。判断回路411は、たとえば比較回路からの送信波の差分の大きさが閾値よりも大きい場合、人物が存在すると判断する。
【0079】
次に、無線通信システムA1の作用について説明する。
【0080】
本実施形態によれば、複数種類のセンサ装置Esのいずれかから送信された測定データMdは、複数の中継ユニットである複数の照明装置Lのうちいずれかの照明装置Lのみによって受信される。本実施形態とは異なり、1つのセンサ装置Esからの測定データMdが、複数の照明装置Lに受信された場合には、この測定データMdが、無線通信ネットワークCn内の複数の伝送経路を転送されることとなる。複数種類のセンサ装置Esの台数が多いほど、無線通信ネットワークCnにおけるデータ転送量が加速度的に増大し、通信品質の低下や通信エラーの発生が懸念される。本実施形態においては、複数種類のセンサ装置Esの台数が増えても、無線通信ネットワークCnにおけるデータ転送量は、複数種類のセンサ装置Esの台数に概ね比例する。このため、無線通信ネットワークCnの通信品質の低下や通信エラーの発生を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態においては、図6に示すように、1つの照明装置Lが複数種類のセンサ装置Esに含まれる1つのセンサ装置Esからの測定データMdのみを受信する。このため、ある照明装置L(たとえば照明装置L1-1)を含む無線通信ネットワークCn内の伝送経路においては、測定データMdとしてセンサ装置Es1からの測定データMdのみが専ら転送されることとなる。これにより、無線通信ネットワークCnにおけるデータ転送量をより確実に低減させることが可能である。
【0082】
図10図16は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。また、各変形例および各実施形態における各部の構成は、技術的な矛盾を生じない範囲において相互に適宜組み合わせ可能である。
【0083】
<組み合わせデータの他の例>
図10は、制御装置Ctにおける組み合わせデータの他の例を示している。本例の組み合わせデータは、センサ装置Es1として結露センサが採用されており、センサ装置Es2として扉センサが採用されている。センサ装置Es1は、たとえば倉庫内に設置されており、センサ装置Es2は、たとえば倉庫の扉に設置されている。また、空調機器Acとしては、サーキュレータが採用されている。センサ装置Es1が結露センサである場合、センサ装置Es1のセンサ部41は、たとえば2つの電極間に水滴が付着することにより、これらの電極が導通することを利用して、水滴の有無を検出する。図10においては、たとえば導通による電流等を数値化した検出値が、閾値未満である結露は未発生であり、閾値以上であると結露が発生したと判定する。
【0084】
センサ装置Es1の測定データMdが閾値以上であり、センサ装置Es2の測定データMdが閉状態のデータである場合、図8の組み合わせデータのNo.4のケースに該当する。このケースでは、検知エリアには結露は発生しており、検知エリアの出入り口に設置された扉が閉じている。したがって、測定時に発生している結露が自然風等によって解消される見込みは少なく、結露がさらに増大することが想定される。この場合、制御部22は、検知エリアに設置された空調機器Acの一例であるサーキュレータをオンとする空調制御信号Asを構築する。
【0085】
一方、センサ装置Es1の測定データMdおよびセンサ装置Es2の測定データMdの組み合わせが、NO.4以外のケースでは、制御部22は、検知エリアに設置された空調機器Ac(サーキュレータ)を停止させる(オフ)の空調制御信号Asを構築する。
【0086】
制御部22は、構築した照明制御信号Lsを無線通信モジュール24に送る。無線通信モジュール24は、空調機器Acを第3通信プロトコルに変換し、第4無線通信モジュール242から第3通信プロトコルを用いた無線通信Cp3によって、空調制御信号Asを空調機器Acに送信する。
【0087】
