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  • 特開-クッション式筆記具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030727
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】クッション式筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/00 20060101AFI20240229BHJP
   B43K 21/16 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B43K21/00 G
B43K21/16 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133806
(22)【出願日】2022-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】392005126
【氏名又は名称】ミクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】大河内 章寛
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FE14
2C353FE18
(57)【要約】
【課題】筆記先端に過大な筆圧が作用したときに、衝撃を吸収し、芯折れを防止し、手や指に作用する負担を緩和できるようにしたクッション式筆記具を提供する。
【解決手段】筆記体を収納した軸筒1の先端にテーパー7を固定し、軸筒1の外周にグリップ17を嵌装する。グリップ17は、軸長方向に移動可能であり、その先端は軸径方向にも移動可能である。グリップ17の前方には斜面具21が装着され、斜面具21には上記グリップ17の先端を軸径方向に案内する案内面22が設けられている。斜面具21とテーパー7の間には、クッションバネ27が設けられている。グリップ17は、クッションバネ27に抗して軸長方向及び先端が軸径方向に移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に筆記体を収納した軸筒と、筆記体の先端を突出させる先端孔を有し軸筒の先部に固定されたテーパーを具備し、上記テーパーの後方の軸筒の外周に軸長方向にかつ先端が軸径方向に移動可能にグリップを嵌装し、上記グリップとテーパー間の軸筒に、グリップの先端を軸径方向に案内する案内面を有する筒状の斜面具を軸長方向に移動可能に装着し、上記斜面具と上記テーパーの後部にバネ受部を形成し、該バネ受部間に、上記斜面具を介して上記グリップを後方に付勢するようクッションバネを設けたクッション式筆記具。
【請求項2】
上記斜面具は、軸筒の外周に摺接可能な後部開口と、テーパーの外周に摺接可能な前部開口を有する請求項1に記載のクッション式筆記具。
【請求項3】
上記グリップは、斜面具に当接する斜面当接部を有し、上記斜面具の案内面は、上記斜面当接部が当接する斜面部である請求項1に記載のクッション式筆記具。
【請求項4】
上記グリップは、軸筒の中間部に延びている請求項1に記載のクッション式筆記具。
【請求項5】
上記グリップは、軸筒の全長にわたって延びている請求項1に記載のクッション式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルやボールペン等の筆記具において、大きな筆圧が作用した際に衝撃を緩和できるようにしたクッション式筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャープペンシルやボールペン等の筆記具は、過度な筆圧が作用すると、芯折れが発生したり、手や指に大きな負担がかかることになる。そのため、過大な筆圧を緩和するため、クッション作用を持たせた筆記具が知られている (例えば特許文献1、2参照)。特許文献1、2に記載の筆記具では、軸筒とその先端に取り付ける口金(テーパー)との間に、弾性体を介在させている。大きな筆圧が作用すると、弾性体により口金がある程度の自由度を持って移動でき、筆記先端と紙面の間に生じた衝撃力、摩擦力等は、弾性体を介して指に伝達され、クッションできるように構成している。
【0003】
シャープペンシルのように、芯を口金から繰り出す芯繰出しメカは、軸筒内に収納されているが、上記特許文献1に記載の筆記具では、この芯繰出しメカの先端にねじ着等により口金が固定され、上記特許文献2に記載の筆記具では、弾性体を介して軸筒に固定した中ネジに口金が固定されている。通常のノック式のシャープペンシルでは、芯繰出しメカにより、繰り出された芯は、口金内に設けた弾性ゴム等の芯仮保持体で繰り出し位置に仮保持され、ノック操作により順次口金の先端から突出するよう構成されている。そのため、芯繰出しメカの構成にもよるが、上記特許文献1、2に記載の筆記具のように口金と軸筒の間に弾性体を設けて、口金が芯繰出しメカや軸筒に対して軸長方向や軸径方向に移動可能になっていると、芯の仮保持体の位置が所定の位置からずれることになるので、芯の繰出量が変化するおそれがある。また、口金が軸径方向に曲がると、芯繰出しメカから繰り出される芯を軸径方向に折り曲げることになるから、メカ機構内で芯折れする懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60-78491号公報(実用新案登録請求の範囲、第2図)
【特許文献2】実開平5-41878号公報(実用新案登録請求の範囲、請求項1、図2図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、筆記先端に軸長方向や軸径方向に過大な筆圧が作用しても、芯の繰出量が変化するおそれもなく、また芯折れの危険を生じることもなく、クッション作用を発揮して芯折れ防止や手指の負担を軽減できるようにしたクッション式筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内部に筆記体を収納した軸筒と、筆記体の先端を突出させる先端孔を有し軸筒の先部に固定されたテーパーを具備し、上記テーパーの後方の軸筒の外周に軸長方向にかつ先端が軸径方向に移動可能にグリップを嵌装し、上記グリップとテーパー間の軸筒に、グリップの先端を軸径方向に案内する案内面を有する筒状の斜面具を軸長方向に移動可能に装着し、上記斜面具と上記テーパーの後部にバネ受部を形成し、該バネ受部間に上記斜面具を介して上記グリップを後方に付勢するようクッションバネを設けたクッション式筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0007】