ケース4の空調制御信号Asをオンに設定することにより、サーキュレータの運転により検知エリアに気流を生じされることが可能である。これにより、さらなる結露の増大を阻止し、結露を解消に向かわせることができる。ケース1の空調制御信号Asをオフに設定することにより、結露が生じておらず、扉が開状態である場合に、サーキュレータを無駄に運転することを防止することができる。ケース2では、結露が生じている場合であっても、扉が開いていることにより自然風等による検知エリア内の気流の活性化が期待され、結露状態の緩和が実現しうる。ケース3の空調制御信号Asをオフに設定することにより、扉が閉状態であっても、結露が未だ生じていない状態でサーキュレータを運転することを回避することができる。このように、複数種類のセンサ装置Esが、結露センサと扉センサを含む場合に、これらの測定データMdと組み合わせデータに基づいて空調制御信号Asを設定することにより、より適切な空調制御信号Asの空調制御を行うことができる。
【0088】
<第1実施形態 第1変形例>
図11および図12は、無線通信システムA1の第1変形例を示している。本変形例の無線通信システムA11においては、リレーユニットRuを備える点、および空調機器Acの構成が上述した実施形態と異なっており、その他の構成は、無線通信システムA1と同様または類似している。
【0089】
本変形例の無線通信システムA11は、複数の空調機器Acを備える。複数の空調機器Acは、空調機器Ac1,Ac2,Ac3を含む。空調機器Ac1,Ac2,Ac3は、たとえばサーキュレータである。空調機器Ac1,Ac2,Ac3は、リレーユニットRuを介してAC電源に接続されている。
【0090】
リレーユニットRuは、制御装置Ctからの空調制御信号Asを受信することにより、空調機器Ac1,Ac2,Ac3への電力供給を制御するものである。図12に示すように、リレーユニットRuは、リレースイッチ51、制御部52、無線通信部54および電源部55を有する。
【0091】
リレースイッチ51は、AC電源と空調機器Ac1,Ac2,Ac3との間に、電気的に介在している。リレースイッチ51は、AC電源と空調機器Ac1,Ac2,Ac3とを電気的に接続した状態と、絶縁した状態とを設定可能に構成されている。
【0092】
制御部52は、無線通信部54からの空調制御信号Asによって、リレースイッチ51の開閉制御を行うものであり、たとえばCPUからなる。無線通信部54は、第2通信プロトコルを用いた無線通信Cp2によってデータを送受信可能である。無線通信システムA1においては、制御装置Ctから送信された空調機器Acを無線通信部54が受信する。空調制御信号AsにリレーユニットRuの自ユニットIDが含まれている等の場合に、制御部52が空調制御信号Asに応じたリレースイッチ51の開閉制御を行う。電源部55は、制御部52および無線通信部54の動作に必要な電力を供給する部位である。
【0093】
なお、図11に示すように、無線通信システムA11においても、制御装置Ctからの空調制御信号Asは、第3通信プロトコルを用いた無線通信Cp3によってエアコン等の空調機器Acに送信される空調制御信号Asを含んでいてもよい。
【0094】
本変形例によれば、1つのリレーユニットRuを制御することにより、検知エリアに設置された複数の空調機器Ac1,Ac2,Ac3の空調制御を一括して行うことができる。なお、上述の例とは異なり、制御装置CtからリレーユニットRuへの空調制御信号Asを、第3通信プロトコルを用いた無線通信Cp3によって送信してもよい。この場合、リレーユニットRuの無線通信部54は、第3通信プロトコルを用いた無線通信Cp3によってデータを送受信可能に構成される。
【0095】
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システムを示している。本実施形態の無線通信システムA2においては、複数の照明装置L、複数種類のセンサ装置Esおよび複数の空調機器Acが、複数の検知エリアに分割して配置されている。
【0096】
本実施形態においては、たとえば1つの建物の部屋毎、またはフロア毎、あるいは複数の建物毎に、検知エリアが設定されている。図示された例においては、4つの検知エリアAr1~Ar4が設定されている。検知エリアAr1には、照明装置L1とセンサ装置Es1-1,Es1-2および空調機器Ac1とが設置されている。検知エリアAr2には、照明装置L2とセンサ装置Es2-1,Es2-2および空調機器Ac2とが設置されている。検知エリアAr3には、照明装置L3とセンサ装置Es3-1,Es3-2および空調機器Ac3とが設置されている。検知エリアAr4には、照明装置L4とセンサ装置Es4-1,Es4-2および空調機器Ac4とが設置されている。センサ装置Es1-1とセンサ装置Es1-2とは、互いに異なる種類のセンサである。センサ装置Es2-1とセンサ装置Es2-2とは、互いに異なる種類のセンサである。センサ装置Es3-1とセンサ装置Es3-2とは、互いに異なる種類のセンサである。センサ装置Es4-1とセンサ装置Es4-2とは、互いに異なる種類のセンサである。以降の説明では、センサ装置Es1-1,Es2-1,ES3-1,Es4-1が人感センサであり、センサ装置Es1-2,Es2-2,ES3-2,Es4-2が温度センサである場合を例に説明する。
【0097】
センサ装置Es1-1,Es2-1,ES3-1,Es4-1は、検知エリアAr1~Ar4毎の人物の有無を検出する。センサ装置Es1-2,Es2-2,ES3-2,Es4-2は、検知エリアAr1~Ar4毎の室温を測定する。センサ装置Es1-1,Es2-1,ES3-1,Es4-1からの測定データMdとセンサ装置Es1-2,Es2-2,ES3-2,Es4-2からの測定データMdとは、照明装置L1~L4を介して、制御装置Ctに送信される。
【0098】
制御装置Ctは、検知エリアAr1~Ar4のそれぞれについて、センサ装置Es1-1,Es2-1,ES3-1,Es4-1からの測定データMdとセンサ装置Es1-2,Es2-2,ES3-2,Es4-2からの測定データMdとの組み合わせに応じて、複数の照明装置L1~L4のそれぞれの照明制御信号Lsと、複数の空調機器Ac1~Ac4のそれぞれの空調制御信号Asとを構築し、送信する。複数の照明装置L1~L4は、受信した照明制御信号Lsに応じた点灯制御を行い、複数の空調機器Ac1~Ac4は、受信した空調制御信号Asに応じた空調制御を行う。
【0099】
このような実施形態によれば、複数の検知エリアAr1~Ar4のそれぞれについて、人物の有無と室温とに応じた空調制御を個別に行うことができる。たとえば、検知エリアAr1と検知エリアAr3とでは、センサ装置Es1-2とセンサ装置Es3-1との測定による室温が28℃と同じ場合であっても、センサ装置Es1-1とセンサ装置Es3-1によって検出された人数に違いがある場合に、これらの状況により適した点灯制御および空調制御を行うことができる。すなわち、検知エリアAr1は人物が多く混んでおり、検知エリアAr3は人物が少なく混んでいないとき、検知エリアAr1に配置した空調機器Ac1の風量を検知エリアAr3に配置した空調機器Ac3よりも強くなるように空調制御信号Asを構築することができる。したがって、複数の検知エリアAr1~Ar4毎の人数の混み具合に応じて空調制御を行うことができる。また、複数の検知エリアAr1~Ar4のそれぞれの人数が同程度であっても、測定時点での室温が異なる場合に、複数の検知エリアAr1~Ar4のそれぞれに応じた空調制御を行うことができる。
【0100】
<第2実施形態 第1変形例>
図14および図15は、無線通信システムA2の第1変形例を示している。本変形例の無線通信システムA21は、クラウドCLおよび表示装置Dpを備える。
【0101】
クラウドCLは、たとえば商用クラウドサービス等によって構築されている。クラウドCLの具体的構成は何ら限定されず、たとえば制御部、記憶部および通信部を有する。クラウドCLは、たとえば公衆ネットワーク(インターネット)を介して制御装置Ctと双方向通信が可能である。
【0102】
表示装置Dpは、たとえば通信機能を有するディスプレイ機器である。表示装置Dpは、たとえば公衆ネットワーク(インターネット)を介してクラウドCLからの表示データを受信可能である。表示装置Dpは、受信した表示データに応じて、表示部に画像や文字等を表示する。
【0103】
図15は、表示装置Dpの表示画像の一例を示している。同図に示す表示装置Dpには、4つの検知エリアAr1~Ar4に対応する4つの図形(長方形)が表示されている。それぞれの図形には、4つの検知エリアAr1~Ar4毎に測定データMdに応じた情報が表示されている。たとえば、検知エリアAr1は、センサ装置Es1-2の測定データMdに基づいて室温が28℃と表示されており、センサ装置Es1-1の測定データMdに基づいて混んでいる(人物が多い状態である)ことが表示されている。検知エリアAr2~Ar4についても、同様に室温および混雑状況が個別に表示されている。
【0104】