また、上記グリップは、軸筒の中間部に延び、若しくは軸筒のほぼ全体にわたって延びている上記クッション式筆記具が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のように構成され、一般的な筆記具と同様に、内部に筆記体を収納した軸筒を有し、該軸筒の先端には筆記体の先端を突出させる先端孔を有するテーパーが固定されている。上記テーパーの後方の軸筒の外周には、軸長方向にかつ先端が軸径方向に移動可能にグリップを嵌装してあり、上記グリップとテーパー間の軸筒には、グリップの先端を軸径方向に案内する案内面を有する筒状の斜面具が軸長方向に移動可能に装着されている。上記斜面具と上記テーパーの後部には、バネ受部が形成され、該バネ受部間に、上記斜面具を介して上記グリップを後方に付勢するクッションバネを設けてある。通常のように筆記する際は、グリップを把持して筆記するから、過大な筆圧が作用すると、上記グリップは、斜面具を介してクッションバネに抗して軸長方向及び又は先端が軸径方向に移動し、衝撃は吸収され、芯折れの軽減並びに筆記時の手や指への負担を緩和することができる。この際、テーパーは軸筒に固定されているので、筆記体として、ノック式シャープペンシルのような芯繰出しメカが軸筒内に収納されていても、衝撃時に移動するのは軸筒に装着したグリップであるから、軸筒、テーパー及び芯繰出しメカとの相対的な位置関係が変わることはなく、芯繰出し量を一定に保つことができる。また芯繰出しメカが軸径方向に曲がるおそれもないから、芯折れの可能性も少ない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の筆記具の一実施例を示す正面図。
図2】一部を拡大して示す説明図。
図3】グリップの半断面図。
図4】斜面具の半断面図。
図5】衝撃が作用した場合を示し、(A)は主として軸筒の軸長方向に荷重が作用した場合の説明図、(B)は主として軸筒の軸径方向に荷重が作用した場合の説明図。
図6】他の実施例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、シャープペンシルやボールペン等の各種クッション式筆記具に適応することもできるが、図1図2は、シャープペンシルに適応した実施例を示し、筒状の軸筒1の内部には、ノック式芯繰出しメカを有する筆記体2が図示されている。該軸筒1は、大径の後部本体3と、段部4を介してそれより小径に形成された前部本体5を有し、前部本体5の先端には、芯8の先端を突出させる先端孔6を有するテーパー7がねじ着により固定されている。一実施例として示す芯繰出しメカは、公知のように、芯8を収納する芯タンク9の後端にノックキャップ10と消しゴム11を有し、前端にはチャック12が固定され、該チャック12にはチャックを開閉するクラッチ13が嵌着されている。芯タンク9は、ノックバネ14により後方に付勢されており、芯タンク9の後端をノックしたとき、クラッチ13がテーパー7内に設けたストッパー15に当る位置まで、チャック12は芯8を保持して前進し、前進した芯8は、テーパー7内に設けた弾性的なブレーカー16でその位置に仮保持され、ノックを繰り返すことにより順次芯8がテーパー7の先端孔6から前方に突出する。
【0011】
上記テーパー7の後方の軸筒1の外周には、図1等に示す実施例では、軸筒1の中間部である上記段部4の前方に、グリップ17が嵌装されている。該グリップ17は、上記軸筒1の前部本体5の外径よりも内径が大きい筒状に形成され、これにより軸筒1との間に、グリップ17の先端が360度軸径方向に移動できるグリップ可動空間18が形成されている。グリップ17は、軸筒1の軸長方向に移動可能であり、後端が上記段部4に当接する位置まで後退可能である。グリップ17の後端には、曲面状に突出する支え部19が形成され、該支え部19を支点としてグリップ17の先端が360度軸径方向に移動可能である。グリップ17の先端には、先端方向に傾斜が広がるように傾斜する斜面当接部20が形成され、グリップ17は斜面具21に当接した状態で前進可能である。
【0012】
上記斜面具21は、筒状に形成され、グリップ17とテーパー7間で軸長方向に移動可能に軸筒1に装着され、上記グリップ17の先端を軸径方向に案内する案内面22を有している。該斜面具21は、図4に示すように、上記軸筒1の前部本体5の外周に摺接可能な後部開口23と、テーパー7の外周に摺接可能な前部開口24を有する。斜面具21の内部にはバネ受部25が設けられており、上記テーパー7の後部にはバネ受部26が形成され、該バネ受部25、26間に、上記斜面具21を介して上記グリップ17を後方に付勢するようクッションバネ27が挿入されている。
【0013】
上記斜面具21の案内面22は、図に示す実施例では、上記クリップ17の斜面当接部20が当接するよう先端方向に傾斜が広がる斜面部に形成されているが、グリップ17の先端を軸径方向に案内できる構成であれば、どのような形状、構成であってもよい。
【0014】
上記構成により、グリップ17を把持して筆記している際、図5(A)に示すように、主として、軸長方向に大きな筆圧が作用すると、グリップ17は、上記斜面具21を矢印28方向に押しながら、上記クッションバネ27に抗して矢印29方向に移動し、上記後部本体3との間に隙間30が生じ、衝撃が緩和される。
【0015】
また、図5(B)に示すように、主として、軸径方向に大きな筆圧が作用すると、グリップ17は、上記斜面具21を矢印31方向に押しながら、上記クッションバネ27に抗してグリップ移動用空間18内で矢印32方向に移動し、前部本体5から先端が離れて、衝撃が緩和される。実際には、軸長方向と軸径方向に組み合わされた方向に筆圧が作用するから、上記図5(A)と図5(B)の説明図で示すクッション作用が適時に働くことになる。
【0016】
上記実施例では、グリップ17は、軸筒1の中間部に設けられているが、軸筒1の後端部まで軸筒1のほぼ全長にわたって延びていてもよい。図6はそのような一実施例を示し、軸筒1は、小径の前部本体5が後方に向かって長く延び、後方段部33が軸筒1の後部に位置しており、この後方段部33に当接する位置まで、グリップ17が延びている。その他は、前記実施例とほぼ同様であるので、詳述を省略する。
【符号の説明】
【0017】
1 軸筒
3 後部本体
4 段部
5 前部本体
7 テーパー
17 グリップ
18 グリップ可動空間
19 支え部
20 斜面当接部
21 斜面具
22 案内面
27 クッションバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6