たとえば、検知エリアAr1~Ar4が建物内の部屋に対応し、表示装置Dpが建物の入口、または検知エリアAr1~Ar4に通じる共通の扉等の付近に設置される。検知エリアAr1~Ar4は、たとえばフリーアドレスのオフィススペースとして利用される。この場合、検知エリアAr1~Ar4を使用する従業員(ユーザ)は、入り口にある表示装置Dpの表示内容に基づいて、自身が望む環境に近い検知エリアArを選ぶことが可能である。たとえば、室温が低めであり混雑していない検知エリアArを選択することによって、より落ち着いた環境で執務を行うことができる。一方、より混雑している検知エリアArを選択することにより、執務での懸念事項等についてより多くの同僚と相談することができる。
【0105】
<第2実施形態 第1変形例>
図16は、無線通信システムA2の第2変形例を示している。本変形例の無線通信システムA22は、モバイル端末Mcを備えている。なお、無線通信システムA22は、上述の表示装置Dpをさらに備えていてもよい。
【0106】
モバイル端末Mcには、特定プログラムがインストールされる。モバイル端末Mcは、たとえば表示部、制御部、通信部および入力部を有している。表示部がタッチパネルである場合のように、入力部が表示部と一体化された構成であってもよい。
【0107】
ユーザは、モバイル端末Mcにインストールされた特定プログラムを起動する。表示部には、たとえば検知エリアArを示すフロアマップが表示される。各検知エリアArを示す図形には、当該検知エリアArの温度情報、人数情報などが重畳表示される。
【0108】
たとえばユーザが入力画面の情報を収集する取得ボタン(表示部に表示されたアイコン)を押すと、制御部が通信部を制御し、位置情報を要求するコマンド(要求コマンド)とユーザIDとを商用ネットワーク(インターネット)を介し、クラウドCLに送信する。
【0109】
クラウドCLは、通信部で要求コマンドを受信する。制御部は、コマンドに基いて、温度情報、人数情報等の解析を行う。通信部は、この解析結果を商用ネットワーク(インターネット)を介してモバイル端末Mcに送信する。
【0110】
モバイル端末Mcは、解析結果を通信部で受信し、表示部に、人数情報、温度情報、さらには当該検知エリアArに設置されている空調機器Acの運転状態や照明装置Lの点灯状態を表示する。
【0111】
本変形例によれば、検知エリアArをオフィスとしたときの従業員(ユーザ)が所有する携帯端末などをモバイル端末Mcとして利用することが可能である。これにより各従業員(ユーザ)が、複数の検知エリアAr(検知エリアAr1~Ar4)の従業員数、温度環境、動作している空調の実態等をリアルタイムに把握することができる。
【0112】
本発明に係る無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る無線通信システム、中継ユニットおよび制御装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0113】
A1,A11,A2,A21,A22:無線通信システム
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信モジュール
25 :電源部
31 :空調部
32 :制御部
33 :記憶部
34 :無線通信部
35 :電源部
41 :センサ部
42 :制御部
43 :記憶部
44 :無線通信部
45 :電源部
51 :リレースイッチ
52 :制御部
54 :無線通信部
55 :電源部
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
241 :第3無線通信モジュール
242 :第4無線通信モジュール
411 :判断回路
412 :送信アンテナ
413 :受信アンテナ
Ac,Ac1,Ac2,Ac3,Ac4:空調機器
Ar,Ar1,Ar2,Ar3,Ar4:検知エリア
As :空調制御信号
CL :クラウド
Cn :無線通信ネットワーク
Cp1,Cp2,Cp3:無線通信
Ct :制御装置
Dp :表示装置
Es,Es1,Es1-1,Es1-2,Es2,Es2-1,Es2-2,Es3,Es3-1,Es3-2,Es4,Es4-1,Es4-2,Esn:センサ装置
L,L1,L1-1,L1-2,L2,L2-1,L2-2,L3,L3-1,L3-2,L4,L4-1,L4-2:照明装置
Ls :照明制御信号
Mc :モバイル端末
Md :測定データ
Ru :リレーユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